JP2018002487A - 水素製造装置 - Google Patents

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太一郎 加藤
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功夫 中川
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暁 山本
幸次郎 中川
Kojiro Nakagawa
幸次郎 中川
智三 永塚
Tomozo Nagatsuka
智三 永塚
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Abstract

【課題】蒸発された有機ハイドライドが凝縮して脱水素反応器内に供給されることによる脱水素反応器内の脱水素触媒の劣化を防止すること。【解決手段】ポンプP11を介して供給される有機ハイドライドを脱水素反応器10によって水素と脱水素物質とに分解し、水素精製器30によって前記水素および前記脱水素物質を含んでなる脱水素反応物から水素を精製する水素製造装置1であって、ポンプP11から供給される有機ハイドライドを蒸発させる蒸発器12と、蒸発器12から導出された有機ハイドライドを加熱して脱水素反応器10に導出する加熱器13と、蒸発器12から脱水素反応器10までの所定間の有機ハイドライドの温度を検出する温度検出部501〜504と、装置起動時に、前記所定間の有機ハイドライドの温度が所定温度以上となった場合にポンプP11を起動して有機ハイドライドの供給を開始する制御部500と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、脱水素反応器の前段に設けられた蒸発器によって蒸発された有機ハイドライドが凝縮して脱水素反応器内に供給されることによる脱水素反応器内の脱水素触媒の劣化を防止することができる水素製造装置に関する。
従来から、有機ハイドライドの一種である芳香族炭化水素の水素化物を加熱して水素と脱水素物質とに分解する脱水素反応器によって生成された脱水素反応物を水素精製器によって水素を精製する水素ステーションなどの水素製造装置が知られている。
なお、特許文献1には、車両に脱水素反応器を設け、車両運転中に脱水素反応器の触媒の温度を温度センサによって測定し、触媒の温度が所定温度よりも下がった場合に、触媒の温度を昇温させる制御を行うものが記載されている。また、特許文献1には、触媒の温度が所定温度よりも低い場合に、水素化燃料の供給停止を行うものが記載されている。
特開2006−226167号公報
ところで、水素製造装置では、脱水素反応器によって有機ハイドライドを加熱して水素と脱水素物質とに分解する際、脱水素触媒を用いてこの分解を促進している。この脱水素触媒は、脱水素反応器内に供給された有機ハイドライドが蒸発状態ではなく、凝縮状態であると、劣化する可能性が高い。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、脱水素反応器の前段に設けられた蒸発器によって蒸発された有機ハイドライドが凝縮して脱水素反応器内に供給されることによる脱水素反応器内の脱水素触媒の劣化を防止することができる水素製造装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる水素製造装置は、ポンプを介して供給される有機ハイドライドを脱水素反応器によって水素と脱水素物質とに分解し、水素精製器によって前記水素および前記脱水素物質を含んでなる脱水素反応物から水素を精製する水素製造装置であって、前記ポンプから供給される有機ハイドライドを蒸発させる蒸発器と、前記蒸発器から導出された有機ハイドライドを加熱して前記脱水素反応器に導出する加熱器と、前記蒸発器から脱水素反応器までの少なくとも一箇所の所定位置の温度を検出する温度検出部と、前記水素製造装置起動運転時に、全ての前記所定位置の温度が所定温度以上となった場合に前記ポンプを起動して前記有機ハイドライドの供給を開始する制御部と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明にかかる水素製造装置は、上記の発明において、前記脱水素反応器内の圧力を検出する圧力検出部と、前記脱水素反応器内の圧力を調整する圧力調整弁と、を備え、前記制御部は、少なくとも一箇所の前記所定位置の温度が前記所定温度未満となった場合、前記圧力検出部が検出する圧力をもとに前記圧力調整弁を調整して前記脱水素反応器内の圧力を減圧することを特徴とする。
