JP2692529B2 - エンジンのクランク角度の時間変換装置 - Google Patents

エンジンのクランク角度の時間変換装置

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JP2692529B2
JP2692529B2 JP5124884A JP12488493A JP2692529B2 JP 2692529 B2 JP2692529 B2 JP 2692529B2 JP 5124884 A JP5124884 A JP 5124884A JP 12488493 A JP12488493 A JP 12488493A JP 2692529 B2 JP2692529 B2 JP 2692529B2
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  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ディーゼルエンジン
ガソリンエンジン等のエンジンにおいて、燃料噴射量等
の制御量を調整するためのアクチュエータの作動時期を
算出する際に用いられるエンジンのクランク角度の時間
変換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子制御技術、特にデジタル制御
技術の発達とともに、ディーゼルエンジンの燃料噴射ポ
ンプを電子的に制御するようにした、いわゆる電子制御
ディーゼルエンジンが実用化されている。燃料噴射ポン
プを電子制御する方法には種々あるが、その1つに、燃
料噴射ポンプにおける燃料の溢流を電磁スピル弁で制御
するものがある。この方法は、燃料噴射量が目標値に達
する溢流時期(スピル時期)で電磁スピル弁によりスピ
ルポートを開放し、燃料の圧送を終了させて燃料噴射量
を調整するものである。
【0003】前記電磁スピル弁の開閉制御には、通常、
回転数センサによりディーゼルエンジンの一定クランク
角(11.25°CA)毎に出力される回転角信号(エ
ンジン回転パルス)が用いられる。このエンジン回転パ
ルスを用いて燃料を溢流させる時期(目標スピル時期)
を算出する方法としては、例えば本出願人が先に提案し
た技術(特願平4−28356号)がある。
【0004】この技術では図17及び図18に示すよう
に、ディーゼルエンジンの作動状態に応じた目標スピル
時期を算出し、エンジン回転パルスの所定基準位置
(「0」のエンジン回転パルスの立上がり)から前記目
標スピル時期までのエンジン回転パルスの数(この場
合、8個)と、1パルス分に満たない余り角度とを求め
る。そして、前回燃焼サイクルにおいて目標スピル時期
を含む1パルス(「8」のエンジン回転パルス)の所要
時間を基準時間とし、この基準時間を用い、今回燃焼サ
イクルにおける目標スピル時期での1パルス(「8」の
エンジン回転パルス)の所要時間(予測パルス時間)を
予測する。さらに、予測パルス時間と、エンジン回転パ
ルスの発生間隔である単位角度(11.25°CA)と
を用い、前記余り角度を時間に換算する。そして、時間
換算値と前記エンジン回転パルスの数とから決定される
タイミングにて電磁スピル弁を開弁させて、燃料噴射を
終了させるようにしている。
【0005】ところで、前記余り角度を時間換算する際
に用いられる予測パルス時間は、前回燃焼サイクルでの
基準時間を用いて予測した時間である。このため、前回
燃焼サイクルと今回燃焼サイクルとの間で、クランク軸
の時間当たりの回転数(エンジン回転数)が大きく変化
したときには、予測パルス時間に誤差が生ずる。そこ
で、上記技術では、目標スピル時期を含む今回燃焼サイ
クル内であり、かつ、同目標スピル時期前の2つのパル
ス信号(「13」と「6」のエンジン回転パルス)を選
択する。選択した2つのパルス信号の各所要時間(瞬時
時間TN13,TN6)から両者の偏差(TN13−T
N6)を求め、この偏差(瞬時時間差ΔTN)を、エン
ジン回転数の変化量として予測している。そして、瞬時
時間差ΔTNに応じて予測パルス時間を補正するように
している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記技
術では、エンジン回転数の変化量(瞬時時間差ΔTN)
を同一燃焼サイクル内で求めているので、エンジン負荷
の大きさに応じて同瞬時時間差ΔTNが大きく異なる。
この現象について説明すると、図19は、エンジン負荷
が小さく、かつエンジン回転数NEが約2400rpm
に保たれた場合の回転変動を示している。また、図20
は、エンジン負荷が大きく、かつエンジン回転数NEが
約2400rpmに保たれた場合の回転変動を示してい
る。両図から明らかなように、エンジン回転数NEの変
動は、エンジン負荷の大きさによって異なる波形を示
す。このため、瞬時時間差ΔTNだけでなく、エンジン
負荷の変化も考慮して予測パルス時間を補正する必要が
ある。
【0007】また、図21はエンジン負荷が大きく、か
つエンジン回転数NEが約1200rpmに保たれた場
合の回転変動を示している。この図21と図20とから
明らかなように、エンジン負荷が同程度であってもエン
ジン回転数NEが異なると、両エンジン回転数NEの変
動の波形が異なる。従って、エンジン回転数NEが変化
する場合においても、単純に瞬時時間差ΔTNだけでな
く、回転変動の波形の変化分を考慮して予測パルス時間
を補正する必要がある。
【0008】さらに、前記エンジン回転パルスを検出す
る回転数センサは、一般にローラリング上に取付けられ
ており、同ローラリングと一体回動する。このため、デ
ィーゼルエンジンの作動状態に応じ、燃料噴射時期制御
用のタイマ装置によりローラリングが回動されると、基
準となるクランク角に対するエンジン回転パルスの位相
が変化する(図18における遅角時の位相及び進角時の
位相参照)。このことから、前記のようにエンジン回転
数の変化量を算出する際には、燃料噴射時期の変動も考
慮する必要がある。
【0009】このように上記技術では、エンジン負荷の
変化、燃料噴射時期の変化等を加味した予測パルス時間
の補正を行わないと、精度の高い燃料噴射制御ができな
い。また、たとえ前記の補正を行ったとしても、通常、
その補正係数、補正式等が特定のディーゼルエンジンや
特定の運転領域について適合されることから、全てのデ
ィーゼルエンジンの全運転領域にわたって狙いどおりの
