JP2018172620A - インク組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】インクジェットプリンタから吐出された液滴が、テール及び/又はサテライトを生じないインクであり、初期吐出と共に、間欠記録において、連続記録を再開しても吐出性が良好なインクの提供。【解決手段】水と、水不溶性の着色剤と、プロピレングリコールと、グリセリンと、ジグリセリンの酸化アルキレン付加物と、を含有するインクであって、インクの総質量に対して、プロピレングリコールの含有量が、5質量%<プロピレングリコール<15質量%であり、グリセリンの含有量が、25質量%<グリセリン<35質量%であり、ジグリセリンの酸化アルキレン付加物の含有量が、0質量%<ジグリセリンの酸化アルキレン付加物<4質量%であるインクにより、前記の課題を解決できた。【選択図】なし

Description

本発明は、水と、水不溶性の着色剤と、それぞれ特定の量のプロピレングリコールと、グリセリンと、ジグリセリンの酸化アルキレン付加物とを含有するインクに関する。
インクジェット記録は、情報のデジタル化が進む中で、オフィス、及び家庭用の印刷方法として広く普及している。また、近年では、商業印刷、及び繊維への捺染等への応用も進められている。インクジェット記録の用途が広がるのに伴い、インクジェットインクに用いる着色剤も水溶性染料(例えば、酸性染料、及び直接染料等)から、用途に応じて水不溶性の着色剤(例えば、分散染料、及び顔料等)が使用されるようになってきた。
一般的に、水溶性染料を用いた記録画像は画質が良好であるとされる。その一方で、水不溶性の着色剤を用いた記録画像は、光、オゾン、水等に対する各種の堅牢性が優れるとされる。このため、商業印刷の分野では、水不溶性の着色剤が好ましく使用されている。
水不溶性の着色剤を含有する水性インクは、着色剤が固体として、インク中に分散している。このため、水溶性染料を含有するインクと比較して、水不溶性の着色剤を含有するインクを、インクジェットプリンタから良好に吐出することは難しいとされている。
また、商業印刷に用いられる基材は、インク受容層を有さないことも多い。このため、基材への着色剤の定着性を向上させる等の目的で、商業印刷に用いられるインクは、樹脂を含有することが多い。さらに、水不溶性の着色剤を含有するインクは、着色剤を樹脂により分散することも行われる。このため、一般にそのようなインクは、インク中の固形分の含有量が多く、これが吐出性を悪化させる1つの大きな要因となっている。
これに加えて、商業印刷に用いられるインクジェットプリンタは、高速で印刷を行う必要から、オフィス及び家庭用のプリンタと比較して、高い粘度のインクを必要とする。インクの粘度が高いことも、良好な吐出性の確保を困難にする1つの要因である。
吐出性の1つの評価方法として、吐出した液滴の状態を撮影し、液滴の状態を目視で確認する方法が挙げられる。この方法では、液滴が球形にまとまっている状態のとき、吐出性が良好と評価される。一方、液滴にテールが発生しているとき、及び/又は、液滴が複数に分離してサテライトが発生しているとき、吐出性が不良と評価される。この方法を用いると、インクジェットプリンタから吐出された液滴の状態を、直接評価できる。
また、商業印刷は、休憩時間、及び休日等を理由とし、間欠記録(連続記録−数十分〜数時間の一時的な記録の停止−連続記録の再開、を繰り返す記録。)が行われることも多い。一時的に記録を停止した後に、連続記録を再開すると、吐出性が不良となるインクも多い。このため、間欠記録において、連続記録を再開したときでも吐出性が良好なインクが強く要望されている。
水不溶性の着色剤を含有するインクは、例えば、特許文献1〜3に開示されている。
特開2015−193742号公報 国際公開2014/084161号ガゼット 国際公開2015/152290号ガゼット
本発明の課題は、インクジェットプリンタから吐出された液滴が、テール及びサテライトを生じないインクであり、初期吐出と共に、間欠記録において、連続記録を再開したときであっても吐出性が良好なインクを提供することである。
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、水と、水不溶性の着色剤と、それぞれ特定の量のプロピレングリコールと、グリセリンと、ジグリセリンの酸化アルキレン付加物を含有するインクにより、前記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は下記1)〜16)に関する。
1)
水と、水不溶性の着色剤と、プロピレングリコールと、グリセリンと、ジグリセリンの酸化アルキレン付加物と、を含有するインクであって、インクの総質量に対して、
プロピレングリコールの含有量が、5質量%<プロピレングリコール<15質量%であり、
グリセリンの含有量が、25質量%<グリセリン<35質量%であり、
ジグリセリンの酸化アルキレン付加物の含有量が、0質量%<ジグリセリンの酸化アルキレン付加物<4質量%である、インク。
2)
ジグリセリンの酸化アルキレン付加物が、下記式(1)で表される化合物である前記1)に記載のインク。
Figure 2018172620
[式(1)中、ALはそれぞれ独立にC2−C4アルキレンを表し、j、k、m、及びnは総和で4〜100の整数を表す。]。
3)
さらに分散剤を含有する前記1)に記載のインク。
4)
分散剤がA−Bブロックポリマーであり、
Aブロックを構成するモノマーがベンジルメタクリレート及びベンジルアクリレートから選択されるモノマーであり、
