JP7153324B2 - 元素分析方法 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 第78分析化学討論会の案内 [刊行物等] 第78分析化学討論会のプログラム(一部) [刊行物等] 第78分析化学討論会の予稿(B1001)のコピー [刊行物等] 第78分析化学討論会の予稿(B1002)のコピー [刊行物等] ICONE26の案内 [刊行物等] ICONE26のプログラム(一部) [刊行物等] ICONE26の予稿のコピー
本発明は、電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いた元素分析方法、元素分析装置に関する。
真空中で電子線を試料に照射し、試料から発せられる蛍光X線(特性X線)を調べることによって、試料中の元素を分析する電子線マイクロアナライザ(EPMA)が広く用いられている。この場合には、電子線顕微鏡(SEM)との併用も容易であるために、試料表面における特定の元素の分布を調べること(マッピング)も容易に行うことができる。
この場合、電子線が照射された試料から発せられたX線のエネルギー(あるいは波長)毎の強度(カウント数)がX線検出器で認識され、X線スペクトル(縦軸:強度(カウント数)、横軸:波長)が取得される。このX線スペクトルにおいて、各元素に対応する特性X線のピークの位置(波長)は予め判明しているため、各元素に対応するピークの強度を認識することによって、各元素の組成(比)を算出することができる。例えば、特許文献1には、EPMAによって金属材料中の酸素の組成分析を行うための手法が記載されている。この場合、X線スペクトルにおいて、金属元素の特性X線のピーク(AlのKβ線:波長0.8nm付近)と酸素の特性X線のピーク(OのKα線:波長2.36nm付近)は横軸上で離れた位置にある(X線エネルギーあるいは波長が大きく異なる)ために、金属元素と酸素の組成を容易に算出することができる。
特開2014-228307号公報
一般的に、単一の元素は複数種類の波長で特性X線を発する。このため、EPMAにおいては、測定対象の元素が複数ある場合は、X線スペクトル中において各元素の発する特性X線に対応したピークの数は多くなる。このうち、ある元素の特性X線に対応するピークと他の元素の特性X線に対応するピークとが横軸の離れた位置に存在すれば、各ピークの強度をそれぞれ認識することができ、各元素の組成を各ピークの強度から認識することができる。しかしながら、実際には、2つの元素の特性X線に対応するピークの横軸上の位置が近接している場合には、測定の波長分解能によっては、これらのピークが重なるために、各ピークの強度が正確に認識できない場合があった。
例えば、原子炉の廃炉処理等で扱われる対象となる燃料デブリや、各種のセラミックス材料においては、ジルコニウム(Zr)とホウ素(B)、酸素(O)が混在しており、その組成によってこれらの硬度等の物理的特性が大きく異なる。このため、これらの材料においては、Zr、Bの組成分析は重要となる。しかしながら、Bの最も強い特性X線のピーク(BのKα1線:波長6.8nm付近)とZrの特性X線のピーク(ZrのM線:波長6.9nm付近)とは近接しており、Zrの存在下ではBの組成をEPMAによって正確に算出することが困難であった。
このため、EPMAで得られるX線スペクトルにおいて測定対象元素の特性X線に対応するピークと干渉元素の特性X線に対応するピークとが干渉する場合に、測定対象元素の組成を高精度で算出することが求められた。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明の元素分析方法は、電子線マイクロアナライザ(EPMA)で電子線が照射された際に得られるX線スペクトル中において、測定対象元素が発する特性X線のピークである測定対象ピークと干渉する特性X線を発する干渉元素が存在する下で、試料における測定点での前記測定対象元素の組成を前記測定対象ピークの強度の測定によって算出する元素分析方法であって、前記測定点において、前記干渉元素が発する特性X線のうち、前記測定対象ピークと干渉しない特性X線に対応した波長である参照用波長のX線強度である補正用強度を測定する補正用強度測定工程と、前記測定点において、前記測定対象ピークに対応する波長のX線強度である実測強度を測定する測定対象元素測定工程と、前記補正用強度に補正係数を乗じた値を前記実測強度から減算した補正後強度より前記測定対象元素の組成を認識する補正工程と、を具備し、前記試料中において前記電子線が照射される領域中における前記測定点と重複しない箇所に、前記干渉元素を含有し前記測定対象元素を含有しない標準領域が設定され、前記標準領域が前記電子線に照射された際の、前記測定対象ピークに対応する波長のX線強度である補正係数算出用第1強度と、前記参照用波長におけるX線強度である補正係数算出用第2強度と、を測定する補正用データ取得工程を具備し、前記補正工程において、前記補正係数算出用第1強度を前記補正係数算出用第2強度で除した値を前記補正係数とし、前記標準領域となる部分を前記試料に付与することを特徴とする
