JP2503781Y2 - 紙幣集積機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、紙幣処理装置に組み込まれる紙幣集積機構
に関するものである。

〔従来の技術〕

金融機関で用いられる紙幣処理装置，例えば紙幣入出
金装置では、入金取引において装置に投入され、鑑別部
で入金可能と鑑別された紙幣を金種別及び正損別に振り
分けて紙幣集積機構のステージ上に集積することが行わ
れる。

第３図及び第４図はこのような紙幣処理装置に組み込
まれている従来の紙幣集積機構を示す概略的な側面図
で、第３図はスライド式の紙幣集積機構、第４図は回転
式の紙幣集積機構である。

第３図のスライド式の紙幣集積機構は、ステージ１の
側部に複数のガイド突起２を形成し、この突起２を図示
しないフレーム等に設けられたガイド溝３にスライド可
能に嵌め合わせることにより上下動し得るようにすると
共に、所定の引張力を有するスプリング４により前記ス
テージ１を上方に付勢した機構としている。

この構成は、図示しないモータ等の駆動源により回転
するローラ及び無端状のベルトからなる搬送手段Ａによ
り送り込まれる紙幣Ｂをステージ１上に集積するもの
で、ステージ１は紙幣Ｂの集積量が増えるに従ってスプ
リング４によりバランスをとって下降する。

一方、第４図の回転式の紙幣集積機構は、ステージ５
の一端を図示しないフレーム等に軸６を介して回転可能
に支持すると共に、ステージ５の他端を所定の引張力を
有するスプリング７により上方に付勢した構成としてお
り、従ってこの構成では搬送手段Ａにより送り込まれる
紙幣Ｂがステージ５上に集積するのに伴って、スプリン
グ７によりバランスをとりつつステージ５が軸６を中心
として下方に回転するものとなっている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら上述した従来の紙幣集積機構は、それぞ
れ以下の問題を有している。

すなわち、第３図にて説明したスライド式の紙幣集積
機構の場合、ステージの側部にガイド突起を形成した
り、この突起をスライド可能に嵌合させるガイド溝を集
積機構周囲のフレーム等に設けたりする必要があるた
め、構造が複雑となり、かつ高価になるという問題があ
る。

また、第４図にて説明した回転式の紙幣集積部の場合
は、搬送手段によって一定角度で送り込まれてくる紙幣
に対してステージの角度が紙幣の集積量により変化する
ため、既にステージ上に集積されている紙幣に後続の紙
幣の先端が突き当たって折れや位置ずれ等の発生を起こ
し易く、ステージ上に紙幣を安定して集積することが困
難であると共に、ステージ上の紙幣を分離ローラやリバ
ースローラにより自動的に繰り出す場合に前記の折れた
紙幣や位置ずれ等を起こした紙幣によりジャム等を発生
するという問題がある。

本考案はこれらの問題を解決するためになされたもの
で、安定した紙幣の集積が可能であると共に、構造が簡
単でかつ安価な紙幣集積部を実現することを目的とする
ものである。

〔課題を解決するための手段〕

この目的を達成するため、本考案は一端に回転中心と
なる軸を有する第１のステージ部材と、この第１のステ
ージ部材の他端が前記一端より上方になるように該第１
のステージ部材を所定の力で付勢する第１の付勢手段
と、一端が軸を介して第１のステージ部材に回転可能に
支持された第２のステージ部材と、この第２のステージ
部材の他端が前記一端より上方になるように該第２のス
テージ部材を所定の力で付勢する第２の付勢手段とによ
り、前記第２のステージ部材が第１のステージ部材と共
に鈍角状の略Ｖ形を成すように構成したものである。

〔作用〕

上述した構成によれば、搬送手段により送り込まれて
くる紙幣が第１のステージ部材と第２のステージ部材上
に跨がるように集積される。

そして、紙幣の集積量が増えるに従って第１の付勢手
段と第２の付勢手段の力にバランスして第１のステージ
部材と第２のステージ部材の角度が広がり、これにより
集積紙幣の角度と、その最上位置の紙幣の高さを一定に
保持する。

従ってこれによれば、安定した紙幣の集積が可能とな
り、構造も簡単で安価な紙幣集積機構が実現される。

〔実施例〕

以下図面を参照して実施例を説明する。

第１図は本考案による紙幣集積部の一実施例を示す斜
視図で、図において８は第１のステージ部材で、その一
端に設けた軸９により図示しないフレーム等に回転可能
に支持されており、この第１のステージ部材８の他端は
前記一端より上方になるように所定の引張力を有する第
１の付勢手段としてのスプリング10により上方に付勢さ
れている。