補正を行うのは困難である。
【0010】本発明は前述した事情に鑑みてなされたも
のであって、その目的は、燃料の噴射時期が変化したり
エンジン負荷が変化したりしても、その変化に応じた予
測パルス時間の補正を行わずに精度良くエンジン回転変
化を予測し、これに基づいて正確なクランク角度の時間
変換を行うことが可能なエンジンのクランク角度の時間
変換装置を提供することにある。尚、特開昭61−23
4252号公報(特公平6−3166号)には、電子制
御式ディーゼルエンジンの燃料溢流時期算出の際に行わ
れる余りクランク角度の時間変換を精度良く行うため
に、前回燃焼サイクル内の所定クランク角経過時間と、
その前回燃焼サイクル内の前記所定クランク角に対応し
た今回燃焼サイクル内の所定のクランク角経過時間とか
らエンジン回転変動を予測し、この予測に基づいて余り
クランク角度の時間変換を行う技術が開示されている
が、これは本発明の前提となる技術に過ぎない。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の装置は、エンジンの基準クランク角度位置
から目標クランク角度位置までのクランク角度を求める
クランク角度演算手段と、前回燃焼サイクル内の所定ク
ランク角度だけ回転するのに要した時間を求める第一の
時間演算手段と、前記前回燃焼サイクル内の所定クラン
ク角度に対応した今回燃焼サイクル内の所定クランク角
度だけ回転するのに要した時間を求める第二の時間演算
手段と、前記第一の時間演算手段により求められた前回
燃焼サイクル内の所定クランク角度だけ回転するのに要
した時間と、前記第二の時間演算手段により求められた
今回燃焼サイクル内の所定クランク角度だけ回転するの
に要した時間との変化度合いを求める変化度合演算手段
と、前記変化度合演算手段により求められた変化度合い
に基づいて、前記クランク角度演算手段により求められ
た前記基準クランク角度位置から目標クランク角度位置
までのクランク角度を時間変換する際に補正を加える補
正手段とを備えたエンジンのクランク角度の時間変換装
置であって、前記エンジンの回転数を計測する回転数計
測手段と、前記回転数計測手段により得られた回転数が
低くなるほど、前記前回燃焼サイクル内の所定クランク
角度、及び、前記前回燃焼サイクル内の所定クランク角
度に対応した今回燃焼サイクル内の所定クランク角度
を、前記目標クランク角度位置に近い所定クランク角度
に切り換える選択角切換手段とを更に備えている。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】尚、前記エンジンの基準クランク角度位置
から目標クランク角度位置までのクランク角度の一例と
しては、今回燃焼サイクル内における1パルス分に満た
ない余りクランク角度があげられる。ここで本発明の意
義について説明する。本発明の要点は、エンジン回転数
が低くなるほど、前記第一及び第二の時間演算手段での
回転所要時間の測定に用いる前記各所定のクランク角度
を、目標クランク角度位置(例えば燃料溢流時期)に近
い所定のクランク角度に切り換えるようにする点にあ
る。これは、「所定のクランク角度」が「燃料溢流時期
を含むクランク角度」に近いほど、両者の相関関係が強
くなるとの知見に基づいている(この点については図1
4〜図16を用いて後で詳細に説明する)。ところで、
特開昭61−234252号公報の装置において、単
に、前回及び今回の燃焼サイクル内の所定のクランク角
経過時間の計測用のパルス(所定のクランク角度)とし
て、燃料溢流時期を含むクランク角にできるだけ近いパ
ルスを選択し、それに基づいてエンジン回転変動を予測
し、余りクランク角度の時間変換を行うこと(以下「仮
定の手法」と呼ぶ)も可能ではある。しかしながら、エ
ンジン回転数が高くなるに従いクランク角経過時間が早
くなる一方で、エンジンの電子制御装置(例えばCP
U)の処理速度は常に一定との現実がある。このため、
エンジン回転数の変化を考慮していない前記仮定の手法
では、「前回及び今回の燃焼サイクル内の所定のクラン
ク角経過時間」によるエンジン回転変動予測が「燃料溢
流時期を含むクランク角」に達する前に終了しない虞が
ある。これに対し本発明では、エンジン回転数が低くな
るほど、前記第一及び第二の時間演算手段での回転所要
時間の測定に用いる前記各所定のクランク角度を、目標
クランク角度位置(例えば燃料溢流時期)に近い所定の
クランク角度に切り換えて選択するようにしている。逆
に言えば、エンジン回転数が高いときには前記各所定の
クランク角度の回転所要時間は、目標クランク角度位置
よりもかなり前のクランク角度に基づいて求められる。
このため、エンジン回転数が高い場合でも支障なく「前
回及び今回の燃焼サイクル内の所定クランク角度」から
エンジン回転変動を予測することが可能となる。このよ
うに、本発明によれば、エンジン 回転数の変化に影響さ
れることなく、基準クランク角度位置から目標クランク
角度位置までのクランク角度の時間変換を精度良く行う
ことができる。
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【実施例】(第1実施例) 以下、自動車用ディーゼルエンジンの第1実施例を図1
〜図12に従って詳細に説明する。
【0027】図1及び図2に示すように、燃料噴射ポン
プ1は、ディーゼルエンジン2のクランク軸40にベル
ト等を介して駆動連結されたドライブプーリ3を備えて
いる。そして、そのドライブプーリ3の回転によって燃
料噴射ポンプ1が駆動され、ディーゼルエンジン2の各
気筒(この場合は4気筒)毎に設けられた燃料噴射弁と
しての燃料噴射ノズル4に燃料が圧送されて燃料噴射が
行われる。
【0028】燃料噴射ポンプ1において、ドライブプー
リ3はドライブシャフト5の先端に取付けられている。
また、そのドライブシャフト5の途中には、べーン式ポ
ンプよりなる燃料フィードポンプ(図では90度展開さ
れている)6が設けられている。さらに、ドライブシャ
フト5の基端側には円板状のパルサ7が取付けられてい
る。そして、ドライブシャフト5の基端部は図示しない
カップリングを介してカムプレート8に接続されてい
る。
【0029】パルサ7とカムプレート8との間にはロー
ラリング9が設けられ、同ローラリング9の円周に沿っ
てカムプレート8のカムフェイス8aに対向する複数の
