JP6922619B2 - 水圧転写フィルム及び加飾成形品 - Google Patents
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Description
こうした装飾方法として、水圧を利用した水圧転写法が知られている。この水圧転写法は、まず、水溶性あるいは水膨潤性の基材フィルムに、所望の装飾層を印刷した転写フィルムを用意し、該転写フィルムの装飾層に、有機溶剤を主成分とする活性剤を塗布して、該装飾層を膨潤、粘着化させる(これを活性化という)。その前又は後に、前記転写フィルムを転写用の装飾層面を上面にして、水面上に浮遊させ、次いで、該転写フィルム上に被転写体となる物品を押圧して、水圧によって転写フィルムを被転写体の装飾処理をすべき被転写面に密着させる。その後に、基材フィルムを除去して装飾層を転写する方法である(例えば、特許文献1及び2参照)。
しかしながら、(1)の方法では、複数ある光輝性インキ層の層間で剥離することが懸念され、(2)及び(3)の方法では、意匠性の制御が困難であるとの問題があった。
本発明の課題は、上記問題点に鑑み、意匠性の高い加飾成形品を得ることができ、かつ意匠性の制御を容易にし得る水圧転写フィルムを提供すること、及び該水圧転写フィルムを用いて、意匠性の高い加飾成形品を提供することにある。
本発明は、上記特許発明により得た知見に基づくものであり、光輝性顔料を含む光輝性インキ層上に部分的に保護層を設けることで、優れた意匠性を発現させ得ることを見出し、本発明に至ったものである。
(1)水溶性フィルム上に意匠層を有する水圧転写フィルムであって、該意匠層が水溶性フィルム側から、少なくとも光輝性顔料を含む樹脂からなる光輝性インキ層と、アクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなる保護層をこの順に有し、かつ該保護層は光輝性インキ層上に部分的に存在することを特徴とする水圧転写フィルム、及び
(2)基材上にパターン状の保護層と、光輝性インキ層とを有する加飾成形品であって、パターン状の保護層の上に光輝性インキ層が重なっており、該保護層の直上部の光輝性インキ層が相対的に高輝度であり、それ以外の部分の光輝性インキ層が相対的に低輝度であることを特徴とする加飾成形品、
を提供するものである。
本発明の水圧転写フィルムは、水溶性フィルム上に意匠層を有する。該意匠層は、水溶性フィルム側から、少なくとも光輝性顔料を含む樹脂からなる光輝性インキ層と、アクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなる保護層をこの順に有し、かつ該保護層は光輝性インキ層上に部分的に存在する。
以下、各構成要件について詳述する。
本発明における水溶性フィルムは、水溶性もしくは水膨潤性を有するものであれば特に限定されるものではなく、従来水圧転写フィルムとして一般に使用されているフィルムの中から、適宜選択して用いることができる。
水溶性フィルムを構成する樹脂としては、例えばポリビニルアルコール樹脂、デキストリン、ゼラチン、にかわ、カゼイン、セラック、アラビアゴム、澱粉、蛋白質、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルメチルエーテル、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸との共重合体、酢酸ビニルとイタコン酸との共重合体、ポリビニルピロリドン、アセチルセルロース、アセチルブチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等の各種水溶性樹脂が挙げられる。
これらの樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上が混合されて用いられてもよい。なお、当該水溶性フィルムには、マンナン、キサンタンガム、グアーガム等のゴム成分が添加されていてもよい。
ポリビニルアルコール樹脂フィルムは、ポリビニルアルコールの重合度、ケン化度、及び澱粉やゴム等の添加剤の配合量等を変えることにより、水溶性フィルムに対して転写用の意匠層を形成する際に必要な機械的強度、取り扱い中の耐湿性、水面に浮かべてからの吸水による柔軟化の速度、水中での延展又は拡散に要する時間、転写工程での変形のし易さ等を適宜調節することができる。
また、ポリビニルアルコール樹脂フィルムは水溶性ではあるが、水に溶解する前段階では水に膨潤して軟化しつつも、フィルムとして存続することが好ましい。フィルムとして存続している状態にあるときに水圧転写を行なうことにより、水圧転写時の転写用の意匠層の過度の流動、変形を防止することができるからである。
本発明の水圧転写フィルムは、転写用の意匠層を有する。当該意匠層は、水溶性フィルム側から、光輝性インキ層と保護層をこの順に有し、かつ該保護層は光輝性インキ層上に部分的に存在する。
ここで、光輝性インキ層は、全面ベタ印刷層であってもよいし、例えばパターン状などの部分印刷層であってもよい。これに対して、保護層は光輝性インキ層上に部分的に存在することが必須の要件である。
