JP2020122383A - ピンニング工法用の注入ノズルおよびこれを用いたピンニング工法 - Google Patents
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この注入ノズルは、注入器本体に装着され、内部に注入器本体に連なる接着剤流路を有するノズルボディと、ノズルボディの先端から突出するように且つ進退自在に設けられ、接着剤流路に連通するノズル内筒と、を備えている。また、ノズルボディは、間隙を存してノズル内筒を保持するノズル外筒と、ノズル外筒を囲繞する共に挿填穴の開口部を封止する封止部材と、を有している。そして、ノズル内筒の内部には第1注入流路が構成され、ノズル内筒の先端には第1注入流路に連なる吐出口が形成されている。また、ノズル内筒とノズル外筒との間隙には第2注入流路が構成され、ノズル外筒の先端には第2注入流路に連なる漏出口が形成されている。
封止部材により挿填穴の開口部を封止しつつ挿填穴に接着剤を注入してゆくと、接着剤は、第1注入流路を通ってノズル内筒の吐出口から吐出され、挿填穴の最深部から徐々に満たされてゆく。また、接着剤は、第2注入流路を通ってノズル外筒の漏出口から吐出され、挿填穴の手前から満たされてゆく。これにより、接着剤は、挿填穴に充填されると共に、挿填穴に連なる複数の「浮き部」にも充填される。
一方、従来のピンニング工法用の注入ノズルでは、接着剤が、第1注入流路に連なるノズル内筒の吐出口から吐出されると共に、第2注入流路に連なるノズル外筒の漏出口から吐出される。このため、張付けモルタルとタイルとの界面を含む複数個所に「浮き部」が生じている壁体に対し、接着剤を効率良く注入することができる。しかし、張付けモルタルとタイルとの界面に生じた「浮き部」の容積が大きい場合(例えば、大型タイルや規格石の「ダンゴ張り」)や、張付けモルタルとタイルとの界面に「浮き部」が生じていない場合には、接着剤を効率良く注入することができない問題があった。
したがって、壁体において、下穴の開口部近傍を含む複数個所に「浮き部」が発生している場合には、流路切替え機構部を全開放位置に切り替え、下穴の開口部近傍に「浮き部」が発生していない場合には、流路切替え機構部を第1開放位置に切り替えて、接着剤の注入を行うことができる。さらに、下穴の開口部近傍に生じた「浮き部」の容積が大きい場合には、流路切替え機構部を、注入途中から第2開放位置に切り替えて、接着剤の注入を行うことができる。このように、壁体に生ずる「浮き部」の数や発生個所等の性状に合わせて、接着剤を効率良く注入することができる。
この構成によれば、注入ノズルを洗浄した後の組立てにおいて、次作業における壁体の「浮き部」の性状に合わせて、接着剤の注入形態を調整することができる。具体的には、壁体において、下穴の開口部近傍を含む複数個所に「浮き部」が発生している場合には、第1Oリングを装着して第1接着剤流路を開放すると共に、第2Oリングを装着して第2接着剤流路を開放する。これにより、第1ノズル口および第2ノズル口から接着剤の注入するようにする。また、下穴の開口部近傍に「浮き部」が発生していない場合には、第1Oリングを装着して第1接着剤流路を開放すると共に、第2パッキンを装着して第2接着剤流路を閉塞する。これにより、第1ノズル口からのみ接着剤の注入するようにする。さらに、下穴の開口部近傍にのみ「浮き部」が発生している場合には、第1パッキンを装着して第1接着剤流路を閉塞すると共に、第2Oリングを装着して第2接着剤流路を開放する。これにより、第2ノズル口からのみ接着剤の注入するようにする。このように、接着剤の流路を変更することで、壁体に生ずる「浮き部」の数や発生個所等の性状に合わせて、接着剤を効率良く注入することができる。
図1は、外壁と接着剤注入器との関係を表した断面模式図である。同図に示すように、外壁1は、コンクリート躯体2と、コンクリート躯体2の表面に塗り付けた下地モルタル3と、下地モルタル3の表面に塗り付けた張付けモルタル4と、張付けモルタル4の表面に張り付けたタイル等の仕上げ材5とで構成されている。なお、仕上げ材5には、大型タイルや規格石(石材)も含まれる。
ここで、図1および図2を参照して、接着剤注入器10について簡単に説明する。両図に示すように、接着剤注入器10は、接着剤Rを供給するポンプ形式の注入器本体11と、注入器本体11の先端部に着脱自在に装着されたピンニング工法用の注入ノズル12と、で構成されている。
