JP2020159053A - ピンニング工法用の注入ノズルおよびこれを用いたピンニング工法 - Google Patents

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【課題】洗浄作業に要する時間を短縮することができるピンニング工法用の注入ノズル等を提供する。【解決手段】ノズル口111および注入流路112を有するノズル部21Aと、ノズル部21Aに装着され、開口部8aを封止する開口封止部22と、ノズル部21Aを支持すると共に、内部に接着剤流路113を有するノズルボディ23と、ノズルボディ23を覆うケーシング部24と、を備え、ノズル部21Aおよびノズルボディ23は、樹脂により一体に形成され、開口封止部22およびケーシング部24は、ノズル部21Aおよびノズルボディ23に対し分解可能に構成されている。【選択図】図10

Description

本発明は、いわゆる「浮き」が生じた外壁や内壁等の壁体の補修に使用されるピンニング工法用の注入ノズルおよびこれを用いたピンニング工法に関する。
従来、この種の注入ノズルとして、壁体に形成した挿填穴に接着剤を注入するための第1注入流路および第2注入流路の2つの注入流路を有するものが知られている(特許文献1参照)。
この注入ノズルは、注入器本体に装着され、内部に注入器本体に連なる接着剤流路を有するノズルボディと、ノズルボディの先端から突出するように且つ進退自在に設けられ、接着剤流路に連通するノズル内筒と、を備えている。また、ノズルボディは、間隙を存してノズル内筒を保持するノズル外筒と、ノズル外筒を囲繞する共に挿填穴の開口部を封止する封止部材と、を有している。ノズル内筒の内部に第1注入流路が構成され、ノズル内筒とノズル外筒との間隙に第2注入流路が構成されている。
封止部材により挿填穴の開口部を封止しつつ挿填穴に接着剤を注入してゆくと、接着剤は、先ず第1注入流路を介して挿填穴の最深部から徐々に満たされ、続いて第2注入流路を介して挿填穴の手前から満たされてゆく、これにより、接着剤は、挿填穴に充填されると共に、挿填穴に連なる複数の「浮き部」にも充填される。
この場合の接着剤には、主剤と硬化剤とから成る2液性のエポキシ樹脂接着剤等が用いられる。そして、接着剤は、予め2液を混合した状態で、注入器本体の接着剤貯留部に充填される。
特許第3759157号公報
ところで、ピンニング工法に用いられる2液性のエポキシ樹脂接着剤は、硬化時間が2時間程度となっており、この硬化時間を考慮して、注入ノズルおよび注入器本体を、溶剤を用いて洗浄する必要がある。
具体的には、接着剤の硬化が始まる(注入器本体のポンピングが重くなる)1時間を目安として、特に夏季では45分を目安として、洗浄作業を実施するようにしている。すなわち、1日の作業が完了したときは元より、作業中であっても、定期的に注入ノズルおよび注入器本体の洗浄を行うようにしている。
従来のピンニング工法用の注入ノズルの洗浄は、注入ノズルの分解、分解した部品の洗浄および洗浄した部品の組立を含むと共に、溶剤の処理を含む一連の作業であり、作業が煩雑且つ時間を要するものとなっていた。
したがって、従来のピンニング工法用の注入ノズルを用いた注入作業では、実質上、実注入作業の他に洗浄作業を含むものとなっており、実注入作業の時間と洗浄作業の時間とがほぼ同時間となっていた。したがって、注入ノズル等の洗浄作業は、ピンニング工法の工期に影響を及ぼすものとなっていた。
本発明は、洗浄作業に要する時間を短縮することができるピンニング工法用の注入ノズルおよびこれを用いたピンニング工法を提供することを課題としている。
本発明のピンニング工法用の注入ノズルは、注入器本体に装着して用いられ、壁体を所定の深さまで穿孔した下穴に、その開口部を封止しながら接着剤を注入するピンニング工法用の注入ノズルであって、下穴に挿入され、先端部にノズル口を有すると共に内部にノズル口に連通する注入流路を有するノズル部と、ノズル部の基部に装着され、開口部を封止する開口封止部と、ノズル部を支持すると共に、内部に注入流路と注入器本体とを連通する接着剤流路を有するノズルボディと、ノズルボディを覆うケーシング部と、を備え、ノズル部およびノズルボディは、樹脂により一体に形成され、開口封止部およびケーシング部は、ノズル部およびノズルボディに対し分解可能に構成されていることを特徴とする。
接着剤を注入するピンニング工法用の注入ノズルでは、接着剤の硬化時間(2時間)を考慮して、適宜、溶剤による洗浄を行う必要がある。洗浄は、注入ノズルの分解、分解した部品の洗浄および洗浄した部品の組立を含む一連の作業となる。
この構成によれば、開口封止部およびケーシング部が、ノズル部およびノズルボディに対し分解可能に構成され、且つノズル部およびノズルボディが一体に形成されているため、分解作業および組立作業を簡単に行うことができる。また、注入流路や接着剤流路を有するノズル部およびノズルボディは、樹脂で一体に形成されており、これを使い捨てとすることができる。このため、ノズル部やノズルボディ、すなわち構成部品の洗浄作業を省略することができる。したがって、一連の洗浄作業に要する時間を短縮することができる。
なお、ノズル部およびノズルボディは、一体に成型されたものであることが好ましい。
この場合、ケーシング部は、相互に分解可能に組み付けられるノズル部側の前ケーシング部、および注入器本体に着脱自在に装着される装着部を含む注入器本体側の後ケーシング部を有し、ノズルボディは、基端部に装着部から突出する本体接続部を有していることが好ましい。
この構成によれば、ケーシング部を、軸方向の前後において2分割することができ、必要な分解作業および組立作業を適切に行うことができる。また、ケーシング部の装着部を介して、ノズル部およびノズルボディを保持したケーシング部を、すなわち注入ノズルを、注入器本体に適切に装着することができる。しかも、この装着に際し、ノズルボディの本体接続部が注入器本体側に入り込むため、接着剤流路と注入器本体側の流路と、を液密に接合することができる。これにより、接着剤の漏れが防止され、ケーシング部への接着剤の付着が防止されるため、開口封止部は元より、ケーシング部の洗浄を省略することが可能となる。
同様に、ケーシング部は、相互に分解可能に組み付けられるノズル部側の前ケーシング部、および注入器本体側の後ケーシング部を有し、ノズルボディは、基端部に注入器本体に着脱自在に装着される装着部を有していることが好ましい。
この構成によれば、ケーシング部を、軸方向の前後において2分割することができ、必要な分解作業および組立作業を適切に行うことができる。また、装着部を介して、ノズル部およびノズルボディを注入器本体に適切に装着することができる。これにより、ケーシング部への接着剤の付着が防止され、開口封止部は元より、ケーシング部の洗浄を省略することが可能となる。
同様に、ノズルボディは、基端部に注入器本体に着脱自在に装着される装着部を有し、ノズル部およびノズルボディは、ケーシング部に対し注入器本体側から着脱自在に装着されていることが好ましい。
この構成によれば、ノズル部およびノズルボディを注入器本体に適切に装着することができる。これにより、ケーシング部への接着剤の付着が防止され、開口封止部は元より、ケーシング部の洗浄を省略することが可能となる。
