JP2930315B2 - 自転車用内装変速機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は自転車用内装変速機、詳しくは、固定軸にハ
ブ胴及び駆動体を回転自由に支持し、この駆動体からハ
ブ胴に複数の動力伝達系を介して動力を伝達すると共
に、前記動力伝達系をクラッチにより選択して変速する
如く成した内装変速機に関する。

（従来の技術） 従来、此種内装変速機として、特公昭53-14820号公報
に見られるように、前記固定軸に対し回転可能な径の異
なる第１及び第２太陽歯車と、これら太陽歯車を前記固
定軸に対しロック及びロック解除するロック制御機構と
を設けると共に、前記固定軸に、前記クラッチを制御す
る制御部をもち、前記ハブ胴の一端側外方から操作可能
とした第１操作体と、前記ロック制御機構を作動させて
前記第１太陽歯車と第２太陽歯車との一方を固定軸にロ
ックする制御部をもち、前記ハブ胴の他端側外方から操
作可能とした第２操作体とを軸方向移動可能に設け、前
記第１操作体の移動操作により前記クラッチを制御して
前記動力伝達系を選択し、又、前記第２操作体の移動操
作により前記第１、第２太陽歯車の何れか一方を固定し
て多段に変速すべく成したものが提案されている。

（発明が解決しようとする課題） 所が、この従来のものは、二つの操作体を設けて、之
ら操作体を各別に操作するものであるため、変速操作が
面倒で操作性が悪いばかりか、誤操作も多い問題があ
り、更に構造も複雑でコスト高となる問題があった。

本発明は以上の問題点に鑑み発明したもので、目的
は、一つの操作体の回転操作により動力伝達系の選択
と、固定軸に対しロックする太陽歯車の選択とを行うこ
とができるようにするものである。

（課題を解決するための手段） 本発明に係る自転車用内装変速機は、固定軸（１）に
回転自在に支持されたハブ胴（２）に、駆動体（３）か
らの動力を複数の動力伝達径路を介して伝達する自転車
用内装変速機であって、動力伝達部と、第１及び第２ロ
ック爪（73）（74）と、クラッチ（20）と、操作体（8
0）とを備えている。

動力伝達部は固定軸に対して回転可能に装着された径
の異なる第１及び第２太陽歯車（11）（12）を含み、複
数の動力伝達経路を有している。第１及び第２ロック爪
（73）（74）は、第１及び第２太陽歯車（11）（12）の
内周部に揺動自在に保持され、第１及び第２太陽歯車
（11）（12）をそれぞれ固定軸（１）にロックあるいは
ロック解除する。クラッチ（20）は動力伝達部における
動力伝達経路を切り換える。操作体（80）は、クラッチ
（20）を制御する第１制御部（81）と、第１ロック爪
（73）に係合可能であり第１太陽歯車（11）を固定軸
（１）にロックする第２制御部（82）と、第２ロック爪
（74）に係合可能であり第２太陽歯車（12）を固定軸
（１）にロックする第３制御部（83）とを有し、固定軸
（１）の外周に回転可能に支持され、外部から操作可能
である。

（作用） 本発明では、操作体（80）を外部から回転操作するこ
とにより、２つの太陽歯車（11）（12）のロックあるい
はロック解除を行うとともに、クラッチ（20）の制御を
行っている。すなわち、操作体（80）の第１制御部（8
1）によってクラッチ（20）が制御され、これにより動
力伝達経路が切り換えられる。また、操作体（80）の第
２制御部（82）によって第１ロック爪（73）が作動し、
第１太陽歯車（11）が固定軸（１）に対してロックある
いはロック解除される。さらに、操作体（80）の第３制
御部（83）によって第２ロック爪（74）が作動し、第２
太陽歯車（12）が固定軸（１）に対してロックあるいは
ロック解除される。