次に、図3の構造図および図4の分解図を参照して、注入ノズル12について詳細に説明する。注入ノズル12は、注入器本体11に装着される装着部21と、装着部21に連なるノズルボディ22と、ノズルボディ22の先端部に取り付けられた開口封止部23と、ノズルボディ22に支持され、開口封止部23を軸方向に貫通して先方に延びる第1ノズル部24と、第1ノズル部24と開口封止部23との間隙に構成された第2ノズル部25と、を備えている。
第1ノズル部24は、下穴8に挿入され下穴8の奥部に接着剤Rを注入する部位であり、ステンレスやスチール等の細径の金属パイプにより、注射針様に形成されている。第1ノズル部24の基端部には、ロート状に拡開した規制部31が形成され、先端部には斜めにカットした第1ノズル口32が形成されている。また、第1ノズル部24の内部には、後述するノズルボディ22の第1接着剤流路61に連通する第1注入流路33が構成されている。そして、第1ノズル部24は、軸方向において、後述するノズルボディ22のノズル保持部64に進退自在(スライド自在)に保持され、開口封止部23を遊嵌状態で貫通し、開口封止部23から大きく突出している。
開口封止部23は、接着剤Rの注入に際し下穴8の開口部8aを封止する部位であり、下穴8の開口部8aを封止する封止部本体35と、封止部本体35をノズルボディ22に締結する締結部36と、を備えている。封止部本体35は、開口部8aを直接封止するテーパー形状のテーパー部41と、テーパー部41の基端側に連なるストレート部42と、環状の外周段部43を存してストレート部42の基端側に連なるボディ接合部44と、で一体に形成されている。そして、封止部本体35は、フッ素ゴム等の耐薬品性の弾性材料で形成され、締結部36は、ステンレスやスチール等で形成されている。
第2ノズル部25は、下穴8の開口部8a近傍に接着剤Rを注入する部位であり、封止部本体35に形成された上記の遊嵌孔47と第1ノズル部24との間隙に構成された第2注入流路55と、第2注入流路55に連通し、封止部本体35の先端と第1ノズル部24との間に構成された環状の第2ノズル口56と、有している。そして、第2注入流路55は、後述するノズルボディ22の第2接着剤流路62に連通している。上述のように、第1ノズル部24は、ノズルボディ22のノズル保持部64にがたつきなく保持されており、第1ノズル部24と封止部本体35との間に構成された第2注入流路55の流路断面は、適切に維持されている。
ノズルボディ22は、ステンレスやスチール等で略円柱状に形成されている。ノズルボディ22の内部には、下流側を第1ノズル部24の第1注入流路33に連通する第1接着剤流路61と、下流側を第2ノズル部25の第2注入流路55に連通する第2接着剤流路62と、上流側を注入器本体11に連通し下流側を第1接着剤流路61および第2接着剤流路62に連通する共有接着剤流路63と、が形成されている。また、ノズルボディ22の内部には、第1接着剤流路61の下流端から延びる嵌合孔65で構成された上記のノズル保持部64が形成されている。さらに、ノズルボディ22には、第1接着剤流路61と第2接着剤流路62とを選択的に流路切替えするバルブ形式の流路切替え機構部66が組み込まれている。なお、流路切替え機構部66については、後に詳述する。
装着部21は、注入ノズル12を注入器本体11に装着する部位であり、ステンレスやスチール等で形成されている。装着部21は、ノズルボディ22の後方雄ネジ部75に螺合する有底円筒状の装着部本体81と、装着部本体81の外端面に突設した装着ネジ部82と、で一体に形成されている。また、装着部本体81および装着ネジ部82の軸心部には、連通流路83が形成されている。
ここで、図3ないし図5を参照して、流路切替え機構部66について詳細に説明する。流路切替え機構部66は、相互に平行に配設した第1直線流路部61a(第1接着剤流路61)および第2直線流路部62aに臨み、第1接着剤流路61と第2接着剤流路62とを選択的に流路切替え可能に構成されている。具体的には、流路切替え機構部66は、第1接着剤流路61を開放し且つ第2接着剤流路62を開放する全開放位置と、第1接着剤流路61を開放し且つ第2接着剤流路62を閉塞する第1開放位置と、第1接着剤流路61を閉塞し且つ第2接着剤流路62を開放する第2開放位置と、の間で接着剤Rの流路を切り替え得るようになっている。なお、第1直線流路部61aと第2直線流路部62aとは相互に平行に配設され、且つ同径に形成されている。
