JP2017122157A - 耐熱粘着樹脂、耐熱粘着組成物及びそれらを用いた粘着剤、積層体、接着方法 - Google Patents

耐熱粘着樹脂、耐熱粘着組成物及びそれらを用いた粘着剤、積層体、接着方法 Download PDF

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詠逸 品田
増田 克之
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克之 増田
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Kitaru Sato
来 佐藤
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Abstract

【課題】 150〜250℃においても十分な接着力を有し、この温度領域で接着力の変化が小さく容易に剥離可能であり、任意に接着力を向上させることができる耐熱粘着樹脂、耐熱粘着組成物、及びそれらを用いた粘着剤、積層体、接着方法を提供する。【解決手段】 縮合系樹脂の官能基とエポキシマレイミド化合物を反応させたマレイミド基を末端及び側鎖に含有する耐熱粘着樹脂。前記耐熱粘着樹脂と硬化性化合物を含む耐熱粘着組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、耐熱粘着樹脂、耐熱粘着組成物及びそれらを用いた粘着剤、積層体、接着方法に関する。
粘着剤は、被着体に貼付して固定、必要に応じて剥離する用途に広く用いられているが、粘着剤を構成する粘着樹脂の末端及び側鎖に反応性マレイミド基を有する樹脂を用いた場合は、工程後に被着体の接着力を増加させ、強固に接着することが可能である。例えば、被着体の加工終了後に搬送基板や加工支持基板から引き剥がし、剥離した被着体を製品基板や製品フィルムに再貼付し、さらに製品からの剥離を防止するために被着体を強固に接着することができれば、粘着剤からより強固な接着剤への貼り換えを省くことができるため製造工程を簡便化できる利点がある。
特許文献1には、粘着樹脂に反応性基を有する粘着剤が開示されている。特許文献2、3には、貼付後に熱によって、特許文献4には、紫外線照射によって接着力が向上する粘着剤が開示されている。
特開2014−105330号公報 特開2014−28911号公報 特開2013−104049号公報 特開2001−303009号公報
特許文献1の粘着剤は、樹脂中に反応性置換基を含む熱硬化性粘着剤のため、この置換基の反応性により100℃以上において接着力が高くなり、剥離できない場合がある。特許文献2、3の粘着剤は硬化剤を含むため、この熱重合開始温度による制限を受けるため、150℃以上において接着力が高くなり、剥離できない場合がある。特許文献4の粘着剤は、光硬化性粘着剤を開示しているが、触媒のラジカル重合開始温度が100℃以下であり、さらに硬化後の樹脂の耐熱温度が130℃程度であるため、使用温度に制限がある。工程中の温度が150℃以上である場合、先行技術に開示された粘着剤が使用できない問題があった。
本発明は、150〜250℃においても十分な接着力を有し、この温度領域で接着力の変化が小さく、容易に剥離可能であり、任意に接着力を向上させることができる、耐熱粘着樹脂、耐熱粘着組成物、及びそれらを用いた粘着剤、積層体、接着方法を提供することを目的とする。
本発明は、耐熱粘着樹脂として、縮合系樹脂の官能基とエポキシマレイミド化合物を反応させることにより、縮合系樹脂の末端及び側鎖にマレイミド基を含有する耐熱粘着樹脂を提供する。このような耐熱粘着樹脂は、縮合樹脂の持つ高い耐熱性により、150〜250℃においても十分な接着性を維持できる。また、末端および側鎖にマレイミド基を含有することにより、縮合樹脂の持つ高い耐熱性を損なうことなく、重合反応性を示す一方で、250℃以下の熱重合反応を抑制することにより接着力の変化を小さくすることができる。
縮合系樹脂は、ポリアミド、ポリイミド又はポリアミドイミドであり、前記エポキシマレイミド化合物が反応する前記官能基は、アミド結合及びアミド酸構造からなる群より選ばれる少なくとも一つの主鎖官能基、ヒドロキシ基からなる側鎖官能基、又は、カルボキシル基、アミノ基、カルボン酸ハロゲン化物構造及びカルボン酸無水物構造からなる群より選ばれる少なくとも一つの末端官能基であるとよい。
エポキシマレイミド化合物は、一つ以上のエポキシ基と一つ以上のマレイミド基を含有し、少なくとも一つのエポキシ基を前記縮合系樹脂の官能基と反応させることがよい。
エポキシマレイミド化合物の、少なくても一つのマレイミド基が、下記式(1)〜(4)で表されることがよい。
Figure 2017122157
〔式(2)において、R1はアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はハロゲン原子を表す。式(3)において、R2及びR3は独立してアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はハロゲン原子を表す。式(4)において、R4はプロピレン基又はブチレン基を表す。〕
エポキシマレイミド化合物の、少なくても一つのマレイミド基が脂肪族鎖と結合することが好ましく、脂肪族鎖であると十分に250℃以下の熱重合反応を抑制することができる。
縮合系樹脂は、ポリオキシアルカンジイル基を有するものが好ましい。ポリオキシアルカンジイル基により柔軟性や粘着性が良好となる。
縮合系樹脂は、二価の芳香環基を有するとよく、二価の芳香環基の存在により高温における粘着性が更に良好になる。なお、縮合系樹脂は、1,4−ピペラジンジイル基を有していてもよい。
縮合系樹脂は、イソシアネート化合物で鎖伸長することができる。鎖伸長することにより分子量を調整でき、耐熱性の確保と接着性の制御が可能である。
本発明の耐熱粘着樹脂に、エポキシ化合物、アクリル化合物、ビニルエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つの硬化性化合物を混合することにより、耐熱粘着組成物とすることができる。これらの硬化性化合物を用いて硬化させることにより、接着力をより高くすることができる。
本発明の耐熱粘着樹脂、又は耐熱粘着組成物は、150〜250℃においても十分な接着力を有し、この温度領域で接着力の変化が小さいため容易に剥離可能であるため、粘着材として使用することが可能である。
本発明の耐熱粘着樹脂、又は耐熱粘着組成物を含む粘着剤は、縮合系樹脂の末端及び側鎖に重合反応性マレイミド基を有するため、熱又は活性光線で処理することにより、ラジカル、カチオン及びアニオンの少なくとも一つを生じて自己重合又は架橋させることが可能である。
本発明の耐熱粘着樹脂、又は耐熱粘着組成物を含む粘着剤は、支持体上の粘着剤の層の形成のために使用でき、支持体上に粘着剤の層を設けた積層体として提供されてもよい。
本発明の耐熱粘着樹脂、又は耐熱粘着組成物を含む粘着剤、支持体上に本発明の粘着剤の層を設けた積層体は、被着体を接合してなる接合体とする粘着剤としての使用を提供する。この場合において、粘着剤は、加熱又は活性光線の照射による接着方法で接着力が向上する粘着剤として用いることができる。
本発明の耐熱粘着樹脂は、150〜250℃においても十分な接着力を有し、この温度領域で接着力の変化が小さいため容易に剥離可能であり、粘着樹脂の末端および側鎖に重合反応性マレイミド基を有するため、さらに接着力を向上させることができる。
また、本発明の耐熱粘着樹脂と、それに硬化性化合物を配した耐熱粘着樹脂は、粘着剤、積層体に適用でき、それらを用いる接着方法が提供される。
本発明は、150〜250℃においても十分な接着力を有し、この温度領域で接着力の変化が小さいため容易に剥離可能であり、任意に接着力を向上させることができる、耐熱粘着樹脂、耐熱粘着組成物、及びその粘着剤としての接着方法を提供する。本発明の耐熱粘着樹脂は、縮合系樹脂の官能基と、エポキシマレイミド化合物を反応させ、縮合系樹脂の末端及び側鎖にマレイミド基を含有させた縮合系樹脂とすることで、150〜250℃において十分な接着力を有し、この温度領域で接着力の変化を小さくすることができる。また、本発明の耐熱粘着樹脂、又は耐熱粘着組成物が、粘着剤として極めて有用であることを見出し、本発明を完成させた。なお、本発明において「粘着性」とは、20〜22℃の温度で10ラジアン/秒で測定した貯蔵弾性率(G’)が3×10パスカル未満であることをいう(ダールキスト基準)。本発明の耐熱粘着樹脂、耐熱粘着組成物、及びその粘着剤は150〜250℃で十分な接着性を発揮するが、この十分な接着性とは、例えば、後述する90°ピール試験で測定した接着力が0.1N/cm以上であることを意味する。さらに、本発明において「粘着剤」は感圧接着剤であり、被着体を貼付し、圧力をかけることで接着することができ、また必要に応じて引き剥がすことが可能である材料を意味する。本発明の実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の耐熱粘着樹脂は、縮合系樹脂の官能基とエポキシマレイミド化合物を反応させることにより合成される、縮合系樹脂の末端及び側鎖にマレイミド基を含有する耐熱粘着樹脂である。
縮合系樹脂としては、エポキシマレイミド化合物のエポキシ基が反応する官能基を有していれば特に制限は無く、官能基導入の容易さと耐熱性の観点から官能基を有する縮合系樹脂であり、官能基を有する縮合系樹脂としてポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドが好適である。これらの縮合系樹脂の官能基としては、アミド結合及びアミド酸構造からなる群より選ばれる少なくとも一つの主鎖官能基、ヒドロキシ基からなる側鎖官能基、又は、カルボキシル基、アミノ基、カルボン酸ハロゲン化物構造及びカルボン酸無水物構造からなる群より選ばれる少なくとも一つの末端官能基である。
