JP2021133504A - 多層フィルムおよび深絞り包装体 - Google Patents
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Abstract
【課題】100℃以上の高温殺菌処理時における透明性の低下がなく、かつ、低温における耐ピンホール性を有する多層フィルムと、この多層フィルムを用いた深絞り包装体を提供する。【解決手段】結晶融解温度が150℃以上で、結晶融解熱量が60J/g以上である熱可塑性樹脂(i)を主成分として含む外層(X)、および、結晶融解温度が150〜170℃で、結晶融解熱量が20〜40J/gであるポリプロピレン系樹脂(I)を主成分として含む中間層(Y)の、少なくとも2層を含む多層フィルム。好ましくは、更に、結晶融解温度が120〜140℃で、結晶融解熱量が40〜80J/gである熱可塑性樹脂(ii)を主成分として含む内層(Z)を有する。この多層フィルムを成形してなる深絞り包装体。【選択図】なし
Description
本発明は、100℃以上の高温殺菌処理時における透明性の低下がなく、かつ、低温における耐ピンホール性を有する多層フィルムと、この多層フィルムを用いた深絞り包装体に関する。
近年、食糧および包装材の廃棄量削減活動、また、高齢化や個食化の進む社会環境を反映し、100℃以上の高温で殺菌処理することにより食品賞味期限の長期化を図る包装容器の普及が加速している。
しかしながら、100℃以上の高温で殺菌処理すると、包装容器の透明性が低下し、内容物の視認性が低下する場合がある。また、殺菌処理後、内容物の消費期限を延長するために、冷凍して保存、輸送する際に、包装容器同士の摩擦や、落下等の外的要因により、ピンホールが発生し、内容物の劣化が生じる場合がある。
100℃以上の高温での殺菌処理が可能な多層フィルムとして、特許文献1には、ポリアミド系樹脂を外層とし、中間層にエチレン・ビニルアルコール共重合体、内層にシール層樹脂としてポリプロピレン系樹脂を配した構成が開示されている。また、冷凍下における耐ピンホール性に優れ、100℃以上の高温での殺菌処理時における層間剥離を抑制した多層フィルムとして、特許文献2には、ポリアミド系樹脂を外層とし、中間層に高密度ポリエチレンまたは直鎖状低密度ポリエチレン、内層に直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂を配した構成が開示されている。
しかしながら、特許文献1の多層フィルムでは、100℃以上の高温での殺菌処理において、フィルムの外観変化は見られないものの、冷凍下における耐ピンホール性に劣る。一方、特許文献2の多層フィルムでは、冷凍下における耐ピンホール性に優れ、100℃以上の高温での殺菌処理時において層間の剥離は生じないものの、このような高温の殺菌処理で透明性が低下する場合がある。
本発明の目的は、100℃以上の高温殺菌処理時における透明性の低下がなく、かつ、低温における耐ピンホール性を有する多層フィルムと、この多層フィルムを用いた深絞り包装体を提供することにある。
本発明者は、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の構成を採用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の[1]〜[5]を要旨とする。
即ち、本発明は以下の[1]〜[5]を要旨とする。
[1] 結晶融解温度が150℃以上で、結晶融解熱量が60J/g以上である熱可塑性樹脂(i)を主成分として含む層(X)、および、結晶融解温度が150〜170℃で、結晶融解熱量が20〜40J/gであるポリプロピレン系樹脂(I)を主成分として含む層(Y)の、少なくとも2層を含む多層フィルム。
[2] 更に、結晶融解温度が120〜140℃で、結晶融解熱量が40〜80J/gである熱可塑性樹脂(ii)を主成分として含む層(Z)を有し、層(X)、層(Y)、層(Z)の順で積層されてなる、[1]に記載の多層フィルム。
[3] 前記熱可塑性樹脂(i)がポリアミド系樹脂および/またはポリプロピレン系樹脂である、[1]または[2]に記載の多層フィルム。
[4] 前記ポリプロピレン系樹脂(I)が、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのブロック共重合体である、[1]〜[3]のいずれかに記載の多層フィルム
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の多層フィルムを、前記層(X)を外層、前記層(Z)を内層として成形してなる深絞り包装体。
本発明の多層フィルムによれば、100℃以上の高温殺菌処理時における透明性の低下がなく、かつ、低温における耐ピンホール性を有する多層フィルムと深絞り包装体を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明するが、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
尚、本明細書において、「主成分」とは、各層を構成する樹脂の作用・効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨である。更に、この用語は、具体的な含有率を制限するものではないが、各層の構成成分全体の50質量%以上100質量%以下、好ましくは70質量%以上100質量%以下、更に好ましくは85質量%以上100質量%以下を占めることを意味する。また、「X〜Y」(X、Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」および「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
また、本明細書において、「α−オレフィン」とは「エチレン」を含む広義のα−オレフィンを意味する。
また、本明細書において、「α−オレフィン」とは「エチレン」を含む広義のα−オレフィンを意味する。
本発明の多層フィルムは、被着体フィルムと共に内容物を収容し、その周辺をヒートシールして袋体や深絞り包装体を作製することができる。被着体フィルムには、通常、二軸延伸ポリプロピレンフィルムや二軸延伸ポリエステルフィルムなどが使用されるが、被着体フィルムに本発明の多層フィルムを用いることもできる。
