JP2020030237A - 反射防止膜、光学素子及び反射防止膜の成膜方法 - Google Patents
反射防止膜、光学素子及び反射防止膜の成膜方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2020030237A JP2020030237A JP2018154155A JP2018154155A JP2020030237A JP 2020030237 A JP2020030237 A JP 2020030237A JP 2018154155 A JP2018154155 A JP 2018154155A JP 2018154155 A JP2018154155 A JP 2018154155A JP 2020030237 A JP2020030237 A JP 2020030237A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- optical
- optical element
- optical surface
- convex
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
- C23C14/00—Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material
- C23C14/06—Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material characterised by the coating material
- C23C14/08—Oxides
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
- C23C14/00—Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material
- C23C14/22—Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material characterised by the process of coating
- C23C14/24—Vacuum evaporation
-
- G—PHYSICS
- G02—OPTICS
- G02B—OPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
- G02B1/00—Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
- G02B1/10—Optical coatings produced by application to, or surface treatment of, optical elements
- G02B1/11—Anti-reflection coatings
- G02B1/113—Anti-reflection coatings using inorganic layer materials only
- G02B1/115—Multilayers
-
- G—PHYSICS
- G02—OPTICS
- G02B—OPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
- G02B1/00—Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
- G02B1/10—Optical coatings produced by application to, or surface treatment of, optical elements
- G02B1/18—Coatings for keeping optical surfaces clean, e.g. hydrophobic or photo-catalytic films
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Optics & Photonics (AREA)
- General Physics & Mathematics (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Metallurgy (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Inorganic Chemistry (AREA)
- Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
- Physical Vapour Deposition (AREA)
Abstract
Description
L<5 ……(1)
(Δa2+Δb2)1/2<5 ……(2)
本件発明に係る反射防止膜は、最大傾斜角度が25°以上である凸の光学面を有する光学素子の、当該凸の光学面側に設ける多層構造を備える反射防止膜であって、前記多層構造を構成する各光学薄膜は、任意の箇所の充填率が90%以上であり、CIE1976のL*a*b*表色系におけるL値が以下の条件式(1)を満たし、任意の2箇所におけるa値の差Δa及び当該2箇所におけるb値の差をΔbが以下の条件式(2)を満たす。
L<5 ……(1)
(Δa2+Δb2)1/2<5 ……(2)