本発明の元素分析方法は、前記試料において前記測定点が複数設定され、前記測定点の各々における前記補正後強度をマッピングして表示する表示工程を具備することを特徴とする。
本発明の元素分析方法において、前記測定対象元素はホウ素(B)であり、前記干渉元素は金属元素であることを特徴とする。
本発明の元素分析方法において、前記金属元素はジルコニウム(Zr)であることを特徴とする
本発明は以上のように構成されているので、EPMAで得られるX線スペクトルにおいて測定対象元素の特性X線に対応するピークと干渉元素の特性X線に対応するピークとが干渉する場合に、測定対象元素の組成を高精度で算出することができる。
本発明の実施の形態に係る元素分析方法に用いられる元素分析装置の構成を示す図である。 EPMAを用いた従来の元素分析方法における、試料の(a)反射電子像、(b)Bの特性X線の強度のマッピング結果、(c)Zrの特性X線の強度のマッピング結果、を示す図である。 BのKα1線(波長6.8nm)近傍にZrのM線:波長6.9nm)が存在する場合のX線スペクトルの状況を示す図である。 本発明の実施の形態に係る元素分析方法において認識されるX線スペクトルを模式的に説明する図である。 本発明の実施の形態に係る元素分析方法によって得られたBの補正後強度のマッピング結果である。 本発明の実施の形態に係る元素分析方法によって得られたBの補正後強度と試料のB組成の対応関係を調べた結果である。
本発明の実施の形態に係る元素分析方法を実行する元素分析装置1の構成を図1に示す。図1に示された構成は、通常知られるEPMA、特にWDS(波長分散型分光器)を用いた場合の分析装置と共通する。
ここでは、電子源10から発せられた電子線100が光学系20を介して試料Sの所望の箇所に照射される。この際に試料Sを構成する各原子はこの電子線100中の電子で励起された後に、原子(元素)の種類毎に定まる特性X線を放射する。このため、試料Sの表面から発せられるX線200には、試料Sに含まれる各元素が発する特性X線が全て含まれ、このX線200は集光型分光素子30で分光され、分光後のX線210がX線検出器40で検出される。集光型分光素子30及びX線検出器40は、試料Sの周りでローランド円R上に存在した状態で移動、回動可能とされ、この移動に伴ってX線200の集光型分光素子30への入射角が変化する。これによって、X線検出器40が検出するX線のエネルギー(あるいは波長)は、適宜変化し、X線検出器40において、X線200のエネルギーあるいは波長毎の検出強度であるX線スペクトルを得ることができる。なお、X線スペクトルにおいては、横軸がX線エネルギー又は波長、縦軸がこのX線エネルギー又は波長における検出強度(X線検出器40におけるカウント数)となるが、以下では横軸を波長として説明する。
この際、X線の波長を予め定め、これに対応した位置関係で集光型分光素子30及びX線検出器40を固定し、試料Sを移動させて試料Sにおける電子線100の照射位置を変えることにより、この波長におけるX線強度の試料S上のマッピングを行うことができる。この波長を、分析対象となる元素の発する特性X線の波長とすることにより、この元素の試料Sにおける分布を認識することができる。
なお、このように波長毎の検出強度(X線スペクトル)をX線検出器40で得るために、上記のように集光型分光素子30が用いられ、X線検出器40と共に移動、回動する設定とされる。X線検出器40で直接X線200を検出することによりX線スペクトルが十分な波長分解能(エネルギー分解能)をもって得られる場合には、上記のようなWDS以外の方式を用いてもよい。この場合、集光型分光素子30は不要であり、X線検出器40の位置を固定して用いることができる。
解析部50は例えばパーソナルコンピュータであり、このX線スペクトルを入手し、試料Sに含まれる元素の組成分析を行う。また、解析部50には、この解析を行う際の各種のデータを記憶する記憶部60が接続されている。なお、前記のような集光型分光素子30及びX線検出器40の移動、回動も解析部50により制御される。
また、前記のようなX線強度(特定の元素の組成)のマッピング結果を表示するために、2次元画像を表示可能な表示部70が用いられている。
また、この元素分析装置1においては、電子線100が照射されることにより試料S側から発生した電子(反射電子220)を検出するための電子検出器80も設けられている。これにより、上記の元素のマッピングと同様に、解析部50は、反射電子のマッピング結果である試料Sの反射電子像も得ることができ、これを表示部70で表示させることもできる。
