JP2018052768A - 水素製造システム起動方法及び水素製造システム - Google Patents

水素製造システム起動方法及び水素製造システム Download PDF

Info

Publication number
JP2018052768A
JP2018052768A JP2016189702A JP2016189702A JP2018052768A JP 2018052768 A JP2018052768 A JP 2018052768A JP 2016189702 A JP2016189702 A JP 2016189702A JP 2016189702 A JP2016189702 A JP 2016189702A JP 2018052768 A JP2018052768 A JP 2018052768A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrogen
dehydrogenation
dehydrogenation reactor
circulation path
heating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016189702A
Other languages
English (en)
Inventor
慎弥 宇井
Shinya UI
慎弥 宇井
齋藤 秀介
Hidesuke Saito
秀介 齋藤
未来子 畑間
Mikiko Hatama
未来子 畑間
暁 山本
Akira Yamamoto
暁 山本
幸次郎 中川
Kojiro Nakagawa
幸次郎 中川
智三 永塚
Tomozo Nagatsuka
智三 永塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fuji Electric Co Ltd
Eneos Corp
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
JX Nippon Oil and Energy Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Electric Co Ltd, JX Nippon Oil and Energy Corp filed Critical Fuji Electric Co Ltd
Priority to JP2016189702A priority Critical patent/JP2018052768A/ja
Publication of JP2018052768A publication Critical patent/JP2018052768A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)

Abstract

【課題】脱水素触媒の劣化を抑制して安定して水素を製造可能な水素製造システム起動方法を提供すること。
【解決手段】有機ハイドライドを脱水素反応により水素を含む脱水素反応物に分解する脱水素反応器と、前記脱水素反応物を気液分離する気液分離器と、気液分離器にて気液分離された前記脱水素反応物から水素含有物を生成する精製器と、を有する水素製造システムを起動させる水素製造システム起動方法であって、前記脱水素反応器を通る水素循環経路に水素を充填する水素充填工程と、前記脱水素反応器を通る熱媒循環経路を循環させる熱媒体を加熱する熱媒昇温工程と、前記水素循環経路において水素を循環させ、前記脱水素反応器における熱媒体との熱交換により前記水素循環経路を循環する水素を加熱するシステム昇温工程と、前記精製器を起動する精製器起動工程と、前記脱水素反応器に有機ハイドライドを導入する導入工程と、を有する水素製造システム起動方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、水素製造システム起動方法及び水素製造システムに関する。
有機ハイドライドを脱水素反応により分解する脱水素触媒を有する脱水素反応器を有し、脱水素反応器により得られる脱水素反応物から水素を精製する水素製造システムが知られている。
特開2016−40217号公報
水素製造システムでは、脱水素反応器内の脱水素触媒を劣化させることなく、安定して水素を製造できるように起動する必要がある。