Bブロックを構成するモノマーが下記式(2)で表される2種類以上のモノマーである、前記3)に記載のインク。
Figure 2018172620
[式(2)中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。]。
5)
Aブロックを構成するモノマーがベンジルメタクリレートであり、
Bブロックを構成するモノマーが、式(2)で表されるモノマーのうち、
が水素原子、Rがメチル基で表されるモノマーと、
がC4アルキル基、Rがメチル基で表されるモノマーと、の2種類である前記4)に記載のインク。
6)
水不溶性の着色剤が顔料である、前記1)に記載のインク。
7)
顔料が、C.I.ピグメント及びカーボンブラックから選択される顔料である、前記6)に記載のインク。
8)
C.I.ピグメントから選択される顔料が、C.I.ピグメントイエロー、C.I.ピグメントレッド、C.I.ピグメントブルー、C.I.ピグメントバイオレット、C.I.ピグメントオレンジ、及び、C.I.ピグメントグリーンから選択される顔料である、前記7)に記載のインク。
9)
前記1)〜8)のいずれか一項に記載のインクの液滴を、記録信号に応じて吐出させ、基材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
10)
前記1)〜8)のいずれか一項に記載のインクが付着した基材。
11)
前記9)のインクジェット記録方法により、インクの液滴が付着した基材。
本発明により、インクジェットプリンタから吐出された液滴が、テール及びサテライトを生じないインクであり、初期吐出と共に、間欠記録において、連続記録を再開したときであっても吐出性が良好なインクが提供できた。
特に断りのない限り、本明細書においては実施例等も含めて「%」及び「部」については、いずれも質量基準で記載する。また、「C.I.」とは、カラーインデックスを意味する。
また、前記インクは、水を含有する水性インクである。
[水不溶性の着色剤]
本明細書において水不溶性の着色剤とは、25℃の水に対する溶解度が通常3g/リットル以下、好ましくは1g/リットル以下、より好ましくは500mg/リットル以下、さらに好ましくは100mg/リットル以下の着色剤が挙げられる。
そのような着色剤としてはC.I.ディスパース、C.I.ソルベント、及び顔料から選択される着色剤が挙げられる。これらの中では、顔料が好ましい。顔料としては、無機顔料、有機顔料、体質顔料等が挙げられる。
無機顔料としては、例えばカーボンブラック、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物、フェロシアン化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中で黒色の顔料としては、カーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックとしては、例えば、サーマルブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、ランプブラック、ガスブラック、及びチャンネルブラック等が挙げられる。これらの中ではアセチレンブラック、オイルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、ランプブラック、及びチャンネルブラックが好ましい。
カーボンブラックの具体例としては、例えば、コロンビア・カーボン社製のRaven シリーズ;キャボット社製のMonarch シリーズ、Regal シリーズ、Mogul シリーズ;デグサ社製のColor Black シリーズ、Printex シリーズ、 Special Black シリーズ;三菱化学株式会社製のMA シリーズ、MCF シリーズ等が挙げられる。
白色の顔料としては、金属酸化物を使用するのが好ましい。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニア等が挙げられ、酸化チタンが好ましい。酸化チタンの種類としては、ルチル型、アナターゼ型等が挙げられる。酸化チタンは粉体としてそのまま使用することができる。また、二酸化ケイ素、酸化アルミ、酸化ジルコニア、酸化亜鉛、又はヒドロキシ基を有する有機化合物等で、表面を処理することもできる。これらの中では表面処理した酸化チタンが好ましい。
酸化チタンの具体例としては、例えば、堺化学工業株式会社製のDUAWHITE シリーズ、TITONE シリーズ;石原産業株式会社製のタイペーク シリーズ;テイカ株式会社製のTITANIX シリーズ;チタン工業株式会社製のST シリーズ等が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、少なくとも1つのアゾ基を分子内に有するアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、及びキノフタロン顔料が挙げられる。これらの中では、C.I.ピグメントから選択される顔料が好ましい。
有機顔料の具体例としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、12、13、14、16、17、24、55、73、74、75、83、93、94、95、97、98、108、114、128、129、138、139、150、151、154、155、180、185、193、199、202;C.I.ピグメントレッド 5、7、12、48、48:1、57、88、112、122、123、146、149、150、166、168、177、178、179、184、185、202、206、207、254、255、257、260、264、272;C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、25、60、66、80;C.I.ピグメントバイオレット 19、23、29、37、38、50;C.I.ピグメントオレンジ 13、16、34、36、43、68、69、71、73;C.I.ピグメントグリーン 7、36、54;及び、C.I.ピグメントブラック 1、7等が挙げられる。
