JP2021032584A - 電子線マイクロアナライザ - Google Patents
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Abstract
【課題】精度の高い定性定量分析を行なうことができるEPMAを提供する。【解決手段】電子線の照射により試料外へ散逸しやすい元素が入力部13から選択される(S10)。また、定性定量分析の結果から微量元素として特定する微量範囲が入力部13から選定される(S20)。そして、データ処理部11は、定性定量分析の実行前に、S10で選択された元素について先行測定元素測定処理を実行し(S30)、その後、定性定量分析処理を実行する(S40)。次いで、データ処理部11は、定性定量分析の結果から、S20で設定された微量範囲に含まれる微量元素を特定し、特定された微量元素について微量元素測定処理を実行する(S50)。【選択図】図3
Description
本発明は、波長分散型の分光器を備えた電子線マイクロアナライザに関する。
波長分散型の分光器(WDS:Wavelength Dispersive Spectrometer)を用いて試料表面の組成分析を行なう分析装置として、電子線マイクロアナライザ(電子プローブマイクロアナライザとも称され、以下では「EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)」と称する。)が知られている。EPMAでは、細く絞った電子線が試料に照射され、それによって試料の含有元素の内殻電子が遷移する際に放出される特性X線のエネルギー(波長)及び強度を分析することで、試料表面における微小領域の元素分析を行なうことができる。なお、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)にWDSを備えた装置も、試料表面の組成分析手法としては原理的に同じであり、本開示のEPMAは、SEMにWDSを備えた装置も含むものとする。
特開2010−190810号公報(特許文献1)には、EPMAにおいて、試料中に含まれる元素の定性分析又は定量分析を行なうことが記載されている。なお、定性分析とは、概略的には、WDSを分光可能範囲で走査(スキャン)して特性X線のスペクトルを測定し、試料中の含有元素を同定するものである。また、定量分析とは、概略的には、特定の元素について、標準試料及び未知試料の各々において当該元素の特性X線のピークプロファイルを取得してピーク強度を求め、両者の強度比から当該元素の濃度を測定するものである。
定性分析において検出されるX線スペクトルのピークの強度から、予め準備された標準感度データを参照して、定性分析で同定された元素の定量値(含有量)を簡易的に算出することができる。このように、定性分析を実行するとともに、定性分析で同定される元素の定量値も取得する分析を、以下では、上記の定性分析及び定量分析と区別して「定性定量分析」と称する。
定性定量分析では、分光器により分光される波長(以下「分光波長」と称する。)の走査可能範囲(以下「分光可能範囲」と称する。)において、分光波長を所定間隔刻みで変化させながら所定時間ずつ特性X線を計測して記録する必要がある。このため、測定条件として、たとえば、分光可能範囲を4000ステップに分割し、1ステップ当たりの検出器の計数時間(上記所定時間)を0.09秒とすることで、分光可能範囲の走査を360秒で完了させる。
特定の元素について、当該元素の分析に用いる限定的な範囲で分光波長の走査及び特性X線の測定を行なえば足りる定量分析に比べて、定性定量分析では、分光波長の走査範囲が全域に亘るため、走査1ステップ当たりの計数時間が短い。1ステップ当たりの計数時間が短いと、微量元素を検出できなくなるため、定性定量分析では、微量元素も検出可能とするために、試料に照射する電子線のビーム電流を定量分析よりも大きくしている。
しかしながら、ビーム電流を大きくすると、電子線のエネルギーが大きくなることにより試料がダメージを受け、試料の組成が変化する可能性がある。特に、アルカリ金属及びハロゲン元素は、エネルギーの大きい電子線の照射によって試料外へ散逸しやすい。そのため、分光波長の走査がこれらの元素の波長に差し掛かったときには、これらの元素が既に散逸してしまっており、測定される強度が本来よりも低く出る可能性がある。その結果、定量値が本来よりも低く算出されたり、ピーク自体が検出されなかったりする等、正確な分析ができない可能性がある。このような影響を避けるために、電子線のビーム電流を下げたりビーム径を広げたりすることを行ない得るが、その場合は、それぞれ微量元素の検出及び微小領域の分析ができなくなるといった問題が生じる。
また、エネルギー分散型の分光器(EDS:Energy Dispersive Spectrometer)を備えた分析装置(たとえば、SEMにEDSを備えた装置)では、検出器において複数の特性X線が同時に検出されるため、電子線のビーム電流(エネルギー)を大きくすると、検出器の計数値(検出値)が飽和し得るところ、WDSを備えた分析装置では、そのような懸念はない。そのため、EPMAでは、電子線のビーム電流を大きくする程、大きな計数値(検出値)を得ることができ、感度の高い分析が可能となる。しかしながら、定量定性分析においては、上記のようにビーム電流の増大に制約があるため、微量元素について検出や正確な測定ができない可能性がある。
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、精度の高い定性定量分析を行なうことができるEPMAを提供することである。