（実施例） 図面に示した内装変速機は、高速側２段と、中速と、
低速側２段との５段変速を行なえるようにした５段変速
用の内装変速機であって、基本的には、自転車のフレー
ムに固定する固定軸（１）と、この固定軸（１）に回転
自由に支持する円筒状のハブ胴（２）及び駆動体（３）
と、前記ハブ胴（２）に内装され、後記する太陽歯車に
噛合う遊星歯車をもった円筒状のギヤ枠（４）と、前記
ハブ胴（２）に内装され、前記遊星歯車に噛合う内面歯
（51）（52）をもったリングギヤ（５）と、前記駆動体
（３）からの回動力を中継して前記ギヤ枠（４）に伝達
する中継体（６）と、前記駆動体（３）と中継体（６）
との間に起伏可能に設ける第１伝動爪（７）と、前記駆
動体（３）とリングギヤ（５）との間に起伏可能に設け
る第２伝動爪（８）と、前記ハブ胴（２）とリングギヤ
（５）との間に起伏可能に設ける第３伝動爪（９）と、
前記ハブ胴（２）とギヤ枠（４）との間に起伏可能に設
ける第４伝動爪（10）とをもち、前記駆動体（３）から
の動力を、前記ギヤ枠（４）を介してハブ胴（２）に伝
える動力伝達系と、駆動体（３）の動力を、前記ギヤ枠
（４）を経由することなくリングギヤ（５）を介してハ
ブ胴（２）に伝える動力伝達系とを、クラッチ（20）の
操作で選択できるようにしている。

又、前記固定軸（１）の長さ方向中央部には、半径方
向に貫通する長孔内を軸方向に移動可能としたキー（3
0）を設けており、又、前記ハブ胴（２）の内周面に
は、前記第３伝動爪（９）に係合する第１ラチェット
（21）と前記第４伝動爪（10）に係合する第２ラチェッ
ト（22）とを軸方向に所定間隔を置いて設けている。

又、前記駆動体（３）の一端側外周には、駆動チェン
と噛合うチェンギヤ（31）を設け、長さ方向中間部には
前記第２伝動爪（８）を保持すると共に、その内周面に
前記第１伝動爪（７）を保持し、該伝動爪（７）を爪ば
ねで前記中継体方向に付勢しており、又、前記第２伝動
爪（８）は爪ばねで前記リングギヤ（５）の内周面方向
に付勢している。

又、前記ギヤ枠（４）の駆動体側端部内周面には、前
記中継体（６）の一端部外周面に設ける噛合歯（61）と
噛合う内面歯（41）を設け、前記駆動体と反対側端部外
周面には、前記第４伝動爪（10）を保持し、該伝動爪
（10）を爪ばねで前記ラチェット（22）方向に付勢して
いる。

又、前記リングギヤ（５）の駆動体側端部内周面には
前記第２伝動爪（８）と係合するラチェット（52）を設
け、他端部内周面には、前記内面歯（51）を設け、又、
長さ方向中間部に、前記第３伝動爪（９）を保持し、該
伝動爪（９）を爪ばねで前記ラチェット（21）方向に付
勢している。

又、前記中継体（６）の前記駆動体側外周面には、前
記第１伝動爪（７）と係合するラチェット（62）を設け
ると共に、中間部外周面に、軸方向移動時前記第３伝動
爪（９）の爪部の反対側足部と接触して前記第３伝動爪
（９）を制御する制御面を設けている。

又、前記クラッチ（20）は、段部を介して大径部と小
径部とをもった筒状を呈し、その大径部外周の前記伝動
爪（７）と対向する面にカム面を設け、小径部の内周
に、前記キー（30）と係合して回転を阻止する係止部を
設けている。

しかして、外周面に大径の歯をもった円筒状の第１太
陽歯車（11）と、外周面に小径の歯をもった円筒状の第
２太陽歯車（12）とを、前記固定軸（１）の中間部外周
に軸方向に変位して回転自由に設けると共に、前記第１
太陽歯車（11）と噛合する小径の第１遊星歯車（13）
と、前記小径の第２太陽歯車（12）と噛合する大径の第
２遊星歯車（14）とを前記ギヤ枠（４）に回転自由に設
けると共に、前記固定軸（１）の外周面に、第５〜７図
の如く第１規制突起（71）と第２規制突起（72）とを軸
方向に変位して設けると共に、前記第１太陽歯車（11）
の内周面に、前記第１規制突起（71）に係合可能で、か
つ先端が相反する方向に指向する２つの第１ロック爪
（73）を２組設け、前記第２太陽歯車（12）の内周面
に、前記第２規制突起（72）に係合可能で、かつ先端が
相反する方向に指向する２つの第２ロック爪（74）を２
組設けて、前記第１及び第２規制突起（71）（72）と第
１及び第２ロック爪（73）（74）とで、前記太陽歯車
（11）（12）を固定軸（１）に対しロック及びロック解
除するロック制御機構（70）を構成し、前記固定軸
（１）の外周に、前記クラッチ（20）を制御する第１制
御部（81）と前記ロック制御機構（70）を作動させて前
記第１太陽歯車（11）を固定軸（１）にロックする第２
制御部（82）及び前記第２太陽歯車（12）を固定軸
（１）にロックする第３制御部（83）とをもち外部操作
可能とした操作体（80）を回転可能に支持し、この操作
体（80）の回転操作で前記動力伝達系の選択とロック制
御機構（70）によりロックする前記太陽歯車（11）（1
2）の選択とにより多段に変速すべく成したのである。

