JP2019064098A - 水圧転写フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】凹凸形状等の立体的な意匠性に優れた意匠層を、加飾成形品表面に形成することができる水溶性転写フィルム及びその製造方法を提供する。【解決手段】水溶性フィルム上に意匠層を有する水圧転写フィルムであって、該水溶性フィルムの意匠層を有する面に凹部が形成されおり、該意匠層を構成する意匠層aが該凹部に形成されており、かつ該水溶性フィルムの意匠層を有する面に該意匠層aの非形成部分を有する水圧転写フィルム及びその製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、立体的な意匠性に優れた意匠層を加飾成形品の表面に形成するのに好適な水圧転写フィルム及びその製造方法に関する。
自動車内装品、家電製品又はOA機器等の複雑な形状からなる成形品に意匠性の高い装飾を簡便に施す方法として、水圧を利用した水圧転写法が知られている。水圧転写法は、水溶性フィルムに所望の意匠層を設けた水圧転写フィルムを用意し、水圧転写フィルムの意匠層を上にして水面に浮遊させる前又は浮遊させた後、水圧転写フィルムの意匠層に活性剤組成物を塗布して、該意匠層を膨潤、粘着化させ(これを活性化という)、水圧を利用して被転写体に意匠層を転写する方法である(例えば、特許文献1及び2参照)。
意匠層を活性化する際、立体的形状を有する意匠層は活性剤組成物によりインキが活性化されるため、その立体的形状を維持することができないといった不都合を生じることがあった。
また、転写後の加飾成形品の表面には物性を担保するため、樹脂を用いたトップコート層を形成することが一般的に行われている。しかし、トップコート層を設けることにより立体的形状を有する意匠層の表面が視覚的に平坦になり易く、転写後に立体的な形状を表現することが困難であった。
このような状況から、立体的な意匠を発現することができる意匠層を、加飾成形体表面に形成するための水圧転写フィルムの検討が行われている。
例えば特許文献3には、伸展抑制樹脂層上に積層された光輝性インキ層に凹凸形状が形成されており、該光輝性インキ層上に水溶性フィルムが設けられた水溶性転写フィルムが開示されている。
また、特許萎文献4では水溶性フィルムをエンボス加工した後、凹凸形状を埋めるように光輝性インキ層を積層した水溶性転写フィルムが開示されている。
特開昭61−66685号公報 特開昭60−165300号公報 特開2014−193551号公報 特開2005−238674号公報
特許文献3では、伸展抑制樹脂層を設けることで凹凸形状を良好に賦型することができ、また光輝性インキ層の伸展を抑制して転写後も凹凸感を保持することを可能としている。しかしながら、光輝性インキ層はグラビアコート法により積層されているため1μm程度の厚さであり、立体形状の意匠性に奥行き感が不足してしまう。また、特許文献4では、水圧転写シートにおける凸部を含む光輝性インキ層の厚さを30μm程度にすることができる。しかしながら、光輝性インキ層は水圧転写シート全面に設けられているため、転写後の加飾成形体表面全体が同一の光沢色調となり、凸部が目立たず印象的な立体感が得られ難い。
このように、立体的な意匠性の表現に十分満足できる意匠層を、加飾成形品の表面に形成することができる水溶性転写フィルムには改良の余地がある。
上記のような状況から、本発明は、凹凸形状等の立体的な意匠性に優れた意匠層を、加飾成形品表面に形成することができる水溶性転写フィルム及びその製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明者らは下記本発明を想到し、当該課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]水溶性フィルム上に意匠層を有する水圧転写フィルムであって、該水溶性フィルムの意匠層を有する面に凹部が形成されおり、該意匠層を構成する意匠層aが該凹部に形成されており、かつ該水溶性フィルムの意匠層を有する面に該意匠層aの非形成部分を有する、水圧転写フィルム。
[2]水溶性フィルムの少なくとも一方の面に凹部を形成する工程、該凹部を形成した面に塗料を塗布した後ワイピング処理をして該凹部に意匠層aを形成する工程、を有する水圧転写フィルムの製造方法。
本発明によれば、凹凸形状等の立体的な意匠性に優れた意匠層を、加飾成形品表面に形成することができる水溶性転写フィルム及びその製造方法を提供することができる。
本発明の水圧転写シートの態様例を示す模式図である。 従来の水圧転写シートの態様例を示す模式図である。 本発明の水圧転写シートの態様例を示す模式図である。 本発明の水圧転写シートを用いた加飾成形品の態様例を示す模式図である。 本発明の水圧転写シートの凹部の深さ及び幅を説明するための模式図である。
<水圧転写フィルム>
本発明の水圧転写フィルムは、水溶性フィルム上に意匠層を有する水圧転写フィルムであって、該水溶性フィルムの意匠層を有する面に凹部が形成されおり、該意匠層を構成する意匠層aが該凹部に形成されており、かつ該水溶性フィルムの意匠層を有する面に該意匠層aの非形成部分を有することを特徴とすする。
