JP2019085047A

JP2019085047A - 後席サイドエアバッグ装置

Info

Publication number: JP2019085047A
Application number: JP2017216559A
Authority: JP
Inventors: 高橋　直樹; Naoki Takahashi; 直樹高橋
Original assignee: Toyota Motor Corp
Current assignee: Toyota Motor Corp
Priority date: 2017-11-09
Filing date: 2017-11-09
Publication date: 2019-06-06
Anticipated expiration: 2037-11-09
Also published as: CN109760618A; CN109760618B; JP6866826B2; US20190135218A1; US10829076B2

Abstract

【課題】乗員の拘束性能を向上させることができる後席サイドエアバッグ装置を得る。【解決手段】後席サイドエアバッグ装置１０はインフレータ３６とサイドエアバッグ３４とを有しており、このうちサイドエアバッグ３４は、インフレータ３６からのガスの供給を受けて車室側部１７における後席１２に対応した位置から後席１２に着座する乗員Ｐの車両幅方向外側の部位Ｓへ向けて膨張展開する。したがって、車両前方側へサイドエアバッグが膨張展開する構成と比べて、車両衝突時の乗員Ｐの拘束を早期に行うことが可能となる。これにより、乗員Ｐの拘束性能を向上させることができる。【選択図】図３

Description

本発明は、後席サイドエアバッグ装置に関する。

特許文献１には、サイドエアバッグ装置が開示されている。このサイドエアバッグ装置は、後席のシートバックと車両側部との間に設けられたシートサイドガーニッシュ（以下、「サイドガーニッシュ」と称する。）に設けられたケース内に収容されている。また、サイドガーニッシュの室内側壁部には、ティア部及びヒンジ部によって囲まれたエアバッグドアが形成されている。そして、車両衝突時には、膨張するエアバッグがケース内からティア部を開裂しながらエアバッグドアを開けることで、後席に着座した乗員と車両側部との間でエアバッグが車両前方側に向けて膨張展開される。

特開２００６−０８８８５０号公報

しかしながら、特許文献１に開示された構成では、サイドエアバッグ装置が車両前後方向にて乗員に対して比較的近い位置にあるため、エアバッグが膨張展開すると、エアバッグにおける車両幅方向寸法（以下、「厚み」と称する。）が最大となる部位が乗員よりも車両前方側に位置するため、乗員の拘束性能が低下する可能性がある。これに対応するため、後席の意匠面をサイドガーニッシュに対し車両前方側へ配置して乗員を車両前方側へ移動させることが考えられるが、サイドガーニッシュと後席の意匠面とが連続しない外観となるため、外観意匠性が低下する。また、サイドエアバッグ装置をサイドガーニッシュに対してより車両後方側へ配置することも考えられるが、小型車等ではサイドガーニッシュの近傍にホイルハウスが配置されるため、サイドエアバッグ装置をサイドガーニッシュに対して車両後方側に配置できない可能性がある。さらに、エアバッグにテザーを追加して扁平な膨張形状とすることで、エアバッグにおける厚みが最大となる部位が乗員の横に配置されるようにすることも考えられるが、この場合エアバッグの構造が複雑となる。したがって、上記先行技術はこの点で改良の余地がある。

本発明は、上記事実を考慮し、乗員の拘束性能を向上させることができる後席サイドエアバッグ装置を得ることを目的とする。

請求項１に記載の発明に係る後席サイドエアバッグ装置は、車両衝突時にガスを発生させるインフレータと、車室側部における後席に対応した位置から前記インフレータよりガスの供給を受けて前記後席に着座する乗員の車両幅方向外側の部位へ向けて膨張展開するサイドエアバッグと、を有している。

請求項１に記載の発明によれば、後席サイドエアバッグ装置はインフレータとサイドエアバッグとを有しており、このうちインフレータは、車両衝突時にガスを発生させる。また、車両衝突時にサイドエアバッグは、車室側部における後席に対応した位置からインフレータよりガスの供給を受けて後席に着座する乗員の車両幅方向外側の部位へ向けて膨張展開される。一般的に、サイドエアバッグは、車室側部と乗員との間を車両前方側へ向かって膨張展開されるが、本発明では車室側部における後席に対応した位置から乗員側へ向けて膨張展開するため、車両衝突時に乗員を早期に拘束することが可能となる。

請求項２に記載の発明に係る後席サイドエアバッグ装置は、請求項１記載の発明において、前記インフレータと、折り畳まれた状態の前記サイドエアバッグとが内部に収容されるケースを有しており、当該ケースには、車両側面視にて前記乗員の体軸中心と重なる位置に車両幅方向内側へ向けて開口されかつ前記サイドエアバッグが膨張展開時に膨出する開口部が形成されている。

