JP2018191450A - 駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】モータのトルクリプルをより十分に抑制する。【解決手段】モータのトルク指令に基づいてd軸,q軸の電圧指令を設定し、設定したd軸、q軸の電圧指令に基づいてインバータを制御する。そして、この際において、複数のスイッチング素子のスイッチングにおけるデッドタイム中のモータの電圧変動を打ち消すためのデッドタイム対応項を含んでモータのトルクリプルが打ち消されるようにフィードフォワード項を設定し、フィードフォワード項を用いてd軸,q軸の電圧指令を設定する。【選択図】図5

Description

本発明は、駆動装置に関する。
従来、この種の駆動装置としては、モータと、モータを駆動するインバータと、モータの磁極位相を検出する磁極位相検出器と、インバータを制御する制御装置と、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。ここで、制御装置は、モータのトルク指令の大きさに応じてモータの出力トルクに生じるトルクリプルの大きさを演算してトルクリプル振幅信号を作成し、磁極位相検出器によって検出されたモータの磁極位相からトルクリプルの位相に応じた正弦波信号を演算し、トルクリプル振幅信号と正弦波信号とを乗算してトルクリプル抑制信号を演算する。そして、モータのトルク指令にトルクリプル抑制信号を注入して新たなトルク指令を作成し、この新たなトルク指令を用いてインバータの複数のスイッチング素子をスイッチング制御する。こうした制御を行なうことにより、モータの出力トルクに生じるリプル成分を抑制している。
特開2002−223582号公報
上述の駆動装置では、インバータの複数のスイッチング素子のスイッチングにおけるデッドタイム中のモータの電圧変動の影響により、モータのトルクリプルを十分に抑制できていない可能性がある。
本発明の駆動装置は、モータのトルクリプルをより十分に抑制することを主目的とする。
本発明の駆動装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の駆動装置は、
モータと、
複数のスイッチング素子のスイッチングにより前記モータを駆動するインバータと、
前記モータのトルク指令に基づいてd軸,q軸の電圧指令を設定し、前記d軸、q軸の電圧指令に基づいて前記インバータを制御する制御装置と、
を備える駆動装置であって、
前記制御装置は、前記複数のスイッチング素子のスイッチングにおけるデッドタイム中のモータの電圧変動を打ち消すためのデッドタイム対応項を含んで前記モータのトルクリプルが打ち消されるようにフィードフォワード項を設定し、前記フィードフォワード項を用いて前記d軸,q軸の電圧指令を設定する、
ことを要旨とする。
この本発明の駆動装置では、モータのトルク指令に基づいてd軸,q軸の電圧指令を設定し、設定したd軸、q軸の電圧指令に基づいてインバータを制御する。そして、この際において、複数のスイッチング素子のスイッチングにおけるデッドタイム中のモータの電圧変動を打ち消すためのデッドタイム対応項を含んでモータのトルクリプルが打ち消されるようにフィードフォワード項を設定し、フィードフォワード項を用いてd軸,q軸の電圧指令を設定する。これにより、デッドタイム対応項を含まずにフィードフォワード項を設定するものに比して、モータのトルクリプルをより十分に抑制することができる。
こうした本発明の駆動装置において、前記制御装置は、前記モータの電気角に基づくベース値と、前記インバータの直流側電圧と、キャリア周波数と、前記複数のスイッチング素子のうちの上アームおよび下アームのデッドタイム時間と、を用いて前記デッドタイム対応項を設定するものとしてもよい。こうすれば、デッドタイム対応項をより適切に設定することができる。この場合、前記制御装置は、前記モータの電気角から得られる60度区間電気角と、前記モータの各相の相電流のうちの何れかがゼロクロスするゼロクロス電気角と、の大小関係に基づいて前記ベース値を設定し、前記ベース値と、前記インバータの直流側電圧と、前記キャリア周波数と、前記上アームのデッドタイム時間および前記下アームのデッドタイム時間の和と、の積として前記デッドタイム対応項を設定するものとしてもよい。ここで、「モータの電気角」は、電気角検出部により検出された検出電気角に対して、電気角検出部による検出タイミングの検出電気角とインバータを制御する制御タイミングの実電気角とのずれを補償して得られる制御タイミングの予測電気角であるものとしてもよい。
本発明の駆動装置において、前記制御装置は、前記デッドタイム対応項に加えて、前記モータの磁束・リラクタンスに依存する磁束・リラクタンス項と、前記モータの抵抗値に依存する抵抗項と、も用いて前記フィードフォワード項を設定するものとしてもよい。こうすれば、フィードフォワード項をより適切に設定することができる。
この場合、前記制御装置は、前記モータの電気角およびトルク指令と係数との関係を定めた係数設定用マップを記憶する記憶手段を有し、前記係数設定用マップに前記モータの電気角およびトルク指令を適用して前記係数を設定し、前記係数と前記モータの回転数との積として前記磁束・リラクタンス項を設定するものとしてもよい。この場合、モータの電気角,トルク指令,回転数と磁束・リラクタンス項との関係を定めた磁束・リラクタンス項設定用マップを記憶手段に記憶させ、磁束・リラクタンス項設定用マップに電気角,トルク指令,回転数を適用して磁束・リラクタンス項を設定するものに比して、記憶手段に記憶させるデータ容量を小さくすることができる。
