JP2620712B2 - 2波長反射防止多層膜 - Google Patents

2波長反射防止多層膜

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JP2620712B2
JP2620712B2 JP63282114A JP28211488A JP2620712B2 JP 2620712 B2 JP2620712 B2 JP 2620712B2 JP 63282114 A JP63282114 A JP 63282114A JP 28211488 A JP28211488 A JP 28211488A JP 2620712 B2 JP2620712 B2 JP 2620712B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、例えば、紫外光と可視光のように離れた2
波長域の反射防止多層膜に関し、より詳しくは、かかる
2波長において反射防止を行うと共に、多層膜を構成す
る各薄膜内に生じる応力が相殺される結果、多層膜の施
されている基板が応力歪を受けることのない2波長反射
防止多層膜に関する。
(従来技術) 例えば、屈折率n1を1.70、n2を1.38として、BK7(n
=1.52)/n1(λ1/4)−n2(λ1/4)/air(n0=1)な
る多層膜支持基板の反射防止を中心波長λで効果的に
行うためには、屈折率がn2で光学的膜厚がn2d2=λ1/4
である低屈折率の反射防止層と、屈折率が で光学的膜厚がn1d1=λ1/4である高屈折率の基板屈折
率調整層とを組合わせる必要がある。
通常は、反射防止層としてMgF2(n2=1.38)の1/4波
長層を、そして基板屈折率調整層としてはAl2O3(n1
1.63)の1/4波長層を用いる。屈折率nsub=1.46の基板
に基板屈折率調整層と反射防止層をそれぞれにλ1/4
(λ=250nm)の厚さで施した場合の反射率Rは、第
6図に示すように、λ=250nmにおいてR=0%を生
じている。又、上記構成でλ=750nmとして、λ1/3の
反射防止帯域を利用すれば、第7図に示すように、250n
mと750nmの2波長での反射防止が行われる。
(発明が解決しようとする課題) 例えば、249nmに発振波長を有するKrFエキシマレーザ
ーを光源に使用する光学系のアライメントを、633nmに
発振波長を有するHeNeレーザーを光源として目視により
行う場合を考える。第6図に示す構成の反射防止膜を使
用した場合、図から明らかなように、633nmにおける反
射率は5%強であるが、この値は基板自体の反射率(n
sub=1.5として4%)よりも大きい。
この困難を回避する手段として、反射防止中心波長λ
と、その高次の反射防止帯域(λ1/3、λ1/5、・・・
・等)とを利用する方法がある。第7図に示すように、
λ=750nmとすると、λ1/3附近、つまり250nmの附近
と、750nmの附近の2波長域で反射率Rが0%となり、H
e−Neレーザーの発振波長である633nmにおいても充分と
はいえないがR=2%程度の反射防止効果がある。しか
し、250nmを中心とする反射防止帯域は非常に狭いた
め、反射防止中心波長をこの狭い波長範囲内に収めるに
は公差の点から製造上困難があった。
また、上記膜構成において、反射防止層に使用される
Al2O3とMgF2は共に引張応力を示すので、かかる膜を高
精度研磨面に蒸着すれば上記膜内に生じる引張応力に起
因して研磨面には応力歪が生じ、この歪がかかる膜の施
された素子を含む光学系の性能を著しく低下させるとい
う問題があった。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであっ
て、任意の2波長域において反射防止が効率よく行われ
ると共に、反射防止膜が施された高精度研磨面に応力歪
の生じることがない2波長反射防止多層膜を提供するこ
