JP2617763B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2617763B2 JP63097381A JP9738188A JP2617763B2 JP 2617763 B2 JP2617763 B2 JP 2617763B2 JP 63097381 A JP63097381 A JP 63097381A JP 9738188 A JP9738188 A JP 9738188A JP 2617763 B2 JP2617763 B2 JP 2617763B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の分野] 本発明は、非磁性支持体と磁性層からなる磁気記録媒
体に関するものである。
[発明の背景] 磁気記録媒体は、録音用テープ、ビデオテープあるい
はフロッピーディスクなどとして広く用いられている。
磁気記録媒体は、基本的には、強磁性粉末が結合剤(バ
インダ)中に分散された磁性層が非磁性支持体上に積層
されてなるものである。
磁気記録媒体は、電磁変換特性、走行耐久性および走
行性能などの諸特性において高いレベルにあることが必
要とされる。すなわち、音楽録音再生用のオーディオテ
ープにおいては、より高度の原音再生能力が要求されて
いる。また、ビテオテープについては、原画再生能力が
優れているなど電磁変換特性が優れているものであるこ
とが要求されている。
このような優れた電磁変換特性を有すると同時に、磁
気記録媒体は前述のように良好な走行耐久性を持つこと
が要求されている。そして、良好な走行耐久性を得るた
めに、通常研磨材および潤滑材が磁性層中に添加されて
いる。
しかしながら、研磨材によって優れた走行耐久性を得
るためには、その添加量をある程度増加する必要があ
り、そのため強磁性粉末の含有量が低下する。また優れ
た走行耐久性を得るために粒子径の大きな研磨材を使用
した場合には、磁性層表面に研磨材が過度に突出し易く
なる。従って、研磨材による走行耐久性の改良は上記の
電磁変換特性が劣化をもたらす場合が多く問題となる。
そして、潤滑剤によって上記走行耐久性を向上させる
場合にも、その添加量を多くする必要があり、このため
結合剤が可塑化され易くなり、磁性層の耐久性が低下す
る傾向がある。
また、上記耐久性および電磁変換特性を向上させるた
めには、磁性層の主成分の一つである結合剤も、当然の
ことながら重要な働きを担っている。従来から用いられ
ている塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン
系樹脂、アクリル系樹脂等では、磁性層の耐摩耗性が劣
り、磁気テーブルの走行系部材を汚染するとの問題があ
った。
このような問題を改善する方法として、硬い結合剤を
用いて磁性層の硬度を上げる方法が行なわれている。し
かし磁性層の硬度を上げることによる悪影響として、磁
性層の脆さが顕著となり、磁気ヘッドとの接触によりド
ロップアウトが発生したり、スチル特性が劣化するとの
問題がある。
さらに他方の方法として、主鎖と直結していない水酸
基(アルキル基またはアルキルエステル基を介して)お
よび極性基を有する塩化ビニル系共重合体からなり、共
重合体成分としてビニルアルコールを含まない構成を持
つ磁気記録媒体が特開昭62−134819号公報および特開昭
62−208423号公報に開示されている。上記共重合体成分
であるビニルアルコールはケン化工程を経て製造されて
いるため、これを含む重合体は経時的に変化し易い。従
って、上記に開示されている磁気記録媒体は経時変化が
少なく、耐久性に優れたものであり、さらに水酸基およ
び極性基を有しているため強磁性粉末の分散性も優れ電
磁変換特性も良好であるとしている。
しかしながら、上記磁気記録媒体では、磁性層の強度
が高くないこと、磁性層表面の平滑性が充分でないた
め、充分に優れた耐久性および電磁変換特性が得られな
い。従って、極めて高度な平滑性および優れた電磁変換
特性が要求される。例えばS−VHS用や8mmビデオ用のテ
ープに対しては、充分に優れた磁気記録媒体であるとい
うことはできない。
[発明の目的] 本発明は、広範囲の温度、温度条件下での走行耐久性
および該条件下で保存した場合の安定性等の耐久性、お
よび電磁変換特性が共に向上した磁気記録媒体を提供す
ることを目的とする。