縮合系樹脂の第1の態様としてのポリアミドは、主鎖にアミド基を有し、主鎖の末端はアミノ基、カルボキシル基、カルボン酸ハロゲン化物構造を有している。カルボン酸ハロゲン化物構造とは、例えば、−COCl、−COBr、のような酸ハロゲン基が挙げられる。ポリアミドは、下記式(2−1)で表される構造単位を有することが好ましい。
Figure 2017122157
上記式(2−1)において、R及びRは二価の有機基を示す。Rは、鎖式脂肪族化合物、環式脂肪族化合物(脂環式化合物、架橋環式化合物、スピロ炭化水素が含まれる。)、ベンゼン環を有する化合物(ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ピレン、ペリレン等の縮合多環式炭化水素やベンゼンが含まれる。)及び複素環式化合物からなる群より選ばれる化合物から、水素原子2個を除いた二価の有機基であることが好ましい。
としては、鎖式脂肪族化合物、環式脂肪族化合物(メチレンジシクロヘキシル基を備える化合物等の脂環式化合物、架橋環式化合物、スピロ炭化水素が含まれる。)、ベンゼン環を有する化合物(ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ピレン、ペリレン等の縮合多環式炭化水素やベンゼンが含まれる。)、複素環式化合物、ポリアルキレンオキサイド(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドが含まれる。)及びポリオルガノシロキサン(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンが含まれる。)からなる群より選ばれる化合物又はそのハロゲン化物(フッ素化物等)から水素原子2個を除いた二価の有機基が好ましい。なお、R及びRを与える化合物として上記した、ベンゼン環を有する化合物には、2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)メタン、4,4´−ビスフェノキシビフェニル、ビス(4−フェノキシフェニル)エーテル、ビス(4−フェノキシフェニル)ケトン、1,3−フェノキシベンゼン、1,4−フェノキシベンゼン、2,2´−ジメチルビフェニル、5,5´−ジメチル−2,2´−スルフォニル−ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルホン、ベンゾフェノン、ジフェニルメタン等が含まれる。
縮合系樹脂の第2の態様としてのポリイミドは、主鎖にイミド基を有し、主鎖の末端はアミノ基、カルボキシル基、カルボン酸ハロゲン化物構造又はカルボン酸無水物構造を有している。ポリイミドは、下記式(2−2)で表される構造単位を有することが好ましい。
Figure 2017122157
上記式(2−2)において、Rは二価の有機基を示し、Rは四価の有機基を示す。Rとして好ましい基は、上記式(2−1)の場合のR又はRと同様である。Rは、鎖式脂肪族化合物、環式脂肪族化合物(脂環式化合物、架橋環式化合物、スピロ炭化水素が含まれる。)、ベンゼン環を有する化合物(ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ピレン、ペリレン等の縮合多環式炭化水素やベンゼンが含まれる。)及び複素環式化合物からなる群より選ばれる化合物から、水素原子4個を除いた四価の有機基であることが好ましい。
縮合系樹脂の第3の態様としてのポリアミドイミドは、主鎖にアミド基及びイミド基を有し、主鎖の末端はアミノ基、カルボキシル基、カルボン酸ハロゲン化物構造又はカルボン酸無水物構造を有する。ポリアミドイミドは、下記式(2−3)又は(2−4)で表される構造単位を有することが好ましく、ポリアミドイミドの一部が(2−3)の構造を有しており、一部が(2−4)の構造を有していてもよい。
Figure 2017122157
上記式(2−3)及び(2−4)において、R及びRは二価の有機基を示し、Rは三価の有機基を示す。Rとして好ましい基は、上記式(2−1)の場合と同様であり、Rとして好ましい基は、上記式(2−1)におけるRと同様である。Rは、鎖式脂肪族化合物、環式脂肪族化合物(脂環式化合物、架橋環式化合物、スピロ炭化水素が含まれる。)、ベンゼン環を有する化合物(ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ピレン、ペリレン等の縮合多環式炭化水素やベンゼンが含まれる。)及び複素環式化合物からなる群より選ばれる化合物から、水素原子3個を除いた三価の有機基であることが好ましい。
上述のポリアミド、ポリイミド又はポリアミドイミドは、ポリオキシアルカンジイル基を有することが好適である。これらの縮合系樹脂がポリオキシアルカンジイル基を含有することにより、粘着剤組成物のガラス転移温度が低下し、例えば室温(25℃)等の低温で貼り付けることが容易となり、粘着性が優れるようになる。ポリオキシアルカンジイル基としては、下記式(3)で表される基が挙げられる。式中、nは2以上の整数を示し、R10はアルカンジイル基を示す。ここで、複数存在するR10は互いに同一でも異なっていてもよい。
Figure 2017122157
上記式(3)中、R10は直鎖状でも分岐状であってもよく、炭素数2〜4のアルカンジイル基が好ましく、炭素数2〜3のアルカンジイル基がより好ましい。R10としては、例えば、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基が挙げられる。nは、2〜70であることが好ましく、6〜33であることがより好ましい。
ポリオキシアルカンジイル基としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドポリプロピレンオキサイド共重合体、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコール共重合体、ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコール共重合体、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコール共重合体等のポリアルキレンオキサイドから誘導される基が好ましく、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロパン−1,2−ジイル基がより好ましい。
ポリアミド、ポリイミド又はポリアミドイミドにポリオキシアルカンジイル基を導入する方法としては、原料(重合性モノマー)の少なくとも一つにポリオキシアルカンジイル基を有する原料を使用することが簡便である。
ポリアミドは、例えば、下記式(A−1)で表されるモノマー(A−1)と、下記式(B−1)で表されるモノマー(B−1)との縮合重合により得ることができる。モノマー(A−1)のカルボキシル基を酸クロライド基にしてポリアミドを形成してもよく、その他の方法で製造されたものであってもよい。なお、下記式(A−1)及び(B−1)における、R及びRの定義及び好適例は上述の通りである。
Figure 2017122157
ポリイミドは、例えば、下記式(A−2)で表されるモノマー(A−2)及びモノマー(B−1)を縮合重合させてポリアミド酸を生成し、これを脱水閉環する方法により得ることができる。モノマー(A−2)の代わりに下記式(A−2’)で表される無水物(モノマー(A−2’))を用いてもよい。なお、ポリイミドは、必ずしもこの方法により製造されたものである必要はなく、上記式(2−2)で表される構造単位を有していれば、別の方法により製造されたものであってもよい。なお、下記式(A−2)及び(A−2’)における、Rの定義及び好適例は上述の通りである。
Figure 2017122157
上記式(2−3)のポリアミドイミドは、例えば、下記式(A−3)で表されるモノマー(A−3)と、モノマー(B−1)とを反応させてジイミドジカルボン酸を生成し、これに下記式(C−1)で表されるモノマー(C−1)を反応させて得ることができる。モノマー(A−3)の代わりに下記式(A−3’)で表される無水物(モノマー(A−3’))を用いてもよい。また、上記式(2−4)のポリアミドイミドは、例えば、モノマー(A−3)とモノマー(B−1)とを縮合重合して得ることができる。モノマー(A−3)の代わりにモノマー(A−3’)を用いてもよい。ポリアミドイミドは、必ずしもこの方法により製造されたものである必要はなく、上記式(2−3)又は(2−4)で表される構造単位を有していれば、別の方法により製造されたものであってもよい。なお、下記式(A−3)、(A−3’)及び(C−1)における、R及びRの定義及び好適例は上述の通りである。
Figure 2017122157
モノマー(A−1)(カルボキシル基を2つ有するモノマー)としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸等のアルキレンジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のアリーレンジカルボン酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、2−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、2−エチルヘキサヒドロフタル酸、メチルノールボルナン−2,3−ジカルボン酸、メチルノールボルナン−3,4−ジカルボン酸等のシクロヘキサン骨格を有するジカルボン酸などが挙げられる。耐熱粘着樹脂の耐熱性が向上することから、アリーレンジカルボン酸が好ましい。
