JP2018131524A - フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、フィルムとして用いるために必要な機械特性を備え、かつ、被着体に対する密着性と再剥離性に優れるフィルムを提供することを、その課題とする。【解決手段】 ベースラインからの高さが110μm以上1,000μm以下の凸部を1cm2あたり200個以上有し、かつ動摩擦係数が0.5以上3.0以下である面をX面としたときに、X面を少なくとも一つ有することを特徴とする、フィルム。【選択図】図1
Description
本発明は、布のような材料に対する密着性と剥離性に優れるフィルムに関する。
近年、フィルムとして用いるために必要な機械特性を備えた上で、さらに別の機能を有する単体のフィルムが要求されている。例えば、医療・衛生材料の分野では、フィルムとして用いるために必要な機械特性を備え、かつ凹凸形状、伸縮性、及び柔軟性を有する、布のような材料(以下、被着体ということがある。)に対する密着性と剥離性を兼ね備えるフィルムが望まれている。
これまでに被着体に対して密着性を有するフィルムとして、種々の開発がなされている。例えば、特許文献1には、特定の算術平均粗さの範囲の凹凸形状を有するホットメルト接着シートが開示されている。また、特許文献2には、エンボス加工による凹凸を有する粘着シートが開示されている。
しかしながら、特許文献1や2の技術では、いずれも被着体に対する密着性と剥離性の両立が困難であった。具体的には、密着性を強くすると、剥離が困難になることや、剥離時に被着体表面に粘着成分が残ることが問題となる。一方、密着性を弱くすると、使用時に被着体から剥がれることが問題となる。
本発明は係る従来技術の欠点を改良し、フィルムとして用いるために必要な機械特性を備え、かつ、被着体に対する密着性と剥離性に優れるフィルムを提供することを、その課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、下記の構成からなる。
(1) ベースラインからの高さが110μm以上1,000μm以下の凸部を1cm2あたり200個以上有し、かつ動摩擦係数が1.0以上5.0以下である面をX面としたときに、X面を少なくとも一つ有することを特徴とする、フィルム。
(2) KES法に従い測定される圧縮仕事量が0.02gf・cm/cm2以上0.5gf・cm/cm2以下であることを特徴とする、(1)に記載のフィルム。
(3) KES法に従い測定されるフィルムのせん断かたさが0.1gf/(cm・deg)以上2.5gf/(cm・deg)以下であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のフィルム。
(4) 前記凸部の平均長径が50μm以上500μm以下であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルム。
(5) 前記X面を有し、かつ層中の樹脂成分全体を100質量%としたときに非晶性熱可塑性エラストマーを40質量%以上100質量%以下含む層をA層としたときに、少なくとも1つのA層を有することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のフィルム。
(6) 前記非晶性熱可塑性エラストマーが、スチレン−エチレン・ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体から選ばれる少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする、(5)に記載のフィルム。
(7) 前記A層よりも非晶性熱可塑性エラストマーの含有量が低い層をB層としたときに、B層を有し、B層が前記X面の反対側で前記A層と接することを特徴とする、(5)又は(6)に記載のフィルム。
(8) 前記B層が、層中の樹脂成分全体を100質量%としたときに結晶性熱可塑性エラストマーを80質量%以上100質量%以下含むことを特徴とする、(7)に記載のフィルム。
(1) ベースラインからの高さが110μm以上1,000μm以下の凸部を1cm2あたり200個以上有し、かつ動摩擦係数が1.0以上5.0以下である面をX面としたときに、X面を少なくとも一つ有することを特徴とする、フィルム。
(2) KES法に従い測定される圧縮仕事量が0.02gf・cm/cm2以上0.5gf・cm/cm2以下であることを特徴とする、(1)に記載のフィルム。
(3) KES法に従い測定されるフィルムのせん断かたさが0.1gf/(cm・deg)以上2.5gf/(cm・deg)以下であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のフィルム。
(4) 前記凸部の平均長径が50μm以上500μm以下であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルム。
(5) 前記X面を有し、かつ層中の樹脂成分全体を100質量%としたときに非晶性熱可塑性エラストマーを40質量%以上100質量%以下含む層をA層としたときに、少なくとも1つのA層を有することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のフィルム。
(6) 前記非晶性熱可塑性エラストマーが、スチレン−エチレン・ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体から選ばれる少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする、(5)に記載のフィルム。
(7) 前記A層よりも非晶性熱可塑性エラストマーの含有量が低い層をB層としたときに、B層を有し、B層が前記X面の反対側で前記A層と接することを特徴とする、(5)又は(6)に記載のフィルム。
(8) 前記B層が、層中の樹脂成分全体を100質量%としたときに結晶性熱可塑性エラストマーを80質量%以上100質量%以下含むことを特徴とする、(7)に記載のフィルム。
本発明により、フィルムとして用いるために必要な機械特性を備え、かつ、被着体に対する密着性と剥離性に優れるフィルムを提供することができる。
本発明のフィルムは、ベースラインからの高さが110μm以上1,000μm以下の凸部を1cm2あたり200個以上有し、かつ動摩擦係数が1.0以上5.0以下である面をX面としたときに、X面を少なくとも一つ有することを特徴とする。このような態様とすることにより、フィルムは、必要な機械特性を備え、かつ被着体に対する密着性と剥離性に優れたものとなる。以下に、本発明を実施するための望ましい形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下、ベースラインからの高さについて、凸部の高さということがある。
(X面)
本発明のフィルムは、機械特性を維持したまま、被着体に対する密着性と剥離性を向上させる観点から、ベースラインからの高さが110μm以上1,000μm以下の凸部を1cm2あたり200個以上有し、かつ動摩擦係数が1.0以上5.0以下である面をX面としたときに、X面を少なくとも一つ有することが重要である。
本発明のフィルムは、機械特性を維持したまま、被着体に対する密着性と剥離性を向上させる観点から、ベースラインからの高さが110μm以上1,000μm以下の凸部を1cm2あたり200個以上有し、かつ動摩擦係数が1.0以上5.0以下である面をX面としたときに、X面を少なくとも一つ有することが重要である。
本発明のフィルムが、ベースラインからの高さが110μm以上1,000μm以下の凸部を1cm2あたり200個以上有することにより、本発明のフィルムを、このような凸部を有する面が被着体と接するように被着体に密着させた場合、被着体の凹凸を凸部が埋めることとなる。そのため、平坦なフィルムに比べて被着体に対する密着性が高くなる。
