JP2017217848A - 印刷装置、印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】駆動ローラーにより記録媒体の搬送速度を制御しつつ記録媒体の搬送に従動回転する従動回転部材の回転位置に応じて吐出ヘッドからの液体吐出タイミングを調整する印刷技術において従動回転部材における記録媒体の搬送速度を適切な範囲に抑制する。【解決手段】記録媒体に接触しつつ回転することで記録媒体を駆動する駆動ローラーと、記録媒体に液体を吐出する吐出ヘッドと、記録媒体に接触しつつ記録媒体の搬送に従動して回転する従動回転部材と、従動回転部材の回転位置を検出する回転位置検出部と、駆動ローラーを回転することで記録媒体を搬送しつつ、回転位置検出部の検出結果に応じて吐出ヘッドから液体を吐出するタイミングを調整する制御部とを備え、制御部は、駆動ローラーよりも吐出ヘッドの反対側における記録媒体のテンションに応じて駆動ローラーの回転数を調整する。【選択図】図1
Description
この発明は、記録媒体を搬送しつつ記録媒体に液体を吐出することで印刷を実行する技術に関する。
特許文献1に記載の印刷装置は、所定の搬送方向に搬送される記録媒体に吐出ヘッドから液体を吐出することで記録媒体に画像を印刷する。このような印刷装置では、吐出ヘッドから吐出された液体が着弾する着弾範囲での記録媒体の搬送速度に応じたタイミングで吐出ヘッドから液体を吐出する必要がある。そのため、この着弾範囲に対応して従動回転部材が設けられ、記録媒体の搬送に従動して回転する従動回転部材の回転位置を検出した結果に基づき、吐出ヘッドからの液体の吐出タイミングが制御される。
ところで、吐出ヘッドが連続して液体を適切に吐出できる時間間隔には限界がある。そのため、記録媒体の搬送速度が速すぎると、吐出ヘッドからの液体の吐出を適切に行うことが困難となる。そこで、特許文献1の印刷装置は、搬送方向へ記録媒体を駆動する駆動ローラーの回転数を制御することで、記録媒体の搬送速度を調整する。
このような構成では、液体の着弾範囲に対応して設けられた従動回転部材の周速度は、基本的には駆動ローラーの周速度に一致すると想定された。しかしながら、本願の発明者等が行った実験によると、記録媒体を搬送する際の条件によっては、駆動ローラーの周速度と従動回転部材の周速度とが必ずしも一致しないことが確認された。特に、記録媒体に与えられるテンションあるいは記録媒体の構成等の搬送条件によって、駆動ローラーの周速度よりも従動回転部材の周速度が速くなる場合があることが判った。このことは、従動回転部材が対応して設けられた着弾範囲において記録媒体の搬送速度が速くなりすぎる場合があることを意味する。
この発明は、上記に鑑みなされたものであり、駆動ローラーにより記録媒体の搬送速度を制御しつつ記録媒体の搬送に従動して回転する従動回転部材の回転位置に応じて吐出ヘッドからの液体の吐出タイミングを調整する印刷技術において、従動回転部材における記録媒体の搬送速度を適切な範囲に抑制可能とする技術の提供を目的とする。
本発明の第1態様(印刷装置)は、記録媒体に接触しつつ回転することで記録媒体を駆動する駆動ローラーと、記録媒体に液体を吐出する吐出ヘッドと、記録媒体に接触しつつ記録媒体の搬送に従動して回転する従動回転部材と、従動回転部材の回転位置を検出する回転位置検出部と、駆動ローラーを回転することで記録媒体を搬送しつつ、回転位置検出部の検出結果に応じて吐出ヘッドから液体を吐出するタイミングを調整する制御部と、駆動ローラーよりも吐出ヘッド側における記録媒体のテンションである第1テンションと、駆動ローラーよりも吐出ヘッドの反対側における記録媒体のテンションである第2テンションとを調整するテンション調整部とを備え、制御部は、第2テンションに応じて駆動ローラーの回転数を調整する。
本発明の第2態様(印刷方法)は、記録媒体に接触する駆動ローラーを回転させることで記録媒体を駆動するとともに、記録媒体に接触しつつ記録媒体の搬送に従動して回転する従動回転部材の回転位置を検出する工程と、記録媒体へ吐出ヘッドから液体を吐出するタイミングを、従動回転部材の回転位置の検出結果に応じて調整する工程とを備え、駆動ローラーの回転数は、駆動ローラーよりも吐出ヘッドの反対側における記録媒体のテンションに応じて調整される印刷方法。
つまり、駆動ローラーにより記録媒体を駆動する構成においては、駆動ローラーよりも吐出ヘッドの反対側における記録媒体のテンションによって、駆動ローラーの周速度よりも従動回転部材の周速度が速くなる場合があった。これに対して、本発明の第1態様および第2態様では、駆動ローラーよりも吐出ヘッドの反対側における記録媒体のテンションに応じて駆動ローラーの回転数が調整される。したがって、従動回転部材における記録媒体の搬送速度を適切な範囲に抑制することが可能となっている。
具体的には、制御部は、第1テンションの変化に依らず、第2テンションの変化に応じて駆動ローラーの回転数を調整するように、印刷装置を構成しても良い。あるいは、制御部は、第1テンションと第2テンションとの差によって生じる記録媒体の断面応力の変化に応じて駆動ローラーの回転数を調整するように、印刷装置を構成しても良い。これによって、従動回転部材における記録媒体の搬送速度を適切な範囲に抑制することが可能となる。
本発明の第3態様(印刷装置)は、記録媒体に接触しつつ回転することで記録媒体を駆動する駆動ローラーと、記録媒体に液体を吐出する吐出ヘッドと、記録媒体に接触しつつ記録媒体の搬送に従動して回転する従動回転部材と、従動回転部材の回転位置を検出する回転位置検出部と、駆動ローラーを回転することで記録媒体を搬送しつつ、回転位置検出部の検出結果に応じて吐出ヘッドから液体を吐出するタイミングを調整する制御部とを備え、制御部は、記録媒体の構成に応じて駆動ローラーの回転数を調整する。
本発明の第4態様(印刷方法)は、記録媒体に接触する駆動ローラーを回転させることで記録媒体を駆動するとともに、記録媒体に接触しつつ記録媒体の搬送に従動して回転する従動回転部材の回転位置を検出する工程と、記録媒体へ吐出ヘッドから液体を吐出するタイミングを、従動回転部材の回転位置の検出結果に応じて調整する工程とを備え、駆動ローラーの回転数は、記録媒体の構成に応じて調整される。
このように本発明の第3態様および第4態様では、駆動ローラーの回転数が記録媒体の構成に応じて調整される。したがって、従動回転部材における記録媒体の搬送速度を適切な範囲に抑制することが可能となっている。
なお、記録媒体の構成とは、記録媒体の厚みおよび幅を含む概念である。ここで、記録媒体の厚みは、記録媒体表面の法線方向における記録媒体の寸法に相当し、記録媒体の幅は、駆動ローラーの軸方向における記録媒体の寸法に相当する。
具体的には、制御部は、記録媒体の厚みに応じて駆動ローラーの回転数を調整するように、印刷装置を構成しても良い。あるいは、制御部は、記録媒体の幅に応じて駆動ローラーの回転数を調整するように、印刷装置を構成しても良い。これによって、従動回転部材における記録媒体の搬送速度を適切な範囲に抑制することが可能となっている。
なお、上述した本発明の各態様の有する複数の構成要素はすべてが必須のものではなく、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、適宜、前記複数の構成要素の一部の構成要素について、その変更、削除、新たな他の構成要素との差し替え、限定内容の一部削除を行うことが可能である。また、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、上述した本発明の一形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部を上述した本発明の他の形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部と組み合わせて、本発明の独立した一形態とすることも可能である。
図1は本発明を適用したプリンターが備える内部構成の一例を模式的に示す正面図である。図1に示すように、プリンター1では、その両端が繰出軸20および巻取軸40にロール状に巻き付けられた1枚のシートS(ウェブ)が、繰出軸20と巻取軸40の間に張架されており、シートSは繰出軸20から巻取軸40へと搬送される。換言すれば、シートSの両端のそれぞれがロール状に巻かれて繰出ロールR20および巻取ロールR40が形成されており、繰出軸20に軸支された繰出ロールR20から巻取軸40に軸支された巻取ロールR40へ向かう搬送方向Dsに沿って、シートSがロール・トゥ・ロールで搬送される。