すなわち、図1に示される態様では、水溶性フィルム1上に、意匠層2が設けられ、該意匠層の構成として、光輝性インキ層21が全面ベタ印刷層として設けられ、その上に部分的に保護層22が設けられている。
また、図2に示される態様では、図1と同様に水溶性フィルム1上に、意匠層2が設けられているが、該意匠層の構成として、光輝性インキ層21が部分的に設けられ、光輝性インキ層21に対して、さらに部分的に保護層22が設けられている。
なお、本発明の水圧転写フィルム10は、意匠層2の構成として、光輝性インキ層21、保護層22に加えて、絵柄層23を有していてもよい。絵柄層23は、図3に示すように、水溶性フィルム1と光輝性インキ層21との間に位置していてもよいし、図4に示すように、保護層22の上から絵柄層23を塗工して、覆うようにした構成でもよい。
本発明における光輝性インキ層は、少なくとも光輝性顔料を含む樹脂により構成される。光輝性顔料としては、アルミニウム、真鍮などの金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料が挙げられる。金属顔料としては、粒子状でも鱗片状でもよいが、高い輝度を発現するためには、鱗片状であることが好ましい。
なお、ここで平均粒径は、走査型電子顕微鏡を用いて観察した10点の平均値として求めた値である。
また、光輝性顔料として燐片状のものを用いる場合、面の平均直径として1〜30μmの範囲であることが好ましく、1〜20μmの範囲であることがさらに好ましい。また、厚みとしては、平均厚みとして、0.01〜2μmの範囲であることが好ましく、0.5〜1μmの範囲であることがさらに好ましい。なお、ここで平均直径及び平均厚みは、走査型電子顕微鏡を用いて観察した10点の平均値として求めた値である。
なお、アクリルポリマーポリオールは、後述するように、活性剤組成物に含まれる溶剤に対して耐性を有し、転写加工性を悪化させる可能性がある。したがって、光輝性インキ層のバインダー樹脂としては、本発明の効果を阻害しない範囲で少量添加することはできるが、使用しないことが好ましい。
本発明の水圧転写フィルムにおける保護層は、アクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなる。当該樹脂組成物及び/又はその硬化物は、活性剤組成物に含まれる溶剤による攻撃から、光輝性インキ層を保護する機能を有する。
そして、本発明の水圧転写フィルムは、光輝性インキ層上に、当該保護層を部分的に有するので、光輝性インキ層の保護層に覆われた部分は溶剤アタックを受けにくく、覆われていない部分は溶剤アタックを受けやすい。この溶剤アタックの受けやすさを制御することで、光輝性インキ層に輝度差を付与することができ、結果として優れた意匠を加飾成形品に付与することができる。
上記アクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物の硬化物は完全硬化されたものであってもよいが、転写加工性等を考慮すると半硬化状態であることが好ましい。また、アクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物と該樹脂組成物の硬化物が混合された状態のものも好ましい態様である。
これらのうち、特にウレタン樹脂はアクリルポリマーポリオールとの相溶性が高く、好ましい。
上記アクリルポリマーポリオールは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により求められる、標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1,000〜100,000であることが好ましく、5,000〜80,000であることがより好ましく、20,000〜50,000であることが特に好ましい。アクリルポリマーポリオールの分子量が1,000以上であると、活性剤組成物に含まれる溶剤に対する耐溶剤性が著しく改善し、100,000以下であるとインキ化した際に粘度が低下したり、ゲル化しにくくなるため作業性が向上する。
イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートであればよく、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、或いは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジイソシアネート(MDI)、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネートなどのポリイソシアネートが用いられる。
ブロックイソシアネートを使用することにより、水圧転写フィルムにより高い成形性を付与することができ、所望形状に成形した後に成形品を加熱処理し、イソシアネート基を再生、ポリオールと反応、硬化することにより、被転写体との良好な密着性を発現できる。
