JP2019172730A - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

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康一 五十嵐
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Abstract

【課題】柔軟性を損なわずに結晶化速度を速くすることで、物性を保持したまま成形時間を短縮することで生産性が向上し、ロングラン成形をしても金型やロールに汚れが発生しないポリプロピレン系樹脂組成物の提供。【解決手段】(mmmm)Aが84.9〜95.0mol%、炭素数2、4〜20のオレフィン含有量が0〜2質量%のプロピレン系重合体(A)の50〜99.9質量部と、(mmmm)Bが95.0〜99.9mol%、炭素数2、4〜20のオレフィン含有量0〜20質量%のプロピレン系重合体(B)の0.1〜50質量部(但し、(A)と(B)の合計は100質量部)を含み、(mmmm)B−(mmmm)Aが1mol%以上である、ポリプロピレン系樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物に関する。詳しくは、物性を保持したまま成形時間を短縮でき、ロングラン成形をしても金型やロールに汚れが発生しないポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
ポリプロピレン系樹脂組成物は、その優れた柔軟性、および耐熱性ゆえに、日用雑貨、台所用品、包装用フィルム、シート、家電製品、電気部品、自動車部品など、種々の分野で利用されている。その用途に応じて、適切な剛性がある。
一般に成形品の生産性向上のためには、例えば射出成形なら成形サイクルを短くする、具体的には金型冷却時間を短くすることが挙げられる。フィルムやシートを形成する押出成形ではロール引取速度を速くすることが挙げられる。しかしながら、ポリプロピレン系樹脂組成物は結晶性樹脂であるため、溶融状態で成形し、金型やロールで冷却することで結晶化させて成形することから、結晶化速度が律速になり、生産性を向上させられない。
そこで、結晶化速度を速くするために、結晶核剤を添加することがよく行われている(例えば特許文献1、2)。また、3−メチルブテン−1重合体を少量重合することも行われている(特許文献3)。
国際公開第2010/024191号明細書 特開2017−190440号公報 特開平1−229056号公報
このように結晶核剤を添加することで、ポリプロピレン系樹脂組成物の結晶化速度は速くなるが、同時に剛性が高くなり、所望の物性にならない。また、低分子量の結晶核剤を添加すると、ロングランの成形を行った際に金型やロールに核剤成分が付着し、外観不良などの原因になっていた。
本発明の目的は、柔軟性を損なわずに結晶化速度を速くすることで、物性を保持したまま成形時間を短縮することで生産性が向上し、ロングラン成形をしても金型やロールに汚れが発生しないポリプロピレン系樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、種々検討を行った結果、特定の構造を有するプロピレン単独重合体と、特定の構造を有するプロピレン・α−オレフィン共重合体とを、特定割合で配合することで、成形品の柔軟性は保持したまま、加成性以上に結晶化温度が高くなり、結晶化速度が速くなる(半結晶化時間が短くなる)ことを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[6]の態様を含むものである。
[1] アイソタクチックペンタッド(mmmm)が84.9〜95.0mol%、炭素数2、4〜20のオレフィン含有量が0〜2質量%のプロピレン系重合体(A)の50〜99.9質量部と
アイソタクチックペンタッド(mmmm)が95.0〜99.9mol%、炭素数2、4〜20のオレフィン含有量0〜20質量%のプロピレン系重合体(B)の0.1〜50質量部を含み(但し、プロピレン系重合体(A)とプロピレン系重合体(B)の合計は100質量部である)、
(mmmm)−(mmmm)が1mol%以上である、
ポリプロピレン系樹脂組成物。
[2]130℃における半結晶化時間が1,000秒未満の[1]記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
[3][1]または[2]に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を用いた押出シート。
[4][3]の押出シートの一軸又は二軸延伸フィルム。
[5][1]または[2]に記載のポリプロピレン系樹脂組成物の射出成形体。
[6][1]または[2]に記載のポリプロピレン系樹脂組成物の中空成形体。
本発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物は、柔軟性を損なわずに結晶化速度を速くすることができ、物性を保持したまま成形時間を短縮することで生産性が向上する。またロングラン成形をしても金型やロールに汚れが発生せず、外観の良好な成形体を提供することができる。
実施例におけるプロピレン系重合体(B)の配合比による結晶化温度の加成性評価(図1(A))とΔHの加成性評価(図1(B))を示す。
以下、本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂組成物および押出シート、延伸フィルム、射出成形体の各構成について、具体的に説明する。
本実施形態に係るポリプロピレン系樹脂組成物は、下記のプロピレン系重合体(A)の50〜99.9質量部とプロピレン系重合体(B)の0.1〜50質量部を含む。プロピレン系重合体(A)とプロピレン系重合体(B)の合計は100質量部である。
〔プロピレン系重合体(A)〕
本実施形態で使用可能なプロピレン系重合体(A)は、そのアイソタクチックペンタッド(mmmm)が84.9mol%以上、95.0mol%以下であり、好ましくは86.0mol%以上、93.0mol%以下を示す重合体である。また、プロピレン系重合体(A)は、炭素数2、4〜20のオレフィン含有量が0〜2質量%であり、プロピレン単独重合体であることが好ましい。
