JP2587864B2

JP2587864B2 - 内燃機関の点火プラグ電極材

Info

Publication number: JP2587864B2
Application number: JP63185291A
Authority: JP
Inventors: 健彰佐平; 英男北村; 章三村; 伸好倉内
Original assignee: Mitsubishi Materials Corp; Denso Corp
Current assignee: Mitsubishi Materials Corp; Denso Corp
Priority date: 1988-07-25
Filing date: 1988-07-25
Publication date: 1997-03-05
Anticipated expiration: 2012-03-05
Also published as: KR900001870A; KR930003638B1; JPH0234734A

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕この発明は、すぐれた高温強度を有し、かつ耐溶損
性、高温耐食性、および耐火花消耗性にもすぐれた内燃
機関の点火プラグ電極材に関するものである。

〔従来の技術〕

一般に、例えば自動エンジンなどの内燃機関の点火プ
ラグ電極材を構成する材料としては、高温強度、耐溶損
性、高温耐食性、および耐火花消耗性が要求されること
から、これらの特性を具備した、例えば特公昭60−4389
7号公報に記載されるNi基合金、すなわち、重量％で
（以下、％は重量％を示す）、 Si:0.2〜３％、Mn:0.5％以下、を含有し、さらに、 Cr:0.2〜３％、Al:0.2〜３％、 Y:0.01〜１％、のうちの２種以上を含有し、残りがNiと不可避不純物か
らなる組成を有するNi基合金などが用いられている。

〔発明が解決しようとする課題〕

一方、近年の内燃機関の高速化並びにハイオクタン価
ガソリンの使用などによる燃焼雰囲気の高温化傾向は著
しく、これに伴ない点火プラグ電極材もこれらの高温燃
焼雰囲気にさらされることになるが、上記の従来Ni基合
金で構成された点火プラグ電極材は、これらの高温燃焼
雰囲気で、良好な耐溶損性、高温耐食性、および耐火花
消耗性を示すものの、高温強度が十分でないために、比
較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。

〔課題を解決するための手段〕

そこで、本発明者等は、上述のような観点から、内燃
機関の点火プラグ電極に要求される特性を具備した上
で、さらに高温強度のすぐれた材料を開発すべく研究を
行なった結果、 Si:0.1〜1.5％、Mn:0.1〜0.65％、 Al:3.1〜５％、希土類元素のうちの１種以上:0.001〜0.
5％、を含有し、残りがNiと不可避不純物からなる組成を有す
るNi基合金で構成された点火プラグ電極材は、高温強度
のすぐれ、かつすぐれた耐溶損性、高温耐食性、および
耐火花消耗性も具備し、したがって高温燃焼雰囲気にさ
らされてもすぐれた性能を著しく長期に亘って発揮する
ようになり、さらに前記点火プラグ電極材を構成するNi
基合金に、合金成分として0.1〜２％のCrを含有させる
と、一段と高温耐食性が向上するようになるという知見
を得たのである。

この発明は、上記知見にもとづいてなされたものであ
って、 Si:0.1〜1.5％、Mn:0.1〜0.65％、 Al:3.1〜５％、希土類元素のうちの１種以上:0.001〜0.
5％、を含有し、さらに必要に応じて、 Cr:0.1〜２％、を含有し、残りがNiと不可避不純物からなる組成を有す
るNi基合金で構成された内燃機関の点火プラグ電極材に
特徴を有するものである。

つぎに、この発明の点火プラグ電極材を構成するNi基
合金の成分組成を上記の通りに限定した理由を説明す
る。

（ａ） Si Si成分には、Ni成分によってもたらされる耐溶損性を
損なうことなく、高温耐食性および耐火花消耗性を向上
させる作用があるが、その含有量が0.1％未満では前記
作用に所望の効果が得られず、一方その含有量が1.5％
を越えると耐溶損性に劣化傾向が現れるようになること
から、その含有量を0.1〜1.5％と定めた。

（ｂ） Mn Mn成分は、溶製時に脱酸および脱硫作用を発揮せしめ
る必要から不可欠の成分であるが、その含有量が0.1％
未満では十分な脱酸および脱硫効果が得られず、一方そ
の含有量が0.65％を越えると、高温耐食性が急激に劣化
するようになることから、その含有量を0.1〜0.65％と
定めた。

（ｃ） Al Al成分には、特に高温強度を著しく向上させ、かつ高
温耐食性を向上させる作用があるが、その含有量が3.1
％未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方その
含有量が５％を越えると加工性が低下するようになるこ
とから、その含有量を3.1〜５％と定めた。

