JP2021155716A - インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗工ムラがなく、耐擦過性に優れた印刷物の提供を可能にするインク、そのインクを用いるインクジェット記録方法、及びそのインクが付着した記録メディアの提供。【解決手段】水不溶性の着色剤、分散剤、水、HLB値が7.9より大きく20.0以下である非イオン性界面活性剤、及び、重量平均分子量が4500〜500000の樹脂、を含有するインク。但し、上記非イオン性界面活性剤と、重量平均分子量4500〜500000の樹脂が、いずれもシロキサン化合物の場合、両者が同じ化合物となることはない。【選択図】なし

Description

本発明は、インク、そのインクを用いるインクジェット記録方法、及びそのインクが付着色した記録メディアの提供を課題とする。
各種のカラー記録方法の中でも代表的方法の1つであるインクジェットプリンタによる記録方法は、インクの小滴を発生させ、これを紙等の記録メディアに付着させ記録を行うものである。近年では産業用途としての需要が高まり、様々な記録メディアへの対応が求められている。
特にフィルムに代表されるインク非吸収性メディア(以下、「非吸収性メディア」ということがある。)に対しては、有機溶剤を主成分とした溶剤インクや、重合性モノマーを含有させたUVインク等の開発が進められてきた。しかしながら、これらのインクはVOCや皮膚感作性のような安全上の問題が多く、用途に限りがあった。
そこで現在、特許文献1、2にあるように、水を主成分としながらもポリマー微粒子等を添加することで、非吸収性メディアに対しても耐久性が高い画像の印刷が可能な水系インクの開発が盛んになってきている。
しかしながら、これらの提案で得られたインクを用いても、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)のような非吸収性メディアに対する耐擦過性は不十分であり、改善が求められている。
特許第5504890号公報 特許第6295825号公報
本発明は、塗工ムラと、耐擦過性のバランスに優れた印刷物の提供を可能にするインク、そのインクを用いるインクジェット記録方法、及びそのインクが付着した記録メディアの提供を課題とする。
本発明者らは、上記したような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記[1]〜[5]に記載のインク、記録メディア及び記録方法により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の[1]〜[5]に関する。
[1]
水不溶性の着色剤、分散剤、水、HLB値が7.9より大きく20.0以下である非イオン性界面活性剤、及び、重量平均分子量が4500〜500000の樹脂、を含有するインク。但し、上記非イオン性界面活性剤と、重量平均分子量4500〜500000の樹脂が、いずれもシロキサン化合物の場合、両者が同じ化合物となることはない。
[2]
さらにグリコールエーテル類を含有する[1]に記載のインク。
[3]
グリコールエーテル類がアルキレングリコールモノアルキルエーテルである、[2]に記載のインク。
[4]
[1]〜[3]のいずれか一項に記載のインクが付着した記録メディア。
[5]
[1]〜[3]のいずれか一項に記載のインクの液滴を、インクジェットプリンタから吐出させて記録メディアに付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
本発明により、塗工ムラと、耐擦過性のバランスに優れた印刷物の提供を可能にするインク、そのインクを用いるインクジェット記録方法、及びそのインクにより着色された記録メディアを提供できた。
[水不溶性の着色剤]
上記の着色剤は、水不溶性の着色剤であれば特に限定されない。例えば、公知の顔料、分散染料、及び溶剤染料等が使用できる。本明細書において水不溶性の着色剤とは、25℃の水1リットルに対する溶解度が通常5g以下、好ましくは3g以下、より好ましくは1g以下、さらに好ましくは0.5g以下の着色剤を意味する。溶解度の下限は0gを含む。
なお、特に断りのない限り「水不溶性の着色剤」を、以下「着色剤」という。
着色剤は併用することができる。上記インクが含有する着色剤の種類は通常3種類以上、黒インクのときは3〜5種類が好ましく、黒インク以外のカラーインクのときは通常3種類、好ましくは2種類、又は1種類である。但し、黒インクが着色剤としてカーボンブラックを含有するときは、着色剤の種類は2種類、又は1種類が好ましい。本明細書において、カラーインクとは黒インク以外の有色インク(例えばイエロー、マゼンタ、シアン、レッド、オレンジ、ブラウン、バイオレット、ブルー、グリーン等の各色のインク)を意味する。
また、顔料、分散染料、及び溶剤染料の中では顔料が好ましい。顔料としては、無機顔料、有機顔料、及び体質顔料等が挙げられる。
無機顔料としては、例えばカーボンブラック、酸化チタン、金属酸化物、水酸化物、硫化物、フェロシアン化物、及び金属塩化物等が挙げられる。