深絞り包装体とする場合、被着体フィルムを用いた蓋材と本発明の多層フィルムを深絞り成形した底材を用いる構成でも、本発明の多層フィルムを用いた蓋材と他のフィルムを深絞り成形した底材を用いる構成等の各種の構成が挙げられるが、本発明の多層フィルムは、深絞り包装体の底材として特に好適に使用できる。
深絞り包装体とする場合、被着体フィルムを用いた蓋材と本発明の多層フィルムを深絞り成形した底材を用いる構成でも、本発明の多層フィルムを用いた蓋材と他のフィルムを深絞り成形した底材を用いる構成等の各種の構成が挙げられるが、本発明の多層フィルムは、深絞り包装体の底材として特に好適に使用できる。
本発明の多層フィルムは、結晶融解温度が150℃以上で、結晶融解熱量が60J/g以上である熱可塑性樹脂(i)を主成分として含む層(X)(深絞り包装体等の用途において、外側に位置するものであり、以下、「外層(X)」と称す場合がある。)、および、結晶融解温度が150〜170℃で、結晶融解熱量が20〜40J/gであるポリプロピレン系樹脂(I)を主成分として含む層(Y)(深絞り包装体等の用途において、内側、或いは外層と内層との間の層を構成するものであり、以下、「中層(Y)」と称す場合がある。)との、少なくとも2層を含むものであって、好ましくは、更に、結晶融解温度が120〜140℃で、結晶融解熱量が40〜80J/gである熱可塑性樹脂(ii)を主成分として含む層(Z)(深絞り包装体等の用途において、内側に位置するものであり、以下、「内層(Z)」と称す場合がある。)を有し、この場合、外層(X)、中層(Y)、内層(Z)の順で積層されてなるものである。
本発明において、樹脂の結晶融解温度、結晶融解熱量は、後掲の実施例の項に記載の方法により測定された値である。
以下、本発明の多層フィルムについて説明する。
<外層(X)>
本発明の多層フィルムの外層(X)には、結晶融解温度が150℃以上で、結晶融解熱量が60J/g以上である熱可塑性樹脂(i)を用いることが必要である。外層(X)にかかる結晶融解温度および結晶融解熱量の熱可塑性樹脂(i)を用いることで、本発明の多層フィルムを深絞り包装体として使用したとき、ヒートシールする際の熱板への融着を抑制することができ、外観良好な深絞り包装体を成形することができる。
上記効果に優れることから、熱可塑性樹脂(i)の結晶融解温度は150℃以上であることが好ましく、より好ましくは155℃以上である。ただし、熱可塑性樹脂(i)の結晶融解温度が過度に高いと製膜時に他の層に使用する樹脂の熱劣化を生じさせる懸念があることから、熱可塑性樹脂(i)の結晶融解温度は240℃以下、より好ましくは230℃以下である。
また、熱可塑性樹脂(i)の結晶融解熱量についても、上記効果に優れることから、熱可塑性樹脂(i)の結晶融解熱量は65J/g以上であることが好ましく、より好ましくは70J/g以上である。ただし、熱可塑性樹脂(i)の結晶融解熱量が過度に高いと製膜時に外観不良が発生する場合があることから、熱可塑性樹脂(i)の結晶融解熱量は110J/g以下、より好ましくは100J/g以下である。
本発明の多層フィルムの外層(X)には、結晶融解温度が150℃以上で、結晶融解熱量が60J/g以上である熱可塑性樹脂(i)を用いることが必要である。外層(X)にかかる結晶融解温度および結晶融解熱量の熱可塑性樹脂(i)を用いることで、本発明の多層フィルムを深絞り包装体として使用したとき、ヒートシールする際の熱板への融着を抑制することができ、外観良好な深絞り包装体を成形することができる。
上記効果に優れることから、熱可塑性樹脂(i)の結晶融解温度は150℃以上であることが好ましく、より好ましくは155℃以上である。ただし、熱可塑性樹脂(i)の結晶融解温度が過度に高いと製膜時に他の層に使用する樹脂の熱劣化を生じさせる懸念があることから、熱可塑性樹脂(i)の結晶融解温度は240℃以下、より好ましくは230℃以下である。
また、熱可塑性樹脂(i)の結晶融解熱量についても、上記効果に優れることから、熱可塑性樹脂(i)の結晶融解熱量は65J/g以上であることが好ましく、より好ましくは70J/g以上である。ただし、熱可塑性樹脂(i)の結晶融解熱量が過度に高いと製膜時に外観不良が発生する場合があることから、熱可塑性樹脂(i)の結晶融解熱量は110J/g以下、より好ましくは100J/g以下である。
熱可塑性樹脂(i)としては、上記結晶融解温度および結晶融解熱量を満たすものであればよく、特に限定されないが、耐熱性、深絞り成形性、多層フィルムとしたときの成膜性の観点などから、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂を用いることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂としては、特に制限はなく、プロピレン単位の含有量が通常90質量%以上、好ましくは95〜100質量%のものが挙げられ、プロピレンの単独重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体等が好適に使用できる。ランダム共重合体としては、プロピレンと、プロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンより選ばれる1種又は2種以上とが共重合してなるランダム共重合体が、透明性や耐ピンホール性の点で好ましい。
ポリアミド系樹脂としては、特に限定されないが、3員環以上のラクタム、重合可能なω−アミノ酸、ジアミンとジカルボン酸が50モル%以上のもの用いることが好ましい。
ポリアミド系樹脂が共重合体である場合、ポリアミド成分は80モル%以上、好ましくは85モル%以上、更に好ましくは90モル%以上含まれていることが望ましい。
またポリアミド系樹脂がポリマーブレンドである場合には、ポリアミド成分はポリマーブレンド質量全体の70質量%以上、好ましくは75質量%以上、更に好ましくは80質量%以上含まれていることが望ましい。
ポリアミド系樹脂が共重合体である場合、ポリアミド成分は80モル%以上、好ましくは85モル%以上、更に好ましくは90モル%以上含まれていることが望ましい。
またポリアミド系樹脂がポリマーブレンドである場合には、ポリアミド成分はポリマーブレンド質量全体の70質量%以上、好ましくは75質量%以上、更に好ましくは80質量%以上含まれていることが望ましい。