請求項２に記載の発明によれば、後席サイドエアバッグ装置は、インフレータと折り畳まれた状態のサイドエアバッグとが内部に収容されたケースを有している。このケースには、車両幅方向内側へ向けて開口されかつサイドエアバッグが膨張展開時に膨出する開口部が形成されており、この開口部は、車両側面視にて後席に着座する乗員の体軸中心と重なる位置に配置されている。したがって、サイドエアバッグは、車両側面視にて乗員の体軸中心と重なる位置に向かって膨張展開させることができる。

ここで、「乗員の体軸中心」には、後席に着座する乗員の上部胴体部における車両前後方向での中心部又は衝突試験用のダミー（人形）の上部胴体部における車両前後方向での中心部が含まれるものとする。

請求項３に記載の発明に係る後席サイドエアバッグ装置は、請求項２に記載の発明において、前記ケースは、前記車室側部と前記後席のシートバックとの間に配置され前記車室側部に固定されたシートサイドガーニッシュ又はサイドシートのベース部材に取り付けられており、前記ケースと、前記ケースが取り付けられた前記シートサイドガーニッシュにおける前記開口部の近傍の部位又は前記ケースが取り付けられた前記ベース部材における前記開口部の近傍の部位とは、前記サイドエアバッグの膨張展開時に前記開口部の車両前後方向の大きさが拡大されると共に前記サイドエアバッグを車両幅方向外側から支持する支持面が形成されるように変形する。

請求項３に記載の発明によれば、ケースは、車室側部における後席に対応した位置に配置されたサイドガーニッシュ又はサイドシートのベース部材に取り付けられている。ここで、サイドガーニッシュにケースが取り付けられた場合、このサイドガーニッシュにおけるケースの開口部の近傍と、ケースとは、サイドエアバッグの膨張展開時に開口部の車両前後方向の大きさが拡大すると共にサイドエアバッグを車両幅方向外側から支持する支持面が形成されるように変形する。したがって、サイドエアバッグは、車両前後方向の大きさが大きくなった開口部から乗員の車両幅方向外側の部位へ向けて膨張展開することになるため、車両前後方向の大きさが狭い開口部から膨張展開するよりも膨張展開し易くなる。また、膨張展開したサイドエアバッグは、支持面から車両幅方向内側へ向けての反力をとることができるので、乗員をより確実に拘束することができる。

一方、サイドシートのベース部材にケースが取り付けられた場合も、上述のサイドガーニッシュと同様に、ベース部材におけるケースの開口部の近傍と、ケースとは、サイドエアバッグの膨張展開時に開口部の車両前後方向の大きさが拡大すると共にサイドエアバッグを車両幅方向外側から支持する支持面が形成されるように変形する。したがって、サイドシートのベース部材にケースが取り付けられた場合においても、サイドエアバッグを膨張展開し易くできると共に、乗員をより確実に拘束することができる。

ここで、「サイドシート」とは、後席におけるシートバックに対して車両側部に配置されると共に車体に固定され、ベース部材と、当該ベース部材を車室内側から覆う弾性部材と、当該弾性部材の車室内側に設けられた表皮材とを有する内装部材を指す。

請求項４に記載の発明に係る後席サイドエアバッグ装置は、請求項３記載の発明において、前記ケースにおける前記開口部の車両後方側の部位と、前記ケースが取り付けられた前記シートサイドガーニッシュにおける前記開口部に対して車両後方側の部位又は前記ケースが取り付けられた前記ベース部材における前記開口部に対して車両後方側の部位とは、前記サイドエアバッグの膨張展開時に前記開口部の車両前後方向の大きさを拡大するように変形する。

請求項４に記載の発明によれば、ケースにおける開口部の車両後方側の部位と、ケースが取り付けられたサイドガーニッシュにおける開口部の車両後方側の部位又はケースが取り付けられたベース部材における開口部に対して車両後方側の部位とは、サイドエアバッグの膨張展開時に開口部の車両前後方向の大きさを拡大するように変形することから、サイドエアバッグは、開口部に対して車両後方側の範囲を含んで膨張展開する。したがって、荷重に対する耐性値が高い乗員の胸部の後側及び背中をサイドエアバッグが直接拘束することができる。

請求項５に記載の発明に係る後席サイドエアバッグ装置は、請求項３又は請求項４に記載の発明において、前記ケースは、ホイルハウスインナパネルを覆う前記シートサイドガーニッシュに取り付けられている。

請求項５に記載の発明によれば、ケースは、サイドガーニッシュに取り付けられており、サイドガーニッシュはホイルハウスインナパネル（以下、「ハウスインナ」と称する。）を覆っている。一般的に、小型車のようにハウスインナとサイドガーニッシュとの間の空間が狭い場合、サイドガーニッシュにケースを取り付けると、ケースが後席に着座した乗員と車両前後方向にて比較的近い位置に配置せざるを得ないため、サイドエアバッグの膨張展開時にサイドエアバッグにおける厚みが最大となる部位が乗員よりも車両前方側に位置する。このため、乗員の拘束性能が低下する可能性がある。これに対し、本発明では、乗員の車両幅方向外側の部位へ向かってサイドエアバッグが膨張展開するため、ハウスインナとサイドガーニッシュとの間の空間が狭い場合でも乗員の拘束性能の低下を抑制することができる。