モノマー(A−2)(カルボキシル基を4つ有するモノマー)としては、ピロメリット酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3´,4,4´−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸、4,4´−スルホニルジフタル酸、1−トリフルオロメチル−2,3,5,6−ベンゼンテトラカルボン酸、2,2´,3,3´−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、2,3,2´,3´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,3´,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、チオフエン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、2,3,3´,4´−ビフェニルテトラカルボン酸、3,4,3´,4´−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,2´,3´−ビフェニルテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン、p−フェニレンビス(トリメリテート)、エチレンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、ビシクロ−(2,2,2)−オクト(7)−エン2,3,5,6−テトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4´−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド、4,4´−(4,4´−イソプロピリデンジフェノキシ)−ビス(フタル酸)、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、ビス(エキソビシクロ(2,2,1)ヘプタン−2,3−ジカルボン酸)スルホン、1,2,4,5−テトラカルボキシシクロヘキサン、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3:5,6−テトラカルボン酸、5,5´−エンド−(ポリシロキサン−1,5−ジイル)−ビスビシクロ[2,2,1]ヘプタン−エキソ−2,3−ジカルボン酸等が挙げられる。
モノマー(A−3)(カルボキシル基を3つ有するモノマー)としては、トリメリット酸等の芳香族トリカルボン酸、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸等の脂環式トリカルボン酸等が挙げられる。
モノマー(B−1)(ジアミンモノマー)としては、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2´−ジメチルビフェニル−4,4´−ジアミン、2,2´−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル−4,4´−ジアミン、5,5´−ジメチル−2,2´−スルフォニル−ビフェニル−4,4´−ジアミン、(4,4´−ジアミノ)ジフェニルエーテル、(4,4´−ジアミノ)ジフェニルスルホン、(4,4´−ジアミノ)ベンゾフェノン、(3,3´−ジアミノ)ベンゾフェノン、(4,4´−ジアミノ)ジフェニルメタン、(4,4´−ジアミノ)ジフェニルエーテル、(3,3´−ジアミノ)ジフェニルエーテル、N,N´−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン等の芳香族ジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン等のアルキレンジアミン、ポリエチレンオキサイドジアミン、ポリプロピレンオキサイドジアミン等のポリアルキレンオキサイドジアミン、(4,4´−ジアミノ)ジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、1,4−ビスアミノプロピルピペラジン、[3,4−ビス(1−アミノヘプチル)−6−ヘキシル−5−(1−オクテニル)]シクロヘキセン、ビスアミノメチルノールボルネン等の脂肪族ジアミン、ポリジメチルシロキサンジアミン等のシロキサンジアミンなどが挙げられる。
モノマー(C−1)(ジイソシアネートモノマー)としては、ジフェニルメタン−2,4´−ジイソシアネート、3,2´−、3,3´−、4,2´−、4,3´−、5,2´−、5,3´−、6,2´−又は6,3´−ジメチルジフェニルメタン−2,4´−ジイソシアネート、3,2´−、3,3´−、4,2´−、4,3´−、5,2´−、5,3´−、6,2´−又は6,3´−ジエチルジフェニルメタン−2,4´−ジイソシアネート、3,2´−、3,3´−、4,2´−、4,3´−、5,2´−、5,3´−、6,2´−又は6,3´−ジメトキシジフェニルメタン−2,4´−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,3´−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,4´−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4´−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−4,4´−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4´−ジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイソシアネート、4,4´−〔2,2ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン〕ジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。モノマー(C−1)としては又、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、水添m−キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式イソシアネートが例示できる。モノマー(C−1)としては、経日変化を避けるためにブロック剤で安定化したものを使用してもよく、このようなブロック剤としては、アルコール、フェノール、オキシムが挙げられる。
縮合系樹脂は、上述のように、上記式(2−1)、(2−2)、(2−3)又は(2−4)で表される構造単位中にポリオキシアルカンジイル基を有していることが好ましく、構造単位中のモノマー(B−1)に由来する構造にポリオキシアルカンジイル基が存在することがより好ましい。すなわち、モノマー(A−1)、(A−2)、(A−2’)、(A−3)、(A−3’)及び(B−1)のうち少なくとも一種が前記ポリオキシアルカンジイル基を有することが好ましく、モノマー(B−1)のうち少なくとも一種がポリオキシアルカンジイル基を有することがより好ましい。
したがって、縮合系樹脂は、ポリオキシアルカンジイル基及び少なくとも2つのアミノ基を有するモノマー(モノマー(b−1))を含む重合性モノマーを縮合重合して得られる構造単位を有することが好ましい。
重合性モノマー中のモノマー(b−1)の含有量は、モノマー(B−1)の総量に対して5〜20mol%であることが好ましく、7〜15mol%であることがより好ましく、8〜10mol%であることが更に好ましい。このような重合性モノマーを縮合重合して得られる構造単位を有する耐熱粘着樹脂は、被着体との密着性に一層優れる傾向にある。
モノマー(b−1)としては、ポリアルキレンオキサイドポリアミンが挙げられる。ポリアルキレンオキサイドポリアミンとしては、ポリアルキレンオキサイドジアミンやポリアルキレンオキサイドトリアミンが好ましく、このようなアミンとしては、ジェファーミンD−230(HUNTSMAN(ハンツマン)社、商品名)、ジェファーミンD−400(HUNTSMAN社、商品名)、ジェファーミンD−2000(HUNTSMAN社、商品名)、ジェファーミンD−4000(HUNTSMAN社、商品名)等のポリプロピレンオキサイドジアミン、ジェフアミンED−600(HUNTSMAN社、商品名)、ジェフアミンED−900(HUNTSMAN社、商品名)等のポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの共重合体ジアミン、ジェファーミンEDR−148(HUNTSMAN社、商品名)、ジェファーミンEDR−176(HUNTSMAN社、商品名)等のポリエチレンオキサイドジアミン、ジェファーミンT−403(HUNTSMAN社、商品名)、ジェファーミンT−3000(HUNTSMAN社、商品名)、ジェファーミンT−5000(HUNTSMAN社、商品名)等のポリアミン(ポリオキシプロピレントリグリセリドトリアミン)などを好適に用いることができる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
縮合系樹脂は、構造単位中のモノマー(B−1)に由来する構造が、1,4−ピペラジンジイル基を有することが好ましく、ピペラジン−N,N´−ジプロピル基を有することがより好ましい。
すなわち、縮合系樹脂は、ピペラジン−N,N´−ジプロピル基及び少なくとも2つのアミノ基を有するモノマー(モノマー(b−3))を含む重合性モノマーを縮合重合して得られる構造単位を有することが好ましい。