以下、ベースラインと凸部の高さについて、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施態様に係るフィルムを示す拡大上面図(A)、及びAにおけるI−I’断面矢視図(B)を示す。ベースラインとは、フィルム1を水平な台上に置いて、フィルム表面(台と反対側の面)全体について水平面に対して垂直な方向の位置データを取得したときに、その分布が最も多い垂直方向の位置とする。例えば、図1Bにおいては、符号2で示す線がベースラインとなる。なお、フィルム表面を含めてベースラインに相当する位置が複数存在する場合は、フィルム表面をベースラインとし、フィルム表面を含まずにベースラインに相当する位置が複数存在する場合は、フィルム表面に最も近い線をベースラインとする。
凸部の高さとは、ベースラインと凸部の頂部との、フィルム面に垂直な方向(以下、厚み方向ということがある。)の位置の差をいう(図1Bにおいては符号3に相当)。凸部の高さは、ウルトラミクロトーム等を用いて厚み方向と平行にフィルムを切削して得られた断面をマイクロスコープ等で撮影し、得られた画像を用いてマイクロスコープ等の測長機能等により測定することができる。
本発明のフィルムにおける凸部の高さは、被着体との密着性の観点から、200μm以上800μm以下であることが好ましく、300μm以上600μm以下であることがより好ましい。
本発明のフィルムにおける凸部の個数は、被着体との密着性の観点から、好ましくは1cm2あたり500個以上であり、より好ましくは1cm2あたり2,000個以上である。凸部の個数の上限値は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、被着体に対する密着性の観点から、1cm2あたり10,000個あれば十分である。凸部の個数は、1cm(長手方向)×1cm(幅方向)のサンプル片をルーペ等で拡大し、その凸部の個数を数えることにより測定することができる。
フィルム表面に、ベースラインからの高さが110μm以上1,000μm以下の凸部を1cm2あたり200個以上形成する方法は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、工程の簡便さの観点からエンボス加工を用いることが好ましい。以下に、一例としてエンボス加工について説明する。
本発明のフィルムを製造する際に使用するエンボス加工としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、例えば、雄エンボスロールとゴムロールなどの弾性ロールとを組み合わせる方法や、1対の雄エンボスロールと雌エンボスロールとを組み合わせる方法がある。また、エンボスロールの模様(パターン)は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、円形、正方形、並行四辺形、ハート柄、星柄、四角錐台柄、円錐台柄、縦線柄、及び横線柄などが使用できる。
本発明のフィルムは、凸部の平均長径が50μm以上500μm以下であることが好ましく、100μm以上300μm以下であることがより好ましく、100μm以上200μm以下であることがさらに好ましい。凸部の平均長径が50μm未満である場合や500μmを超える場合は、被着体との密着性が低下することがある。なお、凸部の平均長径は以下の方法で測定することができる。
まず、フィルムの凸部を有する面を走査型電子顕微鏡で観察し、1個の凸部を完全に囲みかつ面積が最も小さくなるように正方形又は長方形を描いて、正方形の場合は1辺の長さ、長方形の場合は長辺の長さを該凸部の長径とする。1つの観察画像において任意の10個の凸部について測定を行い、同様の測定を観察位置の異なる10枚の観察画像において行うことで得られた凸部の長径の平均値を求め、これをフィルムの凸部の平均長径とする。
本発明フィルムは、凸部を有する面の動摩擦係数が1.0以上5.0以下であることにより、この面を被着体と接するように貼り付けた際の被着体との密着性及び被着体に対する剥離性が向上する。ここで動摩擦係数とは、JIS K 7125:1999に準じて測定される動摩擦係数をいう。また、相手材料としては“ハイゼ”(登録商標)ガーゼ NT−4(旭化成株式会社製)を用いる。
凸部を有する面の動摩擦係数が1.0未満であると、被着体に対する密着性が低下することがある。また、凸部を有する面の動摩擦係数が5.0を超えると、被着体に対する剥離性が低下することがある。凸部を有する面の動摩擦係数は、被着体に対する密着性と被着体に対する剥離性を両立する観点から、好ましくは1.5以上4.5以下であり、より好ましくは2.0以上4.0以下である。
凸部を有する面の動摩擦係数を1.0以上5.0以下又は上記の好ましい範囲とする方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、後述する非晶性熱可塑性エラストマーの含有量を調整する方法、凸部の高さを調整する方法等が挙げられる。
より具体的には、フィルム中の非晶性熱可塑性エラストマーの含有量自体を上げることにより、フィルムのヤング率が低下してフィルム及びその凸形状が変形し易くなるため、凸部を有する面の動摩擦係数を高くすることができる。なお、フィルムが後述するA層とB層とを有する積層構成を有する場合においては、上記「フィルム中の非晶性熱可塑性エラストマーの含有量」は「A層中の非晶性熱可塑性エラストマーの含有量」と解釈するものとする。さらに、凸部の高さを高くすることにより、被着体の凹凸との接触面積が大きくなるため動摩擦係数を高くすることができる。
本発明のフィルムにおいては、ベースラインからの高さが110μm以上1,000μm以下の凸部を1cm2あたり200個以上有し、かつ動摩擦係数が1.0以上5.0以下である面をX面とする。本発明のフィルムにおけるX面は、上記要件を満たすのであれば、凸部の高さは均一であっても不均一であってもよい。また、本発明の効果を損なわない限り、凹部やベースラインからの高さが上記範囲を外れる凸部を有していてもよい。さらに、本発明のフィルムはX面を少なくとも一つ有するのであれば、本発明の効果を損なわない限り他方の面については特に制限されない。
(圧縮仕事量)
本発明のフィルムは、被着体にX面を接触させたときに、被着体の凹凸をX面の凸部が埋めることにより被着体との密着性が発現する。よって、被着体と接触させたときに凸部の形状を保持していることが好ましい。X面の凸部の形状保持性についてはフィルムを圧縮したときの仕事量(圧縮仕事量)を尺度として表現することができる。
本発明のフィルムは、被着体にX面を接触させたときに、被着体の凹凸をX面の凸部が埋めることにより被着体との密着性が発現する。よって、被着体と接触させたときに凸部の形状を保持していることが好ましい。X面の凸部の形状保持性についてはフィルムを圧縮したときの仕事量(圧縮仕事量)を尺度として表現することができる。
圧縮仕事量は、KES法に従い測定することができる。KES法とは、Kawabata Evaluation System法のことであり、以下、同方法の表記はKES法とする。具体的には、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気下でフィルムを面積2cm2の円形平面を持つ鋼板間で圧縮速度20μm/sec、圧縮最大荷重10gf/cm2の条件で圧縮して、KES法により測定することができる。以後、KES法に従い測定した圧縮仕事量のことを、単に圧縮仕事量と記す。
本発明のフィルムは、被着体に対する密着性の観点から、圧縮仕事量が0.02gf・cm/cm2以上0.5gf・cm/cm2以下であることが好ましい。圧縮仕事量が0.02gf・cm/cm2未満であれば、X面の凸部の形状保持性が不足して被着体との密着性が低下することがある。また、圧縮仕事量が0.5gf・cm/cm2を超えると、被着体とX面の凸部とが十分に密着せず、被着体との密着性が低下することがある。圧縮仕事量は、上記観点から、0.02gf・cm/cm2以上0.4gf・cm/cm2以下であることがより好ましく、0.02gf・cm/cm2以上0.3gf・cm/cm2以下であることがさらに好ましい。
