JP2756238B2 - タングステン基金属材と銅基金属材との摩擦圧接方法 - Google Patents

タングステン基金属材と銅基金属材との摩擦圧接方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インサ−ト材を用いた
W基金属材とCu基金属材との摩擦圧接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】W基金属材とCu基金属材との継手は、
大電流プラズマ電極部品をはじめ各種の電極部品に活用
されている。W基金属材とCu基金属材とは、金属学的
には不溶性の組合わせであり、通常のア−ク溶接法では
接合困難なため難接合材の組合せと言われている。この
ため、W基金属材とCu基金属材との複合化は、通称鋳
ぐるみ法(または鋳込み法とも呼ばれる)によって行わ
れている。すなわち、鋳型内に高融点である固体のW基
金属材を配置し、鋳型に低融点のCu基金属材の溶湯を
注湯した後、固液界面で凝固が生じて接合されるもので
ある。しかしながら、鋳ぐるみ法では製作価格が高いと
いう欠点がある。鋳ぐるみ法以外には、ろう付けという
接合法がある。ろう付けでは、継手強度がCu基金属材
の母材強度に比べてかなり低いだけでなく、ばらつきが
大きいため継手性能に対する信頼性が低い。しかも、ろ
う材の融点が低いため、ろう付け継手の場合は使用温度
が低く制限されるという欠点がある。
【0003】以上のように、W基金属材とCu基金属材
とは、鋳ぐるみ法による一体成形、ろう付け法による接
合法があるが、種々の欠点があるため、高能率、低価格
でかつ高強度が得られる接合法の開発が急務となってい
る。
【0004】ここで、W基金属材とは、純WおよびWを
成分とする合金を総称するものであり、Cu基金属材は
純CuおよびCuを成分する合金を示すものである。N
b基金属材とは純NbおよびNbを成分とする合金を総
称するものであ。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の諸問題に対し
て、同種金属および異種金属の接合において高能率で、
高い信頼性をもつ接合法として、これまで広範な実績を
もち各種機械、電気部品等の製作に広く適用されている
摩擦圧接法がある。発明者らは、W基金属材とCu基金
属材との接合に関して、鋳ぐるみ法およびろう付け法よ
りも低価格で高強度で安定した信頼性のある接合技術を
開発するため、通常の摩擦圧接法を適用して継手強度を
引張強さによって評価したところ、以下の結果が得られ
た。(詳細は、発明者が以前に行った研究であり、
(社)溶接学会論文集 第7巻第4号(平成元年11
月)、P444−P449に掲載されている。)
【0006】研究の概要は次のとおりである。W基金属
材として開先面を旋削した純W(JIS−VB2G)と
Cu基金属材として無酸素銅JISC1020−H)を
用いて基礎実験を行った。純W及び無酸素銅を、接合部
が直径13mmの同径丸棒(開先面はいずれの試片も旋
削仕上げ)にして摩擦圧接した。使用した圧接サイクル
は、図1に示すブレ−キ式であり、その圧接条件を表1
に示す。
【表1】
【0007】継手の性能評価は引張強さによって行うこ
ととし、図2に引張試験片の形状を示す。なお、圧接サ
イクルにおいては、摩擦開始時に摩擦圧力P1を直接付
加すると急激なトルクの増加が発生して、摩擦圧接機の
主軸モ−タ部およびチャック部に大きな負荷が加わる。
その結果、主軸モ−タが回転停止したり、チャック部の
損耗等が生じることがある。このようなことを防止する
目的で、通常の摩擦圧接では、摩擦過程の前に摩擦圧接
機の推力の制御可能な範囲の低圧力(予備摩擦圧力:P
0)でt0s間の予備摩擦が行われる場合がある。本実験
においても、予備摩擦過程を設けて接合実験を実施し
た。予備摩擦過程には、予備摩擦圧力が本実験のように
階段状に付加される場合以外に、傾斜状に上昇させ予備