[発明の要旨] 本発明は、非磁性支持体と強磁性粉末を結合剤中に分
散してなる磁性層を設けてなる磁気記録媒体において、 該強磁性粉末のSBET比表面積が40m2/g以上であっ
て、 そして該結合剤が、末端が−OHである下記の一般式
(1)〜(3); OCH2CH2CH2 nOH (2) OCH2CH2CH2CH2 nOH (3) [但し、nは1〜15の範囲の整数であり、そしてR1およ
びR2は水素原子またはアルキル基であって、互いに同一
でも異なっていてもよい] から選ばれる少なくとも一種の側鎖および極性基を有す
る塩化ビニル系共重合体、極性基を有するポリウレタン
系樹脂およびポリイソシアネート化合物からなること を特徴とする磁気記録媒体。
上記本発明の磁気記録媒体の好ましい態様は以下の通
りである。
1)該磁性層の表面の中心線平均粗さが、カットオフ値
0.25mmにおて4nm以下であることを特徴とする上記磁気
記録媒体。
2)上記一般式(1)〜(3)において、nは2〜10の
整数であることを特徴とする上記磁気記録媒体。
3)上記末端にOH基を有する側鎖が、該塩化ビニル系共
重合体中に1×10-5〜3×10-3eq/gの範囲内にあること
を特徴とする上記磁気記録媒体。
4)全結合剤が、該強磁性粉末100重量部に対して15〜4
0重量部の範囲で含まれていることを特徴とする上記磁
気記録媒体。
5)該塩化ビニル系共重合体が、全結合剤中に20〜80重
量%の範囲の割合で占めていることを特徴とする上記磁
気記録媒体。
尚、上記磁性層の表面の中心線平均粗さは、光干渉粗
さ計を用いて、カットオフ値0.25mmにおけるRaを求めた
ものを用いた。
[発明の効果] 本発明の磁気記録媒体は、上記のように強磁性粉末と
してSBET非表面積が40m2/g以上という極めて微粒子の
ものを使用し、結合剤には上記一般式に示されるように
ポリエーテル基を介して末端にOH基を有する側鎖および
極性基を有する塩化ビニル系共重合体および極性基を有
するポリウレタン系樹脂という非常に分散性に優れたポ
リマーを用いている。これによって、上記強磁性粉末を
一次粒子まで分散させることができるため、磁性層の表
面の平滑性が極めて優れたものとなり、磁性層の表面の
中心線平均粗さを、カットオフ値0.25mmにおいて4nm以
下という極めて平滑性が向上した表面を得ることも可能
である。
さらに、本発明の結合剤に使用されている塩化ビニル
系共重合体は上記一般式に示されるように運動性に富む
ポリエーテル基を介して末端にOH基を有する側鎖を有し
ている。すなわち、該側鎖が塩化ビニル系共重合体の主
鎖の炭素原子に直結している。さらに、このようなOH基
はポリイソシアネート化合物のイソシアネート基との反
応性も高く、高密度の架橋構造をもつ磁性層を形成する
ことができる。従って、本発明の磁気記録媒体は、前述
のように極めて優れた平滑性に加えて、なお且つ平滑性
が優れている場合の欠点である走行耐久性の劣化を防止
できるように上記のような強靭な力学物性を有する磁性
層を有している。これにより、本発明の磁気記録媒体
は、広範囲の温度、湿度条件下での走行耐久性および該
条件下で保存した場合の安定性等の耐久性、および電磁
変換特性が共に向上したものであるということができ
る。
[発明の詳細な記述] 本発明の磁気記録媒体は、基本的には、結合剤中に分
散された強磁性粉末を含む磁性層が非磁性支持体上に設
けられて構成を有する。
本発明に使用することができる非磁性支持体として
は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレ
ンナフタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン等
のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セル
ロースジアセテート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビ
ニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカー
ボネート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド
などの合成樹脂からなるフィルムもしくはシート;アル
ミニウム、銅等の非磁性金属箔;ステンレス箔などの金
属箔;紙、セラミックシート等から選ばれる。