請求項６に記載の発明に係る後席サイドエアバッグ装置は、請求項１〜請求項５のいずれか一項に記載の発明において、前記サイドエアバッグは、内部に仕切部を有し、当該仕切部に対して車両後方側に配置されかつ内部に前記インフレータが収容された後側チャンバと、前記仕切部に対して車両前方側に配置されかつ前記仕切部に形成された連通孔により前記後側チャンバと連通された前側チャンバとを有している。

請求項６に記載の発明によれば、サイドエアバッグは、内部が仕切部によって仕切られることで、仕切部に対して車両後方側に配置された後側チャンバと、仕切部に対して車両前方側に配置された前側チャンバとを有している。後側チャンバの内部には、インフレータが収容されており、仕切部に形成された連通孔により後側チャンバと前側チャンバとが連通されている。したがって、後側チャンバはインフレータから直接ガスの供給を受けることで、前側チャンバよりも高圧となる。このため、荷重に対する耐性値が高い乗員の胸部の後側及び背中を高圧の後側チャンバによって拘束できると共に、荷重に対する耐性値が低い乗員の胸部の前側を低圧の前側チャンバによって拘束することができる。

請求項１記載の本発明に係る後席サイドエアバッグ装置は、乗員の拘束性能を向上させることができるという優れた効果を有する。

請求項２〜４記載の本発明に係る後席サイドエアバッグ装置は、乗員の拘束性能をさらに向上させることができるという優れた効果を有する。

請求項５記載の本発明に係る後席サイドエアバッグ装置は、小型車における乗員の拘束性能を向上させることができるという優れた効果を有する。

請求項６記載の本発明に係る後席サイドエアバッグ装置は、乗員の耐性値が異なる部位に合わせて内圧が異なるサイドエアバッグのチャンバにより乗員を適切に拘束することができるという優れた効果を有する。

一実施形態に係る後席サイドエアバッグ装置の作動前におけるサイドガーニッシュと後席周辺を示す概略平断面図である。一実施形態に係る後席サイドエアバッグ装置の作動初期状態を示す図１に対応した概略平断面図である。一実施形態に係る後席サイドエアバッグ装置の作動後の状態を示す図１に対応した概略平断面図である。一実施形態に係る後席サイドエアバッグ装置の作動後の状態を示す車両側面図である。一実施形態に係る後席サイドエアバッグ装置の作動後の状態を図４におけるＡ−Ａ線に沿って切断して示す拡大断面図である。比較例に係る後席サイドエアバッグ装置の作動後の状態を示す車両側面図である。比較例に係る後席サイドエアバッグ装置の作動後の状態を図６におけるＢ−Ｂ線に沿って切断して示す拡大断面図である。

以下、図面を参照して、本発明を実施するための一実施形態を詳細に説明する。なお、図において示される矢印ＦＲは車両前後方向前側、矢印ＯＵＴは車両幅方向外側、矢印ＵＰは車両上下方向上側をそれぞれ示す。

図１には、本実施形態に係る後席サイドエアバッグ装置１０が適用された後席１２を車両上方側から見た平面図が示されている。また、図１には、保護すべき乗員のモデルとして衝突試験用のダミー（人形）が後席１２のシートクッション１４に着座した状態を図示している。ダミーは、例えばＷｏｒｌｄＳＩＤ（国際統一側面衝突ダミー：ＷｏｒｌｄＳｉｄｅＩｍｐａｃｔＤｕｍｍｙ）のＡＦ０５（米国人成人女性の５パーセンタイル）である。このダミーは、衝突試験法で定められた標準的な着座姿勢で着座しており、後席１２は、当該着座姿勢に対応した基準設定位置に位置している。以下、説明を分かり易くするために、ダミーを「乗員Ｐ」と称する。

図１に示されるように、後席１２は、シートクッション１４とシートバック１６とを含んで構成されており、シートバック１６の上端部には乗員Ｐの頭部Ｈを支持するためのヘッドレスト１８が設けられている。また、乗員Ｐの側方には、乗員Ｐを拘束するためのウェビング（ベルト）２０が配設されている。ウェビング２０は、車両上下方向に延在されており、ウェビング２０の一端部は、車両フロアに取り付けられた図示しないベルトアンカに固定されている。一方、ウェビング２０の他端部は、アッパバックパネルに搭載された図示しないリトラクタに巻き取られている。さらに、ウェビング２０には、バックルに装着されるタングプレート（共に不図示）が挿通されている。