ここでアイソタクチックペンタッドは、13C−NMRを使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖の存在割合を示しており、プロピレン単位で5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマーの分率(mmmm)である。具体的には、13C−NMRスペクトルにおけるメチル炭素領域での全吸収ピーク中のmmmmピーク分率として求められる値である。
また、プロピレン系重合体(A)は、ASTM D−1238に準拠し、230℃、2.16kg荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が、通常0.5〜100g/10分、好ましくは1〜30g/10分の範囲にある。MFRがこの範囲にあると機械的強度および成形性に優れた組成物が得られる。
このようなプロピレン系重合体(A)は、プロピレンをα−オレフィンの立体規則性重合触媒、例えばチーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒の存在下に重合させることによって製造することができる。そのような重合触媒の一例として(a)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分、(b)有機アルミニウム化合物、および(c)電子供与体からなる触媒系を挙げることができ、以下に詳細に説明する。
マグネシウム成分は、還元性を有する化合物であってもよいし、還元性を有しない化合物であってもよい。還元性を有する化合物の例として、マグネシウム−炭素結合あるいはマグネシウム−水素結合を有するマグネシウム化合物を挙げることができる。その具体例としては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジデシルマグネシウム、エチル塩化マグネシウム、プロピル塩化マグネシウム、ブチル塩化マグネシウム、ヘキシル塩化マグネシウム、アミル塩化マグネシウム、ブチルエトキシマグネシウム、エチルブチルマグネシウム、ブチルマグネシウムハイドライドを挙げることができる。
還元性を有しないマグネシウム化合物の具体的な例としては、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウムのようなハロゲン化マグネシウム;メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウムのようなアルコキシマグネシウムハライド;フェノキシ塩化マグネシウム、メチルフェノキシ塩化マグネシウムのようなアリーロキシ(aryloxy)マグネシウムハライド;エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n−オクトキシマグネシウム、2−エチルヘキソキシマグネシウムのようなアルコキシマグネシウム;フェノキシマグネシウム、ジメチルフェノキシマグネシウムのようなアリーロキシ(aryloxy)マグネシウム;ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなカルボン酸マグネシウム塩を挙げることができる。
これらのマグネシウム化合物は、単独で用いることもできるし、後述する有機金属化合物と錯化合物を形成していてもよい。また、それらは液体であってもよいし、固体であってもよく、金属マグネシウムと対応する化合物とを反応させることで誘導してもよく、さらに触媒調製中に前記の方法で金属マグネシウムから誘導することもできる。これらのマグネシウム化合物の中では、還元性を有しないマグネシウム化合物が好ましく、ハロゲン含有マグネシウム化合物がさらに好ましく、塩化マグネシウム、アルコキシ塩化マグネシウム、アリーロキシ(aryloxy)塩化マグネシウムが特に好ましい。
チタン成分としては、例えば次式で示される4価のチタン化合物を挙げることができる。
Ti(OR)4−n
(式中、Rは炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、nは0≦n≦4である)
このようなチタン化合物として、具体的には、TiCl、TiBr、TiIなどのテトラハロゲン化チタン;Ti(OCH)Cl、Ti(OC)Cl、Ti(O−n−C)Cl、Ti(OC)Br、Ti(O−iso−C)Brなどのトリハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCHCl、Ti(OCCl、Ti(O−n−CCl、Ti(OCBrなどのジハロゲン化ジアルコキシチタン;Ti(OCHCl、Ti(OCCl、Ti(O−n−CCl、Ti(OCBrなどのモノハロゲン化トリアルコキシチタン;Ti(OCH、Ti(OC、Ti(O−n−C、Ti(O−iso−C、Ti(O−2−エチルヘキシル)などのテトラアルコキシチタンなどを例示することができる。
固体触媒成分(a)を調製する際に使用可能な電子供与体としては、アルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類、有機酸ハライド類、有機酸または無機酸のエステル類、エーテル類、酸アミド類、酸無水物類、アンモニア、アミン類、ニトリル類、イソシアネート類、含窒素環状化合物、含酸素環状化合物などが挙げられる。これらの中でも、カルボン酸類、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル類、カルボン酸のハロゲン化物、アルコール類、エーテル類が好ましく用いられる。
次に電子供与体の具体例を挙げる。
(1)アルコール類:メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、オクタノール、ドデカノール、オクタデシルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、クミルアルコール、イソプロピルアルコール、イソプロピルベンジルアルコールなどの炭素数1〜18のアルコール類;トリクロロメタノール、トリクロロエタノール、トリクロロヘキサノールなどの炭素数1〜18のハロゲン含有アルコール類。
