JP2024044715A - 電子部品の製造方法 - Google Patents

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JP2024044715A JP2022150429A JP2022150429A JP2024044715A JP 2024044715 A JP2024044715 A JP 2024044715A JP 2022150429 A JP2022150429 A JP 2022150429A JP 2022150429 A JP2022150429 A JP 2022150429A JP 2024044715 A JP2024044715 A JP 2024044715A
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久敏 岡山
和泉 大同
駿夫 高橋
千恵子 山澤
由季 西海
聡史 林
徳重 七里
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Abstract

【課題】加熱処理又は発熱を伴う処理が施された場合であっても、電子部品の損傷を低減し、かつ、支持体を容易に剥離することができる電子部品の製造方法を提供する。【解決手段】ポリイミド系仮固定材を介して、電子部品を支持体に固定する支持体固定工程と、前記支持体に固定された電子部品に加熱処理又は発熱を伴う処理を施す処理工程と、前記支持体側からレーザー光を照射し、前記電子部品から支持体を剥離する支持体剥離工程とを有する電子部品の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、電子部品の製造方法に関する。
半導体等の電子部品の加工時においては、電子部品の取扱いを容易にし、破損したりしないようにするために、粘着剤組成物からなる仮固定材を介して電子部品を支持体に固定したり、粘着剤層を有するテープ状の仮固定材を電子部品に貼付したりして保護することが行われている。例えば、高純度なシリコン単結晶等から切り出した厚膜ウエハを所定の厚さにまで研削して薄膜ウエハとする場合に、仮固定材を介して厚膜ウエハを支持体に接着することが行われる。
このように電子部品の仮固定に用いる仮固定材には、加工工程中に電子部品を強固に固定できるだけの高い接着性とともに、工程終了後には電子部品を損傷することなく剥離できることが求められる(以下、「高接着易剥離」ともいう。)。
高接着易剥離の実現手段として、例えば、特許文献1には、ポリマーの側鎖又は主鎖に放射線重合性官能基を有する多官能性モノマー又はオリゴマーが結合された粘着剤を用いた粘着シートが開示されている。放射線重合性官能基を有することで紫外線照射によりポリマーが硬化することを利用して、剥離時に紫外線を照射することにより粘着力が低下して、糊残りなく剥離することができる。
特開平5-32946号公報
仮固定材を介して支持体に固定された電子部品は、加工処理が施された後、支持体が剥離され、仮固定材上から電子部品が取り出される。従来、支持体を剥離する際には、メカニカルピールや、仮固定材にガス発生剤を含有させ、光照射等によって該ガス発生剤からガスを発生させることによるガス剥離等が行われてきた。しかしながら、電子部品の加工処理として加熱処理又は発熱を伴う処理が施された後にメカニカルピールを行った場合、容易に剥離することができずに電子部品に破損が生じることがあった。また、ガス剥離では、易剥離とするためにガス発生量を増やす必要があるが、その場合、仮固定材の耐熱性が損なわれることがあった。また、光照射によってガス発生剤からガスを発生させる場合、光を充分に透過する仮固定材でなければならず、仮固定材の設計自由度が狭まるという課題がある。
本発明は、加熱処理又は発熱を伴う処理が施された場合であっても、電子部品の損傷を低減し、かつ、支持体を容易に剥離することができる電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
本開示1は、ポリイミド系仮固定材を介して、電子部品を支持体に固定する支持体固定工程と、上記支持体に固定された電子部品に加熱処理又は発熱を伴う処理を施す処理工程と、上記支持体側からレーザー光を照射し、上記電子部品から支持体を剥離する支持体剥離工程とを有する電子部品の製造方法である。
本開示2は、上記ポリイミド系仮固定材は、光硬化性を有し、上記支持体固定工程後、かつ、上記処理工程前に、光を照射して上記ポリイミド系仮固定材を硬化する光硬化工程を有する本開示1の電子部品の製造方法である。
本開示3は、上記ポリイミド系仮固定材が熱硬化性を有し、上記支持体固定工程後、かつ、上記処理工程前に、加熱してポリイミド系仮固定材を硬化する熱硬化工程を有する本開示1の電子部品の製造方法である。
本開示4は、上記レーザー光の波長が200nm以上550nm以下である本開示1、2又は3の電子部品の製造方法である。
本開示5は、上記レーザー光の照射強度が50mJ/cm以上2000mJ/cm以下である本開示1、2、3又は4の電子部品の製造方法である。
本開示6は、上記レーザー光は、CWレーザーである本開示1、2、3、4又は5の電子部品の製造方法である。
本開示7は、上記レーザー光は、パルスレーザーである本開示1、2、3、4又は5の電子部品の製造方法である。
本開示8は、上記レーザー光のパルス幅が100nsec以下である本開示7の電子部品の製造方法である。
本開示9は、上記レーザー光を上記ポリイミド系仮固定材上を走査するように照射する本開示1、2、3、4、5、6、7又は8の電子部品の製造方法である。
本開示10は、上記レーザー光の照射形状における強度の分布がガウシアン波形である本開示1、2、3、4、5、6、7、8又は9の電子部品の製造方法である。
本開示11は、上記レーザー光の照射形状における強度の分布が平坦化処理されている本開示1、2、3、4、5、6、7、8又は9の電子部品の製造方法である。
本開示12は、上記レーザー光の照射形状が四角形である本開示1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11の電子部品の製造方法である。
本開示13は、上記レーザー光を照射する際に換気を行う本開示1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12の電子部品の製造方法である。
本開示14は、上記ポリイミド系仮固定材は、波長308nmでの吸光度が0.1以上である本開示1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13の電子部品の製造方法である。
本開示15は、上記ポリイミド系仮固定材は、硬化物の5%重量減少温度が350℃以上である本開示1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14の電子部品の製造方法である。
本開示16は、上記ポリイミド系仮固定材は、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂を含有する本開示1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15の電子部品の製造方法である。
本開示17は、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂は、下記式(1)で表される構成単位を有する本開示1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16の電子部品の製造方法である。
本開示18は、マレイミド基を有する化合物を含有する本開示1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は17の電子部品の製造方法である。
本開示19は、上記マレイミド基を有する化合物は、ビスマレイミド化合物、又は、マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物である本開示18の電子部品の製造方法である。
Figure 2024044715000001
式(1)中、Pは、芳香族基を表し、Qは、置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族基を表す。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、電子部品から支持体を剥離する際に、支持体側からレーザー光を照射するレーザー剥離を行うことを検討した。その結果、加熱処理又は発熱を伴う処理が施された場合であっても、電子部品の損傷を低減し、かつ、支持体を容易に剥離することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の電子部品の製造方法は、ポリイミド系仮固定材を介して、電子部品を支持体に固定する支持体固定工程を有する。
上記ポリイミド系仮固定材は、後述する照射されるレーザー光の波長における吸光度が0.1以上であることが好ましい。上記吸光度が0.1以上であることにより、照射するレーザー光が比較的低エネルギーであっても、ポリイミド系仮固定材を支持体からより容易に剥離することができる。より具体的には、532nm、355nm、又は、308nmからなる群より選択される少なくとも1つの波長における吸光度が0.1以上であることが好ましく、355nm又は308nmからなる群より選択される少なくとも1つの波長における吸光度が0.1以上であることがより好ましい。上記波長308nmでの吸光度のより好ましい下限は0.2であり、上記波長355nmでの吸光度のより好ましい下限は0.2である。
また、上記照射されるレーザー光の波長における吸光度の好ましい上限は特にない。
なお、上記ポリイミド系仮固定材の波長308nmでの吸光度は、分光光度計を用いて測定することができる。上記分光光度計としては、例えば、U-3900(日立ハイテクサイエンス社製)等が挙げられる。なお、この時の光路長は該ポリイミド系仮固定材の厚みとする。
上記ポリイミド系仮固定材は、5%重量減少温度の好ましい下限が350℃である。上記ポリイミド系仮固定材の5%重量減少温度が350℃以上であることにより、得られるポリイミド系仮固定材が耐熱性により優れるものとなる。上記ポリイミド系仮固定材の5%重量減少温度のより好ましい下限は380℃、更に好ましい下限は400℃である。
また、上記ポリイミド系仮固定材の5%重量減少温度の好ましい上限は特にないが、実質的な上限は600℃程度である。なお、上記仮固定材が後述するような硬化性を有する場合、上記仮固定材の硬化物の5%重量減少温度が上記範囲であることが好ましい。
上記ポリイミド系仮固定材の5%重量減少温度は、示差熱熱重量同時測定装置により測定することができる。具体的には、以下の方法により測定することができる。
即ち、まず上記ポリイミド系仮固定材が硬化性を有する場合、仮固定材を硬化させる。ポリイミド系仮固定材が光硬化性を有する場合、仮固定材に波長365nm、照射強度70mW/cmの紫外線を300秒間照射し硬化させる。仮固定材が熱硬化性を有する場合、オーブン中にて150℃で10分間加熱することによりポリイミド系仮固定材を硬化させる。必要に応じて仮固定材を硬化させた後、得られたサンプルをアルミパンに秤取する。次いで、該アルミパンを示差熱熱重量同時測定装置にセットし、窒素雰囲気下で30℃から500℃まで10℃/分の昇温速度で昇温した際に、昇温前と比較してポリイミド系仮固定材の重量が5%減少した時点の温度を5%重量減少温度として得ることができる。上記示差熱熱重量同時測定装置としては、STA7200RV(日立ハイテクサイエンス社製)を用いることができる。
上記ポリイミド系仮固定材は、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂を含有することが好ましい。上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂は、イミド骨格を有することによって極めて耐熱性に優れ、300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても主鎖の分解が起こり難い。このため、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂を含有することにより、得られるポリイミド系仮固定材は、高温加工処理中は支持体との間のボイド及び浮きの発生を抑えることができ、また、被着体に対して接着亢進を起こしたり、被着体との剥離時に糊残りが発生したりすることを防止することができる。
