JP2636516B2 - 異種金属の接合方法 - Google Patents
異種金属の接合方法Info
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ば溶接時の加熱により溶接部に脆化相を形成する2種の
異種金属の接合方法に関する。
属同士を溶接すると、接合部には溶接の際の加熱により
金属間化合物が形成されて脆化相が形成されることがあ
る。したがって、満足な接合部強度を得ることができな
い。
用する場合には、主としてボルト、ねじ、または嵌め合
わせ等による機械的接合によっていたが、信頼性、気密
性等に問題があった。
が、例えば摩擦圧接法はその適用が回転体同士に限られ
ていること、爆着法や熱間圧着法は設備、形状等に大き
な制約があること、さらに拡散接合法にも設備、能率面
で問題があることといった問題があり、それぞれ実用化
は容易ではなかった。
ついて、比較的簡便であって高能率な新たな方法が提案
されている。この方法は、略述すれば、2種の前記異種
金属と同じ2種類の金属材料からなるクラッド材を介し
て、異種金属同士を接合する方法である。例えば、雑誌
「軽金属」(vol.27(1989)No.10 、鉄道車両のハイブリ
ッド構体の構体結合構造) には、ステンレス鋼板とAl板
とを接合する場合に、図2(a) および図2(b) に示すよ
うに、ステンレス鋼板とAl板との間にステンレス鋼とAl
とからなるクラッド材を用い、ステンレス鋼板とクラッ
ド材のステンレス鋼板側とが、またAl板とクラッド材の
Al板側とがそれぞれ接するようにして挟持して接合する
方法である。なお、図2(a) は接合手段としてアーク溶
接を行った場合を、図2(b) は接合手段としてスポット
溶接を行った場合をそれぞれ示す。
ド界面の接合強度が重要であり、それが不足していると
接合強度上問題であるが、爆着、圧延等の公知方法で製
造されたクラッド材のクラッド界面は、脆化層の厚さが
極めて薄いため、全体としての接合強度には問題がない
とされている。
は、基本的には、クラッド材を用いる前記方法で接合が
可能であるが、溶接時の加熱で問題が生じることがあ
る。
それぞれが厚い場合には問題はないが、薄い場合には溶
接時の加熱によりクラッド界面が脆化し易くなり、せっ
かくクラッド材を介して接合を行っても、クラッド界面
が低応力で破壊されてしまうことがあるからである。
は、入熱量が大きいために、クラッド界面での破壊が特
に顕著であり、クラッド材の構成材の厚さの下限は、2
mm程度となる。これより小さな値の場合にはクラッド界
面で脆化・破壊してしまう。
た場合は、入熱量が小さいために、クラッド界面で破壊
を生じる限度が若干改善されるものの、それでもクラッ
ド材の構成材の厚さの限度は1.0 〜2.0 mm程度であり、
それ以下の薄いクラッド材を用いることはできないのが
現状である。
(アーク溶接、スポット溶接) には直接関係なく、クラ
ッド材の厚さが大きい場合は問題ないが、実際には例え
ば自動車、家電製品等ではクラッド材の厚さを1mm程度
に小さくする必要があるものが多数あり、この場合はク
ラッド材の構成材料の厚さがそれぞれ1mm以下となり、
従来は、高い信頼性の得られる接合方法がなかった。
うな接合方法を求めて種々検討を重ねた結果、抵抗溶接
を行う際の通電時間を10ms以下と極めて短くするととも
に、大電流を通電することにより、前記クラッド界面を
熱影響により全く劣化させずに抵抗溶接を行うことが可
能であることを知見して、先に特願平2−248278号によ
り提案した。
厚にもよるが、5サイクル (60サイクルが1秒) 程度で
あったが、これに比較して極めて短い時間で通電するこ
とにより、前記問題を解決することができる。
結果、前述の提案によっても十分な接合部強度を得るこ
とができるが、この提案にかかる接合方法では、適正な
接合部強度が得られる接合条件の範囲が必ずしも広くな
く、接合条件の管理を十分に実施しないと所望の接合部
強度が得られないことになってしまうことを知見した。
同時に両材料 (例えば、ステンレス鋼−Al) を接合する
ことは事実上困難であり、ある通電時間で一つの異種金
属とクラッド材との接合を行ってから、再度通電時間の
設定変更を行って、もう一方の異種金属の接合を行わな
ければならず、工数増を招くものであった。
属、例えば溶接時の入熱により溶接部に脆化相を形成す
る2種の異種金属を、確実にかつ低コストで接合する方