摩擦時間t0s後に予備摩擦圧力P0に達する場合もあ
る。
【0008】上記の圧接サイクルで摩擦圧接した結果、
継手の引張強さは、図3に示すように摩擦時間が4s以
上になると摩擦時間t1の増加とともに上昇し、摩擦時
間が8s以上では約200MPaに達してほぼ一定とな
った。継手はすべて圧接面あるいは圧接面近傍の純W側
で破断した。継手強度が母材強度に比べてかなり低くな
った原因の一つとしては、開先面を旋削した純Wでは強
加工を受けることによって開先面近傍に脆化した加工層
が形成され、脆化した加工層が継手強度を低下させるこ
とが明らかになった。そこで、加工層をエメリ−ペ−パ
による研磨によって除去した純Wを用いて摩擦圧接した
結果、図4に示すように継手の引張強さは摩擦時間が5
s以上で240MPaまで上昇したが、継手は圧接面と
圧接面近傍の純W側で破断した。継手強度が低い原因
が、圧接条件の設定不良によるものかどうかを検討する
ため、摩擦面における密着性を向上させるパラメ−タの
一つである摩擦圧力をP1=50MPaから80MPa
に増加させて摩擦圧接した結果、摩擦時間が8sで継手
の引張強さは240MPaのままで、継手は圧接面と圧
接面近傍の純W側で破断した。したがって、無酸素銅母
材の引張強さが305MPaであることを考えると、継
手の引張強さは母材強度の約80%と低いため、単に開
先面に形成された加工層の除去および摩擦圧力の増加だ
けでは良好な継手強度が得られないことが明らかになっ
た。このため、良好な継手強度を得るための接合法の開
発が必要である。
【0009】ここで、W基金属材とCu基金属材との摩
擦圧接継手において良好な継手強度とは、継手強度の指
標の一つである引張強さが、いずれかの母材強度の低い
金属材(純Wと無酸素銅との場合には、無酸素銅側)と
比較して、同等もしくはそれに匹敵する値を示すと定義
する。但し、銅側は摩擦圧接中に圧接部近傍が熱影響に
よって軟化することが知られている。このため、本実施
例において継手が無酸素銅側で破断したとしても引張破
断したとしても、その引張強さは無酸素銅母材よりも少
し低い値となる。継手の引張強さが、無酸素銅母材の強
度よりも少し低いとしても、継手が無酸素銅中の軟化域
で破断した場合は、良好な継手強度となる。
【0010】このような状況に鑑み、W基金属材とCu
基金属材との摩擦トルクを増加させるとともにW基金属
材の酸化を抑制し、短時間の摩擦によって良好な継手強
度を得るための摩擦圧接方法として、次の接合法が考案
される。すなわち、W基金属材とCu基金属材との間
に、摩擦係数が高い金属のインサ−ト材を介して摩擦圧
接するものである。このような摩擦圧接を行うためのイ
ンサ−ト材については、摩擦中に激しい塑性流動によっ
て微細に破断されて銅とともにバリへ排出されることが
望ましい。
【0011】インサ−ト材を用いた摩擦圧接方法につい
ては、これまでいくつか提案されている。その提案は、
本発明が提案しようとするインサ−ト材の機能および効
果とは全く異なったものである。そこで、本発明の提案
と従来の提案との相違点を明らかにする。
【0012】特開平4−9289には、Ti基金属材と
Fe基金属材との接合面との間にFe基金属材と接合性
が良好で、かつTi基金属材と金属間化合物の形成を抑
制することが可能なNi−Cr合金をインサ−ト材に用
いることによって、インサ−ト材を使用しない通常の摩
擦圧接方法よりも高い接合強度が得られる接合方法を開
示している。但し、インサ−ト材については、インサ−
ト材のうち接合面間に介在する部分の体積Vと接合面の
面積Sとの比V/Sが0.02以上、5.0以下に限定
される。この接合方法では、インサ−ト材が拡散接合の
場合のように接合しようとする二つの金属に対して接合
性がよく、金属間化合物を形成しないか、あるいは金属
間化合物の形成を抑制する目的で機能するものであるた
め、接合部に有限厚さをもって(接合面間に介在する体
積V)に残存しなければならない。また、V/Sが0.
