JP5549141B2 - 多層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ヒートシール性を有する多層フィルムおよびそれを用いた包装体に関する。
食品や医薬品等の包装においては、様々な要求性能を満足するために複合化された多層フィルムが多く用いられている。例えば、多層フィルムを真空成形あるいは圧空成形により内容物に適した形に成形したもの(以下、底材と記載する。)と未成形フィルム(以下、蓋材と記載する。)とからなる包装体の場合、底材側には成形性に優れる未延伸フィルムを多層化したものが使用されることが多い。一方、蓋材側には一般に印刷が施されるため、少なくとも1層に印刷適性に優れる延伸フィルムを含む多層フィルムが広く用いられている。内容物が重量物等である包装体の中には、JISの分類ではシートの区分に属する厚み範囲のものもある。
これら包装体に用いられるフィルムへの要求性能としては、ガスバリアー性や耐ピンホール性等が挙げられる。前者は、内容物が酸素ガスにより変質することを防ぐために必要であり、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(以下、EVOH樹脂と記載する。)及びジアミン単位の90モル%以上がメタキシリレンジアミン単位であるポリアミド樹脂(ポリメタキシレンアジパミド、MXD−6ナイロン)等が好適に用いられる。一方、後者は、流通過程において振動や落下等で製品に与えられる外部応力によってピンホールが発生することを防ぐために必要であり、各種延伸フィルムやポリアミド樹脂を含む多層フィルムが好適に用いられる。(例えば、特許文献1参照。)
これら内容物保護に関する機能以外にも、内容物に対する認識、区別を可能にする透明性、包装体の見栄えが良いこと等、内容物に適した性能が要求されるが、包装コストが安いこと、および包装体の生産性が高いことも重要である。そのため近年では、従来よりも包装体の生産速度を上げて製造したり広い幅で製造することで、単位時間当たりの生産数を増やす製造方法がとられる場合が増加している。また、廃棄物の削減や包装コストを下げるために包装資材の減容化、すなわち、蓋材および底材の薄肉化が進んでいる。
また、包装体に要求される性能の1つに易開封性(イージーピール性)がある。食品用途に用いられる包装材は内容物の保存性を高めるために密封性が求められると同時に、内容物を取り出す際には容易に開封できる特性を有することが望まれる。
イージーピール性は、シール時の温度や圧力だけでなく底材と蓋材の接着層に用いられる原料の組み合わせにより変化するため、最適なシール強度が得られる原料選定や配合が検討されている。(例えば、特許文献2及び3参照。)
特許第2073396号公報
特開2008−254251号公報
特開2003−73509号公報
本発明の目的は、底材と蓋材とをヒートシールして用いられる包装体において、前記底材または蓋材のいずれにも使用することができる多層フィルムであり、好適なヒートシール性を有し、常温雰囲気下でのヒートシール部の易開封性に優れ、さらに開封時の剥離状態が安定した多層フィルムを提供することにある。
本発明に係る多層フィルムは、ポリエチレン系樹脂を含有する基材層および、ポリエチレン系樹脂とエチレン−プロピレン共重合体樹脂とを含有するヒートシール層とを含む多層フィルムであって、前記基材層に含有されるポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)[測定方法:JIS K7210、測定温度190℃、荷重2.16kg]が3g/10min以上10g/10min以下であることを特徴とする。
本発明に係る多層フィルムは、前記ヒートシール層に含有されるポリエチレン系樹脂とエチレン−プロピレン共重合体樹脂の重量比率(ポリエチレン系樹脂/エチレン−プロピレン共重合体)が20/80〜80/20とすることができる。
本発明に係る多層フィルムは、前記基材層と前記ヒートシール層とが隣接するものとすることができる。
本発明に係る包装体は、蓋材と底材とをヒートシールして得られる包装体であって、前記蓋材または底材の少なくとも一方が前記多層フィルムを含むものである。
本発明によれば、幅方向でのシール強度のばらつきおよびシール強度の低下を抑制できる多層フィルムを提供することが可能となる。
本発明に係る多層フィルムの一例を示す断面図である。 本発明に係る多層フィルムの一例を示す断面図である。 本発明に係る多層フィルムの一例を示す断面図である。 シール強度試験に用いる試験用蓋材多層フィルムを示す断面図である。 本発明に係る多層フィルムと試験用蓋材多層フィルムとを貼りあわせた多層フィルムの一例を示す断面図である。
以下、多層フィルムについて図面を用いて説明する。
例えば、図1に示すように多層フィルム31は少なくとも基材層1とヒートシール層2とが積層されてなる。また、図2および図3に示した多層フィルム32、33のようにフィルムに様々な機能を付与するために、基材層のヒートシール層が設けられた面と反対側にはその他の層が設けられてもよい。