黒インクが含有する着色剤としてはサーマルブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、ランプブラック、ガスブラック、及びチャンネルブラック等のカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの具体例としては、例えば、コロンビア・カーボン社製のRavenシリーズ;キャボット社製のMonarchシリーズ、Regalシリーズ、及びMogulシリーズ;オリオンエンジニアドカーボンズ社製のColorBlackシリーズ、Printexシリーズ、SpecIalBlackシリーズ、及びNeroxシリーズ;三菱化学社製のMAシリーズ、MCFシリーズ、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、及びNo.2300等が挙げられる。
有機顔料として、例えばアゾ、ジアゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、ジオキサジン、ペリレン、ペリノン、チオインジゴ、アンソラキノン、及びキノフタロン等の各種の顔料が挙げられる。
有機顔料の具体例としては、例えばC.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、24、55、73、74、75、83、93、94、95、97、98、108、114、128、129、138、139、150、151、154、155、180、185、193、199、202、213等のイエロー;C.I.Pigment Red 5、7、12、48、48:1、57、88、112、122、123、146、149、150、166、168、177、178、179、184、185、202、206、207、254、255、257、260、264、272等のレッド;C.I.Pigment Blue 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、25、60、66、80等のブルー;C.I.Pigment Violet 19、23、29、37、38、50等のバイオレット;C.I.Pigment Orange 13、16、68、69、71、73等のオレンジ;C.I.Pigment Green7、36、54等のグリーン;C.I.Pigment Black 1等のブラックの各色の顔料が挙げられる。
体質顔料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、クレー、硫酸バリウム、及びホワイトカーボン等が挙げられる。体質顔料は、他の着色剤と併用されることが多い。
分散染料としては、公知の分散染料が挙げられる。それらの中ではC.I.Dispersから選択される染料が好ましい。その具体例としては、例えば、C.I.Dispers Yellow9、23、33、42、49、54、58、60、64、66、71、76、79、83、86、90、93、99、114、116、119、122、126、149、160、163、165、180、183、186、198、200、211、224、226、227、231、237等のイエロー;C.I.Dispers Red 60、73、88、91、92,111、127、131、143、145、146、152、153、154、167、179、191、192、206、221、258、283等のレッド;C.I.Dispers Orange 9、25、29、30、31、32、37、38、42、44、45、53、54、55、56、61、71、73、76、80、96、97等のオレンジ;C.I.Dispers Violet 25、27、28、54、57、60、73、77、79、79:1等のバイオレット;C.I.Dispers Blue 27、56、60、79:1、87、143、165、165:1、165:2、181、185、197、202、225、257、266、267、281、341、353、354、358、364、365、368等のブルーの各色の分散染料が挙げられる。
上記インクの総質量に対する着色剤の含有量は、通常1〜30%、好ましくは1〜10%、より好ましくは2〜7%である。
また、着色剤の平均粒径は通常50nm〜250nm、好ましくは60nm〜200nmである。本明細書において平均粒径とは、レーザ光散乱法を用いて測定した粒子の平均粒径を言う。
[分散剤]
上記の分散剤としては特に制限されず、公知の分散剤が使用できる。分散剤は、水不溶性の着色剤をインク中に分散する目的で使用する。分散剤としては、一般に樹脂等の高分子分散剤が用いられる。そのような樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース系誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマール酸、フマール酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルメタクリレート、スルホン化ビニルナフタレンのα,β−不飽和モノマー等のイオン性モノマー、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル、アクリルニトリル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、N−ブトキシメチルアクリルアミド等から誘導されたポリマー等が挙げられる。