本発明の他のピンニング工法用の注入ノズルは、注入器本体に装着して用いられ、壁体を所定の深さまで穿孔した下穴に、その開口部を封止しながら接着剤を注入するピンニング工法用の注入ノズルであって、下穴に挿入された状態で下穴の奥部に臨む第1ノズル口および第1ノズル口に連通する第1注入流路と、下穴の開口部近傍に臨む第2ノズル口および第2ノズル口に連通する第2注入流路と、を有する複合ノズル部と、複合ノズル部の基部に装着され、開口部を封止する開口封止部と、複合ノズル部を支持すると共に、内部に第1注入流路および第2注入流路と注入器本体とを連通する接着剤流路を有するノズルボディと、ノズルボディを覆うケーシング部と、を備え、複合ノズル部およびノズルボディは、樹脂により一体に形成され、開口封止部およびケーシング部は、複合ノズル部およびノズルボディに対し分解可能に構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、開口封止部およびケーシング部が、複合ノズル部およびノズルボディに対し分解可能に構成され、且つ複合ノズル部およびノズルボディが一体に形成されているため、分解作業および組立作業を簡単に行うことができる。また、第1・第2注入流路や接着剤流路を有する複合ノズル部およびノズルボディは、樹脂で一体に形成されており、これを使い捨てとすることができる。このため、複合ノズル部やノズルボディ、すなわち構成部品の洗浄作業を省略することができる。したがって、一連の洗浄作業に要する時間を短縮することができる。
なお、複合ノズル部およびノズルボディは、一体に成型されたものであることが好ましい。
この場合、ケーシング部は、相互に分解可能に組み付けられる複合ノズル部側の前ケーシング部、および注入器本体に着脱自在に装着される装着部を含む注入器本体側の後ケーシング部を有し、ノズルボディは、基端部に装着部から突出する本体接続部を有していることが好ましい。
この構成によれば、ケーシング部を、軸方向の前後において2分割することができ、必要な分解作業および組立作業を適切に行うことができる。また、ケーシング部の装着部を介して、複合ノズル部およびノズルボディを保持したケーシング部を、すなわち注入ノズルを、注入器本体に適切に装着することができる。しかも、この装着に際し、ノズルボディの本体接続部が注入器本体側に入り込むため、接着剤流路と注入器本体側の流路と、を液密に接合することができる。これにより、接着剤の漏れが防止され、ケーシング部への接着剤の付着が防止されるため、開口封止部は元より、ケーシング部の洗浄を省略することが可能となる。
同様に、ケーシング部は、相互に分解可能に組み付けられる複合ノズル部側の前ケーシング部、および注入器本体側の後ケーシング部を有し、
前記ノズルボディは、基端部に前記注入器本体に着脱自在に装着される装着部を有していることを特徴とする請求項5に記載のピンニング工法用の注入ノズル。
この構成によれば、ケーシング部を、軸方向の前後において2分割することができ、必要な分解作業および組立作業を適切に行うことができる。また、装着部を介して、複合ノズル部およびノズルボディを注入器本体に適切に装着することができる。これにより、ケーシング部への接着剤の付着が防止され、開口封止部は元より、ケーシング部の洗浄を省略することが可能となる。
同様に、ノズルボディは、基端部に注入器本体に着脱自在に装着される装着部を有し、複合ノズル部およびノズルボディは、ケーシング部に対し注入器本体側から着脱自在に装着されていることが好ましい。
この構成によれば、複合ノズル部およびノズルボディを注入器本体に適切に装着することができる。これにより、ケーシング部への接着剤の付着が防止され、開口封止部は元より、ケーシング部の洗浄を省略することが可能となる。
本発明の他のピンニング工法用の注入ノズルは、注入器本体に装着して用いられ、壁体を所定の深さまで穿孔した下穴に、その開口部を封止しながら接着剤を注入するピンニング工法用の注入ノズルであって、下穴に挿入された状態で下穴の奥部に臨む第1ノズル口および第1ノズル口に連通する第1注入流路と、下穴の開口部近傍に臨む第2ノズル口および第2ノズル口に連通する第2注入流路と、を有する複合ノズル部と、複合ノズル部の基部に装着され、開口部を封止する開口封止部と、複合ノズル部を支持すると共に、内部に第1注入流路および第2注入流路と注入器本体とを連通する接着剤流路を有するノズルボディと、ノズルボディを覆うケーシング部と、を備え、接着剤流路は、第1注入流路に連通する第1接着剤流路と、第2注入流路に連通する第2接着剤流路と、第1注入流路および第2注入流路と注入器本体とを連通する共有接着剤流路と、を有し、ノズルボディは、第1接着剤流路および第2接着剤流路のうち少なくとも第2接着剤流路を開閉する弁機構部を、更に有し、複合ノズル部およびノズルボディは、弁機構部の開閉操作を許容した状態で、樹脂により一体に形成され、開口封止部およびケーシング部は、複合ノズル部およびノズルボディに対し分解可能に構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、開口封止部およびケーシング部が、複合ノズル部およびノズルボディに対し分解可能に構成され、且つ複合ノズル部およびノズルボディが一体に形成されているため、分解作業および組立作業を簡単に行うことができる。また、第1・第2注入流路、第1・第2注接着剤流路および弁機構部を有する複合ノズル部およびノズルボディは、樹脂で一体に形成されており、これを使い捨てとすることができる。このため、複合ノズル部やノズルボディ、すなわち構成部品の洗浄作業を省略することができる。したがって、一連の洗浄作業に要する時間を短縮することができる。
この場合、ケーシング部は、弁機構部の開閉操作部を露出させた状態で、相互に分解可能に組み付けられる複合ノズル部側の前ケーシング部、および注入器本体に着脱自在に装着される装着部を含む注入器本体側の後ケーシング部を有し、ノズルボディは、基端部に装着部から突出する本体接続部を有していることが好ましい。
この構成によれば、ケーシング部を、軸方向の前後において2分割することができ、必要な分解作業および組立作業を適切に行うことができる。また、ケーシング部の装着部を介して、複合ノズル部およびノズルボディを保持したケーシング部を、すなわち注入ノズルを、注入器本体に適切に装着することができる。しかも、この装着に際し、ノズルボディの本体接続部が注入器本体側に入り込むため、接着剤流路と注入器本体側の流路と、を液密に接合することができる。これにより、接着剤の漏れが防止され、ケーシング部への接着剤の付着が防止されるため、開口封止部は元より、ケーシング部の洗浄を省略することが可能となる。
同様に、ケーシング部は、弁機構部の開閉操作部を露出させた状態で、相互に分解可能に組み付けられる複合ノズル部側の前ケーシング部、および注入器本体側の後ケーシング部を有し、ノズルボディは、基端部に注入器本体に着脱自在に装着される装着部を有していることが好ましい。
この構成によれば、ケーシング部を、軸方向の前後において2分割することができ、必要な分解作業および組立作業を適切に行うことができる。また、装着部を介して、複合ノズル部およびノズルボディを注入器本体に適切に装着することができる。これにより、ケーシング部への接着剤の付着が防止され、開口封止部は元より、ケーシング部の洗浄を省略することが可能となる。
同様に、ノズルボディは、基端部に注入器本体に着脱自在に装着される装着部を有し、複合ノズル部およびノズルボディは、ケーシング部に対し注入器本体側から着脱自在に装着されていることが好ましい。
この構成によれば、複合ノズル部およびノズルボディを注入器本体に適切に装着することができる。これにより、ケーシング部への接着剤の付着が防止され、開口封止部は元より、ケーシング部の洗浄を省略することが可能となる。