本発明の第1の態様に係る電子線マイクロアナライザ(EPMA)は、電子線が照射された試料から発生する特性X線を検出するように構成された波長分散型の分光器(WDS)と、分光器により検出される特性X線に基づいて、定性分析を実行するとともに定性分析により同定される元素の定量値を取得する第1の処理(定性定量分析処理)を実行するように構成された処理装置とを備える。処理装置は、第1の処理の実行前に、予め選択された元素について、当該元素の分析に用いる特性X線のピーク強度を取得する第2の処理(先行測定元素測定処理)を実行するように構成される。そして、処理装置は、上記の選択された元素については、第2の処理の測定結果を用いて当該元素の分析を実行するように構成される。
このEPMAによれば、第1の処理の実行前に第2の処理が実行されるので、予め選択された元素については、第1の処理において電子線の照射を長時間受けることにより試料外へ散逸する可能性のある元素であっても、第2の処理の測定結果を用いて当該元素の分析を実行することができる。その他の元素については、第1の処理により、定性分析が実行されるとともに、定性分析により同定される元素の定量値を取得することができる。
また、本発明の第2の態様に係る電子線マイクロアナライザ(EPMA)は、電子線が照射された試料から発生する特性X線を検出するように構成された波長分散型の分光器(WDS)と、分光器により検出される特性X線に基づいて、定性分析を実行するとともに定性分析により同定される元素の定量値を取得する第1の処理(定性定量分析処理)を実行するように構成された処理装置とを備える。処理装置は、第1の処理において取得された定量値が所定の微量範囲に含まれる元素を特定し、その特定された元素について、当該元素の分析に用いる特性X線のピーク強度を取得する第3の処理(微量元素測定処理)を実行するように構成される。そして、処理装置は、上記の特定された元素については、第3の処理の測定結果を用いて当該元素の分析を実行するように構成される。
このEPMAによれば、第1の処理の結果から、定量値が微量範囲に含まれる元素が特定され、その特定された元素については、第3の処理の測定結果を用いて当該元素の分析を実行することができる。その他の元素については、第1の処理により、定性分析が実行されるとともに、定性分析により同定される元素の定量値を取得することができる。
上記のEPMAによれば、精度の高い定性定量分析を行なうことができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<装置構成>
図1は、本発明の実施の形態に従うEPMAの全体構成例を示す図である。なお、本開示のEPMAは、SEMにWDSを備えた装置も含む。
図1は、本発明の実施の形態に従うEPMAの全体構成例を示す図である。なお、本開示のEPMAは、SEMにWDSを備えた装置も含む。
図1を参照して、EPMA100は、電子銃1と、偏向コイル2と、対物レンズ3と、試料ステージ4と、試料ステージ駆動部5と、分光器6a,6bを備える。また、EPMA100は、制御部10と、データ処理部11と、偏向コイル制御部12と、入力部13と、表示部14とをさらに備える。電子銃1、偏向コイル2、対物レンズ3、試料ステージ4、及び分光器6a,6bは、図示しない計測室内に設けられ、計測中は、計測室内は排気されて真空状態とされる。
電子銃1は、試料ステージ4上の試料Sに照射される電子線Eを発生する励起源であり、収束レンズ(図示せず)を制御することによって電子線Eのビーム電流を調整することができる。偏向コイル2は、偏向コイル制御部12から供給される駆動電流により磁場を形成する。偏向コイル2により形成される磁場によって、電子線Eを偏向させることができる。
対物レンズ3は、偏向コイル2と試料ステージ4上に載置される試料Sとの間に設けられ、偏向コイル2を通過した電子線Eを微小径に絞る。電子銃1、偏向コイル2、及び対物レンズ3は、試料へ向けて電子線を照射する照射装置を構成する。試料ステージ4は、試料Sを載置するためのステージであり、試料ステージ駆動部5により水平面内で移動可能に構成される。
試料ステージ駆動部5による試料ステージ4の駆動、及び/又は偏向コイル制御部12による偏向コイル2の駆動により、試料S上における電子線Eの照射位置を2次元的に走査することができる。走査範囲が比較的狭いときは、偏向コイル2による走査が行なわれ、走査範囲が比較的広いときは、試料ステージ4の移動による走査が行なわれる。
分光器6a,6bは、電子線Eが照射された試料Sから放出される特性X線を検出する、波長分散型の分光器(WDS)である。この例では、2つの分光器6a,6bが示されているが、分光器の数は、これに限定されるものではなく、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。各分光器の構成は、分光結晶を除いて同じであり、以下では、分光器6a,6bを総括して「分光器6」と称する場合がある。
分光器6aは、分光結晶61aと、検出器63aと、スリット64aとを含んで構成される。試料S上の電子線Eの照射位置と分光結晶61aと検出器63aとは、図示しないローランド円上に位置している。図示しない駆動機構によって、分光結晶61aは、直線62a上を移動しつつ傾斜され、検出器63aは、分光結晶61aに対する特性X線の入射角と回折X線の出射角とがブラッグの回折条件を満たすように、分光結晶61aの移動に応じて図示のように回動する。これにより、試料Sから放出される特性X線の波長を走査(スキャン)することができる。