また、この場合、前記制御装置は、前記モータのトルク指令,回転数,パワーのうちの何れかが大きいほど小さくなる傾向に減衰係数を設定し、前記デッドタイム対応項と前記磁束・リラクタンス項と前記抵抗項との和と、前記減衰係数と、の積として前記フィードフォワード項を設定するものとしてもよい。こうすれば、減衰係数を用いてフィードフォワード項をより適切に設定することができる。
本発明の駆動装置において、前記制御装置は、前記トルク指令に基づいてd軸,q軸の基本電流指令を設定し、前記トルク指令と前記モータの電気角とに基づいて前記トルクリプルを打ち消すための補正係数を設定し、前記d軸,q軸の基本電流指令に前記補正係数を乗じてd軸,q軸の電流指令を設定し、前記d軸,q軸の電流指令とd軸,q軸の電流とに基づいてフィードバック項を設定し、前記フィードフォワード項と前記フィードバック項とを用いて前記d軸,q軸の電圧指令を設定するものとしてもよい。こうすれば、トルクリプルをより十分に抑制することができる。この場合、前記制御装置は、前記トルク指令と前記モータの電気角とに基づいて基本補正係数を設定し、前記モータのトルク指令,回転数,パワーのうちの何れかが大きいほど小さくなる傾向に減衰係数を設定し、前記基本補正係数と前記減衰係数との積として前記補正係数を設定するものとしてもよい。こうすれば、減衰係数を用いてフィードバック項をより適切に設定することができる。
本発明の一実施例としての駆動装置を搭載する電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。 実施例の電子制御ユニット50によって実行されるモータ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 基本補正係数設定用マップの一例を示す説明図である。 減衰係数設定用マップの一例を示す説明図である。 フィードフォワード項設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 電流指令位相設定用マップの一例を示す説明図である。 60度区間の予測電気角θees60と値Vdff_dt1,値Vdff_dt2との関係の一例を示す説明図である。 60度区間の予測電気角θees60と値Vqff_dt1,値Vqff_dt2との関係の一例を示す説明図である。 U相の電圧指令Vu*や搬送波,上アーム,下アーム,相電圧Vu,デッドタイム相電圧ずれVdtgの時間変化の様子の一例を示す説明図である。 U相の相電流Iu,電圧指令Vu*,デッドタイム相電圧ずれVdtgの時間変化の様子の一例を示す説明図である。 U相の相電流Iu,デッドタイム相電圧ずれVdtg,デッドタイム近似相電圧Vdtapの時間変化の様子の一例を示す説明図である。 係数設定用マップの一例を示す説明図である。 補正項設定用マップの一例を示す説明図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としての駆動装置を搭載する電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例の電気自動車20は、図示するように、モータ32と、インバータ34と、蓄電装置としてのバッテリ36と、電子制御ユニット50と、を備える。
モータ32は、同期発電電動機として構成されており、永久磁石が埋め込まれた回転子と、三相コイルが巻回された固定子と、を備える。このモータ32は、回転子が駆動輪22a,22bにデファレンシャルギヤ24を介して連結された駆動軸26に接続されている。
インバータ34は、モータ32の駆動に用いられる。このインバータ34は、電力ライン38を介してバッテリ36に接続されており、6つのスイッチング素子としてのトランジスタT11〜T16と、6つのトランジスタT11〜T16のそれぞれに並列に接続された6つのダイオードD11〜D16と、を有する。トランジスタT11〜T16は、それぞれ、電力ライン38の正極側ラインと負極側ラインとに対してソース側とシンク側になるように2個ずつペアで配置されている。また、トランジスタT11〜T16の対となるトランジスタ同士の接続点の各々には、モータ32の三相コイル(U相,V相,W相のコイル)の各々が接続されている。したがって、インバータ34に電圧が作用しているときに、電子制御ユニット50によって、対となるトランジスタT11〜T16のオン時間の割合が調節されることにより、三相コイルに回転磁界が形成され、モータ32が回転駆動される。以下、トランジスタT11〜T13を「上アーム」といい、トランジスタT14〜T16を「下アーム」という。
バッテリ36は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、上述したように、電力ライン38を介してインバータ34に接続されている。電力ライン38の正極側ラインと負極側ラインとには、コンデンサ39が取り付けられている。