本発明のピンニング工法は、上記したピンニング工法用の注入ノズルと、注入ノズルが着脱自在に装着される注入器本体と、から成る接着剤注入器を用い、壁体を補修するピンニング工法であって、壁体を所定の深さまで穿孔して下穴を形成する穿孔工程と、接着剤注入器により、下穴の開口部を封止しつつ下穴に接着剤を注入する注入工程と、接着剤が注入された下穴に、アンカーピンを挿入・装着する装着工程と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、接着剤が接する構成部品を使い捨てとすることで、一連の洗浄作業に要する時間を短縮することができる。したがって、注入工程における作業時間を短縮することができ、ピンニング工法の工期を短縮することができる。
第1実施形態に係る注入ノズルと外壁との関係を表した断面模式図である。 第1実施形態に係る注入ノズルを含む接着剤注入器の側面図である。 第1実施形態に係る注入ノズルの裁断側面図である。 第1実施形態に係る注入ノズルの分解側面図である。 第1実施形態の注入ノズルにおける弁機構部の動作説明図であって、第1開放位置に切り替えた図(a)、全開放位置に切り替えた図(b)、および第2開放位置に切り替えた図(c)である。 第1実施形態の第1変形例に係る注入ノズルの部分裁断側面図(a)、および第2変形例に係る注入ノズルの部分裁断側面図(b)である。 弁機構部を全開放位置に切り替えて行われるピンニング工法の作業手順(a)、作業手順(b)、作業手順(c)、作業手順(d)を表した説明図である。 上記作業手順(b)において、注入形態が異なる場合の説明図であって、弁機構部を第1開放位置に切り替えた注入形態の図(a)、および流路切替え機構部を第2開放位置に切り替えた注入形態の図(b)である。 第2実施形態に係る注入ノズルの裁断側面図(a)、およびその分解側面図(b)である。 第1実施形態の変形例に係る注入ノズルの部分裁断側面図である。 第3実施形態に係る注入ノズルの裁断側面図(a)、およびその分解側面図(b)である。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るピンニング工法用の注入ノズル(以下、単に「注入ノズル」と言う)およびこれを用いたピンニング工法について説明する。ピンニング工法における注入ノズルは、これが装着される注入器本体と共に、接着剤を下穴に注入するための接着剤注入器を構成する。ピンニング工法は、「浮き」が生じた建物の外壁や内壁等の壁体の要補修箇所に下穴を穿孔し、この下穴に接着剤注入器を用いて接着剤を注入し、その後、下穴にアンカーピンを装填して、これを補修する(剥落防止)ものである。以下、建物の外壁を例に、これを補修する場合について説明する。
[第1実施形態]
図1は、外壁と接着剤注入器との関係を表した断面模式図である。同図に示すように、外壁1は、コンクリート躯体2と、コンクリート躯体2の表面に塗り付けた下地モルタル3と、下地モルタル3の表面に塗り付けた張付けモルタル4と、張付けモルタル4の表面に張り付けたタイル等の仕上げ材5とで構成されている。なお、仕上げ材5には、大型タイルや規格石(石材)も含まれる。
本実施形態の外壁1では、コンクリート躯体2と下地モルタル3との界面に第1浮き部6aが、下地モルタル3と張付けモルタル4との界面に第2浮き部6bが、さらに張付けモルタル4と仕上げ材5との界面に第3浮き部6cが生じているものとする。外壁1には、これを補修すべく、仕上げ材5、張付けモルタル4および下地モルタル3を貫通し、且つコンクリート躯体2を所定の深さまで穿孔した下穴8が形成されている。そして、外壁1の補修に際し、この下穴8に接着剤注入器10により接着剤Rが注入される。
[接着剤注入器]
ここで、図1および図2を参照して、接着剤注入器10について簡単に説明する。両図に示すように、接着剤注入器10は、接着剤Rを供給するポンプ形式の注入器本体11と、注入器本体11の先端部に着脱自在に装着された注入ノズル12と、で構成されている。
注入器本体11は、有底円筒状の接着剤貯留部15と、接着剤貯留部15が着脱自在に取り付けられたポンプ部16と、ポンプ部16に保持された略「L」字状の操作レバー17とを備えている。ポンプ部16の基端側には、内部に接着剤Rが貯留された接着剤貯留部15が取り付けられ、先端側には注入ノズル12が装着されている。接着剤貯留部15を手持ちすると共に、手動で操作レバー17を操作する(ポンピング)ことにより、ポンプ部16を介して注入ノズル12から接着剤Rが一定量ずつ吐出される。
接着剤Rには、いわゆる2液タイプのエポキシ樹脂接着剤を用いることが好ましい。もっとも、接着剤Rは、粘性を有する無機接着剤であってもよい。なお、注入器本体11は、上記のような、手動でポンプ駆動を行うタイプの他、モーターやエアーアクチュエータ等により自動でポンプ駆動を行うタイプであってもよい。
[注入ノズル]
次に、図3の裁断側面図および図4の分解側面図を参照して、注入ノズル12について詳細に説明する。注入ノズル12は、下穴8に挿入される単一の複合ノズル部21と、複合ノズル部21に装着され下穴8の開口部8aを封止する開口封止部22と、複合ノズル部21を支持するノズルボディ23と、ノズルボディ23を覆うケーシング部24と、を備えている。複合ノズル部21とノズルボディ23とは、一体に形成され、使い捨てユニット20(図4参照)を構成している。また、使い捨てユニット20は、注入器本体11側からケーシング部24に相対的に装着されるようになっている。
[使い捨てユニット]
使い捨てユニット20は、一体に形成された複合ノズル部21とノズルボディ23とから成り、接着剤R(の溶剤)に対し耐薬品性を有する硬質の樹脂等で形成されている。複合ノズル部21は、同軸上においてノズルボディ23の先端から長く延びており、内部には、後述するノズルボディ23の第1接着剤流路41に連通する第1注入流路31が形成されると共に、第2接着剤流路42に連通する第2注入流路32が形成されている。
複合ノズル部21の先端部には、第1注入流路31に連通する第1ノズル口33が形成されている。第1ノズル口33は、下穴8の奥部に接着剤Rを注入する部位であり、斜めにカットした形状に形成されている。また、複合ノズル部21の基端側には、第2注入流路32に連通する第2ズル口34が形成されている。第2ズル口34は、下穴8の開口部8a近傍に接着剤Rを注入する部位であり、斜めにカットした形状に形成されている。そして、第1注入流路31と第2注入流路32とは、同径であって、相互に平行に且つ近接して配設されている。
なお、注入ノズル12を、第1注入流路31(第1ノズル口33)が下、第2注入流路32(第2ズル口34)が上となる姿勢で、注入作業を行うことが好ましい。また、第1注入流路31および第2注入流路32は、ストレート形状としたが、先細りのテーパー形状であってもよい。また、第2注入流路32は、第1注入流路31に比して細径であってもよい。
硬質の樹脂等で形成された複合ノズル部21は、想定される最も深い下穴8に合わせた長さを有し、通常は現場毎の下穴8の深さに合わせて先端側を適宜、カットして用いるようにしている。このため、複合ノズル部21の外周面には、軸方向のカット位置を指標する複数のカットライン37が形成されている(図3参照)。
各カットライン37は、斜めに形成された第1ノズル口33に倣って、複合ノズル部21の外周面に斜めに線引きされている。したがって、このカットライン37に倣って複合ノズル部21を切断することで、新たな斜めの第1ノズル口33が形成される。なお、斜めの第1ノズル口33では、これを下穴8の穴底部に突き当てた状態であっても、接着剤Rを穴底部から円滑に注入することができる。
