JP6893404B2 - 擦過性の向上方法 - Google Patents

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Description

本発明は、擦過性の向上方法に関する。
インクジェットインクが含有する着色剤は、水溶性の着色剤(例えば酸性染料、直接染料等)と、水に不溶性又は難溶性の着色剤(例えば分散染料、溶剤染料、及び顔料)の2つに大別できる。このうち、各種の堅牢性が優れることから、近年は水に不溶性又は難溶性の着色剤、特に顔料を含有するインク(顔料インク)が産業用途に主として使用されている。
インクジェット記録方法では、様々な記録メディアが用いられる。その1つとして、インク受容層を有する、インクジェット専用紙(光沢紙)等が挙げられる。その一方で、普通紙、及びインクの吸収能力が低い非・難吸収性の記録メディアが用いられることも多い。これらの記録メディアはインク受容層を有さない。このため、これらの記録メディアに水系インクで記録すると、記録画像の耐擦過性が弱くなることが大きな問題となっている。特に、水系の顔料インクで記録したときは、摩擦により容易にインクの転写、剥離等が生じることがある。
また、産業用途では、インクにより記録された画像が屋外で使用されることも多い。この記録画像の屋外使用において、晴天下と雨天下とで、記録画像の擦過性に大きな差が生じることがあり、これが問題となっている。すなわち、晴天下に対して、雨天下における記録画像の擦過性が大きく悪化することが認められ、これが問題となっている。
このため、晴天に相当する乾燥条件下と同様に、雨天に相当する湿潤条件下での擦過性を向上する方法が強く求められている。
特許文献1及び2には、界面活性剤及び浸透剤によって紙への浸透性を制御することにより、擦過性がよく、かつ高画質な画像が得られるとされるインクが開示されている。
特許文献3及び4には、インク中に樹脂を添加する事により、記録メディアとの密着性を付与し、耐摩擦性を向上させる手法が開示されている。
特許文献5にはポリマーを、また、特許文献6にはワックスを、それぞれ含有するインク組成物が開示されている。
国際公開第2008/105289号 特開2003−253167号公報 特開2013−166844号公報 特開2013−199605号公報 国際公開第2015/152291号 国際公開第2015/147192号
本発明は、各種の擦過性、特に湿潤擦過性の向上方法の提供を課題とする。
本発明者らは前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、着色剤としてキナクリドン顔料とアゾ顔料とを含有し、さらにポリマー、ワックス、及び水を含有するインクにより、前記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は、以下の1)〜6)に関する。
1)
着色剤としてキナクリドン顔料とアゾ顔料とを含有し、さらにポリマー、ワックス、及び水を含有するインクを用いる擦過性の向上方法。
但し前記ポリマーを構成するモノマーは、メタクリル酸誘導体、及びアクリル酸誘導体のそれぞれから少なくとも1種類ずつ選択されるモノマーを含有する。
2)
前記ワックスがポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス及びパラフィンワックスから選択される少なくとも1種類を含有する、前記1)に記載の擦過性の向上方法。
3)
前記キナクリドン顔料が、C.I.ピグメントレッド 122、202、及びC.I.ピグメントバイオレット 19から選択される顔料である前記1)に記載の擦過性の向上方法。
4)
前記ポリマーを構成するモノマーが、メタクリル酸誘導体から選択される3種類のモノマーと、アクリル酸誘導体から選択される1種類のモノマーである前記1)に記載の擦過性の向上方法。
5)
前記ポリマーを構成するモノマーが、2種類のアルキルメタクリレート、メタクリル酸、及びアルキルアクリレートである、前記1)又は4)に記載の擦過性の向上方法。
6)
前記アゾ顔料がC.I.ピグメントレッド 150である前記1)に記載の擦過性の向上方法。
本発明により、各種の擦過性、特に湿潤擦過性の向上方法が提供できた。
以下、本発明のインクについて詳細に説明する。
本明細書において、「C.I.」とは、カラーインデックスの略語である。
また、本明細書中、「%」及び「部」については、特に断りのない限り、実施例等も含めていずれも質量基準で記載する。
[キナクリドン顔料]
前記キナクリドン顔料としては、C.I.ピグメントレッド及びC.I.ピグメントバイオレットから選択されるキナクリドン顔料が挙げられる。そのようなキナクリドン顔料は、例えばオンラインで利用できるカラーインデックス インターナショナルの検索画面から、容易に検索することができる。それらの中では、C.I.ピグメントレッド 122、202及びC.I.ピグメントバイオレット 19から選択される顔料が好ましく、C.I.ピグメントレッド 122及びC.I.ピグメントバイオレット 19から選択される顔料がより好ましい。以下の本明細書において「C.I.ピグメントレッド」は「PR」、及び「C.I.ピグメントバイオレット」は「PV」という。