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、脱水素触媒の劣化を抑制して安定して水素を製造可能な水素製造システム起動方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、有機ハイドライドを脱水素反応により水素を含む脱水素反応物に分解する脱水素反応器と、前記脱水素反応物を気液分離する気液分離器と、気液分離器にて気液分離された前記脱水素反応物から水素含有物を生成する精製器と、を有する水素製造システムを起動させる水素製造システム起動方法であって、前記脱水素反応器を通る水素循環経路に水素を充填する水素充填工程と、前記脱水素反応器を通る熱媒循環経路を循環させる熱媒体を加熱する熱媒昇温工程と、前記水素循環経路において水素を循環させ、前記脱水素反応器における熱媒体との熱交換により前記水素循環経路を循環する水素を加熱するシステム昇温工程と、前記精製器を起動する精製器起動工程と、前記脱水素反応器に有機ハイドライドを導入する導入工程と、を有する。
本発明の実施形態によれば、脱水素触媒の劣化を抑制して安定して水素を製造可能な水素製造システム起動方法が提供される。
実施形態における水素製造システムの構成を例示する図である。 実施形態における水素製造システムの制御部を含む構成を例示する図である。 実施形態における起動処理のフローチャートを例示する図である。 実施形態における導入工程を説明するための図である。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
図1は、実施形態における水素製造システム1の構成を例示する図である。水素製造システム1は、例えば燃料電池自動車や水素エンジン車等に水素を供給する水素ステーション等に設けられ、脱水素反応により有機ハイドライドから水素を製造する。
図1に示されるように、水素製造システム1は、脱水素反応系1A及び水素分離系1Bを有する。脱水素反応系1Aは、脱水素反応器10により有機ハイドライドを水素と脱水素物質とに分解し、水素、脱水素物質、及び未分解反応物を含む脱水素反応物を出力する。水素分離系1Bは、脱水素反応系1Aから出力される脱水素反応物から気液分離器35及び精製器30により水素を分離・精製して製品水素を出力する。
有機ハイドライドは、不飽和結合を有する有機化合物の水素化物である。脱水素触媒を用いることで、有機ハイドライドを水素及び脱水素物質(不飽和結合を有する有機化合物)を含む脱水素反応物に分解することができる。有機ハイドライドは、ガソリン等と同様に液体燃料としてタンクローリー等で水素製造システム1に輸送することができるため、常温常圧下で液体状のものが好ましい。以下では、有機ハイドライドとしてメチルシクロヘキサン(以下、「MCH」と称する)を用いた場合について説明するが、有機ハイドライドはこれに限られるものではない。
なお、不飽和結合を有する有機化合物とは、二重結合あるいは三重結合を分子内に一つ以上有し、常温常圧下で液状の有機化合物である。二重結合としては、炭素−炭素二重結合(C=C)、炭素−窒素二重結合(C=N)、炭素−酸素二重結合(C=O)、窒素−酸素二重結合(N=O)が例示される。三重結合としては、炭素−炭素三重結合、炭素−窒素三重結合が例示される。不飽和結合を有する有機化合物としては、貯蔵性及び輸送性の観点から、常温常圧下で液体状の有機化合物であることが好ましい。
不飽和結合を有する有機化合物としては、例えばオレフィン類、ジエン類、アセチレン類、ベンゼン、炭素鎖置換芳香族類、へテロ置換芳香族類、多環芳香族類、シフ塩基類、ヘテロ芳香族類、ヘテロ5員環化合物類、キノン類、ケトン類等が挙げられる。オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン等が挙げられる。ジエン類としては、アレン、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、へブタジエン、オクタジエン、ピペリレン、イソプレン等が挙げられる。アセチレン類としては、アセチレン、プロピン、ビニルアセチレン等が挙げられる。炭素鎖置換芳香族類としては、アルキル置換芳香族類等が挙げられる。アルキル置換芳香族類としては、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、クメン、安息香酸等が挙げられる。へテロ置換芳香族類としては、アニソール、ジメトキシベンゼン、フェノール、アニリン、N、N−ジメチルアニリン等が挙げられる。多環芳香族類としては、ナフタレン、メチルナフタレン、アントラセン、テトラセン、フェナントレン、テトラリン、アズレン等が挙げられる。シフ塩基類としては、2-aza-hept-1-en-1-yl-cyclohexane等が挙げられる。ヘテロ芳香族類としては、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン等が挙げられる。ヘテロ5員環化合物類としては、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール等が挙げられる。キノン類としては、ベンゾキノン、ナフトキノン等が挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