3員環以上のラクタムとしては、例えば、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−ラウロラクタム、α−ピロリドンなどを挙げることができる。重合可能なω−アミノ酸としては、例えば、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノヘプタン酸、ω−アミノノナン酸、ω−アミノウンドデカン酸、ω−アミノドデカン酸などが挙げられる。
ジアミンとしては、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族アミン、1,3/1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ピペラジン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス−(4’−アミノシクロヘキシル)プロパンなどの脂環族ジアミン、およびメタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ノナンジオン酸、デカンジオン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環族カルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(1,2−体、1,3−体、1,4−体、1,5−体、1,6−体、1,7−体、1,8−体、2,3−体、2,6−体、2,7−体)、金属−イソフタルスルホン酸などの芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
ポリアミド系樹脂として、上記3員環以上のラクタム、重合可能なω−アミノ酸、ジアミンとジカルボン酸から誘導されるポリアミド樹脂の単独重合体又は共重合体を各々単独で若しくは混合物として用いることができる。具体的に例示すると、例えば、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド7、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド69、ポリアミド610、ポリアミド611、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド6−66、ポリアミド6−610、ポリアミド6−611、ポリアミド6−12、ポリアミド6−612、ポリアミド6−6T、ポリアミド6−6I、ポリアミド6−66−610、ポリアミド6−66−12、ポリアミド6−66−612、ポリアミド66−6T、ポリアミド66−6I、ポリアミド6T−6I、ポリアミド66−6T−6I等が挙げられる。中でも、耐熱性の点から、ポリアミド6やポリアミド6−66を用いることが特に好ましい。
外層(X)は、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂(i)の1種のみを含むものであってもよく、2種以上を含むものであってもよい。また、本発明の作用・効果を妨げない範囲で熱可塑性樹脂(i)以外の熱可塑性樹脂の1種又は2種以上を含むものであってもよい。
外層(X)の厚さは通常3μm以上、好ましくは5μm以上、更に好ましくは8μm以上であり、上限は通常150μm以下、好ましくは120μm以下、更に好ましくは100μm以下である。外層(X)の厚さをかかる範囲とすることで、耐熱性と深絞り成形性を両立させることができる。
<中層(Y)>
本発明の多層フィルムの中層(Y)には、結晶融解温度が150〜170℃で、結晶融解熱量が20〜40J/gであるポリプロピレン系樹脂(I)を用いることが必要である。中層(Y)にかかる範囲の結晶融解温度および結晶融解熱量を有するポリプロピレン系樹脂(I)を用いることで、100℃以上の高温殺菌処理時における透明性の低下がなく、かつ、低温における耐ピンホール性を有する多層フィルムが得られる。
上記効果に優れることから、ポリプロピレン系樹脂(I)の結晶融解温度は155〜165℃であることが好ましく、結晶融解熱量は25〜35J/gであることが好ましい。
本発明の多層フィルムの中層(Y)には、結晶融解温度が150〜170℃で、結晶融解熱量が20〜40J/gであるポリプロピレン系樹脂(I)を用いることが必要である。中層(Y)にかかる範囲の結晶融解温度および結晶融解熱量を有するポリプロピレン系樹脂(I)を用いることで、100℃以上の高温殺菌処理時における透明性の低下がなく、かつ、低温における耐ピンホール性を有する多層フィルムが得られる。
上記効果に優れることから、ポリプロピレン系樹脂(I)の結晶融解温度は155〜165℃であることが好ましく、結晶融解熱量は25〜35J/gであることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(I)としては、上記結晶融解温度および結晶融解熱量を満たすものであればよく、特に制限はなく、プロピレン単位の含有量が50質量%以上、好ましくは70〜100質量%のものが挙げられるが、本発明では、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのブロック共重合体(以下、「プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体」と称す場合がある。)を用いることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(I)としてのプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体としては、プロピレン以外のα−オレフィン単位の含有量が10〜30質量%、特に15〜25質量%であるものが好ましい。プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体中のα−オレフィン単位の含有量が上記下限以上であれば、優れた耐衝撃性を付与することができ、上記上限以下であれば、高温殺菌処理に耐えうる耐熱性を付与することができる。
プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体のプロピレンと共重合するα−オレフィンとしては、エチレンおよび炭素数4〜12程度のα−オレフィンから選ばれる1種又は2種が挙げられ、好ましくはエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンであり、より好ましくはエチレンである。
ポリプロピレン系樹脂(I)としてのプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体としては、プロピレン以外のα−オレフィン単位の含有量が10〜30質量%、特に15〜25質量%であるものが好ましい。プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体中のα−オレフィン単位の含有量が上記下限以上であれば、優れた耐衝撃性を付与することができ、上記上限以下であれば、高温殺菌処理に耐えうる耐熱性を付与することができる。
プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体のプロピレンと共重合するα−オレフィンとしては、エチレンおよび炭素数4〜12程度のα−オレフィンから選ばれる1種又は2種が挙げられ、好ましくはエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンであり、より好ましくはエチレンである。
プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体は、エチレン等のα−オレフィンが適度な粒径のドメインを形成しているため、マトリックスとなるポリプロピレンの融点を大きく下げることなく、低温における耐衝撃性を大幅に向上させることができる。そのため、本発明の多層フィルムの中層(Y)に、ポリプロピレン系樹脂(I)として結晶融解温度が150〜170℃で、結晶融解熱量が20〜40J/gであるプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体を用いることで、100℃以上の高温殺菌処理時における透明性の低下がなく、かつ、低温における耐ピンホール性を有する多層フィルムとして特に優れたものが得られる傾向にある。
プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体の製造方法は特に制限されないが、例えば、トリエチルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物と、チタン原子、マグネシウム原子、ハロゲン原子、およびt−ブチル−メチル−ジエトキシシラン等の有機硅素化合物等の触媒を用いて行われる。例えば、第一段の重合でプロピレン、又はプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンを供給して、前記触媒の存在下に、プロピレン単独重合体、又は、プロピレン・α−オレフィン共重合体からなる結晶性プロピレン系重合体ブロックを製造し、引き続き、第二段以降で、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンを供給して、前記触媒の存在下に、プロピレンとα−オレフィンのブロック共重合体を製造する方法を用いることができる。
プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体としては、市販品を用いることもできる。プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体の市販品としては、Lyondell Basell社製「Adflex」が挙げられる。
中層(Y)は、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体等のポリプロピレン系樹脂(I)の1種のみを含むものであってもよく、2種以上を含むものであってもよい。また、本発明の作用・効果を妨げない範囲でポリプロピレン系樹脂(I)以外の熱可塑性樹脂の1種又は2種以上を含むものであってもよい。
中層(Y)の厚さは通常10μm以上、好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上であり、上限は通常300μm以下、好ましくは250μm以下、更に好ましくは200μm以下である。中層(Y)の厚さをかかる範囲とすることで、100℃以上の高温殺菌処理時における透明性の低下がなく、かつ、低温における耐ピンホール性に優れた多層フィルムを得ることができる。
<内層(Z)>
本発明の多層フィルムは、更に、結晶融解温度が120〜140℃で、結晶融解熱量が40〜80J/gである熱可塑性樹脂(ii)を主成分として含む内層(Z)を有してもよい。この場合、外層(X)、中層(Y)、内層(Z)がこの順で積層される。
本発明の多層フィルムは、更に、結晶融解温度が120〜140℃で、結晶融解熱量が40〜80J/gである熱可塑性樹脂(ii)を主成分として含む内層(Z)を有してもよい。この場合、外層(X)、中層(Y)、内層(Z)がこの順で積層される。
本発明の多層フィルムが、結晶融解温度が120〜140℃で、結晶融解熱量が40〜80J/gである熱可塑性樹脂(ii)を主成分とする内層(Z)を有することで、ヒートシール性と耐熱性を両立させることができる。
上記効果に優れることから、熱可塑性樹脂(ii)の結晶融解温度は、122〜135℃であることが好ましく、より好ましくは125〜130℃である。また、上記効果に優れることから、熱可塑性樹脂(ii)の結晶融解熱量は、50〜75J/gであることが好ましく、より好ましくは55〜70J/gである。
上記効果に優れることから、熱可塑性樹脂(ii)の結晶融解温度は、122〜135℃であることが好ましく、より好ましくは125〜130℃である。また、上記効果に優れることから、熱可塑性樹脂(ii)の結晶融解熱量は、50〜75J/gであることが好ましく、より好ましくは55〜70J/gである。