カムローラ10が取付けられている。カムフェイス8a
はディーゼルエンジン2の気筒数と同数だけ設けられて
いる。また、カムプレート8はスプリング11によって
常にカムローラ10に付勢係合されている。
【0030】カムプレート8には燃料加圧用プランジャ
12の基端が一体回転可能に取付けられ、それらカムプ
レート8及びプランジャ12がドライブシャフト5の回
転に連動して回転される。すなわち、ドライブシャフト
5の回転力が図示しないカップリングを介してカムプレ
ート8に伝達されることにより、カムプレート8が回転
しながらカムローラ10に係合して、気筒数と同数だけ
図中左右方向へ往復駆動される。また、この往復駆動に
伴ってプランジャ12が回転しながら同方向へ往復駆動
される。つまり、カムプレート8のカムフェイス8aが
ローラリング9のカムローラ10に乗り上げる過程でプ
ランジャ12が往動(リフト)され、その逆にカムフェ
イス8aがカムローラ10を乗り下げる過程でプランジ
ャ12が復動される。
【0031】プランジャ12はポンプハウジング13に
形成されたシリンダ14に嵌挿されており、プランジャ
12の先端面とシリンダ14の底面との間が高圧室15
となっている。また、プランジャ12の先端側外周に
は、ディーゼルエンジン2の気筒数と同数の吸入溝16
と分配ポート17とが形成されている。また、それら吸
入溝16及び分配ポート17に対応して、ポンプハウジ
ング13には分配通路18及び吸入ポート19が形成さ
れている。
【0032】そして、ドライブシャフト5が回転されて
燃料フィードポンプ6が駆動されることにより、図示し
ない燃料タンクから燃料供給ポート20を介して燃料室
21内へ燃料が供給される。また、プランジャ12が復
動されて高圧室15が減圧される吸入行程中に、吸入溝
16の一つが吸入ポート19に連通することにより、燃
料室21から高圧室15へ燃料が導入される。一方、プ
ランジャ12が往動されて高圧室15が加圧される圧縮
行程中に、分配通路18から各気筒毎の燃料噴射ノズル
4へ燃料が圧送されて噴射される。
【0033】ポンプハウジング13には、高圧室15と
燃料室21とを連通させる燃料溢流(スピル)用のスピ
ル通路22が形成されている。このスピル通路22の途
中には、高圧室15からの燃料スピルを調整するアクチ
ュエータとしての電磁スピル弁23が設けられている。
この電磁スピル弁23は常開型の弁であり、コイル24
が無通電(オフ)の状態では弁体25が開放されて高圧
室15内の燃料が燃料室21へスピルされる。また、コ
イル24が通電(オン)されることにより、弁体25が
閉鎖されて高圧室15から燃料室21への燃料のスピル
が止められる。
【0034】従って、電磁スピル弁23の通電時間を制
御することにより、同弁23が閉弁・開弁制御され、高
圧室15から燃料室21への燃料のスピル調整が行われ
る。そして、プランジャ12の圧縮行程中に電磁スピル
弁23を開弁させることにより、高圧室15内における
燃料が減圧されて、燃料噴射ノズル4からの燃料噴射が
停止される。つまり、プランジャ12が往動しても、電
磁スピル弁23が開弁している間は高圧室15内の燃料
圧力が上昇せず、燃料噴射ノズル4からの燃料噴射が行
われない。また、プランジャ12の往動中に、電磁スピ
ル弁23の閉弁・開弁の時期を制御することにより、燃
料噴射ノズル4からの噴射終了が調整されて燃料噴射量
が制御される。
【0035】ポンプハウジング13の下側には、基準と
なるクランク角に対する燃料噴射の位相(噴射位相)を
調整するためのタイマ装置(図では90度展開されてい
る)26が設けられている。このタイマ装置26は、ド
ライブシャフト5の回転方向に対するローラリング9の
位置を変更することにより、カムフェイス8aがカムロ
ーラ10に係合する時期、すなわちカムプレート8及び
プランジャ12の往復駆動時期を変更するためのもので
ある。
【0036】タイマ装置26は制御油圧により駆動され
るものであり、タイマハウジング27と、同ハウジング
27内に嵌装されたタイマピストン28と、同じくタイ
マハウジング27内一側(図の左側)の低圧室29にて
タイマピストン28を他側(図の右側)の加圧室30へ
押圧付勢するタイマスプリング31等とから構成されて
いる。そして、タイマピストン28はスライドピン32
を介してローラリング9に接続されている。
【0037】前記加圧室30には、燃料フィードポンプ
6により加圧された燃料が導入されるようになってい
る。そして、その燃料圧力とタイマスプリング31の付
勢力との釣り合い関係によってタイマピストン28の位
置が決定される。また、そのピストン位置が決定される
ことにより、ローラリング9の位置が決定され、カムプ
レート8を介してプランジャ12の往復動タイミングが
決定される。
【0038】タイマ装置26の制御油圧として作用する
燃料圧力を調整するために、タイマ装置26にはタイミ
ングコントロールバルブ(TCV)33が設けられてい
る。詳しくは、タイマハウジング27の加圧室30と低
圧室29とが連通路34によって連通されており、同連
通路34の途中にTCV33が介在されている。このT
CV33は、デューティ制御された通電信号によって開
閉制御される電磁弁であり、同TCV33の開度調整に
よって加圧室30内の燃料圧力が調整される。そして、
その燃料圧力の調整によって、プランジャ12の往復動
時期が変更され、各燃料噴射ノズル4による噴射位相が
制御される。
【0039】前記ローラリング9の上部には、回転数計
測手段を構成する回転数センサ35が、パルサ7の外周
面に対向して取付けられている。この回転数センサ35
は電磁ピックアップコイルよりなり、パルサ7の外周面
に形成された突起が横切る度に検出信号を出力する。
【0040】本実施例では、図3で示すようにパルサ7
の突起は、64個のものが等間隔に配列してある状態か
ら90°(クランク角にして180°CA)毎に2歯ず
つ欠歯部7aが形成された構成となっている。このた
め、ディーゼルエンジン2のクランク軸40が回転する
と、図4における波形整形後の検出出力で示すように、
720°CA/64=11.25°CA毎に、各歯によ
るエンジン回転パルスが出力されるとともに、該エンジ
ン回転パルスの14個目には欠歯部7aによる11.2
5°CA×3=33.75°CAのエンジン回転パルス
(基準位置信号)1個が出力される。
【0041】すなわち、パルサ7の外周面には、ディー