上記した不飽和化合物の中でも、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ナフタレン、メチルナフタレン、テトラリン等(以下、「ベンゼン等」と称する)は、水素化の前後において非水溶性であり、水と相分離可能であるため、生成物としての回収が非常に容易である点において、アセトン等の水溶性の有機化合物よりも好ましい。これらベンゼン等として、純粋な化合物を用いても良いし、複数の化合物の混合物を用いても良い。
図1に示されるように、タンクローリー等により輸送されたMCHは、タンクT1に貯留される。タンクT1に貯留されているMCHは、ポンプP1により吸い上げられて脱水素反応系1Aに供給される。ポンプP1からの吐出流量は、フローコントローラ100により制御される。
ポンプP1から吐出されたMCH(L1)は、予熱器11により例えば20〜120℃に加熱される。予熱器11により加熱された液状のMCH(L2)は、蒸発器12によりさらに加熱されて蒸発し、例えば180℃の気化されたMCH(V1)となる。
蒸発器12によるMCH(L2)の加熱温度は、温度コントローラ204により制御される。温度コントローラ204は、例えば蒸発器12により加熱気化されたMCH(V1)の温度を検出する温度センサ等を有し、MCH(V1)の検出温度に基づいて蒸発器12の加熱温度を制御する。
蒸発器12により気化されたMCH(V1)は、加熱器13により例えば300℃まで加熱され、MCH(V2)として脱水素反応器10に供給される。
脱水素反応器10は、例えばシリコン系オイル等の熱媒体が流される流路を有し、脱水素触媒が充填されてMCH(V2)が供給される複数の配管が設けられている。脱水素反応器10は、熱媒ボイラ21から供給される熱媒体により加熱される。熱媒体は、例えば、脱水素反応器10内がMCH(V2)の脱水素反応が効率良く行われる300℃程度となるように、熱媒ボイラ21により350℃程度に加熱されて脱水素反応器10に供給される。
脱水素反応器10に供給されたMCH(V2)は、水素とトルエンに分解され、水素、トルエン、及び未分解のMCHを含む脱水素反応物V3として、例えば330℃程度の温度で脱水素反応器10から排出される。
脱水素反応物V3は、加熱器13において、加熱器13を通るMCH(V1)と熱交換を行う。加熱器13において熱交換した脱水素反応物V3は、例えば215℃程度に温度が下がった脱水素反応物V4となる。加熱器13を通った脱水素反応物V4は、予熱器11において、予熱器11を通るMCH(L1)と熱交換を行う。予熱器11において熱交換された脱水素反応物V5は、例えば140℃程度まで温度が下がった状態で水素分離系1Bに出力される。
予熱器11において脱水素反応物V4とMCH(L1)とが熱交換することで、蒸発器12におけるMCH(L2)と熱媒体との熱交換量を減らすことができ、熱媒体を加熱するためのエネルギー消費を抑制し、システム全体のエネルギー効率を高めることができる。
脱水素反応器10に供給される熱媒体L11は、熱媒ボイラ21において加熱される。脱水素反応器10を通って脱水素反応により吸熱された熱媒体L12は、蒸発器12においてMCH(L2)と熱交換してMCHを加熱気化させる。蒸発器12において温度が下がった熱媒体L13は、ポンプP2により再び熱媒ボイラ21において加熱される。
本実施形態では、熱媒体としてシリコン系オイルを用いているが、熱媒体はこれに限られるものではない。熱媒体は、タンクT2に貯留されており、熱媒体の循環経路において熱媒体が不足する場合に適宜補給される。また、熱媒体は、循環経路において熱媒体が多い場合にはタンクT2に戻される。
熱媒ボイラ21は、供給されるLPガスG1及び空気G2を燃焼して熱媒体L13を加熱する。空気G2は、ブロア22により吸引されて熱媒ボイラ21に供給される。熱媒ボイラ21で燃焼した燃焼ガスG3は、燃焼排ガスとして装置外に排出される。熱媒ボイラ21により加熱された熱媒体L11は、脱水素反応器10及び蒸発器12等を通り、脱水素反応器10やMCHを加熱する。