[アゾ顔料]
前記アゾ顔料としては、C.I.ピグメントレッドから選択されるアゾ顔料が挙げられる。そのようなアゾ顔料は、例えばオンラインで利用できるカラーインデックス インターナショナルの検索画面から、容易に検索することができる。それらの中では、PR150が好ましい。
前記インクが含有する着色剤の総含有量は通常0.5%〜10%、好ましくは0.5%〜8%、より好ましくは1%〜8%、さらに好ましくは2%〜7%である。含有量が0.5%以上で十分な記録画像の発色性が得られ、10%以下で吐出性が良好となる。
着色剤の総質量に対する、キナクリドン顔料とアゾ顔料の含有比は通常95/5〜5/95、好ましくは90/10〜10/90、より好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは70/30〜30/70である。このような比とすることにより、発色性と彩度のバランスが良好な記録画像が得られる。
[ポリマー]
前記ポリマーを構成するモノマーは、メタクリル酸誘導体及びアクリル酸誘導体のそれぞれから少なくとも1種類ずつ選択されるモノマーが好ましく;
メタクリル酸誘導体から選択される3種類のモノマーと、アクリル酸誘導体から選択される1種類のモノマーがより好ましく;
2種類のアルキルメタクリレート、メタクリル酸、及びアルキルアクリレートがさらに好ましい。
ポリマーを構成する2種類のアルキルメタクリレートは、直鎖アルキルメタクリレート、及び不飽和アルキルメタクリレートのそれぞれから選択されるモノマーが好ましい。
直鎖アルキルメタクリレートは、前記のうち直鎖C1−C3アルキルメタクリレートがより好ましく、メチルメタクリレートがさらに好ましい。
不飽和アルキルメタクリレートは、前記のうち不飽和C1−C4アルキルメタクリレートがより好ましく、アリルメタクリレートがさらに好ましい。
また、ポリマーを構成するアルキルアクリレートは、分岐鎖アルキルアクリレートが好ましく、分岐鎖C1−C8アルキルアクリレートがより好ましく、2−エチルヘキシルアクリレートがさらに好ましい。
ポリマーは、例えば国際公開2015/147192号ガゼットが開示する合成方法により得ることができる。また、第3ポリマーは、エマルジョンとして使用することもできる。
前記ポリマーの平均粒径は通常10nm〜1μm、好ましくは30nm〜500nmである。このような平均粒径のとき、インクジェットヘッドの詰りや、生じ難くなる。
ポリマーのガラス転移点(Tg)は通常−10℃〜20℃、好ましくは−5℃〜15℃である。
ポリマーの酸価は通常0〜25mgKOH/g、好ましくは5〜15mgKOH/gである。
ポリマーのテトラヒドロフランに対する不溶解度は通常80〜100%、好ましくは100%、すなわち不溶であることが好ましい。それにより、樹脂の平均分子量を制御し、遊離のモノマー等を含有しない樹脂を得ることができる。
インクの総質量に対する、ポリマーの含有量は通常0.1%〜10%、好ましくは0.2%〜8%、より好ましくは0.3%〜8%である。このような含有量のとき、擦過性、再分散性、及び吐出性が良好となる。
前記ポリマーのモノマー構成を「通常」、「好ましい」、「より好ましい」構成として、下記表1にまとめた。下記表1の各モノマーの範囲で、モノマーの総量が100部となるように調製することができる。下記表1中の略号は、以下の意味を有する。
MA:メタクリル酸。
ScMA:直鎖アルキルメタクリレート。
BcAA:分岐鎖アルキルアクリレート。
UsMA:不飽和アルキルメタクリレート。
Figure 0006893404
[ワックス]
前記インクが含有するワックスは、ワックスエマルションが好ましく、水系ワックスエマルションであることがより好ましい。ワックスとしては、天然ワックス及び化学合成ワックスを用いることができる。
天然ワックスとしては、石油系ワックスであるパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等、褐炭系ワックスであるモンタンワックス等、あるいは植物系ワックスであるカルナバワックス、キャンデリアワックス等、動植物系ワックスである蜜蝋、ラノリン等を水性媒体中に分散させたエマルジョン等が挙げられる。
ワックスエマルションとしては、前記のうち、好ましくはポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス及びパラフィンワックスから選択される少なくとも1種類のワックス、若しくはこれらの混合ワックスを水性媒体中に分散させたエマルジョンが挙げられる。
また、ワックスエマルションの粒径は、インクジェットヘッドの目詰まりを防止するために5μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。
ワックスエマルジョンとして市販されている製品としては、例えば、ビックケミー社製のCERAFLOUR 925、929、950、991、AQUACER 498、515、526、531、537、539、552、1547、AQUAMAT 208、263、272、MINERPOL221等;三井化学社製の三井ハイワックス NL100、NL200、NL500、4202E、1105A、2203A、NP550、NP055、NP505等;三洋化学社製のKUE−100、11等が挙げられる。