ここで、図6を参照して、第1実施形態の第1変形例に係る流路切替え機構部66について説明する。この変形例では、弁体部92において、第1貫通孔97が第1直線流路部61aと同径に形成されると共に、第2貫通孔98が第2直線流路部62aと同径に形成されている。また、上記と同様に、第1貫通孔97と第2貫通孔98とは、軸線廻りにおいて相互に直交している。
流路切替え機構部66の切替え操作は、例えば図1において、第1浮き部6a、第2浮き部6bおよび第3浮き部6cのうち、第1浮き部6aおよび第2浮き部6bの2箇所に「浮き」が生じている場合には、操作摘み部95を第1開放位置に切り替えて、接着剤Rを第1ノズル部24からのみ吐出させる。また、第1浮き部6a、第2浮き部6bおよび第3浮き部6cの3箇所に「浮き」が生じている場合や、第1浮き部6aおよび第3浮き部6cの2箇所に「浮き」が生じている場合には、操作摘み部95を全開放位置に切り替えて、接着剤Rを第1ノズル部24および第2ノズル部25から吐出させる。
次に、図9および図10を参照して、上記の接着剤注入器10を用いたピンニング工法について説明する。このピンニング工法では、前工程として、ハンマー等により外壁1を打鍵して第1浮き部6a、第2浮き部6bおよび第3浮き部6cを探査し、下穴8の穿孔位置(タイルの中心部表面にマーキング)および穿孔深さが決定されているものとする。なお、後述する注入工程において、図9では、上記の全開放位置に切替えた注入形態について、図10(a)では、第1開放位置に切替えた注入形態について、図10(b)では、第2開放位置に切替えた注入形態について、それぞれ説明する。
次に、図11を参照して、第2実施形態に係る注入ノズル12Aについて説明する。なお、第2実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。第2実施形態の注入ノズル12Aは、流路切替え機構部66Aの弁座部91Aと弁体部92Aとがネジ機構を構成しておらず、単に弁座部91Aに弁体部92Aが回転可能に嵌合している。
次に、図12および図13を参照して、第3実施形態に係る注入ノズル12Bについて説明する。なお、第3実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。第3実施形態の注入ノズル12Bでは、流路切替え機構部66Bが、第1直線流路部61aおよび第2直線流路部62aと、共有接着剤流路63との境界部分に配設されている。また、弁体部92Bにおいて、上記の第1貫通孔97および第2貫通孔98に代えて、単一の長円状貫通孔121が形成されている。
次に、図14を参照して、第4実施形態に係る注入ノズル12Cについて説明する。なお、第4実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。第4実施形態の注入ノズル12Cでは、流路切替え機構部66Cが、シリンダー状の弁座部91Cと、プランジャー状の弁体部92Cとを有し、弁座部91Cに対し弁体部92Cをスライド(進退)させることにより、切替え操作される。
次に、図15および図16を参照して、第5実施形態に係る注入ノズル12Dについて説明する。なお、第5実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。第5実施形態の注入ノズル12Dでは、流路切替え機構部66Dが、第1直線流路部61aおよび第2直線流路部62aと、共有接着剤流路63との境界部分に配設されている。また、弁体部92Dが、ノズルボディ22の軸線廻りに回動操作されるようになっている。
次に、図17を参照して、第6実施形態に係る注入ノズル12Eについて説明する。なお、第6実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。第6実施形態の注入ノズル12Eでは、上記の複数の実施形態とは異なり、流路切替え機構部66に代えて、流路開閉アタッチメント150が設けられている。