p=(neff−nair)/(ns−nair)
但し、上述した式において、
p:光学薄膜の充填率
neff:光学薄膜の実効屈折率
nair:空気の屈折率
ns:膜に空隙が存在しないときの膜本来の屈折率又はメーカ推奨値
cos(5θ/6)≦d(min)/d(max)≦1.0 …(3)
但し、θは、測定箇所における凸の光学面の傾斜角度である。
cos(θ/2)≦d(min)/d(max)≦1.0 …(4)
次に、反射防止膜の成膜方法の実施の形態を説明する。本件発明に係る反射防止膜の成膜方法は、光学素子の最大傾斜角度が25°以上である凸の光学面側に多層構造を備える反射防止膜を形成するための成膜方法であって、光学素子を回転させながら、当該光学素子の前記凸の光学面側に、成膜ソースからの成膜材料を堆積させて膜を形成する成膜工程と、回転する前記光学素子の前記凸の光学面側に、イオン源からのイオン又はプラズマ源からのプラズマを光軸に対して傾斜した方向から照射することにより、前記凸の光学面側に堆積した成膜材料を除去しつつ、前記膜を緻密化し、前記イオン源又は前記プラズマ源に近い側の前記凸の光学面の領域によって、前記イオン源又は前記プラズマ源から遠い側の前記凸の光学面の領域への前記イオン又は前記プラズマの入射を遮蔽する照射工程とを備え、前記成膜工程と前記照射工程とを行うことにより、前記光学素子の前記凸の光学面側に前記多層構造を構成する各光学薄膜を形成する。
成膜工程は、以下のようにして行う。本実施形態では、蒸着源51にAl2O3を用いて第1層の光学薄膜2aを形成する。支持基体42の自転軸L1及び光学素子ホルダ43の自転軸L2を回転軸として光学素子11を回転させた状態で、蒸着源51を加熱して蒸着物質(Al2O3)を蒸発させる。蒸着物質は、光学素子11の光学面11a上に堆積して膜を形成する。蒸着物質は、光学面11a上に様々な方向から入射するが、主に光軸OAに対して傾斜した方向D1から光学面11aに入射する。光学素子11が上述のように回転しているため、光学素子11の光学面11a上に形成される膜の膜厚分布は、上述したd=d0cosθの式に概ね対応する。すなわち、光学面11a上に形成される膜は、中心部で最も膜厚が厚く、中心部から周辺部に近付くにつれて膜厚が薄くなる。
照射工程は、以下のようにして行う。支持基体42の自転軸L1及び光学素子ホルダ43の自転軸L2を回転軸として光学素子11を回転させた状態で、イオン銃61によってイオンを照射する。イオンが光学素子11の光学面11a上に堆積した蒸着物質に衝突すると、堆積した蒸着物質にエネルギーが付与される。その結果、イオンが衝突した箇所では、イオンが成膜をアシストするものとして作用し、光学面11a上に形成された膜が緻密化される。さらに、光学面11a上に堆積した蒸着物質が除去され、膜が減厚される。蒸着物質に衝突したイオンは、その一部が何らかの形態で膜の中に残存する。
本件発明に係る光学素子は、最大傾斜角度が25°以上である凸の光学面に、上述した反射防止膜を備えることを特徴とする。本件発明によれば、上述した反射防止膜を備えることにより、外観上の製品性が高く、ゴーストの少ない光学素子を提供することができる。光学素子としては、撮影光学素子や投影光学素子を挙げることができ、具体的には、レンズとして、例えば、一眼レフカメラの交換レンズやデジタルカメラ(DSC)に搭載されるレンズ、携帯電話機に搭載されるデジタルカメラ用のレンズ、照射系のプロジェクター用レンズ、車等のヘッドライト用の自由曲面レンズ、レーザー加工用レンズやアキシコンレンズ、DVD、CD、ブルーレイ用のピックアップレンズ、携帯電話やスマートフォンのカメラに用いられるレンズ等、各種のレンズを挙げることができる。
光学素子11として、図4に示す形状のものを用いた。図4に示す光学素子11において、凸の光学面11a上で光軸OAからの距離Dが15mmとなる位置で傾斜角度を測定したところ、その傾斜角度は60°であった。このことから、本実施例で用いた光学素子11における凸の光学面11aの最大傾斜角度は60°以上である。本実施例では、材質がTAF1である光学素子11を用いた。
まず、光学素子ホルダ43の自転軸L2の周囲に2個以上の光学素子11を配置し、光学素子ホルダ43を傾けて成膜面43aが鉛直方向に対して20°傾く姿勢を保持した。支持基体42を自転させつつ、光学素子ホルダ43を自転させることにより、光学素子11を回転させた。成膜室31内に流量20sccmの酸素ガスを導入して1.5×10−2Paの真空度に調整した。そして、光学素子11を温度250℃に加熱した状態で、上述の成膜工程と照射工程とを繰り返し行うことにより、各光学薄膜2a〜2gを成膜した。
本比較例では、実施例1とは異なる一般的な成膜装置を用いて光学素子11の凸の光学面11a上に7層の光学薄膜2a〜2gからなる反射防止膜1を形成した。
このドームは、実施例1で用いた光学素子ホルダとは異なり、ドーム形状となっている。ドームは、上に凸となる姿勢で成膜室の天井壁に吊り下げられ、その中心を回転軸として回転する。ドームは、内側の凹面が成膜面であり、当該成膜面に光学素子11が配置される。本比較例で用いたドームには、成膜面の回転軸の周囲に300個以上の光学素子11を配置できる。成膜面が凹面であることにより、成膜面に取り付けられた光学素子11は、その光軸OAが鉛直方向に対して配置によって5〜30°傾いた姿勢となる。