(2)フェノール類:フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ノニルフェノール、クミルフェノール、ナフトールなどの低級アルキル基を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のフェノール類。
(3)ケトン類:アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾキノンなどの炭素数3〜15のケトン類。
(4)アルデヒド類:アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、トルアルデヒド、ナフトアルデヒドなどの炭素数2〜15のアルデヒド類。
(5)カルボン酸類:ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、ピバリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の脂肪族モノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸;酒石酸等の脂肪族オキシカルボン酸;シクロヘキサンモノカルボン酸、シクロヘキセンモノカルボン酸、cis−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、cis−4−メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸等の脂環式カルボン酸;安息香酸、トルイル酸、アニス酸、p−第三級ブチル安息香酸、ナフトエ酸、ケイ皮酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタル酸、トリメリト酸、ヘミメリト酸、トリメシン酸、ピロメリト酸、メリト酸等の芳香族多価カルボン酸。カルボン酸の無水物類としては、前記カルボン酸類の酸無水物が使用できる。
(6)有機酸ハライド類:アセチルクロリド、ベンゾイルクロリド、トルイル酸クロリド、アニス酸クロリドなどの炭素数2〜15の酸ハライド類。
(7)有機酸または無機酸のエステル類:ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、吉草酸エチル、クロル酢酸メチル、ジクロル酢酸エチル、メタクリル酸メチル、クロトン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジ−n−プロピルフタレート、ジイソプロピルフタレート、ジ−n−ブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジ−n−アミルフタレート、ジイソアミルフタレート、エチル−n−ブチルフタレート、エチルイソブチルフタレート、エチル−n−プロピルフタレート、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸アミル、エチル安息香酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、エトキシ安息香酸エチル、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、クマリン、フタリド、炭酸エチルなどの炭素数2〜30の有機酸もしくは無機酸のエステル類。
(8)エーテル類:メチルエーテル、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、アミルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジネオペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオクチルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ビス(シクロヘキシルメチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−3,7−ジメチルオクチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−シクロヘキシルメチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−シクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−シクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−ヘプチル−2−ペンチル−1,3−ジメトキシプロパン。
次に固体触媒成分(a)の具体的な製造方法の数例を説明する。
(1)マグネシウム化合物、電子供与体および炭化水素溶媒からなる溶液を、有機金属化合物と接触反応させて固体を析出させた後、または析出させながらチタン化合物と接触反応させる方法。
(2) マグネシウム化合物と電子供与体とからなる錯体を有機金属化合物と接触反応させた後、チタン化合物を接触反応させる方法。
(3) 無機担体と有機マグネシウム化合物との接触物に、チタン化合物および好ましくは電子供与体を接触反応させる方法。この際、あらかじめその接触物をハロゲン含有化合物および/または有機金属化合物と接触反応させてもよい。
(4) マグネシウム化合物、電子供与体、場合によってはさらに炭化水素溶媒を含む溶液と無機または有機担体との混合物から、マグネシウム化合物の担持された無機または有機担体を得た後、次いでチタン化合物を接触させる方法。
(5) マグネシウム化合物、チタン化合物、電子供与体、場合によっては更に炭化水素溶媒を含む溶液と無機または有機担体との接触により、マグネシウム、チタンの担持された固体触媒成分を得る方法。
(6) 液体状態の有機マグネシウム化合物をハロゲン含有チタン化合物と接触反応させる方法。このとき電子供与体を1回は用いる。