また、本発明にかかる水素製造装置は、上記の発明において、前記制御部は、少なくとも一箇所の前記所定位置の温度が凝縮温度以下となった場合、前記ポンプを停止して有機ハイドライドの供給を停止することを特徴とする。
また、本発明にかかる水素製造装置は、上記の発明において、前記温度検出部は、前記蒸発器の温度、前記蒸発器と前記加熱器との間の配管の温度、前記加熱器の温度、前記加熱器と前記脱水素反応器との間の配管の温度を検出し、前記制御部は、すべての温度が所定温度以上となった場合に前記ポンプを起動して有機ハイドライドの供給を開始することを特徴とする。
また、本発明にかかる水素製造装置は、上記の発明において、前記温度検出部は、前記蒸発器の温度、前記蒸発器と前記加熱器との間の配管の温度、前記加熱器の温度、前記加熱器と前記脱水素反応器との間の配管の温度を検出し、前記制御部は、少なくとも1つの温度が凝縮温度以下となった場合、前記ポンプを停止して有機ハイドライドの供給を停止することを特徴とする。
本発明によれば、蒸発器によって蒸発された有機ハイドライドが凝縮して脱水素反応器内に供給されることによる脱水素反応器内の脱水素触媒の劣化を防止することができる。
図1は、本発明の実施の形態である水素製造装置の構成を示す回路図である。 図2は、水素精製器の導入・導出成分流量の関係を示す模式図である。 図3は、制御部による凝縮防止制御処理手順を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。
[全体構成]
図1は、本発明の実施の形態である水素製造装置1の構成を示す回路図である。この水素製造装置1は、脱水素反応により有機ハイドライドから水素を製造する装置であり、例えば燃料電池自動車や水素エンジン車などに水素を供給する水素ステーションに採用されるものである。図1に示すように、水素製造装置1は、脱水素反応系1Aと水素精製系1Bとを有する。脱水素反応系1Aは、脱水素反応器10によって有機ハイドライドを水素と脱水素物質とに分解し、当該水素および当該脱水素物質と分解されなかった未分解反応物とを含む脱水素反応物を出力する。水素精製系1Bは、脱水素反応系1Aから導出された脱水素反応物から水素精製器30によって水素を分離して外部出力する。
有機ハイドライドは、不飽和結合を有する有機化合物の水素化物であり、脱水素触媒を用いて、水素と脱水素物質(不飽和結合を有する有機化合物)とを含む脱水素反応物に分解することができる。有機ハイドライドは、常温常圧下で液体状のものが好ましく、このようなものを採用する場合、ガソリンなどと同様に液体燃料としてローリーなどによって水素ステーションなどの水素製造装置1へ輸送することができる。本実施の形態では、有機ハイドライドとして、メチルシクロヘキサン(以下、MCHと称する)を用いて説明するが、これには限られない。なお、不飽和結合を有する有機化合物とは、二重結合あるいは三重結合を分子内に一つ以上有し、常温常圧下で液状である有機化合物である。二重結合としては、炭素−炭素二重結合(C=C)、炭素−窒素二重結合(C=N)、炭素−酸素二重結合(C=O)、窒素−酸素二重結合(N=O)が例示される。三重結合としては、炭素−炭素三重結合、炭素−窒素三重結合が例示される。不飽和結合を有する有機化合物としては、貯蔵性および輸送性の観点から、常温常圧下で液体状の有機化合物であることが好ましい。
不飽和結合を有する有機化合物としては、例えばオレフィン類、ジエン類、アセチレン類、ベンゼン、炭素鎖置換芳香族類、へテロ置換芳香族類、多環芳香族類、シフ塩基類、ヘテロ芳香族類、ヘテロ5員環化合物類、キノン類、ケトン類などが挙げられる。オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセンなどが挙げられる。ジエン類としては、アレン、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、へブタジエン、オクタジエン、ピペリレン、イソプレンなどが挙げられる。