各カットライン37には、下穴8の深さに対応する数値38が明示されており、例えばこの数値38は、10mm単位或いは5mm単位とすることが好ましい。この場合に数値38は、下穴8の開口部8aから穴底部までの距離であり、接着剤Rの注入に際し、開口部8aを封止する開口封止部22(後述するテーパー部71)の所定の位置からの寸法を表示したものである。作業者は、穿孔した下穴8の深さに合わせて、切断工具により複合ノズル部21を斜めにカットする。
ノズルボディ23は、略円柱状に形成されている。ノズルボディ23の内部には、下流側を第1注入流路31に連通する第1接着剤流路41と、下流側を第2注入流路32に連通する第2接着剤流路42と、上流側を注入器本体11に連通し、下流側を第1接着剤流路41および第2接着剤流路42に連通する共有接着剤流路43が形成されている。
第1注入流路31に対し第1接着剤流路41は偏心しており、第1接着剤流路41は、第1注入流路31よりも太径に形成されている。同様に、第2注入流路32に対し第2接着剤流路42は偏心しており、第2接着剤流路42は、第2注入流路32よりも太径に形成されている。そして、第1接着剤流路41と第2接着剤流路42とは、同径に形成され、且つノズルボディ23の軸心に対し180°点対称位置に配設されている。
ノズルボディ23の基端部には、注入器本体11に着脱自在に装着される装着部45が形成されている。装着部45は、ノズルボディ23の外端面から突出し、その外周面には雄ネジ46が形成され、内周面には、共有接着剤流路43に連なる連通流路47が形成されている。装着部45を介してノズルボディ23を注入器本体11に螺合すると、注入ノズル12が注入器本体11に装着されると共に、連通流路47の上流端が注入器本体11(の流路)に連通する。
また、ノズルボディ23の基端部には、ケーシング部24に装着したノズルボディ23を、ケーシング部24にロック・アンロックするための爪受け部48が形成されている(詳細は、後述する。)。さらに、ノズルボディ23には、第1接着剤流路41と第2接着剤流路42とを選択的に流路切替えする弁機構部50が組み込まれている(詳細は、後述する。)。
ポンピングにより、注入器本体11から送り込まれた接着剤Rは、共有接着剤流路43に送り込まれる。共有接着剤流路43に送り込まれた接着剤Rは、分流し第1接着剤流路41および第2接着剤流路42に導かれる。第1接着剤流路41に導かれた接着剤Rは、第1注入流路31を通って第1ノズル口33から吐出される。同様に、第2接着剤流路42に導かれた接着剤Rは、第2注入流路32を通って第2ノズル口34から吐出される。そして、第1接着剤流路41および第2接着剤流路42は、弁機構部50により選択的に開閉し得るようになっている。
[弁機構部]
図3に示すように、弁機構部50は、第1接着剤流路41を開放し且つ第2接着剤流路42を開放する全開放位置と、第1接着剤流路41を開放し且つ第2接着剤流路42を閉塞する第1開放位置と、第1接着剤流路41を閉塞し且つ第2接着剤流路42を開放する第2開放位置と、の間で接着剤Rの流路を切り替え得るようになっている。
弁機構部50を全開放位置に切り替えると、接着剤Rは第1ノズル口33および第2ノズル口34から吐出され、第1開放位置に切り替えると、接着剤Rは第1ノズル口33からのみ吐出され、さらに第2開放位置に切り替えると、接着剤Rは第2ノズル口34からのみ吐出される。詳細は後述するが、外壁1における「浮き」の発生個所や数等に応じて、接着剤Rの注入形態を適宜変更できるようになっている。
弁機構部50は、第1接着剤流路41および第2接着剤流路42に直交し、内部周面壁に第1接着剤流路41および第2接着剤流路42が上下に開口した円柱空間状の弁座部51と、弁座部51に嵌合し、軸線廻りに回転操作される円柱状の弁体部52と、を有している。弁体部52は、弁座部51に嵌合する弁体部本体54と、段部55を存して弁体部本体54に連なる摘み取付部56と、摘み取付部56に溶着した操作摘み部(開閉操作部)57と、を有している。
また、ノズルボディ23の表面には、弁体部本体54を囲繞するように環状突起58が設けられ、環状突起58には、段部55を介して弁体部本体54を押さえるように環状キャップ59が溶着されている。これにより、弁体部52の回転操作を許容した状態で、弁体部52の弁座部51からの脱落が防止されている。
弁体部本体54には、第1接着剤流路41に対応する第1貫通孔61と、第2接着剤流路42に対応する第2貫通孔62と、が軸線廻りに相互に直交するように貫通形成されている。第1貫通孔61は、第1接着剤流路41と同径に形成され、また第2貫通孔62は、第2接着剤流路42と同径に形成されている(いずれも図5参照)。
操作摘み部57は、弁体部本体54の位置からノズルボディ23の軸方向先方に延在しており、この状態(角度0°)が、上記の第1開放位置に対応している。そして、この第1開放位置から軸線廻りに角度45°回転させた位置が全開放位置に対応し、さらにこの全開放位置から軸線廻りに角度45°回転させた位置(第1開放位置から角度90°回転させた位置)が第2開放位置に対応している(図5参照)。なお、現場における使用頻度は、経験的に第1開放位置、全開放位置、第2開放位置の順となる。
図5は、弁機構部50の切替え操作を表している。第1開放位置において弁体部52は、第1貫通孔61が角度0°の方向を向き、第2貫通孔62が角度90°の方向を向いている(図5(a)参照)。この状態では、第1貫通孔61が第1接着剤流路41に臨み、第1接着剤流路41は開放状態(連通状態)となる。一方、第2貫通孔62は第2接着剤流路42から外れ、第2接着剤流路42は閉塞状態(非連通状態)となる。したがって、接着剤Rは、第1ノズル口33からのみ吐出される。
第1開放位置から操作摘み部57を角度45°左廻りに回転させた全開放位置では、弁体部52は、第1貫通孔61が角度45°の方向を向き、第2貫通孔62が角度逆45°の方向を向いている(図5(b)参照)。この状態では、第1貫通孔61が第1接着剤流路41に斜めに臨むと共に、第2貫通孔62が第2接着剤流路42に斜めに臨んでいる。これにより、第1接着剤流路41は開放状態(連通状態)となり、第2接着剤流路42も開放状態(連通状態)となる。したがって、接着剤Rは、第1ノズル口33および第2ノズル口34からそれぞれ吐出される。
全開放位置から操作摘み部57を更に角度45°(第1開放位置から角度90°)左廻りに回転させた第2開放位置では、弁体部52は、第1貫通孔61が角度90°の方向を向き、第2貫通孔62が角度0°の方向を向いている(図5(c)参照)。この状態では、第1接着剤流路41は閉塞状態(非連通状態)となり、第2接着剤流路42は開放状態(連通状態)となる。したがって、接着剤Rは、第2ノズル口34からのみ吐出される。なお、操作摘み部57は、図示では左廻りに回転操作されるようになっているが、右廻りに回転操作されるものであってもよい。
このように、使い捨てユニット20は、複合ノズル部21とノズルボディ23とから成るが、複合ノズル部21およびノズルボディ23は、弁機構部50の開閉操作を許容した状態で、樹脂により一体に形成されている。
[開口封止部]
図3および図4に示すように、開口封止部22は、接着剤Rの注入に際し下穴8の開口部8aを封止する部位であり、フッ素ゴム等の耐薬品性の弾性材料で形成されている。開口封止部22は、開口部8aを直接封止するテーパー形状のテーパー部71と、テーパー部71の基端側に連なるストレート部72と、ストレート部72の基端側に連なるフランジ部73と、で一体に形成されている。そして、開口封止部22は、複合ノズル部21の基端部に嵌め入れるようにして装着され、そのフランジ部73がケーシング部24とノズルボディ23とのより挟まれるようにして、支持されている。