本発明のフィルムの圧縮仕事量を0.02gf・cm/cm2以上0.5gf・cm/cm2以下又は上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、後述する結晶性熱可塑性エラストマーの含有量を調整する方法、凸部の高さを調整する方法等が挙げられる。
より具体的には、フィルム中の結晶性熱可塑性エラストマーの含有量自体を下げることにより、エンボス加工等を行った際に、変形後の形状がより固定化されて凸部の形状保持性が向上するため、圧縮仕事量を高くすることができる。なお、フィルムが後述するA層とB層とを有する積層構成を有する場合においては、上記「フィルム中の結晶性熱可塑性エラストマーの含有量」は「B層中の結晶性熱可塑性エラストマーの含有量」と解釈するものとする。また、凸部の高さを高くすることにより、圧力をかけたときの変形度合いが大きくなるため、圧縮仕事量を高くすることができる。
(せん断かたさ(G))
本発明のフィルムは、被着体のような柔軟性、伸縮性を有する材料に対する密着性の観点から、KES法に従い測定されるせん断かたさ(G)が0.1gf/(cm・deg)以上2.5gf/(cm・deg)以下であることが好ましい。
本発明のフィルムは、被着体のような柔軟性、伸縮性を有する材料に対する密着性の観点から、KES法に従い測定されるせん断かたさ(G)が0.1gf/(cm・deg)以上2.5gf/(cm・deg)以下であることが好ましい。
KES法に従い測定されるせん断かたさ(G)とは、KES法に従い測定される長手方向及び幅方向のせん断応力より算出するせん断かたさ(G)をいう。より具体的には、せん断変形が−2.5°、−0.5°、0.5°、及び2.5°である点における、長手方向及び幅方向のせん断応力をKES法により測定し(以下、各点におけるせん断応力をそれぞれHG−2.5、HG−0.5、HG0.5、HG2.5ということがある)、長手方向及び幅方向について、式G1を用いて正方向のせん断かたさ(G(+))を、式G2を用いて負方向のせん断かたさ(G(−))を算出し、長手方向及び幅方向のG(+)及びG(−)を平均して得られるせん断かたさ(G)をいう。なお、せん断応力の測定時の条件は、23℃、相対湿度65%の雰囲気下、強制荷重10gf、せん断ずり速度0.417mm/sec、及び試料のせん断変形範囲−8°〜8°である。なお、以後、KES法に従い測定されるせん断かたさ(G)のことを、単にせん断かたさ(G)と記すことがある。
式G1:G(+)=(HG2.5−HG0.5)/(2.5°−0.5°)
式G2:G(−)=(HG−2.5−HG−0.5)/(−2.5°−(−0.5°))
ここで、長手方向とは、フィルムを製造する際にフィルムが進行する方向をいい、幅方向とは、長手方向と直交する方向をいう。なお、フィルムがロールに巻き取られたものである場合は、長手方向や幅方向を容易に特定することができるが、ロールに巻かれていないシート状のフィルムの場合は、長手方向や幅方向を容易に特定することができない。このような場合においては、後述の方法により任意に選択した一方向についてフィルムのヤング率を測定した後に、フィルムを右に5°回転させて同様の測定を行い、これを180°に達するまで繰り返して最もヤング率の値が大きい方向を長手方向として扱うものとする。以下、本発明において同様とする。
式G1:G(+)=(HG2.5−HG0.5)/(2.5°−0.5°)
式G2:G(−)=(HG−2.5−HG−0.5)/(−2.5°−(−0.5°))
ここで、長手方向とは、フィルムを製造する際にフィルムが進行する方向をいい、幅方向とは、長手方向と直交する方向をいう。なお、フィルムがロールに巻き取られたものである場合は、長手方向や幅方向を容易に特定することができるが、ロールに巻かれていないシート状のフィルムの場合は、長手方向や幅方向を容易に特定することができない。このような場合においては、後述の方法により任意に選択した一方向についてフィルムのヤング率を測定した後に、フィルムを右に5°回転させて同様の測定を行い、これを180°に達するまで繰り返して最もヤング率の値が大きい方向を長手方向として扱うものとする。以下、本発明において同様とする。
被着体との密着性との観点から、せん断かたさ(G)は、0.5gf/(cm・deg)以上2.5gf/(cm・deg)以下であることがより好ましく、1.0gf/(cm・deg)以上2.5gf/(cm・deg)以下であることがさらに好ましい。
本発明のフィルムにおいて、せん断かたさ(G)を0.1gf/(cm・deg)以上2.5gf/(cm・deg)以下、又は上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、後述する熱可塑性エラストマーの含有量を調整する方法、凸部の高さを調整する方法などが挙げられる。
より具体的には、フィルム中の熱可塑性エラストマーの含有量自体を上げることにより、フィルムのヤング率が低下してフィルム及びその凸形状が変形し易くなるため、フィルムのせん断かたさを低くすることができる。さらに、凸部の高さを高くすることにより、空間自由度が上がってフィルム及びその凸形状が変形し易くなるため、フィルムのせん断かたさを低くすることができる。
(層構成)
本発明のフィルムは、X面を少なくとも一つ有する限り、その層構成については特に制限されない。但し、動摩擦係数、圧縮仕事量、及びせん断かたさを容易に好ましい範囲とする観点から、X面を有し、かつ層中の樹脂成分全体を100質量%としたときに非晶性熱可塑性エラストマーを40質量%以上100質量%以下含む層をA層としたときに、少なくとも1つのA層を有することが好ましい。ここで、非晶性熱可塑性エラストマーとは、100℃の熱風オーブン中で24時間加熱させた後に、25℃から昇温速度20℃/分で250℃まで昇温した際に、結晶融解ピークが観測されない熱可塑性エラストマーを指す。
本発明のフィルムは、X面を少なくとも一つ有する限り、その層構成については特に制限されない。但し、動摩擦係数、圧縮仕事量、及びせん断かたさを容易に好ましい範囲とする観点から、X面を有し、かつ層中の樹脂成分全体を100質量%としたときに非晶性熱可塑性エラストマーを40質量%以上100質量%以下含む層をA層としたときに、少なくとも1つのA層を有することが好ましい。ここで、非晶性熱可塑性エラストマーとは、100℃の熱風オーブン中で24時間加熱させた後に、25℃から昇温速度20℃/分で250℃まで昇温した際に、結晶融解ピークが観測されない熱可塑性エラストマーを指す。
このような態様の具体例としては、A層のみからなり、両面又は片面がX面である単層フィルムや、両側又は片側の最外層がA層であり、少なくとも片方の最表面がX面である積層フィルムが挙げられる。なお、A層を複数有する場合におけるA層の組成は、本発明の効果を損なわない限り同一でも異なっていてもよい。
A層における非晶性熱可塑性エラストマーの含有量は、動摩擦係数やせん断変形性を容易に所望の範囲とする観点から、層中の樹脂全体を100質量%としたときに50質量%を超え90質量%以下であることが好ましく、50質量%を超え80質量%以下であることがより好ましく、50質量%を超え75質量%以下であることがさらに好ましい。このとき、層中の非晶性熱可塑性エラストマーが複数種である場合においては、その含有量は全ての熱可塑性エラストマーを合算して算出するものとする。
A層における非晶性熱可塑性エラストマーとしては、上記観点から、例えば、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、及びポリアクリル系エラストマーなどを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、上記観点からは、非晶性熱可塑性エラストマーが、ポリスチレン系エラストマーであることがより好ましく、スチレン−エチレン・ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体から選ばれる少なくとも一種の樹脂であることがさらに好ましく、スチレン−エチレン・ブタジエン−スチレンブロック共重合体であることが特に好ましい。