これらの中ではAQUACER 515、531、537、539、1547が好ましく;AQUACER515、531、537、1547がより好ましい。
前記インクの総質量に対するワックスの含有量は通常0.1%〜10%、好ましくは0.2%〜8%、より好ましくは0.3%〜8%である。このような含有量のとき、擦過性、再分散性、及び吐出性が良好になる。
前記インクが含有するポリマーとワックスの総質量中における、ポリマーとワックスとの含有比は通常95/5〜5/95、好ましくは90/10〜10/90、より好ましくは80/20〜20/80である。このような比とすることにより、再分散性、定着性のバランスが良好な記録画像が得られる。
前記インクは、マゼンタインクとして使用することができる。フルカラーの記録画像を得る目的で、例えばシアンインク、イエローインク、及びブラックインクを備えるインクセットとして使用することができる。このとき、シアン、イエロー及びブラックの各インクが含有する着色剤は、特に限定されるものではなく、公知の顔料を任意に使用できる。また、この4色のインクセット以外にも、より高精細な色相の記録画像を得る目的で、例えばバイオレット、オレンジ〜ブラウン、グリーン等の各インクを任意に加えた、4色以上のインクセットとすることもできる。
[分散剤]
前記インクは、分散剤を含有することができる。また、顔料の一部又は全てを分散剤で被覆することもできる。
分散剤としては、ノニオン分散剤、アニオン分散剤、及び高分子分散剤が挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。これらの中では、ノニオン分散剤、アニオン分散剤及び高分子分散剤よりなる群から選択される、少なくとも1種類が好ましい。
前記分散剤の使用量は、分散液を調製するときの固形分換算での質量比率として、顔料の総質量に対して通常1〜100%、好ましくは5〜90%、より好ましくは10〜80%である。このような使用量とすることにより、顔料を十分に微細化することができる。また、この分散液を含有するインクで記録された画像の滲みを抑制し、良好な耐水性、及び擦過性を得ることができる。
ノニオン分散剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、グリセリンエステルのポリオキシアルキレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシアルキレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシアルキレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド、アミンオキシド、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレン−β−ナフチルエーテル、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンジスチリルフェニルエーテル等が挙げられる。
アニオン性分散剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルアリール及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンジスチリルフェニルエーテル硫酸塩等が挙げられる。
高分子分散剤としては、スチレン及びその誘導体;ビニルナフタレン及びその誘導体;α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等;アクリル酸及びその誘導体;マレイン酸及びその誘導体;イタコン酸及びその誘導体;フマール酸及びその誘導体;酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリルアミド、及びその誘導体等よりなる群の単量体から選択される、少なくとも2つの単量体(好ましくは、このうち少なくとも1つが親水性の単量体)からなる共重合体、例えば、ブロック共重合体、ランダム共重合体及びグラフト共重合体、及び/又はそれらの塩等が挙げられる。
分散剤の重量平均分子量としては、おおよそ1,000〜60000、好ましくは2,000〜50,000、より好ましくは2,500〜50,000程度である。また、酸価はmgKOH/gとして、おおよそ10〜300、好ましくは10〜275、より好ましくは20〜250程度である。
市販品の具体例としては、例えば、いずれもBASF社製のジョンクリル 61J、67、68、450、55、555、586、678、680、682、683、690、及びB−36等が挙げられる。