本比較例では、光学素子ホルダ43での光学素子11の取り付け位置を変更した点と、イオン銃61の照射条件を変更した点とを除いて、実施例1と全く同一にして、光学素子11の凸の光学面11a上に7層の光学薄膜2a〜2gからなる反射防止膜1を形成した。本比較例では、まず、光学素子ホルダ43の自転軸L2上に1個の光学素子11を配置した。そして、イオン銃61によって照射されたイオンが、光軸OAに対して角度β=20°の方向から光学素子11の光学面11aに入射するように、イオン銃61の設置場所を変更した。これに伴い、イオンの光学面11aへの入射方向と光軸OAとのなす角度βが20°になった。さらに、イオン銃61によるイオン照射では、Arガスは導入せずに、酸素ガスをイオン化して照射した。このとき、イオン銃61の加速電圧は700Vとした。
本比較例では、光学素子ホルダ43での光学素子11の取り付け位置を変更した点を除いて、比較例2と全く同一にして、光学素子11の凸の光学面11a上に7層の光学薄膜2a〜2gからなる反射防止膜1を形成した。本比較例では、実施例1と同様に、光学素子ホルダ43の自転軸L2の周囲であって自転軸L2と光学素子11の光軸OAが一致しない位置に、2個以上の光学素子11を配置した。
本比較例では、イオン銃61の照射条件を変更した点を除いて、実施例2と全く同一にして、光学素子11の凸の光学面11a上に7層の光学薄膜2a〜2gからなる反射防止膜1を形成した。本比較例では、比較例2と同様に、イオン銃61によるイオン照射を行うとき、Arガスは導入せずに、酸素ガスをイオン化して照射し、加速電圧は700Vとした。
得られた実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例4の反射防止膜1について、以下の評価を行った。
(1)光学薄膜の膜厚分布
反射防止膜1を構成する各層の光学薄膜2a〜2gについて、断面SEMによって膜厚を測定し、膜厚分布を求めた。膜厚の測定は、光学薄膜2a〜2gの、光学面11a上で傾斜角度が0°、25°、35°、45°、60°である箇所に対応する箇所に対して行った。各層の光学薄膜2a〜2gの膜厚分布は、その層が何番目の層であるかに関係なく、材質が同一であればほぼ同一であった。そして、光学薄膜の材質毎の膜厚分布から、光学薄膜2a〜2gの平均膜厚分布を求めた。結果を図6に示す。図6中の破線は、d(min)/d(max)=cos(5/6θ)を示している。θは測定箇所の傾斜角度である。
まず、得られた各層の光学薄膜2a〜2gについて、大塚電子株式会社製の反射分光膜厚計FE3000を用いて、各層の反射率を測定した。続いて、得られた反射率データと(1)で求めた物理膜厚から屈折率を算出した。それ以外にも各層の光学薄膜2a〜2gの成膜に用いた材料毎に、それらの成膜と同様の方法で、光学面11a上に単層膜を形成した。材料毎の単層膜について、J. A. Woollam社のエプリソメータM−2000を用いて各層の屈折率と膜厚を算出し、それらの屈折率及び膜厚が、FE3000及びSEMから算出した各光学薄膜2a〜2gの屈折率及び膜厚と一致することを確認した。屈折率及び膜厚の算出は、単層膜の、光学面11a上で傾斜角度が0°、25°、35°、45°、60°である箇所に対応する箇所に対して行った。そして、上述したThin-films optical filtersの式(p=(neff−nair)/(ns−nair))によって、各層の光学薄膜の充填率を算出した。充填率の算出は、各層の光学薄膜2a〜2gの、光学面11a上で傾斜角度が0°、25°、35°、45°、60°である箇所に対応する箇所に対して行った。ここで、Thin-films optical filtersの式において、neff(光学薄膜の屈折率)は、シミュレーションによって求めた光学薄膜2a〜2gの材料毎の屈折率である。nair(空気の屈折率)は1である。ns(膜に空隙が存在しないときの膜本来の屈折率)は、Al2O3は1.64であり、La2O3+TiO2は2.10であり、SiO2は1.48であり、Nb2O5は2.30である。これらはメーカのカタログ値や文献から調べることができる。図7に、光学薄膜2a〜2gの材質別の光学薄膜のうち、充填率が最も低い光学薄膜の結果を示す。図7中の破線は、充填率が90%であることを示している。
実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例4の反射防止膜1について、大塚電子株式会社製の反射分光膜厚計FE−3000によって、反射率を粗測定し、CIE1976のL*a*b*表色系におけるL値、a値及びb値を求めた。L値、a値及びb値の測定は、反射防止膜1の、光学面11a上で傾斜角度が0°、25°、35°、45°、60°である箇所に対応する箇所に対して行った。そして、測定した5箇所のうちの2箇所を選択し、その2箇所におけるa値の差Δa及びb値の差Δbから、上述した条件式(2)の左辺である(Δa2+Δb2)1/2の値を算出し、その最大値を求めた。結果を表1に示す。
実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例4の反射防止膜1について、大塚電子株式会社製の反射分光膜厚計FE−3000によって分光反射率を測定した。分光反射率の測定は、反射防止膜1の、光学面11a上で傾斜角度が0°、25°、35°、45°、60°である箇所に対応する箇所を、測定箇所とした。そして、反射防止膜1の中央部への入射光の入射角度を0°とし、入射光の波長域を350nm以上850nm以下の範囲内で変化させながら行った。結果を図8から図10に示す。
