JP5292763B2 - 粘着フィルム - Google Patents
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Description
本発明の粘着フィルムは、ポリプロピレン系樹脂からなる基材層を必要とし、ここで用いるポリプロピレン系樹脂としては、結晶性ポリプロピレン、プロピレンと少量のαオレフィンとのランダム共重合ブロック共重合体等を挙げることができ、さらに詳しくは、結晶性ポリプロピレン樹脂として、通常の押出成形などで使用するn−へプタン不溶性のアイソタクチックのプロピレン単独重合体又はプロピレンを60重量%以上含有するポリプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体を挙げることができ、このプロピレン単独重合体あるいはプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体を、単独又は混合して使用することができる。
ここで、n−ヘプタン不溶性とは、ポリプロピレンの結晶性を指標すると同時に安全性を示すものであり、本発明では、昭和57年2月厚生省告示第20号によるn−ヘプタン不溶性(25℃、60分抽出した際の溶出分が150pPm以下〔使用温度が100℃を超えるものは30PPm以下〕)に適合するものを使用することが好ましい態様である。
ここで共重合体とは、プロピレンに上記に例示されるα−オレフィンを1種又は2種以上重合して得られたランダム又はブロック共重合体であることが好ましい。
また、メルトフローレート(MFR)は、0.1〜100g/10min、好ましくは0.5〜20g/10min、さらに好ましくは、1.0〜10g/10minの範囲のものを例示することができる。特に好ましくは2.0〜5.0g/10minの範囲が好ましい。
プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体を2種以上混合して使用することもできる。
1−ブテン共重合ポリプロピレン共重合体を使用すると粘着層の平均表面粗さが低減する効果がある。
また、メルトフローレートは1〜10g/10分の範囲のものが好ましく、さらに2〜5g/10分の範囲のものが好ましい。
また、この要件を達成する為には、粘着層表面を出来る限り平面にする必要があり、表面凹凸を形成する様な添加剤は、極力添加しない様にする必要があるといえる。さらに、本発明の要件となっている延伸フィルムとすることで、表面の結晶が整列するので、表面の地肌荒れがならされて、より、平面性が向上するというものである。
一方、粘着層の表面の平均粗さSRaを0.010μm未満とする事は、添加剤無添加の延伸フィルムにおいても事実上困難といえる。好ましくは0.025μ以下である。
DH=αP/D*D (1)
DH:ダイナミック硬度
α:圧子形状による定数、
P:試験荷重、D:押し込み深さ(μm)
このダイナミック硬度は、圧子を押し込んでいく過程の荷重と押し込み深さから得られる硬さであり、試料の塑性変形と弾性変形を合わせた状態での特性値になる。
但し、その際の延伸条件としては、延伸工程での予熱、延伸温度において、フィルムの溶融が起こらない範囲で、適度な温度を与えることが、本発明の要件の一つとなっている粘着層表面のダイナミック硬度を得る為には望ましく、ここで、熱が不足すると、結晶の配向により、フィルム表面の硬度が高くなり、粘着力を低下させる場合がある為、好ましくなく、温度が高いと粘着層の結晶部が解けて非晶となり非晶部分増える為、粘着層表面のダイナミック硬度が低下とし、経時での粘着力の変化が大きくなる場合があるので好ましくない。
逐次2軸延伸時の縦延伸温度の場合を例にとり、好ましい温度範囲を例示すると、縦延伸時の予熱温度として100℃から135℃、延伸温度として100℃から125℃を例示することが出来る。ここで、100℃未満の場合は、延伸斑が発生し、厚みを悪くする為、粘着力のバラツキが発生する為、好ましくなく、予熱が135℃、延伸が125℃を超える場合は、粘着層表面が、未延伸に近い状態となり、ダイナミック硬度の低下及びフイルム厚み変動率の悪化を招き、粘着力の経時変化を起こす為、好ましくない。
また、延伸倍率に関しても、適切な範囲を取る事が好ましく、倍率が低いと目的とする厚み変動率が得られない場合があり、倍率が高いとフィルム表面の硬度が高くなり、目的とする粘着力が出ない場合があるので、好ましくない。好ましい逐次2軸延伸の延伸倍率としては、縦方向に3〜6倍、横方向に6〜10倍を例示することが出来る。
この場合、フィルムに成形したときに平均表面粗さSRaで0.20μm以上とするのが好まししい。
平均表面粗さを大きくするという点ではサンアロマー(株)製「PC523D」が有利である。
但し、この際の離形層の表面凹凸は、平均粗さSRaで0.40μm以下となる様な表面にすることが好ましい。表面粗さSRaが0.40μmを超えると粘着フィルムをロール状で保管する際に、離形層の表面凹凸が粘着層に転写し、粘着時の接触面積を下げることとなり、特に初期の粘着力を低下させる原因となる事があるので、好ましくない。
また、平均粗さSRaで0.40μm以下とするには、延伸時の縦延伸予熱温度を低温にしすぎないことが好ましく、延伸時の予熱温度を低温にすると、プロピレンエチレンブロック共重合体とポリエチレン樹脂の非相溶性を利用して形成される凹凸が過剰に形成されることになるので好ましくない。好ましい縦延伸時の予熱温度としては、100℃以上を例示することが出来る。
このとき、離形層の表面凹凸は、平均粗さSRaで0.30μm以下となる様な表面にすることが好ましい。
粘着フィルムの厚さが1μm未満であると、粘着に問題があり、10μm以上であると、粘着層表面のダイナミック硬度が低下しすぎるという問題がある。
(株)小坂研究所製型式ET−30HKを用いて下記設定条件にて測定して、平均粗さSRaを求めた。
測定条件
X ソクテイナガサ[×10μm]:100
X オクリハヤサ[μm/sec]:100
Y オクリピッチ[×0.1μm]:20
Z(タテ)バイリツ[×1000]:20
カットオフ[μm]:80
ソクテイホウホウ:セッショク
島津ダイナミック超微小硬度計DUH−201を用い、室温20〜23℃、湿度40〜80%の環境下で、下記条件にて測定し、下記式により算出した。
試験モード 軟質材料試験(MODE3)
圧子 三角すい圧子115°
試験荷重 0.20gf
負荷速度 10(0.0145gf/秒)
保持時間 1秒
変位フルスケール 10μ
5回の測定をした後、押し込み深さ1μmのダイナミック硬さを解析データからピックアップして平均値を求め、そのサンプルのダイナミック硬さとした。このダイナミック硬さ(DH)は圧子を押し込んでいく過程の荷重と押し込み深さから得られる硬さで、以下の式(1)で定義される。
DH=αP/D*D (1)
DH:ダイナミック硬度
α:圧子形状による定数
P:試験荷重、D:押し込み深さ(μm)
Anritsu FILM THICKNESS TESTER KG601A及K306Cを用いて、下記の方法にて測定した。
測定速度 0.01秒
送り速度 1.5m/分
HIGH CUT OFF
間引き処理 OFF
フィルム製造時の巻き取り方向に対して40mm、巻き取り方向とは直交する方向に対して500mmの長さのサンプルを切り出し、巻き取り方向と直交する方向の連続厚みを上記条件にて測定した。測定により得られた結果を基に以下の式(2)により、厚み変動率を求めた。測定は一つのサンプルに関して5回実施し、その平均値をそのサンプルの厚み変動率とした。
厚み変動率(%)=[(厚みの最大値−厚みの最低値)/厚みの平均値]×100 (2)
JIS−Z−0237(2000)粘着テープ・粘着シート試験方法に準拠して下記の方法にて測定した。
被着体として、アクリル板(三菱レイヨン(株)製:アクリライト3mm厚)50mm×150mmを準備し、試験片として、フィルム製造時の巻き取り方向に25mm、それとは直交する方向に180mmの試験片を切り出し、質量2000gのゴムロール(ローラ表面のスプリング硬さ80Hs、厚さ6mmのゴム層で被覆された、幅45mm、直径(ゴム層を含む)95mmのもの)を用いて、被着体と試験片を5mm/秒の速さで、1往復させて圧着した。圧着後、温度23℃、相対湿度65%の環境下で30分放置したものを初期とし、24時間放置したものを常態として、東洋精機社製「テンシロン」(UTM−IIIL)を用いて、300mm/分の速度で180度剥離した際の抵抗値を粘着力[cN/25mm]とした。測定の際は測定試料のつかみ代として厚み190μmサイズ25mm×170mmのポリエステルシートを準備し、上記、粘着フィルムとアクリル板を圧着した測定試料の粘着フィルム側の端に、のり代15mmの幅でセロハンテープにて貼り付けて、測定の際のつかみ代とした。測定試料の模式図を図1に示す。測定は一つのサンプルに関して3回実施し、その平均値をそのサンプルの粘着力とした。
供試フィルムから1m四方のサンプルを切り出し、約5cm四方に切断して試験片を作成した。続いて、試験片の粘着面に対して洗浄瓶によりエタノールにて1枚ずつ表面全体を強く洗浄し洗浄液を集めた。この際、フィルムはピンセットでつまみ最初に掴んだ部分より下部、エタノールを有る程度きったあと下部の端を掴んでひっくり返して、最初につまんだ部分の上部を洗浄する。洗浄後エタノールがどうしてもフィルム上に残るので抽出分を逃さないために、エタノール洗浄する時はエタノールを数回往復させ抽出分を確実に集めるようにした。
続いて、集めた洗浄液のエタノールをエバポレーターにて除去した後、クロロホルムにて再溶解後濾紙に通して作業中に混入した埃等を除去し、クロロホルムをエバポレーターにて完全に除き残分重量を測定した。この重量を平方メートルあたりの表面添加剤量とした。
(基層の作成)
基層として、FS2011DG3(住友化学社製、エチレン含有量0.9重量%、メルトフローレート2.5g/10分)を70重量%、SPX78J1(住友化学社製、1−ブテン含有量25重量%、メルトフローレート7g/10分)を30重量%を60mmφ単軸押出し機(L/D;22.4)にて溶融混合押出しして基層とした。
(粘着層の作成)
粘着層として、H3522A(住友化学社製、メルトフローレート3g/10分)を100重量%を45φ2軸押出し機(L/D;19)にて溶融押出しして粘着層とした。
(離形層)
離形層として、PC523A(サンアロマー社製、メルトフローレート5g/10分)を100重量%を65mmφ単軸押出し機(L/D;25)にて溶融押出しして離形層とした。
(フィルムの作成)
粘着層、基層、離形層それぞれが各押出し機にて溶融された状態のまま、260℃の3層Tダイ(マルチマニホールド型、リップ幅250mm、リップギャップ1.2mm)内で積層押出しをした。この様に押出した樹脂を20℃のキャスティングロールへエアーナイフにて吹き付け、3m/分の速度で引き取り、冷却固化してシートを得た、得られたシートは連続して、120℃に加熱したロールにて予備加熱後、118℃に加熱したロール間で、それぞれのロール速度を3m/分と13.5m/分と速度差を付けることで、4.5倍の縦延伸をした後、50℃に加熱したロールで一度冷却した後、172℃に加熱したオーブン内にて13.45m/分の速度で予備加熱後、155℃にて変形速度0.2m/分の速さで7.0倍に横延伸を実施、さらに160℃の環境下で22秒間7%の緩和を実施して、粘着層3μm、基層25μm、離形層2μmの順に積層されたトータル30μmの3種3層フィルムを得た。
得られたフイルムを、500mm幅、500m、巻き硬度80(島津製作所製、糸巻き硬度計 No.K66846)のロール状態とし、室温(23〜26℃)24時間保管後、100m巻き戻した部分の物性を確認した所、得られたフィルムは、本発明の要件を満足するものであり、初期の粘着力が強く、経時での粘着力の変化も少ない、取り扱い性の良好なものであった。得られたフィルムの物性を表1に示す。
実施例1において、基層を構成する樹脂をFS2011DG3(住友化学社製、エチレン含有量0.9重量%、メルトフローレート2.5g/10分)を100重量%とし、離形層を構成する樹脂として、PC523D(サンアロマー社製、メルトフローレート5g/10分)を100重量%にした以外は、実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。得られたフィルムは、実施例1と同様に初期の粘着力が強く、経時での粘着力の変化も少ない、取り扱い性の良好なものであった。