重合性モノマー中のモノマー(b−3)の含有量は、特に制限は無いが、モノマー(b−1)及び(b−2)((b−2)は後述)を用いた後の残量を最大量として用いることができる。このような重合性モノマーを縮合重合して得られる構造単位を有する縮合系樹脂によれば、耐熱性と粘着性のバランスに優れる耐熱粘着樹脂が得られる。
モノマー(b−3)としては、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジンを好適に用いることができる。
縮合系樹脂は、又、脂環式構造を有することが好ましい。このような構造を有する粘着剤組成物は、吸水性の抑制ができるものとなる。脂環式構造としては、シクロヘキシル基、ジシクロヘキシル基、メチレンジシクロヘキシル基、イソホロン基、シクロヘキシルジメチル基が挙げられる。
このような脂環式構造を有するカルボン酸系モノマーとしては、モノマー(A−1)として、1,4−ジカルボキシシクロヘキサンが、モノマー(A−2’)として、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物及びジシクロヘキシル−3,3´,4,4´−テトラカルボン酸二無水物が、モノマー(A−3’)としてシクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸無水物がそれぞれ挙げられる。また、上記脂環式構造を有するアミン系モノマーとしては、モノマー(B−1)としてビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミン及び1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが例示できる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
また、縮合系樹脂は、構造単位中にメチレンジシクロヘキシル基を有していることが好ましく、構造単位中のモノマー(B−1)に由来する構造にメチレンジシクロヘキシル基が存在することがより好ましい。すなわち、モノマー(A−1)、(A−2)、(A−2’)、(A−3)、(A−3’)及び(B−1)のうち少なくとも一種がメチレンジシクロヘキシル基を有することが好ましく、モノマー(B−1)のうち少なくとも一種が前記メチレンジシクロヘキシル基を有することがより好ましい。
すなわち、縮合系樹脂は、メチレンビスシクロヘキシル基及び少なくとも2つのアミノ基を有するモノマー(モノマー(b−2))を含む重合性モノマーを縮合重合して得られる構造単位を有することが好ましい。
重合性モノマー中のモノマー(b−2)の含有量は、モノマー(B−1)の総量に対して4〜28.5mol%であることが好ましく、8〜28.5mol%であることがより好ましく、8〜20mol%であることが更に好ましい。このような重合性モノマーを縮合重合して得られる構造単位を有する粘着剤組成物は、吸水率が抑制され保存安定性に一層優れるものとなる。
モノマー(b−2)としては、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンを好適に用いることができる。
縮合系樹脂は、例えば、モノマー(A−1)、(A−2)又は(A−3)と、モノマー(B−1)を含む重合性モノマーの縮合重合により得ることができる。また、モノマー(A−1)、(A−2)及び(A−3)に代えて、これらのエステル化物又は酸ハロゲン化物等を用いることもできる。また、モノマー(A−2)及び(A−3)に代えて、これらの無水物を用いることもできる。重合性モノマーとして、ジイソシアネート(モノマー(C−1))等の他のモノマーを含有していてもよい。
縮合重合の方法は特に制限されないが、例えば、重合性モノマーを溶媒に溶解して、反応温度0〜200℃、反応時間1〜5時間程度で反応させる方法を採用することができる。
縮合重合に用いる溶媒としては、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−メチルスクシイミド、ジメチルフラン、トルエン、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチレンホスホルアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。この中でも、樹脂の溶解性の観点からN−メチルピロリドンが好ましい。
また、縮合重合においては、縮合反応を促進させる目的で、触媒などの加速剤を用いることができる。加速剤の添加量は、重合性モノマー10mol当量に対して、0.1〜50mol当量とすることが好ましい。加速剤としては、塩化リチウム、塩化カルシウム、ロダンカルシウム等の無機塩、トリエチルアミン、ピリジン等の3級アミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩などが挙げられる。
縮合系樹脂は、縮合重合で得られた上記式(2−1)、(2−2)、(2−3)又は(2−4)で表される構造を含む重合体を、さらに多価イソシアネート化合物やブロックドイソシアネート化合物によって鎖伸長し、接着性を制御することができる。鎖伸長は、単一重合体で行ってもよく、複数の重合体を適宜組み合わせてもよい。
多価イソシアネート化合物としては、反応性の観点から芳香族ジイソシアネート化合物が好ましく、4,4´−ジイソシアナトジフェニルメタン、4,4´−ジイソシアナトビフェニル、3,3´−ジイソシアナトビフェニル、3,4´−ジイソシアナトビフェニル、4,4´−ジイソシアナト−3,3´−ジメチルビフェニル、4,4´−ジイソシアナト−2,2´−ジメチルビフェニル、4,4´−ジイソシアナト−3,3´−ジエチルビフェニル、4,4´−ジイソシアナト−2,2´−ジエチルビフェニル、4,4´−ジイソシアナト−3,3´−ジメトキシビフェニル、4,4´−ジイソシアナト−2,2´−ジメトキシビフェニル、1,5−ジイソシアナトナフタレン、2,6−ジイソシアナトナフタレン等を例示でき、これらを単独でも、また、組み合わせても使用することができる。
縮合系樹脂の分子量は、重量平均分子量で10,000〜150,000であることが好ましく、20,000〜100,000であることがより好ましく、30,000〜80,000であることがさらに好ましい。10,000未満であるとフィルム強度に乏しい傾向があり、粘着剤として十分に機能しない。一方、150,000を超えるとワニスの粘度が高くなる傾向となリ、合成中の攪拌が困難になるとともにフィルム形成時のワニスの均一塗布が困難になる。
本発明で用いるエポキシマレイミド化合物は、一つ以上のエポキシ基と一つ以上のマレイミド基を含有し、少なくても一つのエポキシ基を前記縮合系樹脂の官能基と反応させることができれば、特に制限はないが、以下に代表例として一つのエポキシ基と一つのマレイミド基を含有するエポキシマレイミド化合物で概説する。
このようなエポキシマレイミド化合物の代表的な合成例としては、1級アミンとヒドロキシ基を含有する化合物、又は1級アミンとカルボキシル基を含有する化合物、を原料に用い、1級アミンと、無水マレイン酸誘導体を反応させ、次いでヒドロキシ基またはカルボキシル基と、エピクロロヒドリンを反応させることで合成することができる。さらに、エポキシマレイミド化合物の原料としては、1級アミンとチオール基を含有する化合物、及び1級アミンと2級アミンを含有する化合物を用いることもでき、エポキシ基をオキセタン基に換えることも可能であるが、汎用性と反応性の観点から前記化合物が好ましい。
アミノ基とヒドロキシ基を含有する化合物としては、2−アミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、2−アミノシクロヘキサノール、N,N−ジベンジル−(1−アダマンチル)−2−アミノエタノール、3−アミノ−1−アダマンタノール、4−アミノ−1−アダマンタノール、4−アミノシクロヘキサンエタノール、1−フェニル−2−アミノエタノール、2−ジフェニルアミノエタノール、N,N−ジベンジル−2−アミノエタノール、2−アミノ−5−ブロモ−3−ヒドロキシピリジン、2−アミノ−4−クロロ−6−ヒドロキシピリミジン、4−アミノ−2,6−ジフェニルフェノール、2´−アミノ−3´−ヒドロキシアセトフェノン、1−アミノ−4−ヒドロキシアントラキノン、2−アミノ−3−ヒドロキシアントラキノン、2−アミノ−2´−ヒドロキシ−1,1´−ビナフチル、5−アミノ−1−(2−ヒドロキシエチル)ピラゾ−ル、2−アミノ−4−ヒドロキシ−6−メチルピリミジン、4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メチルピリミジン、3−アミノ−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホン、3−アミノ−5−ヒドロキシピラゾ−ル、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン、3−アミノ−4−ヒドロキシピリジン、4−アミノ−6−ヒドロキシピリミジン、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−アミノ−2−インダノール、4−アミノ−2−メチル−5−ピリミジンメタノール、2−アミノ−4−フェニルフェノール、2−アミノ−3−ピリジンメタノール、2−アミノ−m−クレゾール、2−アミノ−p−クレゾール、3−アミノ−o−クレゾール、4−アミノ−o−クレゾール、4−アミノ−m−クレゾール、5−アミノ−o−クレゾール、6−アミノ−m−クレゾール、4−アミノ−2,6−ジクロロフェノール、4−アミノ−2,6−ジフェニルフェノール、2−アミノ−4−フルオロフェノール、2−アミノ−5−フルオロフェノール、4−アミノ−2−フルオロフェノール、4−アミノ−3−フルオロフェノール、4−アミノ−2−メトキシフェノール、4−(アミノメチル)−2−メトキシフェノール、2−アミノ−3−ニトロフェノール、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノール、4−アミノ−2−ニトロフェノール、4−アミノ−3−ニトロフェノール、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、4−アミノ−2,3−キシレノール、4−アミノ−2,5−キシレノール、4−アミノ−3,5−キシレノール、6−アミノ−2,4−キシレノール、ピクラミン酸、チラミン等を例示できる。