上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂は、上記式(1)で表される構成単位を有することが好ましい。
上記式(1)中、Pは、炭素数5以上50以下の芳香族基であることが好ましい。上記Pが炭素数5以上50以下の芳香族基であることにより、得られるポリイミド系仮固定材が耐熱性により優れるものとなる。即ち、高温加工処理中は支持体との間のボイド及び浮きの発生をより抑えることができ、また、被着体に対して接着亢進を起こしたり、被着体との剥離時に糊残りが発生したりすることをより防止することができる。
上記式(1)中、Qは、置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数2以上100以下の脂肪族基であることが好ましい。上記Qが置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数2以上100以下の脂肪族基であることにより、得られるポリイミド系仮固定材が光透過性により優れるものとなる。また、得られるポリイミド系仮固定材が柔軟性により優れるものとなり、凹凸を有する被着体に対して高い追従性を発揮できるとともに、剥離時により容易に剥離することができるものとなる。
また、上記Qは、ジアミン化合物に由来する脂肪族基であることが好ましい。なかでも、光透過性、柔軟性、及び、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂の溶媒や他の成分との相溶性の観点から、上記Qは、ダイマージアミンに由来する脂肪族基であることが好ましい。
上記ダイマージアミンとは、不飽和脂肪酸の2量体として得られる環式及び非環式ダイマー酸を、還元しアミノ化して得られるジアミン化合物であり、例えば、直鎖型、単環型、多環型等のダイマージアミンが挙げられる。上記ダイマージアミンは、炭素-炭素二重結合を含んでいてもよいし、水素が付加した水素添加物であってもよい。
上記ダイマージアミンに由来する脂肪族基としては、例えば、下記式(2-1)で表される基、下記式(2-2)で表される基、下記式(2-3)で表される基、及び、下記式(2-4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種の基が好ましい。なかでも、下記式(2-2)で表される基がより好ましい。
Figure 2024044715000002
式(2-1)~(2-4)中、R~R16は、それぞれ独立して、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を表し、*は結合手を表す。結合手*は、上記式(1)中のNと結合する。
上記一般式(2-1)~(2-4)中、R~R16で表される炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよいし、不飽和炭化水素基であってもよい。なかでも、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R11とR12、R13とR14、及び、R15とR16の炭素数の合計が7以上50以下であることが好ましい。上記炭素数の合計が上記範囲内であることにより、得られるポリイミド系仮固定材が、光透過性及び柔軟性により優れるものとなり、かつ、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂の溶媒や他の成分との相溶性にもより優れるものとなる。上記炭素数の合計は、より好ましくは9以上、更に好ましくは12以上、更により好ましくは14以上である。上記炭素数の合計は、より好ましくは35以下、更に好ましくは25以下、更により好ましくは18以下である。
上記式(2-1)で表される基、上記式(2-2)で表される基、上記式(2-3)で表される基、及び、上記式(2-4)で表される基において光学異性は特に限定されず、いずれの光学異性も含む。
上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂は、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂を含むことが好ましく、炭素―炭素二重結合を有する重合性官能基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂を含むことが更に好ましい。
上記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂は、重量平均分子量が2万以上200万以下であることが好ましい。上記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂の重量平均分子量が2万以上であることにより、得られるポリイミド系仮固定材が耐熱性により優れるものとなる。即ち、高温加工処理中は支持体との間のボイド及び浮きの発生をより抑えることができ、また、被着体に対して接着亢進を起こしたり、被着体との剥離時に糊残りが発生したりすることをより防止することができる。上記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂の重量平均分子量が200万以下であることにより、上記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂が溶媒や他の成分との相溶性により優れるものとなる。上記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂の重量平均分子量のより好ましい下限は4万、より好ましい上限は60万である。
なお、本明細書において、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法によりポリスチレン換算分子量として測定される。具体的には例えば、APCシステム(ウォーターズ社製)を用いて、移動相THF、流量1.0mL/min、カラム温度40℃、サンプル濃度0.2質量%、RI・PDA検出器の条件で測定することができる。上記カラムとしては、HR-MB-M 6.0×150mm(ウォーターズ社製)等を用いることができる。
上記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂としては、具体的には例えば、上記式(1)で表される構成単位を有し、両末端にマレイミド基を有さない官能基を有する樹脂等が挙げられる。
上記式(1)で表される構成単位を有し、両末端にマレイミド基を有さない官能基を有する樹脂は、下記式(3)で表される構成単位を有していてもよい。
Figure 2024044715000003
式(3)中、Pは、芳香族基を表し、Qは、置換又は非置換の芳香族構造を有する基を表す。
上記式(3)中、Pは、炭素数5以上50以下の芳香族基であることが好ましい。上記Pが炭素数5以上50以下の芳香族基であることにより、得られるポリイミド系仮固定材が耐熱性により優れるものとなる。即ち、高温加工処理中は支持体との間のボイド及び浮きの発生をより抑えることができ、また、被着体に対して接着亢進を起こしたり、被着体との剥離時に糊残りが発生したりすることをより防止することができる。
上記式(3)中、Qは、置換又は非置換の炭素数5以上50以下の芳香族構造を有する基であることが好ましい。上記Qが置換又は非置換の炭素数5以上50以下の芳香族構造を有する基であることにより、得られるポリイミド系仮固定材が耐熱性により優れるものとなる。即ち、高温加工処理中は支持体との間のボイド及び浮きの発生をより抑えることができ、また、被着体に対して接着亢進を起こしたり、被着体との剥離時に糊残りが発生したりすることをより防止することができる。
上記マレイミド基を有さない官能基としては、例えば、脂肪族基、脂環式基、芳香族基、酸無水物基、アミノ基等が挙げられる。具体的には、上記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂の原料となる酸無水物やジアミン化合物の未反応の片末端構成基等が挙げられる。
上記式(1)で表される構成単位を有し、両末端にマレイミド基を有さない官能基を有する樹脂が両末端に有する、マレイミド基を有さない官能基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(1)で表される構成単位を有し、両末端にマレイミド基を有さない官能基を有する樹脂における上記式(1)で表される構成単位の含有割合は、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上であり、好ましくは90モル%以下、より好ましくは80モル%以下である。
上記式(1)で表される構成単位を有し、両末端にマレイミド基を有さない官能基を有する樹脂が上記式(3)で表される構成単位を有する場合、上記式(3)で表される構成単位の含有割合は、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは20モル%以上であり、好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下である。
上記式(1)で表される構成単位及び上記式(3)で表される構成単位において、それぞれの構成単位の含有量が上記範囲内であることにより、得られるポリイミド系仮固定材が、高温加工処理中は支持体との間のボイド及び浮きの発生をより抑えることができ、また、被着体との剥離時により容易に剥離することができるものとなる。
なお、上記式(1)で表される構成単位及び上記式(3)で表される構成単位は、それぞれの構成単位が連続して配列したブロック成分からなるブロック構造を有していてもよいし、それぞれの構成単位がランダムに配列したランダム構造を有していてもよい。
上記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂を製造する方法としては、例えば、ジアミン化合物と芳香族酸無水物とを反応させる方法等が挙げられる。
上記ジアミン化合物としては、脂肪族ジアミン化合物又は芳香族ジアミン化合物のいずれも用いることができる。
上記ジアミン化合物として脂肪族ジアミン化合物を用いることにより、得られるポリイミド系仮固定材が光透過性により優れるものとなる。また、得られるポリイミド系仮固定材が柔軟性により優れるものとなり、凹凸を有する被着体に対して高い追従性を発揮できるとともに、剥離時により容易に剥離することができるものとなる。
また、上記ジアミン化合物として芳香族ジアミン化合物を用いることにより、得られるポリイミド系仮固定材が耐熱性により優れるものとなる。
上記ジアミン化合物は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
上記脂肪族ジアミン化合物としては、例えば、1,10-ジアミノデカン、1,12-ジアミノドデカン、ダイマージアミン、1,2-ジアミノ-2-メチルプロパン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノメンタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、3,3’-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン、ジアミノマレオニトリル、1,3-ジアミノペンタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ(5.2.1.02,6)デカン等が挙げられる。
上記脂肪族ジアミン化合物のなかでも、光透過性、柔軟性、及び、上記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂の溶媒や他の成分との相溶性の観点から、ダイマージアミンが好ましい。上記ダイマージアミンとしては、具体的には例えば、上述した式(2-1)で表される基、式(2-2)で表される基、式(2-3)で表される基、及び、式(2-4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種の基を構成することのできるダイマージアミン等が挙げられる。
