JP2861819B2 - 異種金属の抵抗溶接方法 - Google Patents

異種金属の抵抗溶接方法

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JP2861819B2
JP2861819B2 JP6201505A JP20150594A JP2861819B2 JP 2861819 B2 JP2861819 B2 JP 2861819B2 JP 6201505 A JP6201505 A JP 6201505A JP 20150594 A JP20150594 A JP 20150594A JP 2861819 B2 JP2861819 B2 JP 2861819B2
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正則 泰山
和博 小川
隆夫 高
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウムと鋼、鋼
とチタニウムのように、溶接を行った場合に接合界面に
脆弱な金属間化合物が形成され、高い継手強度を得るこ
とが難しい異種金属の抵抗溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウムと鋼、アルミニウムとチタ
ニウム、チタニウムと鋼のような異種金属の溶接では、
その接合界面に脆弱な金属間化合物が形成され、高い継
手強度が得られないことが知られている。なお、本明細
書で単にアルミニウムと称するときは、純アルミニウム
およびアルミニウム合金を意味し、同様にチタニウム等
はその純金属および合金を意味する。
【0003】従来このような異種金属の接合法として
は、ネジ、ボルト、嵌め合わせなどの機械的な接合方法
や、爆着、熱間圧延、摩擦圧延などの固相接合法、更に
は接着による方法が検討されている。しかし、機械的な
接合や接着による接合では、信頼性、気密性、作業性等
に問題がある。また、固相接合法では、接合材の形状の
制約が大きいことや、作業性の低いことが問題である。
【0004】このようなことから、より簡便で作業性の
高い異種金属の接合法の開発が期待されている。特に、
アルミニウムと鋼の接合は、自動車の軽量化に不可欠の
技術であることから、簡便で効率的な抵抗溶接を用いた
接合法の確立が待望されている。
【0005】以下、車体の軽量化という観点から注目さ
れているアルミニウムと鋼のスポット溶接を取り上げ
て、異種金属の抵抗溶接の現状および問題点を説明す
る。
【0006】アルミニウムと鋼のスポット溶接では、そ
れぞれの融点、電気抵抗、熱伝導度等の物性値が大きく
異なることが問題となる。例えば、アルミニウムと鋼の
薄板を重ね合わせて単純にスポット溶接した場合には、
アルミニウムの融点が鋼の融点の1/2以下であり、し
かもアルミニウムの方が熱伝導度が大きいことから、抵
抗溶接による発熱が鋼側からアルミニウム側に伝導し、
アルミニウムの一方的な溶融が生じるため、アルミニウ
ム側の板表面の溶接による損傷が大きい。また、この過
程で接合界面に金属間化合物が形成され、ナゲットも偏
って形成される。そのため、高い継手強度が得られな
い。
【0007】この対策の一つとして、アルミニウムと鋼
の間に中間層を介在させることが考えられており、例え
ば特開平4−143083号公報には中間層としてMg
箔を介在させる技術が開示されている。また、特開平4
−251676号や特開平6−39558号公報にはア
ルミニウムと接する鋼表面にめっき層を設ける技術が開
示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの従来
の技術は、高い継手強度を安定し得ることができない。
なぜなら、従来技術は、中間層をアルミニウムと鋼の間
に介在する単なるインサート材としており、中間層の設
計にあたってアルミニウムと鋼の物性値の大きな違いを
十分に考慮していないからである。
【0009】すなわち、アルミニウムと鋼の融点差は3
00Kをはるかに超える。本発明者らの調査よると、こ
のように融点差が大きい異種金属の場合、1つの中間層
では安定な継手強度を得ることはできない。逆に、鋼と
チタニウムのように融点差が300K以下の場合は、1
つの中間層でも安定な継手強度を得ることができる。
【0010】換言すれば、前述した従来技術は、鋼とチ