前記の体質顔料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、クレー、硫酸バリウム、及びホワイトカーボン等が挙げられる。
水不溶性の着色剤としては、前記のうちC.I.ピグメント及びカーボンブラックから選択される顔料が好ましく;C.I.ピグメントイエロー、C.I.ピグメントレッド、C.I.ピグメントブルー、C.I.ピグメントバイオレット、C.I.ピグメントオレンジ、及び、C.I.ピグメントグリーンから選択される顔料がより好ましい。
前記インクは、水不溶性の着色剤を1種類以上、含有することができる。2種類以上の着色剤を併用する目的としては、着色剤を粉体としたときの流動性の改善、及び色相の調整等が挙げられる。
インクの総質量に対する、着色剤の含有量は通常1%〜30%、好ましくは1%〜15%、より好ましくは2%〜10%である。
[プロピレングリコール]
前記インクは、プロピレングリコールを含有する。その含有量は、インクの総質量に対して通常5%<プロピレングリコール<15%、好ましくは6%≦プロピレングリコール≦14%、より好ましくは7%≦プロピレングリコール≦13%である。
[グリセリン]
前記インクは、グリセリンを含有する。その含有量は、インクの総質量に対して通常25%<グリセリン<35%、好ましくは26%≦グリセリン≦34%、より好ましくは27%≦グリセリン≦33%である。
[ジグリセリンの酸化アルキレン付加物]
前記インクは、ジグリセリンの酸化アルキレン付加物を含有する。その含有量は、インクの総質量に対して通常0%<ジグリセリンの酸化アルキレン付加物<4%、好ましくは0.1%≦ジグリセリンの酸化アルキレン付加物≦3%、より好ましくは0.3%≦ジグリセリンの酸化アルキレン付加物≦3%、さらに好ましくは0.5%≦ジグリセリンの酸化アルキレン付加物≦2.5%である。
ジグリセリンの酸化アルキレン付加物としては、前記式(1)で表される化合物が好ましい。なお、式(1)で表される化合物は、実質的に式(1)で表される化合物の混合物である。
式(1)中、ALにおけるC2−C4アルキレンとしては、直鎖、分岐鎖、及び環状アルキレンが挙げられる。これらの中では直鎖、又は分岐鎖アルキレンが好ましい。好ましい炭素数の範囲はC2−C3、より好ましくはC3である。
式(1)中、j、k、m及びnの総和は通常4〜100、好ましくは4〜90である。また、これらの化合物の重量平均分子量は通常300〜5000、好ましくは400〜4500、より好ましくは450〜3000、さらに好ましくは700〜2000、場合により好ましくは750〜1600、特に好ましくは750〜1200である。重量平均分子量はGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)で測定することができる。
その具体例としては、例えば、阪本薬品工業株式会社製のSC−P400(4/400)、SC−P750(9/750)、SC−P1000(14/1000)、SC−P1200(18/1200)、SC−P1600(24/1600);SC−E450(6/450)、SC−E750(13/750)、SC−E1000(20/1000)、SC−E1500(30/1500)、SC−E2000(40/2000)、SC−E3000(60/3000)、SC−E4500(90/4500);日油株式会社製のユニルーブ DGP−700(9/700)、DGP−700F等が挙げられる。
前記のうち「SC−P」及び「DGP」のシリーズは、式(1)におけるALが分岐鎖C3アルキレン、また、「SC−E」のシリーズは、ALが直鎖C2アルキレンの化合物である。また、各具体例の括弧書きは、(k+j+m+nの総和の平均値/重量平均分子量)を意味する。
インク中のプロピレングリコール、グリセリン、及びジグリセリンの酸化アルキレン付加物の含有量を前記の範囲とすることにより、前記の課題を解決できるインクを得ることができる。
[分散剤]
前記インクは、さらに分散剤を含有するのが好ましい。分散剤としては、公知の分散剤が挙げられる。その一例としては、スチレン及びその誘導体;ビニルナフタレン及びその誘導体;α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル;(メタ)アクリル酸及びその誘導体;マイレン酸及びその誘導体;イタコン酸及びその誘導体;ファール酸及びその誘導体;酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド、及びそれらの誘導体等よりなる群の単量体から選択される、少なくとも2つの単量体(好ましくは、このうち少なくとも1つが親水性の単量体)から構成される共重合体が挙げられる。
本明細書中、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸とメタアクリル酸の両方」を含む意味として用いる。「(メタ)アクリルアミド」等についても同様の意味として用いる。
共重合体の種類としては、例えば、ブロック共重合体、ランダム共重合体、及びグラフト共重合体、及び/又はそれらの塩等が挙げられる。