法を提供することにある。
を解決するために種々検討を重ねた。本発明者らの検討
によれば、前述の特願平2−248278号により提案した接
合方法において、適正な接合部強度が得られる接合条件
の範囲が狭い理由は、クラッド材を介して同種金属同士
を接触させて接合する際に、それぞれの同種金属同士の
接触部間で、接触抵抗 (電気抵抗) が異なるため、抵抗
発熱量にも差異が存在して、両者を同時に満足する接合
条件を選定することが必ずしも容易でないことにあると
考えられた。
クラッド材とから構成される2つの接合界面のうちの少
なくとも一方に、接合される金属材料との間で、例えば
脆い化合物を形成しない組成を有し、前記金属材料より
融点が低い金属からなる金属薄材を挿入することによ
り、2つの接合界面における電気抵抗値の差を小さくす
ることができ、その結果として、より確実に異種金属同
士を接合することができることを知見した。
8278号により提案した接合方法の適正な接合条件の範囲
がより広くなり、1回の溶接で2種の異種金属とクラッ
ド材との接合を一度に完了することができるといったよ
うに、より簡便に前述の接合方法を実施することがで
き、さらに接合される金属材料よりも金属薄材の融点を
低くすることにより、前記金属材料の表面の汚染層と金
属薄材の融液とが接合時に反応し、前記汚染層を除去
し、良好な接合が行えることも知見した。
らに検討を重ねた結果、本発明を完成した。
種の異種金属同士の間に、2種の前記異種金属と同じ2
種の金属からなるクラッド材を、それぞれ同じ種類の金
属が接するようにして挟持して抵抗溶接を行う異種金属
の接合方法において、前記異種金属とクラッド材とから
構成される少なくとも一方の界面にその界面を構成する
異種金属より融点が低い金属薄材を挿入するとともに、
前記抵抗溶接の際の通電時間は10ms以下として、前記抵
抗溶接を行うことを特徴とする異種金属の接合方法であ
る。
ット溶接、プロジェクション溶接、さらにはシーム溶接
等の重ね抵抗溶接を包含する。
お、本明細書においては、特にことわりがない限り
「%」は「重量%」を意味するものとする。
ol.27(1989) No.10 、鉄道車両のハイブリッド構体の構
体結合構造) により公知とされている技術、すなわち異
種金属同士の間に、前記異種金属と同じ金属からなるク
ラッド材を、該異種金属と同じ金属が対向して接するよ
うにして配置し、抵抗溶接する技術において、2種の前
記異種金属それぞれとクラッド材とから構成される2つ
の接合界面の少なくとも一方に、前記界面を構成する金
属より融点が低い金属薄材を挿入するとともに、抵抗溶
接時の通電時間をある特定の範囲に限定することを特徴
とする発明である。
明する。一般的に、接合を行うためには、接合面となる
金属材料の表面に存在する汚染層 (酸化物と吸着物) を
除去して、金属原子面を露出させることが必要である。
本発明において、通電を行う主たる目的は、この汚染層
を破壊するためであり、したがって通電時間はこの汚染
層を破壊することができる程度であればよい。また、熱
伝導により接合部の広い範囲を加熱する必要は全くな
く、通電時間が長過ぎると、クラッド材のクラッド界面
に熱影響を与え易くなり、むしろ有害である。上限値で
ある10ms以下の通電時間であれば、万が一クラッド界面
に熱影響を与えたときにも、前記クラッド界面には、全
く脆化層を生じない。そこで、本発明においては、抵抗
溶接時の通電時間は10ms以下と限定する。
値を上げて行う。
材料それぞれの厚さが1mm以下であるクラッド材に対し
ても、もちろん適用できるものであり、50μm 程度の箔
のようなクラッド材に対してまでも適用することができ
る。この場合、構成材料の厚さが小さくなればなる程前
述の通電時間を短くすることが望ましいが、このような
場合に本発明の範囲の最大値である10msの通電を行って
も、特に問題は生じないことは言うまでもない。
の異なり、各材料毎の融点、通電時間や接合部の形状、
加圧力等により決定されるものであるので、特定の値の
範囲には限定されないが、要求する接合部強度が得られ
るように設定すればよく、通常のスポット溶接時の電流
値よりは大きい値とすることが適当である。
チリが飛散し、高品質の接合部は得られず接合強度が低
下するため、各材料毎に適宜通電時間に見合った適正な
電流値を選べば良い。例えば、ステンレス鋼板とAl板と
