JP2018131480A - 表面加飾用フィルム、その評価方法および製造方法、ならびに表面加飾物品 - Google Patents

表面加飾用フィルム、その評価方法および製造方法、ならびに表面加飾物品 Download PDF

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大地 奥野
典子 長田
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典子 長田
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Yusuke Tani
雄祐 谿
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Kensuke Tobitani
謙介 飛谷
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Abstract

【課題】見た目に対する触感の意外性を表面加飾物品に与えることができる表面加飾用フィルム、その評価方法および製造方法、ならびに表面加飾用フィルムを立体形状の成形体の表面に貼り付けた表面加飾物品の提供。【解決手段】規則的に配置された複数の凸部(マイクロレンズ16)および規則的に配置された複数の凹部のいずれか一方または両方を第1の主表面に有し;第1の主表面の動摩擦係数が、0.8〜1.8であり;第1の主表面の算術平均粗さが、0.11〜0.21μmである、表面加飾用フィルム10。【選択図】図1

Description

本発明は、表面加飾用フィルム、その評価方法および製造方法、ならびに表面加飾用フィルムを立体形状の成形体の表面に貼り付けた表面加飾物品に関する。
表面加飾用フィルムを成形体の表面に貼り付けた表面加飾物品は、車両の内装部材、家電製品の筐体、建築部材等として利用されている。車両の内装部材においては、搭乗者の手が触れることが多いことから、特に触感が重要視される。
表面加飾物品に良好な触感を付与できる表面加飾用フィルムとしては、表面が凹凸面とされ、凹凸面の摩擦係数や表面粗さが規定されたものが提案されている(特許文献1〜4)。
特開2012−218284号公報 特開2012−219221号公報 特開2016−097510号公報 特開2016−135861号公報
しかし、特許文献1〜4に記載の表面加飾用フィルムは、単に表面の触感がよいというだけのものである。このような表面加飾用フィルムにおいては、表面加飾物品の視覚による印象が、これに触覚が加わることによって真逆に変化するという、触感による表面加飾物品の印象変化が起こりにくい。そのため、従来の表面加飾用フィルムは、表面加飾物品の見た目から受ける印象と、表面加飾物品を触った際に受ける印象とのギャップによる驚きや感動といった、見た目に対する触感の意外性に乏しいものである。
本発明は、見た目に対する触感の意外性を表面加飾物品に与えることができる表面加飾用フィルム;見た目に対する触感の意外性を表面加飾物品に与える表面加飾用フィルムであるか否かを判定できる表面加飾用フィルムの評価方法;見た目に対する触感の意外性を表面加飾物品に与えることができる表面加飾用フィルムを製造できる表面加飾用フィルムの製造方法;および見た目に対する触感の意外性を有する表面加飾物品を提供する。
本発明は、下記の態様を有する。
<1>規則的に配置された複数の凸部および規則的に配置された複数の凹部のいずれか一方または両方を第1の主表面に有し;前記第1の主表面の動摩擦係数が、0.8〜1.8であり;前記第1の主表面の算術平均粗さが、0.11〜0.21μmである、表面加飾用フィルム。
<2>前記表面加飾用フィルムを立体形状の成形体の表面に貼り付けた評価対象の表面加飾物品および前記表面加飾物品の印象を評価するための相反する形容詞対を10名の被験者に提示して前記表面加飾物品の印象を−3、−2、−1、0、+1、+2、+3の7段階の尺度で評価するSD法によって前記表面加飾物品の印象を視覚のみで評価したときの前記10名の被験者についての前記尺度の平均値Aと、前記SD法によって前記表面加飾物品の印象を視覚および触覚で評価したときの前記10名の被験者についての前記尺度の平均値Bとが、A×B≦0(ただし、AおよびBの両方が0の場合を除く。)の関係を満足するものとなるような表面加飾用フィルムである、前記<1>の表面加飾用フィルム。
<3>表面加飾用フィルムを立体形状の成形体の表面に貼り付けた評価対象の表面加飾物品および前記表面加飾物品の印象を評価するための相反する形容詞対を複数の被験者に提示して前記表面加飾物品の印象をマイナスからプラスに段階的に変化する中央を0とした複数段階の尺度で評価するSD法によって前記表面加飾物品の印象を視覚のみで評価したときの前記複数名の被験者についての前記尺度の平均値Aと、前記SD法によって前記表面加飾物品の印象を視覚および触覚で評価したときの前記複数名の被験者についての前記尺度の平均値Bとが、A×B≦0(ただし、AおよびBの両方が0の場合を除く。)の関係を満足するときに、前記表面加飾用フィルムを、見た目に対する触感の意外性を前記表面加飾物品に与えるものと判定する、表面加飾用フィルムの評価方法。
<4>規則的に配置された複数の凸部および規則的に配置された複数の凹部のいずれか一方または両方を第1の主表面に有する表面加飾用フィルムを製造する方法であり;前記表面加飾用フィルムを設計する工程(I)と、前記工程(I)で設計された前記表面加飾用フィルムを製造する工程(II)とを有し;前記工程(I)においては、試作された表面加飾用フィルムについて前記<3>の表面加飾用フィルムの評価方法を実施し、見た目に対する触感の意外性を前記表面加飾物品に与えるものであると判定された表面加飾用フィルムにおける第1の主表面の動摩擦係数および算術平均粗さに基づいて、製品となる表面加飾用フィルムの第1の主表面の動摩擦係数および算術平均粗さを決定する、表面加飾用フィルムの製造方法。
<5>前記<1>または<2>の表面加飾用フィルムを立体形状の成形体の表面に貼り付けた、表面加飾物品。