後に詳述するように、意匠層を構成する意匠層aが水溶性フィルムの凹部に形成されることにより、意匠層aがより奥行き感を生じさせ立体的な意匠性を高めることができる。さらに、水溶性フィルムの意匠層を有する面において意匠層aの非形成部分を有することにより、転写後の加飾成形品表面の全体が意匠層aで覆われていないため、部分的に存在する意匠層aが引き立たされより立体的に優れた印象を与えることができる。
以下、本発明の水圧転写フィルムの各構成について説明する。
[意匠層]
(意匠層a)
本発明の水圧転写フィルムは、転写用の意匠層を有する。意匠層を構成する層として少なくとも意匠層aが含まれる。意匠層aは後述する水溶性フィルムの主に凹部に形成されており、本発明の水圧転写フィルムの態様の例として図1の(A)〜(C)の模式図が示される。
図1の(A)で示されるように意匠層11を構成する意匠層aは、水溶性フィルム10の凹部12全体に形成されていてもよく、また図1の(B)及び(C)で示されるように凹部12の一部に形成されていてもよい。
また、前記「水溶性フィルムの意匠層を有する面において意匠層aの非形成部分を有する」とは、図1で示される水溶性フィルムの意匠層を有する面における、凸部山頂13の全体又は一部に意匠層aが形成されていないことを意味する。
ここで図2に示される、特許文献4に開示されているような従来の水圧転写フィルムの一例では、意匠層21が水溶性フィルム20の凹部及び凸部の全体、すなわち水溶性フィルムの意匠層を有する面全体に同一の意匠層が形成されている。そのため、転写後の加飾成形品の表面全体が同一の意匠層で覆われ、視覚的に平坦な意匠に見えやすくなり立体的な意匠性の表現が不十分なものとなる。これに対し、本発明の水圧転写フィルムは、水溶性フィルムの意匠層を有する面における凸部山頂13に意匠層aの非形成部分を有することで、図4の(G)の模式図で示されるように転写後の加飾成形品の表面に意匠層aの形成部分と非形成部分が設けられるため、意匠層aが引き立たされてより立体的に優れた印象を与えることができる。
水溶性フィルムの意匠層を有する面において、意匠層aの形成部分と非形成部分との平面での面積割合は、凹凸形状によって形成される模様から適宜決定すればよく一概に決められないが、より立体的な意匠性を高める観点から、[意匠層a形成部分面積]/[意匠層a非形成部分面積]が通常1/10〜10/1程度であり、好ましくは1/1〜10/1である。
上記非形成部分は、後述する水圧転写フィルムの製造方法におけるワイピング処理等により、凸部山頂13に意匠層aを非形成とすることで設けることが可能である。意匠層aを引き立たせより立体感を出す観点から、意匠層aの非形成部分は、全ての凸部山頂部分であることが特に好ましい。
意匠層aを形成するために用いられる塗料は、転写後の加飾成形品において意匠層aが意匠性を発現することができれば、例えば透明、不透明、透明着色、及び不透明着色のいずれであってもよい。意匠層aが透明樹脂等を用いて着色剤を含有しない塗料で形成される場合であっても、転写後の意匠層aは加飾成形品の表面に部分的に形成されているので、光の加減や見る角度によって立体的な意匠性を発現することができる。
上記塗料には、水圧転写フィルムの分野においてバインダー樹脂として一般的に用いられる樹脂の他、着色剤、各種添加剤、溶剤等を含有させることができる。
〈バインダー樹脂〉
バインダー樹脂としては、例えば熱可塑性樹脂が挙げられ、具体例としては、アクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂、アルキッド樹脂等のポリエステル樹脂;不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂(例えばポリエステルウレタン系樹脂)、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール樹脂(ブチラール樹脂);硝化綿等のニトロセルロース樹脂等が挙げられ、これらを単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
特にアクリルポリオール樹脂は耐溶剤性に優れることから、転写加工時に活性剤組成物を塗布しても意匠層aの形状が維持されて、転写後においても繊細な立体的形状の意匠を表現することができるため、バインダー樹脂としてアクリルポリオール樹脂を用いることが好ましい。すなわち、意匠層aは、アクリルポリオール樹脂を含有する樹脂組成物及びその硬化物の少なくとも一方により形成された層であることが好ましい。
上記硬化物は半硬化状態又は完全硬化状態であってもよいが、転写加工性等を考慮すると半硬化状態であることが好ましい。また、アクリルポリオール樹脂を含む樹脂組成物とその硬化物が混合された状態のものも好ましい態様である。