前記第１太陽歯車（11）と第２太陽歯車（12）とは、
相対回転自由になっており、又、これら太陽歯車の内周
面に保持する前記各ロック爪（73）（74）は、爪ばねで
前記固定軸（１）の外周面方向に付勢されている。尚、
これらロック爪（73）（74）は１組であってもよい。

又、第１及び第２遊星歯車（13）（14）は、一体に形
成して、１本の軸を介して前記ギヤ枠（４）に支持し、
第１遊星歯車（13）を前記リングギヤ（５）の内面歯
（51）に噛合させている。

又、前記操作体（80）は、前記固定軸（１）の一端部
から該固定軸の第２規制突起（72）形成部位に亘って延
びる長さに形成して、前記固定軸（１）の外周に角回転
自由に嵌合するのであって、その一端部には、操作ワイ
ヤの一端を掛止する掛止部をもった円板状の操作部（8
4）を設け、他端側には前記第２及び第３制御部（82）
（83）を設け、又、中間部には前記第１制御部（81）
と、前記キー（30）を受入れる長孔状の挿通孔（85）と
を設けている。

前記第１制御部（81）は、第15図の如く同一軌跡で周
方向に変位する第１カム面（81a）と該第１カム面（81
a）の先端から軸方向に向かって周方向に変位する第２
カム面（81b）と、該第２カム面の先端から段部（81c）
を介して軸方向に向かって周方向に変位する第３カム面
（81d）と、同一軌跡で周方向に変化する第４カム面（8
1e）とから成り、前記操作部をもった筒状本体（80a）
とは別個に形成されている。具体的には、半径方向に延
びる円板状フランジと該フランジの外周部一側から軸方
向に延びる筒部とをもった筒状部材で形成し、この筒状
部材のフランジ内周面に、前記筒状本体（80a）の後記
するホーク部（80g）に嵌合する嵌合溝（86）（86）を
対向状に２つ設けて前記筒状本体（80a）に対し回転不
能に結合している。

又、前記第２及び第３制御部（82）（83）は、前記筒
状本体（80a）の一部を欠除して軸方向に延びる突起状
に形成するのである。具体的には、第２、８〜12図の如
く前記筒状本体（80a）の先端部に、周方向に延びる周
方向溝（80b）と該周方向溝から前記操作部（84）方向
に延びる複数個の軸方向溝（80c）とを設けて、これら
溝（80b）（80c）間の突起部分を前記第２制御部（82）
とし、前記筒状本体（80a）の先端縁から前記操作部（8
4）方向に延びる複数個の軸方向溝（80d）を設けて、こ
の溝（80d）間の突起部分を前記第３制御部（83）と
し、前記周方向溝（80b）から前記先端縁に亘って延び
る連通溝（80e）を設けて、この連通溝（80e）を介して
前記第１規制突起（71）を前記周方向溝（80b）に位置
させるようにしている。そして、前記周方向溝（80b）
に前記第１規制突起（71）を受入れて、第２、３図の如
くこれら第１規制突起（71）と第２制御部（82）とが軸
方向に並び、又、筒状本体（80a）の先端縁外方に前記
第２規制突起（72）を配置して、これら第２規制突起
（72）と第３制御部（83）とが第２、３図の如く軸方向
に並ぶようにして、前記第１ロック爪（73）を、前記第
１規制突起（71）と第２制御部（82）とに係合可能と
し、前記第２ロック爪（74）を、前記第２規制突起（7
2）と第３制御部（83）とに係合可能とするのである。
そして、前記第２及び第３制御部（82）（83）の前記各
規制突起（71）（72）に対する周方向位置を変えること
により第４図（Ａ）〜（Ｅ）の如く前記各ロック爪（7
3）（74）を制御するのである。

又、前記操作体（80）の操作部（84）側は、第８、1
3、14図の如く前記筒状本体（80a）に、軸方向に延びる
二つの割溝（80f）を対抗状に設けてホーク状に形成
し、このホーク部（80g）の中間部内側に前記固定軸
（１）に設ける段部（1a）と当接して操作体（80）の軸
方向移動を規制する当たり（80h）を設けている。