ここで、後席１２のシートバック１６の車両幅方向外側、すなわち、車室側部１７における後席１２に対応した位置には、サイドガーニッシュ２２が設けられており、このサイドガーニッシュ２２には、後席サイドエアバッグ装置１０が組み付けられている。なお、図１では、車両左側の車室側部１７におけるサイドガーニッシュ２２及び後席サイドエアバッグ装置１０のみを図示しているが、車両右側の車室側部にも同様にサイドガーニッシュ２２及び後席サイドエアバッグ装置１０が設けられている。また、車両右側の後席サイドエアバッグ装置１０と車両左側の後席サイドエアバッグ装置１０とは左右対称であるため、以下の説明では車両左側の後席サイドエアバッグ装置１０についてのみ説明する。

サイドガーニッシュ２２は、シートバック１６の側方とホイルハウス２４との間に設けられており、樹脂によって形成されている。サイドガーニッシュ２２は、略車両前後方向を板厚方向とする室内側壁部２２Ａを有している。また、サイドガーニッシュ２２は、室内側壁部２２Ａの車両幅方向内側の端部から車両後方側へ延設された後席側壁部２２Ｂを有している。これにより、ホイルハウス２４のハウスインナ２４Ａがサイドガーニッシュ２２により車両幅方向内側から覆われている。さらに、サイドガーニッシュ２２における後席側壁部２２Ｂには、後席サイドエアバッグ装置１０が組み付けられている。後席サイドエアバッグ装置１０の詳細については後述する。

ホイルハウス２４は、内板を構成するハウスインナ２４Ａと、外板を構成するホイルハウスアウタパネル（以下、「ハウスアウタ」と称する。）２４Ｂとを含んで構成されている。また、ハウスインナ２４Ａの前端部にはインナ側フランジ２４ＡＡが形成されている。このインナ側フランジ２４ＡＡと、ハウスアウタ２４Ｂの前端部に形成されたアウタ側フランジ２４ＢＡとの接合部分にトリムシール２６が取り付けられている。

ホイルハウス２４よりも車両前方には、リアサイドドア２８が配置されている。リアサイドドア２８は、内板を構成するドアインナパネル３０と、外板を構成する図示しないドアアウタパネルとを含んで構成されている。また、ドアインナパネルの車両内側には、内装部品である樹脂製のドアトリム３２が取り付けられている。

サイドガーニッシュ２２に組み付けられた後席サイドエアバッグ装置１０は、サイドガーニッシュ２２とホイルハウス２４との間に配置されている。後席サイドエアバッグ装置１０は、サイドエアバッグ３４と、インフレータ３６と、サイドガーニッシュ２２に取り付けられると共に内部にサイドエアバッグ３４とインフレータ３６とを収容するケース３８とを含んで構成されており、ケース３８の後述する開口部３８Ａはサイドガーニッシュ２２により覆われている。

サイドエアバッグ３４は、袋状に形成されており、車両衝突時に乗員Ｐの車両幅方向外側の部位Ｓへ向かって膨張展開されて乗員Ｐを保護する（図２、図３参照）。また、本実施形態のサイドエアバッグ３４は、膨張展開前の状態では折り畳まれた状態でケース３８内に収容されている。なお、サイドエアバッグ３４の折り方は特に限定されず、蛇腹状やロール状に折り畳んでもよい。また、折り畳まずに収容してもよい。

インフレータ３６は、燃焼式又はコールドガス式のものが採用され、作動されることで発生したガスをサイドエアバッグ３４内に供給するようになっている。本実施形態では、インフレータ３６は、シリンダ型のインフレータとされ、略車両上下方向を長手方向として配置されている。このインフレータ３６の下端部には、周面に沿って複数の図示しないガス噴出口が形成されており、インフレータ３６が作動されることで、ガス噴出口からガスが噴出される。なお、本実施形態では、インフレータ３６はシリンダ型とされているが、これに限らず、ディスク型のインフレータとしてもよい。

さらに、インフレータ３６は、制御部である図示しないＥＣＵ（ＥｌｅｃｔｒｏｎｉｃＣｏｎｔｒｏｌＵｎｉｔ）と電気的に接続されており、このＥＣＵによって車両衝突時に作動される。

サイドガーニッシュ２２とホイルハウス２４との間に配置されるケース３８は、車両幅方向内側が開口された（車両幅方向内側に開口部３８Ａを有する）箱状に形成されており、開口部３８Ａは、車両側面視にて乗員Ｐの体軸中心ＣＬを含む位置に配置されている（図４参照）。したがって、開口部３８Ａは、車両幅方向内側へ向かって開口されている。このケース３８の上端部及び下端部にはそれぞれ、図示しない上壁及び下壁が設けられている。上壁は、サイドエアバッグ３４及びインフレータ３６の車両上方に配置されてケース３８の上面を構成しており、下壁は、サイドエアバッグ３４及びインフレータ３６の車両下方に配置されてケース３８の下面を構成している。

