JP2905725B2 - トマト由来の食品組成物 - Google Patents

トマト由来の食品組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はトマト由来の食品組
成物に関し、詳しくは血圧上昇抑制作用を有し、且つト
マトの良好な風味を保持したトマト由来の食品組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、遺伝子レベルで高血圧症とレニン
・アンジオテンシン系との関連を示唆する報告がでる
等、高血圧症の要因の一つとしてアンジオテンシン変換
酵素(以下、「ACE」と略す)作用の異常が挙げられ
るようになった。ACEは、主に2つの血圧調節系に関
与して昇圧作用を示す酵素であるが、この酵素が異常に
作用すると高血圧症を誘発するとされる。そこで、この
ようなACEの昇圧作用を阻害する物質を投与すること
により高血圧症を改善しようとする試みがなされ、現在
では、ACE阻害薬は既に、臨床的にも高血圧症の治療
に用いられており、目立った副作用もないことから全高
血圧治療薬に占める割合も増加している。
【0003】一方、食品の第三次機能としての生体調節
機能の解明が様々な食品についてなされ、その過程にお
いて食品やその酵素消化物中から多くの生理活性物質が
見出されてきているが、アッセイ法の簡便さも手伝って
か、上記のようなACE阻害物質を単離する報告も数多
くなされている。また、このような食品等から得られた
ACE阻害物質の中には、高血圧症のモデル動物への投
与で効果が確認されているものもあり、このような特徴
を利用した機能性食品の開発もなされている。
【0004】しかし、トマトがACE阻害作用を有する
物質を含有することは知られておらず、またトマトから
ACE阻害物質を含有する成分を取り出して、高血圧症
を改善する機能性食品として利用した報告もない。
【0005】ところで、近年、トマト由来の機能性食品
もいくつか研究開発され、その機能として血圧上昇抑制
作用を有する食品も開発されている。例えば、特開平3
−224467号公報に記載されているトマト由来の機
能性食品等がこれである。しかし、上記発明は、完熟ト
マト処理物にグルタミン酸脱炭酸酵素を作用させて、完
熟トマトに含有するグルタミン酸の一部を血圧上昇抑制
作用を有するγ−アミノ酪酸にしたものであって、γ−
アミノ酪酸の含有量を増加させることにより血圧上昇を
抑制する作用を有するというものであり、トマト本来の
成分中に上記ACE阻害作用を有する物質が存在し、こ
れが血圧上昇抑制作用に関与する旨の記載はない。ま
た、この発明では、γ−アミノ酪酸の含有量を増加させ
る代わりにトマトの良好な風味を醸し出しているグルタ
ミン酸の含有量を減少させるので、得られた機能性食品
においてはトマトの良好な風味が十分でないという問題
があった。そこで、トマトの良好な風味を保持しなが
ら、血圧の上昇を抑制する作用を有するようなトマト由
来の食品組成物の開発が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記観点か
らなされたものであり、血圧上昇抑制作用を有し、且つ
トマトの良好な風味を保持したトマト由来の食品組成物
を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意研究を行った結果、トマト果実中に
ACE阻害作用を有する物質が存在することを見出し、
トマト搾汁液の漿液及び/又はその濃縮物がトマトの良
好な風味を保持した状態で得られ、これらが実際に血圧
上昇を抑制する作用を有すること、更に、トマト搾汁液
の漿液から得られる分子量4000以下の水溶性化合物
がACE阻害物質をより高濃度に含有すし、血圧上昇抑
