JP2019189710A - 熱可塑性樹脂粉体の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂粉体の製造方法 Download PDF

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【課題】長期間安定して連続的に粉体を製造することのできる熱可塑性樹脂粉体の製造方法を提供すること。【解決手段】熱可塑性樹脂粒子を含む分散液を塩析して熱可塑性樹脂粒子の凝集物を含むスラリー(a)を得る工程(1)と、前記スラリー(a)と無機粒子とを混合する工程(2)と、得られた凝集物および無機粒子を含むスラリー(b)を脱水する工程(3)とを有する、熱可塑性樹脂粉体の製造方法。熱可塑性樹脂粒子を含む分散液は、乳化重合により得られるものであることが好ましい。また、熱可塑性樹脂粒子は、アクリル系軟質重合体の層とその外側のアクリル系硬質重合体の層とを少なくとも有するアクリル系多層構造重合体粒子であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は熱可塑性樹脂粉体の製造方法に関する。
乳化重合などにより得られる分散液から熱可塑性樹脂を回収するには、一般に、熱可塑性樹脂粒子を数十〜数百μmの大きさに凝集させ、脱水・乾燥の工程を経て粉体として回収する方法がとられている。分散液中に含まれる熱可塑性樹脂粒子を凝集させる方法の1つとして、塩析法が知られている(例えば、特許文献1などを参照)。この方法では、熱可塑性樹脂粒子を含む分散液が塩析され、これにより熱可塑性樹脂粒子の凝集物を含むスラリーが形成される。
特開2000−119476号公報
しかしながら、上記塩析法では、脱水の際や脱水後に熱可塑性樹脂粒子の凝集物(特にこのような凝集物が膠着したもの)が脱水機や配管に固着するなどして、長期間安定して連続的に粉体を製造することが困難となる場合があった。
そこで本発明は、長期間安定して連続的に粉体を製造することのできる熱可塑性樹脂粉体の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、脱水前に無機粒子を添加すれば、凝集物の脱水機や配管への固着が抑制されて長期間安定して連続的に粉体を製造することができることを見出し、当該知見に基づいてさらに検討を重ねて本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の〔1〕〜〔8〕に関する。
〔1〕 熱可塑性樹脂粒子を含む分散液を塩析して熱可塑性樹脂粒子の凝集物を含むスラリー(a)を得る工程(1)と、前記スラリー(a)と無機粒子とを混合する工程(2)と、得られた凝集物および無機粒子を含むスラリー(b)を脱水する工程(3)とを有する、熱可塑性樹脂粉体の製造方法。
〔2〕 前記熱可塑性樹脂粒子を含む分散液が乳化重合により得られるものである、〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕 前記熱可塑性樹脂粒子が、アクリル系軟質重合体の層とその外側のアクリル系硬質重合体の層とを少なくとも有するアクリル系多層構造重合体粒子である、〔1〕または〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕 前記アクリル系軟質重合体が、アクリル酸エステルの単位を50〜95質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体の単位を0〜49.99質量%および多官能性単量体の単位を0.01〜10質量%含む、〔3〕に記載の製造方法。
〔5〕 前記アクリル系硬質重合体が、メタクリル酸エステルの単位を40〜99質量%および該メタクリル酸エステルと共重合可能な他の単量体の単位を1〜60質量%含む、〔3〕または〔4〕に記載の製造方法。
〔6〕 前記熱可塑性樹脂粒子の平均粒子径が250nm以下である、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の製造方法。
〔7〕 前記工程(2)が、前記スラリー(a)と無機粒子を含む分散液とを混合することにより行われる、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の製造方法。
〔8〕 前記スラリー(b)における無機粒子の含有量が0.0005〜1質量%である、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、長期間安定して連続的に粉体を製造することのできる熱可塑性樹脂粉体の製造方法が提供される。
以下、本発明について詳細に説明する。