アセチレン類としては、アセチレン、プロピン、ビニルアセチレンなどが挙げられる。炭素鎖置換芳香族類としては、アルキル置換芳香族類などが挙げられる。アルキル置換芳香族類としては、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、クメン、安息香酸などが挙げられる。へテロ置換芳香族類としては、アニソール、ジメトキシベンゼン、フェノール、アニリン、N,N−ジメチルアニリンなどが挙げられる。多環芳香族類としては、ナフタレン、メチルナフタレン、アントラセン、テトラセン、フェナントレン、テトラリン、アズレンなどが挙げられる。シフ塩基類としては、2-aza-hept-1-en-1-yl-cyclohexaneなどが挙げられる。ヘテロ芳香族類としては、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリンなどが挙げられる。ヘテロ5員環化合物類としては、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾールなどが挙げられる。キノン類としては、ベンゾキノン、ナフトキノンなどが挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。なお、言うまでもないことであるが、二酸化炭素や一酸化炭素は不飽和結合を有しているが一般に有機化合物とは見なされないので、本実施形態における不飽和結合を有する有機化合物から除外される。
上記の不飽和化合物の中でも、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ナフタレン、メチルナフタレン、テトラリンなど(以下、「ベンゼン等」と記載する。)は、水素化の前後において非水溶性であり、水と相分離可能であるため、生成物としての回収が非常に容易である点において、アセトン等の水溶性の有機化合物よりも好ましい。これらベンゼン等として、純粋な化合物を用いても良いし、複数の化合物の混合物を用いても良い。
[脱水素反応系]
図1に示すように、ローリーなどによって輸送されたMCHは、タンクT11内に貯留される。貯留されたMCHは、ポンプP11によって吸い上げられる。ポンプP11からの吐出流量は、フローコントローラ100によって制御される。ポンプP11から吐出されたMCH(L1)は、予熱器11によって20〜120℃に昇温される。昇温された液状のMCH(L2)は、蒸発器12によって蒸発され、180℃の気化されたMCH(V1)となる。MCH(V1)は、さらに加熱器13によって300℃に昇温され、MCH(V2)として脱水素反応器10に入力される。
脱水素反応器10内には、熱媒油などの熱媒体が通る管が蛇行して配置される。また、脱水素反応器10内には、脱水素触媒が取り付けられる。MCH(V2)の脱水素反応は吸熱反応であるため、熱媒体としては例えば350℃程度のものを用いて、脱水素反応器10内を通過するMCH(V2)の脱水素反応が効率良く行われる300℃程度に維持できるように脱水素反応器10内を加熱する。脱水素反応器10内に導入されたMCH(V2)は、水素とトルエンとに分解され、水素とトルエンと未分解のMCHを含む脱水素反応物V3として330℃程度で脱水素反応器10から導出される。
脱水素反応物V3は、加熱器13において、加熱器13に導入されるMCH(V1)と熱交換を行う。熱交換された脱水素反応物V3は、例えば210℃〜220℃程度に降温した脱水素反応物V4となる。この脱水素反応物V4は、予熱器11において、予熱器11に入力されるMCH(L1)と熱交換を行う。この予熱器11において、脱水素反応物V4とMCH(L1)とを熱交換することによって、後段の蒸発器12での熱交換量を減らすことができる。すなわち、このような構成とすることによって、後述するように、熱媒体を加熱するためのエネルギー消費を抑制することができるため、装置全体のエネルギー効率を高めることができる。この予熱器11において熱交換されたMCH(V5)は、例えば130℃〜140℃まで降温し、その後、水素精製系1Bに導出される。