(7) 液体状態の有機マグネシウム化合物をハロゲン含有化合物と接触反応後、チタン化合物を接触させる方法。このとき電子供与体を1回は用いる。
(8) アルコキシ基含有マグネシウム化合物をハロゲン含有チタン化合物と接触反応する方法。このとき電子供与体を1回は用いる。
(9) アルコキシ基含有マグネシウム化合物および電子供与体からなる錯体をチタン化合物と接触反応する方法。
(10)アルコキシ基含有マグネシウム化合物および電子供与体からなる錯体を有機金属化合物と接触後チタン化合物と接触反応させる方法。
(11)マグネシウム化合物と、電子供与体と、チタン化合物とを任意の順序で接触、反応させる方法。この反応は、各成分を電子供与体および/または有機金属化合物やハロゲン含有ケイ素化合物などの反応助剤で予備処理してもよい。なお、この方法においては、前記電子供与体を少なくとも一回は用いることが好ましい。
(12)還元能を有しない液状のマグネシウム化合物と液状チタン化合物とを、好ましくは電子供与体の存在下に反応させて固体状のマグネシウム・チタン複合体を析出させる方法。
固体触媒成分の調製に際して、マグネシウム化合物1モル当り、電子供与体は0.01〜5モル、好ましくは0.1〜1モルの量で用いられ、チタン化合物は0.01〜1000モル、好ましくは0.1〜200モルの量で用いられる。また、ハロゲン/チタン(原子比)は約2〜200、好ましくは約4〜100であり、電子供与体/チタン(モル比)は約0.01〜100、好ましくは約0.2〜10であり、マグネシウム/チタン(原子比)は約1〜100、好ましくは約2〜50であることが望ましい。
このような固体触媒成分は単独で使用することができるが、無機酸化物、有機ポリマー等の多孔質物質に担持させて使用することも可能である。用いられる多孔質無機酸化物としては、SiO、Al、MgO、TiO、ZrO、SiO−Al複合酸化物、MgO−Al複合酸化物、MgO−SiO−Al複合酸化物等が挙げられる。
多孔質有機ポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−N,N´−アルキレンジメタクリルアミド共重合体、スチレン−エチレングリコールジメタクリル酸メチル共重合体、ポリアクリル酸エチル、アクリル酸メチル−ジビニルベンゼン共重合体、アクリル酸エチル−ジビニルベンゼン共重合体、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−ジビニルベンゼン共重合体、ポリエチレングリコールジメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−ジビニルベンゼン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリジン、ポリビニルピリジン、エチルビニルベンゼン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリエチレン、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、ポリプロピレン等に代表されるポリスチレン系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアクリロニトリル系、ポリ塩化ビニル系、ポリオレフィン系のポリマーを挙げることができる。これらの多孔質物質のうち、SiO、Al、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体が好ましく用いられる。
固体触媒成分と共に使用される有機アルミニウム化合物は、少なくとも分子内に1個のAl−炭素結合を有するものである。次に代表例を一般式で示す。
AlY3−m
Al−O−AlR
(ここで、R〜Rは炭素数が1〜8個の炭化水素基であって、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。Yはハロゲン、水素またはアルコキシ基を表す。mは2≦m≦3である。)
有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドとの混合物のようなトリアルキルアルミニウムとジアルキルアルミニウムハライドとの混合物、テトラエチルジアルモキサン、テトラブチルジアルモキサン等のアルキルアルモキサンが例示できる。
これらの有機アルミニウム化合物の内、トリアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウムとジアルキルアルミニウムハライドとの混合物、アルキルアルモキサンが好ましく、とりわけトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドとの混合物、またはテトラエチルジアルモキサンが好ましい。
固体触媒成分、有機アルミニウム化合物と共に使用される電子供与体の具体例として次の化合物を挙げることができる。
(1)窒素原子を含む化合物:2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン、2,6−ジエチルピペリジン、2,6−ジイソプロピルピペリジン、2,6−ジイソブチル−4−メチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、2,5−ジエチルピロリジン、2,5−ジイソプロピルピロリジン、1,2,2,5,5−ペンタメチルピロリジン、2,2,5−トリメチルピロリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2,6−ジイソプロピルピリジン、2,6−ジイソブチルピリジン、1,2,4−トリメチルピペリジン、2,5−ジメチルピペリジン、ニコチン酸メチル、ニコチン酸エチル、ニコチン酸アミド、安息香酸アミド、2−メチルピロール、2,5−ジメチルピロール、イミダゾール、トルイル酸アミド、ベンゾニトリル、アセトニトリル、アニリン、パラトルイジン、オルトトルイジン、メタトルイジン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、テトラメチレンジアミン、トリブチルアミン。