そして、このプリンター1では、搬送方向Dsに搬送されるシートSに対して画像が記録される。シートSの素材としては紙およびフィルムがある。具体例を挙げると、紙には上質紙、キャスト紙、アート紙およびコート紙等があり、フィルムには合成紙、PET(Polyethylene terephthalate)およびPP(polypropylene)等がある。なお、本明細書では、積層された2枚の紙で構成されたシートSの種類を「紙+紙」と表わし、単層の紙で構成されたシートSの種類を「紙単層」と表わし、積層されたフィルムと紙とで構成されたシートSの種類を「F+紙」と表わし、積層された2枚のフィルムで構成されたシートSの種類を「F+F」と表わし、単層のフィルムで構成されたシートSの種類を「フィルム単層」と表わす。また、以下の説明では、シートSの両面のうち、後述する記録ヘッド51、52に対向する側の面を表面と称する一方、その逆側の面を裏面と称する。
概略的には、プリンター1は、繰出軸20からシートSを繰り出す繰出部2(繰出領域)と、繰出部2から繰り出されたシートSに画像を記録するプロセス部3(プロセス領域)と、プロセス部3で画像の記録されたシートSを巻取軸40に巻き取る巻取部4(巻取領域)とを備える。
繰出部2は、シートSの端を巻き付けた繰出軸20と、繰出軸20から引き出されたシートSを巻き掛ける従動ローラー21とを有する。繰出軸20は、シートSの表面を外側に向けた状態で、シートSの端を巻き付けて支持する。そして、繰出軸20が図1の時計回りに回転することで、繰出軸20に巻き付けられたシートSが従動ローラー21を経由してプロセス部3へと繰り出される。また、繰出部2には、幅方向におけるシートSの端の位置を検出するエッジセンサーSsが設けられている。ここで、幅方向とは、搬送方向DsおよびシートSの法線に直交する方向であり、図1の紙面に垂直な方向である。
プロセス部3は、繰出部2から繰り出されたシートSを回転ドラム30で支持しつつ、回転ドラム30の外周面に沿って配置された各機能部51、52、61、62、63により処理を適宜行って、シートSに画像を印刷するものである。このプロセス部3では、回転ドラム30の両側に前駆動ローラー31と後駆動ローラー32とが設けられており、前駆動ローラー31から後駆動ローラー32へと搬送されるシートSが回転ドラム30に支持されて、画像記録を受ける。
前駆動ローラー31は、溶射によって形成された複数の微小突起を外周面に有しており、繰出部2から繰り出されたシートSを裏面側から支持する。そして、前駆動ローラー31は図1の時計回りに回転することで、繰出部2から繰り出されたシートSを搬送方向Dsの下流側へと搬送する。なお、前駆動ローラー31に対しては2個のニップローラー31nが設けられている。これらニップローラー31nは、前駆動ローラー31の周方向に間隔を空けて並んでおり、前駆動ローラー31の周面に巻き掛けられたシートSに接する。また、各ニップローラー31nは前駆動ローラー31側へ付勢されており、前駆動ローラー31との間でシートSを挟み込む。これによって、前駆動ローラー31とシートSの間の摩擦力が確保され、前駆動ローラー31によるシートSの搬送を確実に行なうことができる。
回転ドラム30は図示を省略する支持機構により回転可能に支持された、例えば400[mm]の直径を有する円筒形状のドラムであり、前駆動ローラー31から後駆動ローラー32へと搬送されるシートSを裏面側からその周面に巻き掛ける。この回転ドラム30は、シートSとの間の摩擦力を受けてシートSの搬送方向Dsに従動回転しつつ、シートSを裏面側から支持するものである。ちなみに、プロセス部3では、回転ドラム30への巻き掛け部の両側でシートSを折り返す従動ローラー33、34が設けられている。これらのうち従動ローラー33は、前駆動ローラー31と回転ドラム30の間でシートSの表面を巻き掛けて、シートSを折り返す。一方、従動ローラー34は、回転ドラム30と後駆動ローラー32の間でシートSの表面を巻き掛けて、シートSを折り返す。このように、回転ドラム30に対して搬送方向Dsの上・下流側それぞれでシートSを折り返すことで、回転ドラム30へのシートSの巻き掛け部を長く確保することができる。また、従動ローラー33の搬送方向Dsの上流側には、紙幅センサーSwが設けられており、この紙幅センサーSwが幅方向におけるシートSの寸法、すなわちシートSの幅Wを検出する。また、回転ドラム30の周面のうち、シートSが巻き掛けられずに露出している部分に対向して、温度センサーS30が設けられている。この温度センサーS30は例えば放射温度計であり、回転ドラム30の周面の温度Tpを検出する。
後駆動ローラー32は、溶射によって形成された複数の微小突起を外周面に有しており、回転ドラム30から従動ローラー34を経由して搬送されてきたシートSを裏面側から支持する。そして、後駆動ローラー32は図1の時計回りに回転することで、シートSを巻取部4へと搬送する。なお、後駆動ローラー32に対しては2個のニップローラー32nが設けられている。これらニップローラー32nは、後駆動ローラー32の周方向に間隔を空けて並んでおり、後駆動ローラー32の周面に巻き掛けられたシートSに接する。また、各ニップローラー32nは後駆動ローラー32側へ付勢されており、後駆動ローラー32との間にシートSを挟み込む。これによって、後駆動ローラー32とシートSの間の摩擦力が確保され、後駆動ローラー32によるシートSの搬送を確実に行なうことができる。
このように、前駆動ローラー31から後駆動ローラー32へと搬送されるシートSは、回転ドラム30の外周面に支持される。そして、プロセス部3では、回転ドラム30に支持されるシートSの表面に対してカラー画像を記録するために、互いに異なる色に対応した複数の記録ヘッド51が設けられている。具体的には、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックに対応する4個の記録ヘッド51が、この色順で搬送方向Dsに並ぶ。各記録ヘッド51は、回転ドラム30に巻き掛けられたシートSの表面に対して若干のクリアランスを空けて対向しており、対応する色のインク(有色インク)をノズルからインクジェット方式で吐出する。そして、搬送方向Dsへ搬送されるシートSに対して各記録ヘッド51がインクを吐出することで、シートSの表面にカラー画像が形成される。
ちなみに、インクとしては、紫外線(光)を照射することで硬化するUV(ultraviolet)インク(光硬化性インク)が用いられる。そこで、プロセス部3では、インクを硬化させてシートSに定着させるために、UV照射器61、62(光照射部)が設けられている。なお、このインク硬化は、仮硬化と本硬化の二段階に分けて実行される。複数の記録ヘッド51の各間には、仮硬化用のUV照射器61が配置されている。つまり、UV照射器61は少ない積算光量の紫外線を照射することで、インクの形状が崩れない程度にインクを硬化(仮硬化)させるものであり、インクを完全に硬化させるものではない。一方、複数の記録ヘッド51に対して搬送方向Dsの下流側には、本硬化用のUV照射器62が設けられている。つまり、UV照射器62は、UV照射器61より多い積算光量の紫外線を照射することで、インクを完全に硬化(本硬化)させるものである。
このように、複数の記録ヘッド51の各間に配置されたUV照射器61が、搬送方向Dsの上流側の記録ヘッド51からシートSに吐出された有色インクを仮硬化させる。したがって、一の記録ヘッド51がシートSに吐出したインクは、搬送方向Dsの下流側で一の記録ヘッド51に隣接する記録ヘッド51に到るまでに仮硬化される。これによって、異なる色の有色インクが混ざり合うといった混色の発生が抑制される。こうして混色が抑制された状態で、複数の記録ヘッド51は互いに異なる色の有色インクを吐出して、シートSにカラー画像を形成する。さらに、複数の記録ヘッド51より搬送方向Dsの下流側では、本硬化用のUV照射器62が設けられている。そのため、複数の記録ヘッド51により形成されたカラー画像は、UV照射器62により本硬化されてシートSに定着する。
さらに、UV照射器62に対して搬送方向Dsの下流側には、記録ヘッド52が設けられている。この記録ヘッド52は、回転ドラム30に巻き掛けられたシートSの表面に対して若干のクリアランスを空けて対向しており、透明のUVインクをノズルからインクジェット方式でシートSの表面に吐出する。つまり、4色分の記録ヘッド51によって形成されたカラー画像に対して、透明インクがさらに吐出される。この透明インクは、カラー画像の全面に吐出されて、光沢感あるいはマット感といった質感をカラー画像に与える。また、記録ヘッド52に対して搬送方向Dsの下流側には、UV照射器63が設けられている。このUV照射器63は強い紫外線を照射することで、記録ヘッド52が吐出した透明インクを完全に硬化(本硬化)させるものである。これによって、透明インクをシートS表面に定着させることができる。