着色剤を含有する水性分散液の調製方法としては、公知の全ての方法が使用できる。その一例としては、着色剤と分散剤を混合し、サンドミル(ビーズミルともいう)、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機、マイクロフルイダイザー等を用いて分散処理を行う公知の方法が挙げられる。これらの中ではサンドミル(ビーズミル)が好ましい。サンドミルを用いた分散液の調製は、0.01mm〜1mm径程度のビーズを使用し、ビーズの充填率を大きくすること等により、分散効率を高めた条件で分散液を調製することが好ましい。
分散液の調製後に、ろ過及び/又は遠心分離等により、ビーズ等を除去するのと共に、目的とする平均粒径からの乖離が大きい粒子成分を除去することも好ましく行われる。
分散液の調製中に泡立ちが生じるときは、公知のシリコーン系、アセチレングリコール系等の消泡剤を極微量加えることができる。
その他の方法としては、酸析法、転相乳化法、界面重合法、in−situ重合法、液中硬化被膜法、コアセルベーション(相分離)法、液中乾燥法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等が挙げられる。これらの中では転相乳化法、酸析法及び界面重合法が好ましい。
前記の分散剤を使用する代わりに、着色剤の表面に分散性付与基を化学的に導入した、表面処理顔料(自己分散顔料)を着色剤として用いることもできる。
分散液中における着色剤の平均粒径(D50)は通常300nm以下、好ましくは30〜280nm、より好ましくは40〜270nm、さらに好ましくは50〜250nmである。
また、同様にD90は通常300nm以下、好ましくは280nm以下、より好ましくは270nm以下である。下限は100nm以上が好ましい。
同様にD10は通常10nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは30nm以上、上限は100nm以下である。
前記の水としては、例えば、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水等のpH6.5〜7.5であり、かつ各種の金属イオン等の遊離イオン含有量が少ない水が好ましい。
前記インクは、前記以外の成分として水溶性有機溶剤、バインダー、水溶性高分子化合物、界面活性剤、防黴剤、防腐剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、酸化防止剤等のインク調製剤を、必要に応じて含有することができる。インク調製剤は1種類を使用することも、2種類以上を併用することもできる。
[水溶性有機溶剤]
前記インクが含有する水溶性有機溶剤としては、特に制限されないが、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール又は第三ブタノール等のC1−C6アルカノール;N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン又はN−メチルピロリジン−2−オン等のラクタム;1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン又は1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素類;アセトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン、エチレンカーボネート等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(好ましくは分子量400、800、1540又はそれ以上のもの)、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール又はジチオジグリコール等のC2−C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ又はポリアルキレングリコール又はチオグリコール;グリセリン、ジグリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール、トリメチロールプロパン等のC3−C9ポリオール(トリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル(好ましくはC3−C10のモノ、ジ若しくはトリエチレングリコールエーテル、及びC4−C13のモノ、ジ若しくはトリプロピレングリコールエーテルよりなる群から選択されるグリコールエーテル);1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等の、C5−C9アルカンジオール;γ−ブチロラクトン又はジメチルスルホキシド等;等が挙げられる。
前記インクの総質量に対する水溶性有機溶剤の総含有量は通常0%〜60%、好ましくは5%〜60%、より好ましくは10%〜50%である。
[バインダー]
バインダーとしては、例えば、ウレタン系、ポリエステル、アクリル系、酢酸ビニル系、塩化ビニル系、アクリルスチレン系、アクリルシリコーン系、スチレンブタジエン系の各樹脂又はそれを含有するエマルションが挙げられる。これらの中ではウレタン系、アクリル系、及びスチレンブタジエン系から選択される樹脂が好ましい。
