JP3004788B2 - アルギニンデイミナーゼ発現ベクター、形質転換微生物およびアルギニンデイミナーゼの製造法 - Google Patents

アルギニンデイミナーゼ発現ベクター、形質転換微生物およびアルギニンデイミナーゼの製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルギニンデイミナー
ゼもしくはその類縁体の発現ベクターを大腸菌に組み込
み、この形質転換微生物を用いてアルギニンデイミナー
ゼもしくはその類縁体を大量に生産する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルギニンデイミナーゼ(酵素分類番号
3、5、3、6)はL−アルギニンと水からL−シトル
リンとアンモニアを生成する酵素反応を触媒する酵素で
あり、動物、細菌、酵母類にその存在が知られている。
既にマイコプラズマから得られたアルギニンデイナーゼ
が強い癌細胞増殖阻害活性を有することが明らかとな
り、これを新規な制癌剤として利用することが期待され
ている(特開平3−164173号公報)。
【0003】アルギニンデイミナーゼは従来、アルギニ
ンデイミナーゼ生産菌であるマイコプラズマ・アルギニ
ーニ(Mycoplasma arginini)より生産していたが、生産
性が低いこと、マイコプラズマの培養管理が煩雑であ
り、本酵素の大量生産における酵素源として用いるには
難点があること、精製法が煩雑である等の問題点があっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の欠点を
解決するためになされたものであって、本発明の目的は
アルギニンデイミナーゼもしくはその類縁体の発現が高
く、これを効率よく生産できる発現ベクターを大腸菌
組み込み、この形質導入された大腸菌を用いて遺伝子工
学的手法によってアルギニンデイミナーゼもしくはその
類縁体を大量かつ安価に生産する方法を提供しようとす
るものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決する手段について検討し、tacプロモーターの
フラグメント、プラスミドpUC18の複製開始点(O
ri)のフラグメント、テトラサイクリン耐性遺伝子を
含むフラグメントおよびアルギニンデイミナーゼもしく
はその類縁体のアミノ酸をコードするDNAフラグメン
トが結合しているアルギニンデイミナーゼ発現ベクター
を創製し、これを用いて大腸菌に形質導入し、この形質
転換微生物を培養したところ、培養物の中に大量のアル
ギニンデイミナーゼもしくはその類縁体が生産され、こ
れを容易に精製することができることを見出して、本発
明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、次のようなアルギニ
ンデイミナーゼ発現ベクター大腸菌に組み込み、この
形質導入した形質転換微生物を用いてアルギニンデイミ
ナーゼを製造する方法に関する。
【0007】(1)tacプロモーターのフラグメン
ト、プラスミドpUC18の複製開始点(Ori)のフ
ラグメント、テトラサイクリン耐性遺伝子を含むフラグ
メント、およびアルギニンデイミナーゼもしくはその類
縁体のアミノ酸配列をコードするDNAフラグメントが
結合しているアルギニンデイミナーゼまたはその類縁体
の発現ベクター。 (2)前記アルギニンデイミナーゼまたはその類縁体の
発現ベクターを大腸菌に形質導入したことからなる形質
転換微生物。 (3)前記の形質転換微生物を培養して、アルギニンデ
イミナーゼもしくはその類縁体を発現させ、培養物から
アルギニンデイミナーゼもしくはその類縁体を採取し、