タニウムの接合には有効であるが、本来の接合対象であ
るアルミニウムと鋼の接合に用いた場合には、十分な効
果を発揮できないのである。
【0011】本発明の目的は、接合材の種類にかかわら
ず、高い継手強度を安定して得ることができる異種金属
の抵抗溶接方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】異種金属の抵抗溶接に中
間層は不可欠と考えられる。中間層の挙動を調査する過
程で、その理想的な働きが明らかになった。本発明者ら
が見出した中間層の理想的な働きを図1(A)を用いて
説明する。
【0013】A,Bは接合すべき異種の金属であり、金
属Aの融点TA は金属Bの融点TBより低い。すなわ
ち、TA <TB である。Xは中間層であり、金属A,B
間に介在している。金属A,B間に中間層Xを挟み、そ
の金属A,Bを電極間に挟んで加圧通電を行うことによ
り、金属A,Bは抵抗溶接(ここではスポット溶接)さ
れる。
【0014】このとき、中間層Xの働きにより、金属
A,Bの過剰な融点を抑え、溶接初期において金属A,
Bの直接接触を妨げ、接合界面での金属間化合物の形成
を防止する。金属A,Bの接合面が必要な温度に加熱さ
れた後、中間層Xを完全に溶融させ、加圧力により接合
界面から排出する。これらにより適正な温度に加熱され
た金属A,Bの接合面を瞬間的に重ね合わせて直接接合
することができる。
【0015】これが中間層Xの理想的な働きである。つ
まり、中間層Xを単なるインサート材として用いるので
はなく、金属A,Bの加熱溶融のタイミングを制御する
媒体として機能させる。更に詳しく説明すれば、中間層
Xの働きにより、金属A,Bの接合面の加熱、溶融のタ
イミングを合わせ、各接合面が接合に最も適した状態に
なったときに、接合面間から中間層を排出して、金属
A,Bを直接接合するのである。
【0016】そして、このような理想的な働きを中間層
Xにさせるためには、金属A,Bの物性値の違いを中間
層Xの設計に反映させる必要があり、本発明者らによる
調査の結果、金属A,Bの物性値に基づく一定の条件を
中間層Xに与えることにより、これが可能になることが
判明した。
【0017】また、アルミニウムと鋼のように、金属
A,Bの融点が大きく異なる場合に、中間層Xだけ用い
ると、金属A,Bが反応し、脆弱な金属間化合物を形成
するため、高い接合強度が得られないことが判った。こ
れは、金属A,Bの融点が大きく異なる場合には、融点
の高い金属Bが適正な温度に加熱される前に、中間層X
が溶融・排出されてしまい、その結果、溶融した金属
A,Bが接合完了までの間接触し続け、脆弱な金属間化
合物を形成するからである。換言すれば、中間層Xのみ
を用いる方法は、金属A,Bの融点差が小さい場合にの
み有効である。
【0018】そこで、種々の中間層の組み合わせについ
て調査した結果、金属A,Bの融点が大きく異なる場合
には、図1(B)に示すように、物性が異なる別の中間
層Yを用いる必要のあることが判明した。
【0019】本発明は以上の知見に基づきなされたもの
で、次の2つの異種金属の抵抗溶接方法を要旨とする。
【0020】1) 融点差が300K以下である異種金
属A,B(金属Aの融点T<金属の融点T)の抵
抗溶接において、融点が(T−300)K以上T
下である中間層Xを金属A,B間に介在させることによ
り、抵抗溶接の際に抵抗加熱により中間層Xを瞬時に溶
融させると共に、その溶融した中間層Xを加圧力により
接合界面から排出して、金属A,Bを直接接合する。
【0021】2) 融点が異なる異種金属A,B(金属
Aの融点TA <金属Bの融点TB )の抵抗溶接におい
て、融点が(TA −300)K以上TA 以下である中間
層Xと、融点がTA 以上TB 以下である中間層Yとを、
中間層Xが金属A側に位置し中間層Yが金属B側に位置
するように金属A,B間に介在させることにより、抵抗
溶接の際に抵抗加熱により中間層X,Yを瞬時に溶融さ
せる共に、その溶融した中間層X,Yを加圧力により接
合界面から排出して、金属A,Bを直接接合する。
【0022】中間層の厚さは、 0<RX ×dX 1/4 <RX ×0.51/4 …(1) ZAB×3500<RY ×dY 1/4 <RY ×0.51/4 …(2) ZAB=(RA /KA )×(KB /RB )×(1/TB ) 0<dA ,dB ≦3 di :厚さ(mm) Ri :比抵抗(μΩ・mm) Ki :熱伝導率(cal/cm2 /cm/s/℃) であることが望ましい。ただし、中間層Yを用いない第