これらの支持体は、その厚さが2.5〜100μmの範囲に
あり、好ましくは3〜80μmの範囲である。
本発明の磁気記録媒体は、上記非磁性支持体上に、下
記の磁性層が設けられたものである。該磁性層は、SBE
T比表面積が40m2/g以上である強磁性粉末を含み、そし
て該結合剤として、末端が−OHである下記の一般式
(1)〜(3); OCH2CH2CH2 nOH (2) OCH2CH2CH2CH2 nOH (3) [但し、nは1〜15(好ましくは2〜10)の範囲の整数
であり、そしてR1およびR2は水素原子またはアルキル基
(好ましくはメチル基)であって、互いに同一でも異な
っていてもよい] から選ばれる少なくとも一種の側鎖および極性基を有す
る塩化ビニル系共重合体、極性基を有するポリウレタン
系樹脂およびポリイソシアネート化合物からなるポリマ
ーを含んでいる。そして、本発明の磁性層は、表面の中
心線平均粗さが、カットオフ値0.25mmにおいて4nm以下
(好ましくは3〜1nmの範囲)であることが好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、上記のように強磁性粉末と
してSBET比表面積が40m2/g以上という極めて微粒子の
ものを使用し、結合剤には上記一般式に示されるように
ポリエーテル基を介して末端にOH基を有する側鎖および
極性基を有する塩化ビニル系共重合体および極性基を有
するポリウレタン系樹脂という非常に分散性に優れたポ
リマーを用いている。これによって、上記強磁性粉末を
一次粒子まで分散させることができるため、磁性層の表
面の平滑性が極めて優れたものとなり、磁性層の表面の
中心線平均粗さを、カットオフ値0.25mmにおいて4nm以
下という極めて平滑性の向上した表面を得ることも可能
である。従来から、このような平滑性の優れた磁性層表
面の場合、摩擦係数が高くなり易く、特に温度、湿度の
影響によってその傾向が強かった。
本発明の結合剤に使用されている塩化ビニル系共重合
体は上記一般式に示されるようにポリエーテル基を介し
て末端にOH基を有する側鎖を有している。すなわち、該
側鎖が塩化ビニル系共重合体の主鎖の炭素原子に直結し
ている。このOH基は、主鎖の直結したものや、アルキル
基等を介して結合したOH基に比較して、そのエーテル結
合が運動性に富むため極めて柔軟性が優れたものであ
る。さらに、このようなOH基はポリイソシアネート化合
物のイソシアネート基との反応性も高く、高密度の架橋
構造をもつ磁性層を形成することができる。従って、本
発明の磁気記録媒体は、前述のように極めて優れた平滑
性に加えて、上記のように強靭な力学物性を有する磁性
層を有している。これにより、本発明の磁気記録媒体
は、広範囲の温度、湿度条件下での走行耐久性および該
条件下で保存した場合の安定性等の耐久性、および電磁
変換特性が共に向上したものであるということができ
る。
本発明に使用できる塩化ビニル系共重合体は、例え
ば、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・酢
酸ビニル・ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル・酢
酸ビニル・アクリル酸共重合体、塩化ビニル・塩化ビニ
リデン共重合体、塩化ビニル・アクリロニトリル共重合
体を挙げることができる。上記塩化ビニル系共重合体の
分子量としては、数平均分子量で10000〜100000の範囲
が好ましく、さらに好ましくは20000〜60000である。そ
して本発明の塩化ビニル系共重合体は、上記末端にOH基
を有する側鎖を該塩化ビニル系共重合体中に好ましくは
1×10-5〜3×10-3eq/g(さらに好ましくは1×10-4
2×10-3eq/g)の範囲内で有し、さらに極性基が導入さ
れたものである。上記側鎖の濃度が1×10-5eq/g未満の
場合は、高い架橋密度が得られれず走行耐久性が劣化し
易く、3×10-3eq/gを越える場合は有機溶剤に対する溶
解性が低下するため強磁性粉末の分散性が低くなる。
また上記極性基としては、−COOH、−PO3M2、−OPO3M
2、−SO3Mまたは−SO2M(Mは水素原子、アルカリ金属
またはアンモニウムイオン)の内少なくとも一種の極性
基が好ましく、その濃度としては該塩化ビニル系共重合
体中に1×10-6〜1×10-3eq/g(さらに好ましくは1×