このように、プロセス部3では、回転ドラム30の周面に巻き掛けられて支持されたシートSに対して、記録ヘッド51、52によるインクの吐出とUV照射器61〜63によるインクの効果が実行され、透明インクでコーティングされたカラー画像が形成される。そして、このカラー画像の形成されたシートSが、後駆動ローラー32によって巻取部4へと搬送される。
巻取部4は、シートSの端を巻き付けた巻取軸40の他に、巻取軸40と後駆動ローラー32の間でシートSを裏面側から巻き掛ける従動ローラー41を有する。巻取軸40は、シートSの表面を外側に向けた状態で、シートSの端を巻き取って支持する。つまり、巻取軸40が図1の時計回りに回転すると、後駆動ローラー32から搬送されてきたシートSが従動ローラー41を経由して巻取軸40に巻き取られる。
以上がプリンター1の装置構成の概要である。続いては、図2を併用しつつ、プリンター1を制御する電気的構成について説明を行なう。図2は図1に示すプリンターが具備する電気的構成を示すブロック図である。プリンター1は、装置各部を統括的に制御するプリンター制御部100を有する。このプリンター制御部100はCPU(Central Processing Unit)やメモリーにより構成されたコンピューターである。
また、プリンター1はUI (User Interface) 9を備える。このUI9は、液晶ディスプレー等で構成されるモニターと、キーボードやマウス等で構成される入力操作部とを有する。そして、UI9のモニターには、印刷対象の画像の他にメニュー画面が表示される。したがって、ユーザーは、UI9のモニターを確認しつつUI9の入力操作部を操作することで、メニュー画面から印刷設定画面を開いて、印刷媒体の種類、印刷媒体のサイズ、印刷品質等の各種の印刷条件を設定することができる。なお、UI9の具体的構成は種々の変形が可能であり、例えばタッチパネル式のディスプレーをモニターとして用い、このモニターのタッチパネルで入力操作部を構成しても良い。そして、プリンター制御部100は、外部装置からの指令やUI9への入力操作に応じて、記録ヘッド、UV照射器およびシート搬送系の装置各部を次にようにして制御する。
プリンター制御部100は、カラー画像を形成する各記録ヘッド51のインク吐出タイミングを、シートSの搬送に応じて制御する。具体的には、このインク吐出タイミングの制御は、回転ドラム30の回転軸に取り付けられて、回転ドラム30の回転位置を検出するドラムエンコーダー(ロータリーエンコーダー)E30の出力(検出値)に基づいて実行される。つまり、回転ドラム30はシートSの搬送に伴って従動回転するため、回転ドラム30の回転位置を検出するドラムエンコーダーE30の出力を参照すれば、シートSの搬送位置を把握することができる。そこで、プリンター制御部100は、ドラムエンコーダーE30の出力からpts(print timing signal)と称される信号を生成し、このptsに基づいて各記録ヘッド51のインク吐出タイミングを制御することで、各記録ヘッド51が吐出したインクを搬送されるシートSの目標位置に着弾させて、カラー画像を形成する。
図3は記録ヘッドがインクを吐出するタイミングを調整する制御例を模式的に示すタイミングチャートである。同図に示すように、プリンター制御部100は、ドラムエンコーダーE30の出力から生成したptsに同期して電圧信号を記録ヘッド51のノズルに印加し、記録ヘッド51のノズルは電圧信号を受けてインクを吐出する。かかる制御によれば、回転ドラム30の回転数が変動すると、ptsの出力間隔が変化し、記録ヘッド51のノズルに電圧信号が印加される間隔も変化する。これによって、回転ドラム30の回転数に応じたタイミングで記録ヘッド51からインクを吐出して、シートSの適切な位置にインクを着弾させることが可能となっている。
図1および図2に戻って説明を続ける。記録ヘッド52が透明インクを吐出するタイミングも、記録ヘッド51と同様にドラムエンコーダーE30の出力に基づいてプリンター制御部100により制御される。これによって、複数の記録ヘッド51によって形成されたカラー画像に対して、透明インクを的確に吐出することができる。さらに、UV照射器61、62、63の点灯・消灯のタイミングや照射光量もプリンター制御部100によって制御される。
また、プリンター制御部100は、図1を用いて詳述したシートSの搬送を制御する機能を司る。つまり、シート搬送系を構成する部材のうち、繰出軸20、前駆動ローラー31、後駆動ローラー32および巻取軸40のそれぞれにはモーターが接続されている。そして、プリンター制御部100はこれらのモーターを回転させつつ、各モーターの速度(回転数)やトルクを制御して、シートSの搬送を制御する。このシートSの搬送制御の詳細は次のとおりである。
プリンター制御部100は、繰出軸20を駆動する繰出モーターM20を回転させて、繰出軸20から前駆動ローラー31にシートSを供給する。この際、プリンター制御部100は、繰出モーターM20のトルクを制御して、繰出軸20から前駆動ローラー31までのシートSのテンション(繰出テンションTa)を調整する。つまり、繰出軸20と前駆動ローラー31の間に配置された従動ローラー21には、繰出テンションTaを検出するテンションセンサーS21が取り付けられている。このテンションセンサーS21は、例えばシートSから受ける力を検出するロードセルによって構成することができる。そして、プリンター制御部100は、テンションセンサーS21の検出結果に基づいて、繰出モーターM20のトルクをフィードバック制御して、シートSの繰出テンションTaを調整する。つまり、プリンター制御部100には、UI9を介してユーザーにより入力された目標繰出テンションTatが記憶されている。そして、プリンター制御部100は、テンションセンサーS21により検出された繰出テンションTaが目標繰出テンションTatに近づくように、繰出モーターM20のトルクをフィードバック制御する。
また、プリンター制御部100は、前駆動ローラー31を駆動する前駆動モーターM31と、後駆動ローラー32を駆動する後駆動モーターM32とを回転させる。これによって、繰出部2から繰り出されたシートSがプロセス部3を搬送方向Dsへ通過する。この際、前駆動モーターM31に対しては後に詳述する速度制御が実行される一方、後駆動モーターM32に対しては次のトルク制御が実行される。
プリンター制御部100は、後駆動モーターM32のトルクを制御して、前駆動ローラー31から後駆動ローラー32までのシートSのテンション(プロセステンションTb)を調整する。つまり、回転ドラム30と後駆動ローラー32の間に配置された従動ローラー34には、プロセステンションTbを検出するテンションセンサーS34が取り付けられている。このテンションセンサーS34は、例えばシートSから受ける力を検出するロードセルによって構成することができる。そして、プリンター制御部100は、テンションセンサーS34の検出結果に基づいて、後駆動モーターM32のトルクをフィードバック制御して、シートSのプロセステンションTbを調整する。より具体的には、プリンター制御部100には、シートSの種類および幅に応じた目標プロセステンションTbtを示すテーブルが予め記憶されている。そして、プリンター制御部100は、搬送対象のシートSの種類および幅に対応する目標プロセステンションTbtをテーブルから選択し、テンションセンサーS34により検出されたプロセステンションTbが選択された目標プロセステンションTbtに近づくように、後駆動モーターM32のトルクをフィードバック制御する。ちなみに、目標プロセステンションTbtは、目標繰出テンションTatよりも大きな値に設定される。
また、プリンター制御部100は、巻取軸40を駆動する巻取モーターM40を回転させて、後駆動ローラー32が搬送するシートSを巻取軸40に巻き取る。この際、プリンター制御部100は、巻取モーターM40のトルクを制御して、後駆動ローラー32から巻取軸40までのシートSのテンション(巻取テンションTc)を調整する。つまり、後駆動ローラー32と巻取軸40の間に配置された従動ローラー41には、巻取テンションTcを検出するテンションセンサーS41が取り付けられている。このテンションセンサーS41は、例えばシートSから受ける力を検出するロードセルによって構成することができる。そして、プリンター制御部100は、テンションセンサーS41の検出結果に基づいて、巻取モーターM40のトルクをフィードバック制御して、シートSの巻取テンションTcを調整する。つまり、プリンター制御部100には、UI9を介してユーザーにより入力された目標巻取テンションTctが記憶されている。そして、プリンター制御部100は、テンションセンサーS41により検出された巻取テンションTcが目標巻取テンションTctに近づくように、巻取モーターM40のトルクをフィードバック制御する。この際、巻取ロールR40の径に応じて巻取テンションTcを変化させるテーパーテンションを実行するために、この目標巻取テンションTctは巻取ロールR40の径に応じて調整される。
