JP2017132644A - 機能膜付き化学強化ガラス板、その製造方法および物品 - Google Patents

機能膜付き化学強化ガラス板、その製造方法および物品 Download PDF

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Abstract

【課題】機能膜が中空シリカ粒子を含まない場合でも、機能膜を形成した後にガラス板を良好に化学強化できる機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法、該製造方法により得られる機能膜付き化学強化ガラス板、および該機能膜付き化学強化ガラス板を備える物品の提供。
【解決手段】化学強化ガラス板3と機能膜5とを有する機能膜付き化学強化ガラス板1の製造方法であって、ガラス板上に、下記の塗布液を塗布し、乾燥して機能膜5を形成する工程と、機能膜5が形成されたガラス板を化学強化して機能膜付き化学強化ガラス板1を得る工程と、を有し、機能膜5を形成する工程を、450℃以下の温度で行う。塗布液:シリカ前駆体と、液状媒体とを含み、前記シリカ前駆体の含有量が、前記塗布液中の酸化物換算固形分に対して15質量%以上であり、中空シリカ粒子の含有量が、前記塗布液中の酸化物換算固形分に対して10質量%未満である。
【選択図】図1

Description

本発明は、機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法、該製造方法により得られる機能膜付き化学強化ガラス板、および該機能膜付き化学強化ガラス板を備える物品に関する。
従来、ガラス板の表面に、防眩膜、低反射膜等の機能膜を形成することが行われている。機能膜の形成方法の一つとして、アルコキシシラン等のシリカ前駆体を含む塗布液をガラス板上に塗布し乾燥または焼成する方法がある。該方法は、プロセスが簡便で、塗布液の組成や塗布方法によって機能膜の性能を制御できる。例えば塗布液に低屈折率の材料を配合すると、低反射性を有する機能膜が形成される。また、表面に凹凸が形成されるように塗布液を塗布すると、防眩性を有する機能膜が形成される。
一方、化学強化法によりガラス板を強化することが行われている。化学強化法では、ガラスの歪点温度以下の温度でガラス板を溶融塩に浸漬して、ガラス板表層のイオン(例えばナトリウムイオン)を、より大きなイオン半径のイオン(例えばカリウムイオン)へと交換する。これにより、ガラス板表層に圧縮応力が生じ、傷や衝撃に対する耐性が向上する。
機能膜の形成後に化学強化を行う場合、機能膜によってイオン交換が阻害され、ガラス板を充分に強化できない懸念がある。そのため、化学強化され、かつ機能膜が形成されたガラス板を製造する場合、ガラス板を化学強化し、その後に機能膜を形成する方法が適していると考えられる。しかし、化学強化の後に機能膜を形成することは、強化応力が低下しないよう機能膜の焼成条件の最適化するのに煩雑であったり、加温が必要な工程が複数回必要なため、生産性の点で望ましくない。
そこで、ガラス板の表面に低反射膜を形成した後、化学強化処理を行って低反射膜付き強化ガラス板を製造する方法が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載の方法では、低反射膜の形成に、特定のケイ素化合物と中空シリカゾルと金属キレート化合物とを特定の重量比で含む塗布液を用いることで、低反射膜を通してのイオン交換が可能で、化学強化処理を効果的に行うことができるとされている。
特開2011−88765号公報
しかし、特許文献1に記載の方法は、塗布液の組成が限定されているため、低反射膜以外の機能膜の形成には適さない。また、機能膜形成用の材料としては比較的高価な中空シリカゾルを所定の割合で含む必要があるためコストがかかる。さらに、ガラス板の化学強化効果も充分とはいえない。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、機能膜が中空シリカ粒子を含まない場合でも、機能膜を形成した後にガラス板を良好に化学強化できる機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法、該製造方法により得られる機能膜付き化学強化ガラス板、および該機能膜付き化学強化ガラス板を備える物品を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]化学強化ガラス