上記芳香族ジアミン化合物としては、例えば、9,10-ジアミノフェナントレン、4,4’-ジアミノオクタフルオロビフェニル、3,7-ジアミノ-2-メトキシフルオレン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4-ジアミノベンゾフェノン、3,4-ジアミノトルエン、2,6-ジアミノアントラキノン、2,6-ジアミノトルエン、2,3-ジアミノトルエン、1,8-ジアミノナフタレン、2,4-ジアミノトルエン、2,5-ジアミノトルエン、1,4-ジアミノアントラキノン、1,5-ジアミノアントラキノン、1,5-ジアミノナフタレン、1,2-ジアミノアントラキノン、2,4-クメンジアミン、1,3-ビスアミノメチルベンゼン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、2-クロロ-1,4-ジアミノベンゼン、1,4-ジアミノ-2,5-ジクロロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,5-ジメチルベンゼン、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビストリフルオロメチルビフェニル、ビス(アミノ-3-クロロフェニ)エタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジエチルフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチルジアミノフルオレン、2,3-ジアミノナフタレン、2,3-ジアミノフェノール、-5-メチルフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチルフェニル)メタン、4,4’-ジアミノフェニルスルホン、3,3’-ジアミノフェニルスルホン、2,2-ビス(4,(4アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2-ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、4,4’-オキシジアニリン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-オキシジアニリン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメトキシビフェニル、Bisaniline M、Bisaniline P、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、o‐トリジンスルホン、メチレンビス(アントラニル酸)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)プロパン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ブタン、1,5-ビス(4-アミノフェノキシ)ブタン、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン、4,4’-ジアミノベンザニリド、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ポリオキシアルキレンジアミン類(例えば、HuntsmanのJeffamine D-230、D400、D-2000、及び、D-4000)、1,3-シクロヘキサンビス(メチルアミン)、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン等が挙げられる。
上記芳香族酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,4,5-ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,5,6-ピリジンテトラカルボン酸、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸、4,4’-スルホニルジフタル酸、1-トリフルオロメチル-2,3,5,6-ベンゼンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル、ベンゼン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、2,3,2’,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,3’,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、フェナンスレン-1,8,9,10-テトラカルボン酸、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸、チオフエン-2,3,4,5-テトラカルボン酸、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、3,4,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,2’,3’-ビフェニルテトラカルボン酸、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)-ビス(フタル酸)等のカルボン酸の無水物が挙げられる。
上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂100質量部中における上記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂の含有量の好ましい下限は10質量部、好ましい上限は90質量部である。上記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂の含有量がこの範囲内であることにより、得られるポリイミド系仮固定材が、被着体からの剥離時により容易に剥離することができるものとなる。剥離性を更に高める観点から、上記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂の含有量のより好ましい下限は20質量部、より好ましい上限は80質量部である。
上記ポリイミド系仮固定材は、光硬化性又は熱硬化性を有することが好ましい。
上記ポリイミド系仮固定材が光硬化性又は熱硬化性を有する場合、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂は、炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂を含むことが好ましい。上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂を含むことにより、得られるポリイミド系仮固定材が、光の照射等によりその全体が均一にかつ速やかに重合架橋し、弾性率が上昇することにより粘着力が大きく低下するものとなる。このため、接着亢進を起こしたり、剥離時に糊残りが発生したりすることを防止することができる。
上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂が上記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂を含む場合は、上記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂に加えて、更に、上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂を含むことが好ましい。
なお、芳香環に含まれる炭素-炭素二重結合は、上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基の該炭素-炭素二重結合としては扱わない。
上記炭素-炭素二重結合を有する官能基としては、例えば、置換されていてもよいマレイミド基、シトラコンイミド基、ビニルエーテル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。なかでも、より高い耐熱性が得られることから、置換されていてもよいマレイミド基が好ましい。
なお、本明細書において、上記(メタ)アクリロイルは、アクリロイル又はメタクリロイルを意味する。
上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂は、炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基の官能基当量(重量平均分子量/炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基の数)が4000以下であることが好ましい。上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基の官能基当量が4000以下であることにより、得られるポリイミド系仮固定材が耐熱性により優れるものとなる。これは、樹脂の分子中に一定以上の密度で炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有することにより、架橋間距離が短くなることによって、接着亢進がより抑えられるためと考えられる。上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基の官能基当量は、3000以下であることがより好ましく、2000以下であることが更に好ましい。
また、上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基の官能基当量の好ましい下限は特にないが、実質的な下限は600程度である。
上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂は、重量平均分子量が1000以上10万以下であることが好ましい。上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂の重量平均分子量が1000以上であることにより、得られるポリイミド系仮固定材の成膜が容易となるとともに、得られるポリイミド系仮固定材がある程度の柔軟性を発揮することから、凹凸を有する被着体に対して高い追従性を発揮できるとともに、剥離時により容易に剥離することができる。上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂の重量平均分子量が10万以下であることにより、上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂の溶媒への溶解度が低くなりすぎることを防ぐことができる。上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂の重量平均分子量は1500以上5万以下であることがより好ましく、2000以上2万未満であることが更に好ましい。
上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂において、炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基は、側鎖又は末端のいずれにあってもよいが、両末端に存在することが好ましく、両末端に加えて更に側鎖にも存在することがより好ましい。
上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂の両末端における炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基は反応性が高く、光の照射等により上記ポリイミド系仮固定材をより充分に硬化させることができる。この結果、接着亢進を起こしたり、剥離時に糊残りが発生したりするのをより防止することができる。