02以下の場合には、摩擦圧接中の激しい塑性流動によ
って寸断されるため、接合強度が低下するとしている。
したがって、この提案は、本発明のインサ−ト材の機能
とは全く異なるものである。
【0013】特開平1−241375には、チタン合金
と鉄鋼材料の接合面の間にろう材を介する摩擦圧接方法
が開示されている。この方法は、摩擦圧接中にチタン合
金と鉄鋼材料よりも低融点のろう材を溶融させて接合す
るというものである。本発明におけるインサ−ト材はろ
う材のように摩擦圧接中に溶融させる機能として使用す
るものではないため、特開平1−241375で示した
インサ−ト材の使用目的との差違は明確である。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、W基金属材と
Cu基金属材との摩擦圧接方法について、特定の金属を
両金属材の間にインサ−ト材として介して摩擦圧接する
ことにより、良好な継手強度が得られることを見い出し
た。W基金属材とCu基金属材との間に、インサ−ト材
を介する方法については、例えば図5に示すように箔材
を用いてCu基金属材側に固定する方法をはじめ、W基
金属材側に固定する方法、あるいは両金属材に固定する
方法だけでなく、イオンプレ−ティング法やめっき法等
によって開先面にインサ−ト材の皮膜を形成する方法で
もよい。本発明は、W基金属材とCu基金属材との接合
面との間に、Nb基金属材をインサ−ト材として介し、
W基金属材とCu基金属材のうち一方を回転させて、両
金属材とインサ−ト材とを軸方向への圧縮力を伴いつつ
摩擦により加熱し、その後両金属材の軸方向に加圧して
両金属材を摩擦圧接することを特徴とする。
【0015】本発明の摩擦圧接方法における圧接サイク
ルは、図1で示したブレ−キ式の場合に限らず、米国等
で使用されているフライホイ−ル式(あるいはイナ−シ
ャ式とも呼ぶ)による場合でもよい。また、接合しよう
とするW基金属材とCu基金属材の継手形状および寸法
についても制限はない。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を図表を参照して説明
する。W基金属材とCu基金属材との摩擦圧接におい
て、まずインサ−ト材として箔材を用いた場合について
説明する。良好な継手強度を得るためのインサ−ト材と
して、どのような金属が適正であるかどうかを明らかに
するため、種々の箔材を用いて摩擦圧接を行い、継手の
引張強さおよび破断位置を調べた。
【0017】使用したインサ−ト金属は、Ti(厚さ2
0μm)、Nb(厚さ25μm)、Fe(厚さ25μ
m)以外に、アルミニウム(以下Alと記す。厚さ25
μm)、ニッケル(以下Niと記す。厚さ20μm)、
銀(以下Agと記す。厚さ30μm)の箔材である。使
用した圧接サイクルは、図1で示したブレ−キ式であ
り、圧接条件も表1で示したものと同一である。摩擦圧
接試験片も前述の試験片と同一で純Wと無酸素銅とも開
先面の直径は13mmの同径丸棒である。純Wの開先面
は、旋盤加工によって生じた加工層を研磨によって除去
したものを用いた。種々のインサ−ト材を用いた継手の
寄り変形挙動、金属組織および継手強度を、インサ−ト
材を使用しない通常の摩擦圧接継手の強度と比較した。
【0018】まず、インサ−ト材の有無が、圧接部の巨
視的な寄り変形にどのような差が生じるかを調べた。図
6は、各種インサ−ト材を用いて摩擦圧接したときの摩
擦時間に対する寄り代(両金属の軸方向における圧縮変
形量)を比較したものである。図6に示すようにNb、
TiおよびFeインサ−ト材の摩擦寄り代は、他のイン
サ−ト材の場合よりもはるかに多くなっていた。次い
で、Al、Niインサ−ト材の順に摩擦寄り代は減少
し、Agインサ−トの場合はインサ−ト材を使用しない
通常の摩擦圧接方法(図中の破線)よりもさらに小さく
なっていた。したがって、厚さがわずか20〜30μm
のインサ−ト材を用いるだけで、通常のインサ−ト材を
使用しない摩擦圧接方法に比べて、圧接部の寄り変形挙
動に顕著な差異を生じることが明らかになった。
【0019】次に、圧接部の金属組織は、Nb、Ti、
Al、FeおよびNiインサ−ト材の場合、インサ−ト
材と無酸素銅とが激しく混合した層状組織(混合層)が
観察された。また、この混合層の厚さは、中心部付近で