実施例2において、粘着層を構成する樹脂をSPX78J1(住友化学社製、1−ブテン含有量25重量%、メルトフローレート7g/10分)100重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、フィルムを得た。得られたフィルムは、ダイナミック硬度の値が高く、粘着性のないフィルムであった。
実施例2において、離形層を構成する樹脂をPC523A(サンアロマー社製、メルトフローレート5g/10分)を100重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、フィルムを得た。得られたフィルムは、離形層の平均表面粗さの影響を受け、粘着面の平均表面粗さの値が大きくなり、経時での粘着力の変化がみられ、取り扱い上、支障のみられるものであった。
実施例2において、粘着層を構成する樹脂をTX1236A(三井化学社製、メルトフローレート7g/10分)100重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、フィルムを得た。得られたフィルムは、本発明の要件を満足するものであり、初期の粘着力が強く、経時での粘着力の変化も少ない、取り扱い性の良好なものであった。
実施例2において、縦延伸する際の温度を予熱過熱温度140℃、延伸温度130℃とした以外は、実施例1と同様にして、フィルムを得た。得られたフィルムは、ダイナミック硬度が低い上に、厚み変動率が大きいものであり、経時による粘着力の変化が大きい為、取り扱い上、支障をきたすものであった。
実施例2において、基層を形成する際に、帯電防止剤として、ポリオキシエチレン(2)ステアリルアミンモノステアリン酸エステルを0.56重量%、N,Nビス(2ヒドロキシエチル)ステアリルアミンを0.14重量%、ステアリン酸モノグリセリンエステルを0.1重量%を添加して、FS2011DG3(住友化学社製、エチレン含有量0.9重量%、メルトフローレート2.5g/10分)を99.2重量%とした以外は、実施例1と同様にして、フィルムを得た。得られたフィルムは、粘着層表面に添加剤が存在し、粘着力の低下がみられ、取り扱い上、支障をきたすものであった。
実施例2において、引き取り速度を9m/分とし、各押出し機の吐出量を調整して、粘着層10μm、基層40μm、離形層10μmの順に積層されたトータル60μmの3種3層未延伸フィルムを得た。得られたフイルムは、ダイナミック硬度が低い上に、厚み変動率(巻き取り方向とは直交する方向に対して200mmの長さで測定)が大きいものであり、経時による粘着力の変化が大きい為、取り扱い上、支障をきたすものであった。
Claims (5)
- ポリプロピレン系樹脂からなる基材層の表面に結晶融解熱量及び結晶化熱量が10J/g以下となる非晶性オレフィン系重合体原料を単独又は30重量%以上混合してなるオレフィン系重合体を用いた粘着層を有し、かつ粘着層の反対面に離形層を有する積層体からなる延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムであって、前記粘着層表面の平均粗さSRaが0.032μm以下であり、粘着層表面のダイナミック硬度が0.15gf/μm2以上、1.4gf/μm2以下であって、前記離形層の平均表面粗さSRaが0.20μm以上、0.30μm以下であり、フィルム製造時の巻き取り方向に対して直交する方向である横方向の厚み変動率が2.0%以上、7.5%以下であり、粘着層表面の低分子量物質が1mg/m2未満であることを特徴とする粘着フィルム。
- 請求項1記載のフィルムであって、前記フィルムの粘着層が粘着性を有する樹脂からな
ることを特徴とする粘着フィルム。 - 請求項1記載のフィルムであって、前記フィルムが2軸延伸されてなることを特徴とす
る粘着フィルム。 - 請求項1記載のフィルムであって、前記フィルムのポリプロピレン系樹脂からなる層と
粘着層とが、複数の押出し機から共押出法により溶融押し出し積層されたものであること
を特徴とする粘着フィルム。 - 請求項1から4に記載のフィルムであって、前記フィルムを長さ500m以上、幅50
0mm以上の寸法で巻き取ったことを特徴とする粘着フィルムロール。
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