ところで、上述のとおり、前駆動ローラー31を駆動する前駆動モーターM31に対しては速度制御が実行される。つまり、プリンター制御部100は、前駆動モーターM31のエンコーダー出力に基づきフィードバック制御を実行することで、前駆動モーターM31を所定の回転数Vで回転させる。これによって、シートSは、回転数Vで回転する前駆動ローラー31の周速度で搬送方向Dsに搬送されることとなる。
ただし、シートSの搬送条件によっては、前駆動ローラー31の周面でのシートSの搬送速度と比べて、回転ドラム30の周面でのシートSの搬送速度が速くなる場合があることが、後述する発明者等の実験により判った。このような場合、記録ヘッド51、52からインクを適切に吐出することが困難となる場合がある。つまり、図3から判るように、回転ドラム30でのシートSの搬送速度が速くなると、連続して生成されるptsの時間間隔が短くなり、記録ヘッド51、52のノズルに連続して印加される電圧信号の時間間隔も短くなる。これに対して、各電圧信号は所定の時間をかけて変化する。そのため、電圧信号の時間間隔が短くなりすぎると、連続する電圧信号が時間的に相互に重複してしまい、記録ヘッド51、52から適切にインクを吐出できなくなる。
そこで、プリンター制御部100は、目標繰出テンションTat[N]、シートSの断面応力[N/mm2]、シートSの厚みt[μm]あるいはシートSの幅W[mm]といった各種の搬送条件Cのうち、いずれか1つの搬送条件Cに応じて前駆動ローラー31の回転数を調整する。具体的には、プリンター制御部100は、前駆動ローラー31の回転数V、換言すれば前駆動ローラー31を駆動する前駆動モーターM31の回転数Vを、次式
V=(100[%]−ΔV[%])×Vr …式1
ΔV[%]=a×C+b …式2
に基づき決定する。
V=(100[%]−ΔV[%])×Vr …式1
ΔV[%]=a×C+b …式2
に基づき決定する。
式2に示すように、プリンター制御部100は、係数a、bをそれぞれ傾きおよび切片とし、搬送条件Cを変数とする一次式から制御量ΔV[%]を算出する。さらに、式1に示すように、プリンター制御部100は、100[%]から制御量ΔV[%]を引いた比を基準回転数Vrに乗じることで回転数Vを算出する。ここで、基準回転数Vrは、前駆動ローラー31の周速度と回転ドラム30の周速度とが一致する理想状態での前駆動モーターM31の回転数である。
こうして、プリンター制御部100は、シートSの搬送を開始する前に回転数Vを予め求める。そして、シートSを搬送する際には、プリンター制御部100は、前駆動モーターM31のエンコーダー出力に基づき前駆動モーターM31をフィードバック制御することで、回転数Vで前駆動モーターM31を回転させる。式1〜式2から判るように、前駆動モーターM31の回転数Vは搬送条件Cの変化に伴って変化する。つまり、プリンター制御部100は、前駆動ローラー31の回転数V、換言すれば前駆動ローラー31を駆動する前駆動モーターM31の回転数Vを、搬送条件Cの値の変化に伴って調整する。これによって、プリンター制御部100は、回転ドラム30の周速度を適正に抑える。
また、プリンター制御部100は、シートSの種類に応じて係数a、bを定めたテーブルを記憶する。図4はシートの種類と係数a、bとの関係を示すテーブルの一例を示す図である。図4に示すように、シートSが紙を含む場合と、シートSが紙を含まない場合とで、異なる組み合わせの係数a、bが式2の演算に用いられる。つまり、回転ドラム30の周速度と前駆動ローラー31の周速度との差は、シートSの種類に依存する場合がある。そこで、プリンター制御部100は、回転ドラム30の周速度を適正に抑えるために、シートSの種類に応じて、前駆動ローラー31の回転数V、換言すれば前駆動ローラー31を駆動する前駆動モーターM31の回転数Vを調整する。なお、図4のテーブルに示す係数a、bは、図5に模式的に示す実験を行った結果に基づき予め求められて、プリンター制御部100に記憶される。
図5は制御量ΔVを与える一次式の係数a、bを求める実験の内容を模式的に示す図である。同図においては、横軸に搬送条件Cが示され、縦軸に搬送速度オフセット量[%]が示されている。同図の横軸に示す搬送条件Cは、目標繰出テンションTat、シートSの断面応力、シートSの厚みtおよびシートSの幅Wのうち、式2の変数として選択された1つの搬送条件C(換言すれば、係数a、bを求める対象である搬送条件C)である。また、搬送速度オフセット量は、回転ドラム30の周速度から前駆動ローラー31の周速度Vを減算した周速度差を前駆動ローラー31の周速度Vで除した値を百分率で表わしたものである。なお、回転ドラム30の周速度は、ドラムエンコーダーE30の出力値と回転ドラム30の径から求められ、前駆動ローラー31の周速度は、前駆動モーターM31のエンコーダー出力値と前駆動ローラー31の径から求められた。
この実験では、次に示す搬送条件
・シートSの厚みt
・シートSの幅W
・目標繰出テンションTat
・回転ドラム30の温度
・前駆動モーターM31の回転数V
・記録ヘッド51、52に対向するシートSの面(表面/裏面)
のうち、式2の変数に選択された搬送条件C以外のそれぞれを、想定されるプリンター1の使用状況下でのバリエーションの範囲で変化させて、搬送速度オフセット量が測定された。また、紙を含むシートSに対する係数a、bを求める実験では、シートSの種類(「紙+紙」/「紙単層」/「F+紙」)も変化させて、搬送速度オフセット量が測定された。
・シートSの厚みt
・シートSの幅W
・目標繰出テンションTat
・回転ドラム30の温度
・前駆動モーターM31の回転数V
・記録ヘッド51、52に対向するシートSの面(表面/裏面)
のうち、式2の変数に選択された搬送条件C以外のそれぞれを、想定されるプリンター1の使用状況下でのバリエーションの範囲で変化させて、搬送速度オフセット量が測定された。また、紙を含むシートSに対する係数a、bを求める実験では、シートSの種類(「紙+紙」/「紙単層」/「F+紙」)も変化させて、搬送速度オフセット量が測定された。
具体的には、ステップS101に示すように、式2の変数に選択された搬送条件Cの値を所定の値、例えば値C1に固定した状態で他の搬送条件を変化させつつ、搬送速度オフセット量が測定され、グラフにプロットされる。そして、同様の測定が異なる搬送条件C2〜C5それぞれについて実行される。続いて、異なる搬送条件C1〜C5それぞれの搬送速度オフセット量の上限値(オフセット上限値Fu)の近似直線Luと、異なる搬送条件C1〜C5それぞれの搬送速度オフセット量の下限値(オフセット下限値Fl)の近似曲線Llとが算出される(ステップS102)。
このように上限近似直線Luおよび下限近似直線Llが求まると、これらに基づき、制御量ΔVを与える上述の一次式(式2)が求められる。具体的には、上限近似直線Luと制御量ΔVとの差[%]が許容オフセット量A未満になるという制限条件を満たすように、制御量ΔVの一次式が求められる(ステップS103)。ここで、許容オフセット量Aは、ptsに同期して連続して出力される駆動信号が時間的に重複し始めるオフセット量に所定のマージンを加えた値である。図5の例では、上限近似直線Luと下限近似直線Llとの中間に制御量ΔVの一次式が設定されている。そして、この一次式の傾きおよび切片が、図4に示したテーブルの係数a、bとして求められる。
かかる実験が図4に示す「紙を含むシートS」、「F+F」および「F単層」のそれぞれについて実行されて、図4のテーブルが作成される。続いては、より具体的な搬送条件C、すなわち目標繰出テンションTat、シートSの断面応力St、シートSの厚みtあるいはシートSの幅Wを式2の変数とした場合の実施例について説明する。
第1実施例
第1実施例では、目標繰出テンションTatを式2の変数Cとする。図6、図7および図8は繰出テンションに応じて前駆動ローラーの回転速度を調整する第1実施例に関する図である。具体的には、これらの図は目標繰出テンションTat[N]の変化に対する搬送速度オフセット量[%]の変化を示しており、特に図6はシートSが紙を含む場合のデータを示し、図7はシートSが「F+F」である場合のデータを示し、図8はシートSが「F単層」である場合のデータを示す。