分散剤は合成することも、市販品として入手することもできる。市販品の具体例としては、例えば、いずれもジョンソンポリマー社製のジョンクリル 62、67、68、678、及び687等のスチレン−アクリル系樹脂;モビニール S−100A(ヘキスト合成社製の変性酢酸ビニル樹脂);ジュリマー AT−210(日本純薬株式会社製のポリアクリル酸エステル共重合体)等が挙げられる。
これらの中では、Aブロックを構成するモノマーがベンジルメタクリレート及びベンジルアクリレートから選択されるモノマーであり、Bブロックを構成するモノマーが前記式(2)で表される2種類以上のモノマーである、A−Bブロックポリマーが好ましい。
また、Aブロックを構成するモノマーがベンジルメタクリレートであり、Bブロックを構成するモノマーが、式(2)で表されるモノマーのうち、Rが水素原子、Rがメチル基で表されるモノマーと、RがC4アルキル基、Rがメチル基で表されるモノマーと、の2種類である、A−Bブロックポリマーがより好ましい。
そのようなA−Bブロックポリマーとしては、例えば、国際公開第2013/115071号ガゼットに開示された分散剤が挙げられる。
分散剤の重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが通常3000〜50000、好ましくは7000〜45000、より好ましくは10000〜40000、さらに好ましくは15000〜30000、特に好ましくは17000〜27000である。また、酸価としては通常50〜300KOHmg/g、好ましくは60〜250KOHmg/g、より好ましくは70〜200KOHmg/g、さらに好ましくは80〜150KOHmg/g、特に好ましくは100〜120KOHmg/g程度である。
前記の分散剤は、着色剤と混合した状態で使用することができる。また、着色剤の表面に分散剤を被覆させた状態として使用することもできる。また、これらの両方を併用することもできる。
分散剤を使用するとき、着色剤の総質量に対する分散剤の使用量の比は通常0.1〜1.0、好ましくは0.1〜0.6、より好ましくは0.2〜0.4である。分散剤の使用量の比がこの範囲にあるとき、安定性に優れる顔料分散液が得られる。
水不溶性の着色剤を使用するとき、その平均粒径は通常5nm〜300nm、好ましくは50nm〜200nm、より好ましくは60nm〜120nmである。平均粒径をこの範囲とすることにより、分散液の保存安定性、吐出性、及び印字濃度(反射濃度)を良好にすることができる。平均粒径は、レーザー光散乱を用いて測定できる。
前記インクは、着色剤と分散剤を含有する分散液を調製した後、他の成分と混合してインクとするのが好ましい。分散液は、公知の方法により調製することができる。
その一例としては、2−ブタノン等の有機溶剤に分散剤を溶解し、アニオン分散剤のときは中和剤の水溶液を加えて乳化液を調製する。得られた乳化液に着色剤を加えて分散処理を行い、液を得る。このようにして得られた液から有機溶剤と、一部の水を減圧留去することにより、着色剤を含有する分散液を得ることができる。
分散処理は、例えば、前記の分散剤の溶液若しくは乳化液と、着色剤とをサンドミル(ビーズミル)、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機、マイクロフルイダイザー等に入れて分散を行う。サンドミルを用いるときは、粒子径が0.01mm〜1mm程度のビーズを使用することができる。ビーズの充填率、分散時間、及び着色剤の含有量等を調整することにより、分散処理の効率を調整することができる。
前記のようにして得られた分散液は、ろ過及び/又は遠心分離をすることにより、含有する粒子の粒子径の大きさを、一定の範囲に揃えることができる。
前記インクは、前記以外の成分として、水溶性有機溶剤を、必要に応じて1種類以上、さらに含有することができる。そのような水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1−C4モノオール;エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−又は1,4−ブタンジール、1,3−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のC2−C6ジオール;ヘキサン−1,2,6−トリオール、トリメチロールプロパン等のC3−C6トリオール;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン、1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の含窒素ヘテロ環化合物;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の鎖状又は環状エーテル;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、チオジグリコール等の、ジ若しくはトリC2−C3アルキレングリコール又はチオグリコール;テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(好ましくは分子量400、800、1540等の分子量が2000以下のもの)、ポリプロピレングリコール等の、繰り返し単位が4以上で、分子量が約20000以下程度のポリC2−C3アルキレングリコール(好ましくは液状のもの);ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン等のポリグリセリルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の、多価アルコールのアルキルエーテル(好ましくはC1−C6アルキルエーテル);γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート等の環状エステル又はカーボネート;ジメチルスルホキシド;酢酸等が挙げられる。