電子制御ユニット50は、CPU52を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU52の他に、処理プログラムを記憶するROM54やデータを一時的に記憶するRAM56,入出力ポートを備える。電子制御ユニット50には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。電子制御ユニット50に入力される信号としては、例えば、モータ32の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ(例えばレゾルバ)32aからの回転位置θmや、モータ32の各相の相電流を検出する電流センサ32u,32vからの相電流Iu,Ivを挙げることができる。また、バッテリ36の端子間に取り付けられた図示しない電圧センサからのバッテリ36の電圧Vbや、バッテリ36の出力端子に取り付けられた図示しない電流センサからのバッテリ36の電流Ib,コンデンサ39の端子間に取り付けられた電圧センサ39aからのコンデンサ39(電力ライン38)の電圧VHも挙げることができる。さらに、イグニッションスイッチ60からのイグニッション信号や、シフトレバー61の操作位置を検出するシフトポジションセンサ62からのシフトポジションSP,アクセルペダル63の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ64からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル65の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ66からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ68からの車速Vも挙げることができる。電子制御ユニット50からは、インバータ34のトランジスタT11〜T16へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。電子制御ユニット50は、回転位置検出センサ32aからのモータ32の回転子の回転位置θmに基づいてモータ32の電気角θeや角速度ωm,回転数Nmを演算している。また、電子制御ユニット50は、電流センサからのバッテリ36の電流Ibの積算値に基づいてバッテリ36の蓄電割合SOCを演算している。ここで、蓄電割合SOCは、バッテリ36の全容量に対するバッテリ36から放電可能な電力の容量の割合である。
こうして構成された実施例の電気自動車20では、電子制御ユニット50は、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸26の要求トルクTd*を設定し、要求トルクTd*をモータ32のトルク指令Tm*に設定する。そして、モータ32のトルク指令Tm*を用いてインバータ34のトランジスタT11〜T16をパルス幅変調制御(PWM制御)により制御する。ここで、PWM制御は、モータ32の電圧指令と搬送波(三角波)電圧との比較によってトランジスタT11〜T16のオン時間の割合を調節する制御である。なお、搬送波電圧の周波数(キャリア周波数)fcは、数kHz〜10kHz程度とするものとした。
次に、こうして構成された実施例の電気自動車20の動作、特に、モータ32を駆動制御する(インバータ34をPWM制御により制御する)際の動作について説明する。図2は、実施例の電子制御ユニット50によって実行されるモータ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、繰り返し実行される。
モータ制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット50は、まず、モータ32の電気角θeや回転数Nm,U相,V相の相電流Iu,Iv,トルク指令Tm*,コンデンサ39(電力ライン38)の電圧VHなどのデータを入力する(ステップS100)。ここで、電気角θeおよび回転数Nmは、回転位置検出センサ32aにより検出されたモータ32の回転子の回転位置θmに基づいて演算された値を入力するものとした。相電流Iu,Ivは、電流センサ32u,32vにより検出された値を入力するものとした。トルク指令Tm*は、上述の駆動制御により設定された値を入力するものとした。コンデンサ39(電力ライン38)の電圧VHは、電圧センサ39aにより検出された値を入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、モータ32の三相コイルのU相,V相,W相に流れる電流Iu,Iv,Iwの総和を値0として、モータ32の電気角θeを用いて、U相,V相の電流Iu,Ivをd軸,q軸の電流Id,Iqに座標変換(3相−2相変換)する(ステップS110)。
続いて、モータ32のトルク指令Tm*に基づいて、d軸,q軸の電流指令Id*,Iq*の基本値としての基本電流指令Idtmp,Iqtmpを設定する(ステップS120)。ここで、d軸,q軸の基本電流指令Idtmp,Iqtmpは、実施例では、モータ32のトルク指令Tm*とd軸,q軸の基本電流指令Idtmp,Iqtmpとの関係を予め定めて電流指令設定用マップとしてROM54に記憶しておき、モータ32のトルク指令Tm*が与えられると、このマップから対応するd軸,q軸の基本電流指令Idtmp,Iqtmpを導出して設定するものとした。
そして、モータ32の回転数Nmに基づいて電気角補償量Δθeを設定すると共に(ステップS130)、ステップS100で入力したモータ32の電気角θeに電気角補償量Δθeを加えて、モータ32の予測電気角θeesを計算する(ステップS140)。ここで、電気角補償量Δθeは、ステップS100で入力した電気角θeと、電子制御ユニット50からPWM信号をインバータ34に出力するときの実際の電気角と、のずれ(前者に対する後者の進み量)を補償するための補償量であり、実施例では、モータ32の回転数Nmに基づいて、搬送波電圧の1.5周期に相当する電気角の移動量を設定するものとした。