これを塩酸グアニジン及び還元剤を含有する溶液で可溶
化した後、リン酸カリウム緩衝液でリフォールディング
することからなるアルギニンデイミナーゼもしくはその
類縁体の製造法。
【0008】アルギニンデイミナーゼの全塩基配列は、
本発明者らによって決定され(特開平3−16417
3)、アミノ酸全409個よりなる分子量約4.5万
(SDS−PAGE)または約9万(ゲル濾過HPL
C)のポリペプチドである。そして、その微生物の由
来、例えばM. arginini; M. arthritidis等によってN
末端アミノ酸が多少相違する。本発明ではこのようなN
末端のアミノ酸が相違したり、あるいはアミノ酸が相違
してもアルギニンデイミナーゼ作用を有するものをアル
ギニンデイミナーゼ類縁体として包含する(以下、これ
らの類縁体をも含めてアルギニンデイミナーゼとい
う)。
【0009】本発明のアルギニンデイミナーゼ発現ベク
ターについてその創製方法を例示して説明する。
【0010】本発明におけるベクターとなる部分のプラ
スミドは次のようにして調製することができる。tac
プロモーターのフラグメントの塩基配列は公知であるの
で、このフラグメントは、DNA合成機等を用いて容易
に製造することができる。これを市販のプラスミドpU
C18の複製開始点(Ori)のフラグメントと組合せ
るとよい。しかし、市販のプラスミドの切り出し、接合
等を組み合わせることによって比較的容易にtacプロ
モーターのフラグメントとプラスミドpUC18の複製
開始点(Ori)のフラグメントの組合せを調製するこ
とができる。例えば市販のプラスミドpKK223−3
(ファルマシア製)を制限酵素PvuI及びNruIで
切断し、tacプロモーターのフラグメントを含むサイ
ト部を得る。一方、プラスミドpUC18を制限酵素P
vuI及びNruIで切断した複製開始点(Ori)の
フラグメントを含むサイト部を得る。そして両サイトを
T4DNAリガーゼで接合してプラスミドpMK2を
得、これをtacプロモーター及びプラスミドpUC1
8の複製開始点(Ori)を含むプラスミドとして用い
ることができる。
【0011】また、アルギニンデイミナーゼのアミノ酸
配列をコードするDNAフラグメントは次のようにして
調製する。好ましくは、アルギニンデイミナーゼの構造
遺伝子中に含まれるTGAコドン全てを大腸菌のトリプ
トファンコドンであるTGGコドンに置換した遺伝子を
用い、これとその上流に240bpの調節遺伝子を含む
遺伝子を、市販のプラスミドpUC19のSacI−H
indIII サイドに挿入してプラスミドpAD12を作
成する(特開平3−164173号公報参照)。
【0012】このプラスミドpAD12を図1に示すよ
うに制限酵素SacIとHindIII で切断し、アルギ
ニンデイミナーゼをコードするDNAフラグメントを精
製する。
【0013】さらにまた、市販のファージベクターM1
3mp19を制限酵素SacI及びHindIII で切断
し、その切断部位に前記アルギニンデイミナーゼをコー
ドするDNAフラグメントをT4DNAリガーゼで連結
し、プラスミドM13ADMEを得る。これを用いて大
腸菌JM101を形質転換し、得られるプラークより調
製した二重鎖DNAを制限酵素EcoRI及びHind
III で切断してアルギニンデイミナーゼのアミノ酸をコ
ードするDNAフラグメントを得る。このフラグメント
のなかにその後に制限酵素で処理するさいに切断されて
はならないDNA配列がある場合には変異導入プライマ
ー等を用いて塩基配列を予め変換しておくとよい。
【0014】そして、このDNAフラグメント及び、こ
のフラグメントがアルギニンデイミナーゼの塩基配列を