とを目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明は、屈折率nsubの基板上にn1(λ1/4)−n
2(λ2/2)−n3(λ1/4)の3層からなる第1群と、n4
(λ1/4)−n5(λ1/4)の2層からなる第2群の多層膜
を順次積層してなる5層反射防止膜において、 1<n1nsub、n2nsub、1<n3nsub、及びn
sub(n5 2/n4 2)1の条件を満足すると共に、第1群を
構成する薄膜を圧縮応力を示す誘電体物質から選ばれた
物質で形成し、第2群を構成する薄膜を引張応力を示す
誘電体物質から選ばれた物質で形成したことを特徴とす
る2波長反射防止多層膜である。
(関連技術の説明) 所定の性能を満たす多層膜の概念設計にはApfelの円
ダイヤグラムが使用される(Apfelの円ダイヤグラムに
ついては、APPLIED OPTICS VOL 11、No.6、1972、p1303
〜1312を参照)。これから得られた近似解を基にして、
厳密な設計がディジタルコンピュータによって行われ
る。
実施例の説明を行う際に、上記Apfelの円ダイヤグラ
ムにより反射防止多層膜の複素振幅透過率の計算を行う
ので、以下にこれを略述する。
空気・ガラス境界面の複素振幅透過率を複素平面上で
グラフ表示すると、これは原点から虚数軸上の点−0.2
まで延びるベクトルとなる。このベクトルの先端はFres
nelの反射公式 で与えられる。ここにn1(=1.0)は空気の屈折率であ
り、n2(=1.5)はガラスの屈折率である。
この複素振幅透過率の複素数表示は r=0.2e−iπ である。これは、このベクトルが複素平面の単位円内に
あって、振幅が0.2で、位相が180゜であることを示す。
空気・ガラス境界面に高屈折率の薄膜を蒸着しつつあ
る時、複素振幅反射率を表すベクトルは単位円内で1つ
の円を描く。この円は振幅円と呼ばれる。振幅円が実数
軸と交わるとき、複素振幅反射率は最大値となり、この
交点が所定波長の1/4の光学的膜厚を有する薄膜に対応
している。薄膜の光学的膜厚が1/2波長になると、複素
振幅反射率ベクトルは空気・ガラス境界面の複素振幅反
射率を表わす点である上記円運動の始点に戻る。
振幅円に沿った運動経路の孤長は、薄膜の位相膜厚 φ=4πnd/λ によって指定される。ここに、nは薄膜の屈折率、そし
てdは薄膜の実厚である。
また、空気中に置かれた屈折率nの薄膜に対する振幅
円の中心は、複素平面の虚数軸上にあって、その座標は によって近似的に与えられる。
複素振幅反射率の初期値、薄膜の屈折率、及び薄膜の
位相膜厚が与えられれば、この薄膜の複素振幅反射率の
最終値を円ダイヤグラムにより求めることができる。
(実施例1) 紫外域可視域2波長反射防止膜膜(λ=249nm、λ
=633nm) ここで、基板の屈折率nsubは1.46、1.46はSiO2の屈折
率、1.90はY2O3の屈折率、1.63はAl2O3の屈折率、1.38
はMgF2の屈折率を示す。
この構成は、249nmに発振波長を有するKrFエキシマレ
ーザーを光源に使用する光学系のアライメントを、633n
mに発振波長を有するHe−Neレーザーを光源として目視
により行う場合に上記光学系に使用される反射防止膜で
ある。すなわち、249nmと633nmの両中心波長において充
分な反射防止効果をもち、かつSiO2とY2O3という圧縮応
力を示す膜とAl2O3、MgF2という引張応力を示す膜とを
用いて、nsub/SiO2(λ1/4)−Y2O3(λ1/2)−SiO
2(λ1/4)−Al2O3(λ1/4)−MgF2(λ1/4)/airなる
構成にすることによって、応力を相殺し高精度研磨面に
応力歪が生じないようにした例である。この構成による
反射防止多層膜の分光反射特性を第1図に示す。
249nmに反射防止中心波長を有するVコート(第6図
参照)と比較すると、249nmにおける反射率は変らない
が、633nmにおける反射率は、本実施例の場合R0.1%