第1実施例では、目標繰出テンションTatを式2の変数Cとする。図6、図7および図8は繰出テンションに応じて前駆動ローラーの回転速度を調整する第1実施例に関する図である。具体的には、これらの図は目標繰出テンションTat[N]の変化に対する搬送速度オフセット量[%]の変化を示しており、特に図6はシートSが紙を含む場合のデータを示し、図7はシートSが「F+F」である場合のデータを示し、図8はシートSが「F単層」である場合のデータを示す。
この第1実施例では、プリンター制御部100は、目標繰出テンションTatに応じて前駆動ローラー31の回転数Vを調整する。具体的には、プリンター制御部100は、前駆動ローラー31の回転数V、換言すれば前駆動ローラー31を駆動する前駆動モーターM31の回転数Vを、次式
V=(100[%]−ΔV[%])×Vr …式11
ΔV=a×Tat+b …式12
に基づき決定する。
V=(100[%]−ΔV[%])×Vr …式11
ΔV=a×Tat+b …式12
に基づき決定する。
式12に示すように、プリンター制御部100は、係数a、bをそれぞれ傾きおよび切片とし、目標繰出テンションTatを変数とする一次式から制御量ΔV[%]を算出する。さらに、式11に示すように、プリンター制御部100は、100[%]から制御量ΔV[%]を引いた比を基準回転数Vrに乗じることで回転数Vを算出する。こうして、プリンター制御部100は、シートSの搬送を開始する前に回転数Vを予め求める。そして、シートSを搬送する際には、プリンター制御部100は、前駆動モーターM31のエンコーダー出力に基づき前駆動モーターM31をフィードバック制御することで、回転数Vで前駆動モーターM31を回転させる。
ちなみに、制御量ΔVの一次式における係数a、bは、図4に示したテーブルに基づき、シートSの種類に応じて変更される。また、これら係数a、bは図5に示した実験を行なうことで予め求められてプリンター制御部100に記憶される。この点について、図6の紙を含むシートSで代表して説明する。
この実験では、次に示す搬送条件
・シートSの種類(「紙+紙」/「紙単層」/「F+紙」)
・シートSの厚みt
・シートSの幅W
・回転ドラム30の温度
・前駆動モーターM31の回転数V
・記録ヘッド51、52に対向するシートSの面(表面/裏面)
のそれぞれを、想定されるプリンター1の使用状況下でのバリエーションの範囲で変化させて、異なる目標繰出テンションTatそれぞれで搬送速度オフセット量が測定された。これによって、図6に示すように各測定結果がプロットされる。図6の結果から判るように、搬送速度オフセット量は常に正であり、回転ドラム30の周速度は常に前駆動ローラー31の周速度よりも速い。
・シートSの種類(「紙+紙」/「紙単層」/「F+紙」)
・シートSの厚みt
・シートSの幅W
・回転ドラム30の温度
・前駆動モーターM31の回転数V
・記録ヘッド51、52に対向するシートSの面(表面/裏面)
のそれぞれを、想定されるプリンター1の使用状況下でのバリエーションの範囲で変化させて、異なる目標繰出テンションTatそれぞれで搬送速度オフセット量が測定された。これによって、図6に示すように各測定結果がプロットされる。図6の結果から判るように、搬送速度オフセット量は常に正であり、回転ドラム30の周速度は常に前駆動ローラー31の周速度よりも速い。
続いて、異なる目標繰出テンションTatそれぞれのオフセット上限値Fuの近似直線(図示省略)と、異なる目標繰出テンションTatそれぞれのオフセット下限値Flの近似直線(図示省略)とが算出される。このように上限近似直線Luおよび下限近似直線Llが求まると、これらに基づき、制御量ΔVを与える上述の一次式(式12)が求められる。具体的には、上限近似直線Luと制御量ΔVとの差[%]が許容オフセット量A未満になるという制限条件を満たすように、制御量ΔVの一次式が求められる。図6の例では、上限近似直線Luと下限近似直線Llとの中間に制御量ΔVの一次式(y=−0.0008x+0.4375)が設定されている。ここで、図中の近似直線では、目標繰出テンションTatが変数「x」として表わされ、搬送速度オフセット量が変数「y」として表わされている。そして、この一次式の傾きおよび切片が、図4に示したテーブルの「紙を含むシートS」の係数a、bとして求められる。
「F+F」および「F単層」それぞれのシートSについても、同様の実験が実行された。ただし、上で列挙した搬送条件のうち、シートSの種類はそれぞれ対応する種類に固定である。これによって、制御量ΔVの一次式が求められると同時に、係数a、bが求められる。ちなみに、図7の「F+F」のシートSについては、図6と同様に上限近似直線Luと下限近似直線Llの中間に制御量ΔVの一次式(y=−0.0039x+0.5489)が設定される。これに対して、図8の「F単層」では、同様の設定方法では上記制限条件を満たさないため、制御量ΔVの目標繰出テンションTatの最大側の端は、上限近似直線Luと下限近似直線Llの中間の値に設定される一方、制御量ΔVの目標繰出テンションTatの最小側の端は、上限近似直線Luから許容オフセット量Aを減算した値に設定されている。その結果、制御量ΔVの一次式は、y=−0.0267x+1.9967となっている。
図6から図8に示すように、搬送速度オフセット、すなわち回転ドラム30の周速度と前駆動ローラー31の周速度との差は、繰出テンションTaの調整目標値である目標繰出テンションTatの減少に応じて増大する。したがって、目標繰出テンションTatが低いと、回転ドラム30の周速度が速くなり過ぎる場合がある。これに対して、第1実施例では、目標繰出テンションTatの減少に応じて前駆動ローラー31の回転数Vを減少させる。これによって、回転ドラム30におけるシートSの搬送速度を適切な範囲に抑制することが可能となっている。
第2実施例
第2実施例では、前駆動ローラー31への巻き掛け部でシートS(基材)に生じる断面応力St(基材断面応力)、換言すれば繰出テンションTaとプロセステンションTbとの差によってシートSに生じる断面応力Stを式2の変数Cとする。図9、図10および図11は断面応力に応じて前駆動ローラーの回転速度を調整する第2実施例に関する図である。具体的には、これらの図は断面応力St[N/mm2]の変化に対する搬送速度オフセット量[%]の変化を示しており、特に図9はシートSが紙を含む場合のデータを示し、図10はシートSが「F+F」である場合のデータを示し、図11はシートSが「F単層」である場合のデータを示す。
第2実施例では、前駆動ローラー31への巻き掛け部でシートS(基材)に生じる断面応力St(基材断面応力)、換言すれば繰出テンションTaとプロセステンションTbとの差によってシートSに生じる断面応力Stを式2の変数Cとする。図9、図10および図11は断面応力に応じて前駆動ローラーの回転速度を調整する第2実施例に関する図である。具体的には、これらの図は断面応力St[N/mm2]の変化に対する搬送速度オフセット量[%]の変化を示しており、特に図9はシートSが紙を含む場合のデータを示し、図10はシートSが「F+F」である場合のデータを示し、図11はシートSが「F単層」である場合のデータを示す。
この第2実施例では、プリンター制御部100は、断面応力Stに応じて前駆動ローラー31の回転数Vを調整する。具体的には、プリンター制御部100は、前駆動ローラー31の回転数V、換言すれば前駆動ローラー31を駆動する前駆動モーターM31の回転数Vを、次式
V=(100[%]−ΔV[%])×Vr …式21
ΔV=a×St+b …式22
St=(Tbt−Tat)/(W×t/1000) …式23
に基づき決定する。ここで、式23の右辺の分母において厚みtを除算する値1000は、厚みtの単位を[μm]から[mm]に変換するための値である。
V=(100[%]−ΔV[%])×Vr …式21
ΔV=a×St+b …式22
St=(Tbt−Tat)/(W×t/1000) …式23
に基づき決定する。ここで、式23の右辺の分母において厚みtを除算する値1000は、厚みtの単位を[μm]から[mm]に変換するための値である。