上記の分散剤としては、国際公開2013/115071号ガゼットが開示するA−Bブロックポリマーと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。また、A−Bブロックポリマーの製造方法等についても同様である。
国際公開2013/115071号ガゼットが開示する分散剤(A−Bブロックポリマー)の1例としては、例えば、上記Aポリマーを構成するモノマーは(メタ)アクリル酸、及び、直鎖又は分岐鎖C4アルキル(メタ)アクリレートから選択される1種類以上のモノマーであり、Bポリマーを構成するモノマーは、ベンジルメタクリレート及び/又はベンジルアクリレートである。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」及び「(メタ)アクリレート」の文言は、それぞれ「アクリル、メタクリル」及び「アクリレート、メタクリレート」の両方を含む意味として用いる。
Aブロックを構成するモノマーはメタクリル酸、及びn−ブチルメタクリレートから選択される1種類以上のモノマーが好ましく、これら2種類のモノマーを併用するのが特に好ましい。
Bブロックを構成するモノマーはベンジルメタクリレートが好ましい。
その具体例としては、上記の国際公開ガゼットの合成例3〜8に開示されたブロック共重合体が挙げられる。
スチレン−(メタ)アクリル系の重合体としては、BASF社製のJoncrylシリーズが好ましい。
分散剤の酸価は通常90〜200mgKOH/g、好ましくは100〜150mgKOH/g、より好ましくは100〜120mgKOH/gである。
分散剤の質量平均分子量は通常10000〜60000、好ましくは10000〜40000、より好ましくは15000〜30000、さらに好ましくは20000〜25000である。
分散剤のPDI(質量平均分子量/数平均分子量)は1.29〜1.49程度である。
上記のような範囲とすることにより、分散性、及び保存安定性を良好にできる。
中和剤としては、例えば、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、脂肪族アミン化合物及びアルカノールアミン化合物等が挙げられる。アンモニア及びアルカリ金属の水酸化物が好ましく、アンモニアが特に好ましい。
中和剤の使用量は特に制限されない。その目安としては、分散剤の酸価の理論等量で中和したときを100%中和度として、通常30〜300%中和度、より好ましくは50〜200%中和度である。
上記の分散剤は、水不溶性の着色剤と混合した状態で使用することができる。また、水不溶性の着色剤の表面に分散剤を被覆させた状態として使用することもできる。また、これらの両方を併用することもできる。本明細書において「被覆」とは、水不溶性の着色剤の表面の全てを分散剤で覆った状態、及び、水不溶性の着色剤の表面の一部を分散剤で覆った状態の両方を意味する。
分散剤を使用するとき、水不溶性の着色剤の総質量に対する分散剤の総質量の比は通常0.1〜1.0、好ましくは0.1〜0.6、より好ましくは0.2〜0.5である。
[HLB値が7.9より大きく20.0以下である非イオン性界面活性剤]
上記のHLB値が7.9より大きく20.0以下である非イオン性界面活性剤としては、HLB値が7.9より大きく20.0以下の非イオン性界面活性剤であれば特に限定はなく、例えば、後述する「汎用の非イオン性界面活性剤」、「シリコン系の非イオン性界面活性剤」、「フッ素系の非イオン性界面活性剤」が挙げられる。非イオン性界面活性剤は、イオン性界面活性剤を比較して、イオン結合のような分子間相互作用が起こりにくく表面張力を下げやすい。そのためメディア上で濡れやすく、印刷物の塗工ムラが起こりにくい。
上記「汎用の非イオン性界面活性剤」としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のポリオキシアルキレンアシレート;ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール(アルコール)系;ポリグリコールエーテル系等が挙げられる。ノニオン界面活性剤は、例えば日信化学株式会社のサーフィノール 465等のサーフィノールシリーズ、オルフィンシリーズや、花王株式会社のエマルゲンシリーズ、日本乳化剤株式会社のニューコールシリーズ(例えばポリオキシエチレンアルキルエーテルであるニューコール NT−5、12)、第一工業製薬株式会社のノイゲンシリーズ(例えばポリオキシアルキレントリデシルエーテルであるノイゲン TDX−50、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルであるノイゲン EA197D等として、入手することができる。
上記「シリコン系の非イオン性界面活性剤」としては、例えば、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等のシロキサン化合物が挙げられる。その一例としては、エアープロダクツ社製のダイノール960、ダイノール980、日信化学株式会社製のシルフェイスSAG001、シルフェイスSAG002、シルフェイスSAG003、シルフェイスSAG005、シルフェイスSAG503A、シルフェイスSAG008、シルフェイスSAG009、シルフェイスSAG010、及びビックケミー社製のBYK−345、BYK−347、BYK−348、BYK−349、BYK−3455、BYK−LP−X23288、BYK−3451(別名:BYKLPX 23347)、BYK−3450(別名:BYKLPX 23289)等が挙げられ、入手することができる。