一部欠く場合には、その部分に相当するDNAフラグメ
ントとを、前記プラスミドpMK2の制限酵素EcoR
I及びHindIII 切断部位に組入れ、tacプロモー
ター;プラスミドpUC18の複製開始点(Ori)の
フラグメント及びアルギニンデイミナーゼのアミノ酸配
列をコードするDNAフラグメントを有するプラスミド
pMKADとし、これで大腸菌JM109株を形質転換
して増幅させる。そして、このプラスミドを制限酵素P
stI及びHindIII で切断し、これに欠失している
C末端アミノ酸配列をコードするDNAフラグメントを
連結し、プラスミドpMK△CADを得る。
【0015】さらに、これにプラスミドの安定化をはか
るために、プラスミドpBR322を制限酵素EcoR
I及びAvaIで切断し、クレノー酵素で平滑化末端と
しテトラサイクリン耐性遺伝子を得、これをプラスミド
pMK△CADの制限酵素BamHI切断部位に連結
し、大腸菌JM109株を形質転換して、アルギニンデ
イミナーゼ遺伝子と逆方向にテトラサイクリン遺伝子が
連結している発現プラスミドpADTc1を得る。
【0016】本発明の発現プラスミドは、これらの遺伝
子以外に用いたプラスミドに由来する他の遺伝子を含ん
でいても何ら支障はないが、例えばrrnBターミネー
ター、アンピシリン耐性遺伝子等のフラグメントを含ん
でいるとアルギニンデイミナーゼを高発現することがで
き、またスクリーニングが簡便となるので特に好まし
い。
【0017】しかし、本発明では、tacプロモーター
のフラグメント、プラスミドpUC18の複製開始点
(Ori)のフラグメント、テトラサイクリン耐性遺伝
子を含むフラグメント及びアルギニンデイミナーゼもし
くはその類縁体のアミノ酸配列をコードするDNAフラ
グメントが連結していることが必要であって、このフラ
グメントの1種を欠いてもアルギニンデイミナーゼは高
収率では発現しない。
【0018】次に、このようにして得られたアルギニン
デイミナーゼ発現プラスミドpADTc1で大腸菌JM
101株を形質転換し、テトラサイクリンを含む培地に
培養し、菌体を集菌し、これからアルギニンデイミナー
ゼを採取する。
【0019】培地としては2×TY培地、LB培地等適
宜の培地を使用することができ培養条件としては37℃
前後の温度で1夜乃至数日通気攪拌培養する。培養物か
ら菌体の集菌は遠心分離等により行うとよい。また、集
められた菌体からアルギニンデイミナーゼの採取は、ま
ず菌体を生理食塩水等で洗浄し、0.1Mリン酸カリウ
ム緩衝液(pH7.0)に懸濁させ、超音波により菌体
を破砕し、遠心分離して不溶性画分を得る。この不溶性
画分をトリトンX−100(TritonX−100)
などの界面活性剤等で洗浄して、大腸菌の膜画分を除去
した後、塩酸グアニジン、トリス−塩酸緩衝液及び還元
剤〔例えばジチオスレイトール(−S−S−結合の切断
のために使用する)〕よりなる抽出液でアルギニンデイ
ミナーゼを抽出し、前記リン酸カリウム緩衝液で希釈す
ることにより、リフォールディングさせる。この抽出液
を濾過し、濾液をQセファロースカラムクロマトグラフ
ィーやアルギニン−セファロースカラムにかけてアルギ
ニンデイミナーゼを精製する。このようにすると精製さ
れたアルギニンデイミナーゼを得ることができる。
【0020】アルギニンデイミナーゼの活性はFenskeら
の方法〔J.Bacteriol.、126 、501〜510 (1976)〕によ
ってシトルリンを生成させ、その量をArchibald の方法
〔J.Biol. Chem. 、156 、121 〜142 (1944)〕によって
測定することにより求めることができる。
【0021】すなわち、10mMアルギニン溶液〔0.