10-5〜1×10-4eq/g)の範囲が好ましい。上記極性基濃
度が1×10-6eq/g未満の場合は、強磁性粉末等の分散性
が低下し、1×10-3eq/gを越える場合は有機溶剤に対す
る溶解性が低下する。
また、本発明に使用できるポリウレタン系樹脂は、例
えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル
系リウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂
等であって、これらの樹脂に極性基が導入されたポリウ
レタン系樹脂であることが必要である。ポリウレタン系
樹脂の分子量としては、数平均分子量で10000〜100000
の範囲が好ましく、さらに好ましくは20000〜60000であ
る。
また上記極性基としては、−COOM、−PO3M2、−OPO3M
2、−SO3Mまたは−SO2M(Mは水素原子、アルカリ金属
またはアンモニウムイオン)の内少なくとも一種の極性
基が好ましく、その濃度としては該ポリウレタン系樹脂
中に1×10-6〜1×10-3eq/g(さらに好ましくは1×10
-5〜1×10-4eq/g)の範囲が好ましい。上記極性基濃度
が1×10-6eq/g未満の場合は、強磁性粉末等の分散性が
低下し、1×10-3eq/gを超える場合は有機溶剤に対する
溶解性が低下する。
上記塩化ビニル系共重合体およびポリウレタン系樹脂
の他に、各磁性層形成に使用する結合剤用樹脂に特に制
限はない。例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ニ
トロセルロース樹脂などのセルロース誘導体、アクリル
樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラー
ル樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂である。
これらは、単独でも組み合わせでも使用することがで
きる。
ただし、磁性層に含まれる上記特定の塩化ビニル系共
重合体は、結合剤中に20〜80重量%の範囲で含有されて
いることが好ましく、さらに好ましくは30〜70重量%の
範囲である。また上記特定のポリウレタン系樹脂は、結
合剤中に結合剤中に20〜80重量%の範囲で含有されてい
ることが好ましく、さらに好ましくは30〜70重量%の範
囲である。
また、本発明は磁性層はポリイソシアネート化合物が
用いられる。ポリイソシアネート化合物としては、通常
ポリウレタン系樹脂等の硬化剤成分として使用されてい
るもののなかから選択される。ポリイソシアネート化合
物の例としては、トリレンジイソシアネート3モルとト
リメチロールプロパン1モルとの反応生成物(例、デス
モジュールL−75(バイエル社製))、キシリレンジイ
ソシアネートあるいはヘキサメチレンジイソシアネート
などのジイソシアネート3モルとトリメチロールプロパ
ン1モルとの反応生成物、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート3モルのビューレット付加化合物、トリレンジイソ
シアネート5モルのイソシアヌレート化合物、トリレン
ジイソシアネート3モルとヘキサメチレンジイソシアネ
ート2モルのイソシアヌレート付加化合物、イソホロン
ジイソシアネートおよびジフェニルメタンジイソシアネ
ートのポリマーを挙げることができる。
磁性層に含まれる上記ポリイソシアネート化合物は、
結合剤中に10〜50重量%の範囲で含有されていることが
好ましく、さらに好ましくは20〜40重量%の範囲であ
る。
また、電子線照射による硬化処理を行なう場合には、
反応性二重結合を有する化合物(例、ウレタンアクリレ
ート)を使用することができる。
本発明のように、活性水素を有する有機基を持つ塩化
ビニル系共重合体(好ましくはポリウレタン系樹脂を併
用)が硬化剤としてポリイソシアネート化合物を使用す
る場合、該塩化ビニル系共重合体(好ましくは加えてポ
リウレタン系樹脂)とポリイソシアネート化合物との配
合重量比は、通常1:0.8〜1:2(好ましくは1:1〜1:1.5)
の範囲内に設定される。このようにすることにより硬度
の高い強磁性金属微粉末を使用した場合も、ポリウレタ
ン系樹脂を使用することに伴なう結合剤の軟化を有効に
防止することができる。
樹脂成分と硬化剤との合計(すなわち結合剤)の重量