また、ウレタン樹脂としては、ポリオール成分、ポリアミン成分及びイソシアネートの組合せより合成されるウレタンウレア樹脂が好ましく用いられ、ポリオール成分やイソシアネートとしては、上述したものを用いることができる。
また、上記保護層3を構成する樹脂には、物性を向上させるために、必要に応じて、成形性を損なわない程度に、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又はその硬化剤(イソシアネート等)をさらに添加することができる。
また、水圧転写フィルムの製造過程で、見当合わせを容易にすることができるとの利点もある。
保護層の厚さについては、通常、0.1〜25μm程度であり、好ましくは0.5〜10μmの範囲、さらに好ましくは0.5〜5μmの範囲である。
本発明の水圧転写フィルムでは、意匠層を構成する層として、絵柄層を設けることができる。絵柄層は、意匠層における位置に応じて、種々の機能を発揮する。
例えば、図3に示す態様では、絵柄層23は水溶性フィルム1と光輝性インキ層21の間に存在するので、当該水圧転写フィルムを被転写体に転写した際に、加飾成形品の表面側に絵柄層23が存在することになる。この態様では、保護層により保護されて高い輝度を有する高輝度部分と、保護層の存在しない、より低輝度の部分とのコントラストを有する光輝性意匠に、さらに絵柄層があいまって、繊細な意匠を表現することができる。
絵柄層の形成に用いる溶剤としては、特に制限はなく、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、多価アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、ニトロ炭化水素類、ニトリル類、アミン類、その他アセタール類、酸類、フラン類等が挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明においては、意匠層がさらにプライマー層を有し、該プライマー層を、水溶性フィルムと光輝性インキ層との間に配置することができる。この態様により、さらに高い輝度を得ることができる。該プライマー層は、被転写体の被転写面に対し、後述するトップコート層を形成しない場合には、被転写体の最表面に位置する層である。一方、後述するようなトップコート層を設ける態様においては、プライマー層がトップコート層と光輝性インキ層の間に位置し、トップコート層を形成する塗料に含まれる溶剤から光輝性インキ層を保護するため、より高い輝度が得られる。
プライマー層を形成する樹脂組成物は、上記保護層に記載されるものと同様のものを用いることができる。すなわち、アクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物であることが好ましく、さらにウレタン樹脂などの他の樹脂を含んでいてもよい。
また、その塗工方法については、公知の塗布方法又は印刷方法を用いることができ、例えば、溶媒に溶解した塗工液を公知の方法で塗布するなどして形成することができる。
プライマー層の厚さとしては、通常、0.1〜10μm程度であり、好ましくは0.5〜2μmの範囲である。
図1に示す本発明の水圧転写フィルム10は、例えば、水溶性フィルム1の上に光輝性インキ層を形成する工程(A)、該光輝性インキ層上に部分的に保護層を形成する工程(B)により製造することができる。
光輝性インキ層は、上述のように全面ベタ印刷層であってもよいし、パターン状の柄印刷層(部分印刷層)であってもよい。
一方、工程(B)では、光輝性インキ層上に保護層を部分的に設けることから、グラビア印刷等の印刷法が好適である。
本発明の加飾成形品は、基材(被転写体)上にパターン状の保護層と、光輝性インキ層とを有し、パターン状の保護層の上に光輝性インキ層が重なっており、該保護層の直上部の光輝性インキ層が、相対的に輝度が高く、保護層の存在しない部分の輝度が相対的に低いことが特徴である。
より具体的には、図5に示すように、光輝性インキ層がベタ印刷層の場合、保護層22が存在する部分の直上部は、光輝性インキ層の輝度が相対的に高く(高輝度部3)、その他の部分は輝度が相対的に低くなる。したがって、光輝性インキ層に、輝度の違いによる模様を形成することができる。しかも、保護層のパターン形状は水圧転写フィルムの製造過程で、印刷により制御できるので、所望の形状のコントラスト模様を容易に形成することが可能となる。
当該加飾成形品は、上述の水圧転写フィルムを用いて、以下に詳述する方法によって製造することができる。
本発明の水圧転写フィルムを用いて、下記の工程(a)〜(d)により加飾成形品を製造することができる。
工程(a):水圧転写フィルム10を水溶性フィルム1側が水面側に向くように水面に浮遊させる工程。
工程(b):水圧転写フィルム10の意匠層2側に活性剤組成物を塗布する工程。
工程(c):該工程(a)及び(b)を経た水圧転写フィルム10上に被転写体を押圧し、水圧によって意匠層2を被転写体の被転写面に密着させる工程。
工程(d):該被転写体の被転写面上より水溶性フィルム1を除去する脱膜工程。
また、上記の工程(d)に次いで下記の工程(e)を備えていてもよい。
工程(e):被転写体の被転写面上にトップコート層を形成する工程。