<6>前記表面加飾物品および前記表面加飾物品の印象を評価するための相反する形容詞対を10名の被験者に提示して前記表面加飾物品の印象を−3、−2、−1、0、+1、+2、+3の7段階の尺度で評価するSD法によって前記表面加飾物品の印象を視覚のみで評価したときの前記10名の被験者についての前記尺度の平均値Aと、前記SD法によって前記表面加飾物品の印象を視覚および触覚で評価したときの前記10名の被験者についての前記尺度の平均値Bとが、A×B≦0(ただし、AおよびBの両方が0の場合を除く。)の関係を満足する、前記<5>の表面加飾物品。
<7>前記成形体の形状が、円筒形または円柱形である、前記<5>または<6>の表面加飾物品。
本発明の表面加飾用フィルムによれば、見た目に対する触感の意外性を表面加飾物品に与えることができる。
本発明の表面加飾用フィルムの評価方法によれば、見た目に対する触感の意外性を表面加飾物品に与える表面加飾用フィルムであるか否かを判定できる。
本発明の表面加飾用フィルムの製造方法によれば、見た目に対する触感の意外性を表面加飾物品に与えることができる表面加飾用フィルムを製造できる。
本発明の表面加飾物品は、見た目に対する触感の意外性を有する。
本発明の表面加飾用フィルムの一例を示す断面図である。 本発明の表面加飾用フィルムの他の例を示す断面図である。 本発明の表面加飾用フィルムの他の例を示す断面図である。 SD法による印象評価に用いた表面加飾物品の写真である。 SD法による印象評価において逆光条件下に置かれた表面加飾物品の写真である。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「規則的に配置された複数の凸部(凹部)」とは、一定のきまり(等間隔、光学的法則等)に則って複数の凸部(凹部)が配置されていることを意味する。
「SD法」(セマンティック・ディファレンシャル法、意味差判別法)は、心理学における測定法の1つであり、強い−弱い、軽い−重い、不活発な−活発な等の相反する形容詞対を用いて、商品等が与える印象を、マイナスからプラスに段階的に変化する中央を0とした複数段階の尺度(通常は、−2、−1、0、+1、+2の5段階または−3、−2、−1、0、+1、+2、+3の7段階の尺度)で評価する方法である。
「動摩擦係数」は、JIS K 7125:1999(対応国際規格ISO 8295:1995)に準拠して測定される値である。
「算術平均粗さ」は、JIS B 0601:2013(対応国際規格ISO 4287:1997,Amd.1:2009)に準拠して測定される算術平均粗さRaである。
「押し込み硬さ」は、ナノインテンデーション法によって後述する実施例の条件にて定される値である。
「活性エネルギー線」とは、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)等を意味する。
数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含むことを意味する。
図1〜図3における寸法比は、説明の便宜上、実際のものとは異なったものである。
<表面加飾用フィルム>
本発明の表面加飾用フィルムは、規則的に配置された複数の凸部および規則的に配置された複数の凹部のいずれか一方または両方を第1の主表面に有するフィルムである。
(凸部および凹部)
凸部としては、第1の主表面から突出した突起、第1の主表面に延在する長尺の凸条等が挙げられる。
凹部としては、第1の主表面に形成された孔(窪み)、第1の主表面に延在する長尺の溝等が挙げられる。
凸部または凹部の断面形状としては、半円形、三角形、台形、四角形、釣鐘形等が挙げられる。凸部または凹部の形状としては、例えば、球欠形状、球欠台形状、楕円体球欠形状(回転楕円体を1つの平面で切り取った形状)、楕円体球欠台形状(回転楕円体を互いに平行な2つの平面で切り取った形状)、角錐形状、角錐台形状、円錐形状、円錐台形状、これらに関連する屋根型形状(球欠形状、球欠台形状、楕円体球欠形状、楕円体球欠台形状、角錐形状、角錐台形状、円錐形状または円錐台形状が底面部に沿って伸長したような形状)等が挙げられる。
複数の凸部および複数の凹部のいずれか一方または両方は、第1の主表面に規則的に配置される。
凸部または凹部が突起または孔(窪み)の場合、凸部または凹部の配置としては、六方格子、正方格子、六方配列、矩形配列、菱形配列、直線状配列、円状配列等が挙げられる。
凸部または凹部が凸条または溝の場合、凸部または凹部の配置としては、ラインアンドスペース、連続配列等が挙げられる。
規則的に配置された複数の凸部としては、あらゆる方向から触っても、また触る力の強さが変化しても、触感の高い認識性を与える効果および再現性のある触感を得る効果が得られやすい点から、規則的に配置された複数の突起が好ましい。
規則的に配置された複数の凹部としては、あらゆる方向から触っても、また触る力の強さが変化しても、触感の高い認識性を与える効果および再現性のある触感を得る効果が得られやすい点から、規則的に配置された複数の孔(窪み)が好ましい。
規則的に配置された凸部や凹部の具体例としては、例えば、マイクロレンズアレイ、マイクロプリズム、マイクロコーナーキューブアレイ、マイクロディスクアレイ等が挙げられる。
凸部および凹部の形状、サイズ(幅、高さ、長さ等)、間隔、配置等は、第1の主表面の動摩擦係数および算術平均粗さが後述する所定の範囲内となるように適宜設計すればよい。
複数の凸部および複数の凹部のいずれか一方または両方が第1の主表面に規則的に配置されることによって、下記(1)〜(4)の利点が得られる。
(1)凸部や凹部は、良好な触感を与えるために第1の主表面に設けられる。凸部や凹部が設けられた第1の主表面(以下、凹凸面とも記す。)においては、平滑面との触感の違い出すために、凸部や凹部が存在する面積(充填率)をできるだけ大きくする必要がある。例えば、同じ半球形状の凸部や凹部が規則的に配列する場合と、ランダムに配列する場合とでは、規則的に配列する場合のほうが、充填率が大きくできる。その場合、充填率を大きくすることによって、指に接触する単位面積当たりの凸部や凹部の数が多くなる。その結果、動摩擦係数が大きくなり、凹凸面と平滑面との触感の違いが出る。規則的に配置された凸部や凹部であれば、充填率を大きくすることができる。一方、粒子の配合(特許文献1〜3)、ラビング処理(特許文献4)等で形成されたランダムに配置された凸部や凹部では、充分な充填率が得られず、動摩擦係数を大きくすることができない。その結果、触感による表面加飾物品の印象変化の効果が充分に得られない。