制作用に優れることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0008】すなわち本発明は、トマト搾汁液の漿液及
び/又はその濃縮物を有効成分として含有する血圧上昇
抑制作用を有する食品組成物及びトマト搾汁液の漿液に
含まれる分子量4000以下の水溶性化合物を有効成分
として含有する血圧上昇抑制作用を有する食品組成物で
ある。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
血圧上昇抑制作用を有する食品組成物は、トマト搾汁液
の漿液及び/又はその濃縮物を有効成分として含有す
る。あるいは、トマト搾汁液の漿液に含まれる分子量4
000以下の水溶性化合物を有効成分として含有する。
トマトの果実中には、ACE阻害作用を有する物質が存
在しており、これを例えば高血圧症の人に投与すれば、
その体内でこの物質がACEの昇圧作用を阻害し高血圧
が改善されるものと推定される。従って、完熟した生の
トマトそのもの、あるいはこれを細かく粉砕したもの、
トマト搾汁液等もACE阻害物質による血圧上昇抑制作
用を有するが、血圧上昇抑制作用を効果的に引き出すに
は、トマト搾汁液から遠心分離等により前記ACE阻害
物質を高濃度に含有する漿液を取り出し、更に必要に応
じてこれを濃縮して本発明の食品組成物の有効成分とし
て用いることが好ましい。また、上記トマト搾汁液の漿
液からACE阻害物質をより高濃度に含有する成分とし
て分子量4000以下の水溶性化合物を取り出して、本
発明の血圧上昇抑制作用を有する食品組成物の有効成分
として用いることも可能である。
【0010】ここで、トマト果実から前記ACE阻害物
質含有のトマト搾汁液漿液を得る方法であるが、まず、
通常の方法に従いトマト果実からトマト搾汁液を得る。
搾汁液を得る具体的な方法としては、洗浄及び選別した
生トマトをクラッシャー等を用いて破砕し、チューブヒ
ータ等で加熱して殺菌および酵素失活を行った後、エク
ストラクター等を用いて搾汁する、あるいは、パルパー
・フィニッシャー等を用いて搾汁する等の方法が挙げら
れる。
【0011】次に、上記搾汁液からACE阻害物質を含
有する漿液を得る方法としては、上記搾汁液を遠心分離
器にかけて高分子量沈殿物と漿液に分離する方法が適当
である。遠心条件は、1000〜15000G、好まし
くは10000〜15000Gで、遠心時間は8〜12
分が好ましい。また、更に必要に応じて、このようにし
て得られたトマト漿液を加熱濃縮する、あるいは逆浸透
膜により濃縮することにより、ACE阻害物質含有濃度
が高いトマト漿液濃縮液を得ることができる。ここで、
濃縮倍率については、これを配合する組成物の剤形等を
考慮して適宜選択することが可能である。例えば、トマ
ト搾汁液漿液の濃縮物を、飲食品に用いる場合には、濃
縮の割合は2〜8倍が好ましく、4〜6倍に濃縮するこ
とがより好ましい。濃縮の倍率が小さいと血圧上昇作用
が十分でない場合があり、また濃縮倍率を大きくし過ぎ
ると酸味が強くなり飲食品の食味を損なうことがある。
【0012】また、上記トマト漿液から更にACE阻害
物質をより高濃度に含有する分子量4000以下の水溶
性化合物を取り出す方法としては、トマト漿液を排除限
界分子量約4000の透析膜、例えば、スペクトラムポ
ア/3(スペクトラムメディカルインダストリー社製)
等を用いて5〜20倍量の水に対して12〜24時間程
度の透析を行う方法が挙げられる。分子量4000以下
の水溶性化合物は透析外液中に含まれるので、透析外液
を減圧濃縮等の処理後、本発明の食品組成物に配合する
ことができるが、必要に応じて、得られた(濃縮)透析
液をゲル濾過カラムクロマトグラフィー等で脱塩したも
の、更にこれを減圧濃縮したもの等を本発明の食品組成
物に配合することも可能である。