1法では、(2) の条件は不用である。
【0023】溶接電流および溶接時間は、 IO =α×(ZAB×TB )×(1/t1/2 )+9 …(3) ZAB=(RA /KA )×(KB /RB )×(1/TB ) 350<α<550 0<tO <100 IO :溶接電流(kA) tO :溶接時間(ms) Ri :比抵抗(μΩ・mm) Ki :熱伝導率(cal/cm2 /cm/s/℃) α :定数 であることが望ましい。
【0024】
【作用】第1法は、金属A,Bの融点差が300K以下
の場合にのみ有効であるので、この場合にのみ適用す
る。具体的には例えば金属Aが鋼、金属Bがチタニウム
の場合である。金属Aが鋼、金属Bがチタニウムの場
合、中間層Xとしては、例えばNi−Zn,Zn,Ti
−Mn,Alおよびその合金、Mgおよびその合金等を
用いることができる。
【0025】第2法は、金属A,Bの融点差が300K
を超える場合に有効であるが、融点差が300K以下の
場合(例えば鋼とチタニウムの接合)にも当然用いるこ
とができる。融点差が300Kを超える金属A,Bの組
み合わせとしては、例えば金属Aがアルミニウム、金属
Bが鋼の場合がある。この場合、中間層XとしてはAl
−Si、Zn等を、また中間層YとしてはAl−Mn、
Ni−Zn,Cu,Ni等を用いることができる。
【0026】図2は第1法(スポット溶接)において中
間層Xの材質および厚さを変えたときの接合部の引張試
験結果を、厚さをパラメータとして融点と比抵抗×(厚
さ)1/4 との関係により整理したものである。金属Aは
鋼(厚さ1.0mm)、金属Bはチタニウム(厚さ1.0m
m)である。溶接条件は1ms−32kA−1960N
とした。白抜きマークは母材破断、黒マークは界面剥離
である。
【0027】図から分かるように、金属A,Bの融点差
が300K以下の場合は、中間層Xとして、その融点が
(金属Aの融点TA −300)K以上、金属Bの融点T
B 以下のものを用いる必要がある。適正な中間層Xは、
ここではNi−Zn,Zn,Ti−Mnの3種類であ
る。
【0028】中間層Xの融点が金属Bの融点T を超え
ると、接合中に金属Aの接合面が異常加熱される共に、
中間層Xよりもむしろ金属が溶融し、接合後に中間層
Xが接合界面が残る。そのため、高い継手強度が得られ
ない。また、中間層Xの融点が(金属Aの融点T−3
00)K未満になると、接合初期に中間層Xが溶融して
接合面間から排出され、金属Bの接合面を十分に加熱す
ることができなくなると共に、金属A,Bが接触し、接
合界面に金属間化合物を形成するため、やはり高い継手
強度が得られない。
【0029】中間層Xの特に望ましい融点は、TA 以上
B 以下である。
【0030】図3は第2法(スポット溶接)において中
間層X,Yの材質および厚さを変えたときの接合部の引
張試験結果を、厚さをパラメータとして融点と比抵抗×
(厚さ)1/4 との関係により整理したものである。金属
Aはアルミニウム(厚さ1.0mm)、金属Bは鋼(厚さ
1.0mm)である。溶接条件は1ms−50kA−19
60Nとした。白抜きマークは母材破断、黒マークは界
面剥離である。
【0031】図から分かるように、金属A側の中間層X
として融点が(金属Aの融点TA −300)K以上、金
属Aの融点TA 以下のもの、金属B側の中間層Yとして
融点が金属Aの融点TA 以上、金属Bの融点TB 以下の
ものを用いることにより、金属A,Bの融点差が300
Kを超える場合も、高い継手強度を得ることができる。
適正な中間層は、ここではXがZn,Al−Siの2種
類、YがAl−Mn,Cu,Ni−Zn,Niの4種類
である。
【0032】第2法においては、融点が最も低い中間層
Xが低融点側の金属Aと接し、溶接初期にこの中間層X
の溶融が生じる。中間層Xが溶融した後、次に融点が高
い金属Aの表面が溶融し、その表面の酸化層が破壊さ
れ、金属Aの活性面が現れる。続いて、次に融点が高い
中間層Yが溶融し、金属Bの活性な面が現れる。そして
最後に、溶融した中間層X,Yと金属Aの表面に存在し
ていた酸化膜が溶接用の加圧力により接合界面から押し
出され、活性な金属Aと金属Bの面が固相状態で重ね合
わされて、高い強度を有した金属A,Bの接合がなされ
る。