更に、上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂の側鎖に炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基が存在することにより、得られるポリイミド系仮固定材が耐熱性により優れるものとなる。これは、架橋間距離が短くなることによって、接着亢進がより抑えられるためと考えられる。また、上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂の側鎖に炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基が存在することにより、上記重量平均分子量を1000以上としながら、上記官能基当量を4000以下に調整することが容易となる。これにより、上記ポリイミド系仮固定材が充分な初期粘着力を有すると同時に、接着亢進を起こしたり、剥離時に糊残りが発生したりするのをより防止することができる。
上述したように、上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂において、炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基は側鎖又は末端のいずれにあってもよい。側鎖又は末端のいずれかが炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基以外の官能基(炭素-炭素二重結合を有さない官能基)である場合、該炭素-炭素二重結合を有さない官能基としては、例えば、脂肪族基、脂環式基、芳香族基、酸無水物基、アミノ基等が挙げられる。具体的には、上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂の原料となる酸無水物、ジアミン化合物の未反応の片末端構成基等が挙げられる。上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂が、側鎖又は末端に上記炭素-炭素二重結合を有さない官能基を2以上有する場合、それぞれの炭素-炭素二重結合を有さない官能基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂としては、具体的には例えば、上記式(1)で表される構成単位を有し、末端及び側鎖の少なくともいずれかに炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有する樹脂等が挙げられる。
上記式(1)で表される構成単位を有し、末端及び側鎖の少なくともいずれかに炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有する樹脂は、下記式(4-1)で表される構成単位及び下記式(4-2)で表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1種の構成単位を有していてもよい。
Figure 2024044715000004
式(4-1)中、Pは、芳香族基を表し、Qは、置換又は非置換の芳香族構造を有する基を表し、式(4-2)中、Pは、芳香族基を表し、Rは、置換又は非置換の分岐鎖状の脂肪族基又は芳香族基を表し、Xは、炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を表す。
上記式(4-1)中のP及び上記式(4-2)中のPは、炭素数5~50の芳香族基であることが好ましい。上記P及びPが炭素数5~50の芳香族基であることにより、得られるポリイミド系仮固定材が耐熱性により優れるものとなる。即ち、高温加工処理中は支持体との間のボイド及び浮きの発生をより抑えることができ、また、被着体に対して接着亢進を起こしたり、被着体との剥離時に糊残りが発生したりすることをより防止することができる。
上記式(4-1)中、Qは、置換又は非置換の炭素数5~50の芳香族構造を有する基であることが好ましい。上記Qが置換又は非置換の炭素数5~50の芳香族構造を有する基であることにより、得られるポリイミド系仮固定材が耐熱性により優れるものとなる。即ち、高温加工処理中は支持体との間のボイド及び浮きの発生をより抑えることができ、また、被着体に対して接着亢進を起こしたり、被着体との剥離時に糊残りが発生したりすることをより防止することができる。
上記式(4-2)中、Rは、置換又は非置換の分岐鎖状の炭素数2~100の脂肪族基又は芳香族基であることが好ましい。上記Rが置換又は非置換の分岐鎖状の炭素数2~100の脂肪族基又は芳香族基であることにより、得られるポリイミド系仮固定材が柔軟性により優れるものとなり、凹凸を有する被着体に対して高い追従性を発揮できるとともに、剥離時により容易に剥離することができる。
上記式(4-2)中、Rは、芳香族エステル基又は芳香族エーテル基を有する芳香族基であって、該Rにおける該芳香族エステル基又は該芳香族エーテル基は、Xと結合していることが好ましい。
ここで、上記「芳香族エステル基」とは、芳香族環にエステル基が直接結合した基を意味し、上記「芳香族エーテル基」とは、芳香族環にエーテル基が直接結合した基を意味する。このようにエステル基やエーテル基に結合する部分を芳香族基にすることにより、得られるポリイミド系仮固定材が耐熱性により優れるものとなる。即ち、高温加工処理中はボイド及び浮きの発生をより抑えることができ、また、被着体に対して接着亢進を起こしたり、被着体との剥離時に糊残りが発生したりすることをより防止することができる。一方、Xが芳香族エステル基又は芳香族エーテル基を介してRに結合することにより、X中の炭素-炭素二重結合がRと共役することがないことから、加熱又は光を照射したときの重合架橋を妨げることがない。
上記式(1)で表される構成単位を有し、末端及び側鎖の少なくともいずれかに炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有する樹脂における上記式(1)で表される構成単位の含有割合は、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上であり、好ましくは90モル%以下、より好ましくは80モル%以下である。
上記式(1)で表される構成単位を有し、末端及び側鎖の少なくともいずれかに炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有する樹脂が上記式(4-1)で表される構成単位を有する場合、上記式(4-1)で表される構成単位の含有割合は、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは20モル%以上であり、好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下である。
上記式(1)で表される構成単位を有し、末端及び側鎖の少なくともいずれかに炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有する樹脂が上記式(4-2)で表される構成単位を有する場合、上記式(4-2)で表される構成単位の含有割合は、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上であり、好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下である。
上記式(1)で表される構成単位、上記式(4-1)で表される構成単位、及び、上記式(4-2)で表される構成単位において、それぞれの構成単位の含有量が上記範囲内であることにより、得られるポリイミド系仮固定材が、高温加工処理中は支持体との間のボイド及び浮きの発生をより抑えることができ、また、被着体との剥離時により容易に剥離することができるものとなる。
なお、上記式(1)で表される構成単位、上記式(4-1)で表される構成単位、及び、上記式(4-2)で表される構成単位は、それぞれの構成単位が連続して配列したブロック成分からなるブロック構造を有していてもよいし、それぞれの構成単位がランダムに配列したランダム構造を有していてもよい。
上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂を製造する方法としては、例えば、以下の方法等が挙げられる。
即ち、まず、ジアミン化合物と芳香族酸無水物とを反応させてイミド化合物を調製する。次いで、該イミド化合物の官能基に、該官能基と反応する官能基と炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基とを有する化合物(以下、「官能基含有不飽和化合物」ともいう)を反応させることにより、上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂を得ることができる。
また、ジアミン化合物と芳香族酸無水物とを反応させてイミド化合物を調製し、更に、該イミド化合物の末端に、例えば、無水マレイン酸等を反応させることによっても、上記炭素-炭素二重結合を有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂を得ることができる。
上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂を製造する方法に用いられるジアミン化合物及び芳香族酸無水物としては、上記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂を製造する方法に用いられるものと同様のものを用いることができる。
上記官能基含有不飽和化合物としては、上記イミド化合物の末端又は側鎖の官能基に応じて選択して用いる。
例えば、上記イミド化合物の末端又は側鎖の官能基が水酸基である場合には、上記官能基含有不飽和化合物としては、カルボキシ基を有するマレイミド化合物、エーテル基を有するビニル化合物、グリシジル基を有するアリル化合物、グリシジル基を有するアリルエーテル化合物、グリシジル基を有するビニルエーテル化合物、イソシアネート基を有するアリル化合物、イソシアネート基を有する(メタ)アクリロイル化合物等が挙げられる。
また、例えば、上記イミド化合物の末端又は側鎖の官能基がカルボキシ基の場合には、上記官能基含有不飽和化合物としては、水酸基を有するアリル化合物、グリシジル基を有するアリル化合物、グリシジル基を有するアリルエーテル化合物、グリシジル基を有するビニルエーテル化合物等が挙げられる。
上記カルボキシ基を有するマレイミド化合物としては、例えば、酢酸マレイミド、マレイミドプロピオン酸、マレイミド酪酸、マレイミドヘキサン酸、trans-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸、19-マレイミド-17-オキソ-4,7,10,13-テトラオキサ-16-アザノナデカン酸等が挙げられる。
上記エーテル基を有するビニル化合物としては、例えば、ブチルビニルエーテル等が挙げられる。
上記グリシジル基を有するアリル化合物としては、例えば、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。
上記グリシジル基を有するアリルエーテル化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、グリセリンジアリルモノグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記グリシジル基を有するビニルエーテル化合物としては、例えば、グリシジルオキシエチルビニルエーテル、グリシジルオキシブチルビニルエーテル、グリシジルオキシヘキシルビニルエーテル、グリシジルジエチレングリコールビニルエーテル、グリシジルシクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル等が挙げられる。
上記イソシアネート基を有するアリル化合物としては、例えば、アリルイソシアネート等が挙げられる。
上記イソシアネート基を有する(メタ)アクリロイル化合物としては、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等が挙げられる。
上記水酸基を有するアリル化合物としては、例えば、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等が挙げられる。