次に、モータ32の予測電気角θeesおよびトルク指令Tm*に基づいて、d軸,q軸の基本電流指令Idtmp,Iqtmpを補正するのに用いる補正係数kiの基本値としての基本補正係数kitmpを設定する(ステップS150)。続いて、モータ32のトルク指令Tm*と回転数Nmとの積として得られる要求パワーPm*に基づいて減衰係数ζvを設定する(ステップS160)。そして、基本補正係数kitmpと減衰係数ζvとを用いて式(1)により補正係数kiを計算する(ステップS170)。そして、式(2)および式(3)に示すように、d軸,q軸の基本電流指令Idtmp,Iqtmpに補正係数kiを乗じて、d軸,q軸の電流指令Id*,Iq*を計算する(ステップS180)。
ki=kitmp・(kitmp-1)・ζv (1)
Id*=Idtmp・ki (2)
Iq*=Iqtmp・ki (3)
ここで、基本補正係数kitmpは、実施例では、モータ32の予測電気角θeesおよびトルク指令Tm*と基本補正係数kitmpとの関係を予め定めて基本補正係数設定用マップとしてROM54に記憶しておき、モータ32の予測電気角θeesおよびトルク指令Tm*が与えられると、このマップから対応する基本補正係数kitmpを導出して設定するものとした。基本補正係数設定用マップの一例を図3に示す。図3は、モータ32のトルクリプルが電気角6次(電気角の1周期に対して6周期)で生じる場合の基本補正係数の一例を示す。図示するように、基本補正係数kitmpは、予測電気角θeesに基づいて、モータ32のトルクリプルをキャンセルできるように、値1を中心に変動するように設定するものとした。ここで、基本補正係数kitmpを値1よりも小さくする予測電気角θeesの範囲は、d軸,q軸の基本電流指令Idtmp,Iqtmpをそのまま電流指令Id*、Iq*に設定するとモータ32のトルクリプルによって出力トルクTmがトルク指令Tm*よりも大きくなる範囲、即ち、モータ32のトルクリプルをキャンセルするために電流指令Id*、Iq*を基本電流指令Idtmp,Iqtmpよりも小さくする必要がある予測電気角θeesの範囲を意味する。また、基本補正係数kitmpを値1よりも大きくする予測電気角θeesの範囲は、d軸,q軸の基本電流指令Idtmp,Iqtmpをそのまま電流指令Id*,Iq*に設定するとモータ32のトルクリプルによって出力トルクTmがトルク指令Tm*よりも小さくなる範囲、即ち、モータ32のトルクリプルをキャンセルするために電流指令Id*,Iq*を基本電流指令Idtmp,Iqtmpよりも大きくする必要がある予測電気角θeesの範囲を意味する。そして、この基本補正係数kitmpは、モータ32のトルク指令Tm*が大きいときに小さいときよりも値1を中心に大きく変動するように設定するものとした。これは、モータ32のトルク指令Tm*が大きいときに小さいときよりもモータ32のトルクリプルが大きくなりやすいからである。基本補正係数kitmpは、図3に限定されるものではなく、低減対象のトルクリプルの成分の次数(例えば、電気角6次,電気角12次,電気24次,・・・の1つまたは複数)に応じて設定すればよい。
また、減衰係数ζvは、実施例では、モータ32の要求パワーPm*と減衰係数ζvとの関係を予め定めて減衰係数設定用マップとしてROM54に記憶しておき、モータ32の要求パワーPm*が与えられると、このマップから対応する減衰係数ζvを導出して設定するものとした。減衰係数設定用マップの一例を図4に示す。図示するように、減衰係数ζvは、モータ32の要求パワーPm*が大きいほど値1から値0に向けて小さくなるように設定するものとした。この減衰係数ζvの意義については後述する。
このようにして、d軸,q軸の基本電流指令Idtmp,Iqtmpに補正係数ki(=kitmp・ζv)を乗じて計算されるd軸,q軸の電流指令Id*,Iq*は、モータ32のトルク指令Tm*を予測電気角θeesに基づいてモータ32のトルクリプルが(ある程度)打ち消されるように補正した補正後トルクに相当する電流指令となる。そして、この際に減衰係数ζvを用いることにより、モータ32のパワーが大きいためにパワー変動(電力変動)が大きくなって干渉・共振が生じやすいときに、電力変動による干渉・共振をより適切に抑制することができる。
次に、d軸,q軸の電流指令Id*,Iq*とd軸,q軸の電流Id,Iqとを用いて式(4)および式(5)によってd軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*のフィードバック項(FB項)Vdfb,Vqfbを設定する(ステップS190)。ここで、式(4)および式(5)中、「kd1」,「kq1」は,比例項のゲインであり、「kd2」,「kq2」は、積分項のゲインである。
Vdfb=kd1・(Id*-Id)+kd2∫(Id*-Id)dt (4)
Vqfb=kq1・(Iq*-Iq)+kq2∫(Iq*-Iq)dt (5)
続いて、後述のフィードフォワード項設定ルーチンにより、d軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*のフィードフォワード項(FF項)Vdff,Vqffを設定する(ステップS200)。そして、式(6)および式(7)に示すように、フィードフォワード項Vdff,Vqffとフィードバック項Vdfb,Vqfbとの和をd軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*に設定する(ステップS210)。
