JP2568259Y2 - ロールベーラにおける結束時間短縮装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、彎曲せる主副コンベヤ
を対向状に設けてベールを形成するベール形成室と、ベ
ール形成室の前方に設けるピックアップ部と、ベールに
紐を巻着する結束装置とを備えて、主コンベヤによりピ
ックアップ部から取り込まれる材料をロール状のベール
に形成しその外周に紐を巻着するロールベーラにおける
結束時間短縮装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】このようなロールベーラにおいては、成
形後のベールに紐を巻着して結束する際のベール回転速
度が、ベールを形成する際の回転速度と同じであると、
結束所要時間が長くなって全体の作業能率が低下するの
で、ベール形成時にはベール形成部を必要な低速状態で
駆動し、ベールを結束する際には作業クラッチレバーの
切換えによってベール形成部をベール形成時に対比し高
速で駆動して作業時間を短縮するようにしたものが知ら
れている（例えば、特開昭６２−２１０９１６号公報参
照）。

【０００３】しかして、従来のものは、主及び副コンベ
ヤ、副コンベヤの従動軸側に連動するピックアップ部、
結束装置の入力軸に動力伝達する伝動系にあって、エン
ジンの出力軸とカウンター軸との間に高低二段のベルト
クラッチを設けて、これら高低二段のベルトクラッチを
作業クラッチレバーによって切換操作するように構成さ
れており、また、副コンベヤの従動軸からピックアップ
部に伝動する部位に係脱自在な爪クラッチを設け、該ク
ラッチを操作ワイヤーを介して作業クラッチレバーに連
繋させて、作業クラッチレバーの操作に連動して入り切
りされるように構成されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】従来のものは、上述の
ように構成されていたから、作業クラッチレバーに高低
二段のベルトクラッチをそれぞれ連繋する操作ワイヤ
ー、ピックアップ部への伝動系のクラッチを作業クラッ
チレバーに連結接続する操作ワイヤーなど多数の連繋具
が必要でそれらが輻輳して構造が複雑になる難点があ
り、また、高速状態に切換えられると、主コンベヤだけ
でなく副コンベヤや結束装置など全体が高速で強制駆動
されるので稼働騒音が高くなり，各部の損耗も早められ
るといった難点もあった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案は、従来のものの
難点を解消することを目的としてなされたもので、目的
達成のための以下の技術的手段を講じたものである。即
ち、本考案は、彎曲せる主副コンベヤ（１）（２）を対
向状に設けてベール（５）を形成するベール形成室
（３）と、ベール形成室（３）の前方に設けるピックア
ップ部（４）と、ベール（５）に紐（７）を巻着する結
束装置（６）とを備えて、主コンベヤ（１）により材料
をピックアップ部（４）からベール形成室（３）に取り
込んでロール状のベール（５）を形成しその外周に紐
（７）を巻着するロールベーラであって、前記主コンベ
ヤ（１）の回動支点軸（２３）にエンジン出力軸（３
４）からの動力を中間軸（４３）を介して伝動して、こ
の回動支点軸（２３）から主コンベヤ（１）の駆動軸
（２４）と副コンベヤ（２）の駆動軸（５３）及び結束
装置（６）の駆動入力軸（５７）に伝動し、且つ、主コ
ンベヤ（１）の従動軸（２５）からピックアップ部
（４）の回転軸（６５）に伝動するようにしてあるロー
ルベーラにおいて、前記回動支点軸（２３）と主コンベ
ヤ（１）の駆動軸（２４）間を連動連結する部位に高低
二段のギヤ式変速装置（８）を設け、該変速装置（８）
を作業クラッチレバー（１５）に連繋して作業クラッチ
レバー（１５）が結束位置（ハ）に操作されたときにの
み変速装置（８）が高速伝動に切換わるように構成する
とともに、副コンベヤ（２）は前記変速装置（８）が高
速側に切換わったときに自由回転するように構成し、さ
らに、主コンベヤ（１）の従動軸（２５）からピックア
ップ部（４）の回転軸（６５）に伝動する部位には前記
変速装置（８）が低速伝動状態のときに接続され、高速
伝動状態のときに切断される遠心式クラッチ（６６）を
設けてあることを特徴とするものである。

【０００６】

【作用】このような構成になるものであるから、成形後
のベールを結束するに際し、作業クラッチレバー（１
５）が結束位置（ハ）に移行されれば、それによって変
速装置（８）が自動的に高速伝動状態に切り換わって主
コンベヤ（１）が高速駆動されるとともに、副コンベヤ
（２）が自由回転して主コンベヤ（１）の高速回転に追
従することとなり、また、ピックアップ部（４）への伝
動が自動的に断たれる。