1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解〕1.0ml
に、アルギニンデイミナーゼ試料溶液20μlを添加
し、37℃で5〜30分間酵素反応を行なった後、酸混
合液(H2 SO4 :H3 PO4 =1:3)1mlを添加
し酵素反応を停止させる。反応液に3%ジアセチルモノ
オキシム水溶液25μlを添加し、遮光下で100℃で
20分間加熱した後、室温で30分間放冷し、490n
mにおける吸光度を測定することにより、生成したシト
ルリンを定量する。尚、1分間に1μmolのシトルリ
ンを生成するアルギニンデイミナーゼ活性を1ユニット
(U)と定義する。
【0022】以下に、本発明について実施例を挙げて具
体的に説明する。
【0023】
【実施例1】アルギニンデイミナーゼ発現ベクターpADTc1の作
製(図1参照 ) 図1に示すように、アルギニンデイミナーゼ発現ベクタ
ーpAD12(特開平3−164173号公報)を制限
酵素SacIとHindIII で切断し、アルギニンデイ
ミナーゼをコードするDNAフラグメントを精製した。
このフラグメントとプラスミドM13mp19RFを制
限酵素SacIとHindIII で切断したフラグメント
をT4DNAリガーゼにより連結し、J. Messing〔Meth
ods in Enzymology, 101, 21-78 (1983)〕の方法に従っ
て大腸菌JM101を形質転換した。得られたプラーク
から単鎖DNAを調製し、アルギニンデイミナーゼのア
ミノ酸配列の251−252位の塩基配列に存在するE
coRI部位をつぶすために Kukelの方法〔Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA, 82, 488 (1985)〕に従い、変異導
入プライマーを用いて、GAATTC→GAATTTの
ように変異を入れた。このようにして得られた変異アル
ギニンデイミナーゼ遺伝子を含む二重鎖DNAを制限酵
素EcoRIとHindIII で切断して、アルギニンデ
イミナーゼのN−末端10アミノ酸をコードする塩基配
列が欠失したフラグメントを精製した。また、大腸菌発
現ベクターpMK2を制限酵素EcoRIで切断したの
ち、Mung Beanヌクレアーゼにより平滑末端に
し、制限酵素HindIII で切断したベクターフラグメ
ントを調製した。上記2つのフラグメントを連結し、発
現ベクターを作製するために以下に示すN−末端をコー
ドするリンカーDNAを合成した。
【0024】
【化1】
【0025】以上3つのフラグメントをT4DNAリガ
ーゼにより連結し大腸菌JM109株を形質転換し、ア
ルギニンデイミナーゼ発現プラスミドpMKADを得
た。次に、アルギニンデイミナーゼ遺伝子の3′−非翻
訳領域を欠失させるためにプラスミドpMKADを制限
酵素PstIとHindIII で切断し、ベクターフラグ
メントを精製した。
【0026】また、C末端アミノ酸配列をコードするD
NAを以下に示すように4種のDNAに分けて合成し構
築した。
【0027】
【化2】
【0028】4種のDNAを精製したのち、5′−端の
DNAを除く2種のDNAをリン酸化後、アニールし
た。T4DNAリガーゼにより連結し、二重鎖DNAを
得た。これを上記のベクターに連結し、プラスミドpM
K△CADを得た。さらにプラスミドの安定化を考慮
し、テトラサイクリン耐性遺伝子を導入することにし
た。プラスミドpBR322を制限酵素EcoRIとA
vaIで切断し、1.4Kbpのテトラサイクリン耐性
遺伝子フラグメントを精製したのち、クレノー酵素で平
滑末端にした。また、プラスミドpMK△CADを制限
酵素BamHIで切断したのち、クレノー酵素で平滑末
端にしたベクターフラグメントを調製し、両者のフラグ
メントをT4DNAリガーゼにより連結し、大腸菌JM
109株を形質転換し、アルギニンデイミナーゼ遺伝子
と逆方向にテトラサイクリン遺伝子が連結している発現
プラスミドpADTc1を得た。
【0029】
【実施例2】アルギニンデイミナーゼの発現 上記発現プラスミドpADTc1により形質転換された
大腸菌JM101株〔微工研条寄第3617号(FER
M BP−3617)〕を15μg/mlのテトラサイ
クリンを含む2×TY培地(バクトトリプトン16g/
l、バクトイーストエキストラクト10g/l、NaC
l 5g/l)中、37℃で一晩培養した。培養後、1
mlを集菌し、100μlのレムリのサンプル緩衝液に
懸濁し、加熱溶解後、3μlをSDS−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動に供した。泳動後、クマシーブリリア
ントブルーにより染色し、脱色したところ、分子量4
5,000の位置にアルギニンデイミナーゼの発現が認
められた(図2参照)。