熱可塑性樹脂粉体を製造するための本発明の方法は、熱可塑性樹脂粒子を含む分散液を塩析して熱可塑性樹脂粒子の凝集物を含むスラリー(a)を得る工程(1)と、前記スラリー(a)と無機粒子とを混合する工程(2)と、得られた凝集物および無機粒子を含むスラリー(b)を脱水する工程(3)とを有する。当該構成とすることにより、長期間安定して連続的に粉体を製造することができる。
本発明を何ら限定するものではないが、上記のような優れた効果が奏される理由としては次のようなことが考えられる。すなわち、脱水前のスラリー(スラリー(b))に無機粒子が含まれることにより、脱水後の脱水物中に無機粒子が分散され、凝集物同士の膠着が緩和されるためと考えられる。
本発明において適用される熱可塑性樹脂粒子を含む分散液の種類に特に制限はなく、熱可塑性樹脂粒子を含む各種分散液を用いることができるが、凝集物が固着しやすく、本発明の効果がより顕著に奏されることなどから、乳化重合により得られるものであることが好ましい。
上記分散液としては、常温において固体の性質を有する熱可塑性樹脂が分散したものなどが挙げられ、具体的には、以下に例示する単量体から選ばれる1種または2種以上を、単独重合、共重合またはグラフト重合して得られる熱可塑性樹脂が分散媒(例えば、水、各種有機溶媒等)に分散した分散液、またはその混合分散液などが挙げられる。前記単量体の例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルへキシル等のメタクリル酸エステル;スチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル;N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−o−クロロフェニルマレイミド等のN−置換マレイミド;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸;エチレン、プロピレン、イソプレン、1,3−ブタジエン等のアルケン;クロロプレン;酢酸ビニル;安息香酸ビニル;アリル(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、モノエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、グリシジル(メタ)アクリレート等の多官能性単量体などが挙げられる。
本発明の方法を、以下の(1)〜(4)に示すような透明性に優れた熱可塑性樹脂の粒子を含む分散液に応用すると、光学的特性の極めて優れた粉体を得ることができることから好ましい。これらの中でも(1)の分散液に応用するのがより好ましい。
(1)アクリル系軟質重合体の層とその外側のアクリル系硬質重合体の層とを少なくとも有するアクリル系多層構造重合体粒子を含む分散液。
(2)ジエン系ビニル化合物の単位を主として含む重合体の層とその外側のメタクリル酸アルキルエステルの単位を主として含む重合体の層とを少なくとも有する多層構造グラフト重合体粒子を含む分散液。
(3)メタクリル酸アルキルエステルの単位を主として含む重合体の粒子を含む分散液。
(4)(1)〜(3)の任意の混合分散液。
上記(1)の分散液におけるアクリル系多層構造重合体粒子は、凝集物が固着しやすく、本発明の効果がより顕著に奏されることなどから、それを構成するアクリル系軟質重合体が、アクリル酸エステルの単位を50〜95質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体の単位を0〜49.99質量%および多官能性単量体の単位を0.01〜10質量%含むことが好ましい。
上記アクリル酸エステルの単位を構成するアクリル酸エステルとしては、熱可塑性樹脂を構成する単量体として先に例示したアクリル酸エステルを用いることができ、これらの中でもアクリル酸ブチルが好ましい。アクリル系軟質重合体におけるアクリル酸エステルの単位の含有量は、55〜90質量%であることがより好ましく、60〜85質量%であることがさらに好ましい。
上記他の単官能性単量体の単位を構成する他の単官能性単量体としては、熱可塑性樹脂を構成する単量体として先に例示したメタクリル酸エステル、芳香族ビニル、N−置換マレイミド、シアン化ビニル、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、不飽和カルボン酸、アルケンなどを用いることができ、これらの中でも芳香族ビニルが好ましく、スチレンがより好ましい。アクリル系軟質重合体における他の単官能性単量体の単位の含有量は、5〜44.98質量%であることがより好ましく、10〜39.9質量%であることがさらに好ましい。
上記多官能性単量体の単位を構成する多官能性単量体としては、熱可塑性樹脂を構成する単量体として先に例示した多官能性単量体を用いることができ、これらの中でもアリル(メタ)アクリレートが好ましい。アクリル系軟質重合体における多官能性単量体の単位の含有量は、0.02〜8質量%であることがより好ましく、0.1〜5質量%であることがさらに好ましい。