【0033】このように、中間層X,Yは抵抗溶接にお
ける発熱・溶融現象をコントロールすることにより、母
材の溶融抑制、アルミニウム表面の酸化膜の破壊、溶融
層および酸化膜の排出、活性面の接合というプロセスの
形成に寄与して、接合界面に高い強度を与える。
【0034】中間層X,Yの融点がいずれも金属Aの融
点より高い場合には、溶融初期に金属Aの表面が溶融
し、その後も、中間層X,Yより金属Aの方が厚さが大
きいため、溶接熱量が金属Aの溶融に主に消費され、そ
の結果、金属Aの側に偏ったナゲットが形成される。し
かも、金属Aよりも中間層X,Yの融点が高いために、
中間層X,Yの溶融が不十分となり、接合界面からの中
間層X,Yの排出も不完全となる。従って、接合を行っ
ても高い強度が得られない。
【0035】中間層X,Yの融点がいずれも金属Aの融
点より低い場合は、特開平4−251676号公報に開
示されている方法の場合と同様に、溶接初期にその中間
層X,Yが溶融して排出され、中間層の効果が充分に与
えられないまま接合が完了するため、高い接合強度は得
られない。
【0036】また、高融点金属B側の中間層Yの融点が
金属Aの融点より低く、低融点金属側の中間層Xの融点
が金属Aの融点より高い場合は、溶接初期に中間層Yが
溶融し、その溶融により中間層Xも接合界面から排出さ
れるため、皮膜の効果が得られない。
【0037】すなわち、第2法は、低融点金属Aの側に
位置する低融点の中間層Xにより、接合界面への発熱を
集中させ、その中間層Xが溶融した後、金属Aの溶融に
より、金属Aの接合面を活性化し、更に高融点金属Bの
側に位置する高融点の中間層Yが溶融することにより、
これらの溶融層の排出を効率的に行い、活性な金属A,
Bの接合面を重ね合わせて直接接合するものである。従
って、金属A,Bおよび中間層X,Yの溶融のタイミン
グが重要となり、前記の融点関係を有することが必要と
なる。中間層が1層の場合にこのような効果が得られな
いことは言うまでもない。
【0038】金属A,Bの接合で最も懸念される接合界
面に形成される脆弱な金属間化合物については、前述し
たように、溶融層が接合界面から完全に排出され、活性
面が直接重ね合わされるために、その金属間化合物が形
成されることはない。
【0039】本発明では、低融点側金属Aの表面の活性
化をより進める観点から、金属Aの接合面に低融点の中
間層Zを設けることが有効である。この中間層Zとして
は、これまで述べてきた理由によりその融点が金属Aよ
り低いことが必要となり、前述した低融点中間層Xと同
じ成分であっても充分な効果が得られる。
【0040】中間層Yの特に望ましい融点は、(TB
100)K以下、(TA +50)K以上である。中間層
Yの融点が金属Bの融点TB に接近すると、金属Bの溶
融が大きくなり、金属Aの融点TA に接近すると、金属
Aの溶融が大きくなるために、いずれの場合も高い接合
強度が得られないおそれがある。
【0041】中間層Xの望ましい融点は、(TA −5
0)K以下、(TA −300)K以上である。中間層X
の融点が金属Aの融点TA に接近すると、金属Aの溶融
が大きくなり、また金属Aの融点TA から離れすぎると
溶接初期に中間層Xが溶融し排出されるために、いずれ
の場合も十分な効果が得られないおそれがある。
【0042】本発明の溶接方法が適用可能な金属A,B
の組み合わせ例および各組み合わせにおける適正な中間
層の代表的なものを表1に列記する。
【0043】
【表1】
【0044】本発明では、抵抗溶接であるために、金属
A,Bおよび中間層の溶融には、融点と共に比抵抗およ
び厚さが関係する。
【0045】例えば中間層の融点が前記条件を満たして
いたとしても、その融点が金属Aの融点TA より高い場
合は、中間層での発熱が金属Aに伝わり、中間層の溶融
が不十分となる。
【0046】具体的に説明すると、例えば第2法〔図1
(B)〕において金属B側の中間層YとしてCuを用い
た場合、その熱伝導率が大きく比抵抗が小さいために、
層厚が小さいと界面での発熱が小さくなり、中間層Yが
溶融しないために、金属Bの接合面の加熱が不足し、ま
た、その中間層Yが接合界面に残って、継手強度が低下
する(図3)。
【0047】また、中間層の比抵抗や厚さが大きいと、
中間層が十分に溶融せず、その機能を果たせない。
【0048】これらの観点から実験結果を整理した結