ゼルエンジン2の気筒数と同数(この場合4個)の欠歯
部7aが等角度間隔で形成され、さらに互いに隣接する
欠歯部7a間には14個ずつ(合計で56個)の突起が
等角度間隔で形成されている。そのため、回転数センサ
35からの検出信号を波形整形することによって、燃料
噴射周期と同期した基準位置信号及び回転速度を表す回
転信号が得られる。
【0042】なお、図4におけるCNIRQは、基準位
置信号が出力されてからのエンジン回転パルスの数を示
すパルスカウンタ(初期値0)である。次に、ディーゼ
ルエンジン2について説明する。図1に示すように、こ
のディーゼルエンジン2ではシリンダ41、ピストン4
2及びシリンダヘッド43によって各気筒毎に対応する
主燃焼室44がそれぞれ形成されている。また、それら
各主燃焼室44に連通する副燃焼室45が各気筒毎に対
応して設けられている。そして、各副燃焼室45には、
各燃料噴射ノズル4から燃料が噴射されるようになって
いる。各副燃焼室45には、始動補助装置としての周知
のグロープラグ46がそれぞれ取り付けられている。
【0043】ディーゼルエンジン2には、吸気管47及
び排気管50がそれぞれ設けられている。また、その吸
気管47には過給機を構成するターボチャージャ48の
コンプレッサ49が設けられ、排気管50にはターボチ
ャージャ48のタービン51が設けられている。排気管
50には、過給圧PiMを調節するウェイストゲートバ
ルブ52が設けられている。
【0044】また、ディーゼルエンジン2には、排気管
50内の排気の一部を吸気管47の吸入ポート53へ還
流させる還流管54が設けられている。そして、その還
流管54の途中には、排気の還流量を調節するエキゾー
ストガスリサキュレイションバルブ(EGRバルブ)5
5が設けられている。このEGRバルブ55はバキュー
ムスイッチングバルブ(VSV)56によって開閉され
る。
【0045】さらに、吸気管47の途中には、アクセル
ペダル57の踏込量に連動して開閉されるスロットルバ
ルブ58が設けられている。また、そのスロットルバル
ブ58に平行してバイパス路59が設けられ、同バイパ
ス路59にはバイパス絞り弁60が設けられている。こ
のバイパス絞り弁60は、二つのVSV61,62にて
駆動される二段式のダイヤフラム室を有するアクチュエ
ータ63によって開閉制御される。
【0046】そして、上記のように燃料噴射ポンプ1及
びディーゼルエンジン2に設けられた電磁スピル弁2
3、TCV33、グロープラグ46及び各VSV56,
61,62は、電子制御装置(以下単に「ECU」とい
う)71にそれぞれ電気的に接続され、同ECU71に
よってそれらの駆動タイミングが制御される。
【0047】ディーゼルエンジン2の運転状態を検出す
るセンサとしては、前述した回転数センサ35に加え
て、以下の各種センサが設けられている。吸気管47の
入口に設けられたエアクリーナ64の近傍には、吸気温
度THAを検出する吸気温センサ72が設けられてい
る。
【0048】また、スロットルバルブ58の開閉位置か
ら、ディーゼルエンジン2の負荷に相当するアクセル開
度ACCPを検出するアクセル開度センサ73が設けら
れている。吸入ポート53の近傍には、ターボチャージ
ャ48によって過給された後の吸入空気圧力、すなわち
過給圧PiMを検出する吸気圧センサ74が設けられて
いる。さらに、ディーゼルエンジン2の冷却水温THW
を検出する水温センサ75が設けられている。また、ク
ランク軸40の回転基準位置、例えば特定気筒の上死点
(TDC)に対するクランク軸40の回転位置を検出す
るクランク角センサ76が設けられている。さらに、図
示しないトランスミッションには、そのギアの回転によ
って回されるマグネット77aによりリードスイッチ7
7bをオン・オフさせて車両速度(車速)SPを検出す
る車速センサ77が設けられている。
【0049】上述した各センサ35,72〜77はEC
U71にそれぞれ接続されている。そして、ECU71
は各センサ35,72〜77の検出信号に基づき、電磁
スピル弁23、TCV33、グロープラグ46及びVS
V56,61,62を制御する。
【0050】次に、前述したECU71の構成につい
て、図5のブロック図に従って説明する。ECU71は
中央処理装置(CPU)81、所定の制御プログラム及
びマップ等を予め記憶した読み出し専用メモリ(RO
M)82、CPU81の演算結果等を一時記憶するラン
ダムアクセスメモリ(RAM)83、予め記憶されたデ
ータを保存するバックアップRAM84を備え、これら
各部と入力ポート85及び出力ポート86とがバス87
によって接続されている。CPU81は、クランク角度
演算手段、第一の時間演算手段、第二の時間演算手段、
変化度合演算手段、補正手段及び選択角切換手段を構成
している。また、CPU81は演算処理のためにフリー
ランニングカウント動作を行うようになっている。
【0051】入力ポート85には、前述した吸気温セン
サ72、アクセル開度センサ73、吸気圧センサ74及
び水温センサ75が、各バッファ88,89,90,9
1、マルチプレクサ92及びA/D変換器93を介して
接続されている。同じく、入力ポート85には、前述し
た回転数センサ35、クランク角センサ76及び車速セ
ンサ77が、波形整形回路95を介して接続されてい
る。そして、CPU81は入力ポート85を介して入力
される各センサ35,72〜77の検出信号を入力値と
して読み込む。また、出力ポート86には各駆動回路9
6,97,98,99,100,101を介して電磁ス
ピル弁23、TCV33、グロープラグ46及びVSV
56,61,62が接続されている。
【0052】そして、CPU81は各センサ35,72
〜77から読み込んだ入力値に基づき、電磁スピル弁2
3、TCV33、グロープラグ46及びVSV56,6
1,62を好適に制御する。
【0053】この第1実施例においては、閉弁状態の電
磁スピル弁23を開弁して燃料を溢流させる時期(目標
スピル時期)を算出するために、一定クランク角(1
1.25°CA)毎に出力されるエンジン回転パルス
図10参照)が利用される。この電磁スピル弁23の
開弁時期は、ある基準となるエンジン回転パルス(図1
ではパルスカウンタCNIRQ=0のエンジン回転パ
ルスの立上がり)からの角度で与えられる。
【0054】詳しくは、パルスカウンタCNIRQの値