[ケーシング部]
ケーシング部24は、ノズルボディ23の保護カバーを構成するものであり、ステンレスやスチール等で形成されている。ケーシング部24は、ノズルボディ23を覆うケーシング部本体75と、ケーシング部本体75の先端に連なり、開口封止部22のフランジ部53を押さえる引付け部76と、を有している。
ケーシング部本体75には、ノズルボディ23を装着するときに、ノズルボディ23の弁機構部50を逃げる大切欠き部77が形成されている。大切欠き部77は、ケーシング部本体75の基端から切り込むようにして形成され、弁機構部50の環状キャップ59の部分を受容すべく、環状キャップ59よりも僅かに広幅に形成されている。
また、ケーシング部本体75には、大切欠き部77と180°点対称位置において、小切欠き部78が形成されている。小切欠き部78もケーシング部本体75の基端から切り込むようにして形成されており、この小切欠き部78には、ケーシング部24に装着したノズルボディ23を、ケーシング部24にロック・アンロックするロック機構81が設けられている。
ロック機構81は、小切欠き部78の臨むロック爪82と、ノズルボディ23に形成された上記の爪受け部48とで構成されている。ロック爪82は、板バネで構成され、ノズルボディ23に固定されるクランク状の取付け片部84、取付け片部84から延びる爪片部85と、爪片部85から延びる解除片部86と、で一体に形成されている。
注入器本体11側からケーシング部24にノズルボディ23を(相対的に)装着すると、爪片部85がノズルボディ23の爪受け部48に落ち込んで(入り込んで)、ノズルボディ23がケーシング部24にロックされる。このロック状態では、ケーシング部24とノズルボディ23とが一体化すると共に、開口封止部22のフランジ部73がケーシング部24の引付け部76とノズルボディ23の先端との間に強く引き避けられ、開口封止部22もケーシング部24およびノズルボディ23と一体化する(図3参照)。
一方、この状態から、解除片部86を径方向外側に引くと、爪片部85が爪受け部48から抜け出し、ノズルボディ23は、ケーシング部24から離脱可能となる。すなわち、ケーシング部24、ノズルボディ23および開口封止部22が分解可能となる(図4参照)。
ここで、図6を参照して、第1実施形態の変形例について説明する。図6(a)は、第1変形例の注入ノズル12を表し、図6(b)は、第2変形例の注入ノズル12を表している。
図6(a)に示すように、第1変形例の注入ノズル12では、ケーシング部24が、相互に分解可能に組み付けられる2分割の構造を有している。すなわち、ケーシング部24は、複合ノズル部21側の前ケーシング部94と、注入器本体11側の後ケーシング部95と、を有している。前ケーシング部94には、先端側に引付け部76が一体に形成され、基端側に上記と同様に、ノズルボディ23の弁機構部50を逃げる大切欠き部77が形成されている。また、前ケーシング部94の基端側には、分割雄ネジ部96が形成されている。
一方、後ケーシング部95には、先端側に上記の分割雄ネジ部96に対応する分割雌ネジ部97が形成されている。また、後ケーシング部95の基端側には、上記の引付け部76に対応する押さえ部98が一体に形成されている。そして、押さえ部98には、上記ノズルボディ23の装着部45が貫通している。
開口封止部22のフランジ部73および使い捨てユニット20のノズルボディ23を内包した状態で、前ケーシング部94と後ケーシング部95とを相互に螺合すると、弁機構部50の操作摘み部57を露出させた状態(開閉操作可能)で、注入ノズル12が一体に組み立てられる。一方、この状態から、前ケーシング部94と後ケーシング部95との螺合を解くと、前ケーシング部94と後ケーシング部95とが分解されると共に、使い捨てユニット20および開口封止部22が分解可能となる。
図6(b)に示すように、第2変形例の注入ノズル12では、後ケーシング部95の基端部に、押さえ部98に連なるようにして、注入器本体11に着脱自在に装着される装着部99が形成されている。これに対応して、ノズルボディ23には、装着部99の内周面に嵌合する本体接続部101が形成されている。
本体接続部101は、装着部99の先端からわずかに突出しており、この突出した部分には、装着部99の先端に係合する断面鏃状の環状係合部102が形成されている。注入ノズル12を注入器本体11に装着すべく、装着部99を注入器本体11の雌ねじ部分に螺合すると、本体接続部101の先端が注入器本体11側の雌ねじの端に密接し、共有接着剤流路43と注入器本体11側の流路とが、液密に連通する。
このように、第1変形例および第2変形例の注入ノズル12は、ケーシング部24が、2分割の構造を有しているため、ロック機構81が省略されている。また、ケーシング部24(特に、後ケーシング部95)が、接着剤に接触しない構造となっている。
[ピンニング工法]
次に、図7および図8を参照して、上記の接着剤注入器10を用いたピンニング工法について説明する。このピンニング工法では、前工程として、ハンマー等により外壁1を打鍵して第1浮き部6a、第2浮き部6bおよび第3浮き部6cを探査し、下穴8の穿孔位置(タイルの中心部表面にマーキング)および穿孔深さが決定されているものとする。なお、後述する注入工程において、図7では、上記の全開放位置に切替えた注入形態について、図8(a)では、第1開放位置に切替えた注入形態について、図8(b)では、第2開放位置に切替えた注入形態について、それぞれ説明する。
ピンニング工法は、外壁1を所定の深さまで穿孔して下穴8を形成する穿孔工程(図7(a)参照)と、接着剤注入器10により、下孔8の開口部8aを封止しつつ下孔8に接着剤Rを注入する注入工程(図7(b)および(c)参照)と、接着剤Rが注入された下孔8に、アンカーピン91を挿入・装着する装着工程(図7(d)参照)と、を備えている。
穿孔工程では、ダイヤモンドビットを装着した電動ドリル等の穿孔工具92を使用し、上記のマーキングに倣って外壁1に下穴8を穿孔する。具体的には、仕上げ材5(タイル)、張付けモルタル4および下地モルタル3を貫通してコンクリート躯体2を所定の深さまで穿孔し、下穴8を形成する(図7(a)参照)。その際、穿孔は外壁1に対し直角に行い、コンクリート躯体2への穿孔深さは30mm以上とする。また、下穴8は、アンカーピン91が遊挿できるように、アンカーピン91よりも一回り大きい径(1〜2mm太径)とする。なお、後述するアンカーピン91を用いる場合には、この時点で、球形の研削ビットを用い、下穴8の開口部8aを面取りしておく。
下穴8を形成した後には、下穴8に残った切削粉等をブロアー等の噴気で清掃し除去する。もっとも、穿孔に際し冷却水を用い、切削粉を冷却水と共に排水除去できる場合には、清掃は省略される。なお、この時点で内視鏡等を用い、下穴8を介して第1浮き部6a、第2浮き部6bおよび第3浮き部6cを確認することが好ましい。ここでは、第1浮き部6a、第2浮き部6bおよび第3浮き部6cが確認できたものとし、弁機構部50を全開放位置に切替えて接着剤Rの注入を行う。
注入工程では、先ず複合ノズル部21を下穴8に挿入してゆく。この挿入の過程において、複合ノズル部21の先端が下穴8の穴底に到達するタイミングで、開口封止部22が下穴8の開口部8aに達し、そのテーパー部71により開口部8aが封止される。この状態では、複合ノズル部21の第1ノズル口33が下穴8の奥部に位置すると共に、第2ノズル口34が下穴8の開口部8a近傍に位置することとなる(図7(b)参照)。
