JP2023145374A - 積層体、積層体の製造方法、及び、半導体装置の製造方法 - Google Patents

積層体、積層体の製造方法、及び、半導体装置の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023145374A
JP2023145374A JP2023040835A JP2023040835A JP2023145374A JP 2023145374 A JP2023145374 A JP 2023145374A JP 2023040835 A JP2023040835 A JP 2023040835A JP 2023040835 A JP2023040835 A JP 2023040835A JP 2023145374 A JP2023145374 A JP 2023145374A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
temporary fixing
semiconductor device
fixing material
main chain
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023040835A
Other languages
English (en)
Inventor
由季 西海
Yuki NISHIUMI
和泉 大同
Izumi Daido
徳重 七里
Norishige Shichiri
駿夫 高橋
Toshio Takahashi
聡史 林
Satoshi Hayashi
千恵子 森
Chieko Mori
久敏 岡山
Hisatoshi Okayama
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Publication of JP2023145374A publication Critical patent/JP2023145374A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

【課題】仮固定材と半導体装置とを有する積層体であって、残渣を抑制しつつ仮固定材から半導体装置を容易に剥離できる積層体を提供する。また、該積層体の製造方法、及び、該積層体を用いた半導体装置の製造方法を提供する。【解決手段】仮固定材と半導体装置とを有する積層体であって、平板クロスステージ法を用いた剥離試験により25℃で前記仮固定材と前記半導体装置とを剥離したとき、剥離力が0.10N/inch以上、5N/inch以下であり、前記仮固定材の引張伸び率が7%以上である積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、積層体、積層体の製造方法、及び、半導体装置の製造方法に関する。
半導体ウエハ、半導体チップ等の半導体装置の加工時においては、半導体装置の取扱いを容易にし、破損したりしないようにするために、粘着剤組成物を介して半導体装置を支持板に固定したり、粘着テープを半導体装置に貼付したりして保護することが行われている。例えば、高純度なシリコン単結晶等から切り出した厚膜ウエハを所定の厚さにまで研削して薄膜ウエハとする場合に、粘着剤組成物を介して厚膜ウエハを支持板に接着することが行われる。
このように半導体装置に用いる粘着剤組成物や粘着テープには、加工工程中に半導体装置を強固に固定できるだけの高い接着性とともに、工程終了後には半導体装置を損傷することなく剥離できることが求められる(以下、「高接着易剥離」ともいう。)。
高接着易剥離の実現手段として、例えば特許文献1には、ポリマーの側鎖又は主鎖に放射線重合性官能基を有する多官能性モノマー又はオリゴマーが結合された粘着剤を用いた粘着シートが開示されている。放射線重合性官能基を有することにより紫外線照射によりポリマーが硬化することを利用して、剥離時に紫外線を照射することにより粘着力が低下して、糊残りなく剥離することができる。
特開平5-32946号公報
近年の半導体装置の高性能化に伴い、半導体装置に種々の加工を施す工程が行われるようになってきた。例えば、半導体装置の表面にスパッタリングにより金属薄膜を形成する工程では、300~350℃程度の高温で加工を行うことにより、より導電性に優れた金属薄膜を形成することができる。
しかしながら、従来の粘着剤組成物や粘着テープを用いて保護した半導体装置に、300℃以上の高温加工処理を行うと、接着亢進を起こして、剥離時に充分に粘着力が低下しなかったり、糊残りが発生したりすることがある。また、300℃以上の高温加工処理を経て製造される半導体装置は薄化が進んでおり、通常のメカニカル剥離方法を採用した場合、粘着剤組成物や粘着テープの剥離時に半導体装置の破損が生じることがある。
本発明は、仮固定材と半導体装置とを有する積層体であって、残渣を抑制しつつ仮固定材から半導体装置を容易に剥離できる積層体を提供することを目的とする。また、本発明は、該積層体の製造方法、及び、該積層体を用いた半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
本開示1は、仮固定材と半導体装置とを有する積層体であって、平板クロスステージ法を用いた剥離試験により25℃で前記仮固定材と前記半導体装置とを剥離したとき、剥離力が0.10N/inch以上、5N/inch以下であり、前記仮固定材の引張伸び率が7%以上である積層体である。
本開示2は、前記仮固定材は、接着剤を含有し、前記接着剤は、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)を含有する、本開示1の積層体である。
本開示3は、前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)は、主鎖構造中に脂肪族基を含有し、前記脂肪族基の含有量が20重量%以上、80重量%以下である、本開示2の積層体である。
本開示4は、前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)は、主鎖構造中に芳香族構造を有する基を含有し、前記芳香族構造を有する基の含有量が10重量%以上、70重量%以下である、本開示2又は3の積層体である。
本開示5は、前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)は、エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有せず、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂であり、前記接着剤は、更に、分子内にエネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を2以上有し、分子量が5000以下である多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)を含有し、前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)100重量部に対する前記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)の含有量が10重量部以上である、本開示2、3又は4の積層体である。
本開示6は、前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)において、前記脂肪族基は、炭素数1~20の直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族基である、本開示3の積層体である。
本開示7は、前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)において、前記芳香族構造を有する基は、下記一般式(6)で表される構造、及び、下記一般式(7)で表される構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造を有する基である、本開示4の積層体である。
Figure 2023145374000001
一般式(6)中、R22はエステル基、カルボニル基、エーテル基、スルホニル基、炭素数1~3の脂肪族基、又は、芳香族基を表す。
Figure 2023145374000002
一般式(7)中、R22はエステル基、カルボニル基、エーテル基、スルホニル基、炭素数1~3の脂肪族基、又は、芳香族基を表し、R23は芳香族基、炭素数4~10の脂肪族エーテル基、炭素数4~10の脂肪族エステル基、又は、炭素数4~10の脂肪族カルボニル基を表し、nは1以上の整数を表す。
本開示8は、前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)は、下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX及びXで表される樹脂である、本開示2の積層体である。
Figure 2023145374000003
一般式(1d)~(1e)中、P及びPは、それぞれ独立して、芳香族基又は脂肪族基を表し、Qは、置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族基を表し、Qは、置換又は非置換の芳香族構造を有する基を表す。X及びXは、エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を有さない官能基を表す。
本開示9は、前記仮固定材は、厚みが10μm以上、550μm以下である、本開示1、2、3、4、5、6、7又は8の積層体である。
本開示10は、前記半導体装置は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、感光性ポリイミド(PSPI)、銅、鉛合金、及び、銀からなる群より選択される少なくとも1種を含有する部位を表面に有する、本開示1、2、3、4、5、6、7、8又は9の積層体である。
本開示11は、前記接着剤は、更に、シリコーン化合物又はフッ素化合物を含む、本開示2、3、4、5、6、7又は8の積層体である。
本開示12は、前記仮固定材は、前記接着剤を含有する接着剤層を有し、前記接着剤層のゲル分率が70重量%以上、100重量%以下である、本開示2、3、4、5、6、7又は8の積層体である。
本開示13は、本開示1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12の積層体を製造する方法であって、前記仮固定材の一方の面を支持体に貼り合わせ、前記仮固定材の他方の面を前記半導体装置に貼り合わせる仮固定工程(1’)と、前記半導体装置に熱処理を行う熱処理工程(2)とを有する、積層体の製造方法である。
本開示14は、前記仮固定工程(1’)の後かつ前記熱処理工程(2)の前に、更に、前記仮固定材を硬化する硬化工程(4)を有する、本開示13の積層体の製造方法である。。
本開示15は、本開示1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12の積層体を製造する方法であって、前記仮固定材を前記半導体装置に仮固定する仮固定工程(1)と、真空下又は不活性ガス条件下で前記半導体装置に熱処理を行う熱処理工程(2’)とを有する、積層体の製造方法である。
本開示16は、前記仮固定工程(1)の後かつ前記熱処理工程(2’)の前に、更に、前記仮固定材を硬化する硬化工程(4)を有する、本開示15の積層体の製造方法である。
本開示17は、本開示1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12の積層体を用いた半導体装置の製造方法であって、前記積層体における前記仮固定材と前記半導体装置とを剥離し、前記半導体装置を取り出す剥離工程(3)を有する、半導体装置の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