1級アミンとカルボキシル基を含有する化合物としては、グリシン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、O−tert−ブチル−セリン、グルタミン酸5−メチル、フェニルアラニン、O−ベンジル−セリン、5−ベンジルオキシ−DL−トリプトファン、アスパラギン酸4−ベンジル、O−ベンジル−チロシン等のアミノ酸類、1−アミノシクロブタンカルボン酸、1−アミノシクロヘキサンカルボン酸、1−アミノシクロペンタンカルボン酸、1−アミノシクロプロパンカルボン酸、2−アミノシクロヘキサンカルボン酸、3−アミノシクロヘキサンカルボン酸、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸、1−アミノ−3,6,9,12,15,18−ヘキサオキサヘンイコサン−21−酸、4−(アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸、2−アミノイソニコチン酸、3−アミノイソニコチン酸、2−アミノニコチン酸、5−アミノニコチン酸、6−アミノニコチン酸、5−アミノピリジン−2−カルボン酸、6−アミノ−2−ピリジンカルボン酸、6−アミノ−2−ナフトエ酸、3−アミノピラジン−2−カルボン酸等を例示できる。
特にエポキシマレイミド化合物の少なくても一つのマレイミド基が脂肪族鎖と結合した場合、無触媒下でも効率よく光重合が進行することが知られており(Journal of Polymer Science Part B: Polymer Letters, 1968, Volume 6, Issue 12, Pages 883-888)、活性光線の照射によって接着力を向上する場合に好適である。上述の例示の中で脂肪鎖を含む原料としては、2−アミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、2−アミノシクロヘキサノール、N,N−ジベンジル−(1−アダマンチル)−2−アミノエタノール、3−アミノ−1−アダマンタノール、4−アミノ−1−アダマンタノール、4−アミノシクロヘキサンエタノール、グリシン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、O−tert−ブチル−セリン、グルタミン酸5−メチル、1−アミノシクロブタンカルボン酸、1−アミノシクロヘキサンカルボン酸、1−アミノシクロペンタンカルボン酸、1−アミノシクロプロパンカルボン酸、2−アミノシクロヘキサンカルボン酸、3−アミノシクロヘキサンカルボン酸、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸、1−アミノ−3,6,9,12,15,18−ヘキサオキサヘンイコサン−21−酸、4−(アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸等を挙げることができる。
マレイミド基としては、下記の(1−1)(1−2)(1−3)(1−4)を例示することができ、前述の通り1級アミンと無水マレイン酸誘導体を反応させることで形成することができる。
Figure 2017122157
〔式(2)において、R1はアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はハロゲン原子を表す。式(3)において、R2及びR3は独立してアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はハロゲン原子を表す。式(4)において、R4はプロピレン基又はブチレン基を表す。〕
無水マレイン酸誘導体は、特に限定されるものではなく、無置換体、1置換体、2置換体から選ばれた1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。無置換体としては、無水マレイン酸が挙げられ、1置換体としては、シトラコン酸無水物、フェニルマレイン酸無水物、3−ブロモフラン−2,5−ジオン、シス−アコニット酸無水物、3−(4−メトキシフェニル)フラン−2,5−ジオン、3−フェニルフラン−2,5−ジオン、3−(4−クロロフェニル)フラン−2,5−ジオン等が挙げられ、2置換体としては、、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、2,3−ジフェニルマレイン酸無水物、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、2,5−ジヒドロ−4−メチル−2,5−ジオキソ−3−フランプロピオン酸、3,4−ジクロロフラン−2,5−ジオン、3,4−ジブロモフラン−2,5−ジオン、3,4−ジベンジルフラン−2,5−ジオン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
文献(東亜合成グル−プ研究年報, TREND 2009, 第12号, 31−33頁)によれば無置換体のマレイミドは、活性光線の照射だけでなく熱でも重合することができる。一方、1置換体や2置換体は、活性光線の照射により重合するが、熱では重合しにくいため高温用途で使用する際に好ましい。これらを鑑みて無水マレイン酸誘導体は適宜選択される。特に、2置換体は熱で重合しにくいため、高温下の接着力の変化を小さくすることができ、耐熱性を向上させるために好適である。
本発明のマレイミド基を縮合系樹脂の末端および側鎖に含有する耐熱粘着樹脂は、以上説明した縮合系樹脂の官能基と、エポキシマレイミド化合物を反応して製造することができる。エポキシマレイミド化合物が反応する縮合系樹脂の官能基は、アミド結合(−CONH−)、及びアミド酸構造(−R(COOH)−CONH−、Rは3価以上の有機基)からなる群より選ばれる少なくとも一つの主鎖官能基、ヒドロキシ基(−OH)からなる側鎖官能基、又は、カルボキシル基(−COOH)、アミノ基(−NH)、カルボン酸ハロゲン化物構造(−COOX、Xは塩素原子等のハロゲン原子)及びカルボン酸無水物構造(−CO−O−CO−)からなる群より選ばれる少なくとも一つの末端官能基であることが好ましい。
アミノ基、カルボキシル基及びアミド結合と反応する官能基としては、エポキシ基が挙げられる。エポキシ基とアミノ基は、例えば下記式(3−1)のように反応して結合する。また、エポキシ基とカルボキシル基は、例えば下記式(3−2)のように反応し、エポキシ基とアミド結合は、例えば下記式(3−3)又は(3−4)のようにして結合する。なお、式中、R〜R10は少なくても一つのマレイミド基を含有する一価の有機基を示す。
Figure 2017122157
エポキシマレイミド化合物の添加量は、接着力の向上の効率によって異なるが、エポキシ1当量に対して0.1〜1.0官能基当量用いることが好ましい。0.1官能基当量未満であると、接着力の向上の効果が小さい傾向にあり、1.0官能基当量を超えると、未反応のエポキシマレイミド化合物が残るため耐熱性の観点から好ましくない。
上述のマレイミド基を末端および側鎖に含有する耐熱粘着樹脂を単独で使用することが可能であるが、硬化性化合物を混合した耐熱粘着組成物とすることもできる。硬化性化合物としては、エポキシ化合物、アクリル化合物、ビニルエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つの硬化性化合物が好ましい。特に、アクリル化合物、ビニルエーテル化合物は電子ドナー物質として働くため、電子アクセプターのマレイミドと交互共重合するため硬化性に優れる。また、多官能エポキシ樹脂、多官能アクリル化合物、多官能ビニルエーテル化合物を用いることにより架橋させることも可能である。これらの硬化性化合物を用いて硬化させることにより、接着力をより高くすることができる。
エポキシ化合物としては、エポキシ基を含有すれば特に制限はないが、耐熱性と硬化性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、りん含有エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールのジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノール類のジグリシジルエーテル化物、アルコール類のジグリシジルエーテル化物、及びこれらのアルキル置換体、ハロゲン化物、水素添加物などを例示できる。