Vd*=Vdff+Vdfb (6)
Vq*=Vqff+Vqfb (7)
こうしてd軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*を設定すると、モータ32の予測電気角θeesを用いて、d軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*をU相,V相,W相の電圧指令Vu*,Vv*,Vw*に座標変換(2相−3相変換)する(ステップS220)。そして、U相,V相,W相の電圧指令Vu*,Vv*,Vw*をインバータ34のトランジスタT11〜T16をスイッチングするためのPWM信号に変換し、このPWM信号をインバータ34に出力することによってインバータ34のトランジスタT11〜T16のスイッチング制御を行なって(ステップS230)、本ルーチンを終了する。
次に、図2のモータ制御ルーチンのステップS200の処理、即ち、d軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*のフィードフォワード項Vdff,Vqffを設定する処理について、図5のフィードフォワード項設定ルーチンを用いて説明する。
図5のフィードフォワード項設定ルーチンが実行されると、電子制御ユニット50は、まず、0°〜360°で表わされるモータ32の予測電気角θeesを0°〜60°で表わされる60度区間の予測電気角θees60に換算する(ステップS300)。ここで、60度は、モータ32の各相の電圧指令Vu*,Vv*,Vw*のうちの何れかがゼロクロスする電気角θeの間隔である。
続いて、モータ32のトルク指令Tm*に基づいて電流指令位相θiqを設定する(ステップS310)。ここで、電流指令位相θiqは、実施例では、モータ32のトルク指令Tm*と電流指令位相θiqとの関係を予め定めて電流指令位相設定用マップとしてROM54に記憶しておき、モータ32のトルク指令Tm*が与えられると、このマップから対応する電流指令位相θiqを導出して設定するものとした。電流指令位相設定用マップの一例を図6に示す。図示するように、電流指令位相θiqは、モータ32のトルク指令Tm*が大きいほど大きくなるように設定するものとした。なお、電流指令位相θiqは、電流指令位相設定用マップを用いて設定するのに代えて、d軸,q軸の電流指令Id*,Iq*を成分とする電流ベクトルのq軸に対する角度として演算するものとしてもよい。
次に、60度区間の予測電気角θees60を60°から電流指令位相θiqを減じた値(60°−θiq)と比較する(ステップS320)。ここで、値(60°−θiq)は、各相の相電流Iu,Iv,Iwのうちの何れかがゼロクロスするゼロクロス電気角を意味する。60度区間の予測電気角θees60が値(60°−θiq)以下のときには、インバータ34の各相の上下アームのデッドタイム中のモータ32の相電圧のずれ(デッドタイムがないと仮定したときの理想的な相電圧に対するずれ)を打ち消す、言い換えれば、デッドタイム中のモータ32の電圧変動を打ち消すためのデッドタイム対応項Vdff_dt,Vqff_dtのベース値Vdff_dttmp,Vqff_dttmpに値Vdff_dt1,Vqff_dt1を設定する(ステップS330)。一方、60度区間の予測電気角θees60が値(60°−θiq)よりも大きいときには、ベース値Vdff_dttmp,Vqff_dttmpに値Vdff_dt2,Vqff_dt2を設定する(ステップS340)。そして、式(8)および式(9)に示すように、ベース値Vdff_dttmp,Vqff_dttmpに、コンデンサ39(電力ライン38)の電圧VHと、キャリア周波数fcと、上アームデッドタイム時間Tdtupと下アームデッドタイム時間Tdtdnとの和の時間(Tdtup+Tdtdn)と、を乗じて、デッドタイム対応項Vdff_dt,Vqff_dtを計算する(ステップS350)。
Vdff_dt=Vdff_dttmp・VH・fc・(Tdtup+Tdtdn) (8)
Vqff_dt=Vqff_dttmp・VH・fc・(Tdtup+Tdtdn) (9)
ここで、値Vdff_dt1,Vqff_dt1や値Vdff_dt2,Vqff_dt2は、図7のマップに60度区間の予測電気角θees60を適用して得られる値を用いるものとした。図7は、60度区間の予測電気角θees60と値Vdff_dt1,値Vdff_dt2との関係の一例を示す説明図であり、図8は、60度区間の予測電気角θees60と値Vqff_dt1,値Vqff_dt2との関係の一例を示す説明図である。以下、60度区間の予測電気角θees60と値Vdff_dt1,値Vdff_dt2や値Vqff_dt1,値Vqff_dt2との関係の設定方法について説明する。