11は第２のステージ部材で、一端が軸12を介して第１
のステージ部材８の側面に回転自在に取り付けられてい
て、該一端が所定の引張力を有する第２の付勢手段とし
てのスプリング13により下方に付勢されており、つまり
第２のステージ部材11の他端も一端より上方になるよう
にスプリング13によって上方に付勢されており、これに
より第２のステージ部材11は第１のステージ部材８の一
部と鈍角状の略Ｖ形を成すように保持されている。

第２図は上述した構成の作用を示す側面図で、同図
（ａ）はステージ上の紙幣集積量が少ない状態、同図
（ｂ）はステージ上の紙幣集積量が多い状態を示してい
る。

まず、図示しないモータ等の駆動源により回転するロ
ーラ及び無端状のベルトから成る搬送手段Ａにより送り
込まれる紙幣Ｂは、その先端側が第１のステージ部材８
上に載り、後端側が第２のステージ部材11上に載るよう
に順次集積される。

つまり、紙幣Ｂは第１のステージ部材８と第２のステ
ージ部材11に跨がるように集積されて行く。

この場合、紙幣Ｂの集積枚数が極く少ない状態では、
紙幣Ｂが第１のステージ部材８と第２のステージ部材11
が成す略Ｖ形の谷に沿って多少湾曲するが、紙幣Ｂの集
積枚数が増えるに従って湾曲はなくなって平坦となる。

また、紙幣Ｂの集積枚数が増えるに従ってその重量が
増加すると、スプリング10,13の力にバランスして第１
のステージ部材８と第２のステージ部材11がそれぞれ軸
9,12を中心として回転し、これにより第１のステージ部
材８と第２のステージ部材11が成す略Ｖ形の角度が広が
って行く。

従って、第２図（ａ）に示したように第１のステージ
部材８と第２のステージ部材11上の紙幣Ｂの集積枚数が
少ない場合でも、また第２図（ｂ）に示したように紙幣
Ｂの集積枚数が増加した場合でも、集積紙幣Ｂの角度
と、最上位の紙幣Ｂの高さは常に一定に保たれ、安定し
た集積が可能となる。

尚、上述した実施例では、第1,第２の付勢手段として
コイル状のスプリング10,13を用いたが、これに限られ
るものではなく、例えばトーションスプリング等により
第１のステージ部材８と第２のステージ部材11が略Ｖ形
を成すように付勢するようにしてもよい。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案は、一端に回転中心となる
軸を有する第１のステージ部材と、この第１のステージ
部材の他端が前記一端より上方になるように該第１のス
テージ部材を所定の力で付勢する第１の付勢手段と、一
端が軸を介して第１のステージ部材に回転可能に支持さ
れた第２のステージ部材と、この第２のステージ部材の
他端が前記一端より上方になるように該第２のステージ
部材を所定の力で付勢する第２の付勢手段とによって、
前記第２のステージ部材が第１のステージ部材と共に鈍
角状の略Ｖ形を成すように構成し、搬送手段により送り
込まれてくる紙幣が第１のステージ部材と第２のステー
ジ部材上に跨がるように集積させると共に、紙幣の集積
量が増えるに従って第１の付勢手段と第２の付勢手段の
力にバランスして第１のステージ部材と第２のステージ
部材の角度が広がり、これにより集積紙幣の角度と、そ
の最上位置の紙幣の高さを一定に保持するようにしてい
る。

従ってこれによれば、紙幣の安定した集積が可能とな
り、ステージ上の紙幣を分離ローラやリバースローラに
より自動的に繰り出す場合にも安定した動作が可能にな
るという効果が得られる。

また、本考案は２枚のステージ部材と各々のステージ
部材を付勢する付勢手段とで構成できるので構造も簡単
となり、安価な紙幣集積機構が実現できるという効果も
得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による紙幣集積部の一実施例を示す斜視
図、第２図は第１図の実施例の作用を示す側面図、第３
図は従来のスライド式の紙幣集積機構を示す側面図、第
４図は従来の回転式の紙幣集積機構を示す側面図であ
る。 A:搬送手段、B:紙幣 8:第１のステージ部材、9:軸 10:スプリング、11:第２のステージ部材 12:軸、13:スプリング

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】一端に回転中心となる軸を有する第１のス
   テージ部材と、 この第１のステージ部材の他端が前記一端より上方にな
   るように該第１のステージ部材を所定の力で付勢する第
   １の付勢手段と、 一端が軸を介して第１のステージ部材に回転可能に支持
   された第２のステージ部材と、 この第２のステージ部材の他端が前記一端より上方にな
   るように該第２のステージ部材を所定の力で付勢する第
   ２の付勢手段とを供え、 搬送手段により送り込まれてくる紙幣を第１のステージ
   部材と第２のステージ部材上に跨がるように集積するこ
   とを特徴とする紙幣集積機構。