果、(1)(2)の条件が得られた。この条件から得られる適
正な中間層の厚さを表2に具体的に示す。
【0049】なお、Ni−Zn,Ti−Mn,Al−S
i,Al−Mn等の合金は、その成分比を変えることに
より、融点を広範囲に調整することができる。
【0050】
【表2】
【0051】第1法において中間層Xの比抵抗・厚さが
過大になると、その溶融が不十分となり、接合界面から
の排出が困難になる。その下限については、中間層Xは
金属A,Bの接触防止用バリヤとして機能すればよいの
で、特に限定しない。第2法においても中間層Xの比抵
抗・厚さは同じ理由から上限のみが必要となる。中間層
Yについては、その比抵抗・厚さが過大になると、溶融
が不十分になって接合界面からの排出が困難になり、過
小の場合は高融点側の金属Bの接合面が十分に加熱され
ないために、高い継手強度が得られない。
【0052】中間層X,Yは、粉末、箔、メッキ等のい
ずれでも十分な効果を挙げることができ、各中間層を異
種または同様の複層構造とすることもできる。
【0053】金属A,Bのいずれかの接合面に中間層
X,Yをまとめて形成した場合は、他方の金属の接合面
に中間層が不要となり、また接合では中間層X,Yの取
り扱いが不要になる。例えば鋼板の表面に中間層X,Y
をメッキ等により形成した表面処理鋼板がそれである。
【0054】金属A,Bの厚さdA ,dB を0.3mm以
下としたのは、溶接入熱の小さい抵抗溶接を行うためで
ある。
【0055】溶接方法としては、スポット溶接はもちろ
んのことシーム溶接、DCバット溶接、プロジェクショ
ン溶接などの抵抗溶接も適用可能である。
【0056】本発明では又、溶接条件も重要である。適
正な中間層を用いても、溶接電流が多すぎる場合には、
金属A,Bの反応により金属間化合物が形成されるため
に、高い継手強度が得られず、少なすぎる場合には、中
間層の溶融が不十分となり、かつ、高融点側の金属Bの
接合面が十分に加熱されないために、やはり高い継手強
度が得られない。
【0057】図4は第1法(スポット溶接)において金
属Aが鋼(厚さ1.0mm)、金属Bがチタニウム(厚さ
1.0mm)である場合に、適正な中間層X(Ni,厚さ
0.1mm)を用い、このときの適正溶接条件を調べたも
のである。
【0058】また、図5は第2法(スポット溶接)にお
いて金属Aがアルミニウム(厚さ1mm)、金属Bが鋼
(厚さ1mm)である場合に、適正な中間層X(Zn,
厚さ0.1mm)および中間層Y(Al−Mn,0.01m
m)を用い、このときの適正溶接条件を調べたものであ
る。
【0059】これらの実験結果を整理した結果、(3) の
条件が得られた。この条件から得られる適正な溶接電流
O (溶接時間が1msのときの適正溶接電流)を表3
に示す。
【0060】
【表3】
【0061】溶接時間tO を100ms以下としたの
は、短時間の接合を行うことにより、接合界面での金属
間化合物の形成を抑えるためである。
【0062】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し、比較例と対比
することより、本発明の効果を明らかにする。
【0063】金属A,Bの融点差が300K以下の場合 金属Aである厚さ1mmの鋼板(SPCD)と金属Bで
ある厚さ1mmのチタニウム板(TP25)をスポット
溶接するにあたり、厚さ0.005〜0.5mmのPb,Z
n,Al−Mn,Cu,Ni−Zn,Ni,Zr,Mo
からなる中間層を用いた。中間層の内訳を表4および表
5に示す。
【0064】溶接時間1〜400ms,溶接電流5〜8
0kA,加圧力1960Nの条件でスポット溶接を行
い、十字引張試験での破断位置から継手強度を評価し
た。結果を表6〜表9に示す。これらの結果のなかから
中間層の種類および厚さが継手強度に及ぼす影響を示す
ものを取り上げたのが図2、溶接電流の影響を示すもの
を取り上げたのが図4である。
【0065】表6〜表9から分かるように、金属A,B
の融点差が300K以下の場合、第1法が有効であり、
第2法も無論有効である。
【0066】金属A,Bの融点差が300Kを超える場
金属Aである厚さ1mmのアルミニウム板(A505
2)と金属Bである厚さ1mmの鋼板(SPCD)をス
ポット溶接するにあたり、厚さ0.005〜0.5mmのP
b,Zn,Al−Mn,Cu,Ni−Zn,Ni,Z
r,Moからなる中間層(表4および表5)を用いた。