上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂100質量部中における上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂の含有量の好ましい下限は10質量部、好ましい上限は100質量部である。上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂の含有量がこの範囲内であることにより、上記ポリイミド系仮固定材は、剥離時により容易に剥離することができる。剥離性を更に高める観点から、上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂の含有量のより好ましい下限は20質量部、更に好ましい下限は30質量部であり、より好ましい上限は90質量部、更に好ましい上限は80質量部、更により好ましい上限は70質量部である。
上記ポリイミド系仮固定材が光硬化性又は熱硬化性を有する場合において、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂が上記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂を含む場合、上記ポリイミド系仮固定材は、更に、分子内に炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を2以上有し、分子量が5000以下である多官能モノマー又は多官能オリゴマー(以下、単に「多官能モノマー又は多官能オリゴマー」ともいう)を含むことが好ましい。
また、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂が上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂を含む場合も、上記ポリイミド系仮固定材は、更に、上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーを含んでいてもよい。
上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーを含むことにより、上記ポリイミド系仮固定材は、光の照射等による三次元網状化がより効率よくなされるようになり、接着亢進を起こしたり、剥離時に糊残りが発生したりするのをより防止することができる。
なお、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂自体に反応性がない場合、上記ポリイミド系仮固定材は、反応性官能基を有する他の成分を更に含有することにより、全体として反応性を有する必要がある。このような反応性官能基を有する他の成分として、上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーを用いることが好ましい。上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂自体に反応性がない場合としては、例えば、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂が、上記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂のみを含む場合等が挙げられる。
上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーにおける炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基としては、例えば、置換されていてもよいマレイミド基、シトラコンイミド基、ビニルエーテル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。なかでも、より高い耐熱性が得られることから、置換されていてもよいマレイミド基が好適である。特に、上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーは、ビスマレイミド化合物であることが好ましい。
上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーは、ジアミン化合物に由来する基を有することが好ましい。上記ジアミン化合物としては、脂肪族ジアミン化合物又は芳香族ジアミン化合物のいずれも用いることができるが、脂肪族ジアミン化合物が好ましい。即ち、上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーは、ジアミン化合物に由来する脂肪族基を有することがより好ましい。上記ジアミン化合物として脂肪族ジアミン化合物を用いることにより、得られるポリイミド系仮固定材が光透過性により優れるものとなる。また、得られるポリイミド系仮固定材が柔軟性により優れるものとなり、凹凸を有する被着体に対して高い追従性を発揮できるとともに、剥離時により容易に剥離することができるものとなる。
上記脂肪族ジアミン化合物のなかでも、光透過性、柔軟性、及び、上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーの溶媒や他の成分との相溶性の観点から、上述したようなダイマージアミンが好ましい。
上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂と上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーとの合計100質量部中における上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーの含有量の好ましい下限は5質量部、好ましい上限は90質量部である。上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーの含有量がこの範囲内であることにより、上記ポリイミド系仮固定材は、剥離時により容易に剥離することができる。剥離性を更に高める観点から、上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーの含有量のより好ましい下限は10質量部、より好ましい上限は50質量部である。
上記ポリイミド系仮固定材が、上記マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂と、上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂と、上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーとを含む場合、これらの合計100質量部中における上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂と上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーとの合計の含有量の好ましい下限は20質量部、好ましい上限は80質量部である。上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂と上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーとの合計の含有量がこの範囲内であることにより、上記ポリイミド系仮固定材は、剥離時により容易に剥離することができる。剥離性を更に高める観点から、上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂と上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーとの合計の含有量のより好ましい下限は30質量部、更に好ましい下限は40質量部、更により好ましい下限は50質量部であり、より好ましい上限は70質量部である。
上記ポリイミド系仮固定材は、マレイミド基を有する化合物を含むことが好ましい。上記マレイミド基を有する化合物を含有することにより、得られるポリイミド系仮固定材が耐熱性により優れるものとなる。
上記マレイミド基を有する化合物は、ビスマレイミド化合物、又は、マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂であることが好ましい。即ち、上記ポリイミド系仮固定材は、上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーとして上記ビスマレイミド化合物を含むか、又は、上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂の上記炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基としてマレイミド基を有する樹脂を含むことが好ましい。
上記ポリイミド系仮固定材は、更に、シリコーン化合物又はフッ素化合物を含有することが好ましい。上記シリコーン化合物又はフッ素化合物は、表面改質剤としての役割を有する。
上記シリコーン化合物及びフッ素化合物は、耐熱性に優れることから、300℃以上の高温加工処理を経ても硬化性樹脂組成物の焦げ付きを防止し、剥離時には被着体界面にブリードアウトして、剥離をより容易にする。
上記シリコーン化合物としては、例えば、シリコーンオイル、シリコーンジアクリレート、シリコーン系グラフト共重合体等が挙げられる。
上記フッ素化合物としては、例えば、フッ素原子を有する炭化水素化合物等が挙げられる。
上記シリコーン化合物又はフッ素化合物は、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂或いは上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーと架橋可能な官能基を有することが好ましい。
上記シリコーン化合物又はフッ素化合物が上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂或いは上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーと架橋可能な官能基を有することにより、光の照射や架橋剤等との反応により上記シリコーン化合物又はフッ素化合物が上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂或いは上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーと化学反応して取り込まれる。このため、被着体に上記シリコーン化合物又はフッ素化合物が付着して汚染することを抑制することができる。上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂或いは上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーと架橋可能な官能基としては、例えば、カルボキシ基、ラジカル重合性の不飽和結合(例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、置換されていてもよいマレイミド基)、ヒドロキシ基、アミド基、イソシアネート基、エポキシ基等が挙げられる。
なかでも、環境にやさしく、廃棄が容易であるという観点から、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂或いは上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーと架橋可能な官能基を有するシリコーン化合物が好ましい。
上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂或いは上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーと架橋可能な官能基を有するシリコーン化合物としては、主鎖にシロキサン骨格を有し、側鎖又は末端に炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有するシリコーン化合物が好ましい。
上記主鎖にシロキサン骨格を有し、側鎖又は末端に炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基を有するシリコーン化合物としては、下記式(5-1)で表されるシリコーン化合物、下記式(5-2)で表されるシリコーン化合物、及び、下記式(5-3)で表されるシリコーン化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。これらのシリコーン化合物は、耐熱性に特に優れ、極性が高いために上記ポリイミド系仮固定材からのブリードアウトが容易である。