工程(a)は、工程(b)の前又は後に行うことができる。水圧転写フィルム10は、水溶性フィルム1側が水面側に向くように水面上に浮遊させる。水圧転写フィルム10を水面に浮遊させるには、枚葉の印刷物を1枚ずつ浮遊させてもよく、また水を一方向に流し、その水面上に連続帯状の水圧転写フィルム10を、連続的に供給して浮遊させてもよい。
工程(b)は、工程(a)の前又は後に行うことができ、意匠層2に活性剤組成物を塗布する工程である。この工程で活性剤組成物を塗布することにより、光輝性インキ層21や保護層22の少なくとも一部が溶解乃至膨潤して軟化し(活性化し)、被転写体4と密着しやすくなる。
ここで、保護層は溶剤を一部浸透させるが、アクリルポリマーポリオールを含有するため、該溶剤によるアタックを抑制することができる。したがって、保護層に覆われた部分は、光輝性インキ層中の光輝性顔料の配向の乱れが少なく、高い輝度を維持すると考えられる。一方、保護層がない部分については、活性剤による溶剤アタックを直接受けるため、光輝性顔料の配向の乱れが、より多く起こり、輝度を低下させると考えられる。
以上のことから、当該転写フィルムを被転写体に転写した際に、高輝度の部分と低輝度の部分が模様として現れ、優れた光輝性の意匠が得られると考えている。
活性剤組成物は、光輝性インキ層21や保護層22を活性化して、被転写体の被転写面に転写させる機能を有する組成物であれば特に制限はなく、また、被転写体の被転写面に各層を転写させるまで蒸発しないような性状を有することが好ましい。このような活性剤組成物としては、例えばエステル類、アセチレングリコール類、エーテル類、及び樹脂を含む組成物が好ましく挙げられる。
エステル類としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチル、シュウ酸ジブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソオクチルなどが好ましく挙げられる。
アセチレングリコール類としては、メトキシブチルアセテート、エトキシブチルアセテート、エチルカルビトールアセテート、プロピルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテートなどが好ましく挙げられる。
エーテル類としては、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、イソアミルセロソルブなどが好ましく挙げられる。
また、樹脂としては、アクリレート系単量体の単独又は共重合体などの熱可塑性樹脂や、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、フタル酸アルキド樹脂、フタル酸ジアリル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂などが好ましく挙げられ、なかでも熱硬化性樹脂が好ましい。
本発明で用いられる活性剤組成物の好ましい各組成の含有量は、エステル類では5〜40質量%、アセチレングリコール類では40〜80質量%、エーテル類では5〜30質量%、及び樹脂では1〜20質量%程度である。
工程(c)は、工程(a)及び工程(b)を経た水圧転写フィルム10上に被転写体を押圧し、水圧によって意匠層2(少なくとも光輝性インキ層21及び保護層22)を被転写体の被転写面に密着させる工程である。意匠層2がさらに絵柄層23、プライマー層を含む場合には、光輝性インキ層21、保護層22と共に、絵柄層23及びプライマー層も同時に転写される。
水圧転写フィルム10を浮かべ、水圧を印加するための水は、該水圧転写フィルム10の水溶性フィルム1の種類などに応じ、適宣水温を調整するのがよく、好ましくは25〜50℃程度、より好ましくは25〜35℃である。
また、本発明の水圧転写フィルム10と被転写体との転写時間は、20〜120秒程度が好ましく、より好ましくは30〜60秒程度である。
被転写体としては、例えば、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリカーボネート樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、繊維系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂、あるいはこれらを混合した樹脂のほか、鉄、アルミニウム、銅などの金属、陶磁器、ガラス、琺瑯などのセラミックス、木材などの材料からなる構造体を使用することができる。
また、被転写面の形状は、平面形状である二次元形状であってもよいし、凹凸形状や曲面形状などの三次元形状であってもよい。これらの中で、通常、樹脂製構造体が多用される。この樹脂製構造体は、成型時において離型剤が付着するとともに、ゴミや脂分なども付着することがあり、水圧転写フィルムの各層を密着性よく転写させるために、予め脱脂液により被転写面を清浄化しておくことが好ましい。
脱膜工程(d)は、工程(c)の後に行われ、被転写体の被転写面上より水溶性フィルム1を除去する工程である。