の接合を本発明により行う場合、通電時間が1msのとき
には電流値は20〜60KA程度が好適である。
料それぞれの厚さが1mm超のクラッド材に対しても適用
することができることも言うまでもない。
とを例にとって説明してきたが、本発明にかかる方法は
溶接の際の加熱により溶接部に脆化相を形成する異種金
属の組合せ全てに対して適用することが可能である。
(純AlおよびAl合金を含む。以下同じ) 、Ti系材料、Zr
系材料、Ta系材料、Nb系材料との接合、またはNi系材料
(純NiおよびNi基合金を含む) と、Al系材料、Ti系材
料、Zr系材料、Ta系材料、Nb系材料との接合等に対して
も適用することが可能である。
ド等の公知方法により充分に高い強度で接合されている
クラッド材であればいずれでもよく、本発明では、用い
るクラッド材の製造方法は何ら限定を要するものではな
い。
種金属との接合界面の少なくとも一つに挿入する金属薄
材は、異種金属の融点、例えば図2に示すように異種金
属がステンレス鋼−Alの場合にAlとクラッド材のAl面と
の間の金属薄材の融点は、近接する異種金属のAlより低
い。好ましくは、前記融点が50℃以上低い金属薄材を使
用する。異種金属より融点が低い金属薄材を使用するこ
とによって、異種金属表面における汚染層と薄材融液と
が接合時に反応し、異種金属の表面の汚染層を除去し良
好な接合性が得られるが、異種金属の融点より50℃未満
の融点の材料ではその効果が小さいからである。
融点よりも低融点とするために、前記金属薄材にSi、
B、Cu、P、Al等の融点降下元素を含有せしめる。これ
らの融点降下元素のうち、例えば、Al系材料からなる金
属薄材にはSiを使用し、Ti系材料からなる金属薄材には
Al、Cu等の融点降下元素が使用される。
い。1μm 以上の厚さとすることによって、金属薄材と
異種金属との接触抵抗によるジュール発熱により完全に
溶融し、異種金属の表面の汚染層を破壊し、接合を促進
するからである。
成分と同一とすることが好ましいが、異った主成分を有
する金属薄材であってもよい。その場合には、異種金属
との間の接触抵抗値、異種金属同士の接触抵抗値以上と
なる金属薄材であって、かつ前記異種金属と溶融反応し
た時に脆い層を生成させないものであればよい。
る必要はないが、接合する異種金属の重量、経済性等を
勘案して適宜決定する。
明するが、これはあくまでも本発明の例示であって、こ
れにより本発明が限定されるものではない。
合計の厚さが0.8mm である、Fe (ステンレス鋼) とAlと
の圧延クラッド材1(Fe:0.4mm厚、Al:0.4mm厚) を用い、
図1に示すように、板厚が0.8 mmのFe板2(ステンレス
鋼)と、板厚が0.8 mmのAl板3とを異種金属として、通
電時間を 1.3msまたは1.5mm として抵抗溶接を行った。
なお、金属薄材4としては、Al−12%Si箔 (厚さ:100μ
m)またはFe−3.5 %Si−2%B箔 (厚さ:50 μm)を用
い、これをAl同士が接触する接合界面またはFe同士が接
触する接合界面) に挟んで接合した。接合は、Fe/FeとA
l/Al との接合を同時に行う方法 (一度の溶接で行う)
と、Fe/Fe を接合した後にAl/Al を接合する方法 (2度
の溶接で行う) との2つの方法を行って、試料No.1ない
し試料No.5を得た。
100 μm)を用いて板厚が0.6mm のFe板 (ステンレス鋼)
と板厚が1mmのTi板との接合、金属薄材としてZr−10Cu
箔 (厚さ100 μm)を用いて板厚が0.6mm のNi板と板厚が
1mmのZr板との接合、さらには金属薄材としてPb−5Sn
箔 (厚さ150 μm)を用いて板厚が0.8mm のFe板と板厚が
0.8mm のAl板との接合を、通電時間を1msまたは1.3ms
として抵抗溶接を行って、試料No.6ないし試料No.8を得
た。
明の比較例であって、これらの試料の接合に際しては、
金属薄材は使用していない。また、試料No.9の接合時、
通電時間は20msと本発明の範囲を大幅に超えた条件であ
った。
FeとTiとを用いて、接合を行った。各試料について、接
合後に、図3に示すように、十字引張試験を行って、各
試験片の破断位置により、接合部強度を評価した。結果
を表1に示す。
ン」と示されているのは、通常スポット溶接で強固な接
合が行われた際の十字引張試験で見られるものであっ
て、ナゲットの周辺から母材である異種金属にかけて破