インバータ34の各相の上下アームのデッドタイム中のモータ32の相電圧のずれについて考える。U相について見ると、上下アーム(トランジスタT11,T14)が共にオフとなるデッドタイム中において、U相の相電流Iuが正のときには、ダイオードD14に電流が流れると共にU相の相電圧が値0となり、U相の相電流Iuが負のときには、ダイオードD11に電流が流れると共にU相の相電圧Vuが値VHとなる。図9は、U相の電圧指令Vu*や搬送波,上アーム,下アーム,相電圧Vu,デッドタイムに起因する相電圧のずれ(以下、「デッドタイム相電圧ずれVdtg」という)の時間変化の様子の一例を示す説明図である。図9(a)は、U相の相電流Iuが正のときの様子を示し、図9(b)は、U相の相電流Iuが負のときの様子を示す。図9(a)から分かるように、U相の相電流Iuが正のときには、U相の下アームがオフになってから上アームがオンになるまでの間のデッドタイム(以下、「上アームデッドタイム」という)に、U相の相電圧Vuが値0で保持される。このため、デッドタイム相電圧ずれVdtgが電圧(−VH)となる。また、図9(b)から分かるように、U相の相電流Iuが負のときには、U相の上アームがオフになってから下アームがオンになるまでの間のデッドタイム(以下、「下アームデッドタイム」という)に、U相の相電圧Vuが電圧VHで保持される。このため、デッドタイム相電圧ずれVdtgが電圧VHとなる。図9を踏まえると、U相の相電流Iu,電圧指令Vu*,デッドタイム相電圧ずれVdtgの時間変化の様子は、図10のようになる。図10において、U相の相電流Iuが正のときのデッドタイム相電圧ずれVdtgのパルスの幅は、上アームデッドタイム時間Tdtupに相当し、パルスの大きさは、電圧(−VH)に相当する。U相の相電流Iuが負のときのデッドタイム相電圧ずれVdtgのパルスの幅は、下アームデッドタイム時間Tdtdnに相当し、パルスの大きさは、電圧VHに相当する。図10のデッドタイム相電圧ずれVdtgを等価的な矩形波(面積が同一の矩形波)に近似したデッドタイム近似相電圧Vdtapは、図11のようになる。図11中、「Va1」は、式(10)に示すように、電圧(−VH)と上アームデッドタイム時間Tdtupとの積を搬送波の周期Tcで除した値となり、「Va2」は、式(11)に示すように、電圧VHと下アームデッドタイム時間Tdtdnとの積を搬送波の周期Tcで除した値となる。
Va1=-(VH)・Tdtup/Tc (10)
Va2=VH・Tdtdn/Tc (11)
以上のことから、U相のデッドタイムの近似電圧Vudtapは、電気角θeが値(0°−θiq)から値(180°−θiq)までの範囲(相電流Iuが正の範囲)では値(−VH・Tdtup/Tc)となり、電気角θeが値(180°−θiq)から値(0°−θiq)までの範囲(相電流Iuが負の範囲)では値(VH・Tdtdn/Tc)となる。また、V相のデッドタイムの近似電圧Vvdtapは、電気角θeが値(120°−θiq)から値(300°−θiq)までの範囲(相電流Ivが正の範囲)では値(−VH・Tdtup/Tc)となり、電気角θeが値(300°−θiq)から値(120°−θiq)までの範囲(相電流Ivが負の範囲)では値(VH・Tdtdn/Tc)となる。さらに、W相のデッドタイムの近似電圧Vwdtapは、電気角θeが値(240°−θiq)から値(60°−θiq)までの範囲(相電流Iwが正の範囲)では値(−VH・Tdtup/Tc)となり、電気角θeが値(60°−θiq)から値(240°−θiq)までの範囲(相電流Iwが負の範囲)では値(VH・Tdtdn/Tc)となる。したがって、d軸,q軸のデッドタイムの近似電圧Vddtap,Vqdtapは、式(12)および式(13)により得られる。このd軸,q軸のデッドタイムの近似電圧Vddtap,Vqdtapを打ち消すように、コンデンサ39(電力ライン38)の電圧VHやキャリア周波数fc,時間(Tdtup+Tdtdn)に対する依存性を除くと、図7および図8が得られる。
Figure 2018191450
図5のフィードフォワード項設定ルーチンの説明に戻る。ステップS350でデッドタイム対応項Vdff_dt,Vqff_dtを計算すると、モータ32の予測電気角θeesおよびトルク指令Tm*に基づいて、モータ32の磁束・リラクタンスに依存する磁束・リラクタンス項Vdff_Lφ,Vqff_Lφの演算に用いる係数Kvdff_Lφ,Kvqff_Lφを設定し(ステップS360)、この係数Kvdff_Lφ,Kvqff_Lφとモータ32の回転数Nmとの積を、磁束・リラクタンス項Vdff_Lφ,Vqff_Lφとして計算する(ステップS370)。
ここで、係数Kvdff_Lφ,Kvqff_Lφは、実施例では、モータ32の予測電気角θeesおよびトルク指令Tm*と係数Kvdff_Lφ,Kvqff_Lφとの関係を予め定めて係数設定用マップとしてROM54に記憶しておき、モータ32の予測電気角θeesおよびトルク指令Tm*が与えられると、このマップから対応する係数Kvdff_Lφ,Kvqff_Lφを導出して設定するものとした。図12は、係数設定用マップの一例を示す説明図である。図12(a)は、係数Kvdff_Lφの設定用のマップであり、図12(b)は、係数Kvqff_Lφの設定用のマップである。図12(a)や図12(b)のマップでは、モータ32のトルクリプルをキャンセルするのに適した係数Kvdff_Lφ,Kvqff_Lφを、予め実験や解析により、モータ32の予測電気角θeesおよびトルク指令Tm*に応じて定めるものとした。図12(a)や図12(b)のマップを用いることにより、モータ32の予測電気角θees,トルク指令Tm*,回転数Nmと磁束・リラクタンス項Vdff_Lφ,Vqff_Lφとの関係を定めたマップを用いるものに比して、ROM54に記憶させるデータ容量を少なくすることができる。
次に、d軸,q軸の電流指令Id*,Iq*にモータ32の抵抗値Rを乗じて、モータ32の抵抗値に依存する抵抗項Vdff_R,Vqff_Rを計算する(ステップS380)。