本発明のフィルムにおけるA層は、その効果を損なわない限り充填剤を含んでもよい。充填剤とは、諸性質を改善するために加えられる物質、あるいは増量、増容、又は製品のコスト低減などを目的として添加する不活性物質をいう。
充填剤の種類は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、無機の充填剤及び/又は有機の充填剤を使用することができる。また、充填剤は1種類であっても複数種類を混合したものであってもよい。但し、動摩擦係数の観点から、充填剤は無機充填剤であることが好ましく、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの金属硫酸塩、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物、酸化ケイ素(シリカ)、アルミノシリケート、マイカ、タルク、カオリン、クレー、及びモンモリロナイト等の複合酸化物のうち少なくとも1種類を用いることが好ましく、汎用性やコストの観点から炭酸カルシウムを単独で又は他の充填剤と組み合わせて用いることがより好ましい。
A層における充填剤の含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、動摩擦係数を容易に所望の範囲とする観点から、A層中の樹脂全体を100質量部としたときに、5質量部以上200質量部以下であることが好ましく、15質量部以上70質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上50質量部以下であることがさらに好ましい。なお、X面を有する層中の充填剤が複数種である場合においては、充填剤の含有量は全ての充填剤を合算して算出するものとする。
本発明のフィルムは、エンボス加工性を向上させる観点から、A層よりも非晶性熱可塑性エラストマーの含有量が低い層をB層としたときに、B層を有し、B層がX面の反対側でA層と接することが好ましい。ここで、「A層よりも非晶性熱可塑性エラストマーの含有量が低い層」とは、層中の樹脂成分全体100質量%に対する該層中の非晶性熱可塑性エラストマー含有量(質量%)が、A層中の樹脂成分全体100質量%に対するA層中の非晶性熱可塑性エラストマー含有量(質量%)よりも低い層をいう。また、「B層がX面の反対側でA層と接する」とは、A層の片面がX面であり、A層におけるX面の反対側の面とB層が直接接している状態をいう。
エンボス加工は加熱したエンボスロールによりフィルムを熱変形させる加工である。そして、B層はA層よりも非晶性熱可塑性エラストマーの含有量が低いため、A層よりも加熱時の形状が安定である。そのため、このような態様とすることにより、エンボス加工時にフィルムが過度に変形するのを抑制することができる。
本発明のフィルムにおけるB層の組成は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、B層が、層中の樹脂成分全体を100質量%としたときに結晶性熱可塑性エラストマーを50質量%以上100質量%以下含むことが好ましく、75質量%以上100質量%以下含むことがより好ましい。ここで、結晶性熱可塑性エラストマーとは、100℃の熱風オーブン中で24時間加熱させた後に、25℃から昇温速度20℃/分で250℃まで昇温した際に、結晶融解ピークが観測される熱可塑性エラストマーを指す。このような態様とすることにより、熱によるB層の変形が軽減されるため、エンボス加工時においてフィルムの形状がより安定する。
B層における結晶性熱可塑性エラストマーは、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、及びポリアミド系エラストマーなどを単独で又は組み合わせて用いることができる。中でも、エンボス加工性の観点から、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーを単独で又は組み合わせて用いることが好ましい。
本発明のフィルムに用いることができるポリエステル系エラストマーとしては、例えば、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルとのブロック共重合体、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体等が挙げられるが、透湿性の付与の観点から、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体を用いることが好ましい。また、本発明のフィルムに用いることができるポリアミド系エラストマーとしては、例えば、脂肪族ポリアミドと脂肪族ポリエステルとのブロック共重合体、脂肪族ポリアミドと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体等が挙げられるが、透湿性の付与の観点から、脂肪族ポリアミドと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体を用いることが好ましい。
(フィルムの製造方法)
次に、単層フィルムを例に本発明のフィルムの製造方法についてより具体的に説明するが、本発明のフィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。
次に、単層フィルムを例に本発明のフィルムの製造方法についてより具体的に説明するが、本発明のフィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。
本発明のフィルムを得るために用いる組成物、すなわち、熱可塑性エラストマー、充填剤などを含有する組成物を得るにあたっては、各成分を溶融混練する溶融混練法を用いることが好ましい。溶融混練法に用いる混合機は、特に制限されず、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、及び単軸又は二軸押出機などの公知の混合機を用いることができる。中でも生産性の観点から、単軸又は二軸押出機の使用が好ましい。
次に、上記した方法により得られた組成物を用いて、インフレーション法、チューブラー法、及びTダイキャスト法などの公知の製膜方法により、無配向フィルムを製造する。得られた無配向フィルムは、ロール式延伸機一軸延伸又は二軸延伸を施してもよい。但し、せん断かたさや圧縮仕事量を前述の好ましい範囲とし、エンボス加工性を付与するためには、延伸を施さないことが好ましい。
フィルムを製膜した後に、印刷性、ラミネート適性、コーティング適性などを向上させる目的で各種の表面処理を施しても良い。表面処理の方法としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理などが挙げられる。いずれの方法をも用いることができるが、連続処理が可能であり、既存の製膜設備への装置設置が容易な点や処理の簡便さから、コロナ放電処理が好ましい。
こうして得られたフィルムを、2つのエンボスロールの間を通してエンボス加工を施し、本発明のフィルムを得る。このとき、ロール温度は20〜150℃が好ましく、ニップ圧力(線圧)は20〜100kg/cmが好ましく、ロール回転速度は0.5〜30m/minが好ましい。なお、エンボスロールの組み合わせは、例えば、雄エンボスロールとゴムロールなどの弾性ロールとの組み合わせや、1対の雄エンボスロールと雌エンボスロールとの組み合わせを用いることができる。
(その他用途など)
本発明のフィルムは、フィルムとして用いるために必要な機械特性、布のように表面に凹凸を有する被着体にする密着性や剥離性、追従性に優れるフィルムであり、例えば、衛生材用フィルムとして好適に用いることができる。さらに、本発明のフィルムは、不織布との積層体としてもよい。