以下、各層について説明する。
(基材層)
本発明に係る多層フィルムの基材層1には、ポリエチレン系樹脂が使用される。ポリエチレン樹脂を使用することで包装体の屈曲によるピンホール発生を抑制することが可能となる。本発明のようにヒートシール層2にポリエチレン系樹脂とエチレン−プロピレン共重合体樹脂を使用する場合、基材層1に用いる樹脂のMFRは、3g/10min以上10g/10min以下であることが好ましい。前記範囲下限値以上とすることにより、ヒートシール層2内の樹脂の分散性低下によるシール強度のばらつき、およびシール強度の低下を抑えることができる。また、前記範囲上限値以下とすることにより、押出製膜性を安定させることができる。なお、本発明において基材層に用いられるポリエチレン系樹脂のMFRはJIS K7210に準拠し、樹脂温度190℃、加重2.16kgにて測定をおこなった。
基材層1に好適に用いられるポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン樹脂(以下、LDPE樹脂と記載する)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(以下、LLDPE樹脂と記載する)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE樹脂)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE樹脂)等のポリオレフィン樹脂及びエチレン共重合体であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA樹脂)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(EMMA樹脂)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA樹脂)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA樹脂)、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH樹脂)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA樹脂)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA樹脂)、アイオノマー(以下、ION樹脂と記載する。)等が挙げられ、単体あるいは2種類以上を含んでいても良い。特に、LLDPE樹脂、ION樹脂を用いることで、耐ピンホール性をより良好にすることができる。ここで言うLLDPE樹脂とは、メタロセン触媒にて製造されたメタロセン直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(mLLDPE樹脂)も含むものである。また、ION樹脂の分子鎖間を架橋する金属陽イオンとしてはNa+、Zn+等があるがいずれのタイプでも良い。さらには、ヒートシール層に隣接するようにポリオレフィン系樹脂層を設けることで、ヒートシール層にイージーピール機能を付与した際のピール強度をより均一にすることができる。
基材層1の厚みは、30μm以上100μm以下であることが好ましい。前記範囲下限値以上とすることにより屈曲によるピンホールの発生の抑制することができ、前記範囲上限値以下とすることにより打ち抜き性が好適なものとなる。
(ヒートシール層)
本発明に係る多層フィルムのヒートシール層2には、 ポリエチレン系樹脂とエチレン−プロピレン共重合体樹脂を併用することが好ましい。このような樹脂混合物を用いることで凝集剥離タイプのイージーピール機能を付与し、さらに狭雑物存在下のシール安定性、ホットタック性に優れたものを得ることができる。なお、イージーピール機能とは、流通時や保管時には内容物の密封性を保持しているが、開封時には手の力で容易に開けられるといった機能である。イージーピール機能としては、ヒートシール層と相手材の界面から剥がれる界面剥離タイプ、ヒートシール層あるいは相手材の最外層の層間で剥がれる層間剥離タイプおよびヒートシール層が凝集破壊することで剥がれる凝集剥離タイプがある。
前記ヒートシール層2に含有されるポリエチレン系樹脂とエチレン−プロピレン共重合体樹脂の重量比率(ポリエチレン系樹脂/エチレン−プロピレン共重合体樹脂)は20/80〜80/20であることが好ましい。前記重量比率(ポリエチレン系樹脂/エチレン−プロピレン共重合体樹脂)において、ポリエチレン系樹脂の重量比率を前記範囲下限値以上とすることにより好適なイージーピール性を得ることができる。またポリエチレン系樹脂の重量比率を前記範囲上限値以下とすることによりシール強度のばらつきが抑制される。ここで用いられるエチレン−プロピレン共重合体樹脂としては、プロピレン−エチレンのランダムコポリマーあるいはプロピレン−エチレンのブロックコポリマーいずれのタイプであっても良い。