300℃以上の高温加工処理を行う場合にも適用できる工程材(仮固定材)として、従来の粘着剤組成物や粘着テープに替えて、より耐熱性に優れた接着剤を用いることが検討されている。しかしながら、このような耐熱性に優れた接着剤は、一般に硬く伸びにくい傾向にあることから、剥離時に剥離力が大きくなり、半導体装置の破損が生じたり、接着剤の一部がちぎれて残渣が残ったりすることがある。特に半導体装置の表面に形成されているバンプ(突起電極)が高いほど、半導体装置の破損が生じやすく、接着剤の残渣も生じやすい。
本発明者らは、仮固定材を半導体装置に仮固定した状態で半導体装置に熱処理を行った後、仮固定材から熱処理後の半導体装置を剥離する半導体装置の製造方法について検討を行った。なかでも特に、本発明者らは、剥離直前の、仮固定材と半導体装置とを有する積層体について検討を行った。本発明者らは、このような仮固定材と半導体装置とを有する積層体において、平板クロスステージ法を用いた剥離試験により25℃で仮固定材と半導体装置とを剥離したときの剥離力と仮固定材の引張伸び率とを特定範囲に調整することにより、残渣を抑制しつつ仮固定材から半導体装置を容易に剥離できることを見出した。これにより、本発明を完成させるに至った。
本発明の積層体は、仮固定材と半導体装置とを有する積層体である。
本発明の積層体は、平板クロスステージ法を用いた剥離試験により25℃で上記仮固定材と上記半導体装置とを剥離したとき、剥離力の下限が0.10N/inch、上限が5N/inchである。
上記剥離力が0.10N/inch以上であれば、上記仮固定材と上記半導体装置との意図しない剥離を抑制することができる。上記剥離力が5N/inch以下であれば、剥離時には上記仮固定材から上記半導体装置を容易に剥離することができる。上記剥離力の好ましい下限は0.3N/inch、好ましい上限は3N/inchであり、より好ましい下限は0.5N/inch、より好ましい上限は2.5N/inchである。
本発明の積層体は、平板クロスステージ法を用いた剥離試験により25℃で上記仮固定材と上記半導体装置とを剥離したとき、上記仮固定材の引張伸び率の下限が7%である。
上記引張伸び率が7%以上であれば、上記仮固定材の一部がちぎれることにより上記半導体装置上に残ってしまうことを抑え、上記仮固定材の残渣を抑制することができる。上記引張伸び率の好ましい下限は8%、より好ましい下限は9%、更に好ましい下限は10%である。
上記引張伸び率の上限は特に限定されないが、上記仮固定材が柔らくなりすぎることにより上記半導体装置上に残ってしまうことを抑える観点から、好ましい上限は90%、より好ましい上限は70%である。
なお、平板クロスステージ法を用いた剥離試験による上記剥離力及び上記引張伸び率の測定は、JIS Z0237:2009に準拠した操作方法により、以下のように行うことができる。
仮固定材と半導体装置とを有する積層体を、平板クロスステージを有する剥離試験機(例えば、VPA-2、協和界面科学社製等)に固定し、仮固定材と半導体装置との剥離角度が120°となるように平板クロスステージを設定する。剥離角度を120°に保ちながら、25℃、剥離速度300mm/分の条件にてピール試験を行い、剥離力(N/inch)を測定する。また、仮固定材の引張伸び率を下記式(2)により算出する。
引張伸び率=(L1-L0)/L0 (2)
(L0:剥離試験前の仮固定材の長さ、L1:剥離試験後の仮固定材の長さ)
上記剥離力及び上記引張伸び率を上記範囲に調整する方法は特に限定されず、例えば、上記仮固定材の組成を後述するような組成に調整する方法、上記仮固定材がシート状、フィルム状等の仮固定材である場合に上記仮固定材における接着剤層のゲル分率を後述するような範囲に調整する方法等が挙げられる。また、本発明の積層体の製造方法、特に、上記仮固定材を上記半導体装置に仮固定する際の積層構造及び上記仮固定材を上記半導体装置に仮固定した状態で上記半導体装置に熱処理を行う際の条件を適切に調整する方法等も挙げられる。
上記仮固定材の形態は特に限定されず、液状、ペースト状等の仮固定材であってもよいし、シート状、フィルム状等の仮固定材であってもよい。また、上記仮固定材は、仮固定材前駆体から加熱により硬化することで上記仮固定材を形成する形態であってもよい。なお、このような場合、上記仮固定材前駆体を上記半導体装置に塗布した後、上記仮固定材前駆体を加熱により硬化することで、上記半導体装置上で上記仮固定材を形成することが好ましい。
上記仮固定材前駆体は特に限定されないが、シリコーン樹脂の流動体、又は、酸二無水物の未反応基及びジアミン化合物の未反応基を有するポリイミド樹脂の流動体であることが好ましい。
上記シリコーン樹脂の流動体としては、より具体的には例えば、ポリジメチルシロキサン化合物と溶剤とを混合したポリジメチルシロキサン溶液等が挙げられる。上記ポリイミド樹脂の流動体としては、より具体的には例えば、ピロメリット酸二無水物と9,10-ジアミノフェナントレンのポリアミド酸化合物とを溶剤に混合したポリアミド酸溶液等が挙げられる。
上記仮固定材は、接着剤を含有することが好ましい。なお、上記仮固定材がシート状、フィルム状等の仮固定材である場合は、上記仮固定材が上記接着剤を含有する接着剤層を有することが好ましい。
上記仮固定材がシート状、フィルム状等の仮固定材である場合、上記仮固定材は、基材の一方又は両方の面に上記接着剤を含有する接着剤層を有していてもよく、基材を有さず上記接着剤を含有する接着剤層のみを有していてもよい。上記基材を有さない場合、光透過性と耐熱性とをともに有する基材を選定する必要がなく、上記仮固定材は、より安価かつ簡易な構成となる。
上記基材としては、例えば、アクリル、オレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ABS、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ナイロン、ウレタン、ポリイミド等の透明な樹脂からなるシートが挙げられる。また、網目状の構造を有するシート、孔が開けられたシート、ガラス等も用いることができる。
上記基材の厚みは特に限定されないが、光透過性を高める観点、及び、柔軟性を高める観点から、好ましい下限は5μm、好ましい上限は150μmであり、より好ましい下限は10μm、より好ましい上限は100μmである。
上記接着剤は特に限定されないが、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)を含有することが好ましい。
上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)は、イミド骨格を有することによって極めて耐熱性に優れ、300℃以上の高温加工処理に晒された場合であっても主鎖の分解が起こりにくい。このため、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)を含むことにより、上記接着剤は、300℃以上の高温加工処理に晒された場合であっても、剥離時には容易に剥離することができる。
上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)は特に限定されず、例えば、イミド骨格に加えて更にエネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合(以下、単に「炭素-炭素二重結合」ともいう)を側鎖若しくは末端又はこれらの両方に含有していてもよいし、炭素-炭素二重結合を含有していなくてもよい。なかでも、炭素-炭素二重結合を含有せず、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂であることが好ましい。
上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、炭素-炭素二重結合を含有する場合には、重量平均分子量(Mw)が1000以上、3万以下であることが好ましい。上記重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であれば、上記接着剤は、耐熱性が向上し、硬化物の柔軟性が向上して被着体に対して高い追従性を発揮でき、剥離時にはより容易に剥離することができる。また、上記重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であれば、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)の溶媒への溶解度が低くなりすぎることを防ぐこともできる。上記重量平均分子量(Mw)は1500以上、2万未満であることがより好ましく、5000以上、1万未満であることが更に好ましい。
また、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)は、炭素-炭素二重結合を含有しない場合には、重量平均分子量(Mw)が2万以上であることが好ましい。上記重量平均分子量が2万以上であることにより、上記接着剤は、より高い耐熱性を発揮することができ、300℃以上の高温加工処理に晒された場合であっても、剥離時には容易に剥離することができる。上記重量平均分子量は5万以上であることがより好ましい。上記重量平均分子量の上限は特に限定されないが、溶媒への溶解度の観点から、好ましい上限は60万、より好ましい上限は30万である。
なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法によりポリスチレン換算分子量として測定される。より具体的には、APCシステム(ウォーターズ社製、又はその同等品)を用いて、移動相THF、流量1.0mL/min、カラム温度40℃、サンプル濃度0.2重量%、RI・PDA検出器の条件で測定することができる。カラムとしては、HR-MB-M 6.0×150mm(品名、ウォーターズ社製、又はその同等品)等を用いることができる。
上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)は、主鎖構造中に脂肪族基を含有することが好ましい。また、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)は、主鎖構造中に芳香族構造を有する基を含有することも好ましい。更に、これらの両方を満たしていてもよい。
上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)が主鎖構造中に上記脂肪族基を含有することにより、上記接着剤は、硬化物の柔軟性が向上して上記半導体装置に対して高い追従性を発揮でき、剥離時にはより容易に剥離することができる。また、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)が主鎖構造中に上記芳香族構造を有する基を含有することにより、上記接着剤は、より高い耐熱性を発揮することができ、300℃以上の高温加工処理に晒された場合であっても、剥離時には容易に剥離することができる。
上記脂肪族基は特に限定されないが、炭素数1~20の直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族基が好ましい。これらの脂肪族基は更に置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。
上記炭素数1~20の直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族基は特に限定されないが、下記一般式(5-1)で表される構造を有する脂肪族基、下記一般式(5-2)で表される構造を有する脂肪族基、及び、下記一般式(5-3)で表される構造を有する脂肪族基からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。なかでも、樹脂構造中に複数の炭素鎖を持つことで、上記接着剤が千切れにくく、伸び性が良くなることから、下記一般式(5-3)で表される構造を有する脂肪族基が好ましい。なお、*は結合手を表し、位置は特に限定されない。
Figure 2023145374000004
一般式(5-1)中、R21は炭素数0~8の脂肪族基、エーテル基、ケトン基、エステル基又はスルホニル基を表す。