は100〜200μmに達している領域も観察された
が、外周部付近では非常に薄くなり、ほとんど観察でき
ない部分も認められた。いずれのインサ−ト材の場合と
も、摩擦時間の経過およびアプセット圧力の付加ととも
に、バリに排出されて減少していた。一方、TiとAl
インサ−ト材の場合には、混合層中にそれぞれCuとT
i、CuとAlの反応によって金属間化合物が形成され
ている部分が分析によって明らかになった。さらさら
に、Agインサ−トの場合には、混合層の形成はほとん
ど認められず、厚さ数μm〜20μmの膜状になったA
g層が純Wに接して残存していた。
【0020】継手の引張強さは、いずれのインサ−ト材
の場合も図7に示すように摩擦時間t1の増加とともに
上昇し、その後ほぼ定常値に達した。Ti、Nb、F
e、NiおよびAlインサ−ト材の場合は、インサ−ト
材を使用しない摩擦圧接の場合に比べて、短い摩擦時間
で高い引張強さが得られた。特に、図6で示したように
急速な摩擦寄り挙動を示したTi、NbおよびFeイン
サ−ト材の場合は、短い摩擦時間で260MPa以上の
高い引張強さが得られた。さらに、Ti、NbおよびF
eの3種類のインサ−ト材の中で、Nbインサ−ト材の
場合は、摩擦時間が4s以上で継手の引張強さは270
MPa(無酸素銅の母材強度の約90%)に達して、継
手は無酸素銅中の母材部付近で破断した。したがって、
Nbインサ−ト材の場合は、短い摩擦時間で良好な継手
強度が得られることが明らかになった。それ以外の継手
はすべて圧接面近傍で破断した。FeおよびTiインサ
−ト材の場合、寄り変形挙動の圧接現象が非常に不安定
になるため、摩擦時間を長くすることができなかった。
TiおよびAlインサ−ト材の場合、破面をX線回折パ
タ−ンを調べた結果、Cuとの金属間化合物の回折パタ
−ンが検出された。TiおよびAlインサ−ト材の場
合、継手が圧接面近傍で破断したのは、脆性な金属間化
合物の形成によるものと考えられる。また、Agインサ
−トの場合は、インサ−ト材を使用しない通常の摩擦圧
接の場合よりも引張強さはかなり低くなっていた。以上
の結果、Feインサ−ト材のように摩擦時間を長くして
接合できない場合をはじめ、通常の摩擦圧接の場合の継
手強度以下となったNiおよびAgインサ−ト材の場
合、さらに圧接部にCuと脆性な金属間化合物を形成す
るTiおよびAlインサ−ト材は不適である。
【0021】継手強度がインサ−ト材を用いることによ
って改善された原因の一つとして、摩擦中の発熱量の影
響について検討するため、圧接部の寄り変形を生じる駆
動力の因子の一つである摩擦トルクから発熱量を算出
し、各インサ−ト材を用いた場合について比較した。図
8は、Nbインサ−トにおける摩擦トルクの測定結果例
である。摩擦トルクは、摩擦圧力P1を付加すると急激
に増加し、最大値をとった後、しだいに低下して準定常
なトルクに達する挙動を示した。表2は、準定常状態に
なる摩擦時間t1=3sにおける発熱量をインサ−ト材
を用いない通常の摩擦圧接と各インサ−ト材を用いた場
合について示したものである。
【表2】
【0022】インサ−ト材を使用しないときのt1=3
sにおける摩擦トルクは8.5Nmであるのに対して、
急速な摩擦寄り現象と継手強度の増加がみられたTi、
NbおよびFeインサ−ト材の場合の発熱量は、インサ
−ト材を使用しない場合よりも3倍以上に達していた。
次いで、Al、Ni、Agの順で発熱量は低くなってい
た。摩擦寄り代が最も少ないAgインサ−ト材の発熱量
は、インサ−ト材を用いない場合よるも少なくなってい
た。このような発熱量の多寡は、継手の引張強さの摩擦
時間依存性の傾向とぼ一致する。
【0023】発熱量が比較的低いNiインサ−ト材の場
合について、Ti、NbおよびFeインサ−ト材の発熱
量と同等になる圧接条件(ここでは、摩擦圧力を高くす
る)に設定して摩擦圧接した場合、発熱量の増加が継手
強度の上昇に寄与するかどうかを調べた。摩擦圧力P1
を50MPaから100MPaとして摩擦圧接した結
果、表3に示すように発熱量はTiインサト−材とほぼ
同等となり、摩擦時間が
【表3】 1=4sでは継手の引張強さは200MPaから24
0MPaまで上昇したが、継手は圧接面と圧接面近傍の
純W側で破断した。また、Alインサ−ト材の場合につ
いても、摩擦圧力P1を50MPaから120MPaに