式23に示すように、プリンター制御部100は、断面応力Stを目標プロセステンションTbt[N]から目標繰出テンションTatを引いた目標テンション差(Tbt−Tat>0)をシートSの断面積[mm](=W×t/1000)で除算することで求める。この際、シートSの幅Wは、紙幅センサーSwの検出結果から算出された値が用いられ、シートSの厚みtは、UI9を介して入力された値が用いられる。そして、式22に示すように、プリンター制御部100は、係数a、bをそれぞれ傾きおよび切片とし、断面応力Stを変数とする一次式から制御量ΔV[%]を算出する。さらに、式21に示すように、プリンター制御部100は、100[%]から制御量ΔV[%]を引いた比を基準回転数Vrに乗じることで回転数Vを算出する。こうして、プリンター制御部100は、シートSの搬送を開始する前に回転数Vを予め求める。そして、シートSを搬送する際には、プリンター制御部100は、前駆動モーターM31のエンコーダー出力に基づき前駆動モーターM31をフィードバック制御することで、回転数Vで前駆動モーターM31を回転させる。
ちなみに、制御量ΔVの一次式における係数a、bは、図4に示したテーブルに基づき、シートSの種類に応じて変更される。また、これら係数a、bは図5に示した実験を行なうことで予め求められてプリンター制御部100に記憶される。この点について、図9の紙を含むシートSで代表して説明する。
この実験では、次に示す搬送条件
・シートSの種類(「紙+紙」/「紙単層」/「F+紙」)
・シートSの厚み
・シートSの幅W
・目標繰出テンションTat
・回転ドラム30の温度
・前駆動モーターM31の回転数V
・記録ヘッド51、52に対向するシートSの面(表面/裏面)
のそれぞれを、想定されるプリンター1の使用状況下でのバリエーションの範囲で変化させて、異なる断面応力Stそれぞれで搬送速度オフセット量が測定された。これによって、図9に示すように各測定結果がプロットされる。図9の結果から判るように、搬送速度オフセット量は常に正であり、回転ドラム30の周速度は常に前駆動ローラー31の周速度よりも速い。
・シートSの種類(「紙+紙」/「紙単層」/「F+紙」)
・シートSの厚み
・シートSの幅W
・目標繰出テンションTat
・回転ドラム30の温度
・前駆動モーターM31の回転数V
・記録ヘッド51、52に対向するシートSの面(表面/裏面)
のそれぞれを、想定されるプリンター1の使用状況下でのバリエーションの範囲で変化させて、異なる断面応力Stそれぞれで搬送速度オフセット量が測定された。これによって、図9に示すように各測定結果がプロットされる。図9の結果から判るように、搬送速度オフセット量は常に正であり、回転ドラム30の周速度は常に前駆動ローラー31の周速度よりも速い。
続いて、異なる断面応力Stそれぞれのオフセット上限値Fuの近似直線(図示省略)と、異なる断面応力Stそれぞれのオフセット下限値Flの近似直線(図示省略)とが算出される。このように上限近似直線Luおよび下限近似直線Llが求まると、これらに基づき、制御量ΔVを与える上述の一次式(式22)が求められる。具体的には、上限近似直線Luと制御量ΔVとの差[%]が許容オフセット量A未満になるという制限条件を満たすように、制御量ΔVの一次式が求められる。図9の例では、上限近似直線Luと下限近似直線Llとの中間に制御量ΔVの一次式(y=0.0039x+0.3835)が設定されている。ここで、図中の近似直線では、断面応力Stが変数「x」として表わされ、搬送速度オフセット量が変数「y」として表わされている。そして、この一次式の傾きおよび切片が、図4に示したテーブルの「紙を含むシートS」の係数a、bとして求められる。
「F+F」および「F単層」それぞれのシートSについても、同様の実験が実行された。ただし、上で列挙した搬送条件のうち、シートSの種類はそれぞれ対応する種類に固定である。これによって、制御量ΔVの一次式が求められると同時に、係数a、bが求められる。ちなみに、図10の「F+F」のシートSについては、図9と同様に上限近似直線Luと下限近似直線Llの中間に制御量ΔVの一次式(y=0.0289x+0.259)が設定される。これに対して、図11の「F単層」では、同様の設定方法では上記制限条件を満たさないため、制御量ΔVの断面応力Stの最小側の端は、上限近似直線Luと下限近似直線Llの中間の値に設定される一方、制御量ΔVの断面応力Stの最大側の端は、上限近似直線Luから許容オフセット量Aを減算した値に設定されている。その結果、制御量ΔVの一次式は、y=0.0926x+0.3416となっている。
図9から図11に示すように、搬送速度オフセット、すなわち回転ドラム30の周速度と前駆動ローラー31の周速度との差は、断面応力Stの増加に応じて増大する。したがって、断面応力Stが大きいと、回転ドラム30の周速度が速くなり過ぎる場合がある。これに対して、第2実施例では、断面応力Stの増大に応じて前駆動ローラー31の回転数Vを減少させる。これによって、回転ドラム30におけるシートSの搬送速度を適切な範囲に抑制することが可能となっている。
第3実施例
第3実施例では、シートS(基材)の厚みt(基材厚)を式2の変数Cとする。図12、図13および図14はシートの厚みに応じて前駆動ローラーの回転速度を調整する第3実施例に関する図である。具体的には、これらの図はシートSの厚みt[μm]の変化に対する搬送速度オフセット量[%]の変化を示しており、特に図12はシートSが紙を含む場合のデータを示し、図13はシートSが「F+F」である場合のデータを示し、図14はシートSが「F単層」である場合のデータを示す。
第3実施例では、シートS(基材)の厚みt(基材厚)を式2の変数Cとする。図12、図13および図14はシートの厚みに応じて前駆動ローラーの回転速度を調整する第3実施例に関する図である。具体的には、これらの図はシートSの厚みt[μm]の変化に対する搬送速度オフセット量[%]の変化を示しており、特に図12はシートSが紙を含む場合のデータを示し、図13はシートSが「F+F」である場合のデータを示し、図14はシートSが「F単層」である場合のデータを示す。
この第3実施例では、プリンター制御部100は、シートSの厚みtに応じて前駆動ローラー31の回転数Vを調整する。具体的には、プリンター制御部100は、前駆動ローラー31の回転数V、換言すれば前駆動ローラー31を駆動する前駆動モーターM31の回転数Vを、次式
V=(100[%]−ΔV[%])×Vr …式31
ΔV=a×t+b …式32
に基づき決定する。
V=(100[%]−ΔV[%])×Vr …式31
ΔV=a×t+b …式32
に基づき決定する。
式32に示すように、プリンター制御部100は、係数a、bをそれぞれ傾きおよび切片とし、厚みtを変数とする一次式から制御量ΔV[%]を算出する。この際、シートSの厚みtは、UI9を介して入力された値が用いられる。さらに、式31に示すように、プリンター制御部100は、100[%]から制御量ΔV[%]を引いた比を基準回転数Vrに乗じることで回転数Vを算出する。こうして、プリンター制御部100は、シートSの搬送を開始する前に回転数Vを予め求める。そして、シートSを搬送する際には、プリンター制御部100は、前駆動モーターM31のエンコーダー出力に基づき前駆動モーターM31をフィードバック制御することで、回転数Vで前駆動モーターM31を回転させる。
ちなみに、制御量ΔVの一次式における係数a、bは、図4に示したテーブルに基づき、シートSの種類に応じて変更される。また、これら係数a、bは図5に示した実験を行なうことで予め求められてプリンター制御部100に記憶される。この点について、図12の紙を含むシートSで代表して説明する。
この実験では、次に示す搬送条件
・シートSの種類(「紙+紙」/「紙単層」/「F+紙」)
・シートSの幅W
・目標繰出テンションTat
・回転ドラム30の温度
・前駆動モーターM31の回転数V
・記録ヘッド51、52に対向するシートSの面(表面/裏面)
のそれぞれを、想定されるプリンター1の使用状況下でのバリエーションの範囲で変化させて、異なる厚みtそれぞれで搬送速度オフセット量が測定された。これによって、図12に示すように各測定結果がプロットされる。図12の結果から判るように、搬送速度オフセット量は常に正であり、回転ドラム30の周速度は常に前駆動ローラー31の周速度よりも速い。
・シートSの種類(「紙+紙」/「紙単層」/「F+紙」)
・シートSの幅W
・目標繰出テンションTat
・回転ドラム30の温度
・前駆動モーターM31の回転数V
・記録ヘッド51、52に対向するシートSの面(表面/裏面)
のそれぞれを、想定されるプリンター1の使用状況下でのバリエーションの範囲で変化させて、異なる厚みtそれぞれで搬送速度オフセット量が測定された。これによって、図12に示すように各測定結果がプロットされる。図12の結果から判るように、搬送速度オフセット量は常に正であり、回転ドラム30の周速度は常に前駆動ローラー31の周速度よりも速い。