上記「フッ素系の非イオン性界面活性剤」としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸系化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物等が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、例えばケマーズ社、DuPont社、オムノバ社、DIC株式会社、及びビックケミー社等から、入手することができる。その具体例としては、例えばケマーズ社製のキャプストーン FS−30等が挙げられる。
上記の非イオン性界面活性剤のHLB値は、7.9より大きく20.0以下であり、好ましくは8.0〜18.0、より好ましくは9.0〜18.0である。本明細書においてHLB値は小数点以下2桁目を四捨五入して、小数点以下1桁目までを記載する。
また、実験により実測値として求めることもできる。その方法については、公知の方法が使用できる。その一例としては、例えば、国際公開2017/159685号ガゼットに記載されたグリフィン法による方法が挙げられる。HLB値は下記式(1)により算出することができる。なお、本明細書において記載した「HLB値」は、使用する化合物の構造が明確にわかる場合は、上述のグリフィン法を用いて算出したHLB値を意味する。

HLB値=20×(親水性部分の分子量の総和)÷(材料の分子量) 式(1)

また、HLB値が製造元、又は販売元のカタログ等に記載されているときは、その数値を使用することもできる。
上記のHLB値が小数点以下の桁を有さないときは、小数点以下1桁目を「ゼロ」と見なして小数点以下1桁目までを記載する。
[重量平均分子量が4500〜500000の樹脂]
一般的に水系のインクジェットインクに用いられている樹脂の役割は基材に対する密着性や印刷面に耐性を付与する目的で使用される。用いられる樹脂の構造としてアクリル系、スチレン−アクリル系、ウレタン系、オレフィン系、パラフィン系等多岐にわたるが、これらは共通して分子量が高い樹脂ほど形成される膜の強度は高くなる。膜の強度は樹脂のガラス転移点由来するものであり、分子量の増加に伴い樹脂のガラス転移点が高くなることに起因する。そのため、用いる樹脂の分子量が高いほど印刷面の強度は高くなる。重量平均分子量が4500〜500000の樹脂としては、日華化学社製のエバファール HA−15やDSM Coating Resin社製のNeoCryl A−655等が挙げられる。該樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5000〜400000、より好ましくは6500〜300000である。また、該樹脂の一例として、後述するシロキサン化合物も挙げられる。
[シロキサン化合物]
シロキサンはケイ素と酸素を骨格とする化合物で、Si−O−Si結合を持つものの総称として知られている。前記のシロキサン化合物はとしては塗膜表面のスリップ性を向上させる特性を発揮させるシロキサン構造を有する化合物が該当する。また、主鎖のシロキサン骨格が長いものが有効とされる理由としてインク表面の膜形成の影響が挙げられる。主鎖のシロキサン骨格が長くなると疎水性が高くなり、インキが乾燥した後の表面にシロキサン化合物が浮いて、ミクロな膜が形成される。このミクロな膜がいわゆる滑剤として作用するため、摩擦係数が低下しスリップ性が出ると考えられる。シロキサン骨格が短く、分子量が4500より低いシロキサン化合物はシロキサン結合の直線性が弱く、水素結合が生じやすいために疎水性能が弱い。そのためスリップ性が発揮されにくいと言われている。シロキサン化合物にはジメチルシロキサン、メチルシロキサン、シラノール等が挙げられるが、ジメチルシロキサンはその中でも疎水性が高く乾燥工程でインク表面にシリコン膜を形成しやすいため、よりスリップ性が発揮される。上記で説明したシリコン系界面活性剤は主鎖が短く、スリップ効果を発揮しないため、本シロキサン化合物との違いは重量平均分子量で説明される。そのようなシロキサン化合物としては、ビックケミー社製のBYK−3760、エボニック社製のTEGO Glide 490、東レダウ社製のDOWSIL IE−7170等が挙げられる。シロキサン化合物としては、重量平均分子量がこの範囲にある化合物が好ましい。上記インクが、そのような化合物を含有することにより、塗工ムラが少なく、耐擦過性も良好な印刷画像を得ることができる。
但し、上記非イオン性界面活性剤と、上記重量平均分子量4500〜500000の樹脂が、いずれもシロキサン化合物の場合、両者が同じ化合物となることはない。
[水]
上記インクは、水を含有する水性インクである。インクが含有する水としては、金属イオン等の不純物の含有量が少ない水、すなわち、イオン交換水、蒸留水等が好ましい。そのような水は、公知の方法により調製することができる。