まず、図1の構成を用い、従来の元素分析方法を用いた結果について説明する。ここでは、試料Sとして、原子炉の燃料デブリ、あるいは燃料デブリを想定した模擬試料を使用している。この場合、測定の対象となる元素はホウ素(B)であり、主成分の一つとして金属元素であるジルコニウム(Zr)が含まれ、その中にBが偏析している。このため、得られたX線スペクトルにおいてBの最も強度の高い特性X線(BのKα1線)に対応する波長6.8nmの検出強度のマッピングを前記のように行った。
図2(a)は、上記のように得られた試料Sの反射電子像、図2(b)は、これに対応した上記のB(波長6.8nmの検出強度)のマッピング結果を示す図である。一方、図2(c)は、試料Sの主成分となるZrの特性X線(Lα線:波長0.61nm)の同様のマッピング結果である。
この試料Sにおいては、主に試料Sの表面形状を反映する反射電子像(図2(a))と、主成分であるZrの分布(図2(c))とは相関があることは明らかであるため、図2(a)と図2(c)の結果は類似している。一方、試料S中においてBは偏析しているために、Zrの分布とBの分布とは一致しないが、図2(b)(c)の結果は類似している。
これは、図2(b)の測定において用いられたBのKα1線(波長6.8nm)の近傍に、多量に含まれるZrのM線:波長6.9nm)が存在することに起因し、図2(b)の測定においては同時にZrのM線の影響が存在することによる。図3は、予め組成がBN、Zr(被覆管)、ZrO(模擬ペレット)としてそれぞれ定まっている試料Sに対するこの波長近辺におけるX線スペクトルを測定した結果である。BNの測定結果においてはBのKα1線のピークが見られ、Zr、ZrO測定結果においては、ZrのM線のピークが波長6.9nmを中心として見られる。X線検出器40で検出される各特性X線のピークには広がりがあるために、ZrのM線のピークの裾がBのKα1線のピークと重畳する。このため、Bの測定結果(図2(b))においては、Zrの影響が無視できない程度に存在する。
ここで、このように測定対象元素(上記の例ではB)の特性X線と近い波長の特性X線を発する元素(干渉元素:上記の例ではZr)が試料Sで混在する場合において、本実施の形態に係る元素分析方法では、以下に説明する手法により、干渉元素の影響を低減して測定対象元素の組成を求めることができる。この処理は解析部50により行われる。
ここで、解析部50は、測定点における図3のようなBの発する特性X線の一つのピーク(測定対象ピーク:BのKα1線のピーク)の強度をX線検出器40で測定する(測定対象元素測定工程)。ここで測定される強度(実測強度)においては、前記のように、BのKα1線に起因する強度に対して、Zr(干渉元素)のM線に起因する強度、すなわち、ZrのM線のピークの裾の強度が重畳しており、後者の強度は前者の強度に対して無視できない程度となっている。
このため、解析部50は、Zr(干渉元素)の発する特性X線のうち、Bに起因する測定対象ピークと干渉しない(X線スペクトルにおけるピークの重畳が無視できる)ものに対応する波長(参照用波長)を設定し、上記の測定点におけるこの参照用波長での強度(補正用強度)を、前記のように集光型分光素子30、X線検出器40を移動させ、X線検出器40で測定する(補正用強度測定工程)。測定対象元素測定工程、補正用強度測定工程については、どちらを先に行ってもよい。その後に補正用強度を用いて実測強度を補正した補正後強度を算出し、この補正後強度より測定対象元素の組成を認識する(補正工程)。また、例えば測定対象元素のマッピングを行う場合には、全ての測定点で測定対象元素測定工程を行いその結果を記憶部60に記憶させ、同様に全ての測定点で補正用強度測定工程を行いその結果を記憶部60に記憶させ、最後に補正工程として各測定点毎に前記の補正後強度を算出してもよい。
図4上段は、このような測定対象元素測定工程、補正用強度測定工程でX線検出器40で認識される測定点でのX線スペクトル上で模式的に示す図である。ここでは、検出される強度の関わるピークが模式的に示されている。まず、測定対象ピーク(BのKα1線)に対応する波長λ周囲においては、ピーク強度I11である測定対象ピークP11があり、測定対象ピークP11の波長λにおける強度がそのピーク強度I11と一致する。一方、この測定対象ピークP11に近接して、ピーク強度I21をもつZrのM線のピーク(干渉ピーク)P21が存在する。干渉ピークP21において、そのピークはλよりも波長の大きな側で得られるため、測定対象ピークP11と干渉ピークP21は部分的に重複する。しかしながら、ピーク強度I21が大きいため、波長λにおける干渉ピークP21の裾の強度I211は、I11と比べて無視できない値となっている。測定対象元素測定工程においてX線検出器40で実際に検出されるX線スペクトルにおける実際のピークは、上記の測定対象ピークP11と干渉ピークP21が重畳した実測ピークP31となり、図2(b)は、この実測ピークP31のピーク強度(実測強度)I31のマッピング結果となる。ここで、実測強度I31はI11+I211で近似できる。ここでは、B組成のみに対応したI11を得ることが必要となるが、実測されるのは上記のI31であり、I11を算出するためにはI211を認識することが必要となる。