そして、前記駆動体（３）を固定軸（１）に支持する
ボールの玉押し（15）内周面に、第16図の如く周方向に
向かって延びるガイド溝（15a）を設けて、前記ホーク
部（80g）を、前記嵌合溝（86）を介して前記ガイド溝
（15a）に挿通し、玉押し（15）に対し前記操作体（8
0）を角回転可能にするのである。尚、前記玉押し（1
5）は前記固定軸（１）に対し軸方向にのみ移動可能に
嵌合している。

又、前記操作部（84）は、前記筒状本体（80a）と別
個に形成して、その内周面に、第18図の如く嵌合溝（87
a）をもった一対の突起（87）を設け、この突起の嵌合
孔（87a）に前記ホーク部（80g）の先端部を嵌合してい
る。又、この操作部（84）の内側には、前記突起（87）
を案内する周方向のガイド溝（16a）をもった間座（1
6）を設け（第17図参照）、この間座（16）を前記固定
軸（１）に対し軸方向にのみ移動可能に嵌合している。

又、図示した実施例では、前記駆動体（３）と前記中
継体（６）との間に、前記駆動体（３）の逆回動時、そ
の回動力を前記中継体（６）からギヤ枠（４）に伝達す
る第５伝動爪（17）を起伏可能に設け、前記ハブ胴
（２）の内周に制動面（23）を設けると共に、前記ギヤ
枠（４）の端部外周にカム面（42）を設け、このカム面
（42）と前記制動面（23）との間に転動体を介してブレ
ーキシュー（18）を半径方向に移動可能に設け、前記駆
動体（３）の逆回動で前記シュー（18）を作動させて制
動できるようにしている。尚、この場合、前記駆動体
（３）の逆回動で、前記第５伝動爪（17）が、中継体
（６）の中間部外周面に設ける逆送り歯と係合したと
き、前記駆動体（３）に保持した第２伝動爪（８）の爪
先と対向側端部が前記第５伝動爪（17）に当接して、第
２伝動爪（８）は倒伏し、駆動体（３）とリングギヤ
（５）との間の動力伝達経路を遮断するようにしてい
る。

尚、図中（19）は前記操作体（80）を復帰回転させる
リターンばね、（40）は前記クラッチ（20）を復帰移動
させるリターンばねであって、該リターンばね（40）に
より前記クラッチ（20）をキー（30）を介して前記第１
制御部（81）に係合させている。又、（50）は前記中継
体（６）を復帰移動させるリターンばね、（60）は前記
ハブ胴（２）の内周面に回転不能に保持して、前記駆動
体（３）の逆回動時、前記第３伝動爪（９）を倒伏制御
する制御リングである。

本発明は以上の如く構成するもので、次に変速動作を
中心としたその作動を説明する。

第１図に示した状態は、クラッチ（20）及び中継体
（６）が最右方の位置にあり、ロック制御機構（70）の
第１ロック爪（73）が第２制御部（82）により制御され
て第１規制突起（71）と係合し（第４図（Ａ）参照）、
第１太陽歯車（11）の回転をロックしている最高速の高
速２段の場合であって、第１伝動爪（７）は中継体
（６）のラチェット（62）と噛合って、駆動体（３）か
らの動力は、前記第１伝動爪（７）、中継体（６）を介
してギヤ枠（４）に伝わっている。そして、このギヤ枠
（４）に伝わった動力は、第１遊星歯車（13）を介して
リングギヤ（５）に伝わり第１ラチェット（21）に係合
する第３伝動爪（９）を介して高速２段のもとにハブ胴
（２）を駆動するのである。

この場合、前記第２遊星歯車（14）は、第１遊星歯車
（13）と同方向に回転することになるが、この第２遊星
歯車（14）から第２太陽歯車（12）に伝わる回転速度
は、第１遊星歯車（13）からリングギヤ（５）に伝わる
回転速度よりも低速であるため、第４図（Ａ）の如く前
記第２太陽歯車（12）は第１太陽歯車（11）がうける作
用方向と反対方向に回転することになり、第２太陽歯車
（12）はロックされないのである。又、この変速体制
時、前記第２伝動爪（８）は、リングギヤ（５）のラチ
ェット（52）と係合するこになるが、駆動体（３）から
第２伝動爪（８）を介してリングギヤ（５）に伝わる回
転速度よりも前記ギヤ枠（４）からリングギヤ（５）に
伝わる回転速度の方が速いので、前記第２伝動爪（８）
は滑動するだけである。