（ｄ）希土類希土類成分には、耐溶損性および高温耐食性を一層向
上させる作用があるが、その含有量が0.001％未満で
は、前記作用に所望の向上効果が得られず、一方その含
有量が0.5％を越えても、より一層の向上効果は得られ
ず、経済性を考慮して、その含有量を、0.001〜0.5％と
定めた。

（ｅ） Cr Cr成分には、高温耐食性を一段と向上させる作用があ
るので、必要に応じて含有されるが、その含有量が0.1
％未満では所望の高温耐食性向上効果が得られず、一方
その含有量が２％を越えると、耐溶損性が劣化するよう
になることから、その含有量を0.1〜２％と定めた。

〔実施例〕

つぎに、この発明の点火プラグ電極材を実施例により
具体的に説明する。

通常の真空溶解炉を用い、それぞれ第１表に示される
成分組成をもったNi基合金溶湯を調製し、真空鋳造にて
鋳塊となし、ついでこの鋳塊を熱間鍛造にて直径:10mm
の丸棒とし、この丸棒から、さらに切出し、あるいは線
引き加工や熱間鍛造にて、直径:2.5mmの中心電極材と、
断面寸法:2.5mm×1.4mmの接地電極材からなる本発明点
火プラグ電極材（以下、本発明電極材という）１〜３お
よび従来点火プラグ電極材（以下、従来電極材という）
１〜４をそれぞれ製造すると共に、（ａ）高温強度を評価するための断面寸法:6mm×2mm
の高温引張試験用試片と、JIS Z2275に規定する厚さ
（ｔ）:6mm×R:30mm×先端幅（ｂ）:25mmの寸法をもっ
た高温疲労試験用試片、（ｂ）直径:5mm×長さ:50mmの寸法をもった高温耐食
性試験用試片、（ｃ）耐溶損性を評価するための断面寸法:2.5mm×1.
4mmの溶融開始温度測定用試片、をそれぞれ形成した。

上記の本発明電極材１〜３および従来電極材１〜４に
ついては、中心電極材と接地電極材を初期ギャップ（電
極間距離）:0.8mmで点火プラグにセットし、この点火プ
ラグをターボチャージャー装着の2000ccガソリンエンジ
ンに組込み、回転数:5500r.p.m.、時間:100時間の条件
で運転し、運転後のギャップ増加量を測定し、この測定
結果にもとづき、耐火花消耗性を評価した。

また、上記の各種試片を用い、以下の条件で試験を行
なうことにより上記本発明電極材１〜３および従来電極
材１〜４のもつ特性を評価した。

高温引張試験は、温度:800℃で行ない、引張り強さを
測定した。

高温疲労試験は、温度:800℃で、曲げ応力:5kgf/m
m²、荷重の繰り返し付加速度:2000回／分の条件で行な
い、破断に至るまでの曲げ回数を測定した。

高温耐食性試験は、試片をアルミナボートに乗せ、燃
焼ガス雰囲気中に、燃焼生成物としてPbOを形成するPb
化合物を連続的に定量供給できる装置内で、温度:800℃
に50時間加熱保持の条件で行ない、試験後、ワイヤーブ
ラシにて脱スケールを行ない、試片の重量減を測定し
た。

また、耐溶損性評価試験では、溶融開始温度を測定し
た。これらの測定結果を第２表に示した。

〔発明の効果〕

第1,2表に示される結果から、本発明電極材１〜３
は、すぐれた高温耐食性、耐火花消耗性、および耐溶損
性を有し、かつ従来電極材１〜４に比して一段とすぐれ
た高温強度を有することが明らかである。

上述のように、この発明の点火プラグ電極材は、すぐ
れた高温強度を有し、かつすぐれた高温耐食性、耐火花
消耗性、および耐溶損性も具備しているので、苛酷な条
件下での使用でもすぐれた性能を著しく長期に亘って発
揮するなど工業上有用な特性を有するのである。

フロントページの続き (72)発明者三村章埼玉県大宮市北袋町１―297 三菱金属株式会社中央研究所内 (72)発明者倉内伸好埼玉県桶川市上日出谷1230 三菱金属株式会社桶川第一製作所内審査官鈴木正紀

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】Si:0.1〜1.5％、Mn:0.1〜0.65％、 Al:3.1〜５％、希土類元素のうちの１種以上:0.001〜0.
5％、を含有し、残りがNiと不可避不純物からなる組成（以上
重量％）を有するNi基合金で構成したことを特徴とする
内燃機関の点火プラグ電極材。
【請求項２】Si:0.1〜1.5％、Mn:0.1〜0.65％、 Al:3.1〜５％、希土類元素のうちの１種以上:0.001〜0.
5％、を含有し、さらに、 Cr:0.1〜２％、を含有し、残りがNiと不可避不純物からなる組成（以上
重量％）を有するNi基合金で構成したことを特徴とする
内燃機関の点火プラグ電極材。