ケース３８におけるサイドエアバッグ３４及びインフレータ３６の車両幅方向外側には、上壁及び下壁の後端同士を連結する底壁３８Ｂが設けられており、この底壁３８Ｂは、展開状態のサイドエアバッグ３４を車両幅方向外側から支持するように構成されている（図３参照）。なお、インフレータ３６は、底壁３８Ｂの車両前後方向略中央部に配置されている。また、ケース３８の底壁３８Ｂとハウスインナ２４Ａとは、ブラケット４０を介して取り付けられており、これによって、ケース３８がホイルハウス２４に固定されている。

ケース３８は、底壁３８Ｂ車両前後方向両端部から車両幅方向内側へ一対の側壁３８Ｃが延出されており、これによって一対の側壁３８Ｃは、車両前後方向に間隔をあけて対向して配置されている。なお、一対の側壁３８Ｃのうち、車両後方側の側壁３８Ｃの車両幅方向内側の端部３８ＣＡは、車両前方側の側壁３８Ｃの車両幅方向内側の端部３８ＣＢに対して車両幅方向内側に位置している。

一対の側壁３８Ｃのうち、車両後方側の側壁３８Ｃには、肉薄とされたヒンジ部４２が形成されている。このヒンジ部４２は、図示はしないが車両側面視にて略車両上下方向に沿った直線状に形成されており、一例として、車両前方側の側壁３８Ｃの車両幅方向内側の端部３８ＣＢと車両幅方向にて略同一の位置に形成されている。

ケース３８の車両幅方向内側には、サイドガーニッシュ２２の後席側壁部２２Ｂに形成されたエアバッグドア部２２ＢＡが配置されている。すなわち、ケース３８の一対の側壁３８Ｃの車両幅方向内側の端部３８ＣＡ、３８ＣＢは、後席側壁部２２Ｂにそれぞれ取り付けられており、この端部３８ＣＡと端部３８ＣＢとの間がエアバッグドア部２２ＢＡとされている。このエアバッグドア部２２ＢＡによって、サイドエアバッグ３４及びインフレータ３６が車室側から覆われている。エアバッグドア部２２ＢＡの車両前方側の端部には、肉薄とされたヒンジ部４３が形成されている。また、エアバッグドア部２２ＢＡの車両後方側の端部には、肉薄とされたティア部４４が形成されている。このティア部４４は、ヒンジ部４３よりも板厚が薄く形成されている。そして、ティア部４４とヒンジ部４３とは、開口部３８Ａに対応した位置、具体的には開口部３８Ａの外縁に沿うように形成されている。また、図示はしないが、ティア部４４は略車両側面視にて約Ｃ字状に形成されており、ヒンジ部４３は車両側面視にて略車両上下方向に沿った直線状に形成されている。これにより、サイドエアバッグ３４の膨張展開時に展開圧力を受けてティア部４４が破断すると、ヒンジ部４３がヒンジとなり、エアバッグドア部２２ＢＡがヒンジ部４３を中心に車両幅方向内側かつ車両前方側へ開く（図２、図３参照）。

ケース３８における車両後方側の側壁３８Ｃの車両幅方向内側の端部３８ＣＡとサイドガーニッシュ２２の後席側壁部２２Ｂとの結合部には、肉薄とされたヒンジ部４６が形成されている。このヒンジ部４６は、ヒンジ部４２と同様に車両側面視にて略車両上下方向に沿った直線状に形成されており、ヒンジ部４２と略同一の板厚に設定されている。

また、サイドガーニッシュ２２の後席側壁部２２Ｂにおけるヒンジ部４６の車両後方側には、肉薄とされたヒンジ部４８が形成されている。このヒンジ部４８も、ヒンジ部４２と同様に車両側面視にて略車両上下方向に沿った直線状に形成されており、ヒンジ部４２と略同一の板厚に設定されている。

図４に示されるように、サイドエアバッグ３４には、内部に設けられた仕切部としてのテザー５０（仕切布）によって前側チャンバ３４Ａと後側チャンバ３４Ｂとに仕切られている。このテザー５０は、サイドエアバッグ３４と同様の布材によって長尺帯状に形成されており、一方の長辺縁部が縫製部Ｔ１（図５参照）においてサイドエアバッグ３４の車両幅方向外側を構成する基布５３に縫製され、他方の長辺縁部が縫製部Ｔ２（図５参照）においてサイドエアバッグ３４の車両幅方向内側を構成する基布５２に縫製されている。

テザー５０は、サイドエアバッグ３４の膨張展開状態で、車両側面視にて略逆Ｌ字状に設定されている。具体的には、テザー５０の下端部は、サイドエアバッグ３４の下端部から上方側へ向かうにつれて後方側へ向かうように傾けられており、テザー５０の上下方向中間部は、シートバック１６のサイドサポート部１６Ａの前縁部（図１参照、所謂カマチ部）に略沿うようにシートバック１６の高さ方向に延設されている。また、テザー５０の上端部は、サイドエアバッグ３４の前端部から下方側へ向かうにつれて後方側へ向かうように傾けられている。このテザー５０の形状により、後側チャンバ３４Ｂの上部３４ＢＵには、前方側へ延出された肩部拘束部５６が一体で設けられている。