(2)規則的に配置された凸部や凹部であれば、隣り合う凸部間または凹部間の間隔を最小にすることができ、凸部や凹部が存在する面積(充填率)を100%にすることもできる。すなわち、凸部や凹部を連続的に配置できる。連続的に等間隔で配置された凸部や凹部の触感によって、あらゆる方向に指を動かして触っても、また指で触る力の強さが変化しても、触感の高い認識性を与える効果および再現性のある触感を得る効果が発揮される。
(3)ランダムに配置された凸部や凹部を有する表面加飾用フィルムの場合、表面粗さが大きくなると、光散乱が強くなって白く見える。そのため、立体形状の成形体の表面に表面加飾用フィルムを貼り付けると、成形体の表面の印刷等が見えなくなって意匠性が低下する。一方、規則的に配置された凸部や凹部、例えばマイクロレンズアレイやマイクロプリズムの場合、表面粗さを大きくしても透明性を維持できるため、意匠性の低下が抑えられる。すなわち、表面加飾用フィルムを貼り付けることによって立体形状の成形体の見た目の印象が変わることが抑えられる。
(4)ランダムに配置された凸部や凹部にはレンズ効果はないが、規則的に配置された凸部や凹部、例えばマイクロレンズアレイやマイクロプリズムの場合、立体形状の成形体の表面に表面加飾用フィルムを貼り付けると、成形体の表面の印刷等に対して、立体感や奥行き感を付与することができる。
(第1の主表面の特性)
第1の主表面の動摩擦係数は、0.8〜1.8であり、1.0〜1.5が好ましく、1.2〜1.4がより好ましい。第1の主表面の動摩擦係数が前記範囲の下限値以上であれば、指が第1の主表面で滑りすぎることなく、触感による表面加飾物品の印象変化の効果が得られやすい。第1の主表面の動摩擦係数が前記範囲の上限値以下であれば、指が第1の主表面で貼り付いて滑りにくくなることがない。
第1の主表面の算術平均粗さは、0.11〜0.21μmであり、0.12〜0.18μmが好ましく、0.14〜0.16μmがより好ましい。第1の主表面の算術平均粗さが前記範囲の下限値以上であれば、凸部や凹部による触感が強くなり、触感の高い認識性を与えやすい。第1の主表面の算術平均粗さが前記範囲の上限値以下であれば、指で触る力の強さが変化しても、触感の高い認識性を与える効果および再現性のある触感を得る効果が発揮される。
表面加飾用フィルムの第1の主表面側の押し込み硬さは、14〜23MPaが好ましく、12〜22MPaがより好ましく、10〜20MPaがさらに好ましい。押し込み硬さが前記範囲の下限値以上であれば、指で触る力の強さが変化しても、触感の高い認識性を与える効果および再現性のある触感を得る効果が発揮される。押し込み硬さが前記範囲の上限値以下であれば、凸部や凹部による触感が強くなり、触感の高い認識性を与えやすい。
(SD法による印象評価)
本発明の表面加飾用フィルムは、表面加飾用フィルムを立体形状の成形体の表面に貼り付けた評価対象の表面加飾物品および表面加飾物品の印象を評価するための相反する形容詞対を10名の被験者に提示して表面加飾物品の印象を−3、−2、−1、0、+1、+2、+3の7段階の尺度で評価するSD法によって表面加飾物品の印象を視覚のみで評価したときの10名の被験者についての尺度の平均値Aと、前記SD法によって表面加飾物品の印象を視覚および触覚で評価したときの10名の被験者についての尺度の平均値Bとが、A×B≦0(ただし、AおよびBの両方が0の場合を除く。)の関係を満足するものとなるような表面加飾用フィルムであることが好ましい。
SD法による印象評価の結果、視覚のみで評価したときの印象の尺度の平均値Aと視覚および触覚で評価したときの印象の尺度の平均値BとがA×B≦0の関係を満足するということは、AおよびBのいずれか一方が0以下(マイナス)であり、他方が0以上(プラス)であるということになる。すなわち、表面加飾物品の視覚による印象が、これに触覚が加わることによって真逆に変化するという、触感による表面加飾物品の印象変化が起こっていることを示す。したがって、SD法による印象評価によってA×B≦0の関係を満足するような表面加飾物品においては、本発明の表面加飾用フィルムが表面に設けられることによって、表面加飾物品の見た目から受ける印象と、表面加飾物品を触った際に受ける印象とのギャップによる驚きや感動といった、見た目に対する触感の意外性が発揮されていることになる。
SD法に用いる立体形状の成形体としては、例えば、SD法による印象評価のために用意した専用の立体形状の成形体であってもよく;表面加飾物品を製造する際に、本発明の表面加飾用フィルムを実際に貼り付ける対象となる立体形状の成形体であってもよい。SD法に用いる成形体の形状としては、円筒形、円柱形、角筒形、角柱形、円錐形、角錐形、多面体形、その他表面加飾物品の形状に応じた形状等が挙げられ、対称形であって、見る方向や角度によって印象評価に影響を与えにくい点から、円筒形または円柱形が好ましい。
SD法に用いる形容詞対としては、例えば、表1に示すマイナスの印象の形容詞およびプラスの印象の形容詞からなる相反する形容詞対が挙げられる。なお、形容詞対は、表1に示すものに限定はされない。SD法による印象評価においては、表面加飾物品に求められる印象等に応じて、表1に示す形容詞対やその他の形容詞対の中から、印象評価に適切であると思われる1つまたはそれ以上の形容詞対を選択すればよい。
SD法による印象評価は、表面加飾物品以外からの視覚情報による影響を被験者が受けないようにするために、暗室内で行うことが好ましい。
SD法による印象評価においては、表面加飾物品の輪郭を評価対象とし、表面加飾物品の表面に設けられた表面加飾用フィルムの継ぎ目や汚れ等が評価対象とならないようにするために、逆光条件下で表面加飾物品を被験者に提示することが好ましい。
表面加飾物品の印象を視覚のみで評価する際には、表面加飾物品を様々な角度から評価できるようにするために、表面加飾物品の鉛直方向の中心軸を回転軸として表面加飾物品を回転させることが好ましい。