した結果、t1=4sでは継手の引張強さは190MP
aから250MPaに上昇したが、継手は圧接面と圧接
面近傍の純W側で破断した。破面からのX線回折パタ−
ンを調べた結果、CuとAlとの金属間化合物の回折パ
タ−ンが検出された。したがって、NiおよびAlイン
サ−ト材の場合、摩擦圧力の増加による発熱量の増加
は、継手強度を増加させる因子の一つになり得るが、N
bインサ−ト材の場合のような良好な継手強度は得られ
ないことが明らかになった。
【0024】このようなインサ−ト材による継手強度を
改善する効果は、厚さが20〜30μmの箔材の場合に
だけ認められるのではなく、もっと薄い箔材の場合につ
いても認められる。Nbの厚さが25μmから15μ
m、10μm、7μmと薄くして摩擦圧接した結果、摩
擦時間が4sとした継手の引張強さは、図9に示すよう
に箔材の厚さによらず約270MPaと高く、継手はす
べて圧接面から約3mm離れた無酸素銅中で破断し、良
好な継手強度が得られることが明らかになった。
【0025】さらに、インサ−ト材の厚さをさらに薄く
した場合についても検討した。例えば、インサ−ト材が
Nbの場合には、厚さが7μmよりも薄い箔材は一般に
は市販されていないため、Nbをイオンプレ−ティング
によってW基金属材あるいはCu基金属材の開先面に皮
膜を形成させた。その結果、摩擦時間に対する継手の引
張強さは、図10に示すようにNb皮膜が1.5μmや
0.1μmのように非常に薄い場合でも、270MPa
以上となり、無酸素銅中で破断する継手が得られること
が明らかになった。したがって、インサ−ト材は、その
厚さに関係なく、純タングステンと無酸素銅との間に箔
材を用いる方法、あるいは両金属の開先面にインサ−ト
金属の皮膜を形成させる方法のいずれの場合でも、高い
継手強度が得られることが確認できた。
【0026】以上の結果、W基金属材とCu基金属材と
の摩擦圧接において良好な継手強度を得るためのインサ
−ト材Nb基金属材は、Cuよりも高融点で、かつCu
との金属間化合物を形成せず、高温でWと全率固溶する
ため、プラズマ電極部品のような高温下で使用されても
脆性界面の形成は考えられないため、W基金属材とCu
基金属材の摩擦圧接用インサ−ト材として適している。
【0027】本発明によれば、W基金属材とCu基金属
材との摩擦圧接において、インサ−ト材としてNb基金
属材を介するという簡便な方法で、短い摩擦時間で高い
継手強度をもつ継手を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブレ−キ式の圧接サイクルを示した図である。
【図2】継手の引張試験片の形状・寸法を示した図であ
る。
【図3】継手の引張強さに及ぼす摩擦時間の影響を示し
た図である。
【図4】継手の引張強さに及ぼす摩擦時間の影響を示し
た図である。
【図5】インサ−ト材を用いた摩擦圧接試験片の形状・
寸法を示した図である。
【図6】摩擦寄り代に及ぼすインサ−ト材の影響を示し
た図である。
【図7】継手の引張強さに及ぼすインサ−ト材の影響を
示した図である。
【図8】Nbインサ−トを用いた場合の摩擦トルクの測
定結果を示した図である。
【図9】継手の引張強さに及ぼすNbインサ−ト材の厚
さの影響を示した図である。
【図10】継手の引張強さに及ぼすNbインサ−ト材の
厚さの影響を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 20/12 B23K 20/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タングステン(以下Wと記す)基金属材と
    銅(以下Cuと記す)基金属材の接合面の間に、ニオブ
    (以下Nbと記す)基金属材をインサ−ト材(箔材を使
    用したり、イオンプレ−ティング法、めっき法等によっ
    て開先面に皮膜を形成させる方法でもよい)として介
    し、いずれか一方の金属材を回転させ、前記接合面とイ
    ンサ−ト材を摩擦により加熱した後、W基金属材とCu
    基金属材を軸方向に加圧することによって接合すること
    を特徴とする摩擦圧接方法。
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