テザー５０には、連通孔としてのインナベントホール５８が形成されている。このインナベントホール５８は、上側インナベントホール５８Ａと下側インナベントホール５８Ｂとを有している。具体的には、上側インナベントホール５８Ａは、テザー５０の傾斜した上端部に形成されており、下側インナベントホール５８Ｂは、テザー５０の上下方向に伸びる下端部に形成されている。これらの上側インナベントホール５８Ａ及び下側インナベントホール５８Ｂを介して前側チャンバ３４Ａ内と後側チャンバ３４Ｂ内とが相互に連通されている。

このサイドエアバッグ３４が膨張展開した状態では、サイドエアバッグ３４の前側チャンバ３４Ａが乗員Ｐにおける肩部ＳＨの下側部から腰部Ｌまでの前部側を拘束し、後側チャンバ３４Ｂが乗員Ｐの肩部ＳＨから腰部Ｌまでの後部側を拘束する。

（作用・効果）

ここで、図６、図７に示される比較例を用いながら、本実施形態の作用並びに効果を説明することにする。なお、本実施形態と同一構成部分については同一番号を付してその説明を省略する。

図７に示されるように、サイドガーニッシュ２２における室内側壁部２２Ａには、後席サイドエアバッグ装置１００が取り付けられている。この後席サイドエアバッグ装置１００は、ケース１０２を有しており、このケース１０２には、室内側壁部（車両前方）２２Ａへ向けて開口された開口部１０２Ａが形成されかつ室内側壁部２２Ａに取り付けられている。このケース１０２の内部には、車両衝突時に乗員Ｐの側方で車両前方に向けて膨張展開されるサイドエアバッグ１０４と、サイドエアバッグ１０４内へガスを供給するインフレータ３６とが収容されている。そして、車両衝突時には、膨張するサイドエアバッグ１０４がケース１０２内からティア部１０６を開裂しながらエアバッグドア部２２ＢＡを開けることで、後席１２（図６参照）に着座した乗員Ｐとドアトリム３２との間でサイドエアバッグ１０４が膨張展開される。

しかしながら、後席サイドエアバッグ装置１００が乗員に対して車両前後方向に比較的近い位置にあるため、車両衝突時にサイドエアバッグ１０４が膨張展開すると、乗員Ｐの体軸中心ＣＬに対して車室前方側で膨張展開する（図６参照）。したがって、サイドエアバッグ１０４における厚みが最大となる部位Ｗが乗員Ｐよりも車両前方側に位置する（乗員Ｐの横ではサイドエアバッグ１０４の厚さが薄くなる）ため、乗員Ｐの拘束性能が低下する可能性がある。

これに対し、本実施形態によれば、図１に示されるように、後席サイドエアバッグ装置１０はインフレータ３６とサイドエアバッグ３４とを有しており、このうちサイドエアバッグ３４は、図２、図３に示されるように、インフレータ３６からのガスの供給を受けて車室側部１７における後席１２に対応した位置（サイドガーニッシュ２２）から後席１２に着座する乗員Ｐの車両幅方向外側の部位Ｓへ向けて膨張展開する。したがって、比較例のように車両前方側へサイドエアバッグが膨張展開する構成と比べて、車両衝突時の乗員Ｐの拘束を早期に行うことが可能となる。これにより、乗員Ｐの拘束性能を向上させることができる。

また、後席サイドエアバッグ装置１０は、インフレータ３６と折り畳まれた状態のサイドエアバッグ３４とが内部に収容されたケース３８を有している。このケース３８には、図４に示されるように、車両幅方向内側へ向けて開口されかつサイドエアバッグ３４が膨張展開時に膨出する開口部３８Ａが形成されており、この開口部３８Ａは、車両側面視にて後席に着座する乗員Ｐの体軸中心ＣＬと重なる位置に配置されている。したがって、サイドエアバッグ３４は、乗員Ｐの体軸中心ＣＬと重なる位置にて膨張展開させることができる。これにより、乗員Ｐの拘束性能をさらに向上させることができる。

さらに、ケース３８は、車室側部における後席に対応した位置に配置されたサイドガーニッシュ２２に取り付けられている。この場合、図３に示されるように、サイドガーニッシュ２２におけるケース３８の開口部３８Ａの近傍と、ケース３８とは、サイドエアバッグ３４の膨張展開時に開口部３８Ａの車両前後方向の大きさが拡大すると共にサイドエアバッグ３４を車両幅方向外側から支持する支持面が形成されるように変形する。