上記インクは、さらに溶剤を含んでいても良い。溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール又は第三ブタノール、等の、ヒドロキシ基を1つ有するC1−C6アルカノール;N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン又はN−メチルピロリジン−2−オン等のラクタム;1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン又は1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素;アセトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン、エチレンカーボネート等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,2−へキシレングリコール、1,6−へキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、分子量が400以上のポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコール、チオジグリコール又はジチオジグリコール等の、C2−C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ又はポリアルキレングリコール又はチオグリコール;グリセリン、ジグリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール、トリメチロールプロパン等のポリオール(トリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジメチルグリコール、ジメチルジグリコール、ジメチルトリグリコール、メチルエチルジグリコール、ジエチルジグリコール、ジブチルジグリコール、ジメチルプロピレンジグリコール、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル等のグリコールエーテル;γ−ブチロラクトン又はジメチルスルホキシド;ヒドロキシ基とアシロキシ基を有するC8−C16(好ましくはC8−12)アルキル等が挙げられる。その具体例としては、例えばテキサノールが挙げられる。
これらの溶剤のなかでも、グリコールエーテル類から選択される溶剤、アミド類から選択される溶剤、アルカンジオール類から選択される溶剤を含むことが好ましい。その具体例としてはジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、メチルエチルジグリコール、ジエチルジグリコール、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、1,2−ヘキサンジオール、2−ピロリドン、1,2−プロピレングリコール等が挙げられる。上記インクは、これらのうち少なくともグリコールエーテル類を含有するのが好ましい。
上記グリコールエーテル類としては、例えば、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましく;ジC2−C3アルキレングリコールモノC1−C4アルキルエーテルがより好ましく;ジC2−C3アルキレングリコールモノC3−C4アルキルエーテルがさらに好ましい。その具体例としてはジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルジグリコール)、及びジプロピレングリコール−n−プロピルエーテルが挙げられる。
溶剤の添加量としては、インク総量中3%以上40%以下であることが好ましく、5%以上30%以下がより好ましい。
上記インクは、例えば、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、酸化防止剤、樹脂エマルション、ワックス剤等のインク調製剤を、必要に応じて含有することができる。上記インク調製剤の各種類は、いずれも1種類を使用することも、2種類以上を併用することもできる。
防腐剤の例としては、例えば有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリールスルホン系、ヨードプロパギル系、ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系又は無機塩系等の化合物が挙げられる。
防腐剤の市販品の具体例としては、アーチケミカル社製、商品名プロクセルGXL(S)やプロクセルXL−2(S)等が挙げられる。
防黴剤の具体例としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。
pH調整剤としては、調製されるインクに悪影響を及ぼさずに、そのpHを上記の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その具体例としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム(アンモニア水);あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;ケイ酸ナトリウム、酢酸カリウム等の有機酸のアルカリ金属塩;リン酸二ナトリウム等の無機塩基;等が挙げられる。
キレート試薬の具体例としては、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム又はウラシル二酢酸ナトリウム等があげられる。