実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例4の反射防止膜1について、上述の分光反射率の測定を行った後、温度60℃及び湿度90%の環境下に240時間静置した。その後、分光反射率を再び測定し、その変化を調べた。ここでは、反射防止膜1の、光学面11a上で傾斜角度が0°である箇所に対応する箇所を、測定箇所とした。結果を表1及び図11から図13に示す。
以下、各実施例及び比較例の評価結果について述べる。
(1)光学薄膜の膜厚分布に関する評価結果
図6を参照しながら、実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例4の光学薄膜2a〜2gの膜厚分布について述べる。図6(a)に示すように、実施例1〜実施例5の光学薄膜2a〜2gは、測定箇所の傾斜角度θが大きくなるにつれて、膜厚比d(min)/d(max)が徐々に小さくなっていくものの、傾斜角度θが0°以上60°以下の範囲で、膜厚比がcos(5θ/6)以上且つ1.0以下であって上記条件式(3)を満たしている。特に、実施例1〜実施例5の光学薄膜2a〜2gは、傾斜角度θが60°である測定箇所でも膜厚比が0.91以上である。以上のことから、実施例1〜実施例5の光学薄膜2a〜2gは、中心部から周辺部までの全体に亘って膜厚均一性に優れている。
図7を参照しながら、実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例4の光学薄膜2a〜2gの充填率について述べる。図7(a)に示すように、実施例1〜実施例5の光学薄膜2a〜2gは、傾斜角度θが0°以上60°以下の測定箇所で、90%以上の充填率を実現している。光学薄膜2a〜2gにおける高い充填率は、空隙が少ないことを意味する。
表1を参照しながら、実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例4の反射防止膜1のL*a*b*表色系について述べる。実施例1〜実施例5の反射防止膜1は、傾斜角度θに関係なく、L値が常に5未満である。このことから、実施例1〜実施例5の反射防止膜1は、傾斜角度θが0°以上60°以下であるいずれの箇所においても、反射が抑制されていることが理解できる。そして、実施例1〜実施例5の反射防止膜1は、条件式(2)の左辺である(Δa2+Δb2)1/2の値が5未満である。このことから、実施例1〜5の反射防止膜1は、中心部から周辺部までの全体に亘って反射色のムラが小さいことが理解できる。
図8から図10を参照しながら、実施例1〜実施例2及び比較例1の反射防止膜1の分光反射率について述べる。図8に示すように、実施例1の反射防止膜1では、傾斜角度θに関係なく、入射角度0°の波長420nm以上680nm以下の光に対する反射率が0.6%以下である。このことから、実施例1の反射防止膜1は、中心部から周辺部までの全体に亘って、反射防止特性に非常に優れることが理解できる。また、図9に示すように、実施例2の反射防止膜1では、傾斜角度θに関係なく、入射角度0°の波長420nm以上680nm以下の光に対する反射率が1%以下である。このことから、実施例2の反射防止膜1もまた、中心部から周辺部までの全体に亘って、反射防止特性に優れることが理解できる。
表1及び図11から図13を参照しながら、実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例4の反射防止膜1の信頼性について述べる。まず、表1に示すように、実施例1〜実施例5、比較例1及び比較例4の反射防止膜1は、信頼性試験の前後、すなわち、温度60℃及び湿度90%の環境下に240時間静置した前後で、反射特性が変化しなかった。図11及び図12にも、実施例1及び実施例2の反射防止膜1では反射特性が変化しなかったことが示されている。一方、表1に示すように、比較例2〜比較例3の反射防止膜1は、反射特性が悪化していた。図13にも、比較例2の反射防止膜1では反射特性が悪化したことが示されている。そして、表1に示すように、実施例1〜実施例5の反射防止膜1は、耐久性試験によってキズは生じず、耐久性に優れる。これに対し、比較例2及び比較例3の反射防止膜1は、キズが生じており、耐久性に劣る。以上のことから、実施例1〜実施例5の反射防止膜1は、比較例2〜比較例3の反射防止膜1と比較して、信頼性に優れることが理解できる。
以上の結果から、実施例1〜実施例5の反射防止膜1は、中心部から周辺部までの全体に亘って反射率が低くて反射色のムラが小さく、耐久性に優れることが明らかになった。そして、反射防止膜1における反射の抑制及び反射色のムラの抑制には、反射防止膜1を構成する光学薄膜2a〜2gの膜厚分布が関連することが明らかになった。反射防止膜1の耐久性には、光学薄膜2a〜2gの充填率が関連することが明らかになった。さらに、実施例2と実施例3とを比較すると、本実施例の方法で成膜した反射防止膜1は、その上に機能層が存在するか否かによらず、反射を抑制し、反射色のムラを小さくすることができることが理解できる。また、実施例2と実施例4とを比較すると、本実施例の方法で成膜した反射防止膜1は、光学面11aとの間に保護層が存在するか否かによらず、反射を抑制し、反射色のムラを小さくすることができることが理解できる。
2 光学薄膜
2a 第1層の光学薄膜
2b 第2層の光学薄膜
2c 第3層の光学薄膜