【0030】
【実施例3】5l発酵槽中でのアルギニンデイミナーゼ生産菌の発酵 5lの発酵槽において、2lの2%のグリセロールを含
む2×TY培地中で大腸菌JM101/pADTc1
(微工研条第3617号)の細胞を37℃、24時間通
気攪拌培養したところ、アルギニンデイミナーゼの発現
量は全菌体蛋白質の15%に達した。また、菌体の生育
はA660=25であり、培養液1lあたり約150m
gの発現量が得られた。
【0031】
【実施例4】アルギニンデイミナーゼ生産菌からのアルギニンデイミ
ナーゼの精製法(可溶化及び活性再生法 ) 発酵の後、培養液2lを遠心分離(6,000×g、1
0分間)して菌体を回収した。湿菌体を10mMリン酸
緩衝液pH7.0 200mlに懸濁し、超音波処理し
て破菌した。この懸濁液を遠心分離にかけ、不溶性画分
である沈澱を得た。不溶性画分の沈澱を4%Trito
nX−100、10mMリン酸緩衝液、1mM EDT
A pH7.0の溶液200mlで洗浄し、膜画分を可
溶化した。沈澱を10mMリン酸緩衝液pH7.0で洗
浄したのち、6M塩酸グアニジン、50mMトリス−H
Cl(pH8.5)、10mMジチオスレイトールを2
50mlになるように加え室温で可溶化した。これを1
0mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)で100倍
希釈し、10〜20℃で一夜攪拌し、リフォールディン
グさせた。リフォールディング後、4900Uの活性が
得られた。
【0032】
【実施例5】活性化したアルギニンデイミナーゼの精製法 実施例4で得られた希釈液を3.2μmフイルター(ポ
ール社製)を通して濾過した。得られた濾液を10mM
リン酸カリウム緩衝液(pH7.0)で平衡化させたQ
−セファロースFF(ファルマシア社製)カラム(4.
4×2cm)にかけた。適用後、平衡化緩衝液で洗浄
し、0.2M NaClを含む緩衝液で活性型ADを段
階溶出させたところ、4506Uの活性が回収された。
活性画分を10mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.
0)で平衡化したアルギニン−セファロース4B(ファ
ルマシア社製)カラムにかけた。0.2M NaClを
含む平衡化緩衝液で洗浄後、以下に示す条件で溶離し
た。
【0033】カラムの大きさ:2.2×20cm 流 速 :76ml/hr 画分量 :7.6ml 溶出液 :10mMリン酸緩衝液(pH7.0) (0.2〜1.0M塩化ナトリウム濃度勾配)
【0034】得られた各画分について280nmの吸光
度及びアルギニンデイミナーゼ活性を測定した。この結
果を図3及び図4に示す。この結果にみられるように、
アルギニンデイミナーゼは画分30〜52に含まれてい
ることが判明した。最終的に4160Uの活性が得られ
た。上記、活性画分をレムリらの方法〔Nature,
727,680〜685(1970)〕に従ってSDS
−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行ったところ、分
子量45,000の位置に単一バンドとして検出され、
完全に精製された組み換え型アルギニンデイミナーゼが
得られたことが確認された(図5)。精製標品の酵素活
性を測定した結果、比活性は32U/mgであり、マイ
コプラズマ由来のアルギニンデイミナーゼと同等の活性
を有することが判明した。各工程における精製の度合を
表1に示した。
【0035】
【表1】 ──────────────────────────────────── 精製ステップ 全蛋白質 全活性 比活性 収 率 (mg) (U) (U/mg) (%) ──────────────────────────────────── リフォールディング N.D 4900 ─── 100 Q-セファロースFF 140.8 4506 32.0 92 アルギニン−セファロース4B 128.2 4160 32.4 85 ────────────────────────────────────
【0036】
【実施例6】組み換え型アルギニンデイミナーゼの物性値 至適pH範囲は図6に示すように、6.0〜7.0で、
至適反応温度は図7に示すように45〜50℃であっ
た。SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により
測定した結果、分子量は約45,000であった。ま
た、TSK G3000SWXL(東ソー社製)カラム
を用いたゲル濾過HPLC法により測定した結果、分子
量は約90,000であり、二量体を形成していると考
えられた。等電点電気泳動法により等電点を測定した結
果、等電点は約4.7であり、マイコプラズマ由来アル
ギニンデイミナーゼと一致した。アミノ酸組成及びN末
端アミノ酸配列を調べたところ、アミノ酸組成値は表2