防錆剤の具体例としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール又はジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等があげられる。
水溶性紫外線吸収剤の例としては、例えばスルホ化されたベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ−ル系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物又はトリアジン系化合物が挙げられる。
酸化防止剤の例としては、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。上記有機系の褪色防止剤の例としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類又は複素環類等が挙げられる。
上記樹脂エマルションは、単独あるいは複数の構成モノマーを重合させて得られる樹脂を上記溶剤等で分散したものを指し、該樹脂エマルションを構成するモノマーとしては、例えば、スチレン誘導体、メタクリル酸誘導体及びアクリル酸誘導体から選択されるモノマーが挙げられる。
樹脂エマルションの添加量としては、インク総量中0.5%以上15%以下であることが好ましく、1%以上10%以下がより好ましい。
上記ワックスは、その形態として、上記溶剤等で分散されたワックスエマルジョンが好ましく、水系ワックスエマルジョンであることが特に好ましい。ワックスエマルジョンとしては、天然ワックス及び化学合成ワックスを用いることができる。天然ワックスとしては、石油系ワックスであるパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等、褐炭系ワックスであるモンタンワックス等、あるいは植物系ワックスであるカルナバワックス、キャンデリアワックス等、動植物系ワックスである蜜蝋、ラノリン等を水性媒体中に分散させたエマルジョン;化学合成ワックスとしてはホモポリマーワックスであるポリエチレン、ポリプロピレン、フィッシャートロップ等、コポリマーワックスであるエチレン酢酸ビニル、エチレンアクリル酸等を水性媒体中に分散させたエマルジョン等が挙げられる。これらのワックスは単独で用いても良いし、組み合わせて用いてもよい。
ワックス剤の添加量としては、インク総量中0.5%以上15%以下であることが好ましく、1%以上10%以下がより好ましい。
また、必要に応じて、上記インクを精密濾過することも可能である。精密濾過をするときは、メンブランフィルター及び/又はガラス濾紙等を用いることができる。上記インクをインクジェット記録に用いるときは、精密濾過を行うことが好ましい。精密濾過を行うときのフィルター等の孔径は通常0.5μm〜20μm、好ましくは0.5μm〜10μmである。
上記インクのpHとしては、保存安定性を向上させる目的で、pH5〜11が好ましく、pH6〜10がより好ましい。また、インクの表面張力としては、10〜50mN/mが好ましく、20〜40mN/mがより好ましい。さらに、インクの粘度としては、30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下がより好ましい。
上記インクをインクジェット記録用のインクとして使用するとき、該インクが含有する金属陽イオンの塩化物(例えば塩化ナトリウム)、硫酸塩(例えば硫酸ナトリウム)等の無機不純物の含有量は、少ないものを用いるのが好ましい。無機不純物は、一般に、市販品として入手する着色剤が含有していることが多い。その無機不純物含有量の目安は、おおよそ着色剤の総質量に対して1質量%以下程度であり、下限は分析機器の検出限界以下、すなわち0%でよい。無機不純物の少ない着色剤を得る方法としては、例えば逆浸透膜を用いる方法;着色剤の固体をメタノール等のC1−C4アルコール及び水の混合溶媒中で懸濁撹拌し、着色体を濾過分離して、乾燥する方法;又は、イオン交換樹脂で無機不純物を交換吸着する方法;等の脱塩処理が挙げられる。
上記インクは、各種の記録・印刷分野において使用することができる。例えば、筆記用水性インク、水性印刷インク、情報記録インク、捺染等に好適である。特に、インクジェット記録に用いることが好ましく、後述するインクジェット記録方法において好適に使用される。
本発明のインクジェット記録方法は、上記インクの液滴を、インクジェットプリンタから吐出させて記録メディアに付着させることにより記録を行う方法である。記録の際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
上記インクジェット記録方法は、公知のいずれの方式であってもよい。例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式;ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式ともいう。);電気信号を音響ビームに変えインクに照射し、その放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式;インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット、すなわちバブルジェット(登録商標)方式;等が挙げられる。