表面加飾物品の印象を視覚および触覚で評価する際には、表面加飾物品を指で触りやすくするために、表面加飾物品の回転を止めることが好ましい。
表面加飾用フィルムの第1の主表面における凸部や凹部の配列、成形体の形状等の影響を受けて、指を動かす方向によって表面加飾物品の印象が変化することがある。表面加飾物品の印象を視覚および触覚で評価する際には、指を動かす方向の違いによる表面加飾物品の印象の違いの影響を抑えるために、表面加飾物品の表面において、表面加飾物品が少し回転する程度の力で鉛直方向に直交する方向に指を押し引きしたり、鉛直方向に指を上下させたりすることが好ましい。
表面加飾物品の印象を視覚および触覚で評価する際には、表面加飾物品の表面に設けられた表面加飾用フィルムの継ぎ目の触覚が評価対象とならないようにするために、表面加飾物品の表面に設けられた表面加飾用フィルムの継ぎ目に被験者の指が触れないように指の位置を補助者が誘導することが好ましい。
表面加飾物品の印象を視覚および触覚で評価する際には、表面加飾物品の表面に指が触れたときの音による表面加飾物品の印象への影響を抑えるために、被験者にノイズキャンセルヘッドフォンを装着させることが好ましい。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の表面加飾用フィルムの第1の実施形態を示す断面図である。
表面加飾用フィルム10は、基材フィルム12と;基材フィルム12の第1の主表面側に設けられた硬化樹脂層14とを有する。
表面加飾用フィルム10は、硬化樹脂層14の表面に複数の半球形のマイクロレンズ16が六方格子の配列で配置されたマイクロレンズアレイフィルムである。
表面加飾用フィルム10においては、第1の主表面の動摩擦係数および算術平均粗さが前述した所定の範囲内とされる。
基材フィルム12は、熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムである。
熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、必要に応じて公知の添加剤等を含む。
熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、スチレン系樹脂、ポリエステル、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、ポリオレフィン、脂環式ポリオレフィン等が挙げられる。
硬化樹脂層14は、インプリント法によって基材フィルム12の第1の主表面側に形成された層である。硬化樹脂層14は、例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線を照射することで重合反応が進行し、硬化する樹脂組成物である。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、重合性化合物と、重合開始剤と、必要に応じて他の成分とを含む。
重合性化合物としては、例えば、分子中にラジカル重合性結合およびカチオン重合性結合のいずれか一方または両方を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー等が挙げられる。
ラジカル重合性結合を有するモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等を有する単官能モノマーや多官能モノマーが挙げられる。具体的には、(メタ)アクリレート、その誘導体等が挙げられる。
カチオン重合性結合を有するモノマーとしては、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等を有するモノマーが挙げられる。
オリゴマーまたは反応性ポリマーとしては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等の不飽和ポリエステル類;ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物、側鎖にラジカル重合性結合を有する前述のモノマーの単独または共重合ポリマー等が挙げられる。
重合開始剤としては、公知の光重合開始剤、電子線重合開始剤、熱重合開始剤等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて非反応性のポリマーを含んでいてもよい。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて酸化防止剤、離型剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、光安定剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、充填剤、シランカップリング剤、着色剤、強化剤、無機フィラー、耐衝撃性改質剤等の他の成分を含んでいてもよい。
(第2の実施形態)
図2は、本発明の表面加飾用フィルムの第2の実施形態を示す断面図である。
表面加飾用フィルム20は、基材フィルム22と;基材フィルム22の第1の主表面側に設けられた硬化樹脂層24とを有する。
表面加飾用フィルム20は、硬化樹脂層24の表面に複数のピラミッド型(四角錐形)の窪み26が隙間なく連続して正方格子の配列で配置されたマイクロプリズムフィルムである。
表面加飾用フィルム20においては、第1の主表面の動摩擦係数および算術平均粗さが前述した所定の範囲内とされる。
基材フィルム22としては、第1の実施形態における基材フィルム12と同様なものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
硬化樹脂層24は、インプリント法によって基材フィルム22の第1の主表面側に形成された層である。硬化樹脂層24は、例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、第1の実施形態における活性エネルギー線硬化性樹脂組成物と同様なものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