脱水素反応器10に導入される熱媒体L11は、熱媒ボイラ21において加熱される。脱水素反応器10内で吸熱された熱媒体L12は、蒸発器12においてMCH(L2)と熱交換してMCH(L2)を蒸発させて180℃程度まで昇温する。その後、降温した熱媒体L13は、ポンプP2によって再び熱媒ボイラ21に入力されて加熱される。本実施形態1において熱媒体は、伝熱効率の観点から熱媒油を採用しているが、これには限られない。なお、熱媒体は、タンクT12に貯留され、熱媒体の循環系において熱媒体が不足する場合には当該循環系を構成する管路に熱媒体が補給され、熱媒体が多い場合には当該循環系を構成する管路から熱媒体が引き抜かれる。
熱媒ボイラ21は、ラインLN11を流れるLPガスG1とラインLN12を流れる空気G2とが流入し、LPガスG1を燃焼することによって熱媒体L13を加熱する。空気G2は、ブロア22によって吸引され、空気予熱器23によって予熱された後、熱媒ボイラ21に入力される。熱媒ボイラ21で燃焼した燃焼ガスG3は、空気予熱器23で空気G2と熱交換を行った後、燃焼排ガスとして大気に排出される。この空気予熱器23を用いた空気予熱によってエネルギー効率を高めることができる。なお、熱媒ボイラ21による熱媒体の加熱制御は、温度コントローラ200が脱水素反応器10内の温度を検出し、この検出温度をもとにポンプP2による熱媒ボイラ21への熱媒体流量を調整するとともに、温度コントローラ201が脱水素反応器10に流入する熱媒体L11の温度を検出し、この検出温度をもとに、フローコントローラ103を介して、熱媒ボイラ21で燃焼するLPガスG1の流量を調整することによってなされる。フローコントローラ103は、バルブVL103の開閉制御を行う。
なお、本実施の形態では、熱媒ボイラ21を用いて熱媒体を加熱し、この加熱された熱媒体によって脱水素反応器10の加熱を行っている。このような熱媒体を用いた加熱機構を採用すると、例えばバーナーにより直接加熱する加熱機構に比べて、より均一に加熱することができるため、脱水素反応器10の温度制御をより安定して行うことができる。熱媒体を用いた加熱機構としては、液体状の熱媒体を用いたものには限られず、例えばLPガスをバーナーなどによって燃焼した燃焼ガスを直接、脱水素反応器10内の配管に流入してMCH(V2)を加熱するような気体状の熱媒体を用いたものでもよい。また、加熱機構としては、熱媒体を用いたものには限られず、例えばバーナーにより直接加熱する機構を採用しても良い。
本実施の形態による脱水素反応系1Aでは、脱水素反応器10から出力される脱水素反応物V3の熱エネルギーを用いて加熱器13で脱水素反応器10に流入するMCH(V1)を加熱するとともに、蒸発器12の前段に配置された予熱器11が、加熱器13による熱交換後の脱水素反応物V4の熱エネルギーを用いて、蒸発前の液状のMCH(L1)を予熱するようにしている。この結果、蒸発器12においてMCH(L1)の蒸発に消費される熱媒体L12の熱エネルギーを減少することができる。この熱媒体L12から失われる熱エネルギーの減少は、熱媒ボイラ21で消費されるエネルギーの減少をもたらし、結果的に装置全体のエネルギー効率を向上させることができる。
[水素精製系]
一方、予熱器11を介した脱水素反応物V5は、水素精製系1Bに流入する。脱水素反応物V5は、冷却器31で例えば140℃から40℃程度まで冷却され、気液分離器35によって気液分離される。気液分離器35で液状物質として分離されない、水素含有量が高い脱水素反応物V6は、さらに冷却器32で例えば40℃から15℃程度まで冷却され、気液分離器36によって気液分離される。気液分離器36で液状物質として分離されず、水素含有量がさらに高まった脱水素反応物V7は、コンプレッサP3によって加圧された脱水素反応物V30として水素精製器30に入力される。なお、コンプレッサP3によって加圧された脱水素反応物V30は、加圧によって温度上昇するため、水素精製器30に導入する前に、冷却器33によって例えば80℃〜100℃まで冷却される。