アクリルポリオール樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により求められる、標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1,000〜100,000であることが好ましく、5,000〜80,000であることがより好ましく、20,000〜50,000であることがさらに好ましい。アクリルポリオール樹脂の分子量が1,000以上であれば、活性剤組成物に含まれる溶剤に対する耐溶剤性が著しく改善する。100,000以下であれば、インキ化した際に粘度が低下しあるいはゲル化しにくくなるため作業性が向上する。
また、アクリルポリオール樹脂としては、水酸基価が30〜130mgKOH/gのものが好ましく、50〜130mgKOH/gのものがより好ましく、60〜120mgKOH/gのものがさらに好ましい。アクリルポリオール樹脂の水酸基価が30mgKOH/g以上であれば、水圧転写フィルム全体の過度の展伸を抑制することができる。130mgKOH/g以下であれば、意匠層aの柔軟性が良好となり、ひび割れ等の不具合が生じない。なお、上記水酸基価は、無水酢酸を用いたアセチル化法によって測定することができる。
また、上記塗料には、アクリルポリオール樹脂に加えて、さらにイソシアネートを含有させることもできる。イソシアネートはアクリルポリオール樹脂の硬化剤であって、イソシアネートを含有させることで、アクリルポリオール樹脂を含有する樹脂組成物の少なくとも一部を完全硬化状態又は半硬化状態とすることができる。このことにより、さらに活性剤組成物に含まれる溶剤からの耐性を高めることができる。
イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートであればよく、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、あるいは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジイソシアネート(MDI)、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネート等のポリイソシアネートが用いられる。
バインダー樹脂としてアクリルポリオール樹脂とその他の樹脂とを併用する場合、アクリルポリオール樹脂の耐溶剤性と転写加工性のバランスの観点から、アクリルポリオール樹脂:その他の樹脂の質量比は95:5〜50:50であることが好ましく、90:10〜60:40であることがより好ましく、85:15〜70:30であることがさらに好ましい。
〈着色剤〉
上記塗料は着色剤を含有させた着色インキとして用いることが好ましい。着色インキとすることにより、意匠性により深みを与えることができる。また意匠層aは上述の凹部に形成されることから、着色インキに含有させる着色剤は凹部の深さよりも平均粒径が小さいものであることが好ましい。すなわち、意匠層aは、凹部の深さよりも平均粒径が小さい着色剤を含有することが好ましい。
着色剤としては、従来公知のものを適宜選択して用いることができ、例えばアルミニウム及び真鍮等の金属顔料、並びに二酸化チタン被覆雲母及び塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等の光輝性顔料;チタン白、アンチモン白、鉛白、鉄黒、黄鉛、チタンイエロー、朱、カドミウムレッド、群青及びコバルトブルーの無機顔料;ベンジジンイエロー、イソインドリノンイエロー、ポリアゾレッド、キナクリドンレッド、インダスレンブルー、フタロシアニンブルー、ジスアゾイエロー及び不溶性アゾ(レッド)等の有機顔料を用いることができる。これら着色剤は、単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。これらの中でも意匠をより立体的に優れさせる観点から、着色剤として光輝性顔料を用いることが好ましい。すなわち、意匠層aは、光輝性インキ層であることが好ましい。
光輝性顔料の平均粒径としては、上記のとおり凹部の深さよりも小さければ、特に限定されないが、1〜20μmであることが好ましく、3〜15μmであることがより好ましい。
なお、ここで平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定器を用いて測定した、体積基準平均粒径(μm)である。
光輝性顔料の含有量については、バインダー樹脂100質量部に対して、1〜800質量部であることが好ましく、3〜500質量部であることがより好ましい。1質量部以上であれば十分な金属光沢が得られ立体的な意匠性を引き立たせることができる。800質量部以下であればバインダー樹脂との結着性が担保され、転写性が確保される。
〈添加剤〉
また上記塗料には、可塑剤、分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、粘度調整剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、艶消し剤、及びスリップ剤等の添加剤を含有させてもよい。意匠性の観点から艶消し剤及びスリップ剤が好ましい。