上記(1)の分散液におけるアクリル系多層構造重合体粒子は、本発明の効果がより顕著に奏されることなどから、それを構成するアクリル系硬質重合体が、メタクリル酸エステルの単位を40〜99質量%および該メタクリル酸エステルと共重合可能な他の単量体の単位を1〜60質量%含むことが好ましい。
上記メタクリル酸エステルの単位を構成するメタクリル酸エステルとしては、熱可塑性樹脂を構成する単量体として先に例示したメタクリル酸エステルを用いることができ、これらの中でもメタクリル酸メチルが好ましい。アクリル系硬質重合体におけるメタクリル酸エステルの単位の含有量は、55〜98質量%であることがより好ましく、80〜97質量%であることがさらに好ましい。
上記他の単量体の単位を構成する他の単量体としては、熱可塑性樹脂を構成する単量体として先に例示したアクリル酸エステル、芳香族ビニル、N−置換マレイミド、シアン化ビニル、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、不飽和カルボン酸、アルケン、多官能性単量体などを用いることができ、これらの中でもアクリル酸エステルが好ましく、アクリル酸メチルがより好ましい。アクリル系硬質重合体における他の単量体の単位の含有量は、2〜45質量%であることがより好ましく、3〜20質量%であることがさらに好ましい。
本発明において、分散液を得るために使用される重合開始剤、乳化剤、連鎖移動剤等の種類および量、重合温度、単量体の滴下方法などの重合条件に特に制限はなく、従来から広く採用されている重合条件を採用することができる。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム等の無機過酸化物、過硫酸アンモニウム−酸性亜硫酸ナトリウム等の水溶性レドックス系開始剤、クメンヒドロペルオキシド−ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート等の油溶性レドックス開始剤などを使用することができる。
乳化剤としては、ステアリン酸ナトリウム等のカルボン酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸類またはその塩類、ラウロイルザルコシン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等の有機または無機酸のエステルもしくは塩類等のアニオン系界面活性剤を好ましく使用することができる。また、必要に応じてカチオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤のうちの少なくとも一方を併用することもできる。
また、必要に応じて用いられる連鎖移動剤としては、例えば、n−オクチルメルカプタン等のメルカプタン類などが挙げられる。
さらに、所望により、紫外線吸収剤や染料等の公知の添加剤を単量体に添加して重合を行うこともできる。熱可塑性樹脂粒子を含む分散液における熱可塑性樹脂粒子の含有量は、通常10〜60質量%、好ましくは20〜50質量%である。
熱可塑性樹脂粒子の平均粒子径に特に制限はないが、凝集物が固着しやすく、本発明の効果がより顕著に奏されることなどから、250nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、130nm以下であることがさらに好ましい。当該平均粒子径の下限に特に制限はなく、当該平均粒子径は例えば50nm以上とすることができる。当該平均粒子径は塩析前の分散液を用いて光散乱法により求めることができ、具体的には実施例において後述する方法により求めることができる。
工程(1)では、上記したような熱可塑性樹脂粒子を含む分散液を塩析して熱可塑性樹脂粒子の凝集物を含むスラリー(a)を得る。その際の塩析条件および操作方法に特に制限はない。当該塩析により、熱可塑性樹脂粒子同志が凝集して凝集物を形成することができる。
塩析は熱可塑性樹脂粒子を含む分散液と塩とを混合することにより行うことができる。当該塩としては、例えば、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸アルミニウムなどが挙げられる。当該塩は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも硫酸マグネシウムが好ましい。
工程(2)では、上記したスラリー(a)と無機粒子とを混合する。当該無機粒子の種類に特に制限はなく、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の不活性無機粒子などを用いることができる。これらの無機粒子は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、最終的に得られる粉体をアクリル樹脂等の透明樹脂に配合した場合の透明性がより向上することなどから、シリカが好ましく、コロイダルシリカがより好ましい。