であるのに、VコートではR<5%である。Zygo社製の
フィゾー型干渉計Zygo III型でRMSを測定してRMS<λ/2
0が得られており、研磨前と研磨後のRMSの差、△RMSに
ついては、△RMS<λ/100を保証可能である。
次に、(1)式で与えられる膜構成と屈折率に対する
指定に例えば、λ=249nmとλ=633nmの2波長にお
いて反射防止が行われることを第2図を参照して以下に
説明する。
nsub=1.46、n4=1.63、n5=1.38であるから、 となり、又屈折率n4及びn5を有する層の実厚はλ1/4に
設定されているので、第2薄膜群IIは波長λにおいて
反射防止の条件を満たしている。すなわち、第2薄層群
IIは、第1中心波長λにおいて、2層反射防止条件
(2)を満足するVコートである。
λとλの2波長域で効率よく反射防止を行うため
には、第1反射防止中心波長λにおける第2薄層群II
のVコート特性をくずさずに、第2反射防止中心波長λ
で反射防止ができるようにλ基板屈折率調整層N1
λ反射防止層N2を設ければよい。λ基板屈折率調整
層N1は、第2薄層群IIのλにおける反射防止特性をく
ずさない層であり、λにおける第2薄層群の反射防止
特性に関与しない層であるのでλ不関与層とも呼ばれ
る。λ不関与層N1はλの波長に応じてλが短かい
ときは薄く、長いときは厚くされる。
一般に、λ不関与層N1は、屈折率nA、nB、nCの膜物
質に対してnA(λ1/2)、又はnB(λ1/4)−nC(λ1/
2)−nB(λ1/4)なる構成を有することが知られてい
る。本実施例の場合は、後者の構成において、nB=n1
n3=1.46、nC=n2=1.90とした例である。
屈折率n1=1.46を有する膜厚λ1/4の第1層、屈折率n
2=1.90を有する膜厚λ1/2の第2層、及び屈折率n3=1.
46を有する膜厚λ1/4の第3層からなる第1薄層群Iの
特性行列Mは、第1層、第2層及び第3層の特性行列を
M1、M2及びM3とすると、これら要素行列の積で与えられ
る。ところで、要素行列Mi(i=1、2、3)は、空気
中の位相膜厚をθ(i=1、2、3)、膜の実厚をdi
(i=1、2、3)として で表わすと、i=1、2、3に対して なお、iは虚数単位 を示す。
で与えられることが知られている。
であるから、 となって、第1薄層群Iの特性行列Mの値は となる。これから、第1薄層群Iは、第2薄層群IIのλ
における反射防止特性に影響を及ぼさないということ
が理解できる。
つぎに、第1薄層群Iが第2中心波長λ(=633n
m)において反射防止の条件を満たすためには、前半部
が、λ基板屈折率調整層、後半部がλ反射防止層と
なるように、つまり前半部の数層の等価的な屈折率を
N1、膜厚(実厚)をD1、後半のそれらをN2、D2とする
と、上記第1薄層群層Iに対するVコートの条件、すな
わち2層反射防止の条件から、 でなければならない。ここで、λ=633nm、nsub=1.4
6である。従って、非常に大雑把な近似になるが、基板
S(nsub=1.46)に第1薄層群Iを施した薄膜系、すな
わちnsub/ (λ1/4) (λ2/2) (λ−/4) (λ1/4) (λ1/4)は、基板S(nsub=1.46)にλ基板屈折率
調整層N1及びλ反射防止層N2を施した薄膜系、すなわ
ち nsub/N1(λ2/4)−N2(λ2/4) (5) と等価である。
いま、簡単のために、全光学的膜厚(λ1/4)×6の
半分(λ1/4)×3、つまり1.46(λ1/4)−1.90(λ1/
2)の部分をN1(λ2/4)と考え、1.46(λ1/4)−1.63
(λ1/4)−1.38(λ−4)の部分をN2(λ1/4)と考
える。
すなわち、全光学的膜厚(λ1/4)×6を、第2中心
波長λにおいて、光学的膜厚N1D1及びN2D2に二分割さ
れた等価膜と考える。