アクリル化合物としては、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、イソデシルアクリレート、ターシャリーブチルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、ベヘニルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、エチレングリコールアクリレート、プロピルヘプチルアクリレート、ジヒドロシクロペンタジエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ジペンタエリスリトールアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ナノンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリペンタエリスリトールアクリレート、モノペンタエリスリトールアクリレート、ジペンタエリスリトールアクリレート、アリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ターシャリーブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ターシャリーブチルアミノエチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等を例示できる。
ビニル化合物としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メチルビニルカルビノール、ヘキシルビニルカルビノール、ステアリルビニルエーテル、酢酸ビニル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジメチルエトキシビニルシラン、スチレン、4−アミノスチレン、4−メトキシスチレン、ジエチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。
これらエポキシ化合物、アクリル化合物、ビニルエーテル化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
硬化性化合物の含有量は、耐熱粘着樹脂及び反応性化合物の合計量を基準として1〜60質量%であることが好ましい。60質量%を超えると、耐熱性が低下することがあり、1%質量%未満では、硬化性の効果が十分に発現しない傾向にある。
本発明の耐熱粘着組成物は、光重合開始剤を配合しなくても活性エネルギー線により容易に硬化できるが、必要に応じて光重合開始剤を配合することができる。
光重合開始剤としては、ベンゾインとそのアルキルエーテル類、アセトフェノン類、アントラキノン類、チオキサントン類、ケタール類、ベンゾフェノン類及、キサントン類、アシルホスフィンオキシド類、α−ジケトン類等が挙げられる。これらは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの配合割合としては、耐熱粘着樹脂及び反応性化合物の合計量を基準として0.01〜10質量%が好ましい。
また、活性エネルギー線による感度を向上させるため、光増感剤を併用することもできる。
光増感剤としては、安息香酸系及びアミン系光増感剤等が挙げられる。これらは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの配合割合としては、耐熱粘着樹脂及び反応性化合物の合計量を基準として0.01〜10質量%が好ましい。
耐熱粘着組成物は、密着性を高める観点から、発明の目的を損なわない範囲内でロジン樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂などの粘着付与剤などを含んでもよい。
また、耐熱粘着組成物は、合金粒子、ガラス粒子、粘土粒子等の無機材料、樹脂粒子等の有機材料を含んでいてもよい。より具体的には、合金粒子としては錫合金、鉛合金、インジウム合金、亜鉛合金、金合金等が挙げられ、ガラス粒子としては鉛系、燐酸塩系、ホウ酸系、バナデート系、テルライド系、フッ化物系ガラスなどが挙げられ、粘土粒子としてはスティーブンサイト、モンモリロナイト、カオリナイト、イライト、スメクタイト、クローライト、バーミキュライト等が挙げられ、樹脂粒子としてはポリレチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、フッ素樹脂(PTFE)、エポキシ樹脂、ナイロン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
また、耐熱粘着組成物は、熱効率を高めるために、電磁波によって発熱する材料を含んでもよい。このような材料と電磁波の組み合わせとしては、有機高分子、炭素、シリコン、金属酸化物、ガラス、セラミック等の粒子に対する赤外線(波長0.1mm〜1μm)による誘導加熱、磁性、フェリ磁性、強磁性、反強磁性又は超常磁性の金属粒子に対するマイクロ波(波長1m〜1mm)による誘導体加熱が挙げられる。
本発明の耐熱粘着樹脂、又は耐熱粘着組成物は、上述の通り150〜250℃においても十分な接着力を有し、この温度領域で接着力の変化が小さいため容易に剥離可能であるため、粘着剤として使用することが可能である。特に、本発明の硬化塗膜は耐熱性に優れるため、特に耐熱性の要求される用途に有用である。
本発明の耐熱粘着樹脂、又は耐熱粘着組成物からなる粘着剤は、縮合系樹脂の末端および側鎖に重合反応性マレイミド基を有するため、加熱又は活性光線の照射により、ラジカル、カチオン及びアニオンの少なくとも一つを生じて自己重合又は架橋させることが可能である。
加熱方法としては、ホットプレート等の熱源に被着体や支持体を直接接触させる方法、熱風炉やドライヤー等の熱風を当てる方法、マイクロウェーブやレーザー等の電磁波を照射する方法等が例示できる。また、電磁波としては、レーザー光、赤外線、可視光線、紫外線、X線などが例示できる。
活性光線としては、可視光線、紫外線、X線及び電子線等が挙げられ、汎用性と効率の観点から、紫外線を使用することが好ましい。紫外線を使用する場合の光源としては、超高圧、高圧、中圧又は低圧水銀灯、メタルハライド灯、キセノンランプ、無電極放電ランプ及びカーボンアーク灯等が挙げられる。
本発明の耐熱粘着樹脂、又は耐熱粘着組成物からなる粘着剤は、固体や液状の形態で使用することができるが、フィルム形状で提供されてもよい。すなわち、上述の耐熱粘着樹脂、又は耐熱粘着組成物を含むフィルム状粘着剤が提供される。フィルム状粘着剤は、単層又は複数の粘着剤組成物の層からなるものや、支持体の片面又は両面に単層又は複数の粘着剤組成物の層が形成されたものとすることができる。フィルム状粘着剤の製造方法の例を以下に示す。
例えば、耐熱粘着樹脂、又は耐熱粘着組成物を含むワニスを支持体の一面上に塗布して乾燥させることにより、フィルム状粘着剤を作製することができる。
また、耐熱粘着樹脂、又は耐熱粘着組成物を含むワニスを支持体の両面上に塗布して乾燥させることにより、支持体の両面に粘着剤組成物の層を有するフィルム状粘着剤を作製することができる。
さらに、粘着剤組成物ワニスを、離型フィルムなどのフィルム上に塗布して乾燥させることにより形成された粘着剤組成物の層を、支持体上にラミネートして転写することによってフィルム状粘着剤を作製することもできる。
このようなキャスティング法による作製方法は、平坦な粘着剤組成物の層が容易に得られることから好適である。
複数の粘着剤の層からなるフィルム状粘着剤を作製することもできる。当該フィルム状粘着剤は、例えば、支持体の一面上に耐熱粘着樹脂、又は耐熱粘着組成物を含むワニスを塗布して乾燥させて粘着剤の層を形成した後、この層上に特性の異なる別の耐熱粘着樹脂、又は耐熱粘着組成物を含むワニスを更に塗布して乾燥させる方法で作製できる。
また、複数の粘着剤の層からなるフィルム状粘着剤は、特性の異なる複数の耐熱粘着樹脂、又は耐熱粘着組成物を含むワニスをそれぞれ離型フィルムなどのフィルム上に塗布して乾燥させることにより粘着剤の層を形成し、これらを支持体上に順次ラミネートすることによって作製することもできる。
粘着剤の層の厚さは、0.1〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましい。粘着剤の層の厚さは、前記耐熱粘着樹脂、又は耐熱粘着組成物を含むワニスにおける不揮発分濃度や、塗布量によって、適宜調整することができる。
耐熱粘着樹脂、又は耐熱粘着組成物を含むワニスに用いられる溶媒は、特に制限されないが、耐熱粘着樹脂、又は耐熱粘着組成物が良好な溶解性を示すことから、グリコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、グリコールエステル系溶剤などが好ましく用いられる。
具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル,3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、PMA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等が挙げられる。このほかにも、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−メチルスクシイミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等も用いることができる。これらの溶剤は単独で又は2種類以上を混合させて用いてもよい。
支持体としては、特に制限されないが、150℃以上の温度に対する耐熱性を有する材料を用いることが好ましく、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、トリアセチルセルロース、ポリエーテルイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、アクリル、ポリスチレン、ポリカーボネート等の有機材料を含むものが挙げられる。また、無機材料を含む支持体を用いることもでき、アルミニウム、マグネシウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、亜鉛、錫、ガラス、シリコンウエハ、合金などの無機材料を含むものを用いることができる。