続いて、異なる厚みtそれぞれのオフセット上限値Fuの近似直線(図示省略)と、異なる厚みtそれぞれのオフセット下限値Flの近似直線(図示省略)とが算出される。このように上限近似直線Luおよび下限近似直線Llが求まると、これらに基づき、制御量ΔVを与える上述の一次式(式32)が求められる。具体的には、上限近似直線Luと制御量ΔVとの差[%]が許容オフセット量A未満になるという制限条件を満たすように、制御量ΔVの一次式が求められる。図12の例では、上限近似直線Luと下限近似直線Llとの中間に制御量ΔVの一次式(y=0.0014x+0.1077)が設定されている。ここで、図中の近似直線では、厚みtが変数「x」として表わされ、搬送速度オフセット量が変数「y」として表わされている。そして、この一次式の傾きおよび切片が、図4に示したテーブルの「紙を含むシートS」の係数a、bとして求められる。
「F+F」および「F単層」それぞれのシートSについても、同様の実験が実行された。ただし、上で列挙した搬送条件のうち、シートSの種類はそれぞれ対応する種類に固定である。これによって、制御量ΔVの一次式が求められると同時に、係数a、bが求められる。ちなみに、図13の「F+F」のシートSについては、図12と同様に上限近似直線Luと下限近似直線Llの中間に制御量ΔVの一次式(y=−0.0017x+0.6217)が設定される。これに対して、図14の「F単層」では、同様の設定方法では上記制限条件を満たさないため、制御量ΔVの厚みtの最大側の端は、上限近似直線Luと下限近似直線Llの中間の値に設定される一方、制御量ΔVの厚みtの最小側の端は、上限近似直線Luから許容オフセット量Aを減算した値に設定されている。その結果、制御量ΔVの一次式は、y=−0.0064x+2.2403となっている。
図12に示すように紙を含むシートSを用いた場合、搬送速度オフセット、すなわち回転ドラム30の周速度と前駆動ローラー31の周速度との差は、シートSの厚みtの増加に応じて増大する。したがって、シートSの厚みtが厚いと、回転ドラム30の周速度が速くなり過ぎる場合がある。これに対して、第3実施例では、紙を含むシートSを用いる場合には、シートSの厚みtの増大に応じて前駆動ローラー31の回転数Vを減少させる。これによって、回転ドラム30におけるシートSの搬送速度を適切な範囲に抑制することが可能となっている。
また、図13および図14に示すように紙を含まないシートSを用いた場合、搬送速度オフセット、すなわち回転ドラム30の周速度と前駆動ローラー31の周速度との差は、シートSの厚みtの減少に応じて増大する。したがって、シートSの厚みtが小さいと、回転ドラム30の周速度が速くなり過ぎる場合がある。これに対して、第3実施例では、紙を含まないシートSを用いる場合には、シートSの厚みtの減少に応じて前駆動ローラー31の回転数Vを減少させる。これによって、回転ドラム30におけるシートSの搬送速度を適切な範囲に抑制することが可能となっている。
第4実施例
第4実施例では、シートS(基材)の幅W(基材幅)を式2の変数Cとする。図15、図16および図17はシートの幅に応じて前駆動ローラーの回転速度を調整する第4実施例に関する図である。具体的には、これらの図はシートSの幅W[mm]の変化に対する搬送速度オフセット量[%]の変化を示しており、特に図15はシートSが紙を含む場合のデータを示し、図16はシートSが「F+F」である場合のデータを示し、図17はシートSが「F単層」である場合のデータを示す。
第4実施例では、シートS(基材)の幅W(基材幅)を式2の変数Cとする。図15、図16および図17はシートの幅に応じて前駆動ローラーの回転速度を調整する第4実施例に関する図である。具体的には、これらの図はシートSの幅W[mm]の変化に対する搬送速度オフセット量[%]の変化を示しており、特に図15はシートSが紙を含む場合のデータを示し、図16はシートSが「F+F」である場合のデータを示し、図17はシートSが「F単層」である場合のデータを示す。
この第4実施例では、プリンター制御部100は、シートSの幅Wに応じて前駆動ローラー31の回転数Vを調整する。具体的には、プリンター制御部100は、前駆動ローラー31の回転数V、換言すれば前駆動ローラー31を駆動する前駆動モーターM31の回転数Vを、次式
V=(100[%]−ΔV[%])×Vr …式41
ΔV=a×W+b …式42
に基づき決定する。
V=(100[%]−ΔV[%])×Vr …式41
ΔV=a×W+b …式42
に基づき決定する。
式42に示すように、プリンター制御部100は、係数a、bをそれぞれ傾きおよび切片とし、幅Wを変数とする一次式から制御量ΔV[%]を算出する。この際、シートSの幅Wは、紙幅センサーSwの検出結果から算出された値が用いられる。さらに、式41に示すように、プリンター制御部100は、100[%]から制御量ΔV[%]を引いた比を基準回転数Vrに乗じることで回転数Vを算出する。こうして、プリンター制御部100は、シートSの搬送を開始する前に回転数Vを予め求める。そして、シートSを搬送する際には、プリンター制御部100は、前駆動モーターM31のエンコーダー出力に基づき前駆動モーターM31をフィードバック制御することで、回転数Vで前駆動モーターM31を回転させる。
ちなみに、制御量ΔVの一次式における係数a、bは、図4に示したテーブルに基づき、シートSの種類に応じて変更される。また、これら係数a、bは図5に示した実験を行なうことで予め求められてプリンター制御部100に記憶される。この点について、図15の紙を含むシートSで代表して説明する。
この実験では、次に示す搬送条件
・シートSの種類(「紙+紙」/「紙単層」/「F+紙」)
・シートSの厚みt
・目標繰出テンションTat
・回転ドラム30の温度
・前駆動モーターM31の回転数V
・記録ヘッド51、52に対向するシートSの面(表面/裏面)
のそれぞれを、想定されるプリンター1の使用状況下でのバリエーションの範囲で変化させて、異なる幅Wそれぞれで搬送速度オフセット量が測定された。これによって、図15に示すように各測定結果がプロットされる。図15の結果から判るように、搬送速度オフセット量は常に正であり、回転ドラム30の周速度は常に前駆動ローラー31の周速度よりも速い。
・シートSの種類(「紙+紙」/「紙単層」/「F+紙」)
・シートSの厚みt
・目標繰出テンションTat
・回転ドラム30の温度
・前駆動モーターM31の回転数V
・記録ヘッド51、52に対向するシートSの面(表面/裏面)
のそれぞれを、想定されるプリンター1の使用状況下でのバリエーションの範囲で変化させて、異なる幅Wそれぞれで搬送速度オフセット量が測定された。これによって、図15に示すように各測定結果がプロットされる。図15の結果から判るように、搬送速度オフセット量は常に正であり、回転ドラム30の周速度は常に前駆動ローラー31の周速度よりも速い。
続いて、異なる幅Wそれぞれのオフセット上限値Fuの近似直線(図示省略)と、異なる幅Wそれぞれのオフセット下限値Flの近似直線(図示省略)とが算出される。このように上限近似直線Luおよび下限近似直線Llが求まると、これらに基づき、制御量ΔVを与える上述の一次式(式42)が求められる。具体的には、上限近似直線Luと制御量ΔVとの差[%]が許容オフセット量A未満になるという制限条件を満たすように、制御量ΔVの一次式が求められる。図15の例では、上限近似直線Luと下限近似直線Llとの中間に制御量ΔVの一次式(y=−0.0001x+0.4292)が設定されている。ここで、図中の近似直線では、幅Wが変数「x」として表わされ、搬送速度オフセット量が変数「y」として表わされている。そして、この一次式の傾きおよび切片が、図4に示したテーブルの「紙を含むシートS」の係数a、bとして求められる。
「F+F」および「F単層」それぞれのシートSについても、同様の実験が実行された。ただし、上で列挙した搬送条件のうち、シートSの種類はそれぞれ対応する種類に固定である。これによって、制御量ΔVの一次式が求められると同時に、係数a、bが求められる。ちなみに、図16の「F+F」のシートSについては、図15と同様に上限近似直線Luと下限近似直線Llの中間に制御量ΔVの一次式(y=−0.0006x+0.5427)が設定される。これに対して、図17の「F単層」では、同様の設定方法では上記制限条件を満たさないため、制御量ΔVの幅Wの最大側の端は、上限近似直線Luと下限近似直線Llの中間の値に設定される一方、制御量ΔVの幅Wの最小側の端は、上限近似直線Luから許容オフセット量Aを減算した値に設定されている。その結果、制御量ΔVの一次式は、y=−0.0049x+2.1192となっている。