本発明のフィルムは、フィルムとして用いるために必要な機械特性、布のように表面に凹凸を有する被着体にする密着性や剥離性、追従性に優れるフィルムであり、例えば、衛生材用フィルムとして好適に用いることができる。さらに、本発明のフィルムは、不織布との積層体としてもよい。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
[測定及び評価方法]
実施例中に示す測定や評価は次に示すような条件で行った。
実施例中に示す測定や評価は次に示すような条件で行った。
(1)フィルムの厚み
得られたフィルムのセンター部からサンプル片を切り出し、ウルトラミクロトームを用いて該サンプル片の長手方向−厚み方向断面(以下、フィルム断面ということがある。)を観察面とするように−100℃で超薄切片を採取した。走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ社製 S−3400N)を用いて倍率1,000倍でフィルム断面の写真を撮影し、顕微鏡の測長機能を用いてフィルムの厚みを測定した。測定は、観察箇所を変えて10回行い、得られた値の平均値をフィルムの厚み(μm)とした。なお、フィルムの厚みは、小数第1位を四捨五入して得られた値とした。ここで、厚み方向とはフィルム面に垂直な方向をいう。
得られたフィルムのセンター部からサンプル片を切り出し、ウルトラミクロトームを用いて該サンプル片の長手方向−厚み方向断面(以下、フィルム断面ということがある。)を観察面とするように−100℃で超薄切片を採取した。走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ社製 S−3400N)を用いて倍率1,000倍でフィルム断面の写真を撮影し、顕微鏡の測長機能を用いてフィルムの厚みを測定した。測定は、観察箇所を変えて10回行い、得られた値の平均値をフィルムの厚み(μm)とした。なお、フィルムの厚みは、小数第1位を四捨五入して得られた値とした。ここで、厚み方向とはフィルム面に垂直な方向をいう。
(2)凸部を有する面の動摩擦係数
試験装置(新東化学株式会社製、“HEIDON”)を用いて、JIS K 7125:1999に準じて、凸部を有する面の摩擦係数の測定を行った。相手材料としては“ハイゼ”(登録商標)ガーゼ NT−4(旭化成株式会社製)を用いた。長手方向、幅方向ともに測定をそれぞれ3回(合計6回)行い、その全てのデータの平均値をその凸部を有する面の動摩擦係数とした。
試験装置(新東化学株式会社製、“HEIDON”)を用いて、JIS K 7125:1999に準じて、凸部を有する面の摩擦係数の測定を行った。相手材料としては“ハイゼ”(登録商標)ガーゼ NT−4(旭化成株式会社製)を用いた。長手方向、幅方向ともに測定をそれぞれ3回(合計6回)行い、その全てのデータの平均値をその凸部を有する面の動摩擦係数とした。
(3)フィルム凸部の高さ及び個数
フィルムのセンター部からサンプル片を切り出し、ウルトラミクロトームにより−100℃で長手方向と平行かつフィルム面に対して垂直に切削し(図2における4−4’)、断面出しを行った。マイクロスコープを用いて水平方向から、凸部の高さが確認できる倍率(例えば5倍)で観察し、その画像を撮影した。続いて観察位置を水平方向にずらしながら画像撮影を繰り返して、2cm長に渡る連続した領域についての断面画像を採取した。得られた断面画像において凸部の高さを測定し、ベースラインからの深さが110μm以上1,000μm以下の凸部を抽出した。続いてフィルムの幅方向から面内で時計回りに15°回転させた方向(図2における5−5’)に沿ってフィルム面に対して垂直に切削し断面出しを行い、同様に凸部の抽出を行った。以後、図2に記載のように15°ずつフィルム面内の切削角度をずらしていき(図2における6−6’→10−10’)、面内切削角度異なる断面を得るとともに、その都度凸部の抽出を行った。なお、断面出しは合計で7回行った。このようにして得られた各断面から凸部の高さについて平均値を求め、凸部の高さとした。続いてフィルムの幅方向のセンター部から1cm(長手方向)×1cm(幅方向)のサンプル片を切り出し、面積1cm2の試料とし、その凸部の個数をルーペ(拡大倍率:10倍)にて測定した。
フィルムのセンター部からサンプル片を切り出し、ウルトラミクロトームにより−100℃で長手方向と平行かつフィルム面に対して垂直に切削し(図2における4−4’)、断面出しを行った。マイクロスコープを用いて水平方向から、凸部の高さが確認できる倍率(例えば5倍)で観察し、その画像を撮影した。続いて観察位置を水平方向にずらしながら画像撮影を繰り返して、2cm長に渡る連続した領域についての断面画像を採取した。得られた断面画像において凸部の高さを測定し、ベースラインからの深さが110μm以上1,000μm以下の凸部を抽出した。続いてフィルムの幅方向から面内で時計回りに15°回転させた方向(図2における5−5’)に沿ってフィルム面に対して垂直に切削し断面出しを行い、同様に凸部の抽出を行った。以後、図2に記載のように15°ずつフィルム面内の切削角度をずらしていき(図2における6−6’→10−10’)、面内切削角度異なる断面を得るとともに、その都度凸部の抽出を行った。なお、断面出しは合計で7回行った。このようにして得られた各断面から凸部の高さについて平均値を求め、凸部の高さとした。続いてフィルムの幅方向のセンター部から1cm(長手方向)×1cm(幅方向)のサンプル片を切り出し、面積1cm2の試料とし、その凸部の個数をルーペ(拡大倍率:10倍)にて測定した。
(4)X面の決定
「(2)凸部を有する面の動摩擦係数」、「(3)フィルム凸部の高さ及び個数」の評価結果より、ベースラインからの高さが110μm以上1,000μm以下の凸部を1cm2あたり200個以上有し、かつ動摩擦係数が1.0以上5.0以下である面をX面とした。
「(2)凸部を有する面の動摩擦係数」、「(3)フィルム凸部の高さ及び個数」の評価結果より、ベースラインからの高さが110μm以上1,000μm以下の凸部を1cm2あたり200個以上有し、かつ動摩擦係数が1.0以上5.0以下である面をX面とした。
(5)フィルムの圧縮仕事量
フィルムを12cm(長手方向)×12cm(幅方向)の大きさに切り取り試料とし、試験台に取り付けた。次いで、カトーテック社製の自動化圧縮試験装置KES−FB3−Aを用いて、取り付けた試料を面積2cm2の円形平面を持つ鋼板間で圧縮速度20μm/sec、圧縮最大荷重10gf/cm2、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気の条件で圧縮し、フィルムの圧縮仕事量(gf・cm/cm2)を測定した。フィルムの巻内面、巻外面の両面ともに測定をそれぞれ3回(合計6回)行い、その全てのデータの平均値の小数第3位を四捨五入した値をそのフィルムの圧縮仕事量とした。
フィルムを12cm(長手方向)×12cm(幅方向)の大きさに切り取り試料とし、試験台に取り付けた。次いで、カトーテック社製の自動化圧縮試験装置KES−FB3−Aを用いて、取り付けた試料を面積2cm2の円形平面を持つ鋼板間で圧縮速度20μm/sec、圧縮最大荷重10gf/cm2、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気の条件で圧縮し、フィルムの圧縮仕事量(gf・cm/cm2)を測定した。フィルムの巻内面、巻外面の両面ともに測定をそれぞれ3回(合計6回)行い、その全てのデータの平均値の小数第3位を四捨五入した値をそのフィルムの圧縮仕事量とした。
(6)フィルムのせん断かたさ(G)