(2)イオウ原子を含む化合物:チオフェノール、チオフェン、2−チオフェンカルボン酸エチル、3−チオフェンカルボン酸エチル、2−メチルチオフェン、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、ジエチルチオエーテル、ジフェニルチオエーテル、ベンゼンスルフォン酸メチル、メチルサルファイト、エチルサルファイト。
(3)酸素原子を含む化合物:テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、2−エチルテトラヒドロフラン、2,2,5,5−テトラエチルテトラヒドロフラン、2,2,5,5−テトラメチルテトラヒドロフラン、2,2,6,6−テトラエチルテトラヒドロピラン、2,2,6,6−テトラメチルテトラヒドロピラン、ジオキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテルジイソアミルエーテル、ジフェニルエーテル、アニソール、アセトフェノン、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、o−トリル−t−ブチルケトン、メチル−2,6−ジ−t−ブチルフェニルケトン、2−フラル酸エチル、2−フラル酸イソアミル、2−フラル酸メチル、2−フラル酸プロピル。
(4)有機ケイ素化合物:一般式 RnSi(OR’)4−nで表される化合物が好ましく、次に具体例を示す。(ここで、RおよびR’は炭化水素基であり、nは0<n<4の数値である。)
シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビスo−トリルジメトキシシラン、ビスm−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフェノキシシラン、メチルトリアリロキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサン。
有機アルミニウム化合物は、固体触媒成分中のTi原子のモル当たりモル比で5〜1000の範囲とし、電子供与体は有機アルミニウム化合物のモル当たりモル比で0.002〜0.5の範囲とすることが好ましい。
なお、重合触媒は、あらかじめ炭素数2以上のオレフィンを予備重合した予備重合触媒の形で用いることもできる。予備重合に使用可能なオレフィンとして、次の化合物を例示することができる。
(1)エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの直鎖状α−オレフィン。
(2)シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセンなどのシクロオレフィン。
(3)3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセンなどの分岐状α−オレフィン。
(4)アリルナフタレン、アリルノルボルナン、スチレン、ジメチルスチレン類、ビニルナフタレン類、アリルトルエン類、アリルベンゼン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘプタン、アリルトリアルキルシラン類などのビニル化合物。
プロピレンの単独重合は、前記触媒を用いてプロピレンを重合させることにより製造することができる。重合温度は、懸濁重合法の場合には、通常−50〜100℃、好ましくは0〜90℃、溶液重合法の場合には、通常0〜250℃、好ましくは20〜150℃、気相重合法の場合には、通常0〜120℃、好ましくは20〜100℃であることが望ましい。重合圧力は、通常、常圧〜150(kg/cm2)、好ましくは常圧〜100(kg/cm2)であって、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
〔プロピレン系重合体(B)〕
本実施形態にかかるポリプロピレン系樹脂組成物を構成する第二の成分としてのプロピレン系重合体(B)は、炭素数2、4〜20のオレフィン含有量0〜20質量%の重合体であり、プロピレンとそれ以外のα−オレフィンとをランダム共重合して得られる重合体であることが好ましい。そのような重合体は、前記したと同様の立体規則性重合触媒を用い、また同様の重合条件と重合方法とを用いて製造することができる。
α−オレフィンとしては、炭素数2、4〜20のオレフィンであり、例えばエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンを挙げることができ、中でもエチレンが好ましい。共重合体中のα−オレフィン含有量は、0〜20質量%、好ましくは1〜10質量%にある。
また、このプロピレン系重合体(B)のアイソタクチックペンタッド(mmmm)は95.0mol%以上、99.9mol%以下の結晶性の高い重合体であり、(mmmm)−(mmmm)が1mol%以上である。ここでアイソタクチックペンタッドは、プロピレン系重合体(A)の項で説明した方法と同じ方法で測定することができる。
さらに、このプロピレン系重合体(B)は、ASTM D−1238に準拠し、230℃、2.16kg荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)値が、0.5〜100g/10分であることが好ましく、1〜30g/10分の範囲にあることがより好ましい。
プロピレン系重合体(A)とプロピレン系重合体(B)との混合は、それぞれ別々に重合してから所定の割合で混合し、必要に応じて溶融混練を加えてから使用することができる。
一連の重合装置を準備して、例えば第一段でプロピレン系重合体(A)を製造し、次いで第二段でプロピレン系重合体(B)を製造する、いわゆる多段重合方法によって直接混合してから使用してもよい。
このポリプロピレン系樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じてさらに、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、核剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、充填剤などを配合することができる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、イオウ系、ラクトーン系、有機ホスファイト系、有機ホスフォナイト系の酸化防止剤、あるいはこれらを数種類組み合わせた酸化防止剤等を使用することができる。