分光器6bは、分光結晶61bと、検出器63bと、スリット64bとを含んで構成される。分光器6bの構成は、分光結晶を除いて分光器6aと同様であるので、説明を繰り返さない。なお、各分光器の構成は、上記のような構成に限られるものではなく、公知の各種の構成を採用することができる。
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)20と、メモリ(ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory))22と、各種信号を入出力するための入出力バッファ(図示せず)とを含んで構成される。CPUは、ROMに格納されているプログラムをRAM等に展開して実行する。ROMに格納されるプログラムは、制御部10の処理手順が記されたプログラムである。ROMには、各種演算に用いられる各種テーブル(マップ)も格納されている。制御部10は、これらのプログラム及びテーブルに従って、EPMA100における各種処理を実行する。処理については、ソフトウェアによるものに限られず、専用のハードウェア(電子回路)で実行することも可能である。
データ処理部11も、CPUと、メモリ(ROM及びRAM)と、各種信号を入出力するための入出力バッファとを含んで構成される(いずれも図示せず)。データ処理部11は、組成が未知の試料について、分光器6により検出される特性X線に基づいて、定性分析を実行するとともに定性分析により同定される元素の定量値を取得する定性定量分析処理を実行する。
また、データ処理部11は、入力部13において選択された元素について、定性定量分析の実行前に当該元素の分析に用いる特性X線のピーク強度を取得する先行測定元素測定処理を実行する。さらに、データ処理部11は、定性定量分析において取得された定量値が所定の微量範囲に含まれる元素を特定し、その特定された元素について、当該元素の分析に用いる特性X線のピーク強度を取得する微量元素測定処理を実行する。定性定量分析処理(「第1の処理」に相当)、先行測定元素測定処理(「第2の処理」に相当)、及び微量元素測定処理(「第3の処理」に相当)については、後ほど詳しく説明する。
また、データ処理部11は、上記の定性定量分析とは別に、分析対象の元素を含む標準試料及び未知試料について、当該元素の分析に用いる特性X線のピークサーチを行ない、これに基づく定量分析を行なう。このような定量分析は、EPMAでは一般的に行なわれるものであるが、本発明においては、この定量分析は必須のものではない。なお、データ処理部11は、制御部10と一体的に構成されてもよい。
偏向コイル制御部12は、制御部10からの指示に従って、偏向コイル2へ供給される駆動電流を制御する。予め定められた駆動電流パターン(大きさ及び変更速度)に従って駆動電流を制御することにより、試料S上において電子線Eの照射位置を所望の走査速度で走査することができる。
入力部13は、EPMA100に対してユーザが各種指示を与えるための操作機器であり、たとえばマウスやキーボード等によって構成される。本実施の形態では、上記の先行測定元素測定処理において測定される元素を入力部13から選択することができる。また、上記の微量元素測定処理において微量元素を特定するための微量範囲も入力部13から設定することができる。これらについても、後ほど詳しく説明する。
表示部14は、ユーザに対して各種情報を提供するための出力機器であり、たとえば、ユーザが操作可能なタッチパネルを備えるディスプレイによって構成される。なお、このタッチパネルを入力部13としてもよい。
<分析方法の説明>
この実施の形態に従うEPMA100では、定性定量分析が行なわれる。定性定量分析では、分光波長を所定間隔刻みで変化させながら特性X線の強度を検出することにより分光可能範囲全域の特性X線のスペクトルを測定し、ピークを有する波長から元素を同定する。さらに、検出されたピークの強度を求めて予め準備された標準感度データと対比することによって、同定された元素の定量値(含有量)を算出する。
この実施の形態に従うEPMA100では、定性定量分析が行なわれる。定性定量分析では、分光波長を所定間隔刻みで変化させながら特性X線の強度を検出することにより分光可能範囲全域の特性X線のスペクトルを測定し、ピークを有する波長から元素を同定する。さらに、検出されたピークの強度を求めて予め準備された標準感度データと対比することによって、同定された元素の定量値(含有量)を算出する。
測定条件として、たとえば、分光可能範囲を4000ステップに分割し、1ステップ当たりの検出器の計数時間を0.09秒とすることで、分光可能範囲の走査を360秒で完了させることができる。定性定量分析では、分光波長の走査範囲が全域に亘るため、特定の元素について、当該元素の分析に用いる限定的な範囲(たとえば数10ステップ)で分光波長を走査して測定を行なえば足りる定量分析に比べて、1ステップ当たりの計数時間が短い。定量分析では、たとえば、1ステップ当たりの検出器の計数時間が1.0秒に設定され得る。
1ステップ当たりの計数時間が短いと微量元素を測定できなくなるため、定性定量分析では、微量元素も測定可能とするために、試料に照射する電子線のビーム電流を大きくすることが行なわれる。