艶消し剤の具体例としては、シリカ、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸塩、及びケイ酸微粉末等の無機フィラーや、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂、及び尿素系樹脂等の有機フィラーが挙げられ、これらを単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。例えば、意匠層aは高吸油量のシリカを含有することにより、意匠層aが形成された領域が低艶、意匠層aが形成されていない領域を高艶に視認されるグロスマット意匠を表現することができ意匠に深みを与えることができる。意匠層aが含有するシリカの吸油量としては180〜400mL/100gであることが好ましく、230〜300mL/100gであることがより好ましい。
スリップ剤の具体例としては、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、シリコーン、及びポリエチレンワックス等が挙げられ、これらを単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。意匠層aはスリップ剤を含有することにより、転写後の意匠層上にトップコートを塗布してもハジキ効果により立体的な意匠性を維持することができる。
〈溶剤〉
また上記塗料には、粘度調節等のため溶剤を含有させることができる。
溶剤としては、特に制限はなく、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、多価アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、ニトロ炭化水素類、ニトリル類、アミン類、その他アセタール類、酸類、フラン類等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
(意匠層b)
意匠層は、上記意匠層a及び意匠層bを含む層から構成されていてもよい。水圧転写フィルムが意匠層bを有する場合、水溶性フィルム、意匠層a、及び意匠層bをこの順で有することが好ましい。
意匠層bは、意匠層aと同一でなければ特に制限はなく、意匠層aとは異なる塗料を用いて形成された層であればよい。「異なる塗料」には、例えば異なる着色剤を含有する着色インキの他、同一の着色剤を含有しておりその含有量が異なる着色インキも含まれる。
意匠層bの塗料には上述の意匠層aで例示したバインダー樹脂及び着色剤等を用いることができる。着色剤の含有量につても塗布性を阻害しない範囲であれば特に制限はない。また、意匠層bは、ベタ印刷層及び絵柄層のいずれであってもよく、1層、又は2層以上の同種あるいは異種の層で構成されていてもよい。
意匠層bとして絵柄層を有する場合、絵柄は水溶性フィルム上に形成される凹部との組合せに応じて適宜選択すればよい。
意匠層が意匠層a及び意匠層bから構成される場合、本発明の水圧転写フィルムの態様の例として図3の(D)〜(F)の模式図が示される。
図3の(D)で示される態様では、意匠層11を構成する意匠層a及び意匠層bがいずれも凹部に形成されている。例えば意匠層aが光輝性インキ層であり意匠層bが光輝性インキ層以外の着色ベタ印刷層である場合、光輝性意匠と着色された色彩があいまって、かつ転写後の意匠層が部分的に形成されるため、立体的な意匠をより際立たせることができる。
意匠層bは、図3の(E)で示される態様のように、凹部に形成されずに水溶性フィルムの意匠層aを有する面全体に形成されていてもよい。また意匠層bは、図3の(F)で示される態様のように、意匠層a上の凹部及び水溶性フィルムの意匠層aを有する面全体に形成されていてもよい。図3の(E)及び(F)で示される態様によれば、図4の(H)及び(I)の模式図が示すように転写後の加飾成形品の表面に異なる意匠性を有する意匠層a及び意匠層bが形成されるため、転写後に凸部となる意匠層aの立体的な意匠性を引き立たせることができる。
したがって、水溶性フィルムの意匠層を有する面に意匠層aの非形成部分が存在していれば、意匠層bは上記(D)のように水溶性フィルムの意匠層を有する面に部分的に形成されていてもよく、上記(E)及び(F)のように水溶性フィルムの意匠層を有する面全体に形成されていてもよい。
また意匠層bは、水溶性フィルムの意匠層を有する面における意匠層aの非形成部分の少なくとも一部に形成されていることが好ましい。意匠層bがこのように形成されることにより、意匠層aの非形成部分を通して意匠層bを容易に視認することができ、意匠層aと意匠層bの組合せによる優れた意匠を表現することができる。
(意匠層の厚さ)
意匠層が意匠層aのみから構成される場合、意匠層の厚さは後述する凹部の深さと同程度の5〜100μmとすることが可能となる。また、意匠層が意匠層a及び意匠層bから構成される場合、上述の図3の(E)及び(F)で示される態様とすることで、凹部の深さよりも厚い意匠層を形成することが可能となる。
水圧転写フィルムにおける意匠層の厚さは、意匠性及び賦形性の観点から、凹部を含む最大値で5〜110μmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。
[水溶性フィルム]
(凹部の深さ)