市販品の具体例としては、例えば、スーパーフレックス126、130、150、170、210、420、470、820、830、890(第一工業製薬株式会社製のウレタン系樹脂エマルション);ハイドランHW−350、HW−178、HW−163、HW−171、AP−20、AP−30、WLS−201、WLS−210(DIC株式会社製のウレタン系樹脂エマルション);0569、0850Z、2108(JSR株式会社製のスチレン−ブタジエン系樹脂エマルション);AE980、AE981A、AE982、AE986B、AE104(株式会社イーテック製のアクリル系樹脂エマルション)等が挙げられる。
[水溶性高分子]
水溶性高分子化合物としては、アニオン性、及びノニオン性の高分子化合物が挙げられる。アニオン性高分子化合物としてはカルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸等のアクリル酸誘導体、及びポリスチレンスルホン酸塩等のポリスチレン誘導体が挙げられる。ノニオン性高分子化合物としてはポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びゼラチン等があげられる。
[界面活性剤]
界面活性剤としては、アニオン、カチオン、ノニオン、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤が挙げられる。これらの中では、アニオン界面活性剤、及びノニオン界面活性剤よりなる群から選択される、少なくとも1種類の界面活性剤が好ましい。
前記インクが界面活性剤を含有するとき、インクの総質量に対する界面活性剤の総含有量は通常0.1%〜3%、好ましくは0.2%〜2.5%である。0.1%以上で界面活性剤としての効果が得られ、3%以下で顔料の分散安定性が良好となる。
アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンジノニルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、N−アシルアミノ酸又はその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。市販品の具体例としては、例えば、ハイテノールLA−10、LA−12、LA−16、NE−05、NE−15、NF−13、NF−17、ネオハイテノールECL−30S、ECL−45(第一工業製薬株式会社製)、アデカコールEC−8600(株式会社アデカ製)、ぺレックスOT−P(花王株式会社製)等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系(例えば、日本触媒株式会社製のソフタノールEP−5035、7085、9050;株式会社アデカ製のプルロニックL−31、L−34、L−44等);ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール(アルコール)系;ポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテル;ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル;ポリオキシエチレントリベンジル化フェニルエーテル;日信化学株式会社製のサーフィノール104、104PG50、105PG50、82、420、440、465、485;オルフィンSTG;ポリグリコールエーテル系(例えばSIGMA−ALDRICH社製のTergItol15−S−7等)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。市販品の具体例としては、例えば、ビックケミー社製の、BYK−347(ポリエーテル変性シロキサン);BYK−345、BYK−348、BYK−349(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン);等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸系化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物等が挙げられる。市販品の具体例としては、例えば、ZonylTBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、CapstoneFS−30、FS−31(DuPont社製);PF−151N、PF−154N(オムノバ社製);等が挙げられる。
[防黴剤]
防黴剤の具体例としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。
[防腐剤]
防腐剤の例としては、例えば有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリールスルホン系、ヨードプロパギル系、ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系又は無機塩系等の化合物が挙げられる。
有機ハロゲン系化合物の具体例としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられる。