すなわち、図２に示されるように、車両衝突時にインフレータ３６が起動すると、サイドエアバッグ３４内にガスが供給される。これにより、サイドエアバッグ３４は、ケース３８における一対の側壁３８Ｃに沿って車両幅方向内側へと膨張する。このサイドエアバッグ３４の展開圧力によって、ティア部４４が破断し、エアバッグドア部２２ＢＡがヒンジ部４３を中心に車両幅方向内側かつ車両前方側へ開く。

その後、サイドエアバッグ３４内にインフレータ３６からガスが供給され続けると、ケース３８の車両後方側の側壁３８Ｃがサイドエアバッグ３４から車両後方側へ向けた展開圧力を受ける。これによって、図３に示されるように、車両後方側の側壁３８Ｃにおけるヒンジ部４６とヒンジ部４２との間の部位が、ヒンジ部４２を中心に車両後方側かつ車両幅方向外側へ変位する。これによって、車両後方側の側壁３８Ｃにおけるヒンジ部４６とヒンジ部４２との間の部位は、略車両幅方向が面直方向となりかつサイドエアバッグ３４を車両幅方向外側から支持するいわば支持面となる。また、側壁３８Ｃの変位に伴い、サイドガーニッシュ２２の後席側壁部２２Ｂにおけるヒンジ部４６とヒンジ部４８との間の部位も、ヒンジ部４８を中心に車両幅方向外側かつ車両後方側へと変位する。これによって、後席側壁部２２Ｂにおけるヒンジ部４６とヒンジ部４８との間の部位は、略車両前後方向が面直方向となり、開口部３８Ａは車両前後方向の大きさが拡大される。

以上の変形により、サイドエアバッグ３４は、車両前後方向の大きさが大きくなった開口部３８Ａから乗員Ｐの車両幅方向外側の部位Ｓへ向けて膨張展開することになるため、車両前後方向の大きさが狭い開口部３８Ａから膨張展開するよりも膨張展開し易くなる。また、膨張展開したサイドエアバッグ３４は、略車両幅方向が面直方向となるように変位した車両後方側の側壁３８Ｃにおけるヒンジ部４６とヒンジ部４２との間の部位から車両幅方向内側へ向けての反力をとることができるので、乗員Ｐをより確実に拘束することができる。

さらにまた、上述したケース３８とサイドガーニッシュ２２との変形により、サイドエアバッグ３４は、開口部３８Ａに対して車両後方側の範囲を含んで膨張展開する。したがって、荷重に対する耐性値が高い乗員Ｐの胸部Ｃの後側及び背中ＢＡをサイドエアバッグ３４が直接拘束することができる（図４参照）。

また、サイドエアバッグ３４は、膨張展開時、ケース３８の底壁３８Ｂによって車両幅方向外側から支持するように構成されている。したがって、比較例のように、車両前方側へ膨張展開して乗員Ｐと車室側部１７（ドアトリム３２）との間を埋めるサイドエアバッグ１０４よりも小型化することができる。これにより、コスト低減に寄与することができる。

また、ケース３８は、サイドガーニッシュ２２に取り付けられており、サイドガーニッシュ２２はハウスインナ２４Ａを覆っている。一般的に、小型車のようにハウスインナ２４Ａとサイドガーニッシュ２２との間の空間が狭い場合、サイドガーニッシュ２２にケース３８を取り付けると、ケース３８を後席１２に着座した乗員Ｐと車両前後方向にて比較的近い位置に配置せざるを得ないため、サイドエアバッグ３４の膨張展開時にサイドエアバッグ３４における厚みが最大となる部位が乗員Ｐよりも車両前方側に位置する。このため、乗員Ｐの拘束性能が低下する可能性がある。これに対し、本実施形態では、乗員Ｐの車両幅方向外側の部位Ｓへ向かってサイドエアバッグ３４が膨張展開するため、ハウスインナ２４Ａとサイドガーニッシュ２２との間の空間が狭い場合でも、乗員Ｐの拘束性能の低下を抑制することができる。これにより、小型車においても乗員Ｐの拘束性能を向上させることができる。

さらに、サイドエアバッグ３４は、内部がテザー５０によって仕切られることで、テザー５０に対して車両後方側に配置された後側チャンバ３４Ｂと、テザー５０に対して車両前方側に配置された前側チャンバ３４Ａとを有している。後側チャンバ３４Ｂの内部には、インフレータ３６が収容されており、テザー５０に形成された上側インナベントホール５８Ａ及び下側インナベントホール５８Ｂにより後側チャンバ３４Ｂと前側チャンバ３４Ａとが連通されている。したがって、後側チャンバ３４Ｂはインフレータ３６から直接ガスの供給を受けることで、前側チャンバ３４Ａよりも高圧となる。このため、荷重に対する耐性値が高い乗員Ｐの胸部Ｃの後側及び背中ＢＡを高圧の後側チャンバ３４Ｂによって拘束できると共に、荷重に対する耐性値が低い乗員Ｐの胸部Ｃの前側を低圧の前側チャンバ３４Ａによって拘束することができる。これにより、乗員Ｐの耐性値が異なる部位に合わせて内圧が異なるサイドエアバッグ３４により乗員Ｐを適切に拘束することができる。