熱可塑性樹脂(ii)としては、上記結晶融解温度および結晶融解熱量を満たすものであればよく、特に限定されないが、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンとのブロック共重合体、ランダム共重合体などのポリプロピレン系樹脂や、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリブテン−1(PB−1)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)などのポリエチレン系樹脂が挙げられる。
これらのうち、ヒートシール性、透明性、耐熱性の点から、エチレン単位含有量が1〜5質量%のプロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン−1共重合体等が好ましく、特にプロピレン・エチレンランダム共重合体が好ましい。
内層(Z)は熱可塑性樹脂(ii)の1種のみを含むものであってよく、2種以上を含むものであってもよい。例えば、熱可塑性樹脂(ii)として、非相溶である2種類以上の樹脂の混合物を用いることで、本発明の多層フィルムを成形してなる包装体に、易開封性を付与することができる。また、内層(Z)は、本発明の作用・効果を妨げない範囲で熱可塑性樹脂(ii)以外の熱可塑性樹脂の1種又は2種以上を含むものであってもよい。
内層(Z)の厚さは特に限定されないが、下限は2μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましい。また、上限は20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましい。内層(Z)の厚さをかかる範囲内とすることで、ヒートシール性と耐熱性を両立させることができる。
<その他の層>
本発明の多層フィルムは、外層(X)、中間層(Y)の少なくとも2層からなる多層フィルム或いは更に内層(Z)を有する少なくとも3層からなる多層フィルムであり、外層(X)、中層(Y)および内層(Z)以外に酸素バリア層や接着樹脂層などの他の層を有するものであってもよい。
本発明の多層フィルムは、外層(X)、中間層(Y)の少なくとも2層からなる多層フィルム或いは更に内層(Z)を有する少なくとも3層からなる多層フィルムであり、外層(X)、中層(Y)および内層(Z)以外に酸素バリア層や接着樹脂層などの他の層を有するものであってもよい。
(酸素バリア層)
例えば、外層(X)と中層(Y)との間、中層(Y)と内層(Z)との間に、酸素バリア層として、エチレン・酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂(以下、「EVOH」と略記することがある。)層、および/またはMXD−6ナイロン樹脂(以下、「MXD」と略記することがある。)層を配することで、本発明の多層フィルムの酸素ガスバリア性を向上できる。
例えば、外層(X)と中層(Y)との間、中層(Y)と内層(Z)との間に、酸素バリア層として、エチレン・酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂(以下、「EVOH」と略記することがある。)層、および/またはMXD−6ナイロン樹脂(以下、「MXD」と略記することがある。)層を配することで、本発明の多層フィルムの酸素ガスバリア性を向上できる。
この場合、EVOH層、MXD層等の酸素バリア層の厚さの下限は5μm以上が好ましく、7μm以上がより好ましく、10μm以上が更に好ましい。一方、上限は、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましい。酸素バリア層の厚さが上記下限以上であると、良好な酸素バリア性を得ることができ、また上記上限以下であるとフィルムの深絞り成形性が良好となる。
(接着樹脂層)
各層の層間剥離強度を高める目的で、本発明の多層フィルムの層間には、必要に応じて接着樹脂層を設けることができる。
各層の層間剥離強度を高める目的で、本発明の多層フィルムの層間には、必要に応じて接着樹脂層を設けることができる。
接着樹脂層は、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。
接着樹脂層を構成する接着性樹脂としては、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・メタアクリル酸共重合体、エチレン・メチルメタアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート・無水マレイン酸共重合体、エチレン系アイオノマー等のエチレン系共重合体樹脂が挙げられる。その他、変性ポリオレフィン系樹脂、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体若しくはエチレン系エラストマーに、アクリル酸若しくはメタアクリル酸などの一塩基性不飽和脂肪酸、またはマレイン酸、フマール酸若しくはイタコン酸等の二塩基性脂肪酸の無水物を化学的に結合させたものを用いることもできる。
接着樹脂層を構成する接着性樹脂としては、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・メタアクリル酸共重合体、エチレン・メチルメタアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート・無水マレイン酸共重合体、エチレン系アイオノマー等のエチレン系共重合体樹脂が挙げられる。その他、変性ポリオレフィン系樹脂、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体若しくはエチレン系エラストマーに、アクリル酸若しくはメタアクリル酸などの一塩基性不飽和脂肪酸、またはマレイン酸、フマール酸若しくはイタコン酸等の二塩基性脂肪酸の無水物を化学的に結合させたものを用いることもできる。
接着樹脂層の厚さは、作業性、経済性、取扱い性の観点から、下限は3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、8μm以上が更に好ましい。また上限は特に制限はないが、30μm以下が好ましく、25μm以下がより好ましく、20μm以下が更に好ましい。接着樹脂層の厚さが上記下限以上であれば、層間剥離強度を十分に向上させることができる。接着樹脂層が厚過ぎると透明性が低下し、また製造コストもかさむため上限は30μm以下であることが望ましい。
<その他の添加剤>