ピリジンオキシド系化合物の具体例としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられる。
イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。
その他の防腐防黴剤の具体例として、無水酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、アーチケミカル社製の商品名プロクセルGXL(S)、プロクセルLV、プロクセルXL−2(S)等が挙げられる。
[pH調整剤]
pH調整剤の具体例としては、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム(アンモニア水);炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;ケイ酸ナトリウム、酢酸カリウム等の有機酸のアルカリ金属塩;及び、リン酸二ナトリウム等のリン酸塩等が挙げられる。
[キレート試薬]
キレート試薬の具体例としては、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、及びウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
[防錆剤]
防錆剤の具体例としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、及びジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
[水溶性紫外線吸収剤]
水溶性紫外線吸収剤の例としては、例えばスルホ化したベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ−ル系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物、及びトリアジン系化合物が挙げられる。
[酸化防止剤]
酸化防止剤の例としては、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤の例としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、及び複素環類等が挙げられる。
[消泡剤]
消泡剤としては、例えば、シリコーン系、シリカ鉱物油系、オレフィン系、アセチレン系等が挙げられる。市販の消泡剤で入手可能なものとして、例えば、いずれも信越化学工業株式会社製のサーフィノールDF37、DF58、DF110D、DF220、MD−20、オルフィンSK−14が挙げられる。
消泡剤を使用するとき、その添加量は通常0.01〜5%、好ましくは0.03〜3%、より好ましくは0.05〜1%である。0.01%以上で消泡剤としての効果が得られ、5%以下で分散安定性が良好になる。
前記インクをインクジェット記録用のインクとして使用するときは、インク中における金属陽イオンの塩化物(例えば塩化ナトリウム)、硫酸塩(例えば硫酸ナトリウム)等の無機不純物の含有量の少ないものを用いるのが好ましい。その無機不純物の含有量の目安は、おおよそ着色剤の総質量に対して1%以下程度であり、下限は分析機器の検出限界以下、すなわち0%を含む。
無機不純物は、着色剤中に混在していることも多い。このため、必要に応じて無機不純物を除去することができる。その精製方法としては、例えば、着色剤の固体をメタノール等の(C1〜C4)アルコール及び水の混合溶媒等で懸濁精製する方法;又は、インクを調製した後に、イオン交換樹脂で無機不純物を交換吸着する方法等が挙げられる。
前記インクのpHは通常7〜11、8〜10が好ましい。
インクの表面張力は通常10〜50mN/m、20〜40mN/mが好ましい。
インクの粘度は通常2mPa・s〜30mPa・s、3mPa・s〜20mPa・sが好ましい。
前記インクのpH、及び表面張力は、pH調整剤、界面活性剤、水溶性有機溶剤等で適宜調整できる。
前記インクは、各種の記録において使用することができる。例えば、筆記具、水性印刷、情報記録、捺染等に好適であり、インクジェット記録に用いることが特に好ましい。
前記インクジェット記録方法は、前記インクの液滴を、記録信号に応じて吐出させて記録メディアに付着させることにより記録を行う方法である。インクジェットプリンタのインクノズル、及びインクジェット方式等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記インクジェット記録方法で記録を行うときは、前記インクを含有する容器をインクジェットプリンタの所定の位置に装填し、前記の記録方法で記録メディアに記録を行う。
インクジェット方式としては、公知の方式が使用できる。インクジェット方式の具体例としては、例えば、電荷制御方式、ドロップオンデマンド(圧力パルス)方式、音響インクジェット方式、サーマルインクジェット方式等が挙げられる。