熱媒ボイラ21に供給される熱媒体の流量は、脱水素反応器10内の温度に基づいて温度コントローラ200により制御される。温度コントローラ200は、例えば脱水素反応器10内の温度を検出する温度センサを有し、脱水素反応器10内の温度に基づいてポンプP2を制御して熱媒体の流量を調整する。
また、熱媒ボイラ21に供給されるLPガスG1の流量は、脱水素反応器10に供給される熱媒体L11の温度に基づいて温度コントローラ201により制御される。温度コントローラ201は、例えば熱媒体L11の温度を検出する温度センサを有し、熱媒体L11の温度に基づいて制御弁を制御して熱媒ボイラ21で燃焼させるLPガスG1の流量を調整する。
なお、本実施形態では、熱媒ボイラ21により加熱した熱媒体で脱水素反応器10を加熱している。脱水素反応器10を熱媒体で加熱することで、例えばバーナーにより直接加熱する構成に比べて、脱水素反応器10をより均一に加熱することができるため脱水素反応器10の温度制御をより安定して行うことが可能になる。
上記したように、脱水素反応系1Aにおける加熱器13は、脱水素反応器10から排出される脱水素反応物V3の熱エネルギーを用いて、脱水素反応器10に供給されるMCH(V1)を加熱する。また、予熱器11は、加熱器13による熱交換後の脱水素反応物V4の熱エネルギーを用いて、蒸発器12に供給するMCH(L1)を予熱する。このように、脱水素反応物V3、V4の熱エネルギーを用いることで、熱媒体がMCHを加熱するのに必要なエネルギーを低減し、システム全体のエネルギー効率を向上させることが可能になっている。
加熱器13を通って予熱器11から排出される脱水素反応物V5は、水素分離系1Bに供給される。脱水素反応物V5は、冷却器31により例えば40℃程度まで冷却され、気液分離器35により気液分離される。気液分離器35で液状物質から分離されて水素含有量が高められた気体成分である脱水素反応物V6は、コンプレッサP3により加圧される。脱水素反応物V6は、加圧されることで温度が上昇するが、冷却器33により例えば90℃程度まで冷却される。
冷却器33により冷却された脱水素反応物V30は、精製器30に供給される。精製器30は、例えば膜分離機構や、圧力スイング吸着(PSA:Pressure Swing Adsorption)方式の水素分離器であるPSA装置や、温度スイング吸着(TSA:Temperature Swing Adsorption)方式等により、脱水素反応物V30を水素濃度が基準値未満の第1水素含有物と水素濃度が基準値以上の第2水素含有物とに分離する。
膜分離機構に採用される水素分離膜としては、コンプレッサP3から入力される圧力(例えば900kPa以上)に耐え得るものが好ましく、例えば、カーボン膜、パラジウム膜、ゼオライト膜等が挙げられる。耐圧性や小さい差圧での実用化の観点ではカーボン膜及びゼオライト膜が比較的好ましく、振動に対する機械的強度の観点からカーボン膜が特に好ましい。カーボン膜は、分子量の小さい水素を透過し、トルエンや未分解物質等の相対的に分子量の大きいものを透過しない機能を有する。
コンプレッサP3は、例えば200kPaの脱水素反応物V6を900kPaまで昇圧し、脱水素反応物V30として精製器30に供給する。精製器30における分離時の差圧は例えば200kPaであり、精製器30により例えば90℃で700kPaの第2水素含有物V31が精製される。精製器30により精製された第2水素含有物V31は、冷却器34及びフローコントローラ101により、圧力及び温度が調整されて製品水素となる。
ここで、圧力コントローラ400は、脱水素反応物V6を所定の圧力まで加圧するようにコンプレッサP3を制御する。所定の圧力は、例えば、圧力損失を考慮して精製器30における水素分離により生じる差圧200kPaと、精製器30により分離された第2水素含有物V31の外部出力の圧力700kPaとを合わせた圧力900kPa以上、ただし1MPa未満に設定される。
コンプレッサP3が脱水素反応物V6を加圧する圧量を上記した所定の圧力に設定することで、精製器30の後段に製品水素として必要な圧力に昇圧させるためのコンプレッサを設ける必要がなくなり、装置全体を小型化することができる。また、コンプレッサを分散配置することなく、大型のコンプレッサに集約することにより圧力効率を高めることができるため、精製器30による水素精製処理に必要なエネルギー及び製品水素の供給処理に必要となるトータルエネルギーを削減することができる。