(第3の実施形態)
図3は、本発明の表面加飾用フィルムの第3の実施形態を示す断面図である。
表面加飾用フィルム30は、基材フィルム32と;基材フィルム32の第1の主表面側に設けられた硬化樹脂層34とを有する。
表面加飾用フィルム30は、硬化樹脂層34の表面に複数の断面三角形の凸条36と複数の断面三角形の溝38とが交互に隙間なく平行に配置されたマイクロプリズムフィルムである。
表面加飾用フィルム30においては、第1の主表面の動摩擦係数および算術平均粗さが前述した所定の範囲内とされる。
基材フィルム32としては、第1の実施形態における基材フィルム12と同様なものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
硬化樹脂層34は、インプリント法によって基材フィルム32の第1の主表面側に形成された層である。硬化樹脂層34は、例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、第1の実施形態における活性エネルギー線硬化性樹脂組成物と同様なものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
(他の実施形態)
本発明の表面加飾用フィルムは、規則的に配置された複数の凸部および規則的に配置された複数の凹部のいずれか一方または両方を第1の主表面に有し、第1の主表面の動摩擦係数および算術平均粗さが、前述した所定の範囲内であるものであればよく、図示例の表面加飾用フィルム10、20、30に限定されない。
例えば、本発明の表面加飾用フィルムは、硬化樹脂層の表面に凸部および凹部のいずれか一方または両方が形成されたものに限定されず、硬化樹脂層を設けることなく、基材フィルムの第1の主表面に凸部および凹部のいずれか一方または両方が直接形成されたものであってもよい。
また、本発明の表面加飾用フィルムは、基材フィルムと硬化樹脂層との間、または基材フィルムの第2の主表面側に加飾層をさらに有するものであってもよく;加飾層の第2の主表面側に隠蔽層をさらに有するものであってもよく;第1の主表面側の最表層に防汚層をさらに有するものであってもよく;第2の主表面側の最表層に粘着剤層または接着剤層をさらに有するものであってもよい。
加飾層としては、印刷法等で形成された印刷層、蒸着法で形成された蒸着層等が挙げられる。
(作用機序)
以上説明した本発明の表面加飾用フィルムにあっては、(i)規則的に配置された複数の凸部および規則的に配置された複数の凹部のいずれか一方または両方を第1の主表面に有すること、(ii)第1の主表面の動摩擦係数が0.8〜1.8であること、(iii)第1の主表面の算術平均粗さが0.11〜0.21μmであること、の3つの要件を一体不可分の要件とすることによって、見た目に対する触感の意外性を表面加飾物品に与えることができる。
すなわち、(i)の要件と(ii)の要件を有することによって、第1の主表面で指が滑りすぎることなく、触感による表面加飾物品の印象変化の効果が得られやすくなることで、表面加飾物品の視覚による印象が、これに触覚が加わることによって真逆に変化するという、触感による表面加飾物品の印象変化が起こりやすくなる。そして、(i)の要件と(iii)の要件を有することによって、触感の高い認識性を与える効果および再現性のある触感を得る効果が発揮される。そして、触感による表面加飾物品の印象変化と、触感の高い認識性および再現性のある触感との相乗効果によって、表面加飾物品の見た目から受ける印象と、表面加飾物品を触った際に受ける印象とのギャップによる驚きや感動といった、見た目に対する触感の意外性が確実に発揮される。
<表面加飾用フィルムの評価方法>
本発明の表面加飾用フィルムの評価方法は、表面加飾用フィルムを立体形状の成形体の表面に貼り付けた評価対象の表面加飾物品および表面加飾物品の印象を評価するための相反する形容詞対を複数の被験者に提示して表面加飾物品の印象をマイナスからプラスに段階的に変化する中央を0とした複数段階の尺度で評価するSD法によって表面加飾物品の印象を視覚のみで評価したときの複数名の被験者についての尺度の平均値Aと、前記SD法によって表面加飾物品の印象を視覚および触覚で評価したときの複数名の被験者についての尺度の平均値Bとが、A×B≦0(ただし、AおよびBの両方が0の場合を除く。)の関係を満足するときに、表面加飾用フィルムを、見た目に対する触感の意外性を表面加飾物品に与えるものと判定する方法である。
SD法による印象評価の結果、視覚のみで評価したときの印象の尺度の平均値Aと視覚および触覚で評価したときの印象の尺度の平均値BとがA×B≦0の関係を満足するということは、前述したように、表面加飾物品においては、表面加飾用フィルムが表面に設けられることによって、見た目に対する触感の意外性が発揮されているということになる。
SD法に用いる成形体の形状は、立体形状であればよい。SD法に用いる成形体の形状としては、前述した理由から、円筒形または円柱形が好ましい。
SD法に用いる形容詞対は、前述したように、表1に示す形容詞対やその他の形容詞対の中から、印象評価に適切であると思われる1つまたはそれ以上の形容詞対を選択すればよい。
SD法における被験者の数は、複数であればよい。被験者の個人差による評価結果の偏りを抑える点からは、被験者の数は多ければ多いほどよい。
SD法における尺度の段数は、通常、−2、−1、0、+1、+2の5段階または−3、−2、−1、0、+1、+2、+3の7段階である。
SD法による印象評価は、前述した理由から、暗室内で行うことが好ましい。
SD法による印象評価においては、前述した理由から、逆光条件下で表面加飾物品を被験者に提示することが好ましい。
表面加飾物品の印象を視覚のみで評価する際には、前述した理由から、表面加飾物品の鉛直方向の中心軸を回転軸として表面加飾物品を回転させることが好ましい。
表面加飾物品の印象を視覚および触覚で評価する際には、前述した理由から、表面加飾物品の回転を止めることが好ましい。