が「0」のエンジン回転パルスの立上がりから「8」の
エンジン回転パルスの立上がりまでは直接角度で、この
場合スピル時期パルス数CANGLとして算出される。
また、「8」のエンジン回転パルスにおいて1パルス分
に満たない余り角度θREMは、予測により次のように
して時間に換算される。すなわち、前回燃焼サイクルに
おける目標スピル時期での1パルス分の所要時間を基準
時間TS1125とし、この基準時間TS1125を用
いて今回燃焼サイクルにおける目標スピル時期を含む1
パルス分の所要時間を予測し、その予測値(予測パルス
時間TS1125a)をもとに前記余り角度θREMを
時間換算する。このようにして時間換算された値はスピ
ル時刻TSPONで表される。尚、余り角度θREM
は、この実施例における「エンジンの基準クランク角度
位置から目標クランク角度位置までのクランク角度」に
あたる。
【0055】次に、前記スピル時刻TSPONの算出処
理を図9のフローチャートに示す。また、前記基準時間
TS1125の算出処理を図6のフローチャートに示
す。図9の処理ルーチンは所定のタイミングで実行さ
れ、図6の処理ルーチンは、回転数センサ35のエンジ
ン回転パルスの立上がりで割り込まれて実行される。
【0056】まず、図6の基準時間算出ルーチンについ
て説明する。このルーチンの処理が開始されると、CP
U81はステップ100において、フリーランニングカ
ウント動作により求められる今回のNE割込み時におけ
る現在時刻FCと、前回のNE割込み時における割込み
時刻TOとの差を、パルス時間TNINTとして設定す
る。図7では、パルスカウンタCNIRQの値が「1
0」になってから「11」になるまでの1パルス分を例
として挙げており、この1パルス分に相当するクランク
角度(11.25°CA)だけ進むのに要する時間を算
出し、これをパルス時間TNINTとする。
【0057】次に、CPU81はステップ110におい
てパルスカウンタCNIRQの値が「6」であるか否か
を判定する。ここで、「6」は、予測パルス時間TS1
125aを有するパルス信号(「8」のエンジン回転パ
ルス)の前の複数のパルス信号のうち、「8」のエンジ
ン回転パルスに最も近い算出可能なエンジン回転パルス
の値である。パルスカウンタCNIRQの値が「6」で
ないと、CPU81はそのままステップ170へ移行す
る。
【0058】一方、ステップ110でパルスカウンタC
NIRQの値が「6」であると、CPU81はステップ
120において、先にステップ100にて求められたパ
ルス時間TNINTを瞬時時間TN6(i)として設定
する。瞬時時間TN6(i)は、図7に示すように、パ
ルスカウンタCNIRQの値が「5」になってから
「6」になるまでに、クランク角度で「11.25°C
A」だけ進むのに要するパルス時間TNINTに相当し
ている。
【0059】続いて、CPU81はステップ130にお
いて、前回の処理で記憶した前回燃焼サイクルでの瞬時
時間TN6(i−1)を読み出す。そして、CPU81
はステップ140において、前回燃焼サイクルでの瞬時
時間TN6(i−1)に対する、今回燃焼サイクルでの
瞬時時間TN6(i)の比(TN6(i)/TN6(i
−1))を求め、これを回転変化量TNRAとして設定
する。
【0060】このようにしたのは、1燃焼サイクル内で
は、クランク軸40の回転変動が、エンジン負荷、噴射
時期、エンジン回転数NE等の変化に応じて変化するこ
とがあるのに対し、隣接の燃焼サイクル間ではエンジン
負荷、噴射時期等によるクランク軸40の回転変動がわ
ずかであり、前回の燃焼サイクルの回転変動と今回の燃
焼サイクルの回転変動とが相似するからである。
【0061】CPU81はステップ150で、前記回転
変化量TNRAに応じた予測補正係数MDT1を算出す
る。予測補正係数MDT1は図8のマップを参照して求
められる係数であり、前記基準時間TS1125を補正
するべく、同基準時間TS1125に乗算される。図8
のマップでは、回転変化量TNRAが「1」の場合、つ
まり、前回燃焼サイクルと今回燃焼サイクルとの間で瞬
時時間TN6が変化しない場合、基準時間TS1125
を補正する必要がないことから、予測補正係数MDT1
は「1」に設定されている。回転変化量TNRAが
「1」より小さい場合、つまり、エンジン回転数NEが
上昇している場合には、基準時間TS1125を小さく
補正すべく予測補正係数MDT1が「1.0」よりも小
さな値に設定されている。回転変化量TNRAが「1」
より大きい場合、つまり、エンジン回転数NEが下降し
ている場合には、基準時間TS1125を大きく補正す
べく予測補正係数MDT1が「1.0」よりも大きな値
に設定されている。
【0062】CPU81はステップ160において、次
回の演算に備え、今回燃焼サイクルでの瞬時時間TN6
(i)を前回燃焼サイクルでの瞬時時間TN6(i−
1)とし、この値を記憶する。次に、ステップ170に
おいて、CPU81はパルスカウンタCNIRQの値が
「9」であるか否かを判定する。ここで、パルスカウン
タCNIRQの値が「9」でないと、CPU81はその
ままステップ190へ移行する。これに対し、パルスカ
ウンタCNIRQの値が「9」であると、CPU81は
ステップ180において、そのときのパルス時間TNI
NTを基準時間TS1125として設定し、記憶する。
この基準時間TS1125は、図7に示すようにパルス
カウンタCNIRQの値が「8」になってから「9」に
なるまでに、クランク角度で「11.25°CA」だけ
進むのに要するパルス時間TNINTに相当している。
また、図7における基準時間TS1125の位置は、デ
ィーゼルエンジン2の運転状態に応じて決定される目標
噴射量を得るための噴射終了時期に相当している。
【0063】そして、ステップ190において、CPU
81は前記ステップ100での現在時刻FCを前回の割
込み時刻TOとして設定した後、その後の処理を終了す
る。このようにして基準時間TS1125が算出され
る。
【0064】次に、図9におけるスピル時刻TSPON
の算出処理について説明する。このルーチンの処理が開
始されると、CPU81は先ずステップ201におい
て、回転数センサ35及びアクセル開度センサ73の各
検出値に基づき、エンジン回転数NE及びアクセル開度
ACCPを読み込む。また、図6での基準時間TS11
25及び予測補正係数MDT1をそれぞれ読込む。