なお、気液分離器35及び精製器30において液状物質として分離されたトルエン含有量の大きい液化物L22は、タンクT3に回収される。タンクT3に回収された回収トルエンは、水素と反応させることにより水素化物(MCH)として再び使用することができる。
また、精製器30において分離された水素濃度が基準値未満の第1水素含有物G31は、フローコントローラ102により流量が調整されて加熱器13を通って脱水素反応器10に供給される。第1水素含有物G31を脱水素反応器10に供給することで、脱水素反応器10内の脱水素触媒の劣化を抑制することができる。本実施形態では、第1水素含有物G31を脱水素反応器10の入力側(上流側)から入力することで、相対的に水素量が少ない入力側におけるコーキング現象の発生をより効果的に抑制することができる。なお、第1水素含有物G31をLPガスと共に熱媒ボイラ21に供給し、熱媒体L13を加熱する燃料として用いてもよい。
水素分離系1Bに設けられている温度コントローラ202、203は、冷却器31、33から排出される脱水素反応物V6、V30の温度を検出し、各冷却器31、33に流入する冷却水の流量を調整することで温度制御を行っている。冷却器31、33は、必要冷却能力が小さいため、クーリングタワーを介して自然冷却した冷却水を用いている。
気液分離器35において液化したトルエンの排出量は、レベルコントローラ301により制御される。レベルコントローラ301は、検出する液面が所定高さ以上となった場合にバルブを開いてトルエンL21をタンクT3に排出する。
実施形態における水素製造システム1には、MCHを貯留するタンクT1とポンプP1との間のMCHの供給経路に第1開閉弁401が設けられている。冷却器33と精製器30との間には、第2開閉弁402が設けられている。また、気液分離器35とコンプレッサP3との間には、第1切替弁501及び第2切替弁502が設けられている。
第1開閉弁401、第2開閉弁402、第1切替弁501、及び第2切替弁502は、例えば電磁弁であり、後述する制御部により制御されて開閉する。第1切替弁501及び第2切替弁502は、それぞれ開閉することで、気液分離器35からの排出先を精製器30又は装置外に切り替える。
図2は、実施形態における水素製造システム1の制御部50を含む構成を例示する図である。
制御部50は、熱媒ボイラ21、精製器30、フローコントローラ100〜102、温度コントローラ200〜204、圧力コントローラ400、ポンプP1、P2、コンプレッサP3、開閉弁401、402、及び切替弁501、502に接続され、各部の動作を制御する。制御部50が有する機能は、例えば、CPUにより実行されるプログラム、複数の回路等により実現される。
制御部50は、熱媒体を所定の温度に加熱するように熱媒ボイラ21を制御する。より具体的には、制御部50は、熱媒ボイラ21へのLPガスG1や空気G2の供給量、熱媒体の流量等を制御する。また、制御部50は、脱水素反応物V30から水素が精製されるように精製器30に設けられているポンプや冷却器、凝縮器等を制御する。
また、制御部50は、フローコントローラ100〜102、温度コントローラ200〜204、圧力コントローラ400、ポンプP1、P2、及びコンプレッサP3を制御し、各部を流れるMCH、熱媒体、脱水素反応物、及び製品水素等の温度や流量、圧力を制御する。
また、制御部50は、第1開閉弁401、第2開閉弁402、第1切替弁501、及び第2切替弁502を制御してそれぞれ開弁又は閉弁させ、MCH、脱水素反応物、及び製品水素等の流通経路を切り替える。
図3は、実施形態における起動処理のフローチャートを例示する図である。水素製造システム1では、起動時に以下で説明する起動処理が実行される。以下、起動処理において実行される各工程について説明する。なお、水素製造システム1は、脱水素反応器10及び脱水素反応器10に通じる配管に窒素が充填された状態で停止する。
(ステップS101:水素充填工程)
水素充填工程では、制御部50が、第1開閉弁401及び第2開閉弁402を閉弁した状態で、脱水素反応器10及び脱水素反応器10に通じる配管に水素を充填する。
制御部50は、図1には不図示のポンプを駆動させて、製品水素が貯留されている水素タンクから脱水素反応系1Aに水素を供給する。水素タンクから脱水素反応系1Aに供給される水素は、加熱器13を通って脱水素反応器10に導かれる。また、脱水素反応器10を通った水素は、再び加熱器13を通り、さらに予熱器11を通って水素分離系1Bに導かれる。水素分離系1Bに導かれた水素は、冷却器31、気液分離器35、及び冷却器33を通り、再び脱水素反応系1Aに導かれる。