は、強磁性粉末100重量部に対して、通常15〜40重量部
の範囲内にあることが好ましく、さらに好ましくは20〜
30重量部である。
本発明の磁気記録媒体に使用される強磁性粉末は、S
BET比表面積が40m2/g以上(好ましくは50m2/g以上)で
あることが必要である。強磁性粉末の例としては、γ−
Fe2O3のような金属酸化物系の強磁性粉末、コバルト等
の他の成分を含有するγ−Fe2O3のような異種金属・金
属酸化物系の強磁性粉末、酸化クロム、および鉄、コバ
ルトあるいはニッケルなどの強磁性金属を含む強磁性金
属微粉末を挙げることができる。γ−Fe2O3のような金
属酸化物系の強磁性粉末、酸化クロムなどの針状比は2/
1〜20/1の範囲で、好ましくは5/1〜20/1の範囲が好まし
い。
強磁性金属微粉末を使用する場合には、鉄・コバルト
あるいはニッケルを含む強磁性金属微粉末であって、そ
の比表面積が42m2/g以上(特に好ましくは45m2/g以上)
の強磁性金属微粉末であることが好ましい。
この強磁性金属微粉末の例としては、強磁性金属微粉
末中の金属分が75重量%以上であり、そして金属分の80
重量%以上が少なくとも一種類の強磁性金属あるいは合
金(例、Fe、Co、Ni、Fe−Co、Fe−Ni、Co−Ni、Co−Ni
−Fe)であり、該金属分の20重量%以下の範囲内で他の
成分(例、Al、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、
Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、B、Ba、Ta、W、Re、A
u、Hg、Pb、P、La、Ce、Pr、Nd、Te、Bi)を含むこと
のある合金を挙げることができる。また、上記強磁性金
属分が少量の水、水酸化物または酸化物を含むものなど
であってもよい。
これらの強磁性粉末の製法は既に公知であり、本発明
で用いる強磁性粉末についても公知の方法に従って製造
することができる。
強磁性粉末の形状に特に制限はないが、通常は針状、
粒状、サイコロ状、米粒状および板状のものなどが使用
される。特に針状の強磁性粉末を使用することが好まし
い。
上記の樹脂成分、硬化剤および強磁性粉末を、通常磁
性塗料の調製の際に使用されている溶剤(例、メチルエ
チルケトン、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチ
ル)と共に混練分散して磁性塗料とする。混練分散は通
常の方法に従って行なうことができる。
なお、磁性塗料中は、上記成分以外に、研磨材(例、
α−Al2O3、Cr2O3)、帯電防止剤(例、カーボンブラッ
ク)、潤滑剤(例、脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコー
ンオイル)、分散剤など通常使用されている添加剤ある
いは充填材(剤)を含むものであってもよいことは勿論
である。
塗設は、以上の材料により調製した磁性塗料を非磁性
支持体上に下記の方法にて塗布する。磁性層用の樹脂成
分および強磁性粉末並びに所望により配合される硬化剤
などの磁性層形成成分を溶剤と共に混練分散して磁性層
用塗布液を調製する。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は例えば、走行下に
ある非磁性支持体の表面に磁性層用塗布液を好ましくは
第一磁性層の乾燥後の層厚が0.5〜10μmの範囲内(好
ましくは1.5〜7.0μm)になるように塗布する。
上記磁性塗料を塗布する塗布機としては、エアードク
ターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコ
ート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コー
ト、リバースロールコート、トランスファーロールコー
ル、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、ス
プレイコート、スピンコート等が利用できる。
本発明で用いる非磁性支持体の磁性塗料が塗布されて
いない面にバック層(バッキング層)が設けられていて
もよい。通常バック層は、非磁性支持体の磁性塗料が塗
布されていない面に、研磨材、帯電防止剤などの粒状成
分と結合剤とが有機溶剤に分散してなるバック層形成塗