スリップ剤としては、ラウリル酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、エルカ酸、ヘベニン酸などの飽和または不飽和脂肪酸のアミド、あるいはこれら飽和または不飽和脂肪酸のビスアマイドを用いることができる。これらの内でも、エルカ酸アミドおよびエチレンビスステアリン酸アミドが好ましい。スリップ剤は、ポリプロピレン系樹脂組成物100質量部に対して、0.01〜5質量部の範囲で配合することが好ましい。
アンチブロッキング剤としては、微粉末シリカ、微粉末酸化アルミニウム、微粉末クレー、粉末状もしくは液状のシリコン樹脂、ポリテトラフロロエチレン樹脂、架橋されたアクリル樹脂やメタクリル樹脂粉末のような微粉末状架橋樹脂を挙げることができる。これらの内では、微粉末シリカおよび微粉末状架橋樹脂が好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を公知の成形技術に従い成形することにより、さまざまな成形品を得ることができる。成形技術としては、例えばTダイフィルム成形、延伸フィルム成形、インフレーションフィルム成形、シート成形、カレンダ成形、圧空成形、真空成形、パイプ成形、異型押出成形、中空成形、ラミネート成形、射出成型、射出延伸ブロー成型、圧縮成形、射出圧縮成形、等が挙げられる。
[押出シート]
本発明に係る押出シートは、本発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物を押出成形することで得られる。さらに、この押出シートは一軸又は二軸延伸して延伸フィルムとすることができる。
その製造方法は、一般に次の工程がとられている。まずポリプロピレン系樹脂組成物を押出機で溶融した後、Tダイよりシート状に押出し、冷却ロールで冷却固化する。次いで得られたシートを多数の加熱ロールに通して縦方向に延伸することで一軸延伸フィルムが得られる。続いて予熱部、延伸部、および熱処理部から構成された加熱炉に通して横方向に延伸することで二軸延伸フィルムが得られる。その後、必要に応じてコロナ放電処理等を施してから巻き取る。ポリプロピレンの溶融温度は分子量によって異なるが、押出機中の樹脂温度は、通常200℃〜290℃の範囲に調整される。縦延伸は、通常130〜160℃で調整され、また横延伸は、通常145〜165℃で施される。縦延伸及び横延伸における延伸倍率は、使用するポリプロピレン系樹脂組成物の性状に併せて適宜設定すればよいが、それぞれ4倍〜10倍に設定できる。二軸延伸の面倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は16倍以上とすることもできる。
このように延伸されたフィルムは、優れた機械的強度、剛性特性および光学特性を示し、外観も良好である。従って、その延伸フィルムは、保護フィルム、光学フィルムなどの産業用途資材、または食品包装、充填包装、繊維包装など汎用包装資材として好適に使用できる。
[射出成形体]
本発明に係る射出成形体は、本発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形することで得られる。
その製造方法は、一般に次の工程がとられている。まずポリプロピレン系樹脂組成物を溶融押出してペレットを作製し、該ペレットを射出成形機のホッパーから投入して、所望の金型に射出成形する。射出成形機のシリンダー温度や金型温度は射出する樹脂の流動性、金型内のゲート構造等に併せて適宜最適化することができる。
射出成形体は、各種容器を形成するプリフォームやボトルなどの中空成形体であることができる。また、プリフォームからブロー延伸して、ボトル状などの各種容器を形成することができる。
次に、本発明を実施例および比較例を通してより具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例および比較例で使用したプロピレン単独重合体およびプロピレン・エチレンランダム共重合体の製造方法から説明する。
(参考例1)
<プロピレン単独重合体の製造>
[固体チタン触媒成分の調製]
無水塩化マグネシウム7.14kg(75モル)、デカン37.5リットルおよび2−エチルヘキシルアルコール35.1リットル(225モル)を130℃で2時間加熱反応を行い、均一溶液とした。その後、この溶液中に無水フタル酸1.67kg(11.3モル)を添加し、130℃にてさらに1時間撹拌混合を行い、無水フタル酸を前記の均一溶液に溶解させた。このようにして得られた均一溶液を室温まで冷却した後、−20℃に保持した四塩化チタン200リットル(1800モル)中に1時間かけて全量滴下した。滴下後、得られた溶液の温度を4時間かけて110℃に昇温し、110℃に達したところでジイソブチルフタレート5.03リットル(18.8モル)を添加した。さらに110℃で2時間撹拌を続け、その後、熱時濾過にて固体部を回収した。この固体部を275リットルのTiClにて再懸濁させ、再び110℃で2時間加熱反応を行った。反応終了後、再び熱時濾過によって固体部を採取し、110℃のデカンおよびヘキサンを用いて洗浄した。この洗浄操作を、洗浄液中にチタン化合物が検出されなくなるまで行った。
合成された固体チタン触媒成分は、その後ヘキサンスラリーとした。この触媒の一部を採取して乾燥させ、その乾燥物の組成を分析したところ、チタン2.5質量%、塩素58質量%、マグネシウム18質量%およびジイソブチルフタレート13.8質量%であった。
[予備重合]
攪拌機を取付けた500リットルの反応器に、窒素ガス雰囲気下で、前記で得られた固体チタン触媒成分3.5kgおよびn−ヘプタン300リットルを入れ、攪拌しながら−5℃に冷却した。次にトリエチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液(2.0モル/リットル)およびシクロヘキシルメチルジメトキシシランのn−ヘプタン溶液(0.01モル/リットル)6リットルをそれぞれ60(ミリモル/リットル)および10(ミリモル/リットル)になるように添加し、5分間攪拌を続けた。