制御部50は、上記したように水素を充填する間に、第1切替弁501及び第2切替弁502をそれぞれ開閉させて、停止状態で脱水素反応器10及び脱水素反応器10に通じる配管に充填されていた窒素を装置外に排出する。
このように、水素充填工程では、製品水素が貯留されている水素タンクから供給される水素を、脱水素反応器10及び脱水素反応器10に通じる配管に充填する。
例えば窒素が充填されている状態で脱水素反応器10を加熱すると、脱水素触媒が劣化する場合があるが、起動時に脱水素反応器10に水素を充填しておくことで、脱水素触媒の劣化を抑制することができる。
(ステップS102:熱媒昇温工程)
熱媒昇温工程では、制御部50が、ポンプP2を駆動させて、熱媒ボイラ21、脱水素反応器10、及び蒸発器12を通る熱媒循環経路において熱媒体を循環させる。また、制御部50は、熱媒ボイラ21により熱媒循環経路を循環する熱媒体を加熱する。熱媒ボイラ21により加熱された熱媒体が熱媒循環経路を循環することで、脱水素反応器10及び蒸発器12が加熱される。
(ステップS103:システム昇温工程)
システム昇温工程では、制御部50が、コンプレッサP3を駆動させて、脱水素反応器10、加熱器13、及び予熱器11を通る水素循環経路において充填されている水素を循環させる。
水素循環経路を循環する水素は、脱水素反応器10において熱媒体と熱交換するとともに、コンプレッサP3により配管内で断熱圧縮されることで温度が上昇する。また、水素循環経路において加熱及び断熱圧縮により昇温した水素が加熱器13及び予熱器11を通ることで、加熱器13及び予熱器11が昇温する。
昇温した水素が水素循環経路を循環して加熱器13及び予熱器11を加熱することで、上記したように、水素製造時に熱媒体がMCHを加熱するのに必要なエネルギーを低減し、システム全体のエネルギー効率を向上させることができる。
(ステップS104:精製器起動工程)
精製器起動工程では、制御部50が、精製器30の各部を制御して水素を精製可能な状態にする。制御部50は、例えば、負圧をかけて吸着塔からガスを抜いたり、脱水素反応物を受け入れられるように制御弁を開弁したり、冷却器の温度を下げたりする。
(ステップS105:導入工程)
導入工程では、制御部50が、第1開閉弁401を開弁するとともにポンプP1を駆動させ、タンクT1から予熱器11、蒸発器12、及び加熱器13を通じて脱水素反応器10にMCHを導入する。また、制御部50は、第2開閉弁402を開弁して、脱水素反応物を精製器30に導く。精製器30は、脱水素反応物から水素濃度が基準値未満の第1水素含有物と水素濃度が基準値以上の第2水素含有物とに分離する。精製器30により精製された第2水素含有物は、圧力及び温度が調整されて製品水素となる。
図4は、実施形態における導入工程を説明するための図である。図4(A)は、水素熱量とMCH熱量の関係を例示するグラフである。図4(B)は、水素流量、MCH流量、及び脱水素反応器10の入口温度を例示するグラフである。
脱水素反応器10にMCHを導入する場合には、水素循環経路に水素を流して循環させながら、MCHの導入量を段階的に増やしていく。この場合において、図4(A)に示されるように、予熱器11、蒸発器12、及び加熱器13を通って脱水素反応器10に導入されるMCHの熱量(MCH熱量)が、水素循環経路を流れる水素の熱量(水素熱量)を超えないようにMCHの流量を調整する。
例えば、図4(A)に示されるように、導入工程における初期段階(制御段階0)において水素熱量が約9kWの場合には、次の制御段階1において、MCH熱量が9kWを超えない流量(約4.5kmol/h)で脱水素反応器10にMCHを供給する。
脱水素反応器10にMCHが供給されることで、図4(B)に示されるように、制御段階2において水素流量が大きく増加する。ここで、制御部50は、第2開閉弁402を開弁し、脱水素反応器10から出力される脱水素反応物を精製器30に導入して水素の精製を開始する。
以降の制御段階においても、同様にMCH熱量が水素熱量を超えない流量となるように、MCHの流量を段階的に増やしていく。図4に示す例では、水素流量とMCH流量との比率(水素流量/MCH流量)が0.5になるまで、MCH流量を段階的に増やしている。
ここで、脱水素反応器10のMCHが導入される入口付近では、吸熱反応である脱水素反応が急激に進行するため最も温度が低くなる。脱水素反応器10の入口温度がMCHの凝縮温度を下回ると、脱水素反応器10の入口においてMCHが再凝縮して液体となり、脱水素触媒の性能が大きく低下することになる。