21が炭素数0~8の脂肪族基、エーテル基、ケトン基、エステル基又はスルホニル基である場合、このような基としては特に限定されず、例えば、ジシクロヘキシルメタン、1,8-ジシクロヘキシルオクタン、1,3-ジシクロヘキシル-2-メチルプロパン、ジシクロヘキシルエーテル、ジシクロヘキシルケトン、シクロヘキサンカルボン酸シクロヘキシル、エチルイソプロピルスルホン等が挙げられる。
Figure 2023145374000005
一般式(5-2)中、n、n’及びn”はそれぞれ1以上の整数を表す。
Figure 2023145374000006
一般式(5-3)中、n、n’、n”及びn’’’はそれぞれ独立して1以上の整数を表す。一般式(5-3)で表される構造としては、後述する一般式(4-2)で表される基を好適に用いることができる。
上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)における上記脂肪族基の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は20重量%、好ましい上限は80重量%である。上記脂肪族基の含有量が20重量%以上であれば、上記接着剤は、硬化物の柔軟性が向上して上記半導体装置に対して高い追従性を発揮でき、剥離時にはより容易に剥離することができる。上記脂肪族基の含有量が80重量%以下であれば、上記接着剤は、より高い耐熱性を発揮することができ、300℃以上の高温加工処理に晒された場合であっても、剥離時には容易に剥離することができる。上記脂肪族基の含有量のより好ましい下限は25重量%、より好ましい上限は75重量%であり、更に好ましい下限は30重量%、更に好ましい上限は70重量%である。
上記芳香族構造を有する基は特に限定されないが、下記一般式(6)で表される構造、及び、下記一般式(7)で表される構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造を有する基であることが好ましい。これらの芳香族構造を有する基は更に置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。なお、*は結合手を表し、位置は特に限定されない。
Figure 2023145374000007
一般式(6)中、R22はエステル基、カルボニル基、エーテル基、スルホニル基、炭素数1~3の脂肪族基、又は、芳香族基を表す。式中のベンゼン環はそれぞれ置換されていてもよく、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を有してもよい。
22が炭素数1~3の脂肪族基である場合、該炭素数1~3の脂肪族基は特に限定されず、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。R22が芳香族基である場合、該芳香族基は特に限定されず、例えば、アリール基、フェノール基、メトキシフェニル基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、クロロフェニル基、スチレン基、ビニルフェニル基、アミノフェニル等が挙げられる。
Figure 2023145374000008
一般式(7)中、R22はエステル基、カルボニル基、エーテル基、スルホニル基、炭素数1~3の脂肪族基、又は、芳香族基を表し、R23は芳香族基、炭素数4~10の脂肪族エーテル基、炭素数4~10の脂肪族エステル基、又は、炭素数4~10の脂肪族カルボニル基を表し、nは1以上の整数を表す。式中のベンゼン環はそれぞれ置換されていてもよく、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を有してもよい。
22が炭素数1~3の脂肪族基である場合、該炭素数1~3の脂肪族基は特に限定されず、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。R22が芳香族基である場合、該芳香族基は特に限定されず、例えば、アリール基、フェノール基、メトキシフェニル基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、クロロフェニル基、スチレン基、ビニルフェニル基、アミノフェニル等が挙げられる。
23が芳香族基である場合、該芳香族基は特に限定されず、例えば、アリール基、フェノール基、メトキシフェニル基、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、クロロフェニル基、スチレン基、ビニルフェニル基、アミノフェニル等が挙げられる。
上記芳香族構造を有する基として、より具体的には例えば、下記式(8-1)で表される構造を有する基、下記式(8-2)で表される構造を有する基、下記式(8-3)で表される構造を有する基等が挙げられる。これらの芳香族構造を有する基は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、結合している芳香環の運動性が高いことから、下記式(8-2)で表される構造を有する基が好ましい。なお、*は結合手を表す。
Figure 2023145374000009
Figure 2023145374000010
Figure 2023145374000011
なお、式(8-3)中、Rは脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表し、好ましくは極性官能基であり、より好ましくは水酸基である。
上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)における上記芳香族構造を有する基の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は10重量%、好ましい上限は70重量%である。上記芳香族構造を有する基の含有量が10重量%以上であれば、上記接着剤は、より高い耐熱性を発揮することができ、300℃以上の高温加工処理に晒された場合であっても、剥離時には容易に剥離することができる。上記芳香族構造を有する基の含有量が70重量%以下であれば、上記接着剤は、硬化物の柔軟性が向上して上記半導体装置に対して高い追従性を発揮でき、剥離時にはより容易に剥離することができる。上記芳香族構造を有する基の含有量のより好ましい下限は15重量%、より好ましい上限は65重量%であり、更に好ましい下限は20重量%、更に好ましい上限は60重量%である。
なお、イミド骨格部位と芳香族構造とが縮合環を形成している場合、これに共有されている炭素は、芳香族構造を構成する原子として重量を計算する。具体的には例えば、下記式で表される構造の場合、1~4の数字が付された炭素は芳香族構造を構成する原子として重量を計算する。なお、*は結合手を表す。
Figure 2023145374000012
上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)としては、具体的には例えば、下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX及びXで表される樹脂が挙げられる。
Figure 2023145374000013
一般式(1d)~(1e)中、P及びPは、それぞれ独立して、芳香族基又は脂肪族基を表し、Qは、置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族基を表し、Qは、置換又は非置換の芳香族構造を有する基を表す。X及びXは、エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を有さない官能基を表す。
上記一般式(1d)~(1e)中、P及びPは、炭素数5~50の芳香族基、又は、炭素数1~5の脂肪族基であることが好ましい。P及びPが炭素数5~50の芳香族基であることにより、上記接着剤は、より高い耐熱性を発揮することができ、300℃以上の高温加工処理に晒された場合であっても、剥離時には容易に剥離することができる。P及びPが炭素数1~5の脂肪族基であることにより、上記接着剤は、硬化物の柔軟性が向上して被着体に対して高い追従性を発揮でき、剥離時にはより容易に剥離することができる。
上記一般式(1d)中、Qは、置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数2~100の脂肪族基であることが好ましい。Qが置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数2~100の脂肪族基であることにより、上記接着剤は、硬化物の柔軟性が向上して被着体に対して高い追従性を発揮でき、剥離時にはより容易に剥離することができる。
また、Qは、後述するようなジアミン化合物に由来する脂肪族基であることが好ましい。なかでも、柔軟性を高める観点、及び、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)の溶媒や他の成分との相溶性が増す観点から、Qは、ダイマージアミンに由来する脂肪族基であることが好ましい。
上記ダイマージアミンに由来する脂肪族基として、より具体的には例えば、下記一般式(4-1)で表される基、下記一般式(4-2)で表される基、下記一般式(4-3)で表される基、及び、下記一般式(4-4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つが好ましい。なかでも、下記一般式(4-2)で表される基がより好ましい。なお、これらの基において光学異性は特に限定されず、いずれの光学異性も含む。
Figure 2023145374000014
一般式(4-1)~(4-4)中、R~R及びR13~R20はそれぞれ独立して、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を表す。なお、*は結合手を表す。結合手*は、上記一般式(1d)~(1e)中のNと結合する。
上記一般式(4-1)~(4-4)中、R~R及びR13~R20で表される炭化水素基は特に限定されず、飽和炭化水素基であってもよく、不飽和炭化水素基であってもよい。
なかでも、RとR、RとR、RとR、RとR、R13とR14、R15とR16、R17とR18、及び、R19とR20の炭素数の合計が7以上、50以下であることが好ましい。上記炭素数の合計が上記範囲内であることで、上記接着剤は、硬化物の柔軟性が向上して被着体に対して高い追従性を発揮でき、剥離時にはより容易に剥離することができる。また、上記炭素数の合計が上記範囲内であることで、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)の溶媒や他の成分との相溶性も増す。上記炭素数の合計は、より好ましくは9以上、更に好ましくは12以上、更により好ましくは14以上である。上記炭素数の合計は、より好ましくは35以下、更に好ましくは25以下、更により好ましくは18以下である。
上記一般式(1e)中、Qは、置換又は非置換の炭素数5~50の芳香族構造を有する基であることが好ましい。Qが置換又は非置換の炭素数5~50の芳香族構造を有する基であることにより、上記接着剤は、より高い耐熱性を発揮することができ、300℃以上の高温加工処理に晒された場合であっても、剥離時には容易に剥離することができる。
上記X及びXで表される炭素-炭素二重結合を有さない官能基としては、それぞれ独立して、例えば、脂肪族基、脂環式基、芳香族基、酸無水物、アミン化合物等が挙げられる。具体的には、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)の原料となる酸二無水物、ジアミン化合物の片末端未反応物が挙げられる。
上記一般式(1d)~(1e)中、s、及びtは、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)中における上記一般式(1d)で表される構成単位、及び、上記一般式(1e)で表される構成単位それぞれの含有量(モル%)に対応するものである。