しかしながら、定性定量分析においてビーム電流を大きくすると、以下のような問題が生じる。すなわち、電子線のエネルギーが大きくなることにより試料がダメージを受け、試料の組成が変化する可能性がある。特に、Na,K等のアルカリ金属、及びCl,F等のハロゲン元素は、エネルギーの大きい電子線の照射によって試料外へ散逸しやすい。そのため、分光波長の走査がこれらの元素の波長に差し掛かったときには、これらの元素が既に散逸してしまっているために、測定される強度が本来よりも低く出る可能性がある。その結果、これらの元素についての定量値が本来よりも低く算出されたり、ピーク自体が検出されなかったりする等、正確な分析ができない可能性がある。
図2は、定性定量分析において測定されるX線強度のスペクトルの一例を示した図である。(a)は、電子線のビーム電流IがI1のときのスペクトルであり、(b)は、電子線のビーム電流IがI2(I2>I1)のときのスペクトルである。この例では、I1=20nA(アンペア)、I2=100nAの場合が示されている。横軸は分光波長を示し、縦軸は検出器での計数値(cps)を示す。なお、(a),(b)とも、走査1ステップ当たりの計数時間は同じである。
図2(a)を参照して、電子線のビーム電流IがI1である場合は、波長が3.0A(オングストローム)〜4.0Aの範囲において、アルカリ金属のカリウム(K)が検出されている。
一方、図2(b)を参照して、電子線のビーム電流IがI2(I2>I1)である場合は、ビーム電流Iが大きいにも拘わらず、波長が3.0A(オングストローム)〜4.0Aの範囲においてカリウム(K)が検出されていない。これは、ビーム電流Iを大きくしたために、分光波長の走査が3.0A〜4.0A辺りに差し掛かったときには、カリウム(K)が既に試料外へ散逸してしまったためである。なお、他の元素については、ビーム電流Iの増大に従ってX線強度も増大している。
このように、定性定量分析において、走査1ステップ当たりの計数時間の短さを補うために電子線のビーム電流Iを大きくすると、アルカリ金属やハロゲン元素が試料に含まれている場合にはそれらの元素が試料外へ散逸してしまい、これらの元素について正確な分析を行なうことができなくなる。
そのため、上記のような影響を避けるために、電子線のビーム電流を下げたりビーム径を広げたりすることを行なわれ得る。しかしながら、ビーム電流を下げると、微量元素を検出できなくなる可能性があり、電子線のビーム径を広げると、微小領域の分析ができなくなるといった問題が生じる。
そこで、本実施の形態に従うEPMA100では、定性定量分析の実行前に、予め選択された元素について、当該元素の分析に用いる特性X線のピーク強度が取得される(後述の「先行測定元素測定処理」)。予め選択される元素は、アルカリ金属やハロゲン元素である。そして、選択された元素については、先行測定元素測定処理の測定結果が定性定量分析処理の測定結果に優先して採用され、先行測定元素測定処理の測定結果を用いて当該元素の分析が行なわれる。
これにより、定性定量分析において電子線のビーム電流Iを大きくした場合に、電子線の照射により散逸してしまう元素についても、先行測定元素測定処理の測定結果を用いて当該元素の分析を行なうことができる。その他の元素については、ビーム電流Iを大きくして定性定量分析を実行することにより、試料中の元素が同定されるとともに同定された元素の定量値を取得することができる。
また、EDSを備えた分析装置(たとえば、SEMにEDSを備えた装置)では、検出器において複数の特性X線が同時に検出されるため、電子線のビーム電流(エネルギー)を大きくすると、検出器の計数値が飽和し得るところ、WDSを備えるEPMAでは、そのような懸念はない。そのため、EPMAでは、電子線のビーム電流を大きくする程、大きな計数値を得ることができ、感度の高い分析が可能となる。しかしながら、定量定性分析においては、上記のように、試料中のアルカリ金属或いはハロゲン元素の試料外への散逸を抑制するためにビーム電流の増大に制約があるため、微量元素について検出や正確な測定ができない可能性がある。
そこで、本実施の形態に従うEPMA100では、さらに、定性定量分析の結果から、定量値が所定の微量範囲に含まれる元素が特定され、その特定された元素について、当該元素の分析に用いる特性X線のピーク強度が取得される(後述の「微量元素測定処理」)。微量範囲は、たとえば、定量値が0.05%〜1.0%の範囲とすることができるが、この範囲に限られるものではない。そして、特定された元素については、微量元素測定処理の測定結果が定性定量分析処理の測定結果に優先して採用され、微量元素測定処理の測定結果を用いて当該元素の分析が実行される。
これにより、微量元素についても、微量元素測定処理の測定結果を用いて当該元素の分析を実行することができる。その他の元素については、定性定量分析により、定性分析が実行されるとともに、定性分析により同定される元素の定量値を取得することができる。
なお、この実施の形態に従うEPMA100では、微量元素測定処理における走査1ステップ当たりの計数時間は、定性定量分析時の1ステップ当たりの計数時間よりも長い。これにより、微量元素についても、精度のよい定量値を取得することができる。
なお、本実施の形態では、定性定量分析において電子線のビーム電流を大きくするため、定性定量分析における微量元素の検出感度は高まる。しかしながら、定性定量分析では、電子線のビーム電流を大きくすると試料がダメージを受ける可能性があるため、ビーム電流にはある程度の制約があり、また、走査1ステップ当たりの計数時間も短いため、微量元素について精度の高い測定結果が得られない可能性がある。本実施の形態によれば、定性定量分析により特定された微量元素について、微量元素測定処理が実行されることにより、精度のよい定量値を取得することができる。