次に、図18を参照して、第7実施形態に係る注入ノズル12Fについて説明する。なお、第7実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。第7実施形態の注入ノズル12Fでは、ノズルボディ22および流路切替え機構部66Fが、接着剤R(の溶剤)に対し耐薬品性を有する樹脂で形成されている。また、ノズルボディ22は、ステンレスやスチールで形成されたケーシンク部171により、覆われている。
Claims (11)
- 注入器本体に装着して用いられ、
壁体を所定の深さまで穿孔した下穴に、その開口部を封止しながら接着剤を注入するピンニング工法用の注入ノズルであって、
前記下穴の奥部に臨む第1ノズル口と、
前記下穴の前記開口部近傍に臨む第2ノズル口と、
前記第1ノズル口に連通する第1接着剤流路と、
前記第2ノズル口に連通する第2接着剤流路と、
前記第1接着剤流路を開放し且つ前記第2接着剤流路を開放する全開放位置と、前記第1接着剤流路を開放し且つ前記第2接着剤流路を閉塞する第1開放位置と、前記第1接着剤流路を閉塞し且つ前記第2接着剤流路を開放する第2開放位置と、の相互間で接着剤の流路を切り替える流路切替え機構部と、を備えたことを特徴とするピンニング工法用の注入ノズル。 - 上流側を前記注入器本体に連通し、下流側を前記第1接着剤流路および前記第2接着剤流路に連通する共有接着剤流路と、
前記第1ノズル口を有すると共に、前記第1接着剤流路に連通する第1注入流路を有する第1ノズル部と、
前記第2ノズル口を有すると共に、前記第2接着剤流路に連通する第2注入流路を有する第2ノズル部と、
前記第1ノズル部および前記第2ノズル部を保持すると共に、前記第1接着剤流路、前記第2接着剤流路および前記共有接着剤流路が形成されたノズルボディと、を備え、
前記第1接着剤流路および前記第2接着剤流路は、相互に平行に配設され且つ上流端を前記共有接着剤流路に連通する第1直線流路部および第2直線流路部を有し、
前記流路切替え機構部は、前記ノズルボディにおいて、前記第1直線流路部と前記第2直線流路部との途中部分に介設され、または前記第1直線流路部および前記第2直線流路部と前記共有接着剤流路との境界部分に介設されていることを特徴とする請求項1に記載のピンニング工法用の注入ノズル。 - 前記流路切替え機構部は、
前記第1直線流路部および前記第2直線流路部に直交し、内部周面壁に前記第1直線流路部および前記第2直線流路部が開口する円柱空間状の弁座部と、前記弁座部に嵌合し、軸線廻りに回転操作される円柱状の弁体部と、を有し、
前記弁体部は、
前記第1直線流路部に対応する第1貫通孔と、前記第2直線流路部に対応する第2貫通孔と、を有し、
前記弁体部は、前記全開放位置、前記第1開放位置および前記第2開放位置に対応して、3つの回転角度位置に回転操作可能に構成され、
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とは、前記3つの回転角度位置において、それぞれ前記全開放位置、前記第1開放位置および前記第2開放位置となるように、軸線廻りの貫通角度が異なることを特徴とする請求項2に記載のピンニング工法用の注入ノズル。 - 前記ノズルボディおよび前記流路切替え機構部が、樹脂で形成されていることを特徴とする請求項3に記載のピンニング工法用の注入ノズル。
- 前記流路切替え機構部は、
前記第1直線流路部および前記第2直線流路部に直交し、内部周面壁に前記第1直線流路部および前記第2直線流路部が開口する円柱空間状の弁座部と、前記弁座部に嵌合すると共に、軸線廻りに回転操作される円柱状の弁体部と、を有し、
前記弁体部は、
前記第1直線流路部に対応する第1切欠き溝と、前記第2直線流路部に対応する第2切欠き溝と、を有し、
前記弁体部は、前記全開放位置、前記第1開放位置および前記第2開放位置に対応して、3つの回転角度位置に回転操作可能に構成され、
前記第1切欠き溝と前記第2切欠き溝とは、前記3つの回転角度位置において、それぞれ前記全開放位置、前記第1開放位置および前記第2開放位置となるように、軸線廻りの切欠き角度が異なることを特徴とする請求項2に記載のピンニング工法用の注入ノズル。 - 前記流路切替え機構部は、
前記第1直線流路部および前記第2直線流路部に直交し、内部周面壁に前記第1直線流路部および前記第2直線流路部が開口する円柱空間状の弁座部と、前記弁座部に嵌合すると共に、軸線廻りに回転操作される円柱状の弁体部と、を有し、
前記弁体部は、前記第1直線流路部および前記第2直線流路部に対応する単一且つ断面長円状を為す長円状貫通孔を有し、