上記一般式(1d)で表される構成単位の含有量(s)は0モル%よりも大きく、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上であり、好ましくは90モル%以下、より好ましくは80モル%以下である。上記一般式(1e)で表される構成単位の含有量(t)は0モル以上%、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは20モル%以上であり、好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下である。上記一般式(1d)~(1e)においてそれぞれの構成単位の含有量が上記範囲内であると、上記接着剤は、剥離時にはより容易に剥離することができる。
なお、上記一般式(1d)で表される構成単位、及び、上記一般式(1e)で表される構成単位は、それぞれの構成単位が連続して配列したブロック成分からなるブロック構造を有していてもよいし、それぞれの構成単位がランダムに配列したランダム構造を有していてもよい。
上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)を製造する方法は特に限定されず、例えば、ジアミン化合物と酸二無水物とを反応させることにより得ることができる。
上記ジアミン化合物としては、脂肪族ジアミン化合物又は芳香族ジアミン化合物のいずれも用いることができる。
上記ジアミン化合物として脂肪族ジアミン化合物を用いることにより、上記接着剤は、硬化物の柔軟性が向上して被着体に対して高い追従性を発揮でき、剥離時にはより容易に剥離することができる。上記ジアミン化合物として芳香族ジアミン化合物を用いることにより、上記接着剤は、より高い耐熱性を発揮することができ、300℃以上の高温加工処理に晒された場合であっても、剥離時には容易に剥離することができる。これらの脂肪族ジアミン化合物及び芳香族ジアミン化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記脂肪族ジアミン化合物は特に限定されないが、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)の主鎖構造中に含まれ得る上述したような脂肪族基を形成する化合物が好ましい。このような化合物としては、例えば、プリアミン1075(クローダ社製)等が挙げられる。
上記脂肪族ジアミン化合物としては、例えば、1,10-ジアミノデカン、1,12-ジアミノドデカン、ダイマージアミン、1,2-ジアミノ-2-メチルプロパン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノメンタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,12-ジアミノドデカン、3,3’-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン、ジアミノマレオニトリル、1,3-ジアミノペンタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ(5.2.1.02,6)デカン、ノルボルナンジアミン、ジエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、1-[4-(アミノメチル)シクロヘキシル]メタンアミン、4-[(4-アミノシクロヘキシル)メチル]シクロヘキサン-1-アミン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、CUA-4(クミアイ化学工業社製)、エラスマー650P(クミアイ化学工業社製)、ポレア SL-100A(クミアイ化学工業社製)等も挙げられる。
上記芳香族ジアミン化合物は特に限定されないが、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)の主鎖構造中に含まれ得る上述したような芳香族構造を有する基を形成する化合物が好ましい。このような化合物としては、例えば、CUA-4(クミアイ化学工業社製)、エラスマー650P(クミアイ化学工業社製)、ポレア SL-100A(クミアイ化学工業社製)等が挙げられる。
上記芳香族ジアミン化合物としては、例えば、9,10-ジアミノフェナントレン、4,4’-ジアミノオクタフルオロビフェニル、3,7-ジアミノ-2-メトキシフルオレン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4-ジアミノベンゾフェノン、3,4-ジアミノトルエン、2,6-ジアミノアントラキノン、2,6-ジアミノトルエン、2,3-ジアミノトルエン、1,8-ジアミノナフタレン、2,4-ジアミノトルエン、2,5-ジアミノトルエン、1,4-ジアミノアントラキノン、1,5-ジアミノアントラキノン、1,5-ジアミノナフタレン、1,2-ジアミノアントラキノン、2,4-クメンジアミン、1,3-ビスアミノメチルベンゼン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、2-クロロ-1,4-ジアミノベンゼン、1,4-ジアミノ-2,5-ジクロロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,5-ジメチルベンゼン、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビストリフルオロメチルビフェニル、ビス(アミノ-3-クロロフェニ)エタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジエチルフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチルジアミノフルオレン、2,3-ジアミノナフタレン、2,3-ジアミノフェノール、-5-メチルフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチルフェニル)メタン、4,4’-ジアミノフェニルスルホン、3,3’-ジアミノフェニルスルホン、2,2-ビス(4,(4アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2-ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、4,4’-オキシジアニリン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-オキシジアニリン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメトキシビフェニル、Bisaniline M、Bisaniline P、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、o‐トリジンスルホン、メチレンビス(アントラニル酸)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)プロパン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ブタン、1,5-ビス(4-アミノフェノキシ)ブタン、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン、4,4’-ジアミノベンザニリド、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ポリオキシアルキレンジアミン類(たとえば、HuntsmanのJeffamine D-230、D400、D-2000及びD-4000)、1,3-シクロヘキサンビス(メチルアミン)、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、3,5-ジアミノフェノール、4,4’-ジヒドロキシ―3,3’―ジアミノフェニルプロパン、4,4’-ジヒドロキシ―3,3’―ジアミノフェニルスルホン等も挙げられる。
上記脂肪族ジアミン化合物のなかでも、柔軟性を高める観点、及び、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)の溶媒や他の成分との相溶性が増す観点から、ダイマージアミンが好ましい。
上記ダイマージアミンとは、不飽和脂肪酸の2量体として得られる環式及び非環式ダイマー酸を、還元しアミノ化して得られるジアミン化合物であり、例えば、直鎖型、単環型、多環型等のダイマージアミンが挙げられる。上記ダイマージアミンは、炭素-炭素不飽和二重結合を含んでもよく、水素が付加した水素添加物であってもよい。上記ダイマージアミンとして、より具体的には例えば、上述した一般式(4-1)で表される基、一般式(4-2)で表される基、一般式(4-3)で表される基、及び、一般式(4-4)で表される基を構成することのできるダイマージアミン等が挙げられる。
上記酸二無水物として、例えば、脂肪族酸二無水物、芳香族酸二無水物等が挙げられる。
上記芳香族酸二無水物は特に限定されないが、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)に含まれ得る上述したような芳香族構造を有する基を形成する化合物が好ましい。このような化合物としては、例えば、BP-TME(本州化学工業社製)、BISDA(SABICジャパン合同会社製)等が挙げられる。
上記芳香族酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,4,5-ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,5,6-ピリジンテトラカルボン酸、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸、4,4’-スルホニルジフタル酸、1-トリフルオロメチル-2,3,5,6-ベンゼンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル、ベンゼン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、2,3,2’,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,3’,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、フェナンスレン-1,8,9,10-テトラカルボン酸、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸、チオフエン-2,3,4,5-テトラカルボン酸、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、3,4,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,2’,3’-ビフェニルテトラカルボン酸、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)-ビス(フタル酸)、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸等も挙げられる。
上記脂肪族酸二無水物は特に限定されないが、CpODA(ENEOS社製)、ジシクロヘキシル-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
上記接着剤が上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)を含む場合、該樹脂(1)の含有量は特に限定されないが、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と後述する多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)との合計100重量部に占める好ましい下限が20重量部である。上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)の含有量が20重量部以上であれば、上記接着剤は、300℃以上の高温加工処理に晒されて場合であっても、剥離時には容易に剥離することができる。剥離性を更に高める観点から、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)の含有量のより好ましい下限は30重量部である。