しかし、上記したようにMCH熱量が水素熱量を超えないようにMCH流量を段階的に増やすことで、脱水素反応器10の入口温度をMCHの凝縮温度より高く保ち、MCHの再凝縮を防ぐことができる。
以上で説明したように、本実施形態における水素製造システム1によれば、起動時に上記した起動処理を実行することで、起動時における脱水素反応器10の脱水素触媒の劣化を抑制して安定して水素を製造することが可能になる。このため、このため、本実施形態における水素製造システム1は、長期に渡って安定して水素を製造し続けることが可能になる。
以上、実施形態に係る水素製造装置及び水素製造方法について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。なお、上記した実施形態の各部における温度や圧力等は、例示した値に限定されるものではない。また、起動処理の各工程は、順番が入れ替えられてもよく、複数の工程が同時に実行されてもよい。
1 水素製造システム
1A 脱水素反応系
1B 水素分離系
10 脱水素反応器
21 熱媒ボイラ
30 精製器
35 気液分離器
50 制御部
100、101、102 フローコントローラ
200、201、202、203 温度コントローラ
301 レベルコントローラ
400 圧力コントローラ
P1、P2 ポンプ
P3 コンプレッサ

Claims (6)

  1. 有機ハイドライドを脱水素反応により水素を含む脱水素反応物に分解する脱水素反応器と、
    前記脱水素反応物を気液分離する気液分離器と、
    気液分離器にて気液分離された前記脱水素反応物から水素含有物を生成する精製器と、を有する水素製造システムを起動させる水素製造システム起動方法であって、
    前記脱水素反応器を通る水素循環経路に水素を充填する水素充填工程と、
    前記脱水素反応器を通る熱媒循環経路を循環させる熱媒体を加熱する熱媒昇温工程と、
    前記水素循環経路において水素を循環させ、前記脱水素反応器における熱媒体との熱交換により前記水素循環経路を循環する水素を加熱するシステム昇温工程と、
    前記精製器を起動する精製器起動工程と、
    前記脱水素反応器に有機ハイドライドを導入する導入工程と、を有する
    ことを特徴とする水素製造システム起動方法。
  2. 前記水素充填工程は、前記脱水素反応器及び前記脱水素反応器に通じる配管に水素を充填する
    ことを特徴とする請求項1に記載の水素製造システム起動方法。
  3. 前記熱媒昇温工程は、熱媒ボイラにより前記熱媒循環経路を循環する熱媒体を加熱する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の水素製造システム起動方法。
  4. 前記システム昇温工程は、前記脱水素反応器における熱媒体との熱交換で加熱された水素により、前記水素循環経路に設けられて前記脱水素反応器に導入される有機ハイドライドを加熱する加熱器の温度を上げる
    ことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の水素製造システム起動方法。
  5. 前記導入工程は、前記脱水素反応器に導入する有機ハイドライドの流量と、前記水素循環経路を循環する水素の流量とが所定の比率になるまで、前記脱水素反応器に導入する有機ハイドライドの流量を段階的に増やす
    ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の水素製造システム起動方法。
  6. 有機ハイドライドを脱水素反応により水素を含む脱水素反応物に分解する脱水素反応器と、
    前記脱水素反応物を気液分離する気液分離器と、
    気液分離器にて気液分離された前記脱水素反応物から水素含有物を生成する精製器と、
    起動時に起動処理を実行する制御部と、を有し
    前記起動処理は、
    前記脱水素反応器を通る水素循環経路に水素を充填する水素充填工程と、
    前記脱水素反応器を通る熱媒循環経路を循環させる熱媒体を加熱する熱媒昇温工程と、
    前記水素循環経路において水素を循環させ、前記脱水素反応器における熱媒体との熱交換により前記水素循環経路を循環する水素を加熱するシステム昇温工程と、
    前記精製器を起動する精製器起動工程と、
    前記脱水素反応器に有機ハイドライドを導入する導入工程と、を含む
    ことを特徴とする水素製造システム。