次にこの高速２段体制から高速１段体制に切換えるに
は、操作体（80）を回転操作して、第４図（Ｂ）の如く
第３制御部（83）により、ロック制御機構（70）の第２
ロック爪（74）を第２規制突起（72）と係合させ、第２
太陽歯車（12）の回転をロックするのであり、又、第２
制御部（82）により、前記第１ロック爪（73）の前記第
１規制突起（71）との係合を離脱し、第１太陽歯車（1
1）のロックを解除するのである。従って、前記第１伝
動爪（７）、中継体（６）、ギヤ枠（４）に伝わった動
力は、第２遊星歯車（14）、リングギヤ（５）、第３伝
動爪（９）を介して高速体制のもとにハブ胴（２）に伝
わり高速回転させるのである。尚、この場合、第１制御
部（81）と係合するキー（30）は、第１制御部（81）の
第１カム面（81a）に沿って周方向に変位するだけで、
前記クラッチ（20）は、軸方向に移動しないのである。
又、この変速体制時、前記第２伝動爪（８）は、リング
ギヤ（５）のラチェット（52）と係合することになる
が、前記の場合と同様駆動体（３）から第２伝動爪
（８）を介してリングギヤ（５）に伝わる回転速度より
も前記ギヤ枠（４）からリングギヤ（５）に伝わる回転
速度の方が速いので、前記第２伝動爪（８）は滑動する
だけである。

又、この高速１段体制から中速体制に切換えるには、
操作体（80）を更に回転操作して、第１制御部（81）の
第２カム面（81b）により前記クラッチ（20）をギヤ枠
（４）方向に移動させて該クラッチのカム面により前記
第１伝動爪（７）を倒伏し、駆動体（３）から中継体
（６）への動力伝達を遮断して、駆動体（３）の動力
を、第２伝動爪（８）、リングギヤ（５）、第３伝動爪
（９）を介して中速体制のもとにハブ胴（２）に伝わり
中速回転させるのである。この場合、第４図（ｃ）の如
く、第３制御部（83）により、ロック制御機構（70）の
第２ロック爪（74）を第２規制突起（72）と係合させ、
第２太陽歯車（12）の回転をロックしており、又、第２
制御部（82）により前記第１ロック爪（73）の前記第１
規制突起（71）との係合は離脱されており、第１太陽歯
車（11）のロックは解除されている。

又、前記クラッチ（20）の中間段部は前記中継体
（６）の端縁と当接している。

又、この中速体制から低速１段体制に切換えるには、
操作体（80）を更に回転操作して、第１制御部（81）の
第３カム面（81d）により前記クラッチ（20）を更にギ
ヤ枠（４）方向に移動させると共に、第３制御部（83）
により、第４図（Ｄ）の如くロック制御機構（70）の第
２ロック爪（74）を第２規制突起（72）と係合させ、第
２太陽歯車（12）の回転をロックするのであり、又、第
２制御部（82）により、前記第１ロック爪（73）の前記
第１規制突起（71）との係合を離脱し、第１太陽歯車
（11）のロックを解除するのである。従って、前記クラ
ッチ（20）の移動により中継体（６）がギヤ枠（４）方
向に移動し、この中継体（６）の外周制御面により前記
第３伝動爪（９）が倒伏し、リングギヤ（５）からハブ
胴（２）への動力伝達が遮断して、駆動体（３）の動力
は、第２伝動爪（８）、リングギヤ（５）、第２遊星歯
車（14）、ギヤ枠（４）、第４伝動爪（10）を介して低
速１段体制のもとにハブ胴（２）に伝わり低速回転させ
るのである。

この場合、前記第１遊星歯車（13）は、第２遊星歯車
（14）と同方向に回転することになるが、この第１遊星
歯車（13）から第１太陽歯車（11）に伝わる回転速度
は、リングギヤ（５）から第２遊星歯車（14）に伝わる
回転速度よりも低速であるため、前記第２太陽歯車（1
2）がうける作用方向と反対方向に回転することにな
り、第１太陽歯車（11）はロックされないのである。