に示すようにマイコプラズマ由来アルギニンデイミナー
ゼとほぼ同じ値を示し、N末端配列は表3に示すように
Ser−Val−Pheであり、開始コドンに由来する
Metは完全に除去されていることが確認された。
【0037】
【表2】 アミノ酸組成分析(0.5nmol=22.5μg) ──────────────────────────────────── アミノ酸 マイコプラズマAD リコンビナントAD 理論値 ──────────────────────────────────── Asx 43.6 42.6 47 Thr 17.0 17.1 18 Ser 20.0 20.5 23 Glx 43.2 43.0 44 Gly 23.0 23.0 23 Ala 25.1 25.0 25 Cys 1.0 1.2 2 Val 29.0 29.9 34 Met 9.4 9.6 10 Ile 24.7 25.3 28 Leu 42.4 43.0 43 Tyr 13.5 14.0 14 Phe 17.5 18.0 18 His 10.2 10.5 11 Lys 27.8 28.0 28 Arg 16.3 16.7 17 Pro 18.9 19.5 19 Trp n.d n.d 5 ────────────────────────────────────
【0038】
【表3】 N−末端アミノ酸配列分析 (1nmol=45μg) ──────────────────────────────────── サイクル アミノ酸 含 量(pmol) ──────────────────────────────────── 1 Ser 203 2 Val 916 3 Phe 756 4 Asp 299 5 Ser 186 6 Lys 801 7 Phe 705 8 Lys 333 9 Gly 580 10 Ile 618 ────────────────────────────────────
【0039】
【発明の効果】本発明によるとアルギニンデイミナーゼ
を遺伝子工学によって大量に生産することができる。そ
して得られたアルギニンデイミナーゼはマイコプラズマ
由来のアルギニンデイミナーゼと同等の活性を示し、抗
腫瘍酵素として制癌剤に有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアルギニンデイミナーゼ発現ベクター
の構築方法の概念図を示す。
【図2】大腸菌でのアルギニンデイミナーゼの発現を示
す電気泳動図を示す。
【図3】アフィニティークロマトグラフィーによるそれ
ぞれの画分におけるアルギニンデイミナーゼの活性を示
す。
【図4】図3のそれぞれの画分のアルギニンデイミナー
ゼの発現を示す電気泳動図を示す。
【図5】マイコプラズマ由来のアルギニンデイミナーゼ
と本発明の遺伝子組換え型アルギニンデイミナーゼの精
製標品の電気泳動による純度検定を示す。
【図6】本発明のアルギニンデイミナーゼ活性とpHと
の関係を示す。
【図7】本発明のアルギニンデイミナーゼ活性と温度と
の関係を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI (C12N 9/78 C12R 1:19) (56)参考文献 特開 平3−76579(JP,A) 特開 平3−133383(JP,A) 特開 平3−133381(JP,A) 特開 平3−164173(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/900 C12N 9/00 - 9/99 C12N 1/00 - 1/38 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 tacプロモーターのフラグメント、プ
    ラスミドpUC18の複製開始点(ori)のフラグメ
    ント、テトラサイクリン耐性遺伝子を含むフラグメン
    ト、及びアルギニンデイミナーゼもしくはその類縁体の
    アミノ酸配列をコードするDNAフラグメントが結合し
    ている発現ベクターを大腸菌に形質導入した形質転換微
    生物を培養して、アルギニンデイミナーゼもしくはその
    類縁体を発現させ、培養物から、アルギニンデイミナー
    ゼもしくはその類縁体を採取し、これを塩酸グアニジン
    及び還元剤を含有する溶液で可溶化した後、リン酸カリ
    ウム緩衝液でリフォールディングすることを特徴とする
    活性アルギニンデイミナーゼの製造方法。
  2. 【請求項2】 形質転換微生物が微工研条寄第3617
    号(FERM BP−3617)として寄託されている
    大腸菌である請求項1記載の活性アルギニンデイミナー
    ゼの製造方法。
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