【0065】続いて、CPU81はステップ202にお
いて、前記エンジン回転数NE及びアクセル開度ACC
Pにより、作動時クランク角度としての噴射量指令値Q
FINを算出する。この噴射量指令値QFINは予め定
められた計算式に従って求められ、クランク角度(°C
A)で表される。
【0066】そして、CPU81はステップ203にお
いて、前記噴射量指令値QFINにより、スピル時期パ
ルス数CANGL及び余り角度θREMをそれぞれ算出
する。これらの各値CANGL,θREMは、下記の式
(1)を参照して求められる。
【0067】 θREM=QFIN−11.25・CANGL ……(1) つまり、図10に示すように、噴射量指令値QFINを
エンジン回転パルス1個分の角度に相当する「11.2
5」で除算して、その商をスピル時期パルス数CANG
Lとして求め、その余りを余り角度θREMとして求め
る。
【0068】次に、CPU81はステップ204におい
て、下記式(2)に従って前記基準時間TS1125を
予測補正係数MDT1にて補正する。補正された値は、
今回燃焼サイクルでの目標スピル時期近傍における1パ
ルス分のパルス時間であり、予測パルス時間TS112
5aで表される。
【0069】 TS1125a=TS1125・MDT1 ……(2) そして、CPU81はステップ205において、先に求
められた余り角度θREMと予測パルス時間TS112
5aとによりスピル時刻TSPONを算出する。すなわ
ち、余り角度θREMを予測パルス時間TS1125a
に基づいて時間換算する。このスピル時刻TSPONは
下記式(3)に従って求められる。
【0070】 TSPON=(θREM/11.25)・TS1125a ……(3) このステップ205での処理によって余り角度θREM
が時間換算されると、CPU81はこのルーチンを終了
する。
【0071】なお、前記ステップ203でスピル時期パ
ルス数CANGLが求められ、前記ステップ205でス
ピル時刻TSPONが求められると、CPU81は両値
CANGL,TSPONに基づき電磁スピル弁23をオ
フさせるための信号を出力する。すると、電磁スピル弁
23の開弁動作により燃料噴射ポンプ1からの燃料噴射
の終了時期、すなわち燃料噴射量が調整される。
【0072】このように、本実施例では、隣接の燃焼サ
イクル間ではエンジン負荷、噴射時期等によるクランク
軸40の回転変動がわずかであり、前回の燃焼サイクル
の回転変動と今回の燃焼サイクルの回転変動とが相似す
る現象を利用している。回転数センサ35による所定の
エンジン回転パルスの所要時間をパルス時間TNINT
として算出する(ステップ100)。今回燃焼サイクル
での電磁スピル弁23の開弁時期の算出に際し、前回燃
焼サイクルにおける所定パルス信号のパルス時間(瞬時
時間TN6(i−1))と、今回燃焼サイクルにおいて
前記所定パルス信号に対応するパルス信号のパルス時間
(瞬時時間TN6(i))とから両者間の変化量(回転
変化量TNRA)を求め(ステップ140)、その変化
量に基づき、クランク軸40の回転変化量を予測するよ
うにしている。
【0073】従って、算出されたクランク軸40の回転
変化量(回転変化予測値)を、エンジン負荷、噴射時期
及びエンジン回転数NEの変化に応じて補正しなくて
も、高い精度をもってディーゼルエンジン2の回転変化
予測を行うことができる。
【0074】また、本実施例では、ディーゼルエンジン
2の作動状態に応じた目標燃料噴射量を得るべく、電磁
スピル弁23を開弁させる際のクランク角度(噴射量指
令値QFIN)を算出する(ステップ202)。噴射量
指令値QFINを含む作動時パルス信号(「8」のエン
ジン回転パルス)において、同エンジン回転パルスの立
上がりから噴射量指令値QFINまでの1パルス分に満
たない余り角度θREMを算出する(ステップ20
3)。作動時パルス信号に対応する前回燃焼サイクルで
のパルス信号(「8」のエンジン回転パルス)の所要時
間(基準時間TS1125)、及びクランク軸40の回
転変化量TNRAから、作動時パルス信号の所要時間で
ある予測パルス時間TS1125aを算出する(ステッ
プ204)。エンジン回転パルスの発生間隔である単位
角度(11.25°CA)、及び前記予測パルス時間T
S1125aを用いて、余り角度θREMを時間換算し
てスピル時刻TSPONを求めている(ステップ20
5)。
【0075】従って、前記のように精度の高いクランク
軸40の回転変化量TNRAが用いられるので、電磁ス
ピル弁23の開弁時期算出に必要な余り角度θREMを
精度よく時間換算することができる。
【0076】図11は、回転変化量TNRAと、基準時
間TS1125に対する予測パルス時間TS1125a
の比との相関関係を示したものである。また、図12
は、別の方法で求めた回転変化量(瞬時時間差ΔTN)
と、基準時間TS1125に対する予測パルス時間TS
1125aの比との相関関係を示したものである。回転
変化量(瞬時時間差ΔTN)は、今回燃焼サイクル内で
あり、かつ、目標スピル時期前の2つのパルス信号
(「6」と「13」のエンジン回転パルス)の各パルス
時間(瞬時時間TN13,TN6)の偏差を求め、その
偏差をエンジン負荷、エンジン回転数NE、噴射時期に
応じて補正した値である。図11は第1実施例に相当
し、図12は従来技術に相当する。各図のハッチング部
分は、密となるプロット点の集合箇所である。図11
は、クランク軸40の回転変化量TNRAを、エンジン
負荷、噴射時期、エンジン回転数NE等に応じて補正し
ていないにもかかわらず、同補正を行っている図12
回転変化量(瞬時時間差ΔTN)よりも、基準時間TS
1125に対する予測パルス時間TS1125aの比と
の相関関係が強いことがわかる。 (第2実施例) 次に、本発明を具体化した第2実施例を図13〜図16
に従って説明する。
【0077】第2実施例では、回転変化量TNRAを算
出する際に用いる所定エンジン回転パルスを、エンジン
回転数NEに応じて切り換えている点が、前記第1実施
例と大きく異なっている。このようにしたのは図14〜
図16に示す現象が実際に見られるからである。ここ
で、各図の横軸は回転変化量TNRAであり、縦軸は基
準時間TS1125に対する予測パルス時間TS112
5aの比である。ただし図14での回転変化量TNRA
は、「1」のエンジン回転パルスの瞬時時間TN1(i