【0013】この様にして得られるトマト搾汁液の漿液
及び/又はその濃縮物は、ACE阻害物質をトマト果実
やトマト搾汁液に比べて高濃度に含有するものであり、
また、トマト搾汁液の漿液に含まれる分子量4000以
下の水溶性化合物は、トマト搾汁液の漿液及び/又はそ
の濃縮物に比べてACE阻害物質を高濃度に含有するも
のである。更に、これらを製造する過程においてトマト
の有する風味を損なうことがないので、得られるトマト
搾汁液の漿液及び/又はその濃縮物、あるいはトマト搾
汁液の漿液に含まれる分子量4000以下の水溶性化合
物は、良好なトマト風味を十分に有するものである。
【0014】本発明の食品組成物は、上記トマト搾汁液
の漿液及び/又はその濃縮物、あるいはトマト搾汁液の
漿液に含まれる分子量4000以下の水溶性化合物を含
むものであり、これに含まれるACE阻害物質による血
圧上昇抑制作用を有し、且つ、トマトの良好な風味を十
分に保持するものである。
【0015】本発明の食品組成物に、この様なトマト搾
汁液の漿液及び/又はその濃縮物、あるいはトマト搾汁
液の漿液に含まれる分子量4000以下の水溶性化合物
を配合する場合、種々の食品へ、食品で通常用いられる
任意成分と共に配合することができる。例えば、クラッ
カー、ケーキ、クッキー、ゼリー等の菓子類やジュー
ス、野菜飲料、アルコール飲料等のドリンク類、パン等
の主食、ソース類、ケチャップ等の調味料等が挙げられ
る。
【0016】また、本発明の食品組成物は、健康食品、
健康飲料として通常用いられている各種形態、例えば、
散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液剤等も含むもので
あり、これらの製剤化に際しては、賦形剤、結合剤、崩
壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、増量剤、被覆剤等の通常、
健康食品、健康飲料の製剤化に用いられる任意成分を任
意の量、配合することが可能であり、これらは上記製剤
を一般に製造する方法と同様の製法で製造することがで
きる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明
する。 (1)トマト健康飲料(トマト漿液、トマト漿液の8倍
濃縮液) トマト搾汁液は、トマトジュース製造の常法に従い調製
した。すなわち、洗浄及び選別した生トマトをクラッシ
ャーを用いて破砕し、チューブヒータで約70℃の予熱
を行い殺菌および酵素失活を行った後、エクストラクタ
ーを用いて搾汁した。その後、搾汁液を約120℃で約
50秒間加熱して殺菌し、得られたトマト搾汁液の一部
を後述の血圧上昇抑制試験用として凍結保存した。
【0018】上記で得られたトマト搾汁液に対して12
000G、8分間の遠心分離処理を行い、トマト搾汁液
の漿液を得た。このトマト漿液を本発明のトマト健康飲
料として、その一部を後述の血圧上昇抑制試験用に凍結
保存した。
【0019】次に、得られたトマト漿液を可溶性固形分
の濃度として8倍に減圧加熱濃縮し、これを本発明の別
のトマト健康飲料として凍結保存した。また、この様に
して得られたトマト漿液又はその8倍濃縮液よりなる本
発明のトマト健康飲料は、トマトの風味を十分に保持し
ていた。
【0020】(2)トマト健康飲料(トマト漿液の低分
子画分) まず、上記(1)と同様にしてトマト搾汁液の漿液を製
造した。得られたトマト漿液をスペクトラムポア/3
(排除限界分子量約4000、スペクトラムメディカル
インダストリー社製)を用いて9倍量の水に対して一晩
の透析を行い、透析外液をゲル濾過クロマトグラフィー
にかけて脱塩した。この溶液を減圧加熱濃縮し、トマト
漿液に含まれる分子量4000以下の水溶性化合物を本
発明のトマト健康飲料として得た。また、このトマト漿