無機粒子のサイズに特に制限はないが、最終的に得られる粉体をアクリル樹脂等の透明樹脂に配合した場合の透明性を確保しつつ、長期間安定して連続的に粉体を製造することができることなどから、その平均粒子径は、4〜50nmであることが好ましく、5〜30nmであることがより好ましい。無機粒子の平均粒子径は光散乱法により求めることができる。
工程(2)においては無機粒子を粉体の形態で混合してもよいが、分散性を向上させることができて本発明の効果がより顕著に奏されることなどから、無機粒子を含む分散液の形態で混合することが好ましい。
次に、工程(3)では、上記のようにして得られた凝集物および無機粒子を含むスラリー(b)を脱水する。脱水に供されるスラリー(b)における熱可塑性樹脂粒子の含有量は、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、また、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。当該含有量が上記下限以上であることにより、粉体の生産性が向上する。また、当該含有量が上記上限以下であることにより、スラリー(b)が適度な粘度を有し、その取り扱い性が向上する。
また脱水に供されるスラリー(b)における無機粒子の含有量は、最終的に得られる粉体をアクリル樹脂等の透明樹脂に配合した場合の透明性を確保しつつ、長期間安定して連続的に粉体を製造することができることなどから、0.0005〜1質量%であることが好ましく、0.005〜0.5質量%であることがより好ましく、0.01〜0.1質量%であることがさらに好ましく、0.02〜0.05質量%であることが特に好ましい。
脱水に供されるスラリー(b)の温度は、20〜95℃であることが好ましく、30〜90℃であることがより好ましい。当該温度が上記下限以上であることにより、熱可塑性樹脂粒子の凝集力が維持されて、脱水や洗浄時における凝集物の破砕をより効果的に抑制することができる。また当該温度が上記上限以下であることにより、ブロッキングを効果的に抑制することができる。
脱水の具体的な方法に特に制限はなく、例えば、バケット型、デカンター型等の遠心分離器を用いる方法などを採用することができる。脱水後には、必要に応じて洗浄を行ってもよいし、脱水後の脱水物を分散媒に分散した後に再度脱水を行ってもよい。
脱水後(必要に応じて洗浄後)の脱水物を必要に応じてさらに乾燥することにより、目的とする熱可塑性樹脂粉末を得ることができる。乾燥は、例えば、流動乾燥機、振動乾燥機、熱風乾燥機(循環式乾燥機等)などを用いて行うことができる。
本発明の製造方法により得られる熱可塑性樹脂粉体は、その使用目的などに応じて、膠着防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、酸化防止剤、染料などの公知の添加剤を含有することができる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例において採用された各評価方法を以下に示す。
・熱可塑性樹脂粒子の平均粒子径
以下の製造例で得られた分散液を脱イオン水で0.005質量%に希釈し、紫外可視吸光光度計「UVmini 1240」(株式会社島津製作所製)を用いて350nmにおける吸光度を測定した。得られた吸光度の値から、吸光度と粒子径の相関式を用いて平均粒子径を求めた。
・耐固着性試験
以下の実施例または比較例で得られた脱水物30gを61mmφの円筒容器に入れ、0.211kg/cmで5分間荷重をかけた後、得られたケークを電磁式篩振とう機「MVS−200」(株式会社シー・エム・ティー社製)で壊し、全体が崩壊するまでの時間を測定した。
[製造例]
撹拌機、温度計、窒素ガス導入部、単量体導入管および還流冷却器を備えた反応器内に、脱イオン水150質量部、ステアリン酸ナトリウム3質量部および炭酸ナトリウム0.05質量部を仕込み、容器内を窒素ガスで十分に置換して実質的に酸素がない状態にした後、内温を80℃に設定した。そこに、過硫酸カリウム0.04質量部を投入し、5分間撹拌した後、メタクリル酸メチル11.2質量部、アクリル酸n−ブチル24質量部、スチレン4.6質量部およびアリルメタクリレート0.2質量部からなる単量体混合物を60分かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
次いで、同反応器内に、過硫酸カリウム0.02質量部を投入して5分間撹拌した後、メタクリル酸メチル0.8質量部、アクリル酸n−ブチル16質量部、スチレン3.1質量部およびアリルメタクリレート0.1質量部からなる単量体混合物を30分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