上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)の含有量の上限は特に限定されない。剥離性を更に高める観点から、該樹脂(1)の含有量は、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と後述する多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)との合計100重量部に占める好ましい上限が90重量部、より好ましい上限が80重量部である。
上記接着剤は、更に、分子内にエネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を2以上有する多官能モノマー又は多官能オリゴマーを含むことが好ましい。なかでも、分子内に炭素-炭素二重結合を含有する官能基を2以上有し、分子量が5000以下である多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)(以下、単に「多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)」ともいう。)を含むことがより好ましい。
上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)を含むことで、上記接着剤は、加熱したりエネルギー線を照射したりすることで硬化が進行し、粘着力が大きく低下するため、剥離時にはより容易に剥離することができる。
上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)における炭素-炭素二重結合を含有する官能基は特に限定されず、例えば、マレイミド基、シトラコンイミド基、ビニルエーテル基、アリル基、(メタ)アクリル基、及び、これらを含有する基等が挙げられる。これらの炭素-炭素二重結合を含有する官能基は、置換されていてもよい。なかでも、より高い耐熱性が得られることから、マレイミド基、置換されたマレイミド基、アリル基、及び、置換されたアリル基が好適である。
上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)における炭素-炭素二重結合を含有する官能基の官能基当量は特に限定されないが、好ましい下限が100、好ましい上限が2000である。上記官能基当量が上記範囲内であれば、上記接着剤は、加熱したりエネルギー線を照射したりすることで硬化がより充分に進行し、剥離時にはより容易に剥離することができる。上記官能基当量のより好ましい下限は200、より好ましい上限は1500であり、更に好ましい下限は300、更に好ましい上限は1000である。
上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)は、ジアミン化合物に由来する脂肪族基を有することが好ましい。上記ジアミン化合物としては、脂肪族ジアミン化合物又は芳香族ジアミン化合物のいずれも用いることができるが、脂肪族ジアミン化合物が好ましい。上記ジアミン化合物として脂肪族ジアミン化合物を用いることにより、上記接着剤は、硬化物の柔軟性が向上して被着体に対して高い追従性を発揮でき、剥離時にはより容易に剥離することができる。
上記脂肪族ジアミン化合物のなかでも、柔軟性を高める観点、及び、上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)の溶媒や他の成分との相溶性が増す観点から、上述したようなダイマージアミンが好ましい。つまり、本発明の積層体においては、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)、及び、上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)からなる群より選択される少なくとも1種がダイマージアミンに由来する脂肪族基を有することが好ましい。
上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)の含有量は特に限定されないが、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)100重量部に対する好ましい下限は5重量部、好ましい上限は60重量部である。上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)の含有量が上記範囲内であれば、上記接着剤は、剥離時にはより容易に剥離することができる。剥離性を更に高める観点から、上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)の含有量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は50重量部である。
上記接着剤は、更に、シリコーン化合物又はフッ素化合物を含むことが好ましい。
上記シリコーン化合物又はフッ素化合物は、耐熱性に優れることから、300℃以上の高温加工処理を経ても上記接着剤の焦げ付きを防止し、剥離時には被着体界面にブリードアウトして、剥離をより容易にする。
上記シリコーン化合物は特に限定されず、例えば、シリコーンオイル、シリコーンジアクリレート、シリコーン系グラフト共重合体等が挙げられる。上記フッ素化合物は特に限定されず、例えば、フッ素原子を有する炭化水素化合物等が挙げられる。
上記シリコーン化合物又はフッ素化合物は、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と架橋可能な官能基を有することが好ましい。
上記シリコーン化合物又はフッ素化合物が上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と架橋可能な官能基を有することにより、加熱したりエネルギー線を照射したりすることにより上記シリコーン化合物又はフッ素化合物が上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と化学反応する。そして、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)中に取り込まれる。このため、被着体に上記シリコーン化合物又はフッ素化合物が付着して汚染することを抑制することができる。
上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と架橋可能な官能基は特に限定されず、例えば、炭素-炭素二重結合を含有する官能基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミド基、イソシアネート基、エポキシ基等が挙げられる。なかでも、炭素-炭素二重結合を含有する官能基が好ましい。即ち、上記シリコーン化合物又はフッ素化合物は、炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有することが好ましい。上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基は、炭素-炭素二重結合(ラジカル重合性の不飽和結合)を含有していれば特に限定されず、例えば、マレイミド基、シトラコンイミド基、ビニルエーテル基、アリル基、(メタ)アクリル基、ナジイミド基、及び、これらを含有する基等が挙げられる。これらの炭素-炭素二重結合を含有する官能基は、置換されていてもよい。
なかでも、環境にやさしく、廃棄が容易であるという観点から、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と架橋可能な官能基を有するシリコーン化合物が好適である。上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と架橋可能な官能基を有するシリコーン化合物としては、主鎖にシロキサン骨格を有し、側鎖又は末端に炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有するシリコーン化合物が好ましい。
上記主鎖にシロキサン骨格を有し、側鎖又は末端に炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有するシリコーン化合物は特に限定されないが、下記一般式(I)で表されるシリコーン化合物、下記一般式(II)で表されるシリコーン化合物、及び、下記一般式(III)で表されるシリコーン化合物からなる群より選択される少なくとも1つを含有することが好ましい。これらのシリコーン化合物は、耐熱性が特に高く、極性が高いために上記接着剤からのブリードアウトが容易である。
Figure 2023145374000015
上記一般式(I)、一般式(II)、一般式(III)中、X及びYは、それぞれ独立して、0~1200の整数を表し、Rは炭素-炭素二重結合を含有する官能基を表す。
上記一般式(I)、一般式(II)、一般式(III)中、Rで表される炭素-炭素二重結合を含有する官能基としては、例えば、マレイミド基、シトラコンイミド基、ビニルエーテル基、アリル基、(メタ)アクリル基、ナジイミド基、及び、これらを含有する基等が挙げられる。これらの炭素-炭素二重結合を含有する官能基は、置換されていてもよい。なかでも、より高い耐熱性が得られることから、マレイミド基、置換されたマレイミド基、アリル基、及び、置換されたアリル基が好適である。なお、上記一般式(I)、一般式(II)及び一般式(III)において、Rが複数存在する場合、複数のRは同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(I)、一般式(II)、一般式(III)で表されるシリコーン化合物のうち市販されているものは、例えば、EBECRYL350、EBECRYL1360(いずれもダイセル・サイテック社製)等が挙げられる。更に、BYK-UV3500(ビックケミー社製)、TEGO RAD2250(エボニック社製)(いずれもRがアクリル基)、メガファックRS-56(DIC社製、シリコーン及びフッ素原子含有化合物)等が挙げられる。
上記シリコーン化合物又はフッ素化合物の含有量は特に限定されないが、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)との合計100重量部に対する好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は20重量部である。上記シリコーン化合物又はフッ素化合物の含有量がこの範囲内であると、上記接着剤が被着体を汚染することなく優れた剥離性を発揮することができる。汚染を抑制しつつも剥離性を更に高める観点から、上記シリコーン化合物又はフッ素化合物の含有量のより好ましい下限は0.3重量部、より好ましい上限は10重量部である。
なお、上記接着剤は耐熱性に優れることから、上記シリコーン化合物又はフッ素化合物の含有量を比較的少なくしても充分な効果を発揮することができる。そのため、上記シリコーン化合物又はフッ素化合物による汚染の可能性をより一層少なくすることができる。
上記接着剤は、更に、重合開始剤を含むことが好ましい。
上記重合開始剤は特に限定されないが、光重合開始剤及び熱重合開始剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、光重合開始剤がより好ましい。
上記光重合開始剤としては、例えば、250~800nmの波長の光を照射することにより活性化されるものが挙げられる。なかでも、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)の吸収波長と重なりにくく、上記接着剤にエネルギー線を照射した際に充分に活性化されることから、上記光重合開始剤は、405nmにおけるモル吸光係数が1以上である光重合開始剤を含有することが好ましい。上記光重合開始剤は、405nmにおけるモル吸光係数が200以上である光重合開始剤を含有することがより好ましく、405nmにおけるモル吸光係数が350以上である光重合開始剤を含有することが更に好ましい。上記405nmにおけるモル吸光係数が1以上である光重合開始剤の405nmにおけるモル吸光係数の上限は特に限定されないが、例えば2000、1500等が上限である。