また、図示はしないが、サイドエアバッグ３４の内部にテザー５０を設けることで、サイドエアバッグ３４が膨張展開する際、車両平面視にて前側チャンバ３４Ａと後側チャンバ３４Ｂとがテザー５０に対して乗員Ｐ側へと膨出される。つまり、サイドエアバッグ３４におけるテザー５０に対応した部位がいわば谷となり、この谷の部位があることで乗員Ｐを保持し易くなる。これにより、乗員Ｐの拘束性能をさらに向上させることができる。

さらにまた、サイドエアバッグ３４が乗員Ｐの車両幅方向外側部の部位Ｓに向かって膨張展開することで、サイドエアバッグ３４の膨張展開時にウェビング２０によって膨張展開が阻害されるのを抑制することができる。

なお、本実施形態では、後席サイドエアバッグ装置１０がサイドガーニッシュ２２に設けられた構成されているが、これに限らず、図示はしないが、後席１２におけるシートバック１６に対して車室側部１７に配置されると共に車体に固定され、ベース部材と、当該ベース部材を車室内側から覆うパッドと、パッドを車室内側から覆う表皮材とを有する内装部材としてのサイドシートにおけるベース部材に設けてもよいし、それ以外の部材に設けられてもよい。

また、サイドエアバッグ３４の膨張展開時に、サイドガーニッシュ２２におけるケース３８の開口部３８Ａの近傍と、ケース３８とはそれぞれ薄肉とされたヒンジ部４２、４６、４８をいわば変形起点部として変形する構成とされているが、これに限らず、変形起点部以外の部位にリブ等を設けて変形起点部に応力が集中することで変形する構成としてもよいし、それ以外の構成によって変形させる構成としてもよい。

以上、本発明は、上記の形態例に限定されるものではなく、上記の形態例以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。

１０後席サイドエアバッグ装置
１２後席
１６シートバック
１７車室側部
２２サイドガーニッシュ（シートサイドガーニッシュ）
２４Ａハウスインナ（ホイルハウスインナパネル）
３４サイドエアバッグ
３４Ａ前側チャンバ
３４Ｂ後側チャンバ
３６インフレータ
３８ケース
３８Ａ開口部
５０テザー（仕切部）
５８インナベントホール（連通孔）
ＣＬ体軸中心
Ｐ乗員
Ｓ乗員の車両幅方向外側の部位

Claims

車両衝突時にガスを発生させるインフレータと、
車室側部における後席に対応した位置から前記インフレータよりガスの供給を受けて前記後席に着座する乗員の車両幅方向外側の部位へ向けて膨張展開するサイドエアバッグと、
を有する後席サイドエアバッグ装置。
前記インフレータと、折り畳まれた状態の前記サイドエアバッグとが内部に収容されるケースを有しており、
当該ケースには、車両側面視にて前記乗員の体軸中心と重なる位置に車両幅方向内側へ向けて開口されかつ前記サイドエアバッグが膨張展開時に膨出する開口部が形成されている、
請求項１記載の後席サイドエアバッグ装置。
前記ケースは、前記車室側部と前記後席のシートバックとの間に配置され前記車室側部に固定されたシートサイドガーニッシュ又はサイドシートのベース部材に取り付けられており、
前記ケースと、前記ケースが取り付けられた前記シートサイドガーニッシュにおける前記開口部の近傍の部位又は前記ケースが取り付けられた前記ベース部材における前記開口部の近傍の部位とは、前記サイドエアバッグの膨張展開時に前記開口部の車両前後方向の大きさが拡大されると共に前記サイドエアバッグを車両幅方向外側から支持する支持面が形成されるように変形する、
請求項２に記載の後席サイドエアバッグ装置。
前記ケースにおける前記開口部の車両後方側の部位と、前記ケースが取り付けられた前記シートサイドガーニッシュにおける前記開口部に対して車両後方側の部位又は前記ケースが取り付けられた前記ベース部材における前記開口部に対して車両後方側の部位とは、前記サイドエアバッグの膨張展開時に前記開口部の車両前後方向の大きさを拡大するように変形する、
請求項３記載の後席サイドエアバッグ装置。
前記ケースは、ホイルハウスインナパネルを覆う前記シートサイドガーニッシュに取り付けられている、
請求項３又は請求項４に記載の後席サイドエアバッグ装置。
前記サイドエアバッグは、内部に仕切部を有し、当該仕切部に対して車両後方側に配置されかつ内部に前記インフレータが収容された後側チャンバと、前記仕切部に対して車両前方側に配置されかつ前記仕切部に形成された連通孔により前記後側チャンバと連通された前側チャンバとを有している、
請求項１〜請求項５のいずれか一項に記載の後席サイドエアバッグ装置。