【0067】溶接時間1〜400ms,溶接溶接電流5
〜80kA,加圧力1960Nの条件でスポット溶接を
行い、十字引張試験での破断位置から継手強度を評価し
た。結果を表10〜表16に示す。これらの結果のなか
から中間層の種類および厚さが継手強度に及ぼす影響を
示すものを取り上げたのが図3、溶接電流の影響を示す
ものを取り上げたのが図5である。
【0068】表10〜表16から分かるように、金属
A,Bの融点差が300K以下の場合、第2法は有効で
あるが、第1法は有効でない。
【0069】
【表4】
【0070】
【表5】
【0071】
【表6】
【0072】
【表7】
【0073】
【表8】
【0074】
【表9】
【0075】
【表10】
【0076】
【表11】
【0077】
【表12】
【0078】
【表13】
【0079】
【表14】
【0080】
【表15】
【0081】
【表16】
【0082】
【発明の効果】以上に説明した通り、本発明の異種金属
の抵抗溶接方法は、通常の溶接では接合することが難し
い異種金属についても、抵抗溶接による簡便で効率的な
溶接を可能にし、自動車や鉄道車両等の軽量化が要求さ
れる生産分野に工業上多大のメリットをもたらす。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶接方法を模式的に示す図である。
【図2】第1法の有効性を示す図である。
【図3】第1法における適正溶接条件を示す図である。
【図4】第2法の有効性を示す図である。
【図5】第2法における適正溶接条件を示す図である。
【符号の説明】
A,B 接合する金属(Aは低融点側、Bは高融点側) X,Y 中間層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 淳一 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−48681(JP,A) 特開 平4−55066(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 11/20

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点差が300K以下である異種金属
    A,B(金属Aの融点T<金属Bの融点T)の抵抗
    溶接において、融点が(T−300)K以上T以下
    である中間層Xを金属A,B間に介在させることによ
    り、抵抗溶接の際に抵抗加熱により中間層を瞬時に溶融
    させる共に、その溶融した中間層を加圧力により接合界
    面から排出して、金属A,Bを直接接合することを特徴
    とする異種金属の抵抗溶接方法。
  2. 【請求項2】 融点が異なる異種金属A,B(金属Aの
    融点T<金属Bの融点T)の抵抗溶接において、融
    点が(T−300)K以上T以下である中間層X
    と、融点がT以上T以下である中間層Yとを、中間
    層Xが金属A側に位置し中間層Yが金属B側に位置する
    ように金属A,B間に介在させることにより、抵抗溶接
    の際に抵抗加熱により中間層を瞬時に溶融させる共に、
    その溶融した中間層を加圧力により接合界面から排出し
    て、金属A,Bを直接接合することを特徴とする異種金
    属の抵抗溶接方法。
  3. 【請求項3】 中間層X,Yの厚さが 0<R×d 1/4<R×0.51/4 …(1) ZAB×3500<R×d 1/4<R×0.51/4 …(2) ZAB=(R/K)×(K/R)×(1/T) 0<d,d≦3 d:厚さ(mm) R:比抵抗(μΩ・mm) K:熱伝導率(cal/cm/cm/s/℃) であることを特徴とする請求項1または2に記載の異種
    金属の抵抗溶接方法。
  4. 【請求項4】 溶接電流が、 I=α×(ZAB×T)×(1/t1/2)+9 …(3) ZAB=(R/K)×(K/R)×(1/T) 350<α<550 0<t<100 I:溶接電流(kA) t:溶接時間(ms) R:比抵抗(μΩ・mm) K:熱伝導率(cal/cm/cm/s/℃) α :定数 であることを特徴とする請求項1,2または3に記載の
    異種金属の抵抗溶接方法。
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