上記光重合開始剤としては、例えば、メトキシアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体化合物、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジエチルケタール等のケタール誘導体化合物、フォスフィンオキシド誘導体化合物等が挙げられる。更に、ビス(η5-シクロペンタジエニル)チタノセン誘導体化合物、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシメチルフェニルプロパン等の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。これらの光重合開始剤は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記重合開始剤の含有量は特に限定されないが、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)との合計100重量部に対する好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は10重量部である。上記重合開始剤の含有量がこの範囲内であると、加熱したりエネルギー線を照射したりすることにより上記接着剤の全体が均一にかつ速やかに重合架橋し、弾性率が上昇することにより粘着力が大きく低下して、接着亢進を起こしたり、剥離時に糊残りが発生したりするのを防止することができる。上記重合開始剤の含有量のより好ましい下限は0.3重量部、より好ましい上限は3重量部である。
上記接着剤は、更に、気体発生剤を含有することが好ましい。
上記気体発生剤は、TG-DTA(熱重量-示差熱分析)測定にて窒素雰囲気下で30℃から300℃まで10℃/minの昇温速度で加熱したときの300℃における重量減少率が5%以下であることが好ましい。上記重量減少率が5%以下であれば、300℃以上の高温加工処理を行った場合であっても上記気体発生剤の分解が起こりにくく、上記接着剤は、より高い耐熱性を発揮することができる。
なお、TG-DTA(熱重量-示差熱分析)測定は、例えば、TG-DTA装置(STA7200RV、日立ハイテクサイエンス社製、又はその同等品)を用いて行うことができる。
上記気体発生剤としては、例えば、加熱することにより気体を発生する気体発生剤、光を照射することにより気体を発生する気体発生剤等が挙げられる。これらの気体発生剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、光を照射することにより気体を発生する気体発生剤が好ましく、紫外線を照射することにより気体を発生する気体発生剤がより好ましい。
上記光を照射することにより気体を発生する気体発生剤を含有することにより、上記接着剤は、光を照射することにより発生した気体が被着体との界面に放出される。これにより、上記接着剤は、より容易に剥離することができる。また、被着体が薄い場合であっても、被着体の破損を防止することができる。
上記光を照射することにより気体を発生する気体発生剤としては、例えば、テトラゾール化合物又はその塩、トリアゾール化合物又はその塩、アゾ化合物、アジド化合物、キサントン酢酸、炭酸塩等が挙げられる。これらの気体発生剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、特に耐熱性に優れることから、テトラゾール化合物又はその塩が好適である。
上記気体発生剤の含有量は特に限定されないが、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)との合計100重量部に対する好ましい下限は5重量部、好ましい上限は50重量部である。上記気体発生剤の含有量が上記範囲内であれば、上記接着剤が特に優れた剥離性を発揮することができる。上記気体発生剤の含有量のより好ましい下限は8重量部、より好ましい上限は30重量部である。
上記接着剤は、例えば、無機充填剤、光増感剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、樹脂、界面活性剤、ワックス等の公知の添加剤を含んでもよい。
上記仮固定材が上記接着剤を含有する接着剤層を有するシート状、フィルム状等の仮固定材である場合、上記接着剤層の厚みは特に限定されず、好ましい下限は5μm、好ましい上限は550μmである。上記厚みが5μm以上であれば、上記接着剤層が初期に充分な粘着力を有することができる。上記厚みが550μm以下であれば、上記接着剤層は、高い柔軟性を発揮することができ、被着体に対して高い追従性を発揮できるとともに、剥離時により容易に剥離することができる。上記厚みのより好ましい下限は10μm、更に好ましい下限は20μm、更により好ましい下限は30μmである。上記厚みのより好ましい上限は400μm、更に好ましい上限は300μm、更により好ましい上限は200μm、一層好ましい上限は150μmである。
上記仮固定材が上記接着剤を含有する接着剤層を有するシート状、フィルム状等の仮固定材である場合、上記接着剤層のゲル分率は特に限定されないが、好ましい下限は70重量%、好ましい上限は100重量%である。上記ゲル分率が上記範囲内であることで、上記接着剤層は、剥離時により容易に剥離することができる。上記ゲル分率のより好ましい下限は75重量%、更に好ましい下限は80重量%である。
なお、上記ゲル分率は、以下の方法により測定される。
接着剤層を50mm×100mmの平面長方形状に裁断して試験片を作製する。試験片をトルエン中に23℃にて24時間浸漬した後、トルエンから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させる。乾燥後の試験片の重量を測定し、下記式(1)を用いてゲル分率を算出する。なお、試験片には、接着剤層を保護するための離型フィルムは積層されていないものとする。
ゲル分率(重量%)=100×(W-W)/(W-W) (1)
(W:基材の重量、W:浸漬前の試験片の重量、W:浸漬、乾燥後の試験片の重量)
上記仮固定材の厚み(基材を有さない場合は接着剤層の厚み、基材を有する場合は接着剤層の厚みと基材の厚みとを合わせた厚み)は特に限定されないが、剥離性及び耐熱性の観点から、好ましい下限は10μm、好ましい上限は550μmであり、より好ましい下限は20μm、より好ましい上限は400μmであり、更に好ましい下限は30μm、更に好ましい上限は300μmである。なお、ここでいう仮固定材の厚みとは、仮固定材全体の厚みを意味する。
上記仮固定材を製造する方法は特に限定されず、例えば、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)等の配合成分をビーズミル、超音波分散、ホモジナイザー、高出力ディスパー、ロールミル等を用いて混合し、液状、ペースト状等の仮固定材を製造する方法が挙げられる。また、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)等の配合成分を溶剤とともにビーズミル、超音波分散、ホモジナイザー、高出力ディスパー、ロールミル等を用いて混合し、得られた接着剤溶液を離型フィルムの離型処理面上に塗工し、乾燥させて接着剤層を有する仮固定材を製造する方法も挙げられる。
上記半導体装置は特に限定されず、半導体ウエハ、半導体チップ、プリント基板、透明基板等の一般的な半導体装置であればよいが、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、感光性ポリイミド(PSPI)、銅、鉛合金、及び、銀からなる群より選択される少なくとも1種を含有する部位を表面に有することが好ましい。
上記半導体装置は、上記酸化ケイ素、窒化ケイ素、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、感光性ポリイミド(PSPI)、銅、鉛合金、及び、銀からなる群より選択される少なくとも1種を含有する部位を表面に有する場合、このような部位をする表面が上記仮固定材と接するようにして上記仮固定材に仮固定されることが好ましい。
上記半導体装置の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は40μm、好ましい上限は5000μmであり、より好ましい下限は50μm、より好ましい上限は300μmである。
上記半導体装置が表面にバンプ(突起電極)を有する場合、該バンプ(突起電極)が高いほど通常は上記半導体装置の破損が生じやすく、上記仮固定材の残渣も生じやすいが、本発明の積層体においては、上記半導体装置が比較的高いバンプを有する場合であっても、残渣を抑制しつつ上記仮固定材から上記半導体装置を容易に剥離することができる。上記バンプの高さは特に限定されないが、好ましい下限は3μm、好ましい上限は300μmであり、より好ましい下限は10μm、より好ましい上限は150μmである。
本発明の積層体を製造する方法は特に限定されず、例えば、少なくとも、上記仮固定材を上記半導体装置に仮固定する仮固定工程(1)と、上記半導体装置に熱処理を行う熱処理工程(2)とを有する方法が挙げられる。
上記仮固定材を上記半導体装置に仮固定する方法は特に限定されず、上記仮固定材の形態に応じて適宜選択すればよい。即ち、上記仮固定材が液状、ペースト状等の仮固定材である場合は、例えば、上記仮固定材を上記半導体装置に塗布する方法が挙げられ、上記仮固定材がシート状、フィルム状等の仮固定材である場合は、例えば、上記仮固定材を上記半導体装置に貼り合わせる方法が挙げられる。また、上記仮固定材前駆体を上記半導体装置に塗布した後、上記仮固定材前駆体を加熱により硬化することで、上記半導体装置上で上記仮固定材を形成する方法も挙げられる。
上記仮固定材、又は、上記仮固定材前駆体を上記半導体装置に塗布する方法は特に限定されず、例えば、スプレーコート、スピンコート等が挙げられる。上記仮固定材を上記半導体装置に貼り合わせる方法は特に限定されず、例えば、熱ラミネーターを用いて50~100℃程度で加熱ラミネートする方法、真空ラミネーターを用いて0~100Paの気圧中で40~70℃程度でラミネートする方法等が挙げられる。
上記熱処理の種類は特に限定されず、例えば、上記半導体装置に対する、モールディング、スパッタリング、熱圧着ボンディング等の熱処理が挙げられる。上記熱処理は、300℃以上の高温加工処理であってもよい。
なお、上記接着剤が加熱したりエネルギー線を照射したりすることで硬化が進行する硬化型接着剤である場合は、上記仮固定工程(1)の後かつ上記熱処理工程(2)の前に、更に、上記仮固定材を硬化する硬化工程(4)を行ってもよい。
上記仮固定材を硬化する方法は特に限定されず、例えば、上記仮固定材を加熱する方法、上記仮固定材にエネルギー線を照射する方法等が挙げられる。より具体的には例えば、上記仮固定材を170℃のオーブン中で10分間加熱する方法、上記仮固定材に405nmの照射強度が70mW/cmの紫外線を1000mJ/cm照射する方法等が挙げられる。
なかでも特に、上記剥離力及び上記引張伸び率を上記範囲に調整するためには、上記仮固定工程(1)において上記仮固定材を上記半導体装置に仮固定する際の積層構造及び上記熱処理工程(2)において上記仮固定材を上記半導体装置に仮固定した状態で上記半導体装置に熱処理を行う際の条件を適切に調整することが好ましい。
より具体的には、上記仮固定工程(1)において、上記仮固定材の上記半導体装置とは反対側の面に支持体を貼り合わせて保護することが好ましい。これにより、続いて行われる上記熱処理工程(2)において300℃以上の高温加工処理を行った場合であっても、上記仮固定材の接着亢進を抑えることができ、上記剥離力及び上記引張伸び率を上記範囲に調整しやすくなる。
また、上記熱処理工程(2)において、真空下又は不活性ガス条件下で上記半導体装置に熱処理を行うことも好ましい。真空下又は不活性ガス条件下であれば、上記熱処理工程(2)において300℃以上の高温加工処理を行った場合であっても、上記仮固定材の接着亢進を抑えることができ、上記剥離力及び上記引張伸び率を上記範囲に調整しやすくなる。