一方、補正用強度測定工程においては、Zr(干渉元素)の発する特性X線のピークのうち、B(測定対象元素)の発する特性X線のピークとの間の干渉がないピークに対応した波長が上記の参照用波長として選択される。図4上段において、この参照用波長λとしては、ZrのLα線のピーク(参照用ピーク)に対応する波長である0.61nmが設定される。参照用波長λ周囲においては、Zrに起因するピーク強度I41の参照用ピークP41のみが存在し、参照用ピークP41の波長λにおける強度がそのピーク強度I41と一致するようにλは定められる。このピーク強度I41が補正用強度測定工程においてX線検出器40で検出される補正用強度となる。
一方、図4下段は、図3におけるZr、ZrOのように、Bを含まずZrのみを含有することが予め判明している試料(標準試料)に対して図4上段と同様の測定(補正用データ取得工程)を行った場合におけるX線スペクトルを示す。ここでは、前記の干渉ピークP21と対応するZrのM線のピークである第1ピークP20と、前記の参照用ピークP41に対応するZrのLα線のピークである第2ピークP40とが検出され、前者のピーク強度はI20、後者のピーク強度はI40となる。前記の通り、標準試料におけるB組成が無視でき、かつB以外で存在する元素の特性X線が第2ピークP40に及ぼす影響が無視できる場合には、I40は波長λにおけるX線検出器40の検出強度と等しい。また、B以外で存在する元素の特性X線が第1ピークP20に及ぼす影響が無視できる場合には、前記の干渉ピークP21の裾の強度I211に対応した強度である、第1ピークP20の裾の強度I201が波長λにおいて測定される。
この場合、ZrのM線のピークにおける、波長λでの強度(裾の強度)とピーク強度との比率は、測定点においてI211/I21、標準試料においてI201/I20となるが、これらは等しいと考えられる。また、Zrの発する異なる特性X線(M線、Lα線)のピーク強度比は、測定点においてI41/I21、標準試料においてI40/I20となり、これらも等しいと考えられる。このため、測定点におけるB組成のみを反映するI11(補正後強度)は、実測強度I31から補正用強度I41に補正係数Cを乗じた値を減じた、以下の(1)式で表すことができ、この中の補正係数Cは、上記の標準試料を用いた測定(図4下段)のみによって得られたI201(補正係数算出用第1強度)、I40(補正係数算出用第2強度)を用いて、(2)式で定められる。
Figure 0007153324000001
Figure 0007153324000002
上記のように複数の測定点において測定を行う場合には、各測定点でI31、I41を測定することが必要になるが、I40、I201の測定による補正係数Cの算出は、1回のみ行えばよく、各測定点において(1)式による補正でI11を算出する際には、全ての測定点で共通のCを用いればよい。更に、試料S毎にCを算出する(補正用データ取得工程を行う)必要はなく、予め求められたCの値を記憶部60に記憶させ、これを全ての測定で用いてもよい。その後、各測定点で算出された補正後強度I11を前記の図2(b)等と同様に、2次元分布として表示部70で表示させることができる(表示工程)。図5は、このように定められた一定値(=0.51)のCを用いて算出されたI11のマッピング結果である。この結果では、Zrの影響が排除されたために、Zrのマッピング結果(図2(c))とは異なり、局所的なBの分布が現れている。
すなわち、上記の元素分析方法により、EPMAで用いられるX線スペクトルにおいて、測定対象元素(B)の特性X線に対応するピークと干渉元素(Zr)の特性X線に対応するピークとが近接する場合に、測定対象元素(B)の組成を高精度で算出することができる。
上記の例では、測定対象元素の組成(測定対象ピークのピーク強度)のマッピングが行われるものとしたが、マッピングを行わず、ある一点での測定対象元素の組成の定量分析を行う場合においても、上記の元素分析方法を適用することができる。この場合には、予め測定対象元素の組成の判明している複数の試料Sについて上記の手法により算出されたI11(補正後強度)を調べてた検量線を作成し、これを後の測定において用いればよい。
図6は、このようにB組成が予めLA-ICP-MS(レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析)によって判明している複数の試料について、B組成と上記の補正後強度I11との間の関係を調べた結果(検量線)である。この結果より、補正後強度をB組成との間には一次の関係があり、これによって前記の補正後強度のB組成への換算が可能となる。