表面加飾物品の印象を視覚および触覚で評価する際には、前述した理由から、表面加飾物品の表面において、表面加飾物品が少し回転する程度の力で鉛直方向に直交する方向に指を押し引きしたり、鉛直方向に指を上下させたりすることが好ましい。
表面加飾物品の印象を視覚および触覚で評価する際には、前述した理由から、表面加飾物品の表面に設けられた表面加飾用フィルムの継ぎ目に被験者の指が触れないように指の位置を補助者が誘導することが好ましい。
表面加飾物品の印象を視覚および触覚で評価する際には、前述した理由から、被験者にノイズキャンセルヘッドフォンを装着させることが好ましい。
(作用機序)
以上説明した本発明の表面加飾用フィルムの評価方法にあっては、SD法によって表面加飾物品の印象を視覚のみで評価したときの印象の尺度の平均値Aと、SD法によって表面加飾物品の印象を視覚および触覚で評価したときの印象の尺度の平均値Bとを表面加飾用フィルムの評価基準として利用している。そして、視覚のみで評価したときの印象の尺度の平均値Aと視覚および触覚で評価したときの印象の尺度の平均値BとがA×B≦0(ただし、AおよびBの両方が0の場合を除く。)の関係を満足するということは、表面加飾物品の視覚による印象が、これに触覚が加わることによって真逆に変化するという、触感による表面加飾物品の印象変化が起こっていることを示している。よって、A×B≦0の関係を満足する表面加飾用フィルムを、表面加飾物品の見た目から受ける印象と、表面加飾物品を触った際に受ける印象とのギャップによる驚きや感動といった、見た目に対する触感の意外性を表面加飾物品に与えるものと判定することができる。
<表面加飾用フィルムの製造方法>
本発明の表面加飾用フィルムの製造方法は、規則的に配置された複数の凸部および規則的に配置された複数の凹部のいずれか一方または両方を第1の主表面に有する表面加飾用フィルムを製造する方法である。
本発明の表面加飾用フィルムの製造方法は、表面加飾用フィルムを設計する工程(I)と、工程(I)で設計された表面加飾用フィルムを製造する工程(II)とを有する。
(工程(I))
工程(I)においては、試作された表面加飾用フィルム(試作品)について本発明の表面加飾用フィルムの評価方法を実施し、見た目に対する触感の意外性を表面加飾物品に与えるものであると判定された表面加飾用フィルムにおける第1の主表面の動摩擦係数および算術平均粗さに基づいて、製品となる表面加飾用フィルムの第1の主表面の動摩擦係数および算術平均粗さを決定する。
製品となる表面加飾用フィルムの第1の主表面の動摩擦係数および算術平均粗さは、前述した所定の範囲内であることが好ましい。
製品となる表面加飾用フィルムの第1の主表面における凸部および凹部の形状、サイズ(幅、高さ、長さ等)、間隔、配置等は、見た目に対する触感の意外性を表面加飾物品に与えるものであると判定された試作品と同じであってもよく;第1の主表面の動摩擦係数および算術平均粗さが本発明の表面加飾用フィルムの評価方法で決定された値から大きく逸脱しない範囲内で、見た目に対する触感の意外性を表面加飾物品に与えるものであると判定された試作品と異なっていてもよい。
(工程(II))
工程(II)においては、工程(I)において決定された第1の主表面の動摩擦係数および算術平均粗さに基づいて第1の主表面における凸部および凹部の形状、サイズ(幅、高さ、長さ等)、間隔、配置等が設計された表面加飾用フィルムを製造する。
表面加飾用フィルムが基材フィルムの第1の主表面側に硬化樹脂層が設けられたものである場合、表面加飾用フィルムは、公知のインプリント法によって基材フィルムの第1の主表面側に硬化樹脂層を形成することによって製造される。
公知のインプリント法による表面加飾用フィルムの製造は、例えば、下記の手順にて行われる。
製品となる表面加飾用フィルムの第1の主表面の形状に対応した表面を有するモールドを用意する。モールドの表面に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を供給する。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の表面に基材フィルムを密着させる。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化樹脂層を形成する。硬化樹脂層からモールドを剥離し、表面加飾用フィルムを得る。
(作用機序)
以上説明した本発明の表面加飾用フィルムの製造方法にあっては、本発明の表面加飾用フィルムの評価方法によって、見た目に対する触感の意外性を表面加飾物品に与えるものであると判定された表面加飾用フィルムにおける第1の主表面の動摩擦係数および算術平均粗さに基づいて、製品となる表面加飾用フィルムの第1の主表面の動摩擦係数および算術平均粗さを決定している。そのため、見た目に対する触感の意外性を表面加飾物品に与えることができる表面加飾用フィルムを製造できる。
<表面加飾物品>
本発明の表面加飾物品は、本発明の表面加飾用フィルムを立体形状の成形体の表面に貼り付けたものである。
(成形体)
本発明の表面加飾用フィルムが貼り付けられる成形体は、立体形状の成形体であればよく、特に限定されない。
成形体の材料としては、樹脂、金属、ガラス、セラミックス、石、木材、紙、およびそれらの複合体等が挙げられる。
成形体の形状としては、円筒形、円柱形、角筒形、角柱形、円錐形、角錐形、円錐台形、角錐台形、多面体形、その他表面加飾物品の形状に応じた形状等が挙げられ、前述した理由から、円筒形または円柱形が好ましい。
(SD法による印象評価)
本発明の表面加飾物品としては、表面加飾物品および表面加飾物品の印象を評価するための相反する形容詞対を10名の被験者に提示して表面加飾物品の印象を−3、−2、−1、0、+1、+2、+3の7段階の尺度で評価するSD法によって表面加飾物品の印象を視覚のみで評価したときの10名の被験者についての尺度の平均値Aと、前記SD法によって表面加飾物品の印象を視覚および触覚で評価したときの10名の被験者についての尺度の平均値Bとが、A×B≦0(ただし、AおよびBの両方が0の場合を除く。)の関係を満足するものであることが好ましい。
SD法による印象評価は、前述した本発明の表面加飾用フィルムにおけるSD法による印象評価と同様に行えばよく、好ましい形態も同様である。