前記弁体部は、前記全開放位置、前記第1開放位置および前記第2開放位置に対応して、3つの回転角度位置に回転操作可能に構成され、
前記長円状貫通孔は、前記3つの回転角度位置において、それぞれ前記全開放位置、前記第1開放位置および前記第2開放位置となるように、軸方向に対し斜めに延在していることを特徴とする請求項2に記載のピンニング工法用の注入ノズル。 - 前記弁座部は、雌ネジ状を為し、
前記弁体部は、前記弁座部に螺合する雄ネジ状を為していることを特徴とする請求項3、5または6のいずれかに記載のピンニング工法用の注入ノズル。 - 前記流路切替え機構部は、
前記第1直線流路部および前記第2直線流路部に直交し、内部周面壁に前記第1直線流路部および前記第2直線流路部が開口するシリンダー状の弁座部と、前記弁座部に嵌合すると共に、軸方向にスライド操作されるプランジャー状の弁体部と、を有し、
前記弁体部は、
前記第1直線流路部および前記第2直線流路部に選択的に臨む第1環状溝および第2環状溝を有し、
前記弁体部は、前記全開放位置、前記第1開放位置および前記第2開放位置に対応して、3つの進退位置にスライド操作可能に構成され、
前記第1環状溝と前記第2環状溝とは、前記3つの進退位置において、それぞれ前記全開放位置、前記第1開放位置および前記第2開放位置となるように、前記第1直線流路部と前記第2直線流路部との離間寸法と同寸法、軸方向に離間して配設されていることを特徴とする請求項2に記載のピンニング工法用の注入ノズル。 - 前記流路切替え機構部は、
前記第1直線流路部および前記第2直線流路部に直交し、内部端面壁に前記第1直線流路部および前記第2直線流路部が開口する円柱空間状の弁座部と、前記弁座部に嵌合すると共に、軸線廻りに回動操作される円柱状の弁体部と、を有し、
前記弁体部は、同軸上において、前記第1直線流路部および前記第2直線流路部に対応する単一且つ断面円弧状を為す円弧状貫通孔を有し、
前記弁体部は、前記全開放位置、前記第1開放位置および前記第2開放位置に対応して、3つの回動角度位置に回動操作可能に構成され、
前記円弧状貫通孔は、前記3つの回転角度位置において、それぞれ前記全開放位置、前記第1開放位置および前記第2開放位置となるように、前記第1直線流路部と前記第2直線流路部との中間点を中心とする略半円の円弧状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のピンニング工法用の注入ノズル。 - 注入器本体に装着して用いられ、
壁体を所定の深さまで穿孔した下穴に、その開口部を封止しながら接着剤を注入するピンニング工法用の注入ノズルであって、
前記下穴の奥部に臨む第1ノズル口と、
前記下穴の前記開口部近傍に臨む第2ノズル口と、
前記第1ノズル口に連通する第1接着剤流路と、
前記第2ノズル口に連通する第2接着剤流路と、
上流側を前記注入器本体に連通し、下流側を前記第1接着剤流路および前記第2接着剤流路に連通する共有接着剤流路と、
前記第1接着剤流路および前記第2接着剤流路と前記共有接着剤流路との間に介設した流路開閉アタッチメントと、を備え、
前記流路開閉アタッチメントは、
前記第1接着剤流路と前記共有接着剤流路との間に選択的に介設される、流路閉塞用の第1パッキンおよび流路開放用の第1Oリングと、
前記第2接着剤流路を前記共有接着剤流路との間に選択的に介設される、流路閉塞用の第2パッキンおよび流路開放用の第2Oリングと、
介設した前記第1パッキンまたは前記第1Oリングと、介設した前記第2パッキンまたは前記第2Oリングと、を前記共有接着剤流路側から押さえるアタッチメント本体と、を有することを特徴とするピンニング工法用の注入ノズル。 - 請求項1ないし10のいずれかに記載のピンニング工法用の注入ノズルと、前記注入ノズルが着脱自在に装着された前記注入器本体と、から成る接着剤注入器を用い、前記壁体を補修するピンニング工法であって、
前記壁体を所定の深さまで穿孔して前記下穴を形成する穿孔工程と、
前記接着剤注入器により、前記下穴の開口部を封止しつつ前記下穴に接着剤を注入する注入工程と、
接着剤が注入された前記下穴に、アンカーピンを挿入・装着する装着工程と、を備えたことを特徴とするピンニング工法。
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