被転写体の被転写面上に付着している水溶性フィルム1の除去は、例えば、水を用いてシャワー洗浄することで行うことができる。なお、シャワー洗浄の条件は、水溶性フィルム1を形成する材料などにより異なるが、通常は水温15〜60℃程度、洗浄時間10秒〜5分程度が好ましい。そして、工程(d)の後、被転写体を十分乾燥し水分を蒸発させれば、被転写体の被転写面に転写された高輝度部分と低輝度部分の輝度差のある模様が付与された樹脂成形品が得られる。
工程(e)は、被転写体の被転写面上に、必要に応じトップコート層を形成する工程である。
当該工程(e)においては、前記工程(d)にて被転写体の被転写面に転写された意匠層に対し、表面強度向上、表面保護、表面艶調整などのために必要に応じ塗装を施し、透明ないし半透明のトップコート層を形成する。このトップコート層を形成する材料としては、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂(紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂)など、具体的にはウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、ケイ素系樹脂などが用いられる。トップコート層の形成は、上記の樹脂を公知の有機溶剤に溶解して得た塗料を用いて、スプレー塗装、静電塗装、刷毛塗り、浸漬塗装、など公知の塗装方法により行うことができる。トップコート層の厚さは、特に制限はないが、好ましくは1〜25μmであり、より好ましくは1〜10μmである。
実施例1
(水圧転写フィルムの製造)
水溶性フィルムとして、PVAフィルム(厚さ40μm)を用い、その片面に光輝性顔料を含む樹脂からなる着色剤組成物を塗工し、厚さ1μmの光輝性インキ層(ベタ印刷層)を形成した。光輝性インキ層を構成する着色剤組成物としては、硝化綿とアルキド樹脂の混合物からなるバインダー樹脂100質量部に対して、平均直径11μm、平均厚み0.5μmのアルミニウムフレークからなる光輝性顔料を35質量部含有するもの(DIC−G社製「GTカラー SMシルバー」)を用いた。
次に、該光輝性インキ層上に、アクリルポリマーポリオール(重量平均分子量:30,000、水酸基価:80mgKOH/g)を含むインキを塗工し、厚さ1μmのパターン状の保護層を形成し、図1に模式図を示す水圧転写フィルムを製造した。
上述のようにして得た水圧転写フィルムの意匠層表面側に、下記組成の活性剤組成物を10g/m2塗布し、水溶性フィルム側が水面側を向くように水面に浮遊させた後、水圧転写フィルム上に被転写体を押圧し、水圧によって意匠層(光輝性インキ層層及び保護層)を被転写体の被転写面に密着させる転写工程を経て、該被転写体の被転写面上より水溶性フィルムを除去する脱膜工程を行った。さらに被転写面上に2液硬化型のウレタン樹脂をスプレー塗装することにより、厚さ10μmのトップコート層を形成した。
図7に、上述の方法で作製した加飾成形品の意匠面の写真を示す。図7に示されるように、高輝度部分と低輝度部分が、線状の模様をなした光輝性意匠を有する加飾成形品が得られた。以上のように、実施例1により、高輝度部分と低輝度部分が模様をなし、優れた意匠性を有するメタリック調の加飾成形品が得られることがわかる。
(活性剤組成物の組成)
フタル酸系アルキド樹脂 6質量部
マイクロシリカ(顔料) 2質量部
フタル酸ジブチル 17質量部
溶剤(ブチルカルビトールアセテート) 60質量部
溶剤(ブチルセロソルブ) 15質量部
また、本発明の加飾成形品は、優れた金属調(金属光沢)の意匠を有し、自動車内装品、家電製品又はOA機器等に有用である。
2.意匠層
21.光輝性インキ層
22.保護層
23.絵柄層
3.高輝度部
4.基材(被転写体)
10.水圧転写フィルム
20.加飾成形品
Claims (7)
- 水溶性フィルム上に意匠層を有する水圧転写フィルムであって、該意匠層が水溶性フィルム側から、少なくとも光輝性顔料を含む樹脂からなる光輝性インキ層と、アクリルポリマーポリオールを含む樹脂組成物及び/又はその硬化物からなる保護層をこの順に有し、かつ該保護層は光輝性インキ層上に部分的に存在することを特徴とする水圧転写フィルム。
- 前記光輝性インキ層がパターン状である請求項1に記載の水圧転写フィルム。
- 前記意匠層がさらに絵柄層を有する請求項1又は2に記載の水圧転写フィルム。
- 基材上にパターン状の保護層と、光輝性インキ層とを有する加飾成形品であって、パターン状の保護層の上に光輝性インキ層が重なっており、該保護層の直上部の光輝性インキ層が相対的に高輝度であり、それ以外の部分の光輝性インキ層が相対的に低輝度であることを特徴とする加飾成形品。
- 前記光輝性インキ層の上に絵柄層を有する請求項4に記載の加飾成形品。
- 前記基材と保護層との間に絵柄層を有する請求項4に記載の加飾成形品。
- 最表面にトップコート層を有する請求項4〜6のいずれかに記載の加飾成形品。
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