図3は、この実施の形態に従うEPMA100において実行される処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図3を参照して、まず、定性定量分析処理(後述)の実行前に先行測定元素測定処理(後述)により先行して測定される元素が選択される(ステップS10)。本実施の形態では、入力部13からユーザが当該元素を選択可能であり、入力部13には、アルカリ金属及びハロゲン元素がデフォルトで表示されている。選択された元素は、制御部10又はデータ処理部11のメモリに記憶される。なお、先行測定される元素の選択をユーザに委ねるのではなく、たとえばアルカリ金属及びハロゲン元素が自動で選択されるようにしてもよい。
次いで、定性定量分析処理の測定結果から微量元素測定処理(後述)により測定を行なう微量元素を選定するための定量値の範囲(微量範囲)が設定される(ステップS20)。本実施の形態では、入力部13からユーザが当該範囲を設定可能であり、入力部13には、たとえば、微量範囲として0.05%〜1.0%がデフォルトで表示されている。設定された範囲は、制御部10又はデータ処理部11のメモリに記憶される。なお、微量範囲の設定をユーザに委ねるのではなく、たとえば上記の範囲が自動で設定されるようにしてもよい。
先行測定元素測定処理により測定される元素が選択され、微量元素測定処理で用いられる微量範囲が設定されると、データ処理部11は、入力部13等からの測定開始指示に応じて、ステップS10において選択された元素について、先行測定元素測定処理を実行する(ステップS30)。この先行測定元素測定処理により、ステップS10において選択された元素について、当該元素の分析に用いるピーク強度が取得され、定量値が算出される。算出された定量値を含む、先行測定元素測定処理の測定結果は、データ処理部11のメモリに記憶される。先行測定元素測定処理の詳細については、後ほど詳しく説明する。
先行測定元素測定処理が終了すると、データ処理部11は、定性定量分析処理を実行する(ステップS40)。この定性定量分析処理により、試料Sに含まれる元素が同定されるとともに、同定された元素の定量値が算出される。なお、この定性定量分析処理では、分光可能範囲の全域を走査するために1ステップ当たりの計数時間が短いため、電子線のビーム電流Iを先行測定元素測定処理の実行時よりも大きくしている。同定された元素及びその定量値を含む、定性定量分析処理の測定結果も、データ処理部11のメモリに記憶される。定性定量分析処理の詳細についても、後ほど詳しく説明する。
定性定量分析処理が実行されると、データ処理部11は、ステップS20において設定された微量範囲に含まれる微量元素について、微量元素測定処理を実行する(ステップS50)。この微量元素測定処理により、選定された微量元素の分析に用いるピーク強度が取得され、微量元素の定量値が算出される。
なお、この微量元素測定処理では、走査1ステップ当たりの計数時間は、定性定量分析処理の実行時における計数時間よりも長い。これにより、微量元素についても正確な定量値を算出可能としている。算出された微量元素の定量値を含む、微量元素測定処理の測定結果も、データ処理部11のメモリに記憶される。微量元素測定処理の詳細についても、後ほど詳しく説明する。
そして、データ処理部11は、定性定量分析処理の測定結果を微量元素測定処理の測定結果で上書きする(ステップS60)。すなわち、設定された微量範囲に基づいて選定された微量元素については、定性定量分析処理の測定結果に対して、微量元素測定処理の測定結果が優先して採用される。これにより、微量元素について、精度の高い定量値を得ることができる。
さらに、データ処理部11は、定性定量分析処理の測定結果を微量元素測定処理の測定結果で上書きした結果を、先行測定元素測定処理の測定結果でさらに上書きする(ステップS70)。すなわち、定性定量分析処理及び微量元素測定処理の測定結果に対して、先行測定元素測定処理の測定結果がさらに優先して採用される。これにより、ステップS10において選択された元素(アルカリ金属やハロゲン元素)について、精度の高い定量値を得ることができる。
図4は、図3のステップS30において実行される先行測定元素測定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図4を参照して、制御部10は、電子線のビーム電流IをI1に設定する(ステップS110)。値I1は、たとえば、図示しない定量分析の実行時に設定されるビーム電流の大きさと同等である。
次いで、データ処理部11は、先行測定を行なう対象元素を設定する(ステップS120)。具体的には、データ処理部11は、図3のステップS10において選択された元素の中から1つ選んで設定する。
続いて、データ処理部11は、ステップS120で設定された対象元素の測定条件を設定する(ステップS130)。具体的には、元素毎に分光波長が予めテーブル化或いはマップ化されてメモリに記憶されており、ステップS120で設定された対象元素と対応付けられた分光波長が読出される。そして、その読出された分光波長に基づいて、走査を行なう波長範囲が設定されるとともに、走査1ステップ当たりの計数時間が設定される。走査する波長範囲については、たとえば、読出された分光波長を中心に40ステップ程度の範囲が設定される。1ステップ当たりの計数時間は、定性定量分析処理における計数時間(後述)よりも長く設定され、たとえば全ての元素に対して一律1.0秒に設定される。