粘着剤は、室温〜150℃で被着体を貼り付けることができ、150〜250℃においても十分な接着力を有し、必要に応じて粘着剤から支持体、被着体を容易に剥離することができる。さらに剥離した粘着剤に、支持体または被着体を再び貼り付けることができる。
粘着剤から、支持体または被着体を剥離する方法としては、リフトアップして剥離する方法が挙げられる。
さらに、粘着剤に貼り付けられた、支持体または被着体は、必要に応じて加熱又は活性光線の照射により、接着力を向上することができる。接着力の向上は、マレイミド基の単独重合又はマレイミド基と硬化性化合物の重合に起因するが、上述の通りマレイミド基の置換基によって、加熱又は活性光線の照射による重合度を制御することができる。
粘着剤の加熱方法としては、ホットプレート等の熱源に被着体や支持体を直接接触させる方法、熱風炉やドライヤー等の熱風を当てる方法、マイクロウェーブやレーザー等の電磁波を照射する方法等が例示できる。また、電磁波としては、レーザー光、赤外線、可視光線、紫外線、X線等が例示できる。加熱温度は、250℃以上が好ましく、加熱時間は適宜設定されるが、例えば30分間である。
活性光線としては、可視光線、紫外線、X線及び電子線等が挙げられ、汎用性と効率の観点から、紫外線を使用することが好ましい。紫外線を使用する場合の光源としては、超高圧、高圧、中圧又は低圧水銀灯、メタルハライド灯、キセノンランプ、無電極放電ランプ及びカーボンアーク灯等が挙げられる。照射量は適宜設定されるが、例えば2000mJ/cmである。
粘着剤が接着することが可能な好適な被着体としては、150℃以上の温度に対する耐熱性を有する材料が好ましい。より具体的な被着体としては、本発明の目的を達成できる限り特に制限はなく、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂又はこれらの混合樹脂、アルミニウム、マグネシウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、亜鉛、錫、ガラス、銅、シリコンウエハ及び合金が挙げられる。これらの材料の中では、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、アルミニウム、マグネシウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、亜鉛、錫、ガラス、銅及びシリコンウエハが高い耐熱性を示すことからより好ましい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
〔分子量測定方法〕
ポリイミド樹脂等の分子量は、高速液体クロマトグラフィーであるHPLC−L17000シリーズ(株式会社日立製作所製)を用いて測定した。臭化リチウム0.03mol/L、リン酸0.06mol/Lを加えたN−メチルピロリドンの展開溶媒に該ポリアミド樹脂を濃度1質量%で溶解し、30℃に加温されたカラム(GPC KD−806M×1本(Shodex、昭和電工株式会社製))に注入し、流速1.0mL/minで測定した。溶出時間から、標準ポリスチレン(TOSOH、東ソー株式会社製)を用いて作製した分子量/溶出時間曲線から重量平均分子量(Mw)を換算した。
〔合成方法〕
(合成例1)
ディーンスターク管、冷却管、窒素導入管、熱電対、攪拌機を備えた300mlのセパラブルフラスコに、ジカルボン酸としてイソフタル酸13.05g(78.52mmol)、テレフタル酸2.10g(12.66mmol)、ヒドロキシイソフタル酸1.85g(10.13mmol)、ジアミン成分としてポリエチレンオキサイドジアミン(ジェファーミンD−2000、ハンツマン社)18.42g(9.21mmol)、1,4−ビスアミノプロピルピペラジン14.76g(73.68mmol)、4,4´−ジアミノジシクロヘキシルメタン1.93g(9.21mmol)、非プロトン性極性溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン97.1g、重縮合触媒としてホウ酸0.171g(2.76mmol)、反応促進剤としてトリアミルアミン0.628g(2.76mmol)を加えた。攪拌機を200回転/min(rpm)の速度で回転させながら、窒素を500ml/minの速度でフラスコ内に流入し、30分かけてフラスコ内を窒素置換した。その後、加温されたオイルバスにフラスコを浸漬し、フラスコ内の溶液温度を上昇させ、200℃で17時間反応させた。引き続き、50℃まで冷却し、メチレンジフェニル−4,4´−ジイソシアネート化合物3.46g(13.82mmol)を加えた後、160℃で3時間反応させ、イソシアネート化合物で処理した重量平均分子量39,600のポリアミド樹脂ワニスを得た。
(合成例2)
ディーンスターク管、冷却管、窒素導入管、熱電対、攪拌機を備えた300mlのセパラブルフラスコに、ジカルボン酸としてイソフタル酸13.09g(78.76mmol)、テレフタル酸3.80g(22.87mmol)、ジアミン成分としてポリエチレンオキサイドジアミン(ジェファーミンD−2000)18.48g(9.24mmol)、1,4−ビスアミノプロピルピペラジン14.81g(73.91mmol)、4,4´−ジアミノジシクロヘキシルメタン1.94g(9.24mmol)、非プロトン性極性溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン97.1g、重縮合触媒としてホウ酸0.171g(2.76mmol)、反応促進剤としてトリアミルアミン0.630g(2.76mmol)を加えた。攪拌機を200回転/min(rpm)の速度で回転させながら、窒素を500ml/minの速度でフラスコ内に流入し、30分かけてフラスコ内を窒素置換した。その後、加温されたオイルバスにフラスコを浸漬し、フラスコ内の溶液温度を上昇させ、200℃で17時間反応させた。引き続き、50℃まで冷却し、メチレンジフェニル−4,4´−ジイソシアネート化合物3.47g(13.86mmol)を加えた後、160℃で3時間反応させ、イソシアネート化合物で処理した重量平均分子量43,500のポリアミド樹脂ワニスを得た。
(合成例3)
ディーンスターク管、冷却管、窒素導入管、熱電対、攪拌機を備えた200mlのセパラブルフラスコに、無水マレイン酸誘導体として2,3−ジメチルマレイン酸16.39g(0.13mol)、溶媒としてトルエン30gを加え、200回転/min(rpm)の速度で回転させながら、窒素を50ml/minの速度でフラスコ内に流しながら、室温(25℃)で均一に溶解するまで攪拌した。反応液を攪拌しながら、加温されたオイルバスにフラスコを浸漬し、フラスコ内の温度が70℃となるよう加熱し、エタノールアミン7.94g(0.13mol)を30分かけてフラスコ内に滴下した。その後、フラスコ内の温度を上昇させ、120℃で180分攪拌し、水を共沸脱水した。反応液を室温となるまで冷却し、さらに氷冷させたフラスコ内に、よくかき混ぜたエピクロロヒドリン12.03g(0.13mol)とトリエチルアミン14.47g(0.143mol)の混合物を30分かけてフラスコ内に滴下した。その後、室温以下で180分攪拌した。その後、反応液を分液ロートへ移し、100gの精製水でトルエン層を洗浄した。そのトルエン溶液をフラスコに移し、トルエンを減圧で留去し、エポキシマレイミド化合物を得た。
(合成例4)
ディーンスターク管、冷却管、窒素導入管、熱電対、攪拌機を備えた200mlのセパラブルフラスコに、無水マレイン酸誘導体としてシクロヘキセンジカルボキシ酸無水物18.26g(0.12mol)、溶媒としてトルエン30gを加え、200回転/min(rpm)の速度で回転させながら、窒素を50ml/minの速度でフラスコ内に流しながら、室温で均一に溶解するまで攪拌した。反応液を攪拌しながら、加温されたオイルバスにフラスコを浸漬し、フラスコ内の温度が70℃となるよう加熱し、エタノールアミン7.33g(0.12mol)を30分かけてフラスコ内に滴下した。その後、フラスコ内の温度を上昇させ、120℃で180分攪拌し、水を共沸脱水した。反応液を室温となるまで冷却し、さらに氷冷させたフラスコ内に、よくかき混ぜたエピクロロヒドリン11.10g(0.12mol)とトリエチルアミン13.36g(0.132mol)の混合物を30分かけてフラスコ内に滴下した。その後、室温以下で180分攪拌した。その後、反応液を分液ロートへ移し、100gの精製水でトルエン層を洗浄した。そのトルエン溶液をフラスコに移し、トルエンを減圧で留去し、エポキシマレイミドを得た。
(実施例1)
冷却管、窒素導入管、熱電対、攪拌機を備えた200mlのセパラブルフラスコに、合成例1のポリアミド樹脂ワニス70g(固形分35質量%)、合成例3のエポキシマレイミド1.84g(ポリアミド樹脂ワニスの固形量の7.5質量%)を加え、攪拌機を200回転/min(rpm)の速度で回転させながら、窒素を50ml/minの速度でフラスコ内に流入し、30分かけてフラスコ内を窒素置換した。その後、加温されたオイルバスにフラスコを浸漬し、フラスコ内の溶液温度を上昇させ、160℃で120分反応させ、マレイミド基を有する重量平均分子量41,800の耐熱粘着樹脂である変性ポリアミド樹脂ワニスを得た。
(実施例2)
冷却管、窒素導入管、熱電対、攪拌機を備えた200mlのセパラブルフラスコに、合成例1のポリアミド樹脂ワニス70g(固形分35質量%)、合成例3のエポキシマレイミド3.68g(ポリアミド樹脂ワニスの固形量の15質量%)を加え、攪拌機を200回転/min(rpm)の速度で回転させながら、窒素を50ml/minの速度でフラスコ内に流入し、30分かけてフラスコ内を窒素置換した。その後、加温されたオイルバスにフラスコを浸漬し、フラスコ内の溶液温度を上昇させ、160℃で120分反応させ、マレイミド基を有する重量平均分子量39,600の耐熱粘着樹脂である変性ポリアミド樹脂ワニスを得た。