(作用機序)
以上説明した本発明の表面加飾物品は、本発明の表面加飾用フィルムを立体形状の成形体の表面に貼り付けたものであるため、見た目に対する触感の意外性を有する。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(動摩擦係数)
表面加飾用フィルムの第1の主表面の動摩擦係数は、JIS K 7125:1999に準拠し、表面性測定器(新東科学社製、TYPE:38)を用い、速度:100mm/min、おもり:200g/(□63mm)、接触部:フェルトの条件にて3回測定し、平均値を求めた。
(算術平均粗さ)
表面加飾用フィルムの第1の主表面の算術平均粗さRaは、JIS B 0601:2013に準拠し、レーザ顕微鏡(オリンパス社製、OLS−3000)を用い、倍率:1000倍の条件にて測定した。
(押し込み硬さ)
表面加飾用フィルムの第1の主表面側の押し込み硬さは、ISO 14577に準拠し、ナノインテンデーション法により、微小硬さ試験機(Fischerscope HM2000)を用い、圧子としてφ0.4mmボール圧子を用い、表面加飾用フィルムの第1の主表面側に300sで400mNまで荷重を加えて60s保持し、10sで0.4mNまで除荷して60s保持する条件にて3回測定し、平均値を求めた。
(SD法による印象評価)
表面加飾用フィルムを立体形状の成形体の表面に貼り付けた評価対象の表面加飾物品としては、図4に示す円筒形の表面加飾物品および四角錐形の表面加飾物品を用意した。表面加飾物品の幅、奥行、高さは、それぞれ7〜8cmであった。
被験者は、21〜24歳の男女10名(男性9名、女性1名)であった。
SD法による印象評価に用いる形容詞対としては、以下のものを用いた。
円筒形の表面加飾物品については、形容詞対として強い(マイナス)−弱い(プラス)を用いた。四角錐形の表面加飾物品については、形容詞対として軽い(マイナス)−重い(プラス)および不活発な(マイナス)−活発な(プラス)を用いた。
表面加飾物品の印象を評価するための尺度としては、等間隔に数値化された7段階の尺度、すなわち、マイナスの形容詞について「とても当てはまる」を−3、「まあ当てはまる」を−2、「やや当てはまる」を−1とし、プラスの形容詞について「とても当てはまる」を+3、「まあ当てはまる」を+2、「やや当てはまる」を+1とし、「どちらでもない」を0とした7段階の尺度を用いた。
SD法による印象評価は、暗室内で行った。
SD法による印象評価においては、図5に示すように、逆光条件下で表面加飾物品を被験者に提示した。
まずは、被験者から50cm離れた位置に設置された表面加飾物品および表面加飾物品の印象を評価するための相反する形容詞対を被験者に提示し、被験者に表面加飾物品を視覚のみで観察させ、その印象を7段階の尺度で評価させた。
表面加飾物品の印象を視覚のみで評価する際には、表面加飾物品の鉛直方向の中心軸を回転軸として表面加飾物品を回転させた。
ついで、表面加飾物品の回転を止めた後、被験者に表面加飾物品を両手の人差し指で触察させながら観察させ、その印象を7段階の尺度で評価させた。
表面加飾物品の印象を視覚および触覚で評価する際には、表面加飾物品の表面において、表面加飾物品が少し回転する程度の力で鉛直方向に直交する方向に指を押し引きしたり、鉛直方向に指を上下させたりした。
表面加飾物品の印象を視覚および触覚で評価する際には、表面加飾物品の表面に設けられた表面加飾用フィルムの継ぎ目に被験者の指が触れないように指の位置を補助者が誘導した。
表面加飾物品の印象を視覚および触覚で評価する際には、被験者にノイズキャンセルヘッドフォンを装着させた。
10名の被験者によるSD法による印象評価を終了した後、表面加飾物品と形容詞対の組み合わせごとに、表面加飾物品の印象を視覚のみで評価したときの10名の被験者についての尺度の平均値A、および表面加飾物品の印象を視覚および触覚で評価したときの10名の被験者についての尺度の平均値Bを算出した。A×B≦0の関係を満足する場合を〇、A×B≦0の関係を満足しない場合を×と判定した。
(実施例1)
複数の半球形の凹部(半径:25μm)が六方格子の配列で表面に配置されたモールド(凹部間の間隔:37μm、凹部の面積の割合:30%)を用意した。モールドの表面に紫外線硬化性樹脂組成物(三菱レイヨン社製、RP4000S)を塗布した。紫外線硬化性樹脂組成物の表面に基材フィルム(東洋紡社製、ポリエチレンテレフタレートフィルム、A4300、厚さ:125μm)を密着させた。紫外線硬化性樹脂組成物に紫外線(主波長:365nm、積算光量:1000mJ/cm)を照射し、紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化樹脂層を形成した。硬化樹脂層からモールドを剥離し、図1に示すような、硬化樹脂層の表面に複数の半球形のマイクロレンズ(半径:25μm)が六方格子の配列で配置された表面加飾用フィルム(マイクロレンズ間の間隔:37μm、マイクロレンズの面積の割合:30%、マイクロレンズがない部分の硬化樹脂層の厚さ:20μm)を得た。
表面加飾用フィルムの動摩擦係数、算術平均粗さおよび押し込み硬さを表2に示す。
表面加飾用フィルムを円筒形の成形体の表面および四角錐形の成形体の表面に貼り付けて円筒形の表面加飾物品および四角錐形の表面加飾物品を得た。
表面加飾物品についてSD法による印象評価を行った。SD法による印象評価結果を表3に示す。
(実施例2)
複数のピラミッド型(四角錐形)(幅:60μm、奥行:35μm、高さ:30μm)の凸部が隙間なく連続して正方格子の配列で表面に配置されたモールドを用意した。モールドを変更した以外は実施例1と同様にして、図2に示すような、硬化樹脂層の表面に複数のピラミッド型(四角錐形)の窪み(幅:60μm、奥行:35μm、深さ:30μm)が隙間なく連続して正方格子の配列で配置された表面加飾用フィルム(窪みの底部における硬化樹脂層の厚さ:30μm)を得た。
表面加飾用フィルムの動摩擦係数、算術平均粗さおよび押し込み硬さを表2に示す。
表面加飾用フィルムを円筒形の成形体の表面および四角錐形の成形体の表面に貼り付けて円筒形の表面加飾物品および四角錐形の表面加飾物品を得た。