なお、上記インクジェット記録方法には、フォトインクと称する、インク中の着色剤の含有量の低いインクを、小さい体積で多数射出する方式;実質的に同じ色相で、インク中の着色剤の含有量が異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式;及び、無色透明のインクと、着色剤を含有するインクとを併用することにより、記録メディアに対する着色剤の定着性を向上させる方式;等も含まれる。
また、例えば上記の記録方法等により、上記インクが付着した記録メディアも本発明の範囲に含まれる。記録メディアとしては特に制限はないが、難吸収性の記録メディアが好ましく、非吸収性の記録メディアが特に好ましい。難吸収性の記録メディアの例としては、インク受容層を有しない普通紙、グラビア印刷やオフセット印刷等に用いられるメディア、アート紙、コート紙、マット紙、キャスト紙等が挙げられる。また、非吸収性の記録メディアとしてはPET(ポリエチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)、塩化ビニルシート、ガラス、ゴム等が挙げられる。
上記インクジェット記録方法で記録メディアに記録するときは、例えば上記のインクを含有する容器をインクジェットプリンタの所定の位置にセットし、上記の記録方法で記録メディアに記録することができる。
上記インクジェット記録方法は、本発明のインク1種あるいは2種以上と、必要に応じて、グリーン、ブルー(又はバイオレット)及びレッド(又はオレンジ)等の各色のインクとを併用することもできる。
各色のインクは、それぞれの容器に注入され、その各容器を、上記インクを含有する容器と同様にインクジェットプリンタの所定の位置に装填してインクジェット記録に使用することができる。
産業用インクジェットプリンタは、印刷速度を高速にする目的で、ラインヘッド型のインクジェットプリンタの構成で、シングルパスでの印刷も好ましく行われる。上記インクにより、そのような印刷条件においても塗工ムと、耐擦過性のバランスに優れた印刷画像を得ることができる。
上記した全ての成分は、そのうちの1種類を単独で含有することができるし、2種類以上を併用することもできる。
また、上記した全ての事項等について、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましく、より好ましいもの同士の組み合わせはさらに好ましい。好ましいものとより好ましいものとの組み合わせ、及び、より好ましいものとさらに好ましいものとの組み合わせ等についても同様である。
本発明のインクを用いることで、インクジェット専用紙や汎用普通紙、難吸収性の記録メディアに限らず、非吸収性の記録メディアを使用しても、耐擦過性に優れ、はじきのない高画質な記録画像を得ることができる。また、メディア上でのインクドットの真円度が高く、平滑性があり、光沢感を損なわない画像が得られる。さらに、耐水性、耐光性、耐熱性、耐酸化ガス(例えば耐オゾンガス)性等の各種堅牢性に優れた記録画像を得ることができる。さらに、インクの保存安定性も良好で、長期にわたって安定な吐出性を担保することができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。なお本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。
また、各合成反応及び晶析等の操作は、特に断りのない限り、いずれも攪拌下に行った。
また、各種の液が含有する、着色剤の固形分の測定が必要なときは、株式会社エイ・アンド・デイ社製、MS−70を用いて、乾燥重量法により、着色剤のみの換算値として算出した。
[調製例1]:分散液の調製。
国際公開第2013/115071号の合成例3に記載のブロック共重合体を調製し、得られた高分子分散剤6部を、2−ブタノン30部に溶解させ、均一な溶液とした。この液に、0.68部の28%アンモニア水溶液を53部のイオン交換水に溶解させた液を加え、1時間攪拌することで高分子分散剤が溶解した乳化溶液を調製した。これにC.I.Pigment Blue 15:3(大日精化工業社製シアニンブルー A220J)20部を加え、1500rpmの条件下で15時間、サンドグラインダー中で分散処理を行った。得られた液にイオン交換水100部を滴下し、ろ過して分散用ビーズを取り除いた後、エバポレータで2−ブタノン及び水を減圧留去することにより、顔料固形分11.9%のシアン分散液を得た。得られた着色分散液を、「Dp1」とする。
[実施例1〜5、及び比較例1〜2]:インクの調製。
上記で得た分散液「Dp1」を、下記表1に記載の各成分と混合してインクを得た後、3μmのメンブランフィルターで濾過することにより、評価試験用の実施例1〜5、及び比較用の比較例1〜2の各インクを得た。インクの総質量中における着色剤の含有量は、いずれのインクも4%になるように調整した。
下記表1中の略号等は、以下の意味を有する。
Dp1:調製例1で得た着色分散液。
BDG:ブチルジグリコール。
DPGPE:ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル。
NT−3:ニューコール NT−3(HLB値7.9)。
NT−5:ニューコール NT−5(HLB値10.5)。
NT−12:ニューコール NT−12(HLB値12.1)。