次いで系内を減圧にした後プロピレンを連続的に供給し、プロピレンを4時間重合させた。重合終了後、プロピレンを窒素ガスでパージし、固相部を各10リットルのn−ヘキサンで3回、室温にて洗浄した。さらに、固相部を室温で1時間減圧乾燥して触媒成分を調製した。触媒成分に含まれるマグネシウム量を測定した結果、予備重合量は固体チタン触媒成分lg当り1.8gであった。
[本重合]
攪拌機を備えた500リットルのステンレス製オートクレーブに、窒素ガス雰囲気下、トリイソブチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液(0.1モル/リットル)6リットルとシクロヘキシルメチルジメトキシシランのn−ヘプタン溶液(0.01モル/リットル)0.6リットルを混合し5分間保持したものを入れた。次いで、分子量制御剤としての水素ガス100リットルおよび液体プロピレン300リットルを圧入した後、反応系を70℃に昇温した。前記で得られた触媒成分4.2gを反応系に装入した後、1時間プロピレンの重合を行った。重合終了後、未反応のプロピレンをパージし、50.5kgの白色ポリプロピレン粉末を得た。固体チタン触媒成分lg当りのプロピレン単独重合体生成量は33.5kgであった。このプロピレン単独重合体のアイソタクチックペンタッドは91.8mol%、MFRは3.0g/10分であった。
(参考例2)
<プロピレン・エチレンランダム共重合体の製造>
参考例1に記したシクロヘキシルメチルジメトキシシランの代わりにジシクロペンチルジメトキシシランを用いること、
そして、オートクレーブに液体プロピレン300リットルの代わりに液体プロピレン300リットルとエチレン0.5kgとを圧入する以外は、参考例1と同様に操作して共重合体を製造した。得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体のプロピレン連鎖部のアイソタクチックペンタッドは、98.2mol%、MFRは、2.4g/10分、エチレン含有量は、2.7質量%であった。
(参考例3)
<プロピレン・エチレンランダム共重合体の製造>
参考例1に記した本重合において、オートクレーブに液体プロピレン300リットルの代わりに液体プロピレン300リットルとエチレン0.5kgとを圧入する以外は、参考例1と同様に操作して共重合体を製造した。得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体のプロピレン連鎖部のアイソタクチックペンタッドは、92.5mol%、MFRは、2.3g/10分、エチレン含有量は、2.7質量%であった。
(実施例1)
参考例1の重合体と参考例2の共重合体を97:3の割合で配合し、その他添加剤として酸化防止剤としてのテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを500ppm、リン系酸化防止剤[トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト]を1000ppm、ステアリン酸カルシウム1000ppmとをヘンシェルミキサーで混合した。その後、二軸押出機(30mmφ)に投入してダイス温度200℃およびスクリュー回転数200rpmで混練し、ポリプロピレン系樹脂組成物のペレットを得た。この組成物のアイソタクチックペンタッドは91.8mol%、MFRは3.0g/10分、エチレン含有量は0.1質量%であった。その結果を表1に示した。
(実施例2〜6)
参考例1のプロピレン系重合体(A)と参考例2のプロピレン系重合体(B)(プロピレン・エチレンランダム共重合体)を表1に示す割合で配合した以外は、実施例1と同様に樹脂組成物の調製、押出シートの成形、射出成形を行った。その結果を表1に示した。
(比較例1)
参考例2の代わりに参考例3を用いた以外は、実施例3と同様に樹脂組成物の調製、押出シートの成形、射出成形を行った。
その結果を表1に示した。
(比較例2)
添加剤に核剤(1,3:2,4−ビス−O−(4−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、新日本理化(株)製、商品名「ゲルオールMD」)を2,000ppmを追加して実施例3と同様に樹脂組成物の調製、押出シートの成形、射出成形を行った。その結果を表1に示した。
評価方法
・MFR
ASTM D−1238(測定温度230℃、荷重2.16kg)に従って測定した。
・エチレン含量(C2)およびアイソタクチックペンタッド(mmmm)
プロピレン系重合体(A)、プロピレン系重合体(B)及びポリプロピレン系樹脂組成物中のエチレンに由来する骨格の含有量(エチレン含量)は13C−NMR法で測定した。また、アイソタクチックペンタッド(mmmm)は13C−NMRスペクトルにおけるメチル炭素領域での全吸収ピーク中のmmmmピーク分率として求められる値とした。
13C−NMR測定条件)
測定装置:日本電子製LA400型核磁気共鳴装置
測定モード:BCM(Bilevel Complete decoupling)
観測周波数:100.4MHz
観測範囲:17006.8Hz
パルス幅:C核45°(7.8μ秒)
パルス繰り返し時間:5秒
試料管:5mmφ
試料管回転数:12Hz
積算回数:20000回
測定温度:125℃
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン:0.35ml/重ベンゼン:0.2ml
試料量:約40mg
・融点、融解熱量(ΔH)及び結晶化温度
ポリプロピレン系樹脂組成物の融点および融解熱量は示差走査熱量測定(DSC)により測定した。
測定はパーキンエルマー製 Diamond DSCを用いて行った。