図15から図17に示すように、搬送速度オフセット、すなわち回転ドラム30の周速度と前駆動ローラー31の周速度との差は、シートSの幅Wの減少に応じて増大する。したがって、シートSの幅Wが狭いと、回転ドラム30の周速度が速くなり過ぎる場合がある。これに対して、第4実施例では、シートSの幅Wの減少に応じて前駆動ローラー31の回転数Vを減少させる。これによって、回転ドラム30におけるシートSの搬送速度を適切な範囲に抑制することが可能となっている。
以上のように、上記実施形態では、プリンター1が本発明の「印刷装置」の一例に相当し、前駆動ローラー31が本発明の「駆動ローラー」の一例に相当し、記録ヘッド51、52が本発明の「吐出ヘッド」の一例に相当し、回転ドラム30が本発明の「従動回転部材」の一例に相当し、ドラムエンコーダーE30が本発明の「回転位置検出部」の一例に相当し、プリンター制御部100が本発明の「制御部」および「テンション調整部」の一例に相当し、プロセステンションTbが本発明の「第1テンション」の一例に相当し、繰出テンションTaが本発明の「第2テンション」の一例に相当し、シートSが本発明の「記録媒体」の一例に相当し、インクが本発明の「液体」の一例に相当する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、円筒形状の回転ドラム30でシートSを支持していた。しかしながら、シートSの支持態様はこれに限られない。図18および図19はシートの支持態様の変形例を模式的に示す図である。
図18の例では、シートSが複数の支持ローラー71に張架されており、シートSを挟んで各支持ローラー71に記録ヘッド(図示省略)が対向する。こうして、支持ローラー71は、記録ヘッドから吐出されたインクが着弾する部分でシートSを支持しつつ、シートSの搬送に伴って従動回転する。そして、各記録ヘッドの吐出タイミングは、対向する支持ローラー71の回転位置をエンコーダーで検出した結果に基づき制御される。このような支持態様でシートSを支持するプリンター1においても、前駆動ローラー31と支持ローラー71との周速度差に対応するために、本発明を適用可能である。
図19の例では、支持プレート72がシートSを支持し、シートSを挟んでこの支持プレート72に複数の記録ヘッド(図示省略)が対向する。また、支持プレート72の搬送方向Dsの下流側では、シートSの搬送に伴って従動回転する従動ローラー73が設けられている。そして、各記録ヘッドの吐出タイミングは、従動ローラー73の回転位置をエンコーダーで検出した結果に基づき制御される。このような支持態様でシートSを支持するプリンター1においても、前駆動ローラー31と従動ローラー73との周速度差に対応するために、本発明を適用できる。
また、シートSの幅Wは、紙幅センサーSwの検出結果に基づき求められていた。しかしながら、UI9を介してユーザーが入力したシートSの幅Wを用いても構わない。
また、上記の第1実施例および第2実施例では、制御量ΔVの算出に目標繰出テンションTatが用いられていた。しかしながら、目標繰出テンションTatに代えて、繰出テンションTaをテンションセンサーS21により検出した検出値を用いて、制御量ΔVを算出しても良い。
また、図4において、紙を含まないシートSについては、シートSの種類が「F+F」であるか「F単層」であるかで係数a、bの値を異ならせていた。しかしながら、紙を含まないシートSについては、PET(polyethylene terephthalate)を含むか否かで適切な係数a、bの値が異なることが、実験により見出された。したがって、紙を含まないシートSについては、シートSが素材としてPETを含むか否かで係数a、bの値を異ならせても良い。
また、上記実施形態では、前駆動ローラー31の前駆動モーターM31に対して速度制御が実行されていた。しかしながら、前駆動ローラー31の前駆動モーターM31に対してトルク制御を実行し、後駆動ローラー32の後駆動モーターM32に対して速度制御を実行するプリンター1に対して本発明を適用しても構わない。
1…プリンター、2…繰出部、20…繰出軸、R20…繰出ロール、21…従動ローラー、3…プロセス部、30…回転ドラム、E30…ドラムエンコーダー、31…前駆動ローラー、31n…ニップローラー、32…後駆動ローラー、32n…ニップローラー、33…従動ローラー、34…従動ローラー、4…巻取部、40…巻取軸、R40…巻取ロール、41…従動ローラー、51…記録ヘッド、52…記録ヘッド、61…UV照射器、62…UV照射器、63…UV照射器、100…プリンター制御部、Ta…繰出テンション、Tb…プロセステンション、Tc…巻取テンション、S…シート、Ss…エッジセンサー、Sw…紙幅センサー、S30…温度センサー
Claims (8)
- 記録媒体に接触しつつ回転することで前記記録媒体を駆動する駆動ローラーと、
前記記録媒体に液体を吐出する吐出ヘッドと、
前記記録媒体に接触しつつ前記記録媒体の搬送に従動して回転する従動回転部材と、
前記従動回転部材の回転位置を検出する回転位置検出部と、
前記駆動ローラーを回転することで前記記録媒体を搬送しつつ、前記回転位置検出部の検出結果に応じて前記吐出ヘッドから液体を吐出するタイミングを調整する制御部と、
前記駆動ローラーよりも前記吐出ヘッド側における前記記録媒体のテンションである第1テンションと、前記駆動ローラーよりも前記吐出ヘッドの反対側における前記記録媒体のテンションである第2テンションとを調整するテンション調整部と
を備え、
前記制御部は、前記第2テンションに応じて前記駆動ローラーの回転数を調整する印刷装置。 - 前記制御部は、前記第1テンションの変化に依らず、前記第2テンションの変化に応じて前記駆動ローラーの回転数を調整する請求項1に記載の印刷装置。
- 前記制御部は、前記第1テンションと前記第2テンションとの差によって生じる前記記録媒体の断面応力の変化に応じて前記駆動ローラーの回転数を調整する請求項1に記載の印刷装置。
- 記録媒体に接触しつつ回転することで前記記録媒体を駆動する駆動ローラーと、
前記記録媒体に液体を吐出する吐出ヘッドと、
前記記録媒体に接触しつつ前記記録媒体の搬送に従動して回転する従動回転部材と、
前記従動回転部材の回転位置を検出する回転位置検出部と、
前記駆動ローラーを回転することで前記記録媒体を搬送しつつ、前記回転位置検出部の検出結果に応じて前記吐出ヘッドから液体を吐出するタイミングを調整する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記記録媒体の構成に応じて前記駆動ローラーの回転数を調整する印刷装置。 - 前記制御部は、前記記録媒体の厚みに応じて前記駆動ローラーの回転数を調整する請求項4に記載の印刷装置。
- 前記制御部は、前記記録媒体の幅に応じて前記駆動ローラーの回転数を調整する請求項4に記載の印刷装置。
- 記録媒体に接触する駆動ローラーを回転させることで前記記録媒体を駆動するとともに、前記記録媒体に接触しつつ前記記録媒体の搬送に従動して回転する従動回転部材の回転位置を検出する工程と、
前記記録媒体へ前記吐出ヘッドから液体を吐出するタイミングを、前記従動回転部材の回転位置の検出結果に応じて調整する工程と
を備え、
前記駆動ローラーの回転数は、前記駆動ローラーよりも前記吐出ヘッドの反対側における前記記録媒体のテンションに応じて調整される印刷方法。 - 記録媒体に接触する駆動ローラーを回転させることで前記記録媒体を駆動するとともに、前記記録媒体に接触しつつ前記記録媒体の搬送に従動して回転する従動回転部材の回転位置を検出する工程と、
前記記録媒体へ前記吐出ヘッドから液体を吐出するタイミングを、前記従動回転部材の回転位置の検出結果に応じて調整する工程と
を備え、
前記駆動ローラーの回転数は、前記記録媒体の構成に応じて調整される印刷方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016114929A JP2017217848A (ja) | 2016-06-09 | 2016-06-09 | 印刷装置、印刷方法 |
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Cited By (1)
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WO2019093470A1 (ja) | 2017-11-10 | 2019-05-16 | 積水化学工業株式会社 | 蓄電デバイス用セパレータ及び蓄電デバイス |
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