NF−13:ハイテノール NF−13(アニオン界面活性剤、HLB値13〜15)。
BYK−3450:シリコン系界面活性剤(HLB値13.8)
BYK−3451:シリコン系界面活性剤(HLB値9.7)
BYK−3760:シロキサン化合物(Mw.6800)。
TG490:TEGO Glide 490、シロキサン化合物(Mw.31000)。
Figure 2021155716
[塗工ムラ評価]
上記実施例及び比較例のインクを、自動塗工機(テスター産業社製、PI−1210)にてバーコーターNo.3を使用し、PETシート(東洋紡社製、E5100)に全面塗工を行った。その後、70℃の恒温槽で2分間乾燥させることにより試験用印刷物を得た。
得られた試験用印刷物を目視で観察し、塗工ムラを以下の基準で評価した。結果を下記表2に示す。
D:塗工ムラが多く、均一になっていない。
C:塗工ムラが観察される。
B:やや塗工ムラがあるようにみられる。
A:塗工ムラがなく、均一になっている。
[耐擦過性試験]
得られた試験用印刷物を、250gの荷重をかけた株式会社安田精機製作所製の学振試験機でPETフィルム同士を10回擦過させることにより試験用印刷物を得た。得られた試験用印刷物を目視で観察し、擦過面の状態を以下の基準で評価した。結果を下記表2に示す。
D:擦過面が完全に剥がれ、インクが残らない。
C:擦過面の半分程度が剥がれる。
B:擦過面が削られ、少しインクが剥がれる。
A:擦過面が削られることなく、まったくインクが剥がれない。
結果を以下の表2に示す。
Figure 2021155716
[実施例6〜13、及び比較例3〜4]:インクの調製。
上記で得た分散液「Dp1」を、下記表3に記載の各成分と混合してインクを得た後、3μmのメンブランフィルターで濾過することにより、評価試験用の実施例6〜13、及び比較用の比較例3〜4の各インクを得た。インクの総質量中における着色剤の含有量は、いずれのインクも4%になるように調整した。
下記表3中の略号等は、以下の意味を有する。また、下記表3の成分のうち、括弧書きの数値はHLB値である。
Dp1:調製例1で得た着色分散液。
BDG:ブチルジグリコール。
DPGPE:ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル。
NT−5:ニューコール NT−5。
TDX−50:(ノイゲン TDX−50)。
EA197D:(ノイゲン EA197D)。
SAG503A:(シルフェイス SAG503A)。
SF465:サーフィノール 465。
FS−30:キャプストーン FS−30。
TG490:TEGO Glide 490、シロキサン化合物(Mw.31000)。
TG450:TEGO Glide 450、シロキサン化合物(Mw.4100)。
HA−15:エバファール HA−15(Mw.113000)。
A−655:NeoCryl A−655(Mw.83000)。
IE7170:DOWSIL IE−7170、シロキサン化合物(Mw.282799)。
Figure 2021155716
上記の実施例4〜9、及び比較例3〜4のインクを用い、上記と同様にして[塗工ムラ評価]及び[耐擦過性試験]を、それぞれ実施した。評価結果を下記表4に示す。
Figure 2021155716
上記の結果から明らかなように、実施例のインクは、いずれの評価結果も「A」又は「B」であるのに対して、比較例のインクはいずれかの評価結果が「C」以下となった。これらの結果から、実施例のインクは塗工ムラと耐擦過性のバランスが、比較例より優れることが確認できた。
[インクジェット印刷試験]
実施例及び比較例の各インクをそれぞれ使用し、セイコーエプソン社製インクジェットプリンタ、商品名 PX205により、記録メディアとしてPET E5100(東洋紡社製)に対してインクジェット記録を行った。その結果、いずれのインクも問題なくインクジェットプリンタから吐出され、記録メディアに対してインクジェット記録ができることを確認した。
本発明により、塗工ムラと、耐擦過性のバランスに優れた記録画像の提供を可能にするインク、及びそのインクが付着した記録メディアを提供できた。このため、本発明のインクは、各種の記録用インクとして極めて有用である。

Claims (5)

  1. 水不溶性の着色剤、分散剤、水、HLB値が7.9より大きく20.0以下である非イオン性界面活性剤、及び、重量平均分子量が4500〜500000の樹脂、を含有するインク。但し、上記非イオン性界面活性剤と、重量平均分子量4500〜500000の樹脂が、いずれもシロキサン化合物の場合、両者が同じ化合物となることはない。
  2. さらにグリコールエーテル類を含有する請求項1に記載のインク。
  3. グリコールエーテル類がアルキレングリコールモノアルキルエーテルである、請求項2に記載のインク。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクが付着した記録メディア。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクの液滴を、インクジェットプリンタから吐出させて記録メディアに付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
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