前記インクが、これらの水溶性有機溶剤をさらに含有するとき、水溶性有機溶剤の総質量に対する、これらの水溶性有機溶剤の総含有量は通常0%〜55%、好ましくは0%〜40%、より好ましくは0%〜30%、さらに好ましくは0%〜20%、特に好ましくは0%〜10%程度である。このような総含有量の範囲のとき、インクの吐出性が良好な状態を維持することができる。
前記インクは、前記した以外の成分をインク調製剤として1種類以上、さらに含有することができる。インク調製剤としては、例えば、防腐・防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、酸化防止剤、界面活性剤等が挙げられる。
インクの総質量に対する、インク調製剤の総含有量は通常0%〜5%、好ましくは0.1%〜3%程度である。
防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリールスルホン系、ヨードプロパギル系、ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメート系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。
有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられる。ピリジンオキシド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられる。イソチアゾリン系化合物としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。
その他の防腐防黴剤としては、無水酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、アーチケミカル社製の商品名プロクセル GXL(S)、XL−2(S)等のプロクセル シリーズが挙げられる。
pH調整剤としては、調製されるインクに悪影響を及ぼさずに、インクのpHを5〜11の範囲に制御できるものであれば、任意の物質を使用することができる。例えば、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア等の無機塩基、脂肪族アミン化合物やアルカノールアミン化合物等の有機塩基等が挙げられる。
これらの中では有機塩基が好ましく、アルカノールアミン化合物がより好ましい。
アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
また、アルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム等が挙げられる。
無機塩基の中ではアルカリ金属の水酸化物、及び、アンモニアが好ましい。これらの中では水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及びアンモニアが好ましい。
脂肪族アミン化合物としては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン等のモノ、ジ、又はトリC1−C3アミン化合物が挙げられる。これらの中ではトリエチルアミンが好ましい。
アルカノールアミン化合物としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等のモノ、ジ、又はトリC1−C3アルカノールアミン化合物が挙げられる。これらの中では3級アミン類が好ましく、中でもトリエタノールアミンが好ましい。
他の例としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;ケイ酸ナトリウム、酢酸カリウム等の有機酸のアルカリ金属塩;リン酸二ナトリウム等のリン酸塩;等が挙げられる。
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
水溶性紫外線吸収剤としては、例えば、スルホ化したベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ−ル系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物、又はトリアジン系化合物が挙げられる。
水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン又はポリイミン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、複素環類等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えばアニオン、カチオン、ノニオン、両性、シリコーン系、フッ素系等の、公知の界面活性剤が挙げられる。これらの中ではノニオン界面活性剤が好ましい。
アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N−アシルアミノ酸又はその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型リン酸エステル、アルキル型リン酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としてはポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、日信化学株式会社製のサーフィノール 104、104PG50、82、420、440、465、485、オルフィン STG等のアセチレングリコール(アルコール)系、及びそれらのC2−C4アルキレンオキシ付加物;ポリグリコールエーテル系(例えばSIGMA−ALDRICH社製のTergitol 15−S−7)等が挙げられる。これらの中ではアセチレングリコール系が好ましく、サーフィノール シリーズがより好ましい。
両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。その一例としては、エアープロダクツ社製のダイノール 960、980;日信化学株式会社製のシルフェイス SAG001、SAG002、SAG003、SAG005、SAG503A、SAG008、SAG009、SAG010;及び、ビックケミー社製のBYK−345、347、348、349、3455等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸系化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物等が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、例えばDuPont社、オムノバ社、DIC株式会社、及びビックケミー社等から、様々な種類の製品を容易に購入することができる。
前記インクのpHは、保存安定性を向上させる目的で通常pH5〜11、好ましくはpH7〜10である。
インクの25℃における表面張力は通常10mN/m〜50mN/m、好ましくは20mN/m〜40mN/mである。
インクの28℃における粘度は通常4mPa・s〜20mPa・s、好ましくは6mPa・s〜15mPa・sである。商業印刷用のインクジェットインクとして使用するときは、8〜13mPa・sがさらに好ましく、10mPa・s〜12mPa・sが特に好ましい。
これらの物性値は、例えば、pH調整剤、水溶性有機溶剤、及び界面活性剤等で調整することができる。
前記インクは、各種の記録、及び印刷に使用することができる。例えば、筆記、印刷、情報記録、及び捺染等の用途に好適である。それらの中でもインクジェット記録、特に商業印刷用途のインクジェット記録に使用するのが好ましい。
前記インクジェット記録方法は、前記インクの液滴を記録信号に応じて吐出させ、基材に付着させることにより記録を行う方法である。インクジェット記録方式は特に制限されず、公知の各種の方式が使用できる。インクジェット記録方式としては、例えば、電荷制御方式、ドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式ともいう。)、音響インクジェット方式、サーマルインクジェット方式等が挙げられる。これらの中では、ドロップオンデマンド方式が好ましい。
前記基材は、前記インクにより着色される物質であれば特に制限されない。その一例としては、繊維;インク受容層を有する紙;及び、インク受容層を有さないインク難吸収性若しくはインク非吸収性の基材等が挙げられる。インク難吸収性の基材としては、例えば普通紙、グラビア印刷やオフセット印刷等に用いられるメディア、アート紙、コート紙、マット紙、キャスト紙等が挙げられる。また、インク非吸収性の基材としては塩化ビニルシート、高分子シート、ガラス、ゴム等が挙げられる。これらの中では繊維、インク受容層を有する紙、及びインク受容層を有さないインク難吸収性の基材が好ましい。
基材が繊維のときは、ポリエステル、セルロース、ポリアミド、及び天然繊維よりなる群から選択される繊維、及びこれらの繊維を含有する混紡繊維が挙げられる。これらの繊維は、インク受容層を有することができる。インク受容層は、公知の方法で繊維に設けることができる。また、インク受容層を有する繊維は、例えば、布帛等の形で市販されている。
ポリエステル繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維が挙げられる。
セルロース繊維としては、綿、レーヨン、トリアセテート、ジアセテート等の繊維が挙げられる。
ポリアミド繊維としては、ナイロン繊維等が挙げられる。
天然繊維としては、絹、羊毛等が挙げられる。
基材が繊維のときは、インクの液滴が付着した繊維に対して、ベーキング処理を行うことができる。ベーキング(サーモゾル)処理は、通常80〜250℃、好ましくは160〜180℃の温度で、通常10秒〜30分、好ましくは60〜180秒程度の処理をする。
前記インクジェット記録方法は、例えば、イエロー、レッド、ブルー、及びブラックの4色のインクセットを使用することにより、フルカラーの記録ができる。さらに、バイオレット、オレンジ、グリーン等の各色のインクを使用することにより、4色以上のインクセットとして使用し、より高精細な記録画像を得ることもできる。
前記した全ての事項について、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましく、より好ましいもの同士の組み合わせはさらに好ましい。好ましいものと、より好ましいものとの組み合わせ等についても同様である。
前記インクは、インクジェットプリンタから吐出された液滴が、テール及びサテライトを生じないインクである。また、商業印刷用インクジェットプリンタに好適な、高い粘度を有するインクである。