Figure 2024044715000005
上記式(5-1)~(5-3)中のX、及び、上記式(5-1)、(5-3)中のYは、それぞれ独立して、0以上1200以下の整数を表し、上記式(5-1)~(5-3)中、Rは、炭素-炭素二重結合を有する官能基を表す。
上記式(5-1)~(5-3)中、Rで表される炭素-炭素二重結合を有する重合性官能基としては、例えば、置換されていてもよいマレイミド基、シトラコンイミド基、ビニルエーテル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。なかでも、得られるポリイミド系仮固定材が耐熱性により優れるものとなることから、置換されていてもよいマレイミド基が好ましい。なお、上記式(5-1)~(5-3)中において、Rが複数存在する場合、それぞれのRは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(5-1)~(5-3)で表されるシリコーン化合物のうち、市販されているものとしては、例えば、EBECRYL350、EBECRYL1360(いずれもダイセル・オルネクス社製)等が挙げられる。また、BYK-UV3500(ビックケミー社製)、TEGO RAD2250(エボニック社製)(いずれもRがアクリロイル基)等も挙げられる。
上記シリコーン化合物又はフッ素化合物の含有量は、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂と上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーとの合計100質量部に対して、好ましい下限が0.1質量部、好ましい上限が20質量部である。上記シリコーン化合物又はフッ素化合物の含有量がこの範囲内であることにより、得られるポリイミド系仮固定材が被着体を汚染することなく剥離性により優れるものとなる。汚染を抑制しつつも剥離性を更に高める観点から、上記シリコーン化合物又はフッ素化合物の含有量のより好ましい下限は0.3質量部、より好ましい上限は10質量部である。
上記ポリイミド系仮固定材は、更に、重合開始剤を含むことが好ましい。上記重合開始剤は、熱重合開始剤であってもよいし、光重合開始剤であってもよいが、光重合開始剤が好ましい。
上記光重合開始剤としては、例えば、250~800nmの波長の光を照射することにより活性化されるものが挙げられる。なかでも、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂や上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーの吸収波長と重なりにくく、ポリイミド系仮固定材に光照射した際に充分に活性化されることから、上記光重合開始剤は、365nmにおけるモル吸光係数が1以上である化合物を含むことが好ましい。上記光重合開始剤は、365nmにおけるモル吸光係数が200以上である化合物を含むことがより好ましく、365nmにおけるモル吸光係数が350以上である化合物を含むことが更に好ましい。上記365nmにおけるモル吸光係数が1以上である化合物の365nmにおけるモル吸光係数の好ましい上限は特にないが、実質的な上限は2000である。
上記光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン誘導体、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体、フォスフィンオキシド誘導体等が挙げられる。
上記アセトフェノン誘導体としては、例えば、メトキシアセトフェノン等が挙げられる。
上記ベンゾインエーテル系化合物としては、例えば、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
上記ケタール誘導体としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジエチルケタール等が挙げられる。
また、上記光重合開始剤としては、例えば、ビス(η5-シクロペンタジエニル)チタノセン誘導体化合物、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシメチルフェニルプロパン等も挙げられる。
これらの光重合開始剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
上記重合開始剤の含有量は、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂と上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーとの合計100質量部に対して、好ましい下限が0.1質量部、好ましい上限が10質量部である。上記重合開始剤の含有量がこの範囲内であることにより、光の照射等により上記ポリイミド系仮固定材の全体が均一にかつ速やかに重合架橋し、弾性率が上昇することにより粘着力が大きく低下して、接着亢進を起こしたり、剥離時に糊残りが発生したりするのを防止することができる。上記重合開始剤の含有量のより好ましい下限は0.3質量部、より好ましい上限は3質量部である。
上記ポリイミド系仮固定材は、更に、気体発生剤を含んでもよい。上記気体発生剤を含有することにより、300℃以上の高温加工処理を経た後であっても、光を照射すること等により発生した気体が被着体との界面に放出されることから、より容易に、かつ、糊残りすることなく被着体を剥離することができる。また、300℃以上の高温加工処理を行った後、薄い被着体を剥離する場合であっても、被着体の破損を防止することができる。
上記気体発生剤は、TG-DTA(熱重量-示差熱分析)測定にて窒素雰囲気下で30℃から300℃まで10℃/minの昇温速度で加熱したときの300℃における重量減少率が5%以下であることが好ましい。上記重量減少率が5%以下であれば、300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても上記気体発生剤の分解が起こりにくく、上記ポリイミド系仮固定材が耐熱性により優れるものとなる。即ち、高温加工処理中は剥がれをより抑えることができ、また、接着亢進を起こしたり、剥離時に糊残りが発生したりすることをより防止することができる。
なお、上記TG-DTA(熱重量-示差熱分析)測定は、例えば、TG-DTA装置(日立ハイテクサイエンス社製、「STA7200RV」)等を用いて行うことができる。
上記気体発生剤としては、例えば、加熱することにより気体を発生する気体発生剤、光を照射することにより気体を発生する気体発生剤等が挙げられる。なかでも、光を照射することにより気体を発生する気体発生剤が好ましく、紫外線を照射することにより気体を発生する気体発生剤がより好ましい。
上記気体発生剤としては、例えば、テトラゾール化合物又はその塩、トリアゾール化合物又はその塩、アゾ化合物、アジド化合物、キサントン酢酸、炭酸塩等が挙げられる。これらの気体発生剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。なかでも、特に耐熱性に優れることから、テトラゾール化合物又はその塩が好ましい。
上記気体発生剤の含有量は、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂と上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーとの合計100質量部に対して、好ましい下限が5質量部、好ましい上限が50質量部である。上記気体発生剤の含有量がこの範囲内であることにより、得られるポリイミド系仮固定材が剥離性に特に優れるものとなる。上記気体発生剤の含有量のより好ましい下限は8質量部、より好ましい上限は30質量部である。
上記ポリイミド系仮固定材は、更に、無機充填剤を含有してもよい。
上記無機充填剤を含有することにより、得られるポリイミド系仮固定材が、高温における弾性率の低下を抑えることができ、300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても高温加工処理中の剥がれをより抑えることができるものとなる。
上記無機充填剤としては、例えば、ケイ素、チタン、アルミニウム、カルシウム、ホウ素、マグネシウム及びジルコニアの酸化物、並びに、これらの複合物からなる群より選択される少なくとも1種からなる無機充填剤が挙げられる。なかでも、市販品で安価かつ入手が容易なことから、シリカやタルクが好ましい。
上記無機充填剤は、表面修飾されていてもよい。上記無機充填剤を表面修飾する修飾官能基としては、例えば、アルキルシラン基、メタクリロイル基及びジメチルシロキサン基等が挙げられる。なかでも、適度な疎水性を有することから、ジメチルシロキサン基が好ましい。
上記無機充填剤の平均粒子径の好ましい下限は5nm、好ましい上限は30μmである。上記無機充填剤の平均粒子径がこの範囲内であることにより、得られるポリイミド系仮固定材が高温加工処理中は剥がれをより抑えることができ、また、剥離時にピール処理により剥離することができるものとなる。上記無機充填剤の平均粒子径のより好ましい下限は10nm、より好ましい上限は20μmであり、更に好ましい下限は15nm、更に好ましい上限は15μmである。
なお、上記平均粒子径は、数平均粒子径であることが好ましい。上記平均粒子径は、例えば、任意の無機充填剤50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、各無機充填剤の粒子径の平均値を算出することや、レーザー回折式粒度分布測定を行うことにより求められる。
上記無機充填剤の含有量は、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂と上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーとの合計100質量部に対して、好ましい下限が1質量部、好ましい上限が20質量部である。上記無機充填剤の含有量がこの範囲内であることにより、得られるポリイミド系仮固定材が高温加工処理中は剥がれをより抑えることができ、また、剥離時にピール処理により剥離することができるものとなる。上記無機充填剤の含有量のより好ましい下限は3質量部、より好ましい上限は15質量部であり、更に好ましい下限は5質量部、更に好ましい上限は10質量部である。
上記ポリイミド系仮固定材は、更に、紫外線吸収剤を含有してもよい。
上記紫外線吸収剤を含有することにより、上記ポリイミド系仮固定材は、照射するレーザー光が比較的低エネルギーであっても、支持体からの剥離性がより向上する。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、後述するレーザー光の波長に吸収波長を有する化合物が好ましく、200nm以上550nm以下に吸収波長を有する化合物がより好ましく、532nm、355nm、及び、308nmからなる群より選択される少なくとも1つの波長に吸収波長を有する化合物であることが更に好ましく、355nm及び308nmからなる群より選択される少なくとも1つの波長に吸収波長を有する化合物であることが更により好ましい。このような紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
より具体的には、Uvinul3035、Uvinul3039、Uvinul3030FF、Tinuvin1577ED、Tinuvin120、Tinuvin400(いずれも、BASF社製) 等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤の含有量は、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂と上記多官能モノマー又は多官能オリゴマーとの合計100質量部に対して、好ましい下限が1質量部、好ましい上限が50質量部である。上記紫外線吸収剤の含有量がこの範囲内であることにより、得られるポリイミド系仮固定材が低エネルギーのレーザー光を照射する場合における支持体からの剥離性と、ポリイミド系仮固定材の耐熱性とを両立する効果により優れるものとなる。上記紫外線吸収剤の含有量のより好ましい下限は2質量部、より好ましい上限は30質量部である。