フィルムを12cm(長手方向)×12cm(幅方向)の大きさに切り取り試料とし、試験台に取り付けた。次いで、カトーテック社製のせん断試験機KES−FB1−Aを用いて、23℃、相対湿度65%の雰囲気下、強制荷重10gf、せん断ずり速度0.417mm/secの条件で、試料に−8°〜8°のせん断変形を与え、せん断変形が−2.5°、−0.5°、0.5°、及び2.5°である点におけるせん断応力を測定した(以下、各点におけるせん断応力をそれぞれHG−2.5、HG−0.5、HG0.5、HG2.5ということがある。)。HG0.5及びHG2.5より下記式G1を用いて正方向のせん断かたさ(G(+))を、HG−2.5及びHG−0.5より下記式G2を用いて負方向のせん断かたさ(G(−))をそれぞれ算出した。せん断応力の測定及びG(+)、G(−)の算出は、長手方向、幅方向ともに3回(合計6回)行い、その全てのG(+)、G(−)の値の平均値の小数第3位を四捨五入した値をそのフィルムのせん断かたさ(G)(gf/(cm・deg))とした。
式G1:G(+)=(HG2.5−HG0.5)/(2.5°−0.5°)
式G2:G(−)=(HG−2.5−HG−0.5)/(−2.5°−(−0.5°))
なお、長手方向のせん断かたさ(G)を測定する場合は、フィルムの長手方向がせん断変形方向と直交するように試料を取り付け、幅方向のせん断かたさ(G)を測定する場合は、フィルムの幅方向がせん断変形方向と直交するように試料を取り付けた。
フィルムを12cm(長手方向)×12cm(幅方向)の大きさに切り取り試料とし、試験台に取り付けた。次いで、カトーテック社製のせん断試験機KES−FB1−Aを用いて、23℃、相対湿度65%の雰囲気下、強制荷重10gf、せん断ずり速度0.417mm/secの条件で、試料に−8°〜8°のせん断変形を与え、せん断変形が−2.5°、−0.5°、0.5°、及び2.5°である点におけるせん断応力を測定した(以下、各点におけるせん断応力をそれぞれHG−2.5、HG−0.5、HG0.5、HG2.5ということがある。)。HG0.5及びHG2.5より下記式G1を用いて正方向のせん断かたさ(G(+))を、HG−2.5及びHG−0.5より下記式G2を用いて負方向のせん断かたさ(G(−))をそれぞれ算出した。せん断応力の測定及びG(+)、G(−)の算出は、長手方向、幅方向ともに3回(合計6回)行い、その全てのG(+)、G(−)の値の平均値の小数第3位を四捨五入した値をそのフィルムのせん断かたさ(G)(gf/(cm・deg))とした。
式G1:G(+)=(HG2.5−HG0.5)/(2.5°−0.5°)
式G2:G(−)=(HG−2.5−HG−0.5)/(−2.5°−(−0.5°))
なお、長手方向のせん断かたさ(G)を測定する場合は、フィルムの長手方向がせん断変形方向と直交するように試料を取り付け、幅方向のせん断かたさ(G)を測定する場合は、フィルムの幅方向がせん断変形方向と直交するように試料を取り付けた。
(7)エンボス加工
由利ロール社製電気加熱式エンボス機HTEM−300型にセットした下記エンボスロール(I)〜(VII)のいずれかとゴムロールの間にフィルムを通してエンボス加工を行った。なお、エンボスロール及びゴムロールの温度は120℃、ニップ圧力(線圧)は50kg/cm、回転速度は3.0m/minとした。
<エンボスロール(I)>
模様:正方形凸型
エンボスロール表面の凹凸差:110μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:200μm
凸型の面積:0.01mm2
<エンボスロール(II)>
模様:正方形凸型
エンボスロール表面の凹凸差:200μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:200μm
凸型の面積:0.01mm2
<エンボスロール(III)>
模様:正方形凸型
エンボスロール表面の凹凸差:300μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:200μm
凸型の面積:0.01mm2
<エンボスロール(IV)>
模様:正方形凸型
エンボスロール表面の凹凸差:600μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:200μm
凸型の面積:0.01mm2
<エンボスロール(V)>
模様:正方形凸型
エンボスロール表面の凹凸差:800μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:200μm
凸型の面積:0.01mm2
<エンボスロール(VI)>
模様:正方形凸型
エンボスロール表面の凹凸差:1,000μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:200μm
凸型の面積:0.01mm2
<エンボスロール(VII)>
模様:正方形凸型
エンボスロール表面の凹凸差:600μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:100μm
凸型の面積:0.0025mm2
<エンボスロール(VIII)>
模様:正方形凸型
エンボスロール表面の凹凸差:600μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:400μm
凸型の面積:0.04mm2
<エンボスロール(IX)>
模様:正方形凸型
エンボスロール表面の凹凸差:600μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:600μm
凸型の面積:0.09mm2
<エンボスロール(X)>
模様:正方形凸型
エンボスロール表面の凹凸差:600μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:800μm
凸型の面積:0.16mm2
<エンボスロール(XI)>
模様:正方形凸型
エンボスロール表面の凹凸差:100μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:400μm
凸型の面積:0.04mm2
<エンボスロール(XII)>
模様:正方形凸型
エンボスロール表面の凹凸差:1,100μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:400μm
凸型の面積:0.04mm2
エンボスロール表面の凹凸差とは、エンボスロール表面にある凸部の高さをいい(図3の符号11に相当)、エンボスロール表面の凹凸部のピッチとは、周期的に付与されるエンボスロール表面の凹凸部の1周期分の長さをいう。(図3の符号12に相当)また圧着面積とは、エンボスロールの模様一つあたりの、エンボスロール表面の高さが最も高い部分の面積をいう(図4の符号13×符号14に相当)。
由利ロール社製電気加熱式エンボス機HTEM−300型にセットした下記エンボスロール(I)〜(VII)のいずれかとゴムロールの間にフィルムを通してエンボス加工を行った。なお、エンボスロール及びゴムロールの温度は120℃、ニップ圧力(線圧)は50kg/cm、回転速度は3.0m/minとした。
<エンボスロール(I)>
模様:正方形凸型
エンボスロール表面の凹凸差:110μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:200μm
凸型の面積:0.01mm2
<エンボスロール(II)>
模様:正方形凸型
エンボスロール表面の凹凸差:200μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:200μm
凸型の面積:0.01mm2
<エンボスロール(III)>
模様:正方形凸型
エンボスロール表面の凹凸差:300μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:200μm
凸型の面積:0.01mm2
<エンボスロール(IV)>
模様:正方形凸型
エンボスロール表面の凹凸差:600μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:200μm
凸型の面積:0.01mm2
<エンボスロール(V)>
模様:正方形凸型
エンボスロール表面の凹凸差:800μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:200μm
凸型の面積:0.01mm2
<エンボスロール(VI)>
模様:正方形凸型
エンボスロール表面の凹凸差:1,000μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:200μm
凸型の面積:0.01mm2
<エンボスロール(VII)>
模様:正方形凸型
エンボスロール表面の凹凸差:600μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:100μm
凸型の面積:0.0025mm2
<エンボスロール(VIII)>
模様:正方形凸型
エンボスロール表面の凹凸差:600μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:400μm
凸型の面積:0.04mm2
<エンボスロール(IX)>
模様:正方形凸型
エンボスロール表面の凹凸差:600μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:600μm
凸型の面積:0.09mm2
<エンボスロール(X)>
模様:正方形凸型
エンボスロール表面の凹凸差:600μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:800μm
凸型の面積:0.16mm2
<エンボスロール(XI)>
模様:正方形凸型
エンボスロール表面の凹凸差:100μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:400μm
凸型の面積:0.04mm2
<エンボスロール(XII)>
模様:正方形凸型
エンボスロール表面の凹凸差:1,100μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:400μm
凸型の面積:0.04mm2
エンボスロール表面の凹凸差とは、エンボスロール表面にある凸部の高さをいい(図3の符号11に相当)、エンボスロール表面の凹凸部のピッチとは、周期的に付与されるエンボスロール表面の凹凸部の1周期分の長さをいう。(図3の符号12に相当)また圧着面積とは、エンボスロールの模様一つあたりの、エンボスロール表面の高さが最も高い部分の面積をいう(図4の符号13×符号14に相当)。
(8)密着性
フィルムを長さ100mm×幅10mmの短冊形に切り出し、接着性評価用サンプルとした。評価用サンプルを被着体(“ハイゼ”(登録商標)ガーゼ NT−4(旭化成株式会社製))にラミネートローラーを用いて貼り付けた。次いで、引張試験機(オリエンテック製“テンシロン”(登録商標)UCT−100)を用いて、引張速度を300mm/分としてフィルムと被着体との剥離強度を測定した。剥離強度はJIS K 6854−1:1999に準じて測定した。測定は各サンプル5点ずつ行い、5点の平均値で評価を行った。得られた剥離強度について以下の判断基準にて分類し、C以上を合格とした。
S:400mN/cm以上
A:300mN/cm以上400mN/cm未満
B:150mN/cm以上300mN/cm未満
C:50mN/cm以上150mN/cm未満
D:50mN/cm未満
(9)フィルムと被着体との剥離強度
フィルムを長さ100mm×幅100mmの正方形に切り出し、剥離性評価用サンプルとした。評価用サンプルを被着体(“ハイゼ”(登録商標)ガーゼ NT−4(旭化成株式会社製))に貼り付けた。フィルム及び被着体を10cm×10cmのガラス板にはさみ、10kgfの荷重をかけて、40度のオーブンに3時間放置した。オーブンから取り出した後、引張試験機(オリエンテック製“テンシロン”(登録商標)UCT−100)を用いて、JIS K 6854−1:1999に準じてフィルムと被着体との剥離強度を測定した。このとき、引張速度は300mm/分とした。なお、測定は1サンプルにつき5点で行った。得られた剥離強度について以下の判断基準にて分類し、C以上を合格とした。なお、本発明のフィルムは剥離性に優れる、すなわち剥離強度が低いことが好ましいが、剥離強度が5mN/cm未満の場合は、被着体に対して密着性がなく、本発明の目的を達成しないため不合格とした。
S:5mN/cm以上100mN/cm未満
A:100mN/cm以上300mN/cm未満
B:300mN/cm以上600mN/cm未満
C:600mN/cm以上1,500mN/cm未満
D:1,500mN/cm以上又は5mN/cm未満
(10)凸部の平均長径
フィルムの凸部を有する面を走査型電子顕微鏡で観察し、1個の凸部を完全に囲みかつ面積が最も小さくなるように正方形又は長方形を描いて、正方形の場合は1辺の長さ、長方形の場合は長辺の長さを該凸部の長径とした。1つの観察画像において任意の10個の凸部について測定を行い、同様の測定を観察位置の異なる10枚の観察画像において行うことで得られた凸部の長径の平均値を求め、これをフィルムの凸部の平均長径とした。
[熱可塑性エラストマー]
(A1)スチレン−エチレン・ブタジエン−スチレンブロック共重合体(商品名:“DYNARON”(登録商標)8903P、JSR株式会社製) 非晶性熱可塑性エラストマーである。
(B1)ポリエステル系エラストマー(商品名:“ハイトレル”(登録商標) G3548 、東レ・デュポン株式会社製) 結晶性熱可塑性エラストマーである。
[充填剤]
(C1)炭酸カルシウム(商品名:SCP E♯810、アスペクト比2、平均粒径3.0μm、三共精粉株式会社製)
[フィルムの作製]
(実施例1)
A1、B1、C1を表1に記載の含有量でシリンダー温度175℃のスクリュー径44mmの真空ベント付二軸押出機に供給して溶融混練し、均質化した後にペレット化して各層における組成物を得た。この組成物のペレットを卓上型ホットプレス機(小型プレスG−12型、テクノサプライ株式会社製)にてプレス温度220℃、圧力40MPaで1分間プレスし、A層に相当するシート、及びB層に相当するシートを得た。次いで、得られた各シートを20cm×20cmのサイズにカットし、熱ラミネーター(株式会社エム・シー・ケー社製、MRK−600)を用いて、以下の条件で熱ラミネートしてA層及びB層からなる積層フィルムを得た。次いで、得られた積層フィルムを表1の条件でエンボス加工し、凸部を有するフィルムを得た。得られたフィルムの特性及び評価結果を表1に示す。
<熱ラミネート条件>
ロール温度:120℃
ロール速度:1m/min
ロール線圧力:0.5MPa
(実施例2〜13、比較例1〜4)
A1、B1、C1及びエンボス加工を表1、2に記載通りとしたこと以外は実施例1に記載の方法で表面に凸形状を有するフィルムを得た。得られたフィルムの特性及び評価結果を表1、2に示す。
フィルムを長さ100mm×幅10mmの短冊形に切り出し、接着性評価用サンプルとした。評価用サンプルを被着体(“ハイゼ”(登録商標)ガーゼ NT−4(旭化成株式会社製))にラミネートローラーを用いて貼り付けた。次いで、引張試験機(オリエンテック製“テンシロン”(登録商標)UCT−100)を用いて、引張速度を300mm/分としてフィルムと被着体との剥離強度を測定した。剥離強度はJIS K 6854−1:1999に準じて測定した。測定は各サンプル5点ずつ行い、5点の平均値で評価を行った。得られた剥離強度について以下の判断基準にて分類し、C以上を合格とした。
S:400mN/cm以上
A:300mN/cm以上400mN/cm未満
B:150mN/cm以上300mN/cm未満
C:50mN/cm以上150mN/cm未満
D:50mN/cm未満
(9)フィルムと被着体との剥離強度
フィルムを長さ100mm×幅100mmの正方形に切り出し、剥離性評価用サンプルとした。評価用サンプルを被着体(“ハイゼ”(登録商標)ガーゼ NT−4(旭化成株式会社製))に貼り付けた。フィルム及び被着体を10cm×10cmのガラス板にはさみ、10kgfの荷重をかけて、40度のオーブンに3時間放置した。オーブンから取り出した後、引張試験機(オリエンテック製“テンシロン”(登録商標)UCT−100)を用いて、JIS K 6854−1:1999に準じてフィルムと被着体との剥離強度を測定した。このとき、引張速度は300mm/分とした。なお、測定は1サンプルにつき5点で行った。得られた剥離強度について以下の判断基準にて分類し、C以上を合格とした。なお、本発明のフィルムは剥離性に優れる、すなわち剥離強度が低いことが好ましいが、剥離強度が5mN/cm未満の場合は、被着体に対して密着性がなく、本発明の目的を達成しないため不合格とした。
S:5mN/cm以上100mN/cm未満
A:100mN/cm以上300mN/cm未満
B:300mN/cm以上600mN/cm未満
C:600mN/cm以上1,500mN/cm未満
D:1,500mN/cm以上又は5mN/cm未満
(10)凸部の平均長径
フィルムの凸部を有する面を走査型電子顕微鏡で観察し、1個の凸部を完全に囲みかつ面積が最も小さくなるように正方形又は長方形を描いて、正方形の場合は1辺の長さ、長方形の場合は長辺の長さを該凸部の長径とした。1つの観察画像において任意の10個の凸部について測定を行い、同様の測定を観察位置の異なる10枚の観察画像において行うことで得られた凸部の長径の平均値を求め、これをフィルムの凸部の平均長径とした。
[熱可塑性エラストマー]
(A1)スチレン−エチレン・ブタジエン−スチレンブロック共重合体(商品名:“DYNARON”(登録商標)8903P、JSR株式会社製) 非晶性熱可塑性エラストマーである。
(B1)ポリエステル系エラストマー(商品名:“ハイトレル”(登録商標) G3548 、東レ・デュポン株式会社製) 結晶性熱可塑性エラストマーである。
[充填剤]
(C1)炭酸カルシウム(商品名:SCP E♯810、アスペクト比2、平均粒径3.0μm、三共精粉株式会社製)
[フィルムの作製]
(実施例1)
A1、B1、C1を表1に記載の含有量でシリンダー温度175℃のスクリュー径44mmの真空ベント付二軸押出機に供給して溶融混練し、均質化した後にペレット化して各層における組成物を得た。この組成物のペレットを卓上型ホットプレス機(小型プレスG−12型、テクノサプライ株式会社製)にてプレス温度220℃、圧力40MPaで1分間プレスし、A層に相当するシート、及びB層に相当するシートを得た。次いで、得られた各シートを20cm×20cmのサイズにカットし、熱ラミネーター(株式会社エム・シー・ケー社製、MRK−600)を用いて、以下の条件で熱ラミネートしてA層及びB層からなる積層フィルムを得た。次いで、得られた積層フィルムを表1の条件でエンボス加工し、凸部を有するフィルムを得た。得られたフィルムの特性及び評価結果を表1に示す。
<熱ラミネート条件>
ロール温度:120℃
ロール速度:1m/min
ロール線圧力:0.5MPa
(実施例2〜13、比較例1〜4)
A1、B1、C1及びエンボス加工を表1、2に記載通りとしたこと以外は実施例1に記載の方法で表面に凸形状を有するフィルムを得た。得られたフィルムの特性及び評価結果を表1、2に示す。
(比較例5)
エンボス加工を施さなかった以外は、実施例1と同様にして凸部を有さないフィルムを得た。得られたフィルムの特性及び評価結果を表2に示す。
エンボス加工を施さなかった以外は、実施例1と同様にして凸部を有さないフィルムを得た。得られたフィルムの特性及び評価結果を表2に示す。
各層におけるA1、B1の含有量(質量%)は層中の樹脂全体を100質量%として、C1の含有量(質量部)は層中の樹脂全体を100質量部としてそれぞれ算出した。表2においても同様である。
比較例5のフィルムには凸部が存在しないため、組成がA層の要件を満たす層における動摩擦係数を「凸部を有する面の動摩擦係数」として示した。
本発明により、フィルムとして用いるために必要な機械特性を備え、かつ、被着体に対する密着性と剥離性に優れるフィルムを提供することができる。本発明のフィルムは、被着体に対する密着性及び再剥離性を必要とする用途、具体的には、ベッド用シーツ、枕カバー、衛生ナプキンや紙おむつなどの吸収性物品のバックシートといった医療・衛生材料、雨天用衣類、手袋などの衣料材料、ゴミ袋や堆肥袋、あるいは野菜や果物などの食品用袋、各種工業製品の袋などの包装材料、ビル、住宅、化粧板といった建材、鉄道車両、船舶、航空機といった輸送機内での内装材料、建築用材料などに好ましく用いることができる。
1 フィルム
2 ベースライン
3 凸部の高さ
4−4’ 長手方向と平行な切削面
5−5’ 4−4’に対して時計回りに15°ずれた切削面
6−6’ 5−5’に対して時計回りに15°ずれた切削面
7−7’ 6−6’に対して時計回りに15°ずれた切削面
8−8’ 7−7’に対して時計回りに15°ずれた切削面
9−9’ 8−8’に対して時計回りに15°ずれた切削面
10−10’ 9−9’に対して時計回りに15°ずれた切削面
11 エンボスロール表面の凹凸差
12 エンボスロール表面の凹凸部のピッチ
13×14 圧着面積
2 ベースライン
3 凸部の高さ
4−4’ 長手方向と平行な切削面
5−5’ 4−4’に対して時計回りに15°ずれた切削面
6−6’ 5−5’に対して時計回りに15°ずれた切削面
7−7’ 6−6’に対して時計回りに15°ずれた切削面
8−8’ 7−7’に対して時計回りに15°ずれた切削面
9−9’ 8−8’に対して時計回りに15°ずれた切削面
10−10’ 9−9’に対して時計回りに15°ずれた切削面
11 エンボスロール表面の凹凸差
12 エンボスロール表面の凹凸部のピッチ
13×14 圧着面積
Claims (8)
- ベースラインからの高さが110μm以上1,000μm以下の凸部を1cm2あたり200個以上有し、かつ動摩擦係数が1.0以上5.0以下である面をX面としたときに、X面を少なくとも一つ有することを特徴とする、フィルム。
- KES法に従い測定される圧縮仕事量が0.02gf・cm/cm2以上0.5gf・cm/cm2以下であることを特徴とする、請求項1に記載のフィルム。
- KES法に従い測定されるフィルムのせん断かたさが0.1gf/(cm・deg)以上2.5gf/(cm・deg)以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルム。
- 前記凸部の平均長径が50μm以上500μm以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム。
- 前記X面を有し、かつ層中の樹脂成分全体を100質量%としたときに非晶性熱可塑性エラストマーを40質量%以上100質量%以下含む層をA層としたときに、少なくとも1つのA層を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム。
- 前記非晶性熱可塑性エラストマーが、スチレン−エチレン・ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体から選ばれる少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする、請求項5に記載のフィルム。
- 前記A層よりも非晶性熱可塑性エラストマーの含有量が低い層をB層としたときに、B層を有し、B層が前記X面の反対側で前記A層と接することを特徴とする、請求項5又は6に記載のフィルム。
- 前記B層が、層中の樹脂成分全体を100質量%としたときに結晶性熱可塑性エラストマーを80質量%以上100質量%以下含むことを特徴とする、請求項7に記載のフィルム。
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- 2017-02-15 JP JP2017025877A patent/JP2018131524A/ja active Pending
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