水溶性フィルムの意匠層を有する面には凹部が形成されている。意匠性を立体的に優れさせる観点から、凹部の深さは平均値で5〜100μmであることが好ましく、10〜70μmであることがより好ましく、20〜60μmであることがさらに好ましい。5μm以上であれば、立体的な意匠性を発現させることができる。100μm以下であれば、水溶性フィルムが破損することがなく、賦形性が良好となる。凹部の深さを調整することにより、立体的意匠に良好な奥行き感を与えることができる。
また、凹部の間口の幅は凹部の模様によって異なるため一概に特定できないが、平均値で通常30〜1000μm程度である。
ここで、凹部の深さとは図5で示すように凹部12の谷底から水溶性フィルムの表面(凸部山頂13)までの垂直距離hを意味する。また凹部12の間口の幅は図5におけるWで示される。
なお、本発明における水溶性フィルムは伸縮性を有していることから、図1の(C)の模式図が示すように、水溶性フィルムの厚さよりも凹部の深さを深くすることが可能である。
(凹部の模様)
凹部全体で形成される模様としては、万線状模様、木目導管模様、木目年輪模様、砂目模様、石目模様、金属結晶面模様、布目模様、梨地模様、皮絞模様、マット面模様、ヘアライン模様、スピン調模様、文字、記号、幾何学図等が挙げられ、中でもワイピング処理の観点から、万線状模様及びヘアライン模様が好ましい。
(水溶性フィルム)
水溶性フィルムは、水溶性もしくは水膨潤性を有するものであれば特に限定されるものではなく、従来水圧転写フィルムとして一般に使用されているフィルムの中から、適宜選択して用いることができる。
水溶性フィルムを構成する樹脂としては、例えばポリビニルアルコール、デキストリン、ゼラチン、にかわ、カゼイン、セラック、アラビアゴム、澱粉、蛋白質、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルメチルエーテル、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸との共重合体、酢酸ビニルとイタコン酸との共重合体、ポリビニルピロリドン、アセチルセルロース、アセチルブチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等の各種水溶性樹脂が挙げられる。
これらの樹脂は、単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。なお、当該水溶性フィルムには、マンナン、キサンタンガム、グアーガム等のゴム成分が添加されていてもよい。
これらのうち、特に製膜安定性が良好であり、水に対する膨潤性及び溶解性が安定しており、かつ汎用性があるとの点から、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムが好ましい。なお、ポリビニルアルコールフィルムは、PVA以外に、澱粉やゴム等の添加剤を含有していてもよい。
ポリビニルアルコールフィルムは、ポリビニルアルコールの重合度、ケン化度、及び澱粉やゴム等の添加剤の配合量等を変えることにより、水溶性フィルムに対して転写用の意匠層を形成する際に必要な機械的強度、取り扱い中の耐湿性、水面に浮かべてからの吸水による柔軟化の速度、水中での延展又は拡散に要する時間、転写工程での変形のし易さ等を適宜調節することができる。
ポリビニルアルコールフィルムからなる水溶性フィルムとして好適なものは、特開昭54−92406号公報に説明されているようなものであり、例えば、PVA樹脂80質量%、高分子水溶性樹脂15質量%、澱粉5質量%の混合組成からなり、平衡水分3%程度のものが好適である。
また、ポリビニルアルコールフィルムは水溶性ではあるが、水に溶解する前段階では水に膨潤して軟化しつつも、フィルムとして存続することが好ましい。フィルムとして存続している状態にあるときに水圧転写を行なうことにより、水圧転写時の転写用の意匠層の過度の流動、変形を防止することができるからである。
水溶性フィルムの厚さとしては、10〜100μmが好ましく、20〜60μmがより好ましく、30〜50μmがさらに好ましい。10μm以上であれば、膜の均一性が良好で、かつ生産安定性が高い。100μm以下であれば、水に対する溶解性が適度であり、かつ意匠層の印刷適性に優れる。
なお、上記の水溶性フィルムは、例えば紙、不織布、布等の水浸透性を有する基材(以下「水浸透性基材」という。)と積層して使用することもできるが、この場合には、当該積層シートを水面に浮かべる前に水浸透性基材を水溶性フィルムから分離させるか、又は水面に浮かべた後の水の作用によって水浸透性基材が分離するように構成しておくことが好ましい。
[水圧転写フィルムの製造方法]
本発明の水圧転写フィルムの製造方法は、水溶性フィルムの少なくとも一方の面に凹部を形成する工程、該凹部を形成した面に塗料を塗布した後ワイピング処理をして該凹部に意匠層aを形成する工程、を有する。
(凹部形成工程)
水溶性フィルムの少なくとも一方の面に凹部を形成する工程において、凹部の形成は、所望する凹部の深さとなるエンボス版あるいはエンボスロール等を用いた加熱加圧によるエンボス加工により行うことができる。
加熱加圧によるエンボス加工は、水溶性フィルムの表面を通常80〜180℃程度で加熱し、エンボス版で通常5〜50kg/cm程度で加圧して該エンボス版の凹凸形状を賦形して、冷却し、固定化して行うことができる。また、公知の枚葉式又は輪転式のエンボス機を用いることができる。