【０００７】

【実施例】以下、本考案による結束時間短縮装置に関し
て実施例図を参照し説明すると、（９）は走行クローラ
（１０）を有する機台、（１１）は前記機台（９）に搭
載するベーラ部、（４）はこのベーラ部（１１）の前方
に上下動可能に装設してピックアップフィンガー（１
２）を有するピックアップ部、（Ｅ）は前記機台（９）
後方に設置したエンジン、（１３）は前記エンジン
（Ｅ）後方に設けた操作パネル（１４）を有する運転操
作部である。

【０００８】前記ベーラ部（１１）はベール形成用のコ
ンベヤである彎曲して対向状に設けた主副コンベヤ
（１）（２）と、紐（７）を巻着する結束装置（６）を
有するとともに、前記運転操作部（１３）の操作パネル
（１４）に走行クラッチレバー（１６）と左右サイドク
ラッチレバー（１７）（１７）並びに主変速レバー（１
８）を備え、操作パネル（１４）の横に作業クラッチレ
バー（１５）が装着され、（１９）は前記ピックアップ
部（４）を上下動するピックアップ昇降レバー、（２
０）は同ピックアップ部（４）の支持高さを調節するピ
ックアップ昇降調節ハンドル、（２１）は副変速レバー
であって、ピックアップ部（４）によって拾い上げられ
た材料は主コンベヤ（１）によってベール形成室（３）
内に送られて取り込まれ、主副コンベヤ（１）（２）で
もってロール状のベール（５）に形成されるのである。

【０００９】そして、前記の主コンベヤ（１）を支持案
内するチャンバー（２２）は下端を入力軸（２３）に揺
動自在に支持させてあって、前記のベール室（３）内に
送られて取り込まれ形成される一定大きさのロール状の
完成ベール（５）圧によって上端がわの駆動軸（２４）
と一体に矢印（ホ）方向に揺動して解放する側に姿勢変
更可能に設けられている。

【００１０】また、前記主コンベヤ（１）前端がわの従
動軸（２５）と同軸上にピックアップ部の回動支点軸
（２６）を備え、該支点軸（２６）に前記ピックアップ
部（４）の側板（２７）の基端がわを回動自在に支持さ
せるとともに、該側板（２７）を前記ピックアップ昇降
レバー（１９）に連動連結して上下動操作可能にし、前
端がわ寄りには偏心軸（２８）を介し前記ピックアップ
フィンガー（１２）と主コンベヤ（１）によって材料を
拾い上げ前記ベール形成室（３）に送り込むように構成
している。

【００１１】（６）はベール形成室（３）に取り込まれ
て一定の大きさに形成された完成ベール（５）の外周に
紐（７）を巻着する結束装置で、駆動ロール（２９）が
わに従動ロール（３０）を圧接して紐（７）を繰出す繰
出機構（３１）と、この紐（７）をベール形成室（３）
の幅方向に移動させる横送り機構（３２）と、ベール外
周への巻着完了により紐（７）を切断するカッターと、
横送り機構（３２）への動力の断続を行うクラッチ部を
備えたもので、その構造は従来のものと同じであるので
詳細な説明は省略することにする。

【００１２】そして、前記ベーラ部（１１）の左側機壁
には開閉自在のドア（３３）が設けられてドア（３３）
の開放によって紐（７）の巻着されたベール（５）が押
出し機構（図示省略）により機体の側方に取出されるよ
うになっている。

【００１３】即ち、作業クラッチレバー（１５）を作業
位置（イ）にして機体を走行させると材料は回転するピ
ックアップフィンガー（１２）により拾い上げられ主コ
ンベヤ（１）によってベール形成室（３）に取り込まれ
副コンベヤ（２）との協同によりロール状のベール
（５）に形成され、そのベール（５）が一定の大きさに
完成されるとその完成ベール（５）圧によってチャンバ
ー（２２）が矢印（ホ）のように解放する側に姿勢変更
させられ、その姿勢変更により作業クラッチレバー（１
５）を紐繰出位置（ロ）に操作すると繰出機構（３１）
により紐（７）が繰出され主コンベヤ（１）によって回
転しているロール状のベール（５）に巻付く。

【００１４】このとき、作業クラッチレバー（１５）を
結束位置（ハ）に戻すと横送り機構（３２）はそのクラ
ッチ部が「入」となって紐（７）を横送りし、ベール
（５）の外周に螺旋状に巻着するようになって巻着を完
了し紐（７）はカッターによって切断される。そこで、
作業クラッチレバー（１５）を放出位置（ニ）にすれば
ドア（３３）が開放し押出し機構によって巻着後のベー
ル（５）は機体の側方に取出されるのである。