JP2016189702A 2016-09-28 2016-09-28 水素製造システム起動方法及び水素製造システム Pending JP2018052768A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016189702A JP2018052768A (ja) 2016-09-28 2016-09-28 水素製造システム起動方法及び水素製造システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016189702A JP2018052768A (ja) 2016-09-28 2016-09-28 水素製造システム起動方法及び水素製造システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018052768A true JP2018052768A (ja) 2018-04-05

Family

ID=61832809

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016189702A Pending JP2018052768A (ja) 2016-09-28 2016-09-28 水素製造システム起動方法及び水素製造システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018052768A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110872643A (zh) * 2018-09-03 2020-03-10 中国石油化工股份有限公司 临氢设备开停工过程恒温脱氢操作的安全指导方法
WO2021200674A1 (ja) * 2020-03-30 2021-10-07 Eneos株式会社 水素供給システム

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110872643A (zh) * 2018-09-03 2020-03-10 中国石油化工股份有限公司 临氢设备开停工过程恒温脱氢操作的安全指导方法
CN110872643B (zh) * 2018-09-03 2021-11-05 中国石油化工股份有限公司 临氢设备开停工过程恒温脱氢操作的安全指导方法
WO2021200674A1 (ja) * 2020-03-30 2021-10-07 Eneos株式会社 水素供給システム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2442819C1 (ru) Способ работы устройства для переработки попутных нефтяных газов
US9340421B2 (en) Hydrogen supply system
KR102313211B1 (ko) 연료 전지 시스템 및 연료 전지 시스템을 작동시키는 방법
JP2018052768A (ja) 水素製造システム起動方法及び水素製造システム
JP2016000679A (ja) 水素製造装置及び水素製造方法
JP6238842B2 (ja) 水素製造装置およびその運転方法
JP2018012610A (ja) 水素製造装置及び水素製造方法
JP2015227255A (ja) 水素供給システム
JP2017065937A (ja) 水素製造装置及び水素製造方法
JP2018002486A (ja) 水素製造装置
JP2016040218A (ja) 脱水素化システム、及び脱水素化システムの運転方法
US20230111727A1 (en) Hydrogen supply system
JP2017001914A (ja) 水素製造装置及び水素製造方法
JP6830819B2 (ja) 水素製造装置
JP2016000678A (ja) 水素製造装置及び水素製造方法
JP6376999B2 (ja) 水素製造装置及び水素製造方法
JP2016169134A (ja) 脱水素反応器
JP2016169133A (ja) 水素製造装置及び水素製造方法
JP2018052778A (ja) 水素製造装置及び水素製造方法
JP6086976B2 (ja) 水素供給システムの運転方法、水素供給設備及び水素供給システム
JP2016000677A (ja) 水素製造装置及び水素製造方法
KR20240021945A (ko) 암모니아 분해 프로세스
JP2018002487A (ja) 水素製造装置
JP2018002566A (ja) 水素製造装置
WO2014065020A1 (ja) サチュレータ及びこれを備える天然ガス改質システム