(意匠層a形成工程)
凹部を形成した面に塗料を塗布した後ワイピング処理をして該凹部に意匠層aを形成する工程は、例えば、ロールコートあるいはナイフコート等によって凹部を含む水溶性フィルム表面に塗料をコートした後、ドクターブレード等を用いて凸部にコートされた塗料を掻きとるワイピング処理により行うことができる。ワイピング処理は複数回繰り返してもよく、必要に応じてワイピングクロスを用いて凸部に残った塗料をさらに除去してもよい。また、ドクターブレードの厚さやこれを用いる際の角度は適宜調整して行えばよい。
上記工程により水溶性フィルムの凹部に塗料を充填して意匠層aを形成し、また凸部の全体又は一部において意匠層aの非形成部分を成すことができる。
意匠層aの形成に用いる塗料の粘度は通常10〜2000cpoise程度であり、ワイピング処理及び凹部に塗料を充填する観点から、50〜1000cpoiseであることが好ましい。なお粘度は、キャリーメッド社製CS100レオメータを用いて、測定温度20℃、測定剪断速度0.01〜200/秒の範囲で測定することができる。
(意匠層b形成工程)
さらに意匠層が意匠層bを構成層として有する場合、上記意匠層a形成工程の後、意匠層bを形成する工程を行えばよい。
意匠層bがベタ印刷層である場合、グラビア印刷法等の公知の方式によりベタ印刷層を形成することができる。また、意匠層bが絵柄層である場合、インクジェット印刷、凹版印刷方式、平版印刷方式、凸版印刷方式、スクリーン印刷方式、刷毛塗り、へら塗り、吹き付け塗り等の公知の方式により絵柄層を形成することができる。
[加飾成形品の製造方法]
本発明の水圧転写フィルムを用いて、下記の工程(a)〜(d)により加飾成形品を製造することができる。
工程(a):水圧転写フィルム1を水溶性フィルム10側が水面側に向くように水面に浮遊させる工程。
工程(b):水圧転写フィルム1の意匠層11側に活性剤組成物を塗布する工程。
工程(c):該工程(a)及び(b)を経た水圧転写フィルム1上に被転写体を押圧し、水圧によって意匠層11を被転写体の被転写面に密着させる工程。
工程(d):該被転写体の被転写面上より水溶性フィルム10を除去する脱膜工程。
また、上記の工程(d)に次いで下記の工程(e)を備えていてもよい。
工程(e):被転写体の被転写面上にトップコート層を形成する工程。
<工程(a)>
工程(a)は、工程(b)の前又は後に行うことができる。水圧転写フィルム1は、水溶性フィルム10側が水面側に向くように水面上に浮遊させる。水圧転写フィルム1を水面に浮遊させるには、枚葉の印刷物を1枚ずつ浮遊させてもよく、また水を一方向に流し、その水面上に連続帯状の水圧転写フィルム1を、連続的に供給して浮遊させてもよい。
<工程(b)>
工程(b)は、工程(a)の前又は後に行うことができ、意匠層11に活性剤組成物を塗布する工程である。この工程で活性剤組成物を塗布することにより、意匠層11の少なくとも一部が溶解乃至膨潤して軟化し(活性化し)、被転写体と密着しやすくなる。
(活性剤組成物)
活性剤組成物は、意匠層11を活性化して、被転写体の被転写面に転写させる機能を有する組成物であれば特に制限はなく、また、被転写体の被転写面に各層を転写させるまで蒸発しないような性状を有することが好ましい。このような活性剤組成物としては、例えばエステル類、アセチレングリコール類、エーテル類、及び樹脂を含む組成物が好ましく挙げられる。
エステル類としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチル、シュウ酸ジブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソオクチル等が好ましく挙げられる。
アセチレングリコール類としては、メトキシブチルアセテート、エトキシブチルアセテート、エチルカルビトールアセテート、プロピルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等が好ましく挙げられる。
エーテル類としては、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、イソアミルセロソルブ等が好ましく挙げられる。
また、樹脂としては、アクリレート系単量体の単独又は共重合体等の熱可塑性樹脂や、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、フタル酸アルキド樹脂、フタル酸ジアリル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂等が好ましく挙げられ、なかでも熱硬化性樹脂が好ましい。
本発明で用いられる活性剤組成物の好ましい各組成の含有量は、エステル類では5〜40質量%、アセチレングリコール類では40〜80質量%、エーテル類では5〜30質量%、及び樹脂では1〜20質量%程度である。
活性剤組成物の塗布は、グラビア印刷やスプレーコート法等により行えばよく、その塗布量は通常1〜50g/m2であり、好ましくは3〜30g/m2であり、さらに好ましくは10〜20g/m2である。