上記の例では、Bを測定対象元素、Zrを干渉元素とした場合について説明したが、同様に、X線検出器で認識されるX線スペクトルにおいて、測定対象元素の特性X線のピークに近接する特性X線を発する干渉元素が測定対象元素と同時に存在する場合には、上記の元素分析方法は有効である。すなわち、上記の測定対象元素、干渉元素を上記の例以外としても、同様に上記の元素分析方法を適用することができる。
また、上記の例では、図1に示された構成の元素分析装置が用いられたが、認識されるX線スペクトルにおける特性X線のピークの広がり(エネルギあるいは波長分解能)はこの測定装置に依存する。この際、測定対象元素を定めた場合に、エネルギー(波長)分解能が高い場合には上記の干渉元素とはならなかった元素が、エネルギー(波長)分解能が低い他の装置においては干渉元素となる場合もある。すなわち、干渉元素は、測定対象元素を定めた場合において、装置構成に応じて設定される。
また、上記の例では、一つの測定対象元素(B)に対して一つの干渉元素(Zr)が設定されたが、場合によっては、干渉元素が複数存在する(図4上段において干渉ピークが複数存在する)場合もある。こうした場合においては、上記の補正用強度測定工程を干渉元素毎に行い、図4下段の測定(補正係数の設定)を各干渉元素毎に行い、干渉元素毎の補正係数を算出し、実測強度から各干渉元素の補正用強度に補正係数を乗じた値を累積して減算すればよい。
また、上記の例では、試料Sは燃料デブリ、あるいはこれに関連した模擬試料であるものとしたが、他の物質においても、上記の元素分析方法が適用できることは明らかである。特に、燃料デブリ以外でも、金属材料や、金属元素(Zr、Fe等)とO、Bとが混在しているセラミックス材料に対して、上記の組成分析方法は同様に有効である。この際、金属の析出物が存在している場合には、この析出物を前記の標準試料として用いることもできる。このため、上記の補正用データ取得工程を行う場合においても、このように標準試料として使用可能な領域(標準領域)が存在すれば、標準試料を新たに設けることは不要である。
1 元素分析装置
10 電子源
20 光学系
30 集光型分光素子
40 X線検出器
50 解析部
60 記憶部
70 表示部
80 電子検出器
100 電子線
200、210 X線
220 反射電子
11 測定対象ピーク
21 干渉ピーク
31 実測ピーク
41 参照用ピーク
20 第1ピーク
40 第2ピーク
R ローランド円
S 試料

Claims (4)

  1. 電子線マイクロアナライザ(EPMA)で電子線が照射された際に得られるX線スペクトル中において、測定対象元素が発する特性X線のピークである測定対象ピークと干渉する特性X線を発する干渉元素が存在する下で、試料における測定点での前記測定対象元素の組成を前記測定対象ピークの強度の測定によって算出する元素分析方法であって、
    前記測定点において、前記干渉元素が発する特性X線のうち、前記測定対象ピークと干渉しない特性X線に対応した波長である参照用波長のX線強度である補正用強度を測定する補正用強度測定工程と、
    前記測定点において、前記測定対象ピークに対応する波長のX線強度である実測強度を測定する測定対象元素測定工程と、
    前記補正用強度に補正係数を乗じた値を前記実測強度から減算した補正後強度より前記測定対象元素の組成を認識する補正工程と、
    を具備し、
    前記試料中において前記電子線が照射される領域中における前記測定点と重複しない箇所に、前記干渉元素を含有し前記測定対象元素を含有しない標準領域が設定され、
    前記標準領域が前記電子線に照射された際の、前記測定対象ピークに対応する波長のX線強度である補正係数算出用第1強度と、前記参照用波長におけるX線強度である補正係数算出用第2強度と、を測定する補正用データ取得工程を具備し、
    前記補正工程において、前記補正係数算出用第1強度を前記補正係数算出用第2強度で除した値を前記補正係数とし、
    前記標準領域となる部分を前記試料に付与することを特徴とする元素分析方法。
  2. 前記試料において前記測定点が複数設定され、
    前記測定点の各々における前記補正後強度をマッピングして表示する表示工程を具備することを特徴とする請求項に記載の元素分析方法。
  3. 前記測定対象元素はホウ素(B)であり、前記干渉元素は金属元素であることを特徴とする請求項1又は2に記載の元素分析方法。
  4. 前記金属元素はジルコニウム(Zr)であることを特徴とする請求項に記載の元素分析方法。
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