料を塗布して設けられた層である。
なお、非磁性支持体の磁性塗料およびバック層形成塗
料の塗設面に接着剤層が付設されていてもよい。
通常、塗布された磁性塗料の塗布層は、磁性塗料の塗
布層中に含まれる強磁性粉末を配向させる処理、すなわ
ち磁場配向処理を施した後、乾燥される。
このようにして乾燥された後、塗布層に表面平滑化処
理を施す。表面平滑化処理には、たとえばスーパーカレ
ンダロールなどが利用される。表面平滑化処理を行なう
ことにより、乾燥時の溶剤の除去によって生じた空孔が
消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上するので、
電磁変換特性の高い磁気記録媒体を得ることができる。
本発明の磁性層は、表面の中心線平均粗さが、カット
オフ値0.25mmにおいて4nm以下(好ましくは3〜1nmの範
囲)という極めて優れた平滑性を有する表面であること
が好ましい。その方法として、例えば上述したように特
定の強磁性粉末と結合剤を選んで形成した記録層を、上
記カレンダー処理を施すことにより行なわれる。カレン
ダー処理条件としては、カレンダーロールを温度60〜10
0度の範囲、圧力を100〜400kg/cmの範囲の条件で作動さ
せることによって行なわれることが好ましい。
このようにして硬化処理された積層体を次に所望の形
状に裁断する。
裁断はスリッターなどの通常の裁断機などを使用して
通常の条件で行なうことができる。
次に実施例と比較例を示し、本発明を更に具体的に説
明する。各例において、『部』は特に指定しない限り
『重量部』を意味する。
[実施例1] 磁性層用塗布液 強磁性合金粉末 100部 (組成:Fe:92wt%,Ni:8wt%Hc:1500 Oe,針状比:10/1SBE
T比表面積:40m2/g) 塩化ビニル系共重合体 12部 ▲▼=25000, −OPO(OH)2:6×10-5eq/g, −O(CH2CH2O)7H:6×10-4eq/g) ポリウレタン樹脂 8部 (▲▼=3000,−SO3Na:8×10-5eq/g) ポリイソシアネート 4部 (コロネートL、日本ポリウレタン(株)製) カーボンブラック 2部 α−Al2O3 2部 ブチルステアレート 2部 ステアリン酸 2部 メチルエチルケトン 200部 上記塗料の各成分をボールミルを用いて50時間混練分
散させた。得られた分散液にポリイソシアネート(上記
コロネートL)6部を加え、1μmの平均孔径を有する
フィルターを用いて濾過し、磁性層形成用の塗布液を調
製した。
得られた磁性層用塗布液を、厚さ10μmのポリエチレ
ンテレフタレート支持体を60m/分の速度で走行させなが
ら、乾燥後の厚さが3μmになるようにドクターブレー
ドを用いて塗布し、磁性層が湿潤状態にあるうちにコバ
ルト磁石により配向させ、100℃で1分間乾燥後スパー
カレンダー処理(温度100℃、圧力300kg/cm)を行な
い、1/2インチ幅にスリットし、ビデオテープを製造し
た。
[実施例2] 実施例1において、磁性層用塗布液中の強磁性合金粉
末SBET比表面積を45m2/gに変えたものに、塩化ビニル
系共重合体の極性基を−SO2Na:6×10-5eq/g、そして末
端が−OHの側鎖(以下側鎖いう)を−O(CH2CHCH3O)5
H:5×10-4eq/gに変えたものにした以外は実施例1と同
様にしてビデオテープを製造した。
[実施例3] 実施例2において、磁性層用塗布液中の強磁性合金粉
末のSBET比表面積を52m2/gに変えたものに、塩化ビニ
ル系共重合体の側鎖を−O(CH2CH2CH2O)3H:3×10-4eq
/gに変えたものに以外は実施例2と同様にしてビデオテ
ープを製造した。
[実施例4] 実施例3において、磁性層用塗布液中の塩化ビニル系
共重合体の側鎖を−O(CH2CH2CH2CH2−O)2H:5×10-4
eq/gに変えたものにした以外は実施例3と同様にしてビ
デオテープを製造した。
[実施例5] 実施例3において、磁性層用塗布液中の塩化ビニル系
共重合体の側鎖を−O(CH2CH2O)2:1×1-5eq/gに変え
たものにした以外は実施例3と同様にしてビデオテープ
を製造した。
[実施例6] 実施例5において、磁性層用塗布液中の塩化ビニル系
共重合体の側鎖の濃度を3×10-3eq/gに変えたものにし
た以外は実施例5と同様にしてビデオテープを製造し
た。
[実施例7] 実施例5において、磁性層用塗布液中の塩化ビニル系