上記ポリイミド系仮固定材は、例えば、光増感剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、樹脂、界面活性剤、ワックス等の公知の添加剤を含有してもよい。
上記ポリイミド系仮固定材を製造する方法としては、例えば、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂、及び、必要に応じて配合する添加剤を、ビーズミル、超音波分散、ホモジナイザー、高出力ディスパー、ロールミル等を用いて混合する方法等が挙げられる。
上記ポリイミド系仮固定材は、波長405nmの光線透過率が0.1%以上であることが好ましい。上記波長405nmの光線透過率が0.1%以上であることにより、上記ポリイミド系仮固定材が光硬化性を有する場合に、より充分に硬化させることができる。上記波長405nmの光線透過率は、0.3%以上であることがより好ましく、0.4%以上であることが更に好ましく、0.5%以上更により好ましく、10%以上であることが一層好ましく、15%以上であることがより一層好ましく、20%以上であることが更に一層好ましく、25%以上であることが特に好ましい。
また、上記波長405nmの光線透過率の好ましい上限は特にないが、実質的な上限は、90%~95%程度である。
なお、上記波長405nmの光線透過率は、分光光度計を使用することにより測定される。上記分光光度計としては、例えば、U-3900(日立ハイテクサイエンス社製)等が挙げられる。この時の光路長は該ポリイミド系仮固定材の厚みとする。
上記ポリイミド系仮固定材が硬化性を有する場合、硬化後のゲル分率の好ましい下限が70質量%、好ましい上限が95質量%である。上記硬化後のゲル分率が上記範囲内であることで、上記ポリイミド系仮固定材は、被着体との剥離時により容易に剥離することができるものとなる。上記ポリイミド系仮固定材の硬化後のゲル分率のより好ましい下限は75質量%、より好ましい上限は90質量%である。
なお、上記硬化後のゲル分率は、光硬化型のポリイミド系仮固定材の場合は、該ポリイミド系仮固定材に波長365nm、照射強度70mW/cmの紫外線を300秒間照射することにより硬化させた後、また、熱硬化型のポリイミド系仮固定材の場合は、150℃で10分間加熱することにより硬化させた後、以下の方法により測定される。
即ち、まず、ポリイミド系仮固定材を50mm×100mmの平面長方形状に裁断して試験片を作製する。得られた試験片をトルエン中にて23℃で24時間浸漬した後、トルエンから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させる。乾燥後の試験片の質量を測定し、下記式を用いてゲル分率を算出する。なお、試験片には、ポリイミド系仮固定材を保護するためのセパレータは積層されていないものとする。
ゲル分率(質量%)=100×(W-W)/(W-W
(W:基材の質量、W:浸漬前の試験片の質量、W:浸漬、乾燥後の試験片の質量)
上記ポリイミド系仮固定材の厚みの好ましい下限は5μm、好ましい上限は550μmである。上記ポリイミド系仮固定材の厚みが5μm以上であることにより、上記ポリイミド系仮固定材が初期に充分な感圧又は感熱粘着力を有することができる。上記ポリイミド系仮固定材の厚みが550μm以下であることにより、上記ポリイミド系仮固定材は、高い柔軟性を発揮することができ、凹凸を有する被着体に対して高い追従性を発揮できるとともに、剥離時により容易に剥離することができるものとなる。上記ポリイミド系仮固定材の厚みのより好ましい下限は10μm、更に好ましい下限は20μm、更により好ましい下限は30μmである。上記ポリイミド系仮固定材の厚みのより好ましい上限は400μm、更に好ましい上限は300μm、更により好ましい上限は200μm、特に好ましい上限は150μmである。
上記ポリイミド系仮固定材は、テープ状であることが好ましい。この場合、上記ポリイミド系仮固定材は、基材の一方又は両方の面に上記ポリイミド系仮固定材を有していてもよく、基材を有していなくてもよい。上記基材を有さない場合、光透過性と耐熱性とをともに有する基材を選定する必要がなく、上記ポリイミド系仮固定材は、より安価かつ簡易な構成とすることができる。
上記基材を有する場合、該基材としては、例えば、アクリル、オレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ABS、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ナイロン、ウレタン、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド(PA)等の樹脂シートが挙げられ、光透過性の高い樹脂シートを好適に用いることができる。また、網目状の構造を有するシート、孔が開けられたシート、ガラス等も用いることができる。
光透過性を高める観点、及び、柔軟性を高める観点から、上記基材の厚みの好ましい下限は5μm、より好ましい下限は10μmであり、好ましい上限は150μm、より好ましい上限は100μmである。
上記電子部品としては、例えば、半導体デバイス、微小な電気機械システム(MEMS)、電子デバイス等が挙げられる。
なかでも、本発明の電子部品の製造方法は、半導体デバイスを加工するための方法として好適である。
上記半導体デバイスとしては、例えば、シリコンウエハ等が挙げられる。
上記支持体としては、ガラス、石英、サファイア等が挙げられる。
上述したように、上記ポリイミド系仮固定材は、光硬化性又は熱硬化性を有することが好ましく、上記支持体固定工程後、かつ、後述する処理工程前に、上記ポリイミド系仮固定材を硬化する硬化工程を有することが好ましい。上記ポリイミド系仮固定材が光硬化性を有する場合、本発明の電子部品の製造方法は、上記支持体固定工程後、かつ、後述する処理工程前に、光を照射して上記ポリイミド系仮固定材を硬化する光硬化工程を有することが好ましい。上記ポリイミド系仮固定材が熱硬化性を有する場合、本発明の電子部品の製造方法は、上記支持体固定工程後、かつ、後述する処理工程前に、加熱してポリイミド系仮固定材を硬化する熱硬化工程を有することが好ましい。
本発明の電子部品の製造方法は、上記支持体に固定された電子部品に加熱処理又は発熱を伴う処理を施す処理工程を有する。本発明の電子部品の製造方法では、このように電子部品に加熱処理又は発熱を伴う処理が施された場合であっても、後述する支持体剥離工程において、該電子部品の損傷を低減し、かつ、支持体を容易に剥離することができる。
上記加熱処理としては、例えば、リフロー等の処理が挙げられる。
上記発熱を伴う処理としては、例えば、スパッタ等の処理が挙げられる。
本発明の電子部品の製造方法は、上記支持体側からレーザー光を照射し、上記電子部品から支持体を剥離する支持体剥離工程を有する。このようにレーザー光を照射して上記電子部品から支持体を剥離することにより、本発明の電子部品の製造方法は、上記処理工程において加熱処理又は発熱を伴う処理が施されていても、上記支持体剥離工程において電子部品の損傷を低減し、かつ、支持体を容易に剥離することができる。
上記レーザー光の波長は、200nm以上550nm以下であることが好ましい。上記レーザー光の波長がこの範囲であることにより、レーザー光照射による電子部品への熱的なダメージをより抑えつつ、支持体を隔離することが可能となる。上記レーザー光の波長は、レーザー剥離において用いられる波長であれば特に限定されないが、通常532nm、355nm又は、308nmが好適に用いられる。
また、240nm以下の波長を用いる場合は、支持体に石英を用い、かつ、レーザー光照射を真空中又は窒素雰囲気で行うことが特に好ましい。
上記レーザー光の照射強度の好ましい下限は50mJ/cm、好ましい上限は2000mJ/cmである。上記レーザー光の照射強度がこの範囲であることにより、レーザー光照射により、支持体からの剥離をより容易に行うことができる。上記レーザー光の照射強度のより好ましい下限は100mJ/cm、好ましい上限は1500mJ/cmである。
また、通常、レーザー光の照射による仮固定材の炭化を抑制する観点から、上記レーザー光の照射強度は300mJ/cm以下であるが、剥離性の観点から仮固定材にポリイミド系仮固定材を用いる場合は、200mJ/cm以上であることがより好ましく、250mJ/cm以上であることが更に好ましい。
上記レーザー光は、CW(Continuous Wave)レーザーであってもよいし、パルスレーザーであってもよい。
上記レーザー光が上記パルスレーザーである場合、上記レーザー光のパルス幅は、100nsec以下であることが好ましい。上記レーザー光のパルス幅がこの範囲であることにより、上記支持体を剥離する際の加工性が向上する。照射時間をより短縮する観点から、上記レーザー光のパルス幅は、50nsec以下であることがより好ましく、20nsec以下であることが更に好ましい。同じ照射エネルギー量でも、照射時間が短くなることから、上記レーザー光のパルス幅は短いほど好ましいが、通常、下限は1fsec~1psec程度である。
上記支持体剥離工程では、上記レーザー光が、上記支持体を介して上記ポリイミド系仮固定材上を走査するように照射することが好ましい。上記レーザー光が上記支持体を介して上記ポリイミド系仮固定材上を走査するように照射することにより、より容易に上記支持体と上記ポリイミド系仮固定材とを剥離することができる。上記レーザー光が、上記支持体を介して上記ポリイミド系仮固定材上を走査するように照射する際、同じ線をなぞらずに走査することが好ましく、Z字状(一方向に走査後、端部にてピッチ幅分下降し、逆方向に走査することを繰り返す)又は渦巻き状に走査することがより好ましい。
上記レーザー光の照射形状における強度の分布は、ガウシアン波形であることが好ましい。上記レーザー光の照射形状における強度の分布がガウシアン波形であることにより、加工形状が安定し、均一な加工が容易となる。
また、上記レーザー光の照射形状における強度の分布は、平坦化処理されていることが好ましい。上記レーザー光の照射形状における強度の分布が平坦化処理されていることにより、上記レーザーを照射した箇所における強度の差が少なくなる。このため上記レーザー光を重複して照射する必要がなく、より均一にレーザー光を照射することができる。
上記平坦化処理の方法としては、例えば、スプリッターやマスクを用いる方法等が挙げられる。
上記レーザー光の照射形状は、四角形であることが好ましい。上記レーザー光の照射形状が四角形であることにより、空白なくより均一にレーザー光を照射することが容易となる。
上記支持体剥離工程では、上記レーザー光を照射する際に換気を行うことが好ましい。
上記レーザー光を照射した場合、発煙が生じることがある。上記発煙を換気により排出することで、発煙によりレーザー光が遮られることを抑制することができる。この結果、加工性がより向上する。
本発明によれば、加熱処理又は発熱を伴う処理が施された場合であっても、電子部品の損傷を低減し、かつ、支持体を容易に剥離することができる電子部品の製造方法を提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(合成例1)
テフロン(登録商標)スターラーを入れた500mL容の丸底フラスコに250mLのトルエンを投入した。ダイマージアミン(クローダ社製、「プリアミン1075」)31.9g(0.06モル)、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-ヘキサフルオロプロパン5.5g(0.015モル)、及び、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物39g(0.0765モル)をこの順に加えた。ディーンスターク管とコンデンサーをフラスコに取り付け、得られた混合物を6時間還流し、室温に冷却した。褐色の、下記式(6-1)で表される構成単位及び下記式(6-2)で表される構成単位を有する、マレイミド基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(マレイミド基非含有PI)を得た。