<工程(c)>
工程(c)は、工程(a)及び工程(b)を経た水圧転写フィルム1上に被転写体を押圧し、水圧によって意匠層11を被転写体の被転写面に密着させる工程である。
水圧転写フィルム1を浮かべ、水圧を印加するための水は、該水圧転写フィルム1の水溶性フィルム10の種類等に応じ、適宣水温を調整するのがよく、好ましくは25〜50℃程度、より好ましくは25〜35℃である。
また、本発明の水圧転写フィルム1と被転写体との転写時間は、20〜120秒程度が好ましく、より好ましくは30〜60秒程度である。
(被転写体)
被転写体としては、例えば、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリカーボネート樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、繊維系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂、あるいはこれらを混合した樹脂のほか、鉄、アルミニウム、銅等の金属、陶磁器、ガラス、琺瑯等のセラミックス、木材等の材料からなる構造体を使用することができる。
また、被転写面の形状は、平面形状である二次元形状であってもよいし、凹凸形状や曲面形状等の三次元形状であってもよい。これらの中で、通常、樹脂製構造体が多用される。この樹脂製構造体は、成型時において離型剤が付着するとともに、ゴミや脂分等も付着することがあり、水圧転写フィルムの各層を密着性よく転写させるために、予め脱脂液により被転写面を清浄化しておくことが好ましい。
工程(c)において、意匠層11側に塗布した活性剤組成物は被転写体と接し、該被転写体の表面を溶解させることで、本発明の水圧転写フィルム1と被転写体との密着性をさらに良好なものとすることができる。
<脱膜工程(d)>
脱膜工程(d)は、工程(c)の後に行われ、被転写体の被転写面上より水溶性フィルム10を除去する工程である。
被転写体の被転写面上に付着している水溶性フィルム10の除去は、例えば、水を用いてシャワー洗浄することで行うことができる。なお、シャワー洗浄の条件は、水溶性フィルム10を形成する材料等により異なるが、通常は水温15〜60℃程度、洗浄時間10秒〜5分程度が好ましい。そして、工程(d)の後、被転写体を十分乾燥し水分を蒸発させれば、被転写体の被転写面に転写された意匠層の立体的に優れた意匠性のある模様が付与された加飾成形品が得られる。
<工程(e)>
工程(e)は、被転写体の被転写面上に、必要に応じトップコート層を形成する工程である。
当該工程(e)においては、前記工程(d)にて被転写体の被転写面に転写された意匠層に対し、表面強度向上、表面保護、表面艶調整等のために必要に応じ塗装を施し、透明ないし半透明のトップコート層を形成する。このトップコート層を形成する材料としては、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂(紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂)等、具体的にはウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、ケイ素系樹脂等が用いられる。トップコート層の形成は、上記の樹脂を公知の有機溶剤に溶解して得た塗料を用いて、スプレー塗装、静電塗装、刷毛塗り、浸漬塗装、等公知の塗装方法により行うことができる。トップコート層の厚さは、特に制限はないが、好ましくは1〜25μmであり、より好ましくは1〜10μmである。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
(1)水圧転写フィルムの製造
ポリビニルアルコールフィルム(厚さ40μm)一方の面に、ヘアライン模様のエンボス版を用いてシート温度が120〜160℃、圧力が10〜40kg/cmの条件で加熱及び加圧してエンボス加工を行い、凹部を形成した。フィルムに形成された凹部の深さは平均値で50μm、間口の幅は平均値で200μmであった。
フィルムの凹部を形成した面に下記組成の着色インキ(粘度100cpoise)をロールコートにより塗布してフィルムの凹部に着色インキを充填し、さらに厚み約3mmのドクターブレードを用いてフィルムに対し90°の角度で凸部に付着した着色インキをワイピング処理にて除去した。
フィルムの凹部に着色インキを充填させることで該フィルムの凹部に光輝性インキ層(厚さ最大値15μm)を形成し、またワイピング処理によりフィルムの凸部を光輝性インキ層の非形成部分として、図1(B)の模式図で示される水圧転写フィルムを製造した。
製造した水圧転写フィルムにおいて、ポリビニルアルコールフィルムの光輝性インキ層を有する面の平面での面積割合[光輝性インキ層形成部分面積]/[光輝性インキ層非形成部分面積]は、2/1であった。
〈着色インキ組成〉
・バインダー樹脂:硝化綿とアルキッド樹脂(5:2)の混合物 100質量部
・光輝性顔料:アルミフレーク(平均粒径10μm) 20質量部
・溶剤:酢酸エチル、酢酸ブチル及びイソプロピルアルコールの混合溶剤 700質量部