また、インク中の着色剤の含有量が少ないインクを小さい体積で多数射出して画質を改良する方式;実質的に同じ色相で、インク中の着色剤の濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式;及び、無色透明のインクを用いることにより、着色剤の定着性を向上させる方式;等も含まれる。
前記の記録メディアは、前記インクが付着できる物質を意味する。記録メディアの一例としては、例えば、紙、フィルム等のシート状物質;繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等);皮革類;カラーフィルター用基材等が挙げられる。前記インクが付着した記録メディアは、本発明の範囲に含まれる。
記録メディアは、インク受容層を有するものと、有さないものとに大別することができる。
インク受容層は、公知の方法で記録メディアに付与することができる。また、既にインク受容層を有する記録メディアを購入することもできる。インク受容層を有する記録メディアの代表的なものとしては、通常インクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙等と呼ばれるシート状の記録メディアが挙げられる。その代表的な例としては、キヤノン株式会社製のプロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパー、光沢ゴールド及びマットフォトペーパー;セイコーエプソン株式会社製の写真用紙クリスピア(高光沢)、写真用紙(光沢)、フォトマット紙;日本ヒューレット・パッカード株式会社製のアドバンスフォト用紙(光沢);富士フィルム株式会社製の画彩写真仕上げPro等が挙げられる。
インク受容層を有さない記録メディアとしては、グラビア印刷、オフセット印刷等の用途に用いられるコート紙、アート紙等の各種の用紙;ラベル印刷用途に用いられるキャストコート紙等が挙げられる。
インク受容層を有さない記録メディアを用いるときは、着色剤の定着性等を向上させる目的で、記録メディアに対して表面改質処理を施すことも好ましく行われる。
前記の表面改質処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理及びフレーム処理から選択される、少なくとも1つの処理を施すことが好ましい。これらの処理としては、公知の方法を用いることができる。また、これらの処理の効果は経時的に減弱することが、一般に知られている。このため、情報伝達用シートに表面改質処理を施したときは、時間を置かずにインクジェット記録を連続して行うことが好ましい。
表面改質処理は、所望の効果が得られるように処理の回数、時間、及び、印可する電圧等を適宜調整して行うことができる。
本発明により各種の擦過性、特に、乾燥状態と同様に湿潤状態であっても擦過性に優れ、発色性が良好なインクが得られた。また、本発明のインクは、再分散性、耐マーカー性に優れ、彩度が良好である。
さらに、本発明のインクで記録された画像は、耐水性、耐光性、耐熱性、耐酸化ガス(例えば耐オゾンガス)性等の各種堅牢性に優れる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
なお、分散液中の顔料固形分の含有量は、株式会社エイ・アンド・デイ社製、MS−70を用いて乾燥重量法により求めた。分散溶液中の顔料平均粒径は、マイクロトラック・ベル社製、Nanotrac Wave−EX150を用いて求めた。
[調製例1]:分散剤の水溶液の調製。
ジョンクリル 678(20部)、及びトリエタノールアミン(11.4部)をイオン交換水(68.6部)に加え、一時間撹拌することにより分散剤の水溶液を得た。下記表2中の「ジョンクリル 678」は、この水溶液を意味する。
[調製例2]:分散液1〜4の調製。
下記表2に記載の各成分を混合し、サンドグラインダーで1500rpmの条件下、15時間分散処理を行って液を得た。得られた液にイオン交換水100部を滴下した後、この液から分散用ビーズを濾過分離することにより、分散液1〜4をそれぞれ得た。
なお、下記表2及び表3中、成分の量を示す数値はいずれも「部」であり、「−」を記載したものは、その成分を含まないことを意味する。また、「水」はイオン交換水を使用した。また、「オルフィンSK−14」は消泡剤である。この成分は、分散液の調製において、分散用ビーズを濾過分離するときに同時に除去され、分散液1〜4には含まれない。
また、表2中の略号等は、以下の意味を表す。
PR122:C.I.Pigment Red 122、BASF社製のCinquasia Magenta D4550J。
PV19:C.I.Pigment Violet 19、BASF社製のCinquasia Magenta E05B。
PR122+PR19:C.I.Pigment Red 122とC.I.Pigment Red 19の固溶体、クラリアント社製Inkjet Magenta E−02。
PR150:C.I.Pigment Red 150、冨士色素株式会社製FUJI FAST CARMINE 522−1D。
SK−14:オルフィンSK−14。
Figure 0006893404
[調製例3]ポリマー1の調製。