次にこの低速１段体制から低速２段体制に切換えるに
は、操作体（80）を更に回転操作して、第２制御部（8
2）により、第４図（Ｅ）の如くロック制御機構（70）
の第１ロック爪（73）を第１規制突起（71）と係合さ
せ、第１太陽歯車（11）の回転をロックするのであり、
又、第３制御部（83）により、前記第２ロック爪（74）
の前記第２規制突起（72）との係合を離脱し、第２太陽
歯車（12）のロックを解除するのである。従って、前記
駆動体（３）から第２伝動爪（８）を介してリングギヤ
（５）に伝わった動力は、リングギヤ（５）から、第１
遊星歯車（13）、ギヤ枠（４）、第４伝動爪（10）を介
して低速２段体制のもとにハブ胴（２）に伝わり最低速
回転させるのである。尚、この場合、第１制御部（81）
と係合するキー（30）は、第１制御部（81）の第３カム
面（81d）と連続する第４カム面（81e）に沿って周方向
に変位するだけで、前記クラッチ（20）は、軸方向に移
動しないのである。

以上説明した伝動体制を端的にまとめると、次表の如
くなる。但し、この表において、○印は爪が作用してい
る状態、×印は爪の不作用状態、即ちクラッチ（20）及
び制御部（81）〜（83）により係合離脱している状態、
又、△印は爪の係合関係はあるが速度差により滑動して
いる状態にあることを示している。

尚、以上説明した実施例では、高速側２段と、中速
と、低速側２段との５段変速を行なえるようにした５段
変速用について説明したが、本発明の変速機は、例え
ば、前記高速側２段と、中速との３段変速、又は前記低
速側２段と中速との３段変速、又は前記高速側２段と低
速側２段との４段変速を行えるようにしてもよいのであ
る。

（発明の効果） 以上のように本発明では、１つの操作体でクラッチ
（20）の操作とロックする太陽歯車（11）（12）の選択
とを行うことができる。

また、操作体（80）とロック爪（73）（74）とを直接
係合させているので、またロック爪（73）（74）を太陽
歯車の内周部に保持させているので、装置を小型化でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明装置の一実施例を示す一部切欠正面図、
第２図は操作体の制御部及びロック制御機構部分のみの
斜視図、第３図はその断面図、第４図は操作体とロック
制御機構との関係を示す説明図、第５図は固定軸のみの
一部省略正面図、第６図は第５図Ａ−Ａ線断面図、第７
図は第５図Ｂ−Ｂ線断面図、第８図は操作体の断面図、
第９図は第８図Ｃ−Ｃ線断面図、第10図は第８図Ｄ−Ｄ
線断面図、第11図は第８図Ｅ−Ｅ線断面図、第12図は第
８図Ｆ−Ｆ線断面図、第13図は第８図Ｇ−Ｇ線断面図、
第14図は第８図Ｈ−Ｈ線断面図、第15図は第１制御部の
みの斜視図、第16図は玉押しのみの斜視図、第17図は間
座のみの斜視図、第18図は操作部部分のみの斜視図であ
る。 （１）……固定軸 （２）……ハブ胴 （３）……駆動体 （11）……第１太陽歯車 （12）……第２太陽歯車 （20）……クラッチ （70）……ロック制御機構 （80）……操作体 （81）……第１制御部 （82）……第２制御部 （83）……第３制御部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】固定軸（１）に回転自在に支持されたハブ
   胴（２）に、駆動体（３）からの動力を複数の動力伝達
   系を介して伝達する自転車用内装変速機であって、 前記固定軸に対して回転可能に装着された径の異なる第
   １及び第２太陽歯車（11）（12）を含み、複数の動力伝
   達経路を有する動力伝達部と、 前記第１及び第２太陽歯車（11）（12）の内周部に揺動
   自在に保持され、前記第１及び第２太陽歯車（11）（1
   2）をそれぞれ前記固定軸（１）にロックあるいはロッ
   ク解除するための第１及び第２ロック爪（73）（74）
   と、 前記動力伝達部における動力伝達経路を切り換えるため
   のクラッチ（20）と、 前記固定軸（１）の外周に回転可能に支持され、外部か
   ら操作可能な操作体（80）とを備え、 前記操作体（80）は、前記クラッチ（20）を制御する第
   １制御部（81）と、前記第１ロック爪（73）に係合可能
   であり前記第１太陽歯車（11）を前記固定軸（１）にロ
   ックする第２制御部（82）と、前記第２ロック爪（74）
   に係合可能であり前記第２太陽歯車（12）を前記固定軸
   （１）にロックする第３制御部（83）とを有している、 自転車用内装変速機。