水素精製器30は、脱水素反応物V30から水素を選択的に分離する機能を有するものであり、本実施の形態では膜分離機構を用いたものが採用される。膜分離機構に採用される水素分離膜としては、コンプレッサP3から導入される圧力に耐え得る(例えば900kPa以上の耐圧性がある)膜として、カーボン膜、パラジウム膜、ゼオライト膜などが挙げられるが、耐圧性や小さい差圧での実用化の観点ではカーボン膜およびゼオライト膜が比較的好ましく、中でもカーボン膜が振動に対する機械的強度の観点で特に好ましい。カーボン膜は、分子量の小さい水素を透過させ、トルエンや未分解物質などの相対的に分子量の大きいものを透過させない機能を有している。コンプレッサP3は、200kPaの脱水素反応物V7を900kPaまで昇圧した脱水素反応物V30として水素精製器30に出力する。水素精製器30における水素分離時の差圧は、200kPaであるため、分離された水素V31は、90℃で700kPaとなる。水素V31は、冷却器34で、40℃まで冷却し、フローコントローラ101で調整して700kPaの水素V32として外部へ導出される。すなわち、要求された外部圧力及び温度をもつ製品水素として外部に供給される。
ここで、圧力コントローラ400は、コンプレッサP3が出力する圧力が所定圧となるように制御する。この所定圧は、圧力損失を考慮し、水素精製器30における水素精製により生じる差圧200kPaと、水素精製器30によって分離された水素V31の外部出力の圧力700kPaとを合わせた圧力900kPaよりも高い圧力にする。コンプレッサP3が出力する圧力をこのような所定圧にすることによって、水素精製器30の後段に従来設けていた、製品水素として必要な圧力に昇圧するための製品水素出力専用のコンプレッサを設ける必要がなくなる。この結果、装置全体をコンパクトにすることができる。また、コンプレッサを分散配置せず、大型のコンプレッサに集約することによって圧力効率を高めることができ、結果的に、水素精製器30による水素精製処理に必要なエネルギー及び製品水素の供給処理に必要なエネルギーのトータルエネルギーを削減することができる。
なお、気液分離器35,36において液状物質として分離されたトルエン含有量が大きく水素が含まれる液化不純物L21,L22は、タンクT13に捕集され、回収トルエンとして用いられる。回収トルエンは、再び水素と反応させることにより水素化物(MCH)として繰り返し使用することができる。
水素精製器30における膜分離機構の水素分離膜を透過しなかった非透過ガス(第1水素含有物)G31は、供給ラインLN1を介して脱水素反応器10の導入側に入力される。本実施の形態では、第1水素含有物G31の加熱を効果的に行うために、第1水素含有物G31は、蒸発器12と加熱器13との間の配管内に導入される。この第1水素含有物G31には水素分離膜を透過できなかった水素が含まれる。第1水素含有物G31内の水素が脱水素反応器10に導入されると、脱水素反応器10内の脱水素触媒の劣化を抑制することができる。特に、本実施の形態で示すように、第1水素含有物G31を脱水素反応器10の導入側(上流側)から入力することにより、相対的に水素の存在量が少ない当該導入側におけるコーキング現象の発生をより効果的に抑制することができる。
図2は、水素精製器30の導入・導出成分流量の関係を示す模式図である。図2に示すように、水素精製器30に導入される脱水素反応物V30は、水素:16.5kmol/h、その他:0.2kmol/hの流量配分であり、水素含有量が高い。水素精製器30によって分離される水素(第2水素含有物)V31は、水素:13.4kmol/hであり、水素精製器30によって分離されなかった第1水素含有物G31は、水素:3.1kmol/h、その他:0.2kmol/hの流量配分となる。すなわち、第1水素含有物G31には、水素分離膜を透過できなかった水素が含まれており、この水素を脱水素反応器10の導入側に導入することによって、脱水素反応器10内の脱水素触媒の劣化を抑制することができる。
なお、図1において、温度コントローラ202〜204は、冷却器31〜33から出力されたガス温度を検出し、各冷却器31〜33に流入する冷却水の流量を調整することによって温度制御を行っている。ここで、冷却器31,33,34は、必要冷却能力が小さいため、クーリングタワーを介して自然冷却した冷却水を用いており、冷却器32は、必要冷却能力が大きいため、チラーを介して強制的に電気冷却した冷却水を用いている。なお、クーリングタワーを有効活用し、冷却器31,32による多段冷却を行うことによって強制冷却による電力消費が抑えられるため、装置全体のエネルギー効率を高めることができる。