吸熱曲線における最大ピーク位置の温度は、以下の方法により求めた。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物はプレス成形機を用いて230℃で加熱してシート状に加工した。そこから切り出した試料を、底が平らなアルミパンに詰め、窒素雰囲気下で230℃まで昇温し10分間保持した。その後、230℃から10℃/分で−30℃まで降温し1分間保持した後、230℃まで10℃/分で昇温した。その昇温の際の吸熱ピークの頂点を融点と定義し、吸熱ピークが複数ある場合は最大吸熱ピーク頂点を融点と定義した。
一方、吸熱曲線のピーク面積より融解熱量(J/g)を求めた。融解後の温度における吸熱曲線が水平になるように調整し、融解ピークが無くなった点と40℃を結んだ線をベースラインとした。
また、230℃から10℃/分で−30℃まで降温し、その降温の際の結晶化に伴う発熱ピークの頂点を結晶化温度と定義し、発熱ピークが複数ある場合は最大発熱ピーク頂点を結晶化温度と定義した。
・半結晶化時間(T1/2)
測定はパーキンエルマー製 DSC7を用いて行った。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物をプレス成形機で230℃で加熱しシート状にした。そこから切り出した試料を、底が平らなアルミパンに詰めた。これを、窒素雰囲気下で230℃まで昇温し10分間保持した後、320℃/分の速度で130℃まで下げ、結晶飽和となる半分の時間(秒)、いわゆるT1/2(半結晶化時間)を求めた。
・組成物評価
ポリプロピレン系樹脂組成物についてプロピレン系重合体(A)と比較により、結晶化温度の上昇の有無、ΔHの維持性、柔軟性の保持性を評価した。
(結晶化温度の上昇の有無)
○:上昇あり
×:上昇なし又は低下
(ΔHの維持性)
○:ΔHの上昇なし
×:ΔHの上昇あり
(柔軟性の保持性)
○:プロピレン系重合体(A)の柔軟性を保持して、プロピレン系重合体(A)の性能を保持した
×:プロピレン系重合体(A)の柔軟性が保持されず、剛性の増大又は柔軟になりすぎて、性能を保持できなかった。
・押出成形性
GMエンジニアリング製Tダイ成形機を用いて、ダイス温度250℃、チルロール温度30℃、引取速度0.8m/minの条件下で0.8mm厚のシートを作成した。
(ロール汚れ)
上記成形条件で100kgを連続的に押出し、チルロール表面上の汚れの発生具合を観察して判定した。
○:チルロールまたは巻取りロール表面への汚れがほとんど発生せず、実用上の問題は無い。
×:チルロールまたは巻取りロール表面への汚れが発生し、実用上の問題がある。
(成形速度アップへの追従性)
引取速度を○○m/minとしたときのチルロールへの密着度合を目視で評価した。
○:引取りを速くして成形速度を上げてもチルロールへの密着度合いを維持し且つチルロール離れも良好だった
×:チルロールへの密着度合いが不安定である、及び/又は、チルロール離れが悪く引取りが不安定だった。
・射出成形性
型締め力100トンの電動射出成形機(ファナック社製ロボショットS−2000i−100B)を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度20℃、射出1次圧力180MPa、射出速度120mm/sec、射出速度120mm/sec、保圧圧力、70MPa、保圧時間1.0secの条件で、ポリプロピレン系樹脂組成物のペレットを射出成形し、高さ62mm、直径86mm、側面肉厚0.7mmの容器を射出成形した。
(高速成形性)
上記成形条件における連続成形において、100shot中の離型不良、容器変形等のトラブルゼロで成形可能となるサイクルタイムが短縮されたかどうかで判定した。
○:上記成形条件における連続成形において、100shot中の離型不良、容器変形等のトラブルゼロで成形可能となるサイクルタイムが短縮された。
×:サイクルタイムが短縮されなかった。
(金型汚れ)
更に金型表面の汚れの発生具合を観察して判定した。
○:上記成形条件における100shotの連続成形において、金型表面への汚れがほとんど発生せず、実用上の問題は無い。
×:連続成形において、金型表面への汚れが発生し、実用上の問題がある。
Figure 2019172730
図1に、実施例におけるプロピレン系重合体(B)の配合比による結晶化温度の加成性評価(図1(A))とΔHの加成性評価(図1(B))を示す。図1(B)に示すように、ΔHはプロピレン系重合体(B)の配合比によって減少しており、加成性があることが分かる。一方、図1(A)に示すように、結晶化温度はプロピレン系重合体(B)の配合比に対する加成性がないことが分かる。このように、本発明では核剤を用いることなく成形品の柔軟性は保持したまま、加成性以上に結晶化温度が高くなり、結晶化速度が速くなる(半結晶化時間が短くなる)ことが確認された。核剤を用いる必要がなくなり、ロールや金型の汚れが発生せず、外観に優れた成形品を提供できる。

Claims (6)

  1. アイソタクチックペンタッド(mmmm)が84.9〜95.0mol%、炭素数2、4〜20のオレフィン含有量が0〜2質量%のプロピレン系重合体(A)の50〜99.9質量部と
    アイソタクチックペンタッド(mmmm)が95.0〜99.9mol%、炭素数2、4〜20のオレフィン含有量0〜20質量%のプロピレン系重合体(B)の0.1〜50質量部(但し、(A)と(B)の合計は100質量部)を含み、
    (mmmm)−(mmmm)が1mol%以上である、
    ポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. 130℃における半結晶化時間が1,000秒未満の請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を用いた押出シート。
  4. 請求項3の押出シートの一軸又は二軸延伸フィルム。
  5. 請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物の射出成形体。
  6. 請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物の中空成形体。
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