ここで、注入器本体11の操作レバー17を操作(ポンピング)し、接着剤Rを注入ノズル12に送り込んで、下穴8への接着剤Rの注入を開始する(図7(b)参照)。接着剤Rの注入を開始すると、接着剤Rは、第1ノズル口33から吐出され、下穴8の奥部から満たされ、第1浮き部6aに円状に広がるようにして充填され、さらに第2浮き部6bに円状に広がるようにして充填されてゆく。同様に、接着剤Rは、第2ノズル口34から吐出され、第3浮き部6cに円状に広がるようにして充填されてゆく(図7(c)参照)。
このようにして、接着剤Rが、下穴8、第1浮き部6a、第2浮き部6bおよび第3浮き部6cに行き渡ると、ポンピング操作が重くなり、接着剤Rが適切に注入されたことが体感される。ここで、開口封止部22を下穴8から引き離すと共に、複合ノズル部21を下穴8からゆっくり引き抜く。なお、本実施形態では、下穴8の奥部から接着剤Rの注入を行うため、奥部にエアー溜りが生ずることが無く、複合ノズル部21の引き抜きの際に、接着剤Rが下穴8の開口部8aから漏れ出ることもない。
装着工程では、接着剤Rが注入された下穴8にアンカーピン91を挿入・装着する。この場合のアンカーピン91は、ピン軸部91aを全ネジとし、ピン頭部91bを皿状としたものが好ましい。また、ピン頭部91bは、仕上げ材5と同色に着色されたものが好ましい。下穴8に挿入したアンカーピン91は、そのピン頭部91bが開口部8aの面取り部分に没入し、その天面が仕上げ材5の表面と面一となったところで、装着を完了する(図7(d)参照)。なお、この面一は、好ましくは挿入の最終段階で、ピン頭部91bにヘラ等を突き当て押し込むことで達成される。そして、アンカーピン91の装着が完了したら、接着剤Rが硬化するまで養生を行う。
図8(a)は、弁機構部50を第1開放位置に切替えて行う注入形態である。第1浮き部6aおよび第2浮き部6bの2箇所に「浮き」が生じている場合を想定している。接着剤Rの注入を開始すると、接着剤Rは、複合ノズル部21の第1ノズル口33から吐出され、下穴8の奥部から満たされ、続いて第1浮き部6aに円状に広がるようにして充填され、さらに第2浮き部6bに円状に広がるようにして充填されてゆく。接着剤Rが、下穴8、第1浮き部6aおよび第2浮き部6bに行き渡ると、ポンピング操作が重くなり、接着剤Rが適切に注入されたことが体感される。
図8(b)は、弁機構部50を第2開放位置に切替えて行う注入形態である。第1浮き部6a、第2浮き部6bおよび第3浮き部6cの3箇所に「浮き」が生じている場合や、第1浮き部6aおよび第3浮き部6cの2箇所に「浮き」が生じている場合であって(図示のものは、3箇所に「浮き」)、特に第3浮き部6cの容積が極端に大きい場合を想定している(例えば、大型タイルや規格石の「ダンゴ張り」等)。
この場合には、上記した全開放位置における接着剤Rの注入をある程度行った後、接着剤注入器10の注入姿勢を維持したまま、操作摘み部57を第2開放位置に切り替えて、接着剤Rの注入を続行する。すなわち、接着剤Rが、下穴8、第1浮き部6aおよび第2浮き部6bに行き渡った段階で、操作摘み部57を全開放位置から第2開放位置に切り替える。ここで接着剤Rの注入を続行すると、接着剤Rは、第2ノズル口34からのみ吐出し、第3浮き部6cに円状に広がるようにして充填される。
以上のように、第1実施形態によれば、複合ノズル部21とノズルボディ23とが一体の使い捨てユニット20を構成し、この使い捨てユニット20に対し、開口封止部22およびケーシング部24が分解可能に構成されている。このため、注入ノズル12の一連の洗浄作業において、注入ノズル12の分解および組立を簡単且つ短時間で行うことができる。また、使い捨てユニット20を使い捨てることで、複合ノズル部21およびノズルボディ23の洗浄を省略することができる。しかも、開口封止部22およびケーシング部24には、構造上、接着剤Rが直接接触することがなく、開口封止部22およびケーシング部24の洗浄も省略することができる。したがって、洗浄作業に要する時間を極端に短縮することができ、ピンニング工法の工期を短縮することができる。
また、弁機構部50により、接着剤Rを、第1ノズル口33および第2ノズル口34から吐出させる場合、第1ノズル口33のみから吐出される場合、および第2ノズル口34のみから吐出させる場合の、3つの注入形態を執ることができる。したがって、外壁1に生ずる「浮き」の数や発生個所等の性状に合わせて、接着剤Rを効率良く注入することができる。
なお、使い捨てユニット20は、弁体部52および環状キャップ59を除いた全体を成形型や3Dプリンタを用いて形成し、その後、これに弁体部52を組み込み、環状キャップ59を溶着することが好ましい。また、弁機構部50は、第2接着剤流路42のみを開閉するものであってもよい。かかる場合には、接着剤Rを、第1ノズル口33および第2ノズル口34から吐出させる場合、および第1ノズル口33のみから吐出される場合、の2つの注入形態を執ることができる。
[第2実施形態]
次に、図9を参照して、第2実施形態に係る注入ノズル12Aについて説明する。なお、第2実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。第2実施形態の注入ノズル12Aは、弁機構部50がなく、接着剤Rを単純に第1ノズル口33と第2ノズル口34との2箇所から吐出できるようになっている。
注入ノズル12Aは、第1実施形態と同様に、複合ノズル部21と、開口封止部22と、ノズルボディ23と、ケーシング部24と、を備えている。複合ノズル部21とノズルボディ23とは、一体に形成され、使い捨てユニット20(図9(b)参照)を構成している。この場合も、使い捨てユニット20は、接着剤R(の溶剤)に対し耐薬品性を有する硬質の樹脂等で形成されている。
また、複合ノズル部21には、第1実施形態と同様に、下穴8の奥部に接着剤Rを注入するための第1ノズル口33および第1注入流路31が形成されると共に、下穴8の開口部8a近傍に接着剤Rを注入するための第2ズル口34および第2注入流路32が形成されている。そして、複合ノズル部21は、穿孔した下穴8の深さに合わせて斜めにカットするようになっている。
ノズルボディ23には、第1注入流路31に連通する短い第1接着剤流路41と、第2注入流路32に連通する短い第2接着剤流路42と、上流側を注入器本体11に連通し、下流側を第1接着剤流路41および第2接着剤流路42に連通する長い共有接着剤流路43が形成されている。詳細は後述するが、この実施形態では、後述するように、注入器本体11に着脱自在に装着される装着部109が、ケーシング部24に形成されており、これに対応して、ノズルボディ23には、装着部109の内周面に嵌合する本体接続部101が形成されている。
本体接続部101は、装着部109の先端からわずかに突出しており、この突出した部分には、装着部109の先端に係合する断面鏃状の環状係合部102が形成されている。注入ノズル12Aを注入器本体11に装着すべく、装着部109を注入器本体11の雌ねじ部分に螺合すると、本体接続部101の先端が注入器本体11側の雌ねじの端に密接し、共有接着剤流路43と注入器本体11側の流路とが、液密に連通する。
ケーシング部24は、上記の第2変形例と同様に、相互に分解可能に組み付けられる複合ノズル部21側の前ケーシング部104と、注入器本体11に着脱自在に装着される注入器本体11側の後ケーシング部105と、を有している。前ケーシング部104には、先端側に引付け部76が形成され、内側に連結雌ネジ部107が形成されている。後ケーシング部105には、先端側に連結雌ネジ部107に対応する連結雄ネジ部108が形成され、基端側に注入器本体11に装着される装着部109が形成されている。