従って、λ=249nmから、 N1D1=N2D2=(λ1/4)×3 =(249/4)×3=747/4 ここで、2反射防止の条件(4)から、 N1D1≒N2D2≒λ2/4 であるので、λ=633nmから、 N1D1=N2D2=(λ1/4)×3 =747/4≒633/4(=λ2/4) ・・・・(6) 故に、N1≒1.727、N2≒1.483となる。
この等価2層膜系の複素振幅反射率をApfelの円ダイ
ヤグラムで表示したのが第3図である。第3図におい
て、まず第2図に示す基板Sの複素振幅反射率を求め
る。nsub=1.46であるから、 より、の先端は複素平面の虚数軸X上にあって座標−
0.19iの点であり、この点はX軸上に1.46と記した点に
対応している。すなわち、基板Sの複素振幅反射率ベク
トルはS1=0.19e−iπで表わされる。
つぎに、不関与層N1に対する振幅円の中心r1を求め
る。N1≒1.727を用いて を得る。すなわち、不関与層N1に対する振幅円の中心
は、虚数軸X上にあって、その座標は−0.3iである。こ
の座標をもつ点はN1として図示されている。
基板の複素振幅反射率ベクトルの先端を、上記不関
与層N1の振幅円の中心(−0.3i)を中心として時計方向
に、該不関与層の位相膜厚φ=4πN1D1
((4)式よりN1D1≒λ2/4)に相当して180゜回転さ
せてX軸上の点Aに至らしめる。このときの複素振幅反
射率ベクトル=▲▼は、基板Sに屈折率N1、膜厚
(実厚)D1の不関与層を付着させたときに得られる、基
板S上に蒸着された単層膜N1からの表面反射率を表わし
ている。
不関与層N1に屈折率N2、膜厚(実厚)D2の反射防止層
N2を蒸着させたとき得られる、合成膜からの表面反射率
はApfelの円ダイヤグラムにより作図して次のように求
められる。
まず、反射防止層N2に対する振幅円の中心r2を求め
る。N2=1.483を用いて を得る。すなわち、反射防止層N2に対する振幅円の中心
は、虚数軸X上にあって、その座標は−0.2iである。こ
の座標の点はN2として図示されている。
基板S上に蒸着された不関与層N1の表面反射率を表わ
す、複素振幅反射率ベクトルSの先端を、上記反射防止
層N2の振幅円の中心(−0.2i)を中心として時計方向に
該反射防止層を位相膜厚φ=4πN2D2((4)
式によりN2D2≒λ2/4)に相当して180゜回転させると、
ベクトルはその始点である原点0に戻る。第3図にお
いて、ベクトルの終点は原点0には戻らずに点Bに達
しているが、これは、Apfelの円ダイヤグラムを使用し
て以上行った作図が極めて大雑把な近似に基づいている
ためであり、複素振幅反射率ベクトルの位相項を考慮の
上ディジタルコンピュータで複素振幅反射率ベクトルを
ベクトル的に逐次合成し厳密に作図すれば図示のように
なる。ただ、以上の説明は原理を理解するためにこのよ
うに行ったものである。
原点は複素振幅反射率が0の点であるから、上記N1
N2合成2層膜はλ=633nmにおいて反射防止の条件を
満足していることが分かる。
また、第3図には、(1)式で表わされる構成の反射
防止多層膜系の複素振幅反射率をApfelの円ダイヤグラ
ムを用いて作図したものが実線で示してある。
前に等価2層膜系について論じたように、基板Sの複
素振幅反射率ベクトルは=0.19e−iπで表わさ
れ、このベクトルの先端はX軸上1.46と記された点に
ある。
基板Sに屈折率n1=1.46の第1層を施しても基板Sの
屈折率が1.46であるため、ベクトルは不変で1.46と表
示されたX軸上の点に留っている。
つぎに、屈折率n2=1.90の第2層に対する振幅円の中
心r2を求める。n2=1.90を用いて を得る。すなわち、屈折率n2の第2層に対する振幅円の
中心はX軸上にあってその座標は−0.3iである。この座
標に対応する点はN1として図示されている。基板Sの複
素振幅反射率ベクトルの先端を、上記第2層の振幅円
の中心(−0.3i)を中心として時計方向に、該第2層の
位相膜厚φ=4πn2d2 λ=249nm、λ=633nm)に相当して 回転させて第3図にCと記した点に達する。