ここで、磁束・リラクタンス項Vdff_Lφ,Vqff_Lφおよび抵抗項Vdff_R,Vqff_Rについて説明する。モータ32の電圧方程式は、インバータ34の各相の上下アームのデッドタイム中のモータ32の電圧変動を考慮しない場合、式(14)および式(15)により表わされる。式(14)および式(15)中、「Vd」,「Vq」はd軸,q軸の電圧を示し、「ωm」は回転子の角速度を示し、「Ld」,「Lq」はd軸,q軸のインダクタンスLd,Lqを示し、「Id」,「Iq」はd軸,q軸の電流を示し、「φ」は永久磁石が発生させる磁束であり、「R」はdq座標における抵抗値である。磁束・リラクタンス項Vdff_Lφは、式(14)の右辺第1項に相当し、磁束・リラクタンス項Vqff_Lφは、式(15)の右辺第1項および第2項に相当し、抵抗項Vdff_Rは、式(14)の右辺第2項に相当し、抵抗項Vqff_Rは、式(15)の右辺第3項に相当する。磁束・リラクタンス項Vdff_Lφ,Vqff_Lφおよび抵抗項Vdff_R,Vqff_Rは、モータ32のトルクリプルをキャンセルするのに適した値となる。
Vd=-ωm・Lq・Iq+R・Id (14)
Vq=ωm・Ld・Id+ωm・φ+R・Iq (15)
こうしてデッドタイム対応項Vdff_dt,Vqff_dtと磁束・リラクタンス項Vdff_Lφ,Vqff_Lφと抵抗項Vdff_R,Vqff_Rとを設定すると、式(16)および式(17)に示すように、デッドタイム対応項Vdff_dt,Vqff_dtと磁束・リラクタンス項Vdff_Lφ,Vqff_Lφと抵抗項Vdff_R,Vqff_Rとの和に上述のステップS160で設定した減衰係数ζvを乗じて、d軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*のフィードフォワード項Vdff,Vqffを計算して(ステップS390)、本ルーチンを終了する。
Vdff=(Vdff_dt+Vdff_Lφ+Vdff_R)・ζv (16)
Vqff=(Vqff_dt+Vqff_Lφ+Vqff_R)・ζv (17)
このように、デッドタイム対応項Vdff_dt,Vqff_dtを含んでモータ32のトルクリプルが打ち消されるようにフィードフォワード項Vdff,Vqffを設定することにより、デッドタイム対応項Vdff_dt,Vqff_dtを含まずにフィードフォワード項Vdff,Vqffを設定するものに比して、モータ32のトルクリプルをより十分に抑制することができる。具体的には、モータ32の各相の相電流の正負により、デッドタイム相電圧ずれの符号が異なるから、これを考慮してデッドタイム対応項Vdff_dt,Vqff_dtを設定することにより、モータ32のトルクリプルをより十分に抑制することができるのである。特に、モータ32の回転数Nmが大きいときには、モータ32の電気角周波数が大きくなり、デッドタイム中のモータ32の電圧変動の周波数が大きくなり、フィードバック項Vdfb,Vqfbでは十分に対応するのが困難となることから、このようにデッドタイム対応項Vdff_dt,Vqff_dtを含んでフィードフォワード項Vdff,Vqffを設定することの意義が大きい。
また、フィードフォワード項Vdff,Vqffを設定する際に減衰係数ζvを用いることにより、モータ32のパワーが大きいためにパワー変動(電力変動)が大きくなって干渉・共振が生じやすいときに、電力変動による干渉・共振をより適切に抑制することができる。
以上説明した実施例の電気自動車20に搭載される駆動装置では、モータ32のトルク指令Tm*に基づいてd軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*を設定すると共にこのd軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*に基づいてインバータ34のトランジスタT11〜T16のスイッチング制御を行なう。そして、この際において、インバータ34のトランジスタT11〜T16のデッドタイム中のモータの電圧変動を打ち消すためのデッドタイム対応項Vdff_dt,Vqff_dtを含んでモータ32のトルクリプルが打ち消されるようにフィードフォワード項Vdff,Vqffを設定し、このフィードフォワード項Vdff,Vqffに基づいてd軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*を設定する。これにより、デッドタイム対応項Vdff_dt,Vqff_dtを含まずにフィードフォワード項Vdff,Vqffを設定するものに比して、モータ32のトルクリプルをより十分に抑制することができる。
実施例の電気自動車20に搭載される駆動装置では、デッドタイム対応項Vdff_dt,Vqff_dtと磁束・リラクタンス項Vdff_Lφ,Vqff_Lφと抵抗項Vdff_R,Vqff_Rとの和に減衰係数ζvを乗じて、d軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*のフィードフォワード項Vdff,Vqffを計算するものとした。しかし、デッドタイム対応項Vdff_dt,Vqff_dtと磁束・リラクタンス項Vdff_Lφ,Vqff_Lφと抵抗項Vdff_R,Vqff_Rとの和をフィードフォワード項Vdff,Vqffとして計算する、即ち、減衰係数ζvを用いずにフィードフォワード項Vdff,Vqffを計算するものとしてもよい。