さらに、同反応器内に、過硫酸カリウム0.04質量部を投入して5分間撹拌した後、メタクリル酸メチル37.7質量部、アクリル酸n−ブチル2質量部およびn−オクチルメルカプタン(連鎖移動剤)0.3質量部からなる単量体混合物を100分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに60分間重合反応を行った。
このようにして、熱可塑性樹脂粒子(アクリル系多層構造重合体粒子)を含む分散液を得た。当該熱可塑性樹脂粒子の平均粒子径は120nmであった。
[実施例1]
上記の製造例で得られた熱可塑性樹脂粒子を含む分散液を用いて、以下の方法により熱可塑性樹脂粉体を連続的に製造した。
すなわち、1.2質量%の硫酸マグネシウム水溶液を0.789質量部仕込み、85℃に昇温し、上記分散液を0.021質量部/分で撹拌下に40分間連続フィードし、更に98℃に昇温し30分間加熱処理することにより塩析を行い、熱可塑性樹脂粒子の凝集物を含むスラリー(スラリー(a))とした。
一方、撹拌機、温度計およびジャケットが付属した溶解槽に10kgの脱イオン水を仕込み40℃まで昇温し、無機粒子としてコロイダルシリカ(「スノーテックスO」、日産化学工業株式会社製)を8g添加して無機粒子を含む分散液とした。
この無機粒子を含む分散液と上記スラリー(a)10kgとを連続的に混合して、凝集物および無機粒子を含むスラリー(スラリー(b))とした。続いて、このスラリー(b)を遠心分離機にて脱水し、陽イオン残留量が200ppm以下になるまで常温の水で洗浄を行って脱水物とした後、80℃の循環式乾燥機で乾燥して平均粒径400μmの熱可塑性樹脂粉体を得た。
なお、上記脱水物を用いて上記した方法により耐固着性試験を行ったところ、30秒であった。
上記方法により、2週間以上連続して熱可塑性樹脂粉体を製造することができた。
[比較例1]
無機粒子を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂粉体を連続的に製造したが、脱水操作開始後4時間で配管が閉塞し、製造を中断する必要性が生じた。なお、耐固着性試験の結果は50秒であった。
[比較例2]
無機粒子を、脱イオン水ではなく、塩析前の熱可塑性樹脂粒子を含む分散液に添加したこと以外は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂粉体を連続的に製造したが、脱水操作開始後3日で配管が閉塞し、製造を中断する必要性が生じた。なお、耐固着性試験の結果は45秒であった。

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂粒子を含む分散液を塩析して熱可塑性樹脂粒子の凝集物を含むスラリー(a)を得る工程(1)と、前記スラリー(a)と無機粒子とを混合する工程(2)と、得られた凝集物および無機粒子を含むスラリー(b)を脱水する工程(3)とを有する、熱可塑性樹脂粉体の製造方法。
  2. 前記熱可塑性樹脂粒子を含む分散液が乳化重合により得られるものである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記熱可塑性樹脂粒子が、アクリル系軟質重合体の層とその外側のアクリル系硬質重合体の層とを少なくとも有するアクリル系多層構造重合体粒子である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記アクリル系軟質重合体が、アクリル酸エステルの単位を50〜95質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体の単位を0〜49.99質量%および多官能性単量体の単位を0.01〜10質量%含む、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記アクリル系硬質重合体が、メタクリル酸エステルの単位を40〜99質量%および該メタクリル酸エステルと共重合可能な他の単量体の単位を1〜60質量%含む、請求項3または4に記載の製造方法。
  6. 前記熱可塑性樹脂粒子の平均粒子径が250nm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記工程(2)が、前記スラリー(a)と無機粒子を含む分散液とを混合することにより行われる、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記スラリー(b)における無機粒子の含有量が0.0005〜1質量%である、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
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