液の低分子画分よりなる本発明のトマト健康飲料はトマ
トの風味を十分に保持するものであった。
【0021】上記(1)で得られたトマト搾汁液及び本
発明のトマト健康飲料であるトマト漿液、トマト漿液の
8倍濃縮液、更に(2)で得られた本発明のトマト健康
飲料であるトマト漿液に含まれる分子量4000以下の
水溶性化合物を用いて以下の方法で、ACE阻害作用お
よび血圧上昇抑制作用を評価した。
【0022】
【実施例1】 ACE阻害作用 本発明のトマト由来の食品組成物は、ACEの昇圧作用
を阻害する作用を有し、これにより血圧上昇を抑制する
ものである。ACEは、主に2つの血圧調節系に関与
し、昇圧作用を示す酵素である。一つはアンジオテンシ
ノーゲンからレニンにより生成されるアンジオテンシン
I(昇圧作用なし)のC末端ジペプチド(His−Le
u)を切断し強力な昇圧ペプチドであるアンジオテンシ
ンIIを生成する系であり、もう一つは、内因性の降圧
ペプチドであるブラジキニンを切断し不活性化させる系
であるが、本発明に用いるトマト由来の成分が、アンジ
オテンシンIからアンジオテンシンIIを生成する系を
阻害して昇圧ペプチドであるアンジオテンシンIIの生
成を抑制することで、ACEの昇圧作用を阻害すること
を示す実験結果について説明する。
【0023】1)イン・ビトロでの試験 用いた試薬は、0.15Mホウ酸緩衝液、酵素溶液とし
てACE(シグマ社製)を0.1unit/mLの濃度
で含有するホウ酸緩衝液、基質溶液として(−)−ヒッ
プリル−L−ヒスチジル−L−ロイシン・n水和物(和
光純薬(株)製)を4.02mg/mLの濃度で含有す
るホウ酸緩衝液(350mMのNaCl含有)であっ
た。また、試験に用いたACE阻害サンプルは、上記
(1)で得られたトマト漿液及び(2)で得られたトマ
ト漿液に含まれる分子量4000以下の水溶性化合物で
あった。
【0024】まず、ACE阻害サンプル80μL、酵素
溶液20μL、基質溶液100μLを氷冷下で試験管内
で混ぜ、37℃にて50分間の酵素反応を行った。これ
に、1N塩酸(氷冷)250μLを加えて反応停止を行
い、次いで、酢酸エチル1.5mLを加えて撹拌後、遠
心分離(3000rpm、5分)し、酢酸エチル層を1
mL試験管に分取した。これを加熱し、酢酸エチルを蒸
発・乾固後、1.25mLの水に溶解し、228nmの
吸光度を測定した。
【0025】酵素活性の評価は、ACE阻害サンプルの
代わりにホウ酸緩衝液を添加した場合の酵素活性に対す
る阻害率を算出することで行った。すなわち、ACE阻
害サンプルを加えた時の吸光度をS、AEC阻害サンプ
ルの代わりにホウ酸緩衝液を添加した場合の値をC、酵
素溶液の代わりにホウ酸緩衝液で反応させたときの値を
Bとすると、ACE阻害サンプルの阻害率は以下の式で
導かれる。
【0026】
【数1】 阻害率(%)=((C−S)/(C−B))*100 この式により求められた上記(1)で得られたトマト漿
液及び(2)で得られたトマト漿液に含まれる分子量4
000以下の水溶性化合物(共にアッセイ系での最終濃
度)のイン・ビトロでのACE阻害活性を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】この結果から、上記(1)で得られたトマ
ト漿液及び(2)で得られたトマト漿液に含まれる分子
量4000以下の水溶性化合物はともにイン・ビトロで
のACE阻害活性に優れることがわかった。また、両サ
ンプルの50%阻害濃度より、トマト漿液に比べトマト
漿液に含まれる分子量4000以下の水溶性化合物の方
がACE阻害活性が100倍以上強いことがわかった。
【0029】2)イン・ビボでの試験 上述のようにACEは、非活性状態のアンジオテンシン
I(以下、「ANGI」と略す)を、血圧上昇作用を持
つANGIIに変換する酵素である。従って、ANGI
を静脈投与すると、血中のACEによってANGIIに
変換され、血圧が上昇する。ところが予めACE阻害剤
を投与しておくと、ANGIを投与しても血圧が上がら
なくなる。この現象をラット(ウィスター系、体重30
0g、雄(清水実験材料))を用いて観察した。ACE
阻害物質としては、上記(2)で得られたトマト漿液に
含まれる分子量4000以下の水溶性化合物を用いた。
【0030】具体的な実験方法を説明すると、まず、ラ
ットに生理食塩水200μLを投与し、この時に血圧が
変化しないことを確認した後、ラットにANGI(10
0〜150ng/kg)を投与した。この時の血圧上昇
値がコントロールとなるが、10〜20mmHg上昇が
望ましく、この値をプレコントロールとした。次にAC
E阻害物質を150μL投与し、更にANGI(100
〜150ng/kg)を投与する。この時の血圧上昇値
をトライアルとして、最初にANGIを投与したときの
血圧上昇と比較した。ACE阻害物質が作用していれ
ば、このトライアルはプレコントロールに比べ小さい値
となる。その後、更にANGI(100〜150ng/
kg)を投与し、この時の血圧上昇値をポストコントロ
ールとした。この時、ACE阻害物質が代謝されてしま
っていれば、この時の血圧上昇値ポストコントロールは
最初にANGIを投与したときの血圧上昇値とほぼ同じ
であると考えられる。
【0031】ここで上記実験において、ラットの血圧
は、麻酔下(ウレタン麻酔、1.0〜1.5g/kg)
で左頚動脈にカテーテルを挿入し、血管内の脈圧を、圧
トランスデューサー(DT−12、(ビゴ・スペクトラ
ムド社製))を介して連続的に測定された。また、AN
GIやACE阻害物質の投与方法は、大腿静脈に挿入し
たカテーテルから投与し、投与速度は100μL/mi
nとし、1回の投与量は200μL以下にとどめた。
【0032】この実験を5回行い、プレコントロール、
トライアル、ポストコントロールとして得られた血圧上
昇値の平均値をそれぞれ求めた。これらの値からプレコ
ントロールの平均値を100としたときの他の血圧上昇
平均値の相対値を計算した。結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】この結果から明らかなように、トライアル
の血圧上昇値がプレコントロール、ポストコントロール
の血圧上昇値に比べ約60%程度と低く、従って上記
(2)で得られたトマト漿液に含まれる分子量4000
以下の水溶性化合物はイン・ビボでのACE阻害活性に
も優れることがわかった。
【0035】
【実施例2】 血圧上昇抑制作用 上記(1)で得られたトマト搾汁液及び8倍濃縮トマト
漿液を等量の水で希釈した4倍濃縮トマト漿液(本発明
のトマト健康飲料)を自然発症性高血圧ラットに投与し
てその効果を評価した。尚、評価に用いた自然発症性高
血圧ラットは、高血圧症のモデル動物として一般的であ
り、5〜6週齢で発症して血圧が上昇し始め、その後1
2〜14週齢で平衡状態に達することが知られている。
【0036】4週齢の自然発症性高血圧ラット(SH
R)21匹を購入(星野試験動物飼育所)し、2週間の
予備飼育を行った後、最高血圧(収縮期血圧、以下「S
BP]と略す)を測定し、この平均値が群間でほぼ等し
くなるように7匹ずつ3群に分けた(体重の平均もでき
るだけ揃えた)。
【0037】予備飼育中は飲料として水を自由に摂取さ
せておいたが、群分け後、3つの群のうちの2群には、
上記(1)で得られたトマト搾汁液及び8倍濃縮トマト
漿液を等量の水で希釈した4倍濃縮トマト漿液をそれぞ
れ飲料として与え、残りの1群はコントロール群として
水を飲料として与えた。これら飲料は全て自由に摂取さ
せ、摂取量は給水瓶の重さで測定した。また、飼料は、
オリエンタル酵母(株)のMF固形飼料を予備飼育から
試験終了まで通じて自由摂取させた。予備飼育期間中は
1ケージ4匹で、群分け後は、1ケージ2匹で飼育し
た。飼育室の温度は25℃に保ち、昼夜は12時間サイ
クル(6:00〜18:00の間点灯)とした。試験
は、予備飼育終了後から6週間行った。尚、上記のよう
な自由摂取でSHRが摂取したトマト搾汁液あるいはト
マト搾汁液漿液の4倍濃縮液の量は、一匹当たり一日約
30gであった。
【0038】上記のように飼育しながらSHRの血圧を
1週間に1度非観血法により測定した。非観血法とは、
ラットの尾動脈の血流を光センサーにて検知して血圧を
測定する方法である。すなわち、尾動脈をカフで徐々に
加圧してゆき、血流が検知できなくなる圧力を測定す
る。この時の圧力をSBPとする。具体的には、50℃
に加熱したホットプレート上約5mmにセットされたス
テンレス製の飼育ケージに15分間SHRを入れ加熱し
(この加熱により、放熱器官でもある尻尾の血管に血液
が十分流れるようになる。)、加熱後、直ちに軍手でS
HRを拘束し、血圧測定装置(KN−210ラット尾動
脈圧、脈拍測定装置;夏目製作所(株))で血圧(SB
P)を測定した。測定は1匹につき5〜6回連続して行
い、1回目(場合によっては1回目と2回目)を除いた
平均をそのSHRのSBPとした。ここで、最初の測定
値を棄却するのは、1回目の測定値がそれ以降の血圧に
比べ極めて高い値を示すことが多いからである。
【0039】各群7匹のSBPの平均値と標準偏差とを
求め、また、コントロール群とトマト搾汁液投与群、ト
マト搾汁液漿液の4倍濃縮液投与群との間に有意差が認
められるか否か、スチューデンツ−T法で検定した。結
果を表3及び図1に示す。
【0040】尚、図1中の*は、そのデータがコントロ
ール群と比較して危険率5%以下で有意であることを示
す印である。
【0041】
【表3】
【0042】この結果から、上記実施の形態(1)で得
られたトマト搾汁液を投与されたSHR群、(1)で得
られた8倍濃縮トマト漿液を等量の水で希釈した4倍濃
縮トマト漿液(本発明のトマト健康飲料)を投与された
SHR群は共に、これらの投与を受けなかったコントロ
ール群に比べ総体的に見て血圧上昇が抑制されていると
判断できるが、トマト搾汁液のSHRに対する血圧上昇
抑制作用は十分とは言えないのに比べ、本発明のトマト
健康飲料となる4倍濃縮トマト漿液を投与されたSHR
群は血圧上昇がよく抑制されており、本発明のトマト健
康飲料が血圧上昇抑制作用を十分に有することがわか
る。
【0043】
【発明の効果】本発明のトマト由来の食品組成物は、ト
マトの良好な風味を保持しながら、且つ、ACEの昇圧
作用を抑制して血圧上昇を抑制する作用に優れることか
ら、本態性高血圧症等を改善するための機能性食品とし
て有望である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例のトマト搾汁液投与SHR群、トマト
搾汁液漿液の4倍濃縮液投与SHR群及びコントロール
SHR群の収縮期血圧(SBP)の経時変化を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A23L 1/05 - 1/09 A23L 1/30 JICSTファイル(JOIS)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トマト搾汁液の漿液及び/又はその濃縮
    物を有効成分として含有する血圧上昇抑制作用を有する
    食品組成物。
  2. 【請求項2】 トマト搾汁液の漿液に含まれる分子量4
    000以下の水溶性化合物を有効成分として含有する血
    圧上昇抑制作用を有する食品組成物。
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