次いで、データ処理部11は、ステップS130において設定された測定条件に従って、対象元素についてのスペクトル測定を実行し(ステップS140)、対象元素のピークプロファイルを取得する。そして、データ処理部11は、取得されたピークプロファイルからピーク強度を取得し(ステップS150)、予め準備された標準感度データを参照することによって、対象元素の定量値を算出する(ステップS160)。なお、標準感度データは、元素毎に予めテーブル化されてメモリに記憶されている。
対象元素の定量値が算出されると、データ処理部11は、図3のステップS10において選択された元素について、他の元素が有るか否かを確認する(ステップS170)。選択された元素が他に有る場合には(ステップS170においてYES)、ステップS120へ処理が戻される。このように、図3のステップS10において選択された全ての元素について、ステップS120〜S160の処理が実行され、定量値が算出される。
図5は、図3のステップS40において実行される定性定量分析処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図5を参照して、制御部10は、電子線のビーム電流IをI2に設定する(ステップS210)。値I2は、上記の先行測定元素測定処理の実行時に設定される値I1よりも大きい。これにより、微量元素の検出感度を高めている。一方、電子線のビーム電流Iを大きくすることにより、アルカリ金属及びハロゲン元素が試料外へ散逸し得るけれども、これらの元素については、図3のステップS10において選択しておくことにより、定性定量分析処理の実行前に先行測定元素測定処理において測定しておくことができる。
次いで、データ処理部11は、定性定量分析処理の測定条件を設定する(ステップS220)。具体的には、分光可能範囲のステップ分割数が設定されるとともに、走査1ステップ当たりの計数時間が設定される。分光可能範囲のステップ分割数は、たとえば4000ステップに設定される。1ステップ当たりの計数時間は、先行測定元素測定処理における計数時間よりも短く設定され、たとえば0.09秒に設定される。
次いで、データ処理部11は、ステップS220において設定された測定条件に従って、定性定量分析を実行する(ステップS230)。具体的には、分光可能範囲について、ステップ分割数により決まるステップ幅でたとえば長波長側から分光波長を変化させ、各ステップにおいて、設定された計数時間ずつ特性X線の計測が行なわれる。この例では、各ステップ0.09秒の計測が4000ステップ行なわれるので、全範囲の走査は360秒で完了する。
そして、データ処理部11は、得られたX線スペクトルのピーク波長から含有元素を同定する。さらに、データ処理部11は、同定された元素のピークプロファイルを取得し、取得されたピークプロファイルからピーク強度を取得する。そして、データ処理部11は、予め準備された標準感度データをメモリから読出し、同定された元素のピーク強度を標準感度データと対比することによって、同定された元素の定量値を算出する(ステップS240)。
図6は、図3のステップS50において実行される微量元素測定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図6を参照して、データ処理部11は、定性定量分析処理で同定された元素のうち、同処理において算出された定量値が図3のステップS20で設定された微量範囲に含まれる元素を特定する(ステップS310)。微量範囲は、たとえば、定量値が0.05%〜1.0%の範囲である。下限の0.05%は、ノイズを検出しないように設定されるものであり、ノイズの大きさに応じて適宜設定される。
次いで、データ処理部11は、定量値が微量範囲に含まれる元素の有無を確認する(ステップS320)。そのような元素がない場合には(ステップS320においてNO)、以降の一連の処理は実行されずにリターンへ処理が移行される。
定量値が微量範囲に含まれる元素がある場合には(ステップS320においてYES)、制御部10は、電子線のビーム電流IをI1に設定する(ステップS330)。なお、この例では、微量元素測定処理におけるビーム電流Iの大きさは、図4で説明した先行測定元素測定処理におけるビーム電流Iの大きさと同じとしているが、必ずしも同じにする必要はない。
次いで、データ処理部11は、測定を行なう対象元素を設定する(ステップS340)。具体的には、データ処理部11は、ステップS310において特定された元素の中から1つ選んで設定する。続いて、データ処理部11は、ステップS340で設定された対象元素の測定条件を設定する(ステップS350)。
なお、ステップS330〜S390の処理は、それぞれ図4に示したステップS110〜S170の処理と同じであり、説明が重複するので説明を繰り返さない。
そして、ステップS310において特定された全ての元素について、ステップS340〜S380の処理が実行され、定量値が算出される。
以上のように、この実施の形態においては、定性定量分析処理の実行前に、入力部13において選択された元素について先行測定元素測定処理が実行されるので、選択された元素については、定性定量分析において電子線の照射を長時間受けることにより試料外へ散逸する可能性のある元素(アルカリ金属及びハロゲン元素)であっても、先行測定元素測定処理の測定結果を用いて当該元素の分析を実行することができる。