本発明の多層フィルムは、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、成形加工性、生産性、意匠性等の諸性質を改良・調整する目的で、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤などの添加剤を、必要とする層に適宜添加できる。
本発明の多層フィルムは、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、成形加工性、生産性、意匠性等の諸性質を改良・調整する目的で、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤などの添加剤を、必要とする層に適宜添加できる。
<多層フィルムの総厚さ>
本発明の多層フィルムの総厚さは、内容物の形状、大きさや重量、必要なガスバリア性能、製造から使用に至るまでの工程の点から必要とされるフィルム強度、深絞りの程度、包装形態等の用途に応じて適宜設定することができる。例えば、多層フィルムの総厚さが薄過ぎると耐ピンホール性が悪化するため、多層フィルムの総厚さは過度に薄くないことが望まれる。逆に厚過ぎると底材と蓋材を面シールしたフランジ部が硬くなり商品の箱詰め梱包が行い難くなるため、多層フィルムの総厚さは過度に厚くないことが望まれる。
これらの観点から、多層フィルムの総厚さの下限は70μm以上が好ましく、80μm以上がより好ましく、90μm以上が更に好ましい。上限は500μm以下が好ましく、450μm以下がより好ましく、400μm以下が更に好ましい。
本発明の多層フィルムの総厚さは、内容物の形状、大きさや重量、必要なガスバリア性能、製造から使用に至るまでの工程の点から必要とされるフィルム強度、深絞りの程度、包装形態等の用途に応じて適宜設定することができる。例えば、多層フィルムの総厚さが薄過ぎると耐ピンホール性が悪化するため、多層フィルムの総厚さは過度に薄くないことが望まれる。逆に厚過ぎると底材と蓋材を面シールしたフランジ部が硬くなり商品の箱詰め梱包が行い難くなるため、多層フィルムの総厚さは過度に厚くないことが望まれる。
これらの観点から、多層フィルムの総厚さの下限は70μm以上が好ましく、80μm以上がより好ましく、90μm以上が更に好ましい。上限は500μm以下が好ましく、450μm以下がより好ましく、400μm以下が更に好ましい。
<多層フィルムの製造方法>
本発明の多層フィルムは、公知の共押出法により作製することができる。共押出法としては、Tダイ法、インフレーション法が挙げられる。
本発明の多層フィルムは、公知の共押出法により作製することができる。共押出法としては、Tダイ法、インフレーション法が挙げられる。
<ラミネート複合フィルム>
本発明の多層フィルムは、他のフィルムと積層して用いることもできる。例えば、適度なコシを持たせるために延伸フィルムをラミネートしたフィルムが好適に使用できる。また、深絞り成形用の底材には、成形性の良い無延伸フィルムが好適である。また、熱成形しない蓋材用には、本発明の多層フィルムに二軸延伸ポリプロピレンフィルムや二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムをラミネートした構成が好適である。
本発明の多層フィルムは、他のフィルムと積層して用いることもできる。例えば、適度なコシを持たせるために延伸フィルムをラミネートしたフィルムが好適に使用できる。また、深絞り成形用の底材には、成形性の良い無延伸フィルムが好適である。また、熱成形しない蓋材用には、本発明の多層フィルムに二軸延伸ポリプロピレンフィルムや二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムをラミネートした構成が好適である。
<深絞り成形体>
本発明の多層フィルムは、深絞り成形性にも優れ、特に、熱成形が要求される深絞り包装体として使用することができる。本発明の多層フィルムは、特に、深絞り成形体の底材用フィルムとして好適に用いることができる。
本発明の多層フィルムは、深絞り成形性にも優れ、特に、熱成形が要求される深絞り包装体として使用することができる。本発明の多層フィルムは、特に、深絞り成形体の底材用フィルムとして好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[評価方法]
以下の実施例および比較例における物性ないし特性の評価方法は以下の通りである。
以下の実施例および比較例における物性ないし特性の評価方法は以下の通りである。
(1) 結晶融解温度・結晶融解熱量
パーキンエルマー社製の示差走査熱量計(商品名「Pyris1 DSC」)を用いて、JIS K7121に準じて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で30℃から200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから結晶融解温度と結晶融解熱量を求めた。
パーキンエルマー社製の示差走査熱量計(商品名「Pyris1 DSC」)を用いて、JIS K7121に準じて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で30℃から200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから結晶融解温度と結晶融解熱量を求めた。
(2)耐熱性
多層フィルムを121℃で30分間、レトルト処理した後、放冷した。レトルト処理前後における透明性の変化を評価するため、JIS K7105に基づいて、全光線透過率および拡散透過率を測定し、レトルト処理前後におけるヘーズを以下の式で算出した。
[ヘーズ]=[拡散透過率]/[全光線透過率]×100
レトルト処理前後におけるヘーズが共に30%以下であるものを合格とした。
多層フィルムを121℃で30分間、レトルト処理した後、放冷した。レトルト処理前後における透明性の変化を評価するため、JIS K7105に基づいて、全光線透過率および拡散透過率を測定し、レトルト処理前後におけるヘーズを以下の式で算出した。
[ヘーズ]=[拡散透過率]/[全光線透過率]×100
レトルト処理前後におけるヘーズが共に30%以下であるものを合格とした。
(3)耐衝撃性
多層フィルムをそれぞれ、縦方向100mm×横方向100mmに切断して、試験片(厚さ100μm)を作製した。
ハイドロショット高速衝撃試験器(商品名「HTM−1型」、島津製作所社製)を用いて、試験片をクランプで固定し、次いで、温度−20℃の条件で、試験片中央に直径が1/2インチの撃芯を落下速度3m/秒で落として衝撃を与えた。これにより、試験片が破壊するときのパンクチャー衝撃強度を測定した。
パンクチャー衝撃強度が0.3J以上であるものを合格とした。
多層フィルムをそれぞれ、縦方向100mm×横方向100mmに切断して、試験片(厚さ100μm)を作製した。
ハイドロショット高速衝撃試験器(商品名「HTM−1型」、島津製作所社製)を用いて、試験片をクランプで固定し、次いで、温度−20℃の条件で、試験片中央に直径が1/2インチの撃芯を落下速度3m/秒で落として衝撃を与えた。これにより、試験片が破壊するときのパンクチャー衝撃強度を測定した。
パンクチャー衝撃強度が0.3J以上であるものを合格とした。
[多層フィルムの作製]
(実施例1)
以下に示す樹脂原料を用いて、共押出法により、下記層構成の多層フィルムを作製した。
<層構成>
外層(X)−1(10μm)/中層(Y)−1(80μm)/内層(Z)−1(10μm)、総厚さ:100μm
(実施例1)
以下に示す樹脂原料を用いて、共押出法により、下記層構成の多層フィルムを作製した。
<層構成>
外層(X)−1(10μm)/中層(Y)−1(80μm)/内層(Z)−1(10μm)、総厚さ:100μm
<樹脂原料>
外層(X)−1:日本ポリプロピレン社製ノバテックPP FY4(プロピレン単独重合体、結晶融解温度:161℃、結晶融解熱量:94J/g)
中層(Y)−1:Lyondell Basell社製Adflex Q200F(プロピレン・エチレンブロック共重合体、エチレン単位含有量:17質量%、結晶融解温度:165℃、結晶融解熱量:27J/g)
内層(Z)−1:日本ポリプロピレン社製WINTEC WFX4TA(プロピレン・エチレンランダム共重合体、エチレン単位含有量:2質量%、結晶融解温度:126℃、結晶融解熱量:67J/g)
外層(X)−1:日本ポリプロピレン社製ノバテックPP FY4(プロピレン単独重合体、結晶融解温度:161℃、結晶融解熱量:94J/g)
中層(Y)−1:Lyondell Basell社製Adflex Q200F(プロピレン・エチレンブロック共重合体、エチレン単位含有量:17質量%、結晶融解温度:165℃、結晶融解熱量:27J/g)
内層(Z)−1:日本ポリプロピレン社製WINTEC WFX4TA(プロピレン・エチレンランダム共重合体、エチレン単位含有量:2質量%、結晶融解温度:126℃、結晶融解熱量:67J/g)
得られたポリアミド系樹脂について、耐熱性、および耐衝撃性の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、中層(Y)−1の代わりに、中層(Y)−2として、Adflex Q200Fと三井化学社製タフマーA4085S(エチレン・ブテン−1ランダム共重合体、エチレン単位含有量:83質量%、ブテン−1単位含有量:17質量%、結晶融解温度:70℃、結晶融解熱量:44J/g)を、70:30の質量分率で混合したものを用いた以外は同様にして多層フィルムを作製した。得られた多層フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、中層(Y)−1の代わりに、中層(Y)−2として、Adflex Q200Fと三井化学社製タフマーA4085S(エチレン・ブテン−1ランダム共重合体、エチレン単位含有量:83質量%、ブテン−1単位含有量:17質量%、結晶融解温度:70℃、結晶融解熱量:44J/g)を、70:30の質量分率で混合したものを用いた以外は同様にして多層フィルムを作製した。得られた多層フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、中層(Y)−1の代わりに、日本ポリプロピレン社製ノバテックPP EC9GD(衝撃改良ポリプロピレン、結晶融解温度:166℃、結晶融解熱量:76J/g)を用いた以外は同様にして多層フィルムを作製した。得られた多層フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、中層(Y)−1の代わりに、日本ポリプロピレン社製ノバテックPP EC9GD(衝撃改良ポリプロピレン、結晶融解温度:166℃、結晶融解熱量:76J/g)を用いた以外は同様にして多層フィルムを作製した。得られた多層フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、中層(Y)−1の代わりに、プライムポリマー社製プライムポリプロ F−724NPC(プロプレン・エチレンランダム共重合体、エチレン単位含有量:2質量%、結晶融解温度:150℃、結晶融解熱量:78J/g)を用いた以外は同様にして多層フィルムを作製した。得られた多層フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、中層(Y)−1の代わりに、プライムポリマー社製プライムポリプロ F−724NPC(プロプレン・エチレンランダム共重合体、エチレン単位含有量:2質量%、結晶融解温度:150℃、結晶融解熱量:78J/g)を用いた以外は同様にして多層フィルムを作製した。得られた多層フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1において、中層(Y)−1の代わりに、宇部丸善ポリエチレン社製ユメリット4040FC(直鎖状低密度ポリエチレン、結晶融解温度:126℃、結晶融解熱量:158J/g)を用いた以外は同様にして多層フィルムを作製した。得られた多層フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、中層(Y)−1の代わりに、宇部丸善ポリエチレン社製ユメリット4040FC(直鎖状低密度ポリエチレン、結晶融解温度:126℃、結晶融解熱量:158J/g)を用いた以外は同様にして多層フィルムを作製した。得られた多層フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1において、中層(Y)−1の代わりに、プライムポリマー社製プライムポリプロ F−724NPCと、三井化学社製タフマーA4085Sを70:30の質量分率で混合したものを用いた以外は同様にして多層フィルムを作製した。得られた多層フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、中層(Y)−1の代わりに、プライムポリマー社製プライムポリプロ F−724NPCと、三井化学社製タフマーA4085Sを70:30の質量分率で混合したものを用いた以外は同様にして多層フィルムを作製した。得られた多層フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例5)