2d 第4層の光学薄膜
2e 第5層の光学薄膜
2f 第6層の光学薄膜
2g 第7層の光学薄膜
11 光学素子
11a 凸の光学面
51,111 蒸着源
61,121 イオン銃(イオン源)
D1 蒸着物質が凸の光学面側へ入射するときの入射方向
D2 イオン又はプラズマが凸の光学面側へ入射するときの入射方向
OA 光学素子の光軸
α 光学素子の光軸に対して蒸着物質の入射方向がなす角度
β 光学素子の光軸に対してイオン又はプラズマの入射方向がなす角度
Claims (13)
- 最大傾斜角度が25°以上である凸の光学面を有する光学素子の、当該凸の光学面側に設ける多層構造を備える反射防止膜であって、
前記多層構造を構成する各光学薄膜は、任意の箇所の充填率が90%以上であり、
CIE1976のL*a*b*表色系におけるL値が以下の条件式(1)を満たし、任意の2箇所におけるa値の差Δa及び当該2箇所におけるb値の差をΔbが以下の条件式(2)を満たすことを特徴とする反射防止膜。
L<5 ……(1)
(Δa2+Δb2)1/2<5 ……(2) - 前記光学薄膜は、膜厚の最小値d(min)及び最大値d(max)が以下の条件式(3)を満たすものである請求項1に記載の反射防止膜。
cos(5θ/6)≦d(min)/d(max)≦1.0 ……(3)
但し、θは、測定箇所における凸の光学面の傾斜角度である。 - 前記光学薄膜は、He、Ne、Ar、Xe、Xrの群より選択される1種以上の希ガス元素を含むものである請求項1又は請求項2に記載の反射防止膜。
- 前記多層構造は、高屈折率層である光学薄膜と低屈折率層である光学薄膜とを含み、
前記高屈折率層は、TiO2、Nb2O5、ZrO2、La2O3、Ta2O5、HfO2の群より選択される1種以上の金属酸化物を含むものである請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の反射防止膜。 - 前記多層構造は、高屈折率層である光学薄膜と低屈折率層である光学薄膜とを含み、
前記低屈折率層は、SiO2、Al2O3の群より選択される1種以上の金属酸化物を含むものである請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の反射防止膜。 - 任意の箇所における入射角度0°の波長420nm以上680nm以下の光に対する反射率が1%以下である請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の反射防止膜。
- 最大傾斜角度が25°以上である凸の光学面を有する光学素子であって、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の反射防止膜を前記凸の光学面に備えることを特徴とする光学素子。 - 前記凸の光学面と前記反射防止膜との間に、当該凸の光学面へのイオン又はプラズマの入射を防止するための保護層を備える請求項7に記載の光学素子。
- 前記反射防止膜の上に設けられた機能膜を備える請求項7又は請求項8に記載の光学素子。
- 光学素子の最大傾斜角度が25°以上である凸の光学面側に多層構造を備える反射防止膜を形成するための成膜方法であって、
光学素子を回転させながら、当該光学素子の前記凸の光学面側に成膜ソースからの成膜材料を堆積させて膜を形成する成膜工程と、
回転する前記光学素子の前記凸の光学面側に、イオン源からのイオン又はプラズマ源からのプラズマを前記光軸に対して傾斜した方向から照射することにより、前記凸の光学面側に堆積した成膜材料を除去しつつ、前記膜を緻密化し、前記イオン源又は前記プラズマ源に近い側の前記凸の光学面の領域によって、前記イオン源又は前記プラズマ源から遠い側の前記凸の光学面の領域への前記イオン又は前記プラズマの入射を遮蔽する照射工程とを備え、
前記成膜工程と前記照射工程とを行うことにより、前記光学素子の前記凸の光学面側に前記多層構造を構成する各光学薄膜を形成することを特徴とする反射防止膜の成膜方法。 - 前記照射工程は、前記光学素子の前記凸の光学面側に、前記イオン又は前記プラズマを前記光軸に対して45°以上90°以下の角度で傾斜した方向から照射するものである請求項10に記載の反射防止膜の成膜方法。
- 前記光学素子は、光軸とは異なる軸を回転軸として回転するものである請求項10又は請求項11に記載の反射防止膜の成膜方法。
- 前記イオン又はプラズマは、He、Ne、Ar、Xe、Xrの群より選択される1種以上の希ガスから形成したイオン又はプラズマである請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の反射防止膜の成膜方法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018154155A JP7237489B2 (ja) | 2018-08-20 | 2018-08-20 | 反射防止膜、光学素子及び反射防止膜の成膜方法 |
PCT/JP2019/031593 WO2020039976A1 (ja) | 2018-08-20 | 2019-08-09 | 反射防止膜、光学素子及び反射防止膜の成膜方法 |