開口封止部22のフランジ部73および使い捨てユニット20のノズルボディ23を内包した状態で、前ケーシング部104と後ケーシング部105とを相互に螺合すると、注入ノズル12Aが一体に組み立てられる(図9(a)参照)。一方、この状態から、前ケーシング部104と後ケーシング部105との螺合を解くと、前ケーシング部104と後ケーシング部105とが分解されると共に、使い捨てユニット20および開口封止部22が分解可能となる(図9(b)参照)。
[変形例]
ここで、図10を参照して、第2実施形態の変形例に係る注入ノズル12Aについて説明する。この変形例では、第1実施形態と同様に、ケーシング部24は一体に形成され、使い捨てユニット20は、ケーシング部24に対し注入器本体11側から着脱自在に装着されるようになっている。
このため、注入器本体11に装着される装着部45は、ケーシング部24ではなくノズルボディ23に形成されている。また、ノズルボディ23には、爪受け部48が形成され、ケーシング部24には、ロック爪82が設けられている。すなわち、ケーシング部24に装着された使い捨てユニット20は、第1実施形態と同様に、ロック機構81により、ケーシング部24にロック・アンロックされるようになっている。
このように構成された第2実施形態の注入ノズル12Aでは、接着剤Rが第1ノズル口33と第2ノズル口34の2箇所から吐出されることになる。したがって、ピンニング工法における接着剤Rの注入形態は、図7に示す形態(全開放位置)となり、外壁1に第1浮き部6a、第2浮き部6bおよび第3浮き部6cが生じている場合や、第1浮き部6aおよび第3浮き部6cが生じている場合に有用となる。
以上のように、第2実施形態によれば、使い捨てユニット20に対し、開口封止部22およびケーシング部24が分解可能に構成されため、注入ノズル12Aの一連の洗浄作業において、注入ノズル12Aの分解および組立を簡単且つ短時間で行うことができる。また、使い捨てユニット20を使い捨てることで、複合ノズル部21およびノズルボディ23の洗浄を省略することができる。しかも、開口封止部22およびケーシング部24には、構造上、接着剤Rが直接接触することがなく、開口封止部22およびケーシング部24の洗浄も省略することができる。したがって、洗浄作業に要する時間を極端に短縮することができ、ピンニング工法の工期を短縮することができる。
なお、特に図示しないが、第2実施形態においても、後ケーシング部105を上記の図6(a)のような形態(第1実施形態の第1変形例)とすることも可能である。また、使い捨てユニット20は、成形型や3Dプリンタを用いて形成することが好ましい。
[第3実施形態]
次に、図11を参照して、第3実施形態に係る注入ノズル12Bについて説明する。なお、第3実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。第3実施形態の注入ノズル12Bは、弁機構部50がなく、第2実施形態の注入ノズル12Aよりも更に単純な構造を有している。
注入ノズル12Bは、複合ノズル部21に代わる単純構造のノズル部21Aと、開口封止部22と、ノズルボディ23と、ケーシング部24と、を備えている。ノズル部21Aとノズルボディ23とは、一体に形成され、使い捨てユニット20(図11(b)参照)を構成している。この場合も、使い捨てユニット20は、接着剤R(の溶剤)に対し耐薬品性を有する硬質の樹脂等で形成されている。
また、ノズル部21Aには、下穴8の奥部に接着剤Rを注入するためのノズル口111および注入流路112が形成され、単一の流路構成となっている。このため、ノズルボディ23には、注入流路112と同軸上において、単一の接着剤流路113が形成されている。接着剤流路113は、注入流路112に連通する注入流路112と同径の細径接着剤流路113aと、細径接着剤流路113aに連通する太径接着剤流路113bとから成り、太径接着剤流路113bの上流端が注入器本体11の流路に連通する。
この場合も、注入器本体11に着脱自在に装着される装着部109が、ケーシング部24に形成されており、これに対応して、ノズルボディ23には、装着部109の内周面に嵌合する本体接続部101が形成されている。本体接続部101は、装着部109の先端からわずかに突出しており、この部分に環状係合部102が形成されている。注入ノズル12Bを注入器本体11に装着すべく、装着部109を注入器本体11の雌ねじ部分に螺合すると、本体接続部101の先端が注入器本体11側の雌ねじの端に密接し、接着剤流路113(太径接着剤流路113b)と注入器本体11側の流路とが、液密に連通する。
そして、第2実施形態と同様に、ケーシング部24は、相互に分解可能に組み付けられる前ケーシング部104と後ケーシング部105とを有し、後ケーシング部105には、注入器本体11に装着される装着部109が形成されている。
なお、この場合も、ノズル部21Aは、穿孔した下穴8の深さに合わせて斜めにカットするようになっている。
開口封止部22のフランジ部73および使い捨てユニット20のノズルボディ23を内包した状態で、前ケーシング部104と後ケーシング部105とを相互に螺合すると、注入ノズル12Bが一体に組み立てられる(図11(a)参照)。一方、この状態から、前ケーシング部104と後ケーシング部105との螺合を解くと、前ケーシング部104と後ケーシング部105とが分解されると共に、使い捨てユニット20および開口封止部22も分解可能となる(図11(b)参照)。
なお、ここでは図示しないが、第3実施形態でも、第2実施形態の変形例と同様に、使い捨てユニット20が、ケーシング部24に対し注入器本体11側から着脱自在に装着される構造とすることが可能である。言うまでもないが、かかる場合には、注入器本体11に装着される装着部45は、ノズルボディ23に形成され、ケーシング部24に装着された使い捨てユニット20は、ロック機構81により、ロック・アンロックされる。
また、第3実施形態においても、後ケーシング部105を上記の図6(a)のような形態(第1実施形態の第1変形例)とすることも可能である。
このように構成された第3実施形態の注入ノズル12Bでは、接着剤Rが単一のノズル口111からのみ吐出されることになる。したがって、ピンニング工法における接着剤Rの注入形態は、図8(a)に示す形態(第1開放位置)となり、外壁1に第3浮き部6cが生じていない場合に有用となる。
以上のように、第3実施形態によれば、使い捨てユニット20に対し、開口封止部22およびケーシング部24が分解可能に構成されため、注入ノズル12Bの一連の洗浄作業において、注入ノズル12Bの分解および組立を簡単且つ短時間で行うことができる。また、使い捨てユニット20を使い捨てることで、ノズル部21Aおよびノズルボディ23の洗浄を省略することができる。しかも、開口封止部22およびケーシング部24には、構造上、接着剤Rが直接接触することがなく、開口封止部22およびケーシング部24の洗浄も省略することができる。したがって、洗浄作業に要する時間を極端に短縮することができ、ピンニング工法の工期を短縮することができる。
なお、使い捨てユニット20は、成形型や3Dプリンタを用いて形成することが好ましい。
1…外壁、8…下穴、8a…開口部、10…接着剤注入器、11…注入器本体、12,12A,12B…注入ノズル、20…使い捨てユニット、21…複合ノズル部、21A…ノズル部、22…開口封止部、23…ノズルボディ、24…ケーシング部、31…第1注入流路、32…第2注入流路、33…第1ノズル口、34…第1ノズル口、41…第1接着剤流路、42…第2接着剤流路、43…共有接着剤流路、45…装着部、50…弁機構部、81…ロック機構、91…アンカーピン、101…本体接続部、94,104…前ケーシング部、95,105…後ケーシング部、99,109…装着部、111…ノズル口、112…注入流路、113…接着剤流路、R…接着剤。