共重合体の側鎖の濃度を5×10-4eq/gに変え、そしてポ
リウレタン樹脂の極性基濃度1×10-3eq/gに変えた以外
は実施例5と同様にしてビデオテープを製造した。
[実施例8] 実施例5において、磁性層用塗布液中の塩化ビニル系
共重合体の側鎖の濃度を5×10-4eq/gに変え、そしてポ
リウレタン樹脂の極性基濃度1×10-6に変えた以外は実
施例5と同様にしてビデオテープを製造した。
[比較例1] 実施例2において、磁性層用塗布液中の塩化ビニル系
共重合体として側鎖を持たず、ポリマー主鎖に直結した
OH基を有するポリマー(OH基は酢酸ビニルに由来する単
位のアセトキシ基部分を鹸化して得られるもの;商品
名:VAGH、ユニオンカーバイト社製)を用いた以外は実
施例2と同様にしてビデオテープを製造した。
[比較例2] 実施例2において、磁性層用塗布液中の強磁性合金粉
末のSBET非表面積を38m2/gに変え、そして塩化ビニル
系共重合体の側鎖を−O(CH2CH2O)2H:1×10-3eq/gに
変えた以外は実施例2と同様にしてビデオテープを製造
した。
以上の実施例1〜8、比較例1〜2で得られたビデオ
テープについて、下記の測定方法にて測定された各テー
プの物性を第1表に示す。
測定方法 (1)磁性層表面の中心線平均粗さ 光干渉型粗さ計を用いてカットオフ値0.25mmにてRaを
求めた。
(2)ビデオ出力 VHTビデオテープレコーダ(NV−8200[松下電器産業
(株)製])を用いて得られたビデオテープに一定のビ
デオ信号を記録し、再生した信号をS/Nメーター(シバ
ソク(株)製)にてビデオS/Nを測定し、比較例2を0dB
として表記した。
(3)出力低下 上記VHSビデオテープレーコーダを用いて得られたビ
デオテープ(2時間長)に一定のビデオ信号を記録し、
繰返し100回走行させ、その最初と最後の出力を測定し
その差を出力の低下とした。
測定条件は下記の三つの条件で行なった。
a)40℃、70%RH b)50℃、70%RH c) 5℃、20%RH (4)スチル耐久性 上記VHSビデオテープレコーダを用いて得られたビデ
オテープに一定のビデオ信号を記録し、スチルモードに
て出力が5dB低下するまでの時間を測定した。
測定条件は下記の三つの条件で行なった。
a)40℃、70%RH b)50℃、70%RH c) 5℃、20%RH 本発明の特定のSBET比表面積を有する強磁性合金粉
末、特定の側鎖と極性基を有する塩化ビニル系共重合体
の側鎖、極性基を有するポリウレタン樹脂およびポリイ
ソシアネート化合物の組合わせからなる磁気記録媒体
は、極性層表面の中心線平均粗さが小さいことから平滑
性が優れ、ビデオS/Nが高いことから電磁変換特性が優
れ、そして出力低下が小さいことおよびスチル耐久性が
良好なことから耐久性に優れていることが分かる。
一方、本発明の側鎖をもたない塩化ビニル系共重合体
を用いた比較例1は、特に出力低下が大きいことおよび
スチル耐久性が劣っていることから耐久性に問題がある
ことが分かる。またSBET比表面積が本発明より小さい
強磁性合金粉末を用いた比較例2は、S/Nが低いことか
ら電磁変換特性が劣ったものであることが分かる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−256219(JP,A) 特開 昭59−8127(JP,A) 特開 昭58−108032(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性支持体と強磁性粉末を結合剤中に分
    散してなる磁性層を設けてなる磁気記録媒体において、 該強磁性粉末のSBET比表面積が40m2/g以上であって、 そして該結合剤が、末端が−OHである下記の一般式
    (1)〜(3); OCH2CH2CH2 nOH (2) OCH2CH2CH2CH2 nOH (3) [但し、nは1〜15の範囲の整数であり、そしてR1およ
    びR2は水素原子またはアルキル基であって、互いに同一
    でも異なっていてもよい] から選ばれる少なくとも一種の側鎖および極性基を有す
    る塩化ビニル系共重合体、極性基を有するポリウレタン
    系樹脂およびポリイソシアネート化合物からなること を特徴とする磁気記録媒体。
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