CN201980027116.5A CN112534307B (zh) | 2018-08-20 | 2019-08-09 | 防反射膜、光学元件及防反射膜的成膜方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018154155A JP7237489B2 (ja) | 2018-08-20 | 2018-08-20 | 反射防止膜、光学素子及び反射防止膜の成膜方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020030237A true JP2020030237A (ja) | 2020-02-27 |
JP7237489B2 JP7237489B2 (ja) | 2023-03-13 |
Family
ID=69593208
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018154155A Active JP7237489B2 (ja) | 2018-08-20 | 2018-08-20 | 反射防止膜、光学素子及び反射防止膜の成膜方法 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7237489B2 (ja) |
CN (1) | CN112534307B (ja) |
WO (1) | WO2020039976A1 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020144208A (ja) * | 2019-03-06 | 2020-09-10 | 株式会社タムロン | 反射防止膜、光学素子及び反射防止膜の成膜方法 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114133226B (zh) * | 2021-12-30 | 2022-11-08 | 苏州晶生新材料有限公司 | 一种光学镀层基材及使用方法 |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03255401A (ja) * | 1990-03-06 | 1991-11-14 | Olympus Optical Co Ltd | プラスチック基板へのMgF↓2膜成膜方法 |
JP2004098420A (ja) * | 2002-09-09 | 2004-04-02 | Dainippon Printing Co Ltd | 透明積層フィルム、偏光板、液晶表示素子及び液晶表示装置 |
JP2006091600A (ja) * | 2004-09-27 | 2006-04-06 | Konica Minolta Opto Inc | レンズへの膜形成方法及び装置 |
JP2011039218A (ja) * | 2009-08-10 | 2011-02-24 | Seiko Epson Corp | 光学物品の製造方法 |
JP2011048228A (ja) * | 2009-08-28 | 2011-03-10 | Seiko Epson Corp | 光学物品およびその製造方法 |
JP2011150154A (ja) * | 2010-01-22 | 2011-08-04 | Showa Shinku:Kk | 薄膜、及び、薄膜の形成方法 |
JP2016080857A (ja) * | 2014-10-16 | 2016-05-16 | リコーイメージング株式会社 | 反射防止膜、それを用いた光学部材、及び光学機器 |
-
2018
- 2018-08-20 JP JP2018154155A patent/JP7237489B2/ja active Active
-
2019
- 2019-08-09 CN CN201980027116.5A patent/CN112534307B/zh active Active
- 2019-08-09 WO PCT/JP2019/031593 patent/WO2020039976A1/ja active Application Filing
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03255401A (ja) * | 1990-03-06 | 1991-11-14 | Olympus Optical Co Ltd | プラスチック基板へのMgF↓2膜成膜方法 |
JP2004098420A (ja) * | 2002-09-09 | 2004-04-02 | Dainippon Printing Co Ltd | 透明積層フィルム、偏光板、液晶表示素子及び液晶表示装置 |
JP2006091600A (ja) * | 2004-09-27 | 2006-04-06 | Konica Minolta Opto Inc | レンズへの膜形成方法及び装置 |
JP2011039218A (ja) * | 2009-08-10 | 2011-02-24 | Seiko Epson Corp | 光学物品の製造方法 |
JP2011048228A (ja) * | 2009-08-28 | 2011-03-10 | Seiko Epson Corp | 光学物品およびその製造方法 |
JP2011150154A (ja) * | 2010-01-22 | 2011-08-04 | Showa Shinku:Kk | 薄膜、及び、薄膜の形成方法 |