ヒートシール層2の厚みは、5μm以上30μm以下であることが好ましい。前記範囲下限値以上とすることにより安定したシール性が得られ、また前記範囲上限値以下とすることにより好適な透明性を維持することができる。
(中間層)
以下のように、本発明に係る多層フィルムには様々な機能を付与するために、基材層のヒートシール層2が設けられた面と反対側に中間層3を設けることができる。具体的には、以下の理由によりEVOH樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂などから選ばれる少なくとも1種類以上の樹脂を用いることが好ましい。
前記EVOH樹脂を中間層3として使用することで、多層フィルムに酸素バリアー性を付与することが可能となる。EVOH樹脂以外にも酸素バリアー性を付与する目的でポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、及びジアミン成分に芳香環を有するポリアミド樹脂等を含有することができるが、多層フィルムの製膜性やフィルム剛性の点でEVOH樹脂を用いることが好ましい。中でもエチレン共重合比率が24〜44モル%のEVOH樹脂が好適に用いられる。EVOH樹脂のエチレン共重合比率が24モル%未満では、容器形状への加工性に劣ったり、加熱水や蒸気の影響より酸素バリア性の低下を起こしやすくなる。一方、エチレン共重合比率が44モル%を超えると、乾燥状況下における酸素バリア性が充分でなく、内容物の変質が起こり易くなる。
このような中間層3にEVOH樹脂を用いた層の厚さは、特に限定されないが、5μm以上40μm以下が好ましく、特に5μm以上20μm以下が好ましい。該EVOH樹脂を用いた層の厚みを前記下限値以上とすることにより十分な酸素バリア性を得ることができ、前記上限値以下とすることにより深絞りによる成形が容易なものとなる。
前記ポリアミド樹脂を中間層3として使用することで、多層フィルムの耐ピンホール性や包装体のカールを抑制する効果を得ることが可能となる。前記ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリカプラミド(ナイロン−6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン−7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン−9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン−2、6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン−4、6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−6、6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−6、10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン−6、12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン−8、6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン−10、8)や、共重合樹脂であるカプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン−6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−6/6、6)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−12/6、6)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−2、6/6、6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6、6/6、10)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6/6、6/6、10)等といった結晶性ポリアミドや、その主骨格がヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸及び/又はイソフタル酸が重合したもの、具体的には、ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸の重合体、ヘキサメチレンジアミン−テレフタル酸の重合体、ヘキサメチレンジアミン−テレフタル酸−ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸の共重合体等といった非晶性のポリアミド樹脂を用いることができる。これらは、単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。なお、これらの中でも耐突刺性と耐熱性の観点からは、ポリカプラミド(ナイロン−6)を用いることが好ましい。
このような中間層3にポリアミド系樹脂を用いた場合の中間層3の厚さは、特に限定されないが、10μm以上40μm以下であることが好ましく、特に10μm以上25μm以下であることが好ましい。該ポリアミド系樹脂を用いた層の厚みが前記下限値以上であると、好適な耐ピンホールを示し、前記上限値以下とすることにより、深絞り成形性が好適なものとなる。
前記ポリオレフィン系樹脂を中間層3として使用することで、柔軟性あるいは成形性等を上げ、包装体の屈曲によるピンホール発生を抑制することが可能となる。
このようなポリオレフィン系樹脂を用いた中間層3の厚さは、特に限定されないが、20μm以上100μm以下であることが好ましい。前記下限値以上とすることにより、柔軟性向上によるピンホールの発生抑制効果を十分に得ることができ、また前記上限値以下とすることにより打ち抜き性が好適なものとなる。
更に多層フィルムの中間層3がポリアミド系樹脂を含む層とポリオレフィン系樹脂を含む層の両方を有することにより、ポリアミド系樹脂を含む層が硬いものや鋭利なものによる接触に対するピンホール発生を抑制し、ポリオレフィン系樹脂を含む層が屈曲によるピンホール発生を抑制するので、両層が補完し合い、振動や落下により与えられる外部応力からピンホール発生をより抑制することができる。
(外層)
本発明に係る多層フィルムには、包装体の見栄えや手にしたときの質感を向上させるために、外層4を設けることができる。
また、外層4を設けることで底材と蓋材をシールした際にフランジ部に発生するカールを抑制することができる。外層4として好適に用いられる樹脂はポリエステル系樹脂である。これにより、ポリエステル系樹脂は剛性が高いことに加え、フィルムにした際の透明性や表面光沢度が良いことから、包装体の見栄えや質感を優れたものにすることができる。
前記ポリエステル系樹脂は、酸成分としてテレフタル酸等の2価の酸またはエステル形成能を持つそれらの誘導体を用い、グリコール成分として炭素数2〜10のグリコール、その他の2価のアルコールまたはエステル形成能を有するそれらの誘導体等を用いて得られる飽和ポリエステル樹脂をいう。前記ポリエステル系樹脂として、具体的にはポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂等のポリアルキレンテレフタレート樹脂が挙げられる。これにより、特に包装体の見栄えや質感を向上することができる。
前記共重合可能な酸成分としては、例えば2価以上の炭素数8〜22の芳香族カルボン酸、2価以上の炭素数4〜12の脂肪族カルボン酸、さらには、2価以上の炭素数8〜15の脂環式カルボン酸、及びエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。前記共重合可能な酸成分の具体例としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボジフェニル)メタンアントラセンジカルボン酸、4−4’−ジフェニルカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。
前記共重合可能なアルコール及び/またはフェノール成分としては、例えば2価以上の炭素数2〜15の脂肪族アルコール、2価以上の炭素数6〜20の脂環式アルコール、炭素数6〜40の2価以上の芳香族アルコールまたは、フェノール及びエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。前記共重合可能なアルコール及び/またはフェノール成分の具体例としては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ハイドロキノン、グリセリン、ペンタエリスリトール、などの化合物、及びエステル形成能を有するこれらの誘導体、ε−カプロラクトン等の環状エステルが挙げられる。
前記共重合可能なポリアルキレングリコール成分としては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及び、これらのランダムまたはブロック共重合体、ビスフェノール化合物のアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及びこれらのランダムまたはブロック共重合体等)付加物等の変性ポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。
このようなポリエステル系共重合体樹脂の中でも、降温過程における結晶化温度が185℃以下である結晶性ポリエステル系樹脂が多層フィルムの製膜性の点で好ましい。ここで言う降温過程における結晶化温度とは、試料を約5mg秤量し、それを示差走査熱量測定装置にセットし、昇温速度5℃/分で上限温度を350℃に設定して昇温した後、降温速度5℃/分で25℃まで冷却した際に現われたピークの内、最大ピークが現われた温度のことである。降温過程における結晶化温度が185℃より大きいものは、ポリエステル系樹脂の結晶化速度が速く、多層フィルムを共押出法で製膜する際に、ポリエステル系樹脂層の結晶化が起こりやすく、推奨生産条件幅が狭いといった問題点があるだけでなく、条件によっては多層フィルムの透明性が損なわれる場合がある。
前記降温過程における結晶化温度が185℃以下であるポリエステル系樹脂としては、酸成分としてテレフタル酸を用い、グリコール成分としてエチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールを用いて得られる飽和ポリエステル樹脂があり、前記グリコール成分におけるシクロヘキサンジメタノールの含有量が3〜10モル%であるポリエステル樹脂が具体的な例として挙げられる。このポリエステル樹脂は透明性に優れるため、外層として用いることにより外観の良いフィルムを作製することができる。
このような外層4の厚さは、特に限定されないが、10μm以上50μm以下であることが好ましく、特に20μm以上30μmμm以下であることが好ましい。厚さが前記範囲内であると、比較的安価で、外観がより優れたフィルムを得ることができ、包装体のカールの抑制効果も高くなる。
(多層フィルム)
図2および図3で例示したような多層フィルム32、33は、基材層1、ヒートシール層2、中間層3および外層4を別々に製造してからラミネーター等により接合して得ても良いが、例えば空冷式または水冷式共押出インフレーション法、共押出Tダイ法を用いて、基材層1と、ヒートシール層2と、中間層3と、外層4を製膜する方法で得る方が好ましい。中でも、共押出Tダイ法で製膜する方法が厚さ制御に優れる点で特に好ましい。また、基材層1と、ヒートシール層2と、中間層3と、外層4はそのまま接合しても良いし、接着層を介して接合しても良い。
前記多層フィルムの層数は少なくとも基材層1とヒートシール層2とを含む2層以上で、かつヒートシール層が多層フィルムの最外部の層となるように配置されていればその他の層の順番に制限はない。
本発明の多層フィルムにおける各層については、酸化防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、樹脂改質剤、染料及び顔料等着色剤、安定剤等の添加剤、フッ素樹脂、シリコンゴム等の耐衝撃性付与剤、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク等の無機充填剤を含有しても良い。また、各樹脂層の間には必要に応じて接着樹脂層を設けることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
1.多層フィルムの作製
図1に示すように、基材層1を構成する樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(以下LLDPE樹脂、品番ウルトゼックス1030L、(株)プライムポリマー製、MFR=3.6)と、ヒートシール層2を構成する樹脂としてポリオレフィン系樹脂1〔エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(品番P1205、三井・デュポンポリケミカル(株)製)60重量部に対し、ポリプロピレン樹脂(品番S122、住友化学(株)製)を40重量部含有した樹脂〕を共押出し、多層フィルム31を作製した。得られた多層フィルムの各層の厚さは、基材層1が100μm及びヒートシール層2が10μmであった。得られた多層フィルムを試験用底材フィルムとした。
(実施例2)
基材層1を構成するLLDPE樹脂として、下記のものを用いた以外は実施例1と同様にして試験用底材フィルムを作製した。基材層1:LLDPE樹脂(品番ユメリット1540F、宇部丸善ポリエチレン(株)製、MFR=4)を用いた。
(実施例3)
基材層1を構成するLLDPE樹脂として、下記のものを用いた以外は実施例1と同様にして試験用底材フィルムを作製した。基材層1:LLDPE樹脂(品番ウルトゼックス4050、(株)プライムポリマー製、MFR=6)を用いた。
(比較例1)
基材層1を構成するLLDPE樹脂として、下記のものを用いた以外は実施例1と同様にして試験用底材フィルムを作製した。基材層1:LLDPE樹脂(品番スミカセンL211、住友化学工業(株)製、MFR=2)を用いた。得られた多層フィルムの各層の厚さは、基材層1が80μm及びヒートシール層2が10μmであった。
(比較例2)
基材層1を構成するLLDPE樹脂として、下記のものを用いた以外は比較例1と同様にして試験用底材フィルムを作製した。基材層1:LLDPE樹脂(品番ウルトゼックス2022L、(株)プライムポリマー製、MFR=2)を用いた。