Claims (13)

  1. 注入器本体に装着して用いられ、壁体を所定の深さまで穿孔した下穴に、その開口部を封止しながら接着剤を注入するピンニング工法用の注入ノズルであって、
    前記下穴に挿入され、先端部にノズル口を有すると共に内部に前記ノズル口に連通する注入流路を有するノズル部と、
    前記ノズル部の基部に装着され、前記開口部を封止する開口封止部と、
    前記ノズル部を支持すると共に、内部に前記注入流路と前記注入器本体とを連通する接着剤流路を有するノズルボディと、
    前記ノズルボディを覆うケーシング部と、を備え、
    前記ノズル部および前記ノズルボディは、樹脂により一体に形成され、
    前記開口封止部および前記ケーシング部は、前記ノズル部および前記ノズルボディに対し分解可能に構成されていることを特徴とするピンニング工法用の注入ノズル。
  2. 前記ケーシング部は、相互に分解可能に組み付けられる前記ノズル部側の前ケーシング部、および前記注入器本体に着脱自在に装着される装着部を含む前記注入器本体側の後ケーシング部を有し、
    前記ノズルボディは、基端部に前記装着部から突出する本体接続部を有していることを特徴とする請求項1に記載のピンニング工法用の注入ノズル。
  3. 前記ケーシング部は、相互に分解可能に組み付けられる前記ノズル部側の前ケーシング部、および前記注入器本体側の後ケーシング部を有し、
    前記ノズルボディは、基端部に前記注入器本体に着脱自在に装着される装着部を有していることを特徴とする請求項1に記載のピンニング工法用の注入ノズル。
  4. 前記ノズルボディは、基端部に前記注入器本体に着脱自在に装着される装着部を有し、
    前記ノズル部および前記ノズルボディは、前記ケーシング部に対し前記注入器本体側から着脱自在に装着されていることを特徴とする請求項1に記載のピンニング工法用の注入ノズル。
  5. 注入器本体に装着して用いられ、壁体を所定の深さまで穿孔した下穴に、その開口部を封止しながら接着剤を注入するピンニング工法用の注入ノズルであって、
    前記下穴に挿入された状態で前記下穴の奥部に臨む第1ノズル口および前記第1ノズル口に連通する第1注入流路と、前記下穴の前記開口部近傍に臨む第2ノズル口および前記第2ノズル口に連通する第2注入流路と、を有する複合ノズル部と、
    前記複合ノズル部の基部に装着され、前記開口部を封止する開口封止部と、
    前記複合ノズル部を支持すると共に、内部に前記第1注入流路および前記第2注入流路と前記注入器本体とを連通する接着剤流路を有するノズルボディと、
    前記ノズルボディを覆うケーシング部と、を備え、
    前記複合ノズル部および前記ノズルボディは、樹脂により一体に形成され、
    前記開口封止部および前記ケーシング部は、前記複合ノズル部および前記ノズルボディに対し分解可能に構成されていることを特徴とするピンニング工法用の注入ノズル。
  6. 前記ケーシング部は、相互に分解可能に組み付けられる前記複合ノズル部側の前ケーシング部、および前記注入器本体に着脱自在に装着される装着部を含む前記注入器本体側の後ケーシング部を有し、
    前記ノズルボディは、基端部に前記装着部から突出する本体接続部を有していることを特徴とする請求項5に記載のピンニング工法用の注入ノズル。
  7. 前記ケーシング部は、相互に分解可能に組み付けられる前記複合ノズル部側の前ケーシング部、および前記注入器本体側の後ケーシング部を有し、
    前記ノズルボディは、基端部に前記注入器本体に着脱自在に装着される装着部を有していることを特徴とする請求項5に記載のピンニング工法用の注入ノズル。
  8. 前記ノズルボディは、基端部に前記注入器本体に着脱自在に装着される装着部を有し、
    前記複合ノズル部および前記ノズルボディは、前記ケーシング部に対し前記注入器本体側から着脱自在に装着されていることを特徴とする請求項5に記載のピンニング工法用の注入ノズル。
  9. 注入器本体に装着して用いられ、壁体を所定の深さまで穿孔した下穴に、その開口部を封止しながら接着剤を注入するピンニング工法用の注入ノズルであって、
    前記下穴に挿入された状態で前記下穴の奥部に臨む第1ノズル口および前記第1ノズル口に連通する第1注入流路と、前記下穴の前記開口部近傍に臨む第2ノズル口および前記第2ノズル口に連通する第2注入流路と、を有する複合ノズル部と、
    前記複合ノズル部の基部に装着され、前記開口部を封止する開口封止部と、
    前記複合ノズル部を支持すると共に、内部に前記第1注入流路および前記第2注入流路と前記注入器本体とを連通する接着剤流路を有するノズルボディと、
    前記ノズルボディを覆うケーシング部と、を備え、
    前記接着剤流路は、前記第1注入流路に連通する第1接着剤流路と、前記第2注入流路に連通する第2接着剤流路と、前記第1注入流路および前記第2注入流路と前記注入器本体とを連通する共有接着剤流路と、を有し、
    前記ノズルボディは、前記第1接着剤流路および前記第2接着剤流路のうち少なくとも前記第2接着剤流路を開閉する弁機構部を、更に有し、
    前記複合ノズル部および前記ノズルボディは、前記弁機構部の開閉操作を許容した状態で、樹脂により一体に形成され、
    前記開口封止部および前記ケーシング部は、前記複合ノズル部および前記ノズルボディに対し分解可能に構成されていることを特徴とするピンニング工法用の注入ノズル。
  10. 前記ケーシング部は、前記弁機構部の開閉操作部を露出させた状態で、相互に分解可能に組み付けられる前記複合ノズル部側の前ケーシング部、および前記注入器本体に着脱自在に装着される装着部を含む前記注入器本体側の後ケーシング部を有し、
    前記ノズルボディは、基端部に前記装着部から突出する本体接続部を有していることを特徴とする請求項9に記載のピンニング工法用の注入ノズル。
  11. 前記ケーシング部は、前記弁機構部の開閉操作部を露出させた状態で、相互に分解可能に組み付けられる前記複合ノズル部側の前ケーシング部、および前記注入器本体側の後ケーシング部を有し、
    前記ノズルボディは、基端部に前記注入器本体に着脱自在に装着される装着部を有していることを特徴とする請求項9に記載のピンニング工法用の注入ノズル。
  12. 前記ノズルボディは、基端部に前記注入器本体に着脱自在に装着される装着部を有し、
    前記複合ノズル部および前記ノズルボディは、前記ケーシング部に対し前記注入器本体側から着脱自在に装着されていることを特徴とする請求項9に記載のピンニング工法用の注入ノズル。
  13. 請求項1ないし12のいずれかに記載のピンニング工法用の注入ノズルと、前記注入ノズルが着脱自在に装着される前記注入器本体と、から成る接着剤注入器を用い、前記壁体を補修するピンニング工法であって、
    前記壁体を所定の深さまで穿孔して前記下穴を形成する穿孔工程と、
    前記接着剤注入器により、前記下穴の開口部を封止しつつ前記下穴に接着剤を注入する注入工程と、
    接着剤が注入された前記下穴に、アンカーピンを挿入・装着する装着工程と、を備えたことを特徴とするピンニング工法。
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