【００１５】次に、各部への動力伝達手段について記載
すると、前記エンジン（Ｅ）の出力軸（３４）から走行
ミッション（Ｍ）の入力軸（３５）にプーリー（３６）
（３７）（３８）（３９）とベルト（４０）（４１）及
びテンションローラである低速及び高速用の走行クラッ
チ（４２ａ）（４２ｂ）を介して伝動させ、また、前記
の出力軸（３４）に中間軸（４３）をプーリー（４４）
（４５）とベルト（４６）及びテンションローラである
作業用クラッチ（４７）を介して連動連結させ、前記主
コンベヤ（１）を後方の解放側に姿勢変更させるところ
の支点軸を兼ねる入力軸（２３）にはスプロケット（４
８）（４９）とチエン（５０）を介して中間軸（４３）
から動力を供給している。

【００１６】そして、前記主コンベヤ（１）上端がわの
駆動軸（２４）に入力軸（２３）のスプロケット（５
１）からチエン（５２）を介して伝動させるのである
が、この駆動軸（２４）への伝動経路中に前記チャンバ
ー（２２）の側部に一体的に取着され大小異径のギヤ群
を備えた変速装置（８）が介装されて主コンベヤ（１）
を高速または低速に切換自在になっている。

【００１７】また、前記入力軸（２３）に副コンベヤ
（２）の駆動軸（５３）をスプロケット（５４）（５
５）とチエン（５６）を介して連動連結させるととも
に、結束装置（６）の駆動入力軸（５７）をプーリー
（５８）（５９）とベルト（６０）によって伝動させ、
さらに、主コンベヤ（１）前端がわの従動軸（２５）か
らスプロケット（６１）（６２）とチエン（６３）を介
してピックアップドラム（６４）の回転軸（６５）を伝
動しピックアップフィンガー（１２）により材料を拾い
上げるようにしているが、従動軸（２５）とスプロケッ
ト（６１）の間に遠心式クラッチ（６６）を設け、この
遠心式クラッチ（６６）は低速回転で「入」となり高速
回転で「切」になるように構成されている。

【００１８】そして、前記の変速装置（８）はワイヤー
（６７）によって作業クラッチレバー（１５）に連繋さ
れてこの作業クラッチレバー（１５）を結束位置（ハ）
に操作したときのみ高速側に切換り、結束位置（ハ）を
除く中立以外の位置では低速側に変速されるようになっ
ている。

【００１９】なお、前記の主副コンベヤ（１）（２）は
彎曲して対向状に設けられベール形成室（３）を形成す
るのであるが、主コンベヤ（１）は上端がわの駆動軸
（２４）とピックアップ部（４）がわに位置する前端が
わの従動軸（２５）に軸着する駆動スプロケット（６
８）（６８）と従動スプロケット（６９）（６９）にそ
れぞれチエン（７０）（７０）を懸回させこの左右のチ
エン（７０）（７０）間にベール形成パイプ（７１）を
等間隔に横架させたものであり、また副コンベヤ（２）
も同様に下端がわの駆動軸（５３）と上端がわの従動軸
（７２）に軸着する駆動スプロケット（７３）（７３）
と従動スプロケット（７４）（７４）にそれぞれチエン
（７５）（７５）を懸回させこの左右のチエン（７５）
（７５）間にベール形成パイプ（７６）を等間隔に横架
させたものである。

【００２０】また、前記副コンベヤ（２）の駆動軸（５
３）に駆動スプロケット（７３）（７３）を軸着せずに
これら駆動軸（５３）と駆動スプロケット（７３）（７
３）の間にワンウエイクラッチを介装して主コンベヤ
（１）が高速回動に切換ったとき高速側には自由に回転
するようにしてある。

【００２１】これによって、作業クラッチレバー（１
５）を紐繰出位置（ロ）から結束位置（ハ）に戻すと結
束装置（６）中の横送り機構（３２）はそのクラッチ部
が「入」となって紐（７）の横送りを開始するのである
が、これと同時にワイヤー（６７）を介して変速装置
（８）は低速から高速側に切換り主コンベヤ（１）は高
速で回動し完成ベール（５）をベール形成室（３）内で
高速回転させ紐（７）の横送りとともに螺旋状の巻着作
業が早くなる。また、このとき副コンベヤ（２）はワン
ウエイクラッチによって高速側に自由に回動し紐巻着時
の完成ベール（５）の高速回転にブレーキをかけるよう
なことがないのである。そして、ピックアップ部（４）
のピックアップドラム（６４）は主コンベヤ（１）の高
速側への切換えによって遠心クラッチ（６６）が働いて
自動的に「切」となりピックアップドラム（６４）は回
転を停止するのである。