前記インクは、インクジェットヘッドへのインク充填が良好である。また、インクジェット記録のときに吐出曲がり、及び、かすれが無く、安定した吐出ができる。
前記インクは、長時間の連続記録、及び、間欠記録のいずれにおいても、プリントヘッドのノズルを詰まらせることが無い。
前記インクは、貯蔵時の保存安定性が良好であり、仮にインク中の水分等を失って、インクが乾燥して固形物を生じたときでも、インクの補充により、固形物の再分散性が極めて良好である。
前記インクにより、滲みがなく、高発色な記録画像が得られる。
前記インクにより、各種の堅牢性、例えば耐光性、耐水性等が優れる記録画像が得られる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。しかし、本発明は実施例によって限定されるものではない。
実施例中で使用した「水」は、イオン交換水である。
実施例において、分散液中の着色剤の含有量の測定が必要なときは、株式会社エイ・アンド・デイ社製、MS−70を用いて乾燥重量法により求めた。着色剤の含有量は、分散液が含有する固形分の総含有量からの換算値である。
[調製例1]:分散剤の合成。
国際公開2013/115071号の「[合成例3]ブロック共重合体Aの合成」に従い、Mwが24,300、PDIが1.49の分散剤138gを得た。得られた分散剤は、Aブロックを構成するモノマーがベンジルメタクリレートであり、Bブロックを構成するモノマーが、式(2)で表されるモノマーのうち、Rが水素原子、Rがメチル基で表されるモノマーと、RがC4アルキル基としてn−ブチル基、Rがメチル基で表されるモノマーと、の2種類である。
[調製例2]:着色剤を含有する分散液の調製。
調製例1で得た分散剤(6.3部)を、2−ブタノン(20部)に溶解して溶液を得た。この溶液に、0.47部の水酸化ナトリウムを水(51.45部)に溶解させた液を加え、1時間撹拌することにより乳化液を得た。得られた液にC.I.ピグメントイエロー 155(21部)を加え、水冷下、サンドグラインダーで1500rpmの条件で15時間分散処理をして液を得た。得られた液をイオン交換水で希釈し、分散用ビーズを濾別(アドバンテック社製ガラス濾紙(GA100が上、GC50が下となるように2枚重ねとした。)して濾液を得た。得られた濾液中の2−ブタノン、及び水の一部を、エバポレータで減圧留去することにより、着色剤の含有量が12%の分散液を得た。これを「分散液1」とする。
[調製例3〜9]着色剤を含有する分散液の調製。
前記の調製例2で使用した各成分を、下記表1に記載の成分と使用量に代える以外は調製例2と同様にして、調製例3〜9の分散液2〜8を、それぞれ得た。なお、各成分の数値は「部」であり、各分散液中の着色剤の総含有量が12%となるように、加える水の量を調整した。
下記表1中の略号等は、以下の意味を表す。
PY155=C.I.ピグメントイエロー 155。
PR122=C.I.ピグメントレッド 122(クラリアント社製、INKJET MAGENTA E−02)。
PR150=C.I.ピグメントレッド 150。
PB15:4=C.I.ピグメントブルー 15:4。
CB=カーボンブラック。
PB15:6=C.I.ピグメントブルー 15:6。
PO43=C.I.ピグメントオレンジ 43。
PG36=C.I.ピグメントグリーン 36。
Dp=前記の調製例1で調製した、分散剤。
MEK=2−ブタノン。
NaOH=水酸化ナトリウム。
DP No.=前記の調製例2〜9で調製した、分散液の番号。
DP1〜DP8=前記の調製例2〜9で調製した、分散液1〜分散液8。
Figure 2018172620
[実施例1〜21]:インクの調製。
下記表2〜4に記載の各成分を混合し、十分に攪拌した後、5μmのメンブランフィルタで濾過することにより、評価試験に用いる実施例1〜21のインクを得た。なお、各成分の数値は「部」であり、その合計が100部となるように、加える水の量を調整した。
[比較例1〜6]
下記表5に記載の各成分を用いる以外は実施例1〜21と同様にして、比較例1〜6の比較用インクを得た。
下記表2〜5中の略号等は、以下の意味を有する。
DP1〜DP8=前記の調製例2〜9で調製した、分散液1〜分散液8。
UX−320=ユーコート UX−320。
PG=プロピレングリコール。
GL=グリセリン。
DGA=ジグリセリンの酸化アルキレン付加物。SC−P1000を使用した。
TEA=90%トリエタノールアミン(残分は水)。
SF420=サーフィノール 420。
GXL=プロキセル GXL(S)。
Figure 2018172620
Figure 2018172620
Figure 2018172620
Figure 2018172620
[液滴の状態試験]
産業用インクジェットヘッド評価装置(拡張型塗布装置EV2500、リコー株式会社製)を用い、実施例及び比較例のインクの液滴を吐出した後、4マイクロ秒毎に液滴の写真を撮影した。液滴の吐出は、ヘッド内臓のヒーターを28℃に設定、ヘッド駆動電圧14.0V、周波数2kHzにて実施した。インクの液滴が1mm飛翔したときの液滴の状態を、撮影した写真で確認し、下記A〜Dの4段階の評価基準で評価した。試験結果を下記表6〜8に示す。
[評価基準]
A:インク液滴にテール、及びサテライトが認められない。
B:インク液滴にテール、又は、サテライトのいずれかが認められる。
C:インク液滴にテール、及び、サテライトの両方が認められる。
D:インク液滴が飛散した状態で、吐出されている。
[初期吐出試験]