壊が生じボタン穴のような形態となるものである。これ
に対して、スポット溶接で十分な接合が行われなかった
ものでは、平坦で塑性変形の小さいフラットな破面とな
る。
のように、Al/Al 、Fe/Fe を同時に接合しても良好な接
合部強度が得られ、またFe/Fe 、Al/Al の順に2度に分
けて接合する場合でも、30〜50KAという広い範囲の電流
値で接合が可能となることが、試料No. 2ないし試料N
o. 4からわかる。また、試料No. 5から明らかなよう
に、インサート材を両方の接合界面にいれても良好な接
合が1回の接合で得られる。試料No. 6ないし試料No.
8から明らかなように、Fe−Al以外であっても本発明は
適用することができたことがわかる。
と異なる塑性の金属材料であっても本発明は適用するこ
とができる。試料No. 9では、特に通電時間が長過ぎる
ために、クラッド材の界面で脆化が生じてしまった。試
料No.10 ないし試料No.12 は、金属薄材を用いていない
ため、接合部を得られる接合条件の範囲が狭く、1回の
接合では強固な接合が得られなかった。試料No.13 は、
FeとTiを用いて接合を行った例であるが、金属薄材を用
いていないため、所望の接合部強度が得られていない。
定的かつ確実に異種金属同士を接合することができる。
かかる効果を有する本発明の意義は極めて著しい。
説明図である。
示す略式説明図であり、図2(a) は接合手段としてアー
ク溶接を、図2(b) は接合手段としてスポット溶接をそ
れぞれ行った状況を示す略式説明図である。
の内容を示す略式説明図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 2種の異種金属同士の間に、2種の前記
異種金属と同じ2種の金属からなるクラッド材を、それ
ぞれ同じ種類の金属が接するようにして挟持して抵抗溶
接を行う異種金属の接合方法において、前記異種金属と
クラッド材とから構成される少なくとも一方の界面に該
界面を構成する異種金属より融点が低い金属薄材を挿入
するとともに、前記抵抗溶接の際の通電時間は10ms以下
として、前記抵抗溶接を行うことを特徴とする異種金属
の接合方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3009865A JP2636516B2 (ja) | 1991-01-30 | 1991-01-30 | 異種金属の接合方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3009865A JP2636516B2 (ja) | 1991-01-30 | 1991-01-30 | 異種金属の接合方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04253578A JPH04253578A (ja) | 1992-09-09 |
JP2636516B2 true JP2636516B2 (ja) | 1997-07-30 |
Family
ID=11732038
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3009865A Expired - Lifetime JP2636516B2 (ja) | 1991-01-30 | 1991-01-30 | 異種金属の接合方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
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Families Citing this family (6)
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Family Cites Families (1)
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-
1991
- 1991-01-30 JP JP3009865A patent/JP2636516B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH04253578A (ja) | 1992-09-09 |
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