前記実施例および比較例の基材層を構成するポリエチレン樹脂のMFRは、以下の方法により測定を行った。
測定方法:JIS K7210
測定条件:樹脂温度190℃
荷重 :2.16kg
測定装置:東洋精機製作所製 SEMI AUTO MELT INDEXER 2A
2.試験用蓋材フィルムの作製
図4に示した多層フィルム41のように、2軸延伸ポリプロピレンフィルム5(OPPフィルム、厚さ30μm)とアルミ蒸着を施した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム6(VM−PETフィルム、厚さ12μm)及びLLDPE樹脂(品番ウルトゼックス2022L、(株)プライムポリマー製)をTダイ押出法にて製膜したLLDPEフィルム7(30μm)をドライラミネート法により貼り合せた多層のフィルムをシール強度測定試験に用いる試験用蓋材フィルムとした。
3.多層フィルムのシール強度の測定
ヒートシール強度の測定は、実施例1〜3および比較例1〜2で得られた試験用底材フィルムと前記試験用蓋材フィルムとをオートカップシーラーを用いて、温度140℃、シールゲージ圧2.0MPa、融着時間2秒、シール幅1cmの条件下でヒートシールした後、放冷し、図5に示すような多層フィルム51を作製した。尚、加熱は試験用蓋材フィルム側のみとした。自然冷却した試験片を15mm幅にカットし、テンシロン万能試験機を用いて、MD方向に500mm/分の引張速度で剥離し、シール強度を測定した。各符号は、以下の通りである。なお、評価は試験用底材フィルムの幅方向15cm毎に各n=3で行った。
○:シール強度の最大値と最小値の差が100g/15mm未満であった。
×:シール強度の最大値と最小値の差が100g/15mm以上であった。
4.剥離面の状態観察
実施例1〜3および比較例1〜2で得られた試験用底材フィルムと試験用蓋材フィルムとをオートカップシーラーを用いて、温度140℃、シールゲージ圧2.0MPa、融着時間2秒でヒートシールした後、放冷した。尚、加熱は蓋材側のみとした。作製した試験片を剥離し、剥離面の観察を行った。各符号は、以下の通りである。
○:毛羽、糸引きの発生なし。
×:毛羽、糸引きの発生あり。
5.多層フィルムの曇度の測定
ASTM−D1003に準じ、ヒートシール強度が最低値を示した箇所における底材用フィルムの曇度を測定した。各符号は、以下の通りである。なお、評価はn=5で行った。
○:曇度の値が18%以上であった。
△:曇度の値が13%以上、18%未満であった。
×:曇度の値が13%未満であった。
評価試験の結果を表1に示す。
実施例1〜3のような多層フィルムを用いて包装体を製造することにより安定したシール強度を得ることができ、包装体の搬送時には内容物の保存性を維持し、かつ開封時には良好な易剥離性を確保することができた。
本発明の多層フィルムは、その多層フィルムを成形した後、中身を充填し、蓋材によりシールされる包装体に使用することで、安定したシール強度を有する包装体を得ることができる。
1・・・基材層
2・・・ヒートシール層
3・・・中間層
4・・・外層
5・・・2軸延伸ポリプロピレンフィルム
6・・・2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
7・・・LLDPEフィルム
31・・・本発明に係る多層フィルムの一例
32・・・本発明に係る多層フィルムの一例
33・・・本発明に係る多層フィルムの一例
41・・・試験用蓋材フィルム
51・・・試験用底材フィルムと試験用蓋材フィルムとを貼りあわせた多層フィルムの一例

Claims (4)

  1. ポリエチレン系樹脂(但し、高密度ポリエチレン樹脂を除く)を含有する基材層および、ポリエチレン系樹脂(但し、高密度ポリエチレン樹脂を除く)とエチレン−プロピレン共重合体樹脂とを含有するヒートシール層とを含む包装体の底材用多層フィルムであって、
    前記基材層に含有されるポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR) [測定方法: JIS K7210、測定温度190℃、荷重2.16kg]が3g/10min以上10g/10min以下であることを特徴とする包装体の底材用多層フィルム。
  2. 前記ヒートシール層に含有されるポリエチレン系樹脂とエチレン−プロピレン共重合体樹脂の重量比率(ポリエチレン系樹脂/エチレン−プロピレン共重合体樹脂)が20/80〜80/20である請求項1 記載の包装体の底材用多層フィルム。
  3. 前記基材層と前記ヒートシール層とが隣接するものである請求項1または2記載の包装 体の底材用多層フィルム。
  4. 蓋材と底材とをヒートシールして得られる包装体であって、前記底材が請求項1乃至3のいずれか1項に記載の包装体の底材用多層フィルムを含むものである包装体。


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