つぎに、屈折率n2=1.46の第3層を付加したとき生ず
る合成膜の複素振幅反射率はApfelの円ダイヤグラムを
用いて次のように求められる。
まず、屈折率n3=1.46の第3層に対する振幅円の中心
r3を求める。n3=1.46を用いて を得る。すなわち、屈折率n3=1.46の第3層に対する振
幅円の中心は虚数軸X上にあって、その座標は−0.2iで
ある。この座標の点はN2として図示されている。
つぎに、先端がCと一致している複素振幅反射率ベク
トルを、上記第3層の振幅円の中心(−0.2i)を中心
として時計方向に、該第3層の位置膜厚φ=4πn3d3
λ=246nm、λ=633nm)に相当して 回転させると、ベクトルはBとして図示された点に達
する。以上の作図で、ベクトルの合計回転角φはφ=
φ+φ=277゜+104゜=381゜となり、これは第3
図から読みとれる半直線N2BがX軸となす角度よりも若
干大き目である。これも、前に等価2層膜について論じ
たとき指摘したのと同様の理由により、複素振幅反射率
ベクトルの位相項を考慮の上、ディジタルコンピュータ
により複素振幅反射率ベクトルをベクトル的に逐次合成
して作図すれば、Bは図示されているような正確な位置
に達するはずである。
何れにしても、終点Bは原点0に極めて近く、第1薄
層群Iは反射防止第2中心波長r2において反射防止の条
件を略々満たしていることが理解される。
最後に、多層膜における2波長反射防止条件について
述べる。
本実施例の反射防止多層膜の構成を示す式(1)によ
れば n1=1.46、n2=1.90、n3=1.46であり、又基板Sの屈
折率はnsub=1.46であるから 1<n1(=1.46)=nsub(=1.46) n2(=1.90)>nsub(=1.46) 1<n3(=1.46)=nsub(=1.46) となり、 の条件を満たしている。
なお、n2nsubの条件は、Apfelの円ダイヤグラムに
示す第3図において、n2→N1と見做すことによって、
(1)式で与えられる本実施例の構造が反射防止第2中
心波長r2において第1薄層群Iが反射防止されるための
必要かつ充分な条件であることは直ちに理解される。
n1、n3についても、具体的な膜構成についてApfelの円
ダイヤグラムを用いて作図することにより、上記条件
(9)の満足されていることを確認することができる。
しかるに、(1)式で与えられる膜構成のもとでは第
2薄層群IIの反射防止第1中心波長λにおける反射防
止特性は第1薄層群Iによって影響を受けないというこ
とは既に証明してある通りである。
よって、反射防止第1中心波長における第2薄層群II
の反射防止特性に影響を及ぼすことなく第1薄層群Iが
反射防止第2中心波長λ(λ>λ)において反射
防止されるための必要かつ充分な条件が、(1)式で与
えられる膜構成、及び(9)式で与えられる屈折率に対
する制限である。
ところで、第2薄層群IIが反射防止第1中心波長λ
において反射防止される条件、すなわちVコートの条件
は、既に記したように、nsub(λ5 24 2)1で与え
られる。
従って、(1)式で与えられる膜構成、(9)式で与
えられる屈折率に対する制限、及びnsub(λ5 24 2
1で与えられるVコートの条件が同時に満足されれ
ば、第1薄層群Iと第2薄層群IIから成る多層膜がλ
>λなる2つの波長において反射防止されることにな
る。
(実施例2) 1.90(λ1/2)−1.46(λ1/4)−1.63(λ1/4)−1.38
(λ1/4)/air、λ=249nm この構成による反射防止膜の分光反射特性を、第4図
に実線で示す。第1層がn1nsubのときは、この層を省
略してもよい。
(実施例3) 上記2つの構成による反射防止膜の分光反射特性を第
4図に点線と破線で示す。n1≠n3の場合には、反射率に
若干の増加が見られるものの、このような構成も又可能
である。