本発明の積層体を製造する方法であって、上記仮固定材の一方の面を支持体に貼り合わせ、上記仮固定材の他方の面を上記半導体装置に貼り合わせる仮固定工程(1’)と、上記半導体装置に熱処理を行う熱処理工程(2)とを有する積層体の製造方法もまた、本発明の1つである。
なお、上記仮固定工程(1’)の後かつ上記熱処理工程(2)の前に、更に、上記仮固定材を硬化する硬化工程(4)を行ってもよい。
上記支持体は特に限定されず、例えば、ガラス基板、石英基板、セラミック基板等が挙げられる。上記支持体の厚みは特に限定されないが、上記仮固定材を充分に保護する観点から、好ましい下限は500μm、好ましい上限は2000μmである。上記仮固定材の一方の面を上記支持体に貼り合わせ、上記仮固定材の他方の面を上記半導体装置に貼り合わせる方法は特に限定されず、上記支持体及び上記半導体装置のいずれを先に上記仮固定材と貼り合わせてもよい。
本発明の積層体を製造する方法であって、上記仮固定材を上記半導体装置に仮固定する仮固定工程(1)と、真空下又は不活性ガス条件下で上記半導体装置に熱処理を行う熱処理工程(2’)とを有する積層体の製造方法もまた、本発明の1つである。
なお、上記仮固定工程(1)の後かつ上記熱処理工程(2’)の前に、更に、上記仮固定材を硬化する硬化工程(4)を行ってもよい。
上記不活性ガス条件下としては、例えば、窒素ガス雰囲気下、アルゴンガス雰囲気下等が挙げられる。
以上のような工程を行うことにより、残渣を抑制しつつ仮固定材から半導体装置を容易に剥離できる積層体を得ることができる。
本発明の積層体を用いた半導体装置の製造方法であって、本発明の積層体における上記仮固定材と上記半導体装置とを剥離し、上記半導体装置を取り出す剥離工程(3)を有する半導体装置の製造方法もまた、本発明の1つである。
上記仮固定材と上記半導体装置とを剥離する方法は特に限定されず、例えば、通常のメカニカル剥離方法等を用いることができる。
本発明によれば、仮固定材と半導体装置とを有する積層体であって、残渣を抑制しつつ仮固定材から半導体装置を容易に剥離できる積層体を提供することができる。また、本発明によれば、該積層体の製造方法、及び、該積層体を用いた半導体装置の製造方法を提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
(1)イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)の調製
テフロン(登録商標)スターラーを入れた500mLの丸底フラスコに250mLのトルエンを投入した。次いで、トリエチルアミン35g(0.35モル)と無水メタンスルホン酸35g(0.36モル)を加えて攪拌し、塩を形成した。10分間撹拌後、エラスマー650P(クミアイ化学工業社製)31.4g(0.1モル)と、BISDA(SABICジャパン合同会社製)52.0g(0.1モル)をこの順に加えた。ディーンスターク管とコンデンサーをフラスコに取り付け、混合物を2時間還流し、室温に冷却し、トルエン300mLをフラスコに加え、静置により不純物を沈殿させ除去した。得られた溶液を、シリカゲルを充填したガラスフリット漏斗を通してろ過した後、溶剤を真空除去し、褐色固体状のイミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)を得た。
得られた樹脂(1)における主鎖構造中の脂肪族基の含有量、及び、主鎖構造中の芳香族構造を有する基の含有量を表1に示した。
(2)仮固定材の製造
アニソール100重量部に、上記で得られた樹脂(1)を100重量部加え、シリコーン化合物を1重量部加え、接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液を、片面離型処理の施された50μmのPETフィルムの離型処理面上に、乾燥皮膜の厚さが40μmとなるようにドクターナイフで塗工し、130℃、10分間加熱して乾燥させた。これにより接着剤層を有する仮固定材(ノンサポートタイプ)を得た。
(3)積層体の製造
仮固定材を1インチの幅にカットした後、半導体装置としてのTEGウエハ(表面にポリイミドを含有する部位を有する、ウォルツ社製、WALTS-TEG FBW100-0001JY(PI)、ウエハ厚み725±25μm、CuピラーとAg含有Snからなるバンプの高さ45μm)に100℃のラミネーター(ラミーコーポレーション社製、Leon13DX、速度メモリ5)にて加熱ラミネートした[仮固定工程(1)]。
ラミネート後、窒素雰囲気下で仮固定材と半導体装置とを有する積層体をホットプレートにより300℃で10分間加熱した[熱処理工程(2’)]。
(4)剥離力及び引張伸び率の測定
JIS Z0237:2009に準拠した操作方法により、以下のようにして、平板クロスステージ法を用いた剥離試験による剥離力及び引張伸び率の測定を行った。
仮固定材と半導体装置とを有する積層体を、平板クロスステージを有する剥離試験機(VPA-2、協和界面科学社製)に固定し、仮固定材と半導体装置との剥離角度が120°となるように平板クロスステージを設定した。剥離角度を120°に保ちながら、25℃、剥離速度300mm/分の条件にてピール試験を行い、剥離力(N/inch)を測定した。
また、仮固定材の引張伸び率は、剥離開始点と剥離終点との距離を剥離前と剥離後とで測定し、下記式(2)により算出した。
引張伸び率=(L1-L0)/L0 (2)
(L0:剥離試験前の仮固定材の長さ、L1:剥離試験後の仮固定材の長さ)
(5)積層体の剥離
その後、通常のメカニカル剥離方法により仮固定材と半導体装置とを剥離し、半導体装置を取り出した[剥離工程(3)]。
(実施例2~15、比較例1~3)
表1~2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)を調製し、仮固定材を得た。また、積層体の製造及び剥離を行った。なお、下記に示す材料を用いた。
・多官能モノマー(BMI-689、官能基当量340、DESIGNER MOLECULES社製)
・多官能オリゴマー(BMI-3000、官能基当量1500、DESIGNER MOLECULES社製)
・多官能アクリレート(ライトアクリレートDCP-A、官能基当量152、共栄社化学社製)
・シリコーン化合物(EBECRYL350、ダイセル・サイテック社製)
・光重合開始剤(Omnirad TPO H、IGM Resins社製)
・架橋剤(イソシアネート系架橋剤)
・アクリル粘着剤(SK-1、新中村化学社製)
(実施例16)
(1)仮固定材前駆体(シリコーン樹脂A)の製造
4つ口フラスコにトルエン1000重量部を入れ、分子鎖両末端が水酸基で封鎖された生ゴム状のジメチルポリシロキサン90重量部と、(CHSiO1/2単位0.75モルとSiO4/2単位1モルの割合からなり、かつ、固形分100中に1.0モル%の水酸基を含むメチルポリシロキサンレジン10重量部とを溶解した。得られた溶液に、28%のアンモニア水を1重量部添加し、室温にて24時間撹拌して縮合反応させた。次いで、減圧状態で180℃に加熱し、トルエン、縮合水、アンモニア等を除去させて、固形化された部分縮合物を得た。この部分縮合物100重量部に、トルエン900重量部を加えて溶解させた。この溶液にヘキサメチルジシラザン20重量部を加え、130℃にて3時間撹拌して残存する水酸基を封鎖した。次いで、減圧状態で180℃に加熱し、溶剤等を除去させて、固形化された非反応性部分縮合物を得た。更に、上記非反応性部分縮合物100重量部にヘキサン900重量部を加えて溶解させた後、これを2000重量部のアセトン中に投入し、析出した樹脂を回収して、その後、真空下でヘキサン等を除去して、分子量740以下の低分子量成分が0.05質量%である、重量平均分子量90万のジメチルポリシロキサン重合体を得た。この重合体20gをイソドデカン80gに溶解し、0.2μmのメンブレンフィルターで濾過して、ジメチルポリシロキサン重合体のイソドデカン溶液を得た。
(2)積層体の製造
仮固定材前駆体(シリコーン樹脂A)を半導体装置としてのTEGウエハ(表面にポリイミドを含有する部位を有する、ウォルツ社製、WALTS-TEG FBW100-0001JY(PI)、ウエハ厚み725±25μm、CuピラーとAg含有Snからなるバンプの高さ45μm)に塗布し、150℃で5分加熱して硬化することで、厚み100μmの仮固定材からなる膜を形成した[仮固定工程(1)]。
膜形成後、窒素雰囲気下で仮固定材と半導体装置とを有する積層体をホットプレートにより300℃で10分間加熱した[熱処理工程(2’)]。
(3)剥離力及び引張伸び率の測定
JIS Z0237:2009に準拠した操作方法により、以下のようにして、平板クロスステージ法を用いた剥離試験による剥離力及び引張伸び率の測定を行った。
仮固定材と半導体装置とを有する積層体を、平板クロスステージを有する剥離試験機(VPA-2、協和界面科学社製)に固定し、仮固定材と半導体装置との剥離角度が120°となるように平板クロスステージを設定した。剥離角度を120°に保ちながら、25℃、剥離速度300mm/分の条件にてピール試験を行い、剥離力(N/inch)を測定した。また、仮固定材の引張伸び率は、剥離開始点と剥離終点との距離を剥離前と剥離後とで測定し、下記式(2)により算出した。
引張伸び率=(L1-L0)/L0 (2)
(L0:剥離試験前の仮固定材の長さ、L1:剥離試験後の仮固定材の長さ)
(4)積層体の剥離
その後、通常のメカニカル剥離方法により仮固定材と半導体装置とを剥離し、半導体装置を取り出した[剥離工程(3)]。
(実施例17)
(1)仮固定材前駆体(シリコーン樹脂B)の製造
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備したフラスコ内に9,9’-ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)フルオレン43.1g、オルガノハイドロジェンシロキサン29.5g、トルエン135g、塩化白金酸0.04gを仕込み、80℃に昇温した。その後、1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン17.5gを1時間掛けてフラスコ内に滴下した。このとき、フラスコ内温度は、85℃まで上昇した。滴下終了後、更に80℃で2時間熟成した後、トルエンを留去すると共に、シクロヘキサノンを80g添加して、樹脂固形分濃度50質量%のシクロヘキサノンを溶剤とする樹脂溶液を得た。この溶液の樹脂分の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量45000であった。更に、この樹脂溶液50gに、架橋剤としてエポキシ架橋剤であるEOCN-1020(日本化薬社製)を7.5g、硬化触媒としてBSDM(ビス(tert-ブチルスルホニル)ジアゾメタン)(和光純薬工業社製)を0.2g、酸化防止剤としてアデカスタブAO-60(アデカ社製)を0.1g添加し、0.2μmのメンブレンフィルターで濾過して、シリコーン樹脂Bの溶液を得た。
(2)積層体の製造
仮固定材前駆体(シリコーン樹脂B)をガラス基板(ミトリカ社製、厚み600μm)に塗布し、更に、半導体装置としてのTEGウエハ(表面にポリイミドを含有する部位を有する、ウォルツ社製、WALTS-TEG FBW100-0001JY(PI)、ウエハ厚み725±25μm、CuピラーとAg含有Snからなるバンプの高さ45μm)を重ねた。これを150℃で5分加熱して硬化することで、ガラス基板と半導体装置との間に厚み100μmの仮固定材からなる膜を形成した[仮固定工程(1’)]。
膜形成後、酸素雰囲気下で仮固定材と半導体装置とを有する積層体をホットプレートにより300℃で10分間加熱した[熱処理工程(2)]。
(3)剥離力及び引張伸び率の測定
JIS Z0237:2009に準拠した操作方法により、以下のようにして、平板クロスステージ法を用いた剥離試験による剥離力及び引張伸び率の測定を行った。
仮固定材と半導体装置とを有する積層体を、平板クロスステージを有する剥離試験機(VPA-2、協和界面科学社製)に固定し、仮固定材と半導体装置との剥離角度が120°となるように平板クロスステージを設定した。剥離角度を120°に保ちながら、25℃、剥離速度300mm/分の条件にてピール試験を行い、剥離力(N/inch)を測定した。また、仮固定材の引張伸び率は、剥離開始点と剥離終点との距離を剥離前と剥離後とで測定し、下記式(2)により算出した。