【００２２】

【考案の効果】以上のように、本考案におけるロールベ
ーラの結束時間短縮装置は、主コンベヤ（１）の回動支
点軸（２３）にエンジン出力軸（３４）からの動力を中
間軸（４３）を介して伝動して、この回動支点軸（２
３）から主コンベヤ（１）の駆動軸（２４）と副コンベ
ヤ（２）の駆動軸（５３）及び結束装置（６）の駆動入
力軸（５７）に伝動し、且つ、主コンベヤ（１）の従動
軸（２５）からピックアップ部（４）の回転軸（６５）
に伝動するようにしてあるロールベーラにおいて、前記
回動支点軸（２３）と主コンベヤ（１）の駆動軸（２
４）間を連動連結する部位に高低二段のギヤ式変速装置
（８）を設け、その変速装置（８）を作業クラッチレバ
ー（１５）に連繋して作業クラッチレバー（１５）が結
束位置（ハ）に操作されたときにのみ変速装置（８）が
高速伝動に切換わるように構成するとともに、副コンベ
ヤ（２）は前記変速装置（８）が高速側に切換わったと
きに自由回転するように構成し、さらに、主コンベヤ
（１）の従動軸（２５）からピックアップ部（４）の回
転軸（６５）に伝動する部位には前記変速装置（８）が
低速伝動状態のときに接続され、高速伝動状態のときに
切断される遠心式クラッチ（６６）を設けたものである
ので、作業クラッチレバー（１５）に変速装置（８）を
連繋するのみの簡潔な構成によってベール結束時にベー
ル形成部を高速駆動し、且つ、ベール結束に関与しない
ピックアップ部は自動停止させて効率のよい結束を行う
ことができ、稼働騒音が低くなると共に各部の損耗も抑
えられる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案要部の拡大側面図である。

【図２】各部への動力伝達図である。

【図３】作業クラッチレバーの操作位置を示す平面図で
ある。

【図４】ロールベーラ全体の概略を示す側面図である。

【図５】同全体の概略平面図である。

【符号の説明】

１ 主コンベヤ ２ 副コンベヤ ３ ベール形成室 ４ ピックアップ部 ５ ベール ６ 結束装置 ７ 紐 ８ 変速装置 １５ 作業クラッチレバー ２３ 回動支点軸 ２４ 主コンベヤの駆動軸 ２５ 主コンベヤの従動軸 ３４ エンジン出力軸 ４３ 中間軸 ５３ 副コンベヤの駆動軸 ５７ 駆動入力軸 ６５ 回転軸 ６６ 遠心式クラッチ ハ 結束位置

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 彎曲せる主副コンベヤ（１）（２）を対
   向状に設けてベール（５）を形成するベール形成室
   （３）と、ベール形成室（３）の前方に設けるピックア
   ップ部（４）と、ベール（５）に紐（７）を巻着する結
   束装置（６）とを備えて、主コンベヤ（１）により材料
   をピックアップ部（４）からベール形成室（３）に取り
   込んでロール状のベール（５）を形成しその外周に紐
   （７）を巻着するロールベーラであって、前記主コンベ
   ヤ（１）の回動支点軸（２３）にエンジン出力軸（３
   ４）からの動力を中間軸（４３）を介して伝動して、こ
   の回動支点軸（２３）から主コンベヤ（１）の駆動軸
   （２４）と副コンベヤ（２）の駆動軸（５３）及び結束
   装置（６）の駆動入力軸（５７）に伝動し、且つ、主コ
   ンベヤ（１）の従動軸（２５）からピックアップ部
   （４）の回転軸（６５）に伝動するようにしてあるロー
   ルベーラにおいて、前記回動支点軸（２３）と主コンベ
   ヤ（１）の駆動軸（２４）間を連動連結する部位に高低
   二段のギヤ式変速装置（８）を設け、該変速装置（８）
   を作業クラッチレバー（１５）に連繋して作業クラッチ
   レバー（１５）が結束位置（ハ）に操作されたときにの
   み変速装置（８）が高速伝動に切換わるように構成する
   とともに、副コンベヤ（２）は前記変速装置（８）が高
   速側に切換わったときに自由回転するように構成し、さ
   らに、主コンベヤ（１）の従動軸（２５）からピックア
   ップ部（４）の回転軸（６５）に伝動する部位には前記
   変速装置（８）が低速伝動状態のときに接続され、高速
   伝動状態のときに切断される遠心式クラッチ（６６）を
   設けてあるロールベーラにおける結束時間短縮装置。