(実施例4) この構成による反射防止膜の分光反射特性を第5図に
1点鎖線で示す。
この構成のように、第1薄層群と第2薄層群の応力を
正方向と負方向(正方向を例えば圧縮歪の方向にとる)
とに判然とは分けられないが、圧縮応力を示す膜と引張
応力を示す膜が交代するのに近い構成とすることも可能
である。
あるいは のような構成も可能であり、そのときの分光反射特性は
第5図に実線で示してある。
λ=249nm、λ=633nmとしたとき、nsub(n5 2/n4
2)1n1=n3の条件が満たされるとき、249nmにおいて
充分な反射防止となるが、そのような膜物質が得られな
い場合、あるいは得られてもその膜内に生じる応力が求
めようとしている応力と方向が逆である場合がある。そ
のような場合には、nsub(n5 2/n4 2)≠1となり、249nm
における反射率は増加するが、n1≠n3とすることによっ
て補正を行うことが可能である。
あるいは、第1群の構成膜内に生じる応力の方向が第
2群の構成膜内に生じる応力の方向と逆になるように判
然と分けられる構成でなく、圧縮応力を生じる膜と引張
応力を生じる膜が第1群と第2群とから成る全体を通じ
て交互に出現するような構成に近い構成も又可能であ
る。
(発明の効果) 本発明は以上詳述したように構成されているので、使
用波長とアライメント波長の2つの波長において反射防
止が効率よく行われるばかりでなく、圧縮応力を示す膜
物質と引張応力を示す膜物質とによって反射防止多層膜
の膜構成層を形成することによって圧縮応力と引張応力
が相殺される結果かかる多層膜の施された高精度研磨面
に応力歪が生じないようにすることができるので、上記
研磨面を含む光学系の性能を劣化させることなく、ゴー
ストやフレアーの発明も抑止することができるという効
果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る2波長反射防止多層膜の1実施例
の分光反射率を示す図、第2図はその構成を示す図、第
3図はその複素振幅反射率をApfelの円ダイヤグラムで
表示した図、第4図、第5図は他の実施例の分光反射率
を示す図、そして第6図及び第7図は従来の反射防止多
層膜の分光反射率を示す図である。 S……基板 I……第1群 II……第2群

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】紫外域波長λとこれより長い波長λ
    対する2波長反射防止膜において、屈折率nsubの基板上
    に n1(λ1/4)−n2(λ1/2)−n3(λ1/4)の3層からな
    る第1群と、であり、その公開は参考文献として、本出
    願に組込んでいる。 n4(λ1/4)−n5(λ1/4) の2層からなる第2群の多層膜を順次積層して5層膜を
    形成し、 1<n1nsub、n2nsub、 1<n3nsub、及びnsub(n5 2/n4 2)1の条件を満足
    し、屈折率n1、n2、n3は、波長λに対して上記第1群
    及び第2群の多層膜が基板屈折率調整層と反射防止層に
    相当するように選択されると共に、第1群を構成する薄
    膜を圧縮応力を示す誘電体物質から選ばれた物質で形成
    し、第2群を構成する薄膜をを引張応力を示す誘電体物
    質から選ばれた物質で形成したことを特徴とする2波長
    反射防止膜膜。
  2. 【請求項2】上記圧縮応力を示す誘電体物質がSi2、Y2O
    3、ZnSを含む請求項(1)記載の2波長反射防止多層
    膜。
  3. 【請求項3】上記引張応力を示す誘電体物質がNa3Al
    F6、MgF2、CaF2、MaF、LiF、YF3、LaF3、ThF4、Al2O3
    ScO2、HfO2、ZrO2を含む請求項(1)記載の2波長反射
    防止多層膜。
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