表面加飾物品についてSD法による印象評価を行った。SD法による印象評価結果を表4に示す。
(比較例1)
表面が平滑なモールドを用意した。モールドを変更した以外は実施例1と同様にして、表面が平滑な硬化樹脂層(厚さ:20μm)を基材フィルムの表面に有する表面加飾用フィルムを得た。
表面加飾用フィルムの動摩擦係数、算術平均粗さおよび押し込み硬さを表2に示す。
表面加飾用フィルムを円筒形の成形体の表面および四角錐形の成形体の表面に貼り付けて円筒形の表面加飾物品および四角錐形の表面加飾物品を得た。
表面加飾物品についてSD法による印象評価を行った。SD法による印象評価結果を表5に示す。
(比較例2)
複数の断面三角形の凸条(頂角:90度、幅:50μm)と複数の断面三角形の溝(幅:50μm)とが交互に隙間なく平行に表面に配置されたモールドを用意した。モールドを変更した以外は実施例1と同様にして、図3に示すような、硬化樹脂層の表面に複数の断面三角形の凸条(頂角:90度、幅:50μm)と複数の断面三角形の溝(幅:50μm)とが交互に隙間なく平行に配置された表面加飾用フィルム(溝の底部における硬化樹脂層の厚さ:4μm)を得た。
表面加飾用フィルムの動摩擦係数、算術平均粗さおよび押し込み硬さを表2に示す。
表面加飾用フィルムを円筒形の成形体の表面および四角錐形の成形体の表面に貼り付けて円筒形の表面加飾物品および四角錐形の表面加飾物品を得た。
表面加飾物品についてSD法による印象評価を行った。SD法による印象評価結果を表6に示す。
実施例1、2の表面加飾用フィルムは、第1の主表面の動摩擦係数が0.8〜1.8であり、第1の主表面の算術平均粗さが0.11〜0.21μmであるため、SD法による印象評価の結果、A×B≦0の関係を満足した。
比較例1、2の表面加飾用フィルムは、第1の主表面の動摩擦係数が0.8〜1.8から外れ、かつ第1の主表面の算術平均粗さが0.11〜0.21μmから外れるため、SD法による印象評価の結果、A×B≦0の関係を満足しなかった。
本発明の表面加飾用フィルムを成形体の表面に貼り付けた表面加飾物品は、車両の内装部材、家電製品の筐体、建築部材等として有用である。
10 表面加飾用フィルム、
12 基材フィルム、
14 硬化樹脂層、
16 マイクロレンズ、
20 表面加飾用フィルム、
22 基材フィルム、
24 硬化樹脂層、
26 窪み、
30 表面加飾用フィルム、
32 基材フィルム、
34 硬化樹脂層、
36 凸条、
38 溝。

Claims (7)

  1. 規則的に配置された複数の凸部および規則的に配置された複数の凹部のいずれか一方または両方を第1の主表面に有し、
    前記第1の主表面の動摩擦係数が、0.8〜1.8であり、
    前記第1の主表面の算術平均粗さが、0.11〜0.21μmである、表面加飾用フィルム。
  2. 前記表面加飾用フィルムを立体形状の成形体の表面に貼り付けた評価対象の表面加飾物品および前記表面加飾物品の印象を評価するための相反する形容詞対を10名の被験者に提示して前記表面加飾物品の印象を−3、−2、−1、0、+1、+2、+3の7段階の尺度で評価するSD法によって前記表面加飾物品の印象を視覚のみで評価したときの前記10名の被験者についての前記尺度の平均値Aと、前記SD法によって前記表面加飾物品の印象を視覚および触覚で評価したときの前記10名の被験者についての前記尺度の平均値Bとが、A×B≦0(ただし、AおよびBの両方が0の場合を除く。)の関係を満足するものとなるような表面加飾用フィルムである、請求項1に記載の表面加飾用フィルム。
  3. 表面加飾用フィルムを立体形状の成形体の表面に貼り付けた評価対象の表面加飾物品および前記表面加飾物品の印象を評価するための相反する形容詞対を複数の被験者に提示して前記表面加飾物品の印象をマイナスからプラスに段階的に変化する中央を0とした複数段階の尺度で評価するSD法によって前記表面加飾物品の印象を視覚のみで評価したときの前記複数名の被験者についての前記尺度の平均値Aと、前記SD法によって前記表面加飾物品の印象を視覚および触覚で評価したときの前記複数名の被験者についての前記尺度の平均値Bとが、A×B≦0(ただし、AおよびBの両方が0の場合を除く。)の関係を満足するときに、前記表面加飾用フィルムを、見た目に対する触感の意外性を前記表面加飾物品に与えるものと判定する、表面加飾用フィルムの評価方法。
  4. 規則的に配置された複数の凸部および規則的に配置された複数の凹部のいずれか一方または両方を第1の主表面に有する表面加飾用フィルムを製造する方法であり、
    前記表面加飾用フィルムを設計する工程(I)と、前記工程(I)で設計された前記表面加飾用フィルムを製造する工程(II)とを有し、
    前記工程(I)においては、試作された表面加飾用フィルムについて請求項3に記載の表面加飾用フィルムの評価方法を実施し、見た目に対する触感の意外性を前記表面加飾物品に与えるものであると判定された表面加飾用フィルムにおける第1の主表面の動摩擦係数および算術平均粗さに基づいて、製品となる表面加飾用フィルムの第1の主表面の動摩擦係数および算術平均粗さを決定する、表面加飾用フィルムの製造方法。
  5. 請求項1または2に記載の表面加飾用フィルムを立体形状の成形体の表面に貼り付けた、表面加飾物品。
  6. 前記表面加飾物品および前記表面加飾物品の印象を評価するための相反する形容詞対を10名の被験者に提示して前記表面加飾物品の印象を−3、−2、−1、0、+1、+2、+3の7段階の尺度で評価するSD法によって前記表面加飾物品の印象を視覚のみで評価したときの前記10名の被験者についての前記尺度の平均値Aと、前記SD法によって前記表面加飾物品の印象を視覚および触覚で評価したときの前記10名の被験者についての前記尺度の平均値Bとが、A×B≦0(ただし、AおよびBの両方が0の場合を除く。)の関係を満足する、請求項5に記載の表面加飾物品。
  7. 前記成形体の形状が、円筒形または円柱形である、請求項5または6に記載の表面加飾物品。
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