得られたマレイミド基非含有PIについて、溶出液としてTHF、カラムとしてHR-MB-M 6.0×150mm(ウォーターズ社製)を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC、装置名:Acquity APCシステム(ウォーターズ社製))法により測定したところ、重量平均分子量は78000であった。
Figure 2024044715000006
(合成例2)
テフロン(登録商標)スターラーを入れた500mL容の丸底フラスコに250mLのトルエンを投入した。次いで、トリエチルアミン35g(0.35モル)と無水メタンスルホン酸35g(0.36モル)を加えて撹拌し、塩を形成した。10分間撹拌後、ダイマージアミン(クローダ社製、プリアミン1075)56g(0.1モル)と、無水ピロメリット酸19.1g(0.09モル)をこの順に加えた。ディーンスタークトラップとコンデンサーをフラスコに取り付け、混合物を2時間還流し、アミン末端のジイミドを形成した。反応物を室温以下に冷却後、無水マレイン酸12.8g(0.13モル)を加え、次いで、無水メタンスルホン酸5g(0.05モル)を加えた。得られた混合物を、更に12時間還流した後、室温に冷却し、トルエン300mLをフラスコに加え、静置により層分離させ、不純物である下層を除去した。得られた溶液を、シリカゲルを充填したガラスフリット漏斗を通してろ過した後、溶剤を真空除去し、琥珀色ワックス状の、下記式(7)で表される両末端にマレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(C=C官能基含有PI)を得た。
得られたC=C官能基含有PIについて、溶出液としてTHF、カラムとしてHR-MB-M 6.0×150mm(ウォーターズ社製)を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC、装置名:Acquity APCシステム(ウォーターズ社製))法により測定したところ、重量平均分子量は5000であった。
Figure 2024044715000007
式(7)中、nは、繰り返し数である。
(ポリイミド系仮固定材の調製)
トルエン150mLに、合成例1で得られたマレイミド基非含有PIを70質量部、及び、合成例2で得られたC=C官能基含有PIを30質量部加えた。更に、シリコーン化合物として2官能シリコーンアクリレート(ビックケミー社製、「BYK-UV3500」)を1質量部、光重合開始剤としてビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(IGM Resins社製、「Omnirad 819」)を2質量部、紫外線吸収剤(BASF社製、「Tinuvin400」)を10質量部加え、樹脂組成物のトルエン溶液を調製した。
得られた樹脂組成物のトルエン溶液を、片面離型処理の施された厚さ50μmのPETフィルムの離型処理面上に乾燥皮膜の厚さが80μmとなるようにドクターナイフで塗工し、130℃で10分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。その後、別の離型PETフィルムの離型処理面を仮固定材の面に貼り合わせ、ポリイミド系仮固定材を得た。
(硬化物の5%重量減少温度)
得られたポリイミド系仮固定材について、波長365nm、照射強度70mW/cmの紫外線を300秒間照射することにより硬化させ、硬化物10mgをアルミパンに秤取した。該アルミパンを示差熱熱重量同時測定装置(日立ハイテクサイエンス社製、「STA7200」)にセットした後、窒素雰囲気下で、昇温速度10℃/分で25℃から500℃まで加熱し、ポリイミド系仮固定材の硬化物の重量が5%減少した時点の温度(5%重量減少温度)を測定したところ、420℃であった。
(波長308nmの吸光度)
得られたポリイミド系仮固定材の両面から離型PETフィルムを剥離し分光光度計(日立ハイテクサイエンス社製、「U-3900」)の試料側に、得られたポリイミド系仮固定材をセットし厚み方向の吸光度を測定したところ、0.5以上であった。なお、このときの光路長は得られたポリイミド系仮固定材の厚みとした。
(波長405nmの光線透過率)
得られたポリイミド系仮固定材の両面から離型PETフィルムを剥離し、分光光度計(日立ハイテクサイエンス社製、「U-3900」)の試料側にセットし、透過率を測定したところ、1%以上であった。なお、このときの光路長は得られたポリイミド系仮固定材の厚みとした。
(実施例1~5)
得られたポリイミド系仮固定材から一方の離型PETフィルムを剥離し、直径200mm、厚み700μmのシリコンウエハに真空ラミネータを用いて、真空、ステージ温度40℃、貼り付け圧0.5MPaの条件で貼り付けた。貼り付けたポリイミド系仮固定材をシリコンウエハと同じ大きさに切り出した。次いで、もう一方の離型PETフィルムを剥離し、シリコンウエハに貼り付けた面と反対の面に直径200mm、厚み600μmのガラス(schott社製、「Tempax」)を、加圧貼合装置を用いて、90℃、貼り付け圧0.6MPa、真空度:(SP1)150MPa→(SP2)120MPa、ボンディング時間360秒の条件で貼り付けて積層体を得た。得られた積層体のガラス側から、超高圧水銀灯を用いて、波長365nm、照射強度70mW/cmの紫外線を300秒間照射することにより仮固定材を硬化させ、積層体を得た。ポリイミド系仮固定材を硬化させた後の積層体について、シリコンウエハ側から300℃のホットプレートで30分間加熱した。加熱後の積層体について、ガラス側から、表1に示した条件でレーザー光を、ポリイミド系仮固定材上をZ字状に走査するように照射した。レーザー光の照射はLightMachinery社製、モデルIPEX-848を用いて、波長308nm、平均出力50W、周波数200Hz、ビームサイズ14×1.3mm、パルス幅20nsecの条件で行い、表1に記載の照射強度のレーザー光を照射した。照射は換気をしながら行った。また、レーザー光の照射形状における強度の分布の平坦化処理の方法は、ホモジェナイザー、コンデンサーレンズ、ビームスプリッターを用いている。その後、ポリイミド系仮固定材とガラスとを剥離した。
(比較例1)
上記「(実施例1~5)」と同様にして得られた加熱後の積層体について、引張試験機(島津製作所社製、「AG-IS」)を用いて、25℃、引張速度300mm/分の条件でポリイミド系仮固定材とガラスとを剥離した。
この時、剥離起点を発生させるため、積層体端部側面においてくさび状の治具を挿入し、ガラス支持体とポリイミド系仮固定材との界面に剥離起点を発生させた。
その後、積層体のシリコンウエハ側をステージに固定した。次いで、ガラス支持体の剥離起点が生じている箇所に接着面に対して垂直方向に力を加えて剥離した。なお、剥離の進行に伴い、ガラス支持体上の剥離起点とは他方の端部と、剥離力を加えている箇所とが作る平面に対して垂直方向になるように、剥離力を加える方向を変化させた。
<評価>
実施例及び比較例で剥離したポリイミド系仮固定材付きのシリコンウエハ(電子部品)とガラス(支持体)とを目視にて観察した。
実施例1~5はレーザー照射条件の影響度を比較した結果である。比較例1は従来手法(メカニカルピール)における結果を示す。
支持体が損傷なく剥離することができた場合を「○」、剥離できない又は割れてしまうなど破損した場合を「×」として支持体の剥離性を評価した。
また、シリコンウエハに損傷がなかった場合を「○」、シリコンウエハに損傷が確認された場合を「×」として、電子部品の損傷防止性を評価した。
それぞれの結果を表1に示した。
Figure 2024044715000008
本発明によれば、加熱処理又は発熱を伴う処理が施された場合であっても、電子部品の損傷を低減し、かつ、支持体を容易に剥離することができる電子部品の製造方法を提供することができる。

Claims (19)

  1. ポリイミド系仮固定材を介して、電子部品を支持体に固定する支持体固定工程と、
    前記支持体に固定された電子部品に加熱処理又は発熱を伴う処理を施す処理工程と、
    前記支持体側からレーザー光を照射し、前記電子部品から支持体を剥離する支持体剥離工程とを有する
    ことを特徴とする電子部品の製造方法。
  2. 前記ポリイミド系仮固定材は、光硬化性を有し、
    前記支持体固定工程後、かつ、前記処理工程前に、光を照射して前記ポリイミド系仮固定材を硬化する光硬化工程を有する
    請求項1記載の電子部品の製造方法。
  3. 前記ポリイミド系仮固定材が熱硬化性を有し、
    前記支持体固定工程後、かつ、前記処理工程前に、加熱してポリイミド系仮固定材を硬化する熱硬化工程を有する
    請求項1記載の電子部品の製造方法。
  4. 前記レーザー光の波長が200nm以上550nm以下である
    請求項1、2又は3記載の電子部品の製造方法。
  5. 前記レーザー光の照射強度が50mJ/cm以上2000mJ/cm以下である請求項1、2、3又は4記載の電子部品の製造方法。
  6. 前記レーザー光は、CWレーザーである請求項1、2、3、4又は5記載の電子部品の製造方法。
  7. 前記レーザー光は、パルスレーザーである請求項1、2、3、4又は5記載の電子部品の製造方法。
  8. 前記レーザー光のパルス幅が100nsec以下である請求項7記載の電子部品の製造方法。
  9. 前記レーザー光を前記ポリイミド系仮固定材上を走査するように照射する請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の電子部品の製造方法。
  10. 前記レーザー光の照射形状における強度の分布がガウシアン波形である請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の電子部品の製造方法。
  11. 前記レーザー光の照射形状における強度の分布が平坦化処理されている請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の電子部品の製造方法。
  12. 前記レーザー光の照射形状が四角形である請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11記載の電子部品の製造方法。
  13. 前記レーザー光を照射する際に換気を行う請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12記載の電子部品の製造方法。
  14. 前記ポリイミド系仮固定材は、波長308nmでの吸光度が0.1以上である請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13記載の電子部品の製造方法。
  15. 前記ポリイミド系仮固定材は、硬化物の5%重量減少温度が350℃以上である請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14記載の電子部品の製造方法。
  16. 前記ポリイミド系仮固定材は、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂を含有する請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15記載の電子部品の製造方法。
  17. 前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂は、下記式(1)で表される構成単位を有する請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16記載の電子部品の製造方法。
    Figure 2024044715000009
    式(1)中、Pは、芳香族基を表し、Qは、置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族基を表す。
  18. マレイミド基を有する化合物を含有する請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は17記載の電子部品の製造方法。
  19. 前記マレイミド基を有する化合物は、ビスマレイミド化合物、又は、マレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する化合物である請求項18記載の電子部品の製造方法。

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