特許文献6の「[調製例4]ポリマーエマルション3の調製。」を追試することにより、酸価が6mgKOH/g、Tgが0℃、固形分が24.9%のポリマーエマルションを白色懸濁液として得た。これを「ポリマー1」とする。
[実施例1〜3]及び[比較例1〜4]:評価試験用のインクの調製。
下記表3に記載の各成分を混合した後、3μmのメンブランフィルターで濾過することにより、評価試験用の実施例1〜3、及び比較例1〜4のインクをそれぞれ得た。
下記表1中、ポリマー1及びワックスについての固形分換算値を以下に記載する。すなわち、実施例1〜3のインクは、いずれも固形分換算値としてポリマー1及びワックスを、それぞれ1部含有する。比較例1及び3のインクは、固形分換算値としてポリマー1を2部含有し、ワックスを含有しない。比較例2及び4のインクは、固形分換算値としてワックスを2部含有し、ポリマー1を含有しない。
下記表3中の略号等は、以下の意味を表す。
GLY:グリセリン。
DEG:ジエチレングリコール。
2−PY:2−ピロリドン。
SF465: サーフィノール465、日信化学工業社製アセチレン系界面活性剤。
GXL(s):プロキセルGXL(s)。
ワックス:AQUACER515、BYK社製のワックス(固形分含有量35.0%)。
Figure 0006893404
[インクジェット記録]
各実施例及び比較例で得たインクを、セイコーエプソン株式会社製インクジェットプリンタ、PX204のカートリッジに充填し、王子製紙株式会社製のコート紙、OKトップコートにインクジェット記録を行った。
インクジェット記録は100%Dutyのベタ画像となるように行い、各実施例又は比較例のインクにより記録された記録画像を得た。これを試験片として用い、下記の評価試験を行った。
なお、前記のようにして得た各試験片の測色は、X−rite社製の測色機、SpectroEyeを用いて行った。測色条件は、濃度基準にANSIA、視野角2°、光源D50である。
[乾燥擦過性試験]
各試験片の擦過性を、安田精機製作所製No.428学振形染色摩擦堅ろう度試験機を用いて評価した。すなわち、試験片に500gの荷重を掛けた状態で、インクジェット記録した部分を20回擦り合わせ、画像の劣化具合を下記4段階の評価基準で評価した。結果を下記表4に示す。
乾燥擦過性評価基準:
A:白紙面への色移り、及び/又は記録面の画像の傷がほとんど確認されない。
B:白紙面への色移り、及び/又は記録面の画像の傷が僅かに観察される。
C:白紙面への色移り、及び/又は記録面の画像の傷が明確に観察される。
D:白紙面への色移り、及び記録面の画像の傷が非常に大きい。
[湿潤擦過性試験]
各試験片の湿潤擦過性を、安田精機製作所製No.428学振形染色摩擦堅ろう度試験機を用いて評価した。評価基準は、500gの荷重を掛けた状態で、インクジェット記録した部分を水で湿潤させた布にて2回擦り合わせ、画像の劣化具合を下記評価基準で評価した。結果を下記表4に示す。
湿潤擦過性評価基準:
A:布への色移り、及び/又は記録面の画像の傷が僅かに観察される。
C:布への色移り、及び/又は記録面の画像の傷が明確に観察される。
[発色性試験1]
前記のようにして得た各試験片の反射濃度Dm値(OD値)を測色した。結果を下記表4に示す。
[発色性試験2]
前記のようにして得た湿潤擦過性試験後の各試験片の反射濃度Dm値(OD値)を測色し、下記4段階の評価基準で評価した。結果を下記表4に示す。
発色性評価基準:
A:OD値が1.4以上。
B:OD値が1.2以上、1.4未満。
C:OD値が1.0以上、1.2未満。
D:OD値が1.0未満。
Figure 0006893404
表4の結果から、ポリマーとワックスの両方を含有する実施例1〜3のインクは、いずれか一方のみを2倍量含有する比較例1〜4に対して、乾燥擦過性、湿潤擦過性、及び発色性において優れた効果を有することが確認された。
本発明の擦過性の向上方法は、各種の擦過性、特に乾燥状態と同様に湿潤状態における擦過性にも極めて優れ、発色性を良好とすることができる。このため、各種の記録画像の擦過性の向上方法として極めて有用である。

Claims (3)

  1. 着色剤としてキナクリドン顔料とC.I.ピグメントレッド 150とを含有し、さらにポリマー、ワックス、及び水を含有するインクを用いる擦過性の向上方法。
    但し前記ポリマーを構成するモノマーは2種類のアルキルメタクリレート、メタクリル酸、及びアルキルアクリレートであり、2種類のアルキルメタクリレートが直鎖アルキルメタクリレート、及び不飽和アルキルメタクリレートのそれぞれから選択され、アルキルアクリレートが分岐鎖アルキルアクリレートであるインク。
  2. 前記ワックスがポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス及びパラフィンワックスから選択される少なくとも1種類を含有する、請求項1に記載の擦過性の向上方法。
  3. 前記キナクリドン顔料が、C.I.ピグメントレッド 122、202、及びC.I.ピグメントバイオレット 19から選択される顔料である請求項1に記載の擦過性の向上方法。
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