(実施例3)
冷却管、窒素導入管、熱電対、攪拌機を備えた200mlのセパラブルフラスコに、合成例1のポリアミド樹脂ワニス70g(固形分35質量%)、合成例4のエポキシマレイミド3.68g(ポリアミド樹脂ワニスの固形量の15質量%)を加え、攪拌機を200回転/min(rpm)の速度で回転させながら、窒素を50ml/minの速度でフラスコ内に流入し、30分かけてフラスコ内を窒素置換した。その後、加温されたオイルバスにフラスコを浸漬し、フラスコ内の溶液温度を上昇させ、160℃で120分反応させ、マレイミド基を有する重量平均分子量39,600の耐熱粘着樹脂である変性ポリアミド樹脂ワニスを得た。
(実施例4)
冷却管、窒素導入管、熱電対、攪拌機を備えた200mlのセパラブルフラスコに、合成例2のポリアミド樹脂ワニス70g(固形分35質量%)、合成例3のエポキシマレイミド2.45g(ポリアミド樹脂ワニスの固形量の10質量%)を加え、攪拌機を200回転/min(rpm)の速度で回転させながら、窒素を50ml/minの速度でフラスコ内に流入し、30分かけてフラスコ内を窒素置換した。その後、加温されたオイルバスにフラスコを浸漬し、フラスコ内の溶液温度を上昇させ、160℃で120分反応させ、マレイミド基を有する重量平均分子量39,600の耐熱粘着樹脂である変性ポリアミド樹脂ワニスを得た。
(実施例5)
冷却管、窒素導入管、熱電対、攪拌機を備えた200mlのセパラブルフラスコに、合成例2のポリアミド樹脂ワニス70g(固形分質量35%)、合成例3のエポキシマレイミド4.9g(ポリアミド樹脂ワニスの固形量の20質量%)を加え、攪拌機を200回転/min(rpm)の速度で回転させながら、窒素を50ml/minの速度でフラスコ内に流入し、30分かけてフラスコ内を窒素置換した。その後、加温されたオイルバスにフラスコを浸漬し、フラスコ内の溶液温度を上昇させ、160℃で120分反応させ、マレイミド基を有する重量平均分子量39,600の耐熱粘着樹脂である変性ポリアミド樹脂ワニスを得た。
(比較例1)
冷却管、窒素導入管、熱電対、攪拌機を備えた200mlのセパラブルフラスコに、合成例1のポリアミド樹脂ワニス70g(固形分35質量%)、2官能のエポキシ樹脂としてEp−825(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製)4.9g(ポリアミド樹脂ワニスの固形量の20質量%)を加え、攪拌機を200回転/min(rpm)の速度で回転させながら、窒素を50ml/minの速度でフラスコ内に流入し、30分かけてフラスコ内を窒素置換した。その後、加温されたオイルバスにフラスコを浸漬し、フラスコ内の溶液温度を上昇させ、160℃で120分反応させた。その結果、フラスコ内で架橋が進行し、硬化してしまった。
Figure 2017122157
(Mw;重量平均分子量)
実施例1〜5において縮合系樹脂の官能基とエポキシマレイミド化合物を反応させた、マレイミド基を末端および側鎖に含有する縮合系樹脂が合成できた。一方、比較例1においては、2官能エポキシを用いた場合、ゲル化により樹脂ワニスを得ることができなかった。
〔評価基板の作製〕
(実施例6〜10)
実施例1〜5で得られたマレイミド基を有するポリアミド樹脂ワニスを厚み50μmのポリイミドフィルムに、乾燥後の厚みが20μmとなるようにアプリケータを用いて塗布し、160℃で30分間加熱して乾燥させ、フィルム状粘着剤を作製した。次いで、得られたフィルム状粘着剤を、厚さ0.7mmのガラス板上(縦100mm、横100mm)に配置し、ホットロールラミネータを用いて、温度:30℃、ロール圧:0.3MPa、速度:0.5m/minの条件下で通過させることで貼付け、実施例1〜5で合成したマレイミド基を末端および側鎖に含有する樹脂にそれぞれ対応する実施例6〜10の評価用基板を得た。
(比較例2)
合成例1のポリアミド樹脂ワニスをそのまま、塗布乾燥し、フィルム状粘着剤を得た以外は実施例6〜10と同様に行い、合成例1で合成した比較例2の評価基板を得た。
〔剥離性の評価〕
(前処理及び耐熱性の評価)
評価基板を熱風乾燥機で、200℃、15分加熱乾燥した状態を初期状態とした。
初期状態の評価基板を熱風乾燥機で200℃又は250℃の温度で30分加熱した後のフィルムの外観を評価した。フィルム状粘着剤に浮きや気泡が認められなかった場合を「○」、フィルム状粘着材に剥離や気泡が認められた場合を「×」として評価した。
〔接着性の評価〕
実施例6〜10、および比較例2の評価基板を用いて、初期状態、上記耐熱性の評価後の状態、および紫外線照射後の状態の接着性をそれぞれ評価した。
10mm幅に切断したフィルム状粘着剤の一端をガラス板から引き剥がし、引張り測定機の引張り治具に固定した。ガラス板をステージに押さえつけ、フィルム状粘着剤を引き上げてガラス板から引き剥がし速度300mm/分で、90°ピール試験を行った。この測定によってフィルム状粘着材の接着力を測定した。なお、紫外線の照射は、ベルトコンベア式水銀ランプを使用し、365nmの波長で照射量500mJ/回の条件下で積算光量まで必要回数照射した。それらの結果を表2に示した。
Figure 2017122157
実施例および比較例いずれも、耐熱性は、250℃まで剥れや気泡が発生せず良好であり、加熱後の接着性の変化も見られなかった。マレイミド基を含有した実施例6〜10の紫外線を照射後の接着性において、接着性が大幅に向上した。これに対し、比較例2では紫外線照射後も接着性の変化は見られなかった。
以上から、マレイミド基を末端および側鎖に含有する縮合系樹脂は、ガラス板に積層することが可能であり、150〜250℃においても十分な接着力を有し、この温度領域で接着力の変化が小さいため容易に剥離可能であり、光照射によって接着力を向上させることができた。

Claims (14)

  1. 縮合系樹脂の官能基とエポキシマレイミド化合物を反応させたマレイミド基を縮合系樹脂の末端及び側鎖に含有することを特徴とする耐熱粘着樹脂。
  2. 前記縮合系樹脂は、ポリアミド、ポリイミド又はポリアミドイミドであり、前記エポキシマレイミド化合物が反応する前記官能基は、アミド結合及びアミド酸構造からなる群より選ばれる少なくとも一つの主鎖官能基、ヒドロキシ基からなる側鎖官能基、又は、カルボキシル基、アミノ基、カルボン酸ハロゲン化物構造及びカルボン酸無水物構造からなる群より選ばれる少なくとも一つの末端官能基、である、請求項1に記載の耐熱粘着樹脂。
  3. 前記エポキシマレイミド化合物は、一つ以上のエポキシ基と一つ以上のマレイミド基を含有し、少なくとも一つのエポキシ基を前記縮合系樹脂の官能基と反応させることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の耐熱粘着樹脂。
  4. 前記エポキシマレイミド化合物の、少なくても一つのマレイミド基が、下記式(1)〜(4)で表されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の耐熱粘着樹脂。
    Figure 2017122157
    〔式(2)において、R1はアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はハロゲン原子を表す。式(3)において、R2及びR3は独立してアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はハロゲン原子を表す。式(4)において、R4はプロピレン基又はブチレン基を表す。〕
  5. 前記エポキシマレイミド化合物の、少なくても一つのマレイミド基が脂肪族鎖と結合することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の耐熱粘着樹脂。
  6. 前記縮合系樹脂は、ポリオキシアルカンジイル基を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の耐熱粘着樹脂。
  7. 前記縮合系樹脂は、二価の芳香環基を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の耐熱粘着樹脂。
  8. 前記縮合系樹脂は、1,4−ピペラジンジイル基を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の耐熱粘着樹脂。
  9. 前記縮合系樹脂は、イソシアネート化合物で鎖伸長する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の耐熱粘着樹脂。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の耐熱粘着樹脂に、エポキシ化合物、アクリル化合物、ビニルエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つの硬化性化合物を混合した、耐熱粘着組成物。
  11. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の耐熱粘着樹脂又は請求項10に記載の耐熱粘着組成物を含有する粘着剤。
  12. 請求項11に記載の粘着剤を、熱、又は、活性光線で処理することで自己重合又は架橋する、粘着剤。
  13. 支持体と、該支持体上に設けられた請求項11又は請求項12に記載の粘着剤を含有する層と、を備える積層体。
  14. 請求項11又は請求項12に記載の粘着剤、又は請求項13に記載の積層体における粘着剤を含有する層に、被着体を接合した接合体の粘着剤に対して、加熱又は活性光線の照射を行う接着方法。
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