また、気液分離器35,36の液化したトルエンの排出は、それぞれレベルコントローラ301,302によって排出制御される。すなわち、レベルコントローラ301,302は、それぞれ検出する液面が所定高さ以上となった場合にバルブを開いてトルエンをタンクT13に排出する。また、フローコントローラ101は、水素V32の導出流量が所定流量となるように、バルブを制御する。さらに、フローコントローラ102は、第1水素含有物G31の流量が所定流量となるように、バルブを制御する。
[凝縮防止制御処理] ここで、図1に示した制御部500による凝縮防止制御処理について説明する。図1に示すように、蒸発器12には、蒸発器12の温度T1を検出する温度検出部501が設けられる。蒸発器12と加熱器13との間の供給ラインLN10には、この供給ラインLN10の配管温度、例えば配管外壁の温度T2を検出する温度検出部502が設けられる。加熱器13には、加熱器13の温度T3を検出する温度検出部503が設けられる。加熱器13と脱水素反応器10との間の供給ラインLN10には、この供給ラインLN10の配管温度、例えば配管外壁の温度T4を検出する温度検出部504が設けられる。また、脱水素反応器10には、脱水素反応器10内の圧力P1を検出する圧力検出部505が設けられる。さらに、脱水素反応器10の出口側には、脱水素反応器10内の圧力を調整する圧力調整弁VPが設けられる。制御部500は、温度T1〜T4及び圧力P1を取得し、ポンプP11及び圧力調整弁VPを制御する。
つぎに、図3に示したフローチャートを参照して、制御部500による凝縮防止制御処理手順について説明する。まず、制御部500は、温度T1〜T4を取得し、温度T1〜T4の全てが所定温度Ta以上であるか否かを判断する(ステップS101)。温度T1〜T4の全てが所定温度Ta以上である場合(ステップS101,Yes)には、蒸発器12、加熱器13、及び供給ラインLN10内の有機ハイドライドが蒸発しているので、ポンプP11をオンにして起動する(ステップS102)。一方、温度T1〜T4の全てが所定温度Ta以上でない場合(ステップS101,No)には、ステップS101の判断処理を繰り返し、ポンプP11をオフ状態にする。なお、温度T1〜T4のいずれか、あるいは全てが所定温度Taを超える高い温度である場合、蒸発器12あるいは加熱器13による加熱を停止する。
制御部500は、ステップS102によるポンプP11の起動後、温度T1〜T4の少なくとも1つが所定温度Ta未満であるか否かを判断する(ステップS103)。温度T1〜T4の少なくとも1つが所定温度Ta未満である場合(ステップS103,Yes)には、圧力調整弁VPを調整して圧力P1を減圧する(ステップS104)。この圧力P1を減圧すると、有機ハイドライドの凝縮温度を下げることができる。一方、温度T1〜T4の少なくとも1つが所定温度Ta未満でない場合(ステップS103,No)には、ステップS103の判断処理を繰り返す。
制御部500は、ステップS104による圧力P1の減圧処理後、さらに温度T1〜T4の少なくとも1つが凝縮温度Tc以下であるか否かを判断する(ステップS105)。温度T1〜T4の少なくとも1つが凝縮温度Tc以下である場合(ステップS105,Yes)には、ポンプP11を停止し(ステップS106)、本処理を終了する。一方、温度T1〜T4の少なくとも1つが凝縮温度Tc以下でない場合(ステップS105,No)には、ステップS103に移行して、上述した処理を繰り返す。なお、上述した処理は、所定時間毎、繰り返し行われる。
上述した凝縮防止制御処理を行うことによって、脱水素反応器10内に凝縮状態の有機ハイドライドが供給されず、脱水素反応器10内の脱水素触媒の劣化を防止することができる。
また、脱水素反応器10の前段に設けられた蒸発器12によって蒸発した有機ハイドライドが、脱水素反応器10までの供給ラインLN10内で凝縮すると、供給ラインLN10に詰まりが生じることによる供給ラインLN10内の急な圧力変動が生じやすいが、上述した凝縮防止制御処理を行うことによって、この圧力変動を未然に防止することができる。
なお、ポンプP11起動時の流量は、少量とし、段階的に流量を増大させて定格流量とすることが望ましい。これは、ポンプP11起動時から定格流量とすると、有機ハイドライドの気化熱によって、蒸発器12、加熱器13、供給ラインLN10の温度が急激に低下し、凝縮温度Tc以下となる可能性があるからである。しかし、ポンプP11起動時に定格流量にして有機ハイドライドが凝縮温度Tc以下となったとしても、上述した凝縮防止制御処理を行うことによって、ポンプP11は停止し、有機ハイドライドの凝縮が防止される。