前記の産業用インクジェットヘッド評価装置を用い、下記する基材にノズルチェックパターンをインクジェット記録した。記録は、ヘッド内臓ヒーターを28℃に設定、ヘッド駆動電圧14.0V、10kHzにて実施した。印刷物の記録画像を確認し、下記A〜Dの4段階の評価基準で評価した。
[基材]
Canon Photo Paper Pro Platinum PT−101、又は、EPSON 写真用紙<光沢>、型番:KA4100PSKRを任意に使用した。これらの基材に記録したノズルチェックパターンの状態に、差はなかった。
[評価基準]
A:記録画像に「かすれ」が全く認められない。
B:記録画像を詳細に観察すると、わずかに「かすれ」が認められる。
C:記録画像に「かすれ」が認められる。
D:記録画像が明らかに「かすれ」ている。
[間欠記録試験]
前記の[初期吐出試験]と同様にして、基材にノズルチェックパターンをインクジェット記録した後、記録を停止した。そのままの状態で産業用インクジェットヘッド評価装置を30分放置した後、基材に再びノズルチェックパターンをインクジェット記録し、その記録画像の状態を目視にて確認し、下記A〜Dの4段階の評価基準で評価した。
[評価基準]
A:記録画像に「かすれ」が全く認められない。
B:記録画像を詳細に観察すると、わずかに「かすれ」が認められる。
C:記録画像に「かすれ」が認められる。
D:記録画像が明らかに「かすれ」ている。
下記表6〜8中の略号等は、以下の意味を有する。
色=インクの色。
Y=イエローインク。
M=マゼンタインク。
C=シアンインク。
K=ブラックインク。
B=ブルーインク。
O=オレンジインク。
G=グリーンインク。
液滴=前記の[液滴の状態試験]。
PG=インクの総質量に対する、プロピレングリコールの含有量。
GL=インクの総質量に対する、グリセリンの含有量。
DGA=インクの総質量に対する、ジグリセリンの酸化アルキレン付加物の含有量。
Figure 2018172620
Figure 2018172620
Figure 2018172620
前記表6〜8の結果から明らかなように、実施例のインクは全ての評価がA又はBである。一方、比較例のインクは、いずれかの評価がC又はDとなり、実施例が優れることが確認された。
なお、比較例1及び3の初期吐出、及び、間欠記録は、前記の評価基準においては「A」であった。しかし、それらの記録画像は、インクが飛散することにより、白地となるべき部分にも着色が生じていた。すなわち、比較例1及び3のインクは、初期吐出、及び、間欠記録の両方において、正常なノズルチェックパターンをインクジェット記録できなかった。
本発明のインクは、テール及びサテライトを生じないインクであり、初期吐出と共に、間欠記録において、連続記録を再開したときであっても吐出性が良好であるため、インクジェットインクとして極めて有用である。

Claims (11)

  1. 水と、水不溶性の着色剤と、プロピレングリコールと、グリセリンと、ジグリセリンの酸化アルキレン付加物と、を含有するインクであって、インクの総質量に対して、
    プロピレングリコールの含有量が、5質量%<プロピレングリコール<15質量%であり、
    グリセリンの含有量が、25質量%<グリセリン<35質量%であり、
    ジグリセリンの酸化アルキレン付加物の含有量が、0質量%<ジグリセリンの酸化アルキレン付加物<4質量%である、インク。
  2. ジグリセリンの酸化アルキレン付加物が、下記式(1)で表される化合物である請求項1に記載のインク。
    Figure 2018172620
    [式(1)中、ALはそれぞれ独立にC2−C4アルキレンを表し、j、k、m、及びnは総和で4〜100の整数を表す。]。
  3. さらに分散剤を含有する請求項1に記載のインク。
  4. 分散剤がA−Bブロックポリマーであり、
    Aブロックを構成するモノマーがベンジルメタクリレート及びベンジルアクリレートから選択されるモノマーであり、
    Bブロックを構成するモノマーが下記式(2)で表される2種類以上のモノマーである、請求項3に記載のインク。
    Figure 2018172620
    [式(2)中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。]。
  5. Aブロックを構成するモノマーがベンジルメタクリレートであり、
    Bブロックを構成するモノマーが、式(2)で表されるモノマーのうち、
    が水素原子、Rがメチル基で表されるモノマーと、
    がC4アルキル基、Rがメチル基で表されるモノマーと、の2種類である請求項4に記載のインク。
  6. 水不溶性の着色剤が顔料である、請求項1に記載のインク。
  7. 顔料が、C.I.ピグメント及びカーボンブラックから選択される顔料である、請求項6に記載のインク。
  8. C.I.ピグメントから選択される顔料が、C.I.ピグメントイエロー、C.I.ピグメントレッド、C.I.ピグメントブルー、C.I.ピグメントバイオレット、C.I.ピグメントオレンジ、及び、C.I.ピグメントグリーンから選択される顔料である、請求項7に記載のインク。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクの液滴を、記録信号に応じて吐出させ、基材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクが付着した基材。
  11. 請求項9のインクジェット記録方法により、インクの液滴が付着した基材。
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