また、この実施の形態においては、定性定量分析処理の結果から、定量値が微量範囲に含まれる元素が特定され、その特定された元素については、微量元素測定処理の測定結果を用いて当該元素の分析を実行することができる。なお、その他の元素については、定性定量分析処理により、定性分析が実行されるとともに、定性分析により同定される元素の定量値を取得することができる。
[態様]
上述した例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
上述した例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(第1項)一態様に係るEPMAは、電子線が照射された試料から発生する特性X線を検出するように構成された波長分散型の分光器と、分光器により検出される特性X線に基づいて、定性分析を実行するとともに定性分析により同定される元素の定量値を取得する第1の処理を実行するように構成された処理装置とを備える。処理装置は、第1の処理の実行前に、予め選択された元素について、当該元素の分析に用いる特性X線のピーク強度を取得する第2の処理を実行するように構成される。そして、処理装置は、選択された元素については、第2の処理の測定結果を用いて当該元素の分析を実行するように構成される。
第1項のEPMAによれば、予め選択された元素について、第1の処理において電子線の照射を長時間受けることにより試料外へ散逸する可能性のある元素であっても、第2の処理の測定結果を用いて当該元素の分析を実行することができる。その他の元素については、第1の処理により、定性分析が実行されるとともに、定性分析により同定される元素の定量値を取得することができる。
(第2項)第1項に記載のEPMAにおいて、処理装置は、分光器により検出される特性X線の波長が所定間隔刻みで変化するように分光器を作動させながら所定時間ずつ測定を行なうように構成される。そして、第2の処理における所定時間は、第1の処理における所定時間よりも長い。
第2項のEPMAによれば、予め選択された元素について、第2の処理により精度の高い測定結果を得ることができる。
(第3項)第1項又は第2項に記載のEPMAにおいて、第1の処理の実行時における電子線のビーム電流は、第2の処理の実行時における電子線のビーム電流よりも大きい。
第3項のEPMAによれば、第1の処理において、測定時間を延ばすことなく微小元素も検出することができる。
(第4項)第1項に記載のEPMAにおいて、処理装置は、さらに、第1の処理において取得された定量値が所定の微量範囲に含まれる元素を特定し、その特定された元素について、当該元素の分析に用いる特性X線のピーク強度を取得する第3の処理を実行するように構成される。そして、処理装置は、特定された元素については、第3の処理の測定結果を用いて当該元素の分析を実行するように構成される。
第4項のEPMAによれば、定量値が微量範囲に含まれる元素が特定され、その特定された元素については、第3の処理の測定結果を用いて当該元素の分析を実行することができる。
(第5項)第4項に記載のEPMAにおいて、処理装置は、分光器により検出される特性X線の波長が所定間隔刻みで変化するように分光器を作動させながら所定時間ずつ測定を行なうように構成される。そして、第3の処理における所定時間は、第1の処理における所定時間よりも長い。
第5項のEPMAによれば、特定された微量元素について、第3の処理により精度の高い測定結果を得ることができる。
(第6項)第4項又は第5項に記載のEPMAにおいて、処理装置は、第2及び第3の処理の双方においてピーク強度が取得された元素については、第2の処理の測定結果を用いて当該元素の分析を実行するように構成される。
第6項のEPMAによれば、特定された微量元素については、第3の処理の測定結果を用いて当該元素の分析を実行することができ、予め選択された元素については、第2の処理の測定結果を用いて当該元素の分析を実行することができる。その他の元素については、第1の処理により、定性分析が実行されるとともに、定性分析により同定される元素の定量値を取得することができる。
(第7項)第1項から第6項のいずれか1項に記載のEPMAにおいて、選択された元素は、アルカリ金属又はハロゲン元素に属する元素である。
アルカリ金属又はハロゲン元素に属する元素は、電子線の照射により試料外へ散逸しやすいところ、第7項のEPMAによれば、第2の処理によりこれらの元素の分析を実行することができる。
(第8項)第1項から第6項のいずれか1項に記載のEPMAにおいて、EPMAは、第2の処理が実行される元素をユーザが選択するための入力装置をさらに備える。
第7項のEPMAによれば、第2の処理において分析を実行する元素をユーザが選択することができる。
(第9項)他の態様に係るEPMAは、電子線が照射された試料から発生する特性X線を検出するように構成された波長分散型の分光器と、分光器により検出される特性X線に基づいて、定性分析を実行するとともに定性分析により同定される元素の定量値を取得する第1の処理を実行するように構成された処理装置とを備える。処理装置は、第1の処理において取得された定量値が所定の微量範囲に含まれる元素を特定し、その特定された元素について、当該元素の分析に用いる特性X線のピーク強度を取得する第3の処理を実行するように構成される。そして、処理装置は、特定された元素については、第3の処理の測定結果を用いて当該元素の分析を実行するように構成される。