なお、上述した凝縮防止制御処理では、蒸発器12〜脱水素反応器10までの間の複数箇所に設けた温度検出部501〜504が検出した温度T1〜T4を用いていたが、さらに複数箇所に温度検出部を設けてもよいし、少なくしてもよい。また、1つの温度検出部のみ、例えば温度検出部502のみであってもよい。
また、上述した凝縮防止制御処理では、圧力調整弁VPの調整を行って圧力P1を減圧するようにしていたが、この処理(ステップS103,S104)を行わなくてもよい。この場合、ポンプP11の起動(ステップS102)後、ステップS105の処理を行うことになる。
また、上述した実施の形態における水素精製器30は、膜分離方式を用いたものであったが、これに限らず、圧力スイング吸着(PSA:Pressure Swing Adsorption)方式の水素分離器であるPSA装置や、温度スイング吸着(TSA:Temperature Swing Adsorption)方式の水素精製器を用いてもよい。
1 水素製造装置
1A 脱水素反応系
1B 水素精製系
10 脱水素反応器
11 予熱器
12 蒸発器
13 加熱器
21 熱媒ボイラ
22 ブロア
23 空気予熱器
30 水素精製器
31,32,33,34 冷却器
35,36 気液分離器
100,101,102,103 フローコントローラ
200,201,202,203,204 温度コントローラ
301,302 レベルコントローラ
400 圧力コントローラ
G1 LPガス
G2 空気
G31 第1水素含有物
L11,L12,L13 熱媒体
L21,L22 液化不純物
P1 圧力
P2,P11 ポンプ
P3 コンプレッサ
T1〜T4 温度
T11〜T13 タンク
V3〜V7,V30 脱水素反応物
V31,V32 水素
VL103 バルブ
LN1,LN3,LN10 供給ライン
LN11,LN12 ライン

Claims (5)

  1. ポンプを介して供給される有機ハイドライドを脱水素反応器によって水素と脱水素物質とに分解し、水素精製器によって前記水素および前記脱水素物質を含んでなる脱水素反応物から水素を精製する水素製造装置であって、
    前記ポンプから供給される有機ハイドライドを蒸発させる蒸発器と、
    前記蒸発器から導出された有機ハイドライドを加熱して前記脱水素反応器に導出する加熱器と、
    前記蒸発器から脱水素反応器までの少なくとも一箇所の所定位置の温度を検出する温度検出部と、
    前記水素製造装置起動運転時に、全ての前記所定位置の温度が所定温度以上となった場合に前記ポンプを起動にして前記有機ハイドライドの供給を開始する制御部と、
    を備えたことを特徴とする水素製造装置。
  2. 前記脱水素反応器内の圧力を検出する圧力検出部と、
    前記脱水素反応器内の圧力を調整する圧力調整弁と、
    を備え、
    前記制御部は、少なくとも一箇所の前記所定位置の温度が前記所定温度未満となった場合、前記圧力検出部が検出する圧力をもとに前記圧力調整弁を調整して前記脱水素反応器内の圧力を減圧することを特徴とする請求項1に記載の水素製造装置。
  3. 前記制御部は、少なくとも一箇所の前記所定位置の温度が凝縮温度以下となった場合、前記ポンプをオフして有機ハイドライドの供給を停止することを特徴とする請求項1または2に記載の水素製造装置。
  4. 前記温度検出部は、前記蒸発器の温度、前記蒸発器と前記加熱器との間の配管の温度、前記加熱器の温度、前記加熱器と前記脱水素反応器との間の配管の温度を検出し、
    前記制御部は、すべての温度が所定温度以上となった場合に前記ポンプを起動して有機ハイドライドの供給を開始することを特徴とする請求項1に記載の水素製造装置。
  5. 前記温度検出部は、前記蒸発器の温度、前記蒸発器と前記加熱器との間の配管の温度、前記加熱器の温度、前記加熱器と前記脱水素反応器との間の配管の温度を検出し、
    前記制御部は、少なくとも1つの温度が凝縮温度以下となった場合、前記ポンプを停止して有機ハイドライドの供給を停止することを特徴とする請求項3に記載の水素製造装置。
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