実施例の電気自動車20に搭載される駆動装置では、デッドタイム対応項Vdff_dt,Vqff_dtと磁束・リラクタンス項Vdff_Lφ,Vqff_Lφと抵抗項Vdff_R,Vqff_Rとの和に減衰係数ζvを乗じて、d軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*のフィードフォワード項Vdff,Vqffを計算するものとした。しかし、デッドタイム対応項Vdff_dt,Vqff_dtと補正項Vdff_co,Vqff_coとの和に減衰係数ζvを乗じて、d軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*のフィードフォワード項Vdff,Vqffを計算するものとしてもよい。ここで、補正項Vdff_co,Vqff_coは、上述の磁束・リラクタンス項Vdff_Lφ,Vqff_Lφと抵抗項Vdff_R,Vqff_Rとの和に相当するものである。補正項Vdff_co,Vqff_coは、この変形例では、モータ32の予測電気角θees,トルク指令Tm*,回転数Nmと補正項Vdff_co,Vqff_coとの関係を予め定めて補正項設定用マップとしてROM54に記憶しておき、モータ32の予測電気角θees,トルク指令Tm*,回転数Nmが与えられると、このマップから対応する補正項Vdff_co,Vqff_coを導出して設定するものとした。図13は、補正項設定用マップの一例を示す説明図である。図13(a)は、補正項Vdff_coの設定用のマップであり、図13(b)は、補正項Vqff_coの設定用のマップである。図13(a)や図13(b)のマップでは、モータ32のトルクリプルをキャンセルするのに適した補正項Vdff_co,Vqff_coを、予め実験や解析により、モータ32の予測電気角θees,トルク指令Tm*,回転数Nmに応じて定めるものとした。なお、図13(a)や図13(b)のマップは、図12(a)や図12(b)のマップに比して、パラメータが1つ(モータ32の回転数Nm)多いから、データ容量が大きくなると考えられる。
この変形例では、デッドタイム対応項Vdff_dt,Vqff_dtと補正項Vdff_co,Vqff_coとの和に減衰係数ζvを乗じて、d軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*のフィードフォワード項Vdff,Vqffを計算するものとした。しかし、デッドタイム対応項Vdff_dt,Vqff_dtと補正項Vdff_co,Vqff_coとの和をフィードフォワード項Vdff,Vqffとして計算する、即ち、減衰係数ζvを用いずにフィードフォワード項Vdff,Vqffを計算するものとしてもよい。
実施例の電気自動車20に搭載される駆動装置では、d軸,q軸の基本電流指令Idtmp,Iqtmpを補正するのに用いる補正係数kiを設定する際に、基本補正係数kitmpに減衰係数ζvを乗じて補正係数kiを設定するものとした。しかし、減衰係数ζvを用いずに、基本補正係数kitmpを補正係数kiに設定するものとしてもよい。
実施例の電気自動車20に搭載される駆動装置では、モータ32の要求パワーPm*が大きいほど小さくなるように減衰係数ζvを設定するものとした。しかし、モータ32のトルク指令Tm*が大きいほど小さくなるように減衰係数ζvを設定するものとしてもよいし、モータ32の回転数Nmが大きいほど小さくなるように減衰係数ζvを設定するものとしてもよい。
実施例では、モータ32からの動力だけを用いて走行する電気自動車20に搭載される駆動装置の構成とした。しかし、モータからの動力とエンジンからの動力とを用いて走行するハイブリッド自動車に搭載される駆動装置の構成としてもよい。また、建設設備などの移動しない設備に搭載される駆動装置の構成としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータ32が「モータ」に相当し、インバータ34が「インバータ」に相当し、電子制御ユニット50が「制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、駆動装置の製造産業などに利用可能である。
20 電気自動車、22a,22b 駆動輪、24 デファレンシャルギヤ、26 駆動軸、32 モータ、32a 回転位置検出センサ、32u,32v 電流センサ、34 インバータ、36 バッテリ、38 電力ライン、39 コンデンサ、39a 電圧センサ、50 電子制御ユニット、52 CPU、54 ROM、56 RAM、60 イグニッションスイッチ、61 シフトレバー、62 シフトポジションセンサ、63 アクセルペダル、64 アクセルペダルポジションセンサ、65 ブレーキペダル、66 ブレーキペダルポジションセンサ、68 車速センサ、D11〜D16 ダイオード、T11〜T16 トランジスタ。

Claims (1)

  1. モータと、
    複数のスイッチング素子のスイッチングにより前記モータを駆動するインバータと、
    前記モータのトルク指令に基づいてd軸,q軸の電圧指令を設定し、前記d軸、q軸の電圧指令に基づいて前記インバータを制御する制御装置と、
    を備える駆動装置であって、
    前記制御装置は、前記複数のスイッチング素子のスイッチングにおけるデッドタイム中のモータの電圧変動を打ち消すためのデッドタイム対応項を含んで前記モータのトルクリプルが打ち消されるようにフィードフォワード項を設定し、前記フィードフォワード項を用いて前記d軸,q軸の電圧指令を設定する、
    駆動装置。
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