第9項のEPMAによれば、第1の処理の結果から、定量値が微量範囲に含まれる元素が特定され、その特定された元素については、第3の処理の測定結果を用いて当該元素の分析を実行することができる。その他の元素については、第1の処理により、定性分析が実行されるとともに、定性分析により同定される元素の定量値を取得することができる。
(第10項)第9項に記載のEPMAにおいて、処理装置は、分光器により検出される特性X線の波長が所定間隔刻みで変化するように分光器を作動させながら所定時間ずつ測定を行なうように構成される。そして、第3の処理における所定時間は、第1の処理における所定時間よりも長い。
第10項のEPMAによれば、特定された微量元素について、第3の処理により精度の高い測定結果を得ることができる。
(第11項)第9項又は第10項に記載のEPMAにおいて、EPMAは、微量範囲をユーザが設定するための入力装置をさらに備える。
第11項のEPMAによれば、微量元素として特定する微量範囲をユーザが選定することができる。
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 電子銃、2 偏向コイル、3 対物レンズ、4 試料ステージ、5 試料ステージ駆動部、6,6a,6b 分光器、10 制御部、11 データ処理部、12 偏向コイル制御部、13 入力部、14 表示部、61a,61b 分光結晶、63a,63b 検出器、64a,64b スリット、100 EPMA、E 電子線、S 試料。
Claims (11)
- 電子線が照射された試料から発生する特性X線を検出するように構成された波長分散型の分光器と、
前記分光器により検出される特性X線に基づいて、定性分析を実行するとともに前記定性分析により同定される元素の定量値を取得する第1の処理を実行するように構成された処理装置とを備え、
前記処理装置は、
前記第1の処理の実行前に、予め選択された元素について、当該元素の分析に用いる特性X線のピーク強度を取得する第2の処理を実行し、
前記選択された元素については、前記第2の処理の測定結果を用いて当該元素の分析を実行するように構成される、電子線マイクロアナライザ。 - 前記処理装置は、前記分光器により検出される特性X線の波長が所定間隔刻みで変化するように前記分光器を作動させながら所定時間ずつ測定を行なうように構成され、
前記第2の処理における前記所定時間は、前記第1の処理における前記所定時間よりも長い、請求項1に記載の電子線マイクロアナライザ。 - 前記第1の処理の実行時における前記電子線のビーム電流は、前記第2の処理の実行時における前記電子線のビーム電流よりも大きい、請求項1又は請求項2に記載の電子線マイクロアナライザ。
- 前記処理装置は、さらに、
前記第1の処理において取得された定量値が所定の微量範囲に含まれる元素を特定し、
その特定された元素について、当該元素の分析に用いる特性X線のピーク強度を取得する第3の処理を実行し、
前記特定された元素については、前記第3の処理の測定結果を用いて当該元素の分析を実行するように構成される、請求項1に記載の電子線マイクロアナライザ。 - 前記処理装置は、前記分光器により検出される特性X線の波長が所定間隔刻みで変化するように前記分光器を作動させながら所定時間ずつ測定を行なうように構成され、
前記第3の処理における前記所定時間は、前記第1の処理における前記所定時間よりも長い、請求項4に記載の電子線マイクロアナライザ。 - 前記処理装置は、前記第2及び第3の処理の双方において前記ピーク強度が取得された元素については、前記第2の処理の測定結果を用いて当該元素の分析を実行するように構成される、請求項4又は請求項5に記載の電子線マイクロアナライザ。
- 前記選択された元素は、アルカリ金属又はハロゲン元素に属する元素である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電子線マイクロアナライザ。
- 前記第2の処理が実行される元素をユーザが選択するための入力装置をさらに備える、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電子線マイクロアナライザ。
- 電子線が照射された試料から発生する特性X線を検出するように構成された波長分散型の分光器と、
前記分光器により検出される特性X線に基づいて、定性分析を実行するとともに前記定性分析により同定される元素の定量値を取得する第1の処理を実行するように構成された処理装置とを備え、
前記処理装置は、
前記第1の処理において取得された定量値が所定の微量範囲に含まれる元素を特定し、
その特定された元素について、当該元素の分析に用いる特性X線のピーク強度を取得する第3の処理を実行し、
前記特定された元素については、前記第3の処理の測定結果を用いて当該元素の分析を実行するように構成される、電子線マイクロアナライザ。 - 前記処理装置は、前記分光器により検出される特性X線の波長が所定間隔刻みで変化するように前記分光器を作動させながら所定時間ずつ測定を行なうように構成され、
前記第3の処理における前記所定時間は、前記第1の処理における前記所定時間よりも長い、請求項9に記載の電子線マイクロアナライザ。 - 前記微量範囲をユーザが設定するための入力装置をさらに備える、請求項9又は請求項10に記載の電子線マイクロアナライザ。
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