引張伸び率=(L1-L0)/L0 (2)
(L0:剥離試験前の仮固定材の長さ、L1:剥離試験後の仮固定材の長さ)
(4)積層体の剥離
その後、通常のメカニカル剥離方法により仮固定材と半導体装置とを剥離し、半導体装置を取り出した[剥離工程(3)]。
<評価>
実施例及び比較例で行った積層体の製造及び剥離について、以下の方法により評価を行った。結果を表2に示した。
(1)貼り合わせ評価(仮固定工程)
仮固定材を半導体装置に加熱ラミネートした後、目視にて貼り合わせ状態を評価した。
◎:半導体装置の全面積で浮きが見られなかった
〇:半導体装置の10%未満の面積で浮きが見られた
△:半導体装置の10%以上、50%未満の面積で浮きが見られた
×:半導体装置の50%以上の面積で浮きが見られた
(2)半導体装置の破損の評価(剥離工程)
仮固定材と半導体装置とを剥離して半導体装置を取り出す操作を20個の積層体について行い、半導体装置のバンプ変形及び/又はクラックが発生した積層体の割合(破損率)を求めた。
◎:破損率5%未満
〇:破損率5%以上、25%未満
△:破損率25%以上、50%未満
×:破損率50%以上
(3)残渣の評価(剥離工程)
仮固定材と半導体装置とを剥離して半導体装置を取り出した後、半導体装置表面の面積に占める、残渣が付着していた面積の割合(残渣付着率)を求めた。
◎:半導体装置表面の残渣付着率5%未満
〇:半導体装置表面の残渣付着率5%以上、25%未満
△:半導体装置表面の残渣付着率25%以上50%未満
×:半導体装置表面の残渣付着率50%以上
Figure 2023145374000016
Figure 2023145374000017
本発明によれば、仮固定材と半導体装置とを有する積層体であって、残渣を抑制しつつ仮固定材から半導体装置を容易に剥離できる積層体を提供することができる。また、本発明によれば、該積層体の製造方法、及び、該積層体を用いた半導体装置の製造方法を提供することができる。

Claims (17)

  1. 仮固定材と半導体装置とを有する積層体であって、
    平板クロスステージ法を用いた剥離試験により25℃で前記仮固定材と前記半導体装置とを剥離したとき、剥離力が0.10N/inch以上、5N/inch以下であり、前記仮固定材の引張伸び率が7%以上である
    ことを特徴とする積層体。
  2. 前記仮固定材は、接着剤を含有し、前記接着剤は、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)を含有することを特徴とする請求項1記載の積層体。
  3. 前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)は、主鎖構造中に脂肪族基を含有し、前記脂肪族基の含有量が20重量%以上、80重量%以下であることを特徴とする請求項2記載の積層体。
  4. 前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)は、主鎖構造中に芳香族構造を有する基を含有し、前記芳香族構造を有する基の含有量が10重量%以上、70重量%以下であることを特徴とする請求項2記載の積層体。
  5. 前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)は、エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有せず、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂であり、
    前記接着剤は、更に、分子内にエネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を2以上有し、分子量が5000以下である多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)を含有し、前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)100重量部に対する前記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)の含有量が10重量部以上である
    ことを特徴とする請求項2記載の積層体。
  6. 前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)において、前記脂肪族基は、炭素数1~20の直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族基であることを特徴とする請求項3記載の積層体。
  7. 前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)において、前記芳香族構造を有する基は、下記一般式(6)で表される構造、及び、下記一般式(7)で表される構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造を有する基であることを特徴とする請求項4記載の積層体。
    Figure 2023145374000018
    一般式(6)中、R22はエステル基、カルボニル基、エーテル基、スルホニル基、炭素数1~3の脂肪族基、又は、芳香族基を表す。
    Figure 2023145374000019
    一般式(7)中、R22はエステル基、カルボニル基、エーテル基、スルホニル基、炭素数1~3の脂肪族基、又は、芳香族基を表し、R23は芳香族基、炭素数4~10の脂肪族エーテル基、炭素数4~10の脂肪族エステル基、又は、炭素数4~10の脂肪族カルボニル基を表し、nは1以上の整数を表す。
  8. 前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)は、下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX及びXで表される樹脂であることを特徴とする請求項2記載の積層体。
    Figure 2023145374000020
    一般式(1d)~(1e)中、P及びPは、それぞれ独立して、芳香族基又は脂肪族基を表し、Qは、置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族基を表し、Qは、置換又は非置換の芳香族構造を有する基を表す。X及びXは、エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を有さない官能基を表す。
  9. 前記仮固定材は、厚みが10μm以上、550μm以下であることを特徴とする請求項1記載の積層体。
  10. 前記半導体装置は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、感光性ポリイミド(PSPI)、銅、鉛合金、及び、銀からなる群より選択される少なくとも1種を含有する部位を表面に有することを特徴とする請求項1記載の積層体。
  11. 前記接着剤は、更に、シリコーン化合物又はフッ素化合物を含むことを特徴とする請求項2記載の積層体。
  12. 前記仮固定材は、前記接着剤を含有する接着剤層を有し、前記接着剤層のゲル分率が70重量%以上、100重量%以下であることを特徴とする請求項2記載の積層体。
  13. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12記載の積層体を製造する方法であって、
    前記仮固定材の一方の面を支持体に貼り合わせ、前記仮固定材の他方の面を前記半導体装置に貼り合わせる仮固定工程(1’)と、
    前記半導体装置に熱処理を行う熱処理工程(2)とを有する
    ことを特徴とする積層体の製造方法。
  14. 前記仮固定工程(1’)の後かつ前記熱処理工程(2)の前に、更に、前記仮固定材を硬化する硬化工程(4)を有することを特徴とする請求項13記載の積層体の製造方法。
  15. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12記載の積層体を製造する方法であって、
    前記仮固定材を前記半導体装置に仮固定する仮固定工程(1)と、
    真空下又は不活性ガス条件下で前記半導体装置に熱処理を行う熱処理工程(2’)とを有する
    ことを特徴とする積層体の製造方法。
  16. 前記仮固定工程(1)の後かつ前記熱処理工程(2’)の前に、更に、前記仮固定材を硬化する硬化工程(4)を有することを特徴とする請求項15記載の積層体の製造方法。
  17. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12記載の積層体を用いた半導体装置の製造方法であって、前記積層体における前記仮固定材と前記半導体装置とを剥離し、前記半導体装置を取り出す剥離工程(3)を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。

JP2023040835A 2022-03-28 2023-03-15 積層体、積層体の製造方法、及び、半導体装置の製造方法 Pending JP2023145374A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022051615 2022-03-28
JP2022051615 2022-03-28

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023145374A true JP2023145374A (ja) 2023-10-11

Family

ID=88253147

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023040835A Pending JP2023145374A (ja) 2022-03-28 2023-03-15 積層体、積層体の製造方法、及び、半導体装置の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023145374A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR20200023403A (ko) 경화성 폴리이미드
CN115702212B (zh) 固化性树脂组合物、临时固定材料、以及电子部件的制造方法
JP6303503B2 (ja) 樹脂組成物、硬化膜、積層フィルム、および半導体装置の製造方法
KR20170042609A (ko) 가부착용 접착제, 접착제층, 웨이퍼 가공체 및 이를 사용한 반도체 장치의 제조 방법, 리워크 용제, 폴리이미드 공중합체, 폴리이미드 혼합 수지, 및 수지 조성물
JP2023104983A (ja) 仮固定材、及び、電子部品の製造方法
JP2023121157A (ja) ポリイミド樹脂、硬化性樹脂組成物、仮固定材、及び、電子部品の製造方法
CN115066474A (zh) 粘合剂组合物、粘合带、及电子部件的处理方法
JP2023145374A (ja) 積層体、積層体の製造方法、及び、半導体装置の製造方法
KR20220081951A (ko) 점착제 조성물, 점착 테이프, 및, 전자 부품의 제조 방법
JP7433228B2 (ja) 粘着剤組成物、粘着テープ、及び、電子部品の処理方法
JP2023145379A (ja) 半導体装置の製造方法
JP2023138418A (ja) 電子部品の製造方法
JP2024045085A (ja) 接着性フィルム、及び、電子部品の製造方法
JP2024045084A (ja) 仮固定材、及び、電子部品の製造方法
JP2024045086A (ja) セパレータ付き仮固定材及び巻回体
JP2023109307A (ja) 硬化性樹脂組成物、仮固定材、及び、電子部品の製造方法
JP2024044715A (ja) 電子部品の製造方法
WO2024063112A1 (ja) 樹脂組成物、仮固定材、及び、電子部品の製造方法