−1)に対する瞬時時間TN1(i)の比である。図1
での回転変化量TNRAは、「3」のエンジン回転パ
ルスの瞬時時間TN3(i−1)に対する瞬時時間TN
3(i)の比である。図16での回転変化量TNRA
は、「5」のエンジン回転パルスの瞬時時間TN5(i
−1)に対する瞬時時間TN5(i)の比である。各図
のハッチング部分は密となるプロット点の集合箇所であ
る。
【0078】これら図14〜図16から、エンジン回転
パルスの値が「1」,「3」,「5」のように順に大き
くなるに従い、すなわち、作動時パルス信号である
「8」のエンジン回転パルスに近づくに従い、横軸の特
性(回転変化量TNRA)と、縦軸の特性(基準時間T
S1125に対する予測パルス時間TS1125aの
比)との間の正の相関関係が強くなる傾向にある。従っ
て、余り角度θREMの時間換算の精度を高めるには、
前記の相関関係を考慮して、可能な限り所定エンジン回
転パルスを作動時パルス信号(「8」のエンジン回転パ
ルス)に近づけることが好ましい。
【0079】しかし、回転変化量TNRAを算出可能な
所定エンジン回転パルスは、クランク軸40の単位時間
当たりの回転数(エンジン回転数NE)の変化に応じて
変わる。つまり、エンジン回転数NEが高い場合には、
単位時間当たりのエンジン回転パルスの数が多くなるの
で、エンジン回転数NEの低い場合よりも前にクランク
軸40の回転変化量TNRAを算出しないと、作動時パ
ルス信号(「8」のエンジン回転パルス)の発生まで
に、回転変化量TNRAや予測パルス時間TS1125
aの算出ができなくなる。
【0080】上記の観点から第2実施例では、回転変化
量TNRA算出用の所定エンジン回転パルスを以下のよ
うにしてエンジン回転数NEに応じて切換えている。
13は前記第1実施例での図6に対応する基準時間算出
ルーチンを示している。このルーチンにおけるステップ
100,170,180,190の各処理は図6でのそ
れと同じであるので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0081】CPU81はステップ100でパルス時間
TNINTを設定すると、ステップ101において回転
数計測手段としての回転数センサ35の検出値に基づ
き、エンジン回転数NEを読み込む。次に、CPU81
はステップ102へ移行し、前記エンジン回転数NEが
1200rpmよりも高いか否かを判定する。この判定
条件が満たされていると、CPU81はステップ103
において、パルスカウンタCNIRQの値「5」,
「6」,「7」の3つの中から「5」を選択する。そし
て、選択した値をステップ104で所定エンジン回転パ
ルス番号Kとして設定する。
【0082】前記ステップ102の判定条件が満たされ
ないと、すなわちエンジン回転数NEが1200rpm
以下であると、CPU81はステップ105へ移行し、
前記エンジン回転数NEが800rpmよりも高いか否
かを判定する。この判定条件が満たされていると、すな
わち800<NE≦1200であると、CPU81はス
テップ106において、パルスカウンタCNIRQの値
「5」,「6」,「7」の3つの中から「6」を選択す
る。そして、選択した値をステップ107で所定エンジ
ン回転パルス番号Kとして設定する。
【0083】前記ステップ105の判定条件が満たされ
ないと、すなわちエンジン回転数NEが800rpm以
下であると、CPU81はステップ108へ移行し、パ
ルスカウンタCNIRQの値「5」,「6」,「7」の
3つの中から「7」を選択する。そして、選択した値を
ステップ109で所定エンジン回転パルス番号Kとして
設定する。
【0084】前記のように所定エンジン回転パルス番号
Kが設定されると、CPU81はステップ110aにお
いてパルスカウンタCNIRQの値が「K」であるか否
かを判定する。この判定条件が満たされないと、CPU
81はステップ170以降の処理を行う。
【0085】一方、ステップ110aでの判定条件が満
たされると、CPU81はステップ120aにおいて、
先にステップ100にて求められたパルス時間TNIN
Tを瞬時時間TNK(i)として設定する。続いて、C
PU81はステップ130aにおいて、前回の処理で記
憶した前回燃焼サイクルでの瞬時時間TNK(i−1)
を読み出す。そして、CPU81はステップ140aに
おいて、前回燃焼サイクルでの瞬時時間TNK(i−
1)に対する、今回燃焼サイクルでの瞬時時間TNK
(i)の比(TNK(i)/TNK(i−1))を求
め、これを回転変化量TNRAとして設定する。尚、T
NK(i−1)が「前回燃焼サイクル内の所定クランク
角度だけ回転するのに要した時間」に相当し、TNK
(i)が「今回燃焼サイクル内の所定クランク角度だけ
回転するのに要した時間」に相当し、TNRAが両者の
変化度合いに相当する。
【0086】CPU81はステップ150aで、図8
マップを参照して前記回転変化量TNRAに応じた予測
補正係数MDT1を算出する。この意味においてCPU
81は、余り角度θREMを時間変換する際の補正手段
として機能する。CPU81はステップ160aにおい
て、次回の演算に備え、今回燃焼サイクルでの瞬時時間
TNK(i)を前回燃焼サイクルでの瞬時時間TNK
(i−1)とし、この値を記憶する。そして、前記ステ
ップ170〜190の各処理を実行して、この基準時間
算出ルーチンを一旦終了する。
【0087】このように、本実施例では、回転数センサ
35によるエンジン回転数NEが低くなるほど、回転変
化量TNRAの算出に用いられる所定エンジン回転パル
ス番号Kが作動時パルス信号(「8」のエンジン回転パ
ルス)に近いパルス信号に切換えられる(ステップ10
2〜109)。
【0088】従って、エンジン回転数NEが変化した場
合にも、常に作動時パルス信号に近い所定エンジン回転
パルスが用いられることになり、回転変化量TNRA、
予測パルス時間TS1125a、余り角度θREMの時
間換算を精度良く行うことができる。
【0089】尚、発明の趣旨を逸脱しない範囲で前記各
実施例の構成の一部を適宜に変更して次のように実施す
ることもできる。
【0090】(1)前記第1実施例では、前回燃焼サイ
クルでの瞬時時間TN6(i−1)に対する、今回燃焼
サイクルでの瞬時時間TN6(i)の比(TN6(i)
/TN6(i−1))を求め、これを回転変化量TNR
Aとしたが、前記両瞬時時間の偏差(TN6(i)−T