(2)加飾成形品の製造
上述のようにして製造した水圧転写フィルムの意匠層(光輝性インキ層)を有する面に、下記組成の活性剤組成物を10g/m2塗布し、水溶性フィルム側が水面側を向くように水面に浮遊させた後、水圧転写フィルム上に被転写体を押圧し、水圧によって意匠層を被転写体の被転写面に密着させる転写工程を行い、該被転写体の被転写面上より水溶性フィルムを除去する脱膜工程を行った。さらに被転写面上に2液硬化型のウレタン樹脂をスプレー塗装することにより、厚さ10μmのトップコート層を形成した。
(活性剤組成物の組成)
・フタル酸系アルキド樹脂 6質量部
・マイクロシリカ(顔料) 2質量部
・フタル酸ジブチル 17質量部
・溶剤(ブチルカルビトールアセテート) 60質量部
・溶剤(ブチルセロソルブ) 15質量部
(3)意匠性評価
得られた加飾成形品は、トップコート層が形成されていても加飾成形品表面に、メタリック調のヘアライン模様の凸形状を有していることを認識することができ、立体的な意匠性に優れた加飾成形品が得られた。
[実施例2]
(1)水圧転写フィルム及び加飾成形品の製造
下記組成の着色インキを用いたこと以外は実施例1と同様に行い図1(B)の模式図で示される水圧転写フィルム及び加飾成形品を製造した。
〈着色インキ組成〉
・バインダー樹脂:アクリルポリオール樹脂(重量平均分子量:30,000、水酸基価:80mgKOH/g)と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(4:1)の混合物 100質量部
・光輝性顔料:アルミフレーク(平均粒径10μm) 100質量部
・溶剤:酢酸エチル、酢酸ブチル及びイソプロピルアルコールの混合溶剤 700質量部
(2)意匠性評価
得られた加飾成形品は、トップコート層が形成されていても加飾成形品表面に、メタリック調のヘアライン模様の凸形状を有していることを認識することができ、該凸形状は水圧転写フィルムにおける光輝性インキ層の形状(凹部形状)と同等であり、実施例1よりさらに立体的な意匠性に優れた加飾成形品が得られた。
[実施例3]
(1)水圧転写フィルム及び加飾成形品の製造
実施例1のワイピング処理の後、ポリビニルアルコールフィルムの光輝性インキ層が形成された側の全面に下記組成の着色インキをグラビア印刷法により塗布し、ベタ印刷層を形成した以外は実施例1と同様に行い、図3(F)の模式図で示される水圧転写フィルム(意匠層の総厚さの最大値は51μm)及び加飾成形品を製造した。
〈着色インキ組成〉
・バインダー樹脂:硝化綿とアルキッド樹脂(5:2)の混合物 100質量部
・着色剤:カーボンブラック、キナクリドン、イソインドリノン 50質量部
・溶剤:酢酸エチル、酢酸ブチル及びイソプロピルアルコールの混合溶剤 1000質量部
(2)意匠性評価
得られた加飾成形品は、トップコート層が形成されていても加飾成形品表面に、メタリック調のヘアライン模様の凸形状を有していることを認識することができ、立体的な意匠性に優れた加飾成形品が得られた。また、得られた加飾成形品は、ヘアライン模様の間隙において視認されるベタ印刷層との組み合わせによる優れた意匠性を有していた。
本発明の水圧転写フィルムによれば、凹凸形状等の立体的な意匠性に優れた意匠層を加飾成形品表面に形成することができることから、本発明の水圧転写フィルムは自動車内装品、家電製品又はOA機器等の装飾に好適である。
1.本発明の水圧転写フィルム
2.従来の水圧転写フィルム
3.加飾成形品
10.水溶性フィルム
11.意匠層
12.凹部
13.凸部山頂
30.被転写体
a.意匠層a
b.意匠層b

Claims (8)

  1. 水溶性フィルム上に意匠層を有する水圧転写フィルムであって、該水溶性フィルムの意匠層を有する面に凹部が形成されおり、該意匠層を構成する意匠層aが該凹部に形成されており、かつ該水溶性フィルムの意匠層を有する面に該意匠層aの非形成部分を有する、水圧転写フィルム。
  2. 前記凹部の深さが5〜100μmである、請求項1に記載の水圧転写フィルム。
  3. 前記意匠層aが、前記凹部の深さよりも平均粒径が小さい着色剤を含有する、請求項1又は2に記載の水圧転写フィルム。
  4. 前記意匠層aが、アクリルポリオール樹脂を含有する樹脂組成物及びその硬化物の少なくとも一方により形成された層である、請求項1〜3のいずれかに記載の水圧転写フィルム。
  5. 前記意匠層aが、光輝性インキ層である、請求項1〜4のいずれかに記載の水圧転写フィルム。
  6. 前記意匠層が前記意匠層a及び意匠層bを含む層から構成されており、前記水溶性フィルム、前記意匠層a、及び該意匠層bをこの順で有する、請求項1〜5のいずれかに記載の水圧転写フィルム。
  7. 前記意匠層aの非形成部分の少なくとも一部に前記意匠層bを有する、請求項6に記載の水圧転写フィルム。
  8. 水溶性フィルムの少なくとも一方の面に凹部を形成する工程、該凹部を形成した面に塗料を塗布した後ワイピング処理をして該凹部に意匠層aを形成する工程、を有する水圧転写フィルムの製造方法。
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