実施例1において、中層(Y)−1の代わりに、日本ポリプロピレン社製WELNEX RFX4V(プロピレン・エチレン・ヘキセン−1ブロック共重合体、エチレン単位含有量:22質量%、ヘキセン−1単位含有量:4質量%、結晶融解温度:128℃、結晶融解熱量:46J/g)を用いた以外は同様にして多層フィルムを作製した。得られた多層フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、中層(Y)−1の代わりに、日本ポリプロピレン社製WELNEX RFX4V(プロピレン・エチレン・ヘキセン−1ブロック共重合体、エチレン単位含有量:22質量%、ヘキセン−1単位含有量:4質量%、結晶融解温度:128℃、結晶融解熱量:46J/g)を用いた以外は同様にして多層フィルムを作製した。得られた多層フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
表1より次のことが分かる。
中層(Y)の主成分樹脂として、結晶融解温度が150〜170℃で、結晶融解熱量が20〜40J/gのポリプロピレン系樹脂(I)を用いた実施例1,2の多層フィルムは、121℃のレトルト処理前後の透明性に優れ、100℃以上の高温殺菌処理時における透明性の低下の問題がなく、また、−20℃でのパンクチャー衝撃強度が高く、低温における耐ピンホール性にも優れることが分かる。
これに対して、中層(Y)の主成分樹脂の結晶融解温度および/又は結晶融解熱量が本発明の規定から外れる比較例1〜5では、100℃以上の高温殺菌処理時における透明性、低温における耐ピンホール性のいずれか一方又は双方に問題がある。
中層(Y)の主成分樹脂として、結晶融解温度が150〜170℃で、結晶融解熱量が20〜40J/gのポリプロピレン系樹脂(I)を用いた実施例1,2の多層フィルムは、121℃のレトルト処理前後の透明性に優れ、100℃以上の高温殺菌処理時における透明性の低下の問題がなく、また、−20℃でのパンクチャー衝撃強度が高く、低温における耐ピンホール性にも優れることが分かる。
これに対して、中層(Y)の主成分樹脂の結晶融解温度および/又は結晶融解熱量が本発明の規定から外れる比較例1〜5では、100℃以上の高温殺菌処理時における透明性、低温における耐ピンホール性のいずれか一方又は双方に問題がある。
Claims (5)
- 結晶融解温度が150℃以上で、結晶融解熱量が60J/g以上である熱可塑性樹脂(i)を主成分として含む層(X)、および、結晶融解温度が150〜170℃で、結晶融解熱量が20〜40J/gであるポリプロピレン系樹脂(I)を主成分として含む層(Y)の、少なくとも2層を含む多層フィルム。
- 更に、結晶融解温度が120〜140℃で、結晶融解熱量が40〜80J/gである熱可塑性樹脂(ii)を主成分として含む層(Z)を有し、層(X)、層(Y)、層(Z)の順で積層されてなる、請求項1に記載の多層フィルム。
- 前記熱可塑性樹脂(i)がポリアミド系樹脂および/またはポリプロピレン系樹脂である、請求項1または請求項2に記載の多層フィルム。
- 前記ポリプロピレン系樹脂(I)が、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのブロック共重合体である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の多層フィルム
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の多層フィルムを、前記層(X)を外層、前記層(Z)を内層として成形してなる深絞り包装体。
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JP2020028477A JP2021133504A (ja) | 2020-02-21 | 2020-02-21 | 多層フィルムおよび深絞り包装体 |
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US20210380789A1 (en) * | 2018-10-23 | 2021-12-09 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Propylene resin composition and shaped body comprising same |
-
2020
- 2020-02-21 JP JP2020028477A patent/JP2021133504A/ja active Pending
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US20210380789A1 (en) * | 2018-10-23 | 2021-12-09 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Propylene resin composition and shaped body comprising same |
US11753535B2 (en) * | 2018-10-23 | 2023-09-12 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Propylene resin composition and shaped body comprising same |
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