N6(i−1))を求め、これを回転変化量としてもよ
い。
【0091】(2)第2実施例において所定エンジン回
転パルスを切換える際のエンジン回転数を適宜変更して
もよい。 (3)前記実施例では、本発明を過給機としてのターボ
チャージャ48を備えたディーゼルエンジン2に具体化
したが、過給機としてのスーパーチャージャを備えたデ
ィーゼルエンジンや、過給機を備えていないディーゼル
エンジン、さらにはガソリンエンジンに具体化すること
もできる。
【0092】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明では、エン
ジン回転数が低くなるほど、第一及び第二の時間演算手
段での回転所要時間の測定に用いる「前回燃焼サイクル
内の所定クランク角度」及び「前回燃焼サイクル内の所
定クランク角度に対応した今回燃焼サイクル内の所定ク
ランク角度」を、目標クランク角度位置に近い所定クラ
ンク角度に切り換えて選択するようにしたので、エンジ
ン回転数が高いときには前記各所定クランク角度の回転
所要時間は、目標クランク角度位置よりもかなり前のク
ランク角度に基づいて求められる。このため、エンジン
回転数が高い場合でも支障なく「前回及び今回の燃焼サ
イクル内の所定クランク角度」からエンジン回転変動を
予測することが可能となり、エンジン回転数の変化に影
響されることなく、基準クランク角度位置から目標クラ
ンク角度位置までのクランク角度の時間変換を精度良く
行うことができる。
【0093】
【0094】
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例におけるディーゼルエンジン、燃
料噴射ポンプ及びクランク角の時間変換装置を示す概略
構成図
【図2】 図1における燃料噴射ポンプの拡大断面図
【図3】 第1実施例におけるパルサ及び回転数センサ
の正面図
【図4】 第1実施例において回転数センサによるエン
ジン回転パルスの出力波形を示す説明図
【図5】 ECUの電気的構成を示すブロック図
【図6】 第1実施例においてCPUにより実行される
基準時間算出ルーチンを説明するフローチャート
【図7】 第1実施例においてエンジン回転数の変動と
エンジン回転パルスとの対応関係を示す説明図
【図8】 第1実施例において回転変化量に対する予測
補正係数の関係を規定したマップの特性図
【図9】 第1実施例においてCPUにより実行される
スピル時刻算出ルーチンを説明するフローチャート
【図10】 第1実施例においてエンジン回転パルスと
電磁スピル弁の作動との対応関係を示す説明図
【図11】 第1実施例において2つの燃焼サイクル間
での回転変化量と、基準時間に対する予測パルス時間の
比との相関関係を示す特性図
【図12】 図11との比較のために、今回燃焼サイク
ル内で求めた回転変化量と、基準時間に対する予測パル
ス時間の比との相関関係を示す特性図
【図13】 本発明を具体化した第2実施例においてC
PUにより実行される基準時間算出ルーチンを説明する
フローチャート
【図14】 第2実施例において回転変化量と、基準時
間に対する予測パルス時間の比との相関関係を示す特性
【図15】 第2実施例において回転変化量と、基準時
間に対する予測パルス時間の比との相関関係を示す特性
【図16】 第2実施例において回転変化量と、基準時
間に対する予測パルス時間の比との相関関係を示す特性
【図17】 従来技術においてエンジン回転パルスと電
磁スピル弁の作動との対応関係を示す説明図
【図18】 従来技術においてエンジン回転数の変動と
エンジン回転パルスとの対応関係を示す説明図
【図19】 従来技術においてエンジン負荷が小さく、
エンジン回転数が約2400rpmに保たれたときの回
転変動を示す特性図
【図20】 従来技術においてエンジン負荷が大きく、
エンジン回転数が約2400rpmに保たれたときの回
転変動を示す特性図
【図21】 従来技術においてエンジン負荷が大きく、
エンジン回転数が約1200rpmに保たれたときの回
転変動を示す特性図
【符号の説明】 2…ディーゼルエンジン、35…回転
数センサ(回転数計 測手段)、81…CPU(クランク
角度演算手段、第一及び第二の時間演算手段、変化度合
演算手段、補正手段並びに選択角切換手段を構成す
る)、NE…エンジン回転数、TNINT…パルス時
間、TNRA…回転変化量(変化度合い)、TS112
5…基準時間、TS1125a…予測パルス時間、θR
EM…余り角度、TSPON…スピル時刻(余り角度の
時間換算値)。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの基準クランク角度位置から目
    標クランク角度位置までのクランク角度を求めるクラン
    ク角度演算手段と、 前回燃焼サイクル内の所定クランク角度だけ回転するの
    に要した時間を求める第一の時間演算手段と、 前記前回燃焼サイクル内の所定クランク角度に対応した
    今回燃焼サイクル内の所定クランク角度だけ回転するの
    に要した時間を求める第二の時間演算手段と、 前記第一の時間演算手段により求められた前回燃焼サイ
    クル内の所定クランク角度だけ回転するのに要した時間
    と、前記第二の時間演算手段により求められた今回燃焼
    サイクル内の所定クランク角度だけ回転するのに要した
    時間との変化度合いを求める変化度合演算手段と、 前記変化度合演算手段により求められた変化度合いに基
    づいて、前記クランク角度演算手段により求められた前
    記基準クランク角度位置から目標クランク角度位置まで
    のクランク角度を時間変換する際に補正を加える補正手
    段とを備えたエンジンのクランク角度の時間変換装置に
    おいて、 前記エンジンの回転数を計測する回転数計測手段と、 前記回転数計測手段により得られた回転数が低くなるほ
    ど、前記前回燃焼サイクル内の所定クランク角度、及
    び、前記前回燃焼サイクル内の所定クランク角度に対応
    した今回燃焼サイクル内の所定クランク角度を、前記目
    標クランク角度位置に近い所定クランク角度に切り換え
    る選択角切換手段とを備えたことを特徴とするエンジン
    のクランク角度の時間変換装置
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