JP2016080857A (ja) * | 2014-10-16 | 2016-05-16 | リコーイメージング株式会社 | 反射防止膜、それを用いた光学部材、及び光学機器 |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020144208A (ja) * | 2019-03-06 | 2020-09-10 | 株式会社タムロン | 反射防止膜、光学素子及び反射防止膜の成膜方法 |
WO2020179189A1 (ja) * | 2019-03-06 | 2020-09-10 | 株式会社タムロン | 反射防止膜、光学素子及び反射防止膜の成膜方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2020039976A1 (ja) | 2020-02-27 |
CN112534307B (zh) | 2022-09-27 |
JP7237489B2 (ja) | 2023-03-13 |
CN112534307A (zh) | 2021-03-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2010018639A1 (ja) | 蒸着装置及び薄膜デバイスの製造方法 | |
JP4178190B2 (ja) | 多層膜を有する光学素子およびその製造方法 | |
WO2020039976A1 (ja) | 反射防止膜、光学素子及び反射防止膜の成膜方法 | |
JP2010102157A (ja) | 光学物品およびその製造方法 | |
JP4804830B2 (ja) | 多層膜の成膜方法および成膜装置 | |
JP2018036325A (ja) | Ndフィルタ及びその製造方法 | |
JP5883505B2 (ja) | 光学素子 | |
JP7349798B2 (ja) | 反射防止膜、光学素子及び反射防止膜の成膜方法 | |
US20200341170A1 (en) | Optical device and manufacturing method therefor | |
US10114150B2 (en) | Optical multilayer coating, optical lens, and method of manufacturing optical multilayer coating | |
JP7216471B2 (ja) | 車載レンズ用のプラスチックレンズ及びその製造方法 | |
WO2017119335A1 (ja) | 反射膜の製造方法 | |
JP6053179B2 (ja) | 光学素子、光学薄膜形成装置、及び光学薄膜形成方法 | |
US20200165716A1 (en) | Film forming method and film forming apparatus | |
JP6714399B2 (ja) | 光学素子及び光学薄膜の成膜方法 | |
JP2009007651A (ja) | 減光フィルタの成膜方法、減光フィルタの製造装置及びこれを用いた減光フィルタ並びに撮像光量絞り装置 | |
CN114846362B (zh) | 带有防反射膜的光学透镜的制造方法 | |
JP2000171607A (ja) | 高緻密な多層薄膜およびその成膜方法 | |
CN116040965B (zh) | 一种宽频减反膜及其制备方法和应用 | |
JP3987169B2 (ja) | 光学薄膜の製造方法 | |
WO2023042438A1 (ja) | 遮光膜、多層反射防止膜、それらの製造方法及び光学部材 | |
JP2007034337A (ja) | フレネル型ミラー | |
US20170146711A1 (en) | Raman edge filter in deep-uv range and method of manufacturing the same | |
JP2002231132A (ja) | Crt用パネルガラスおよびcrt、並びにそれらの製造方法 | |
JP2009093067A (ja) | 酸化ジルコニウム層、耐擦傷性物品および光学物品 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20201214 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20211013 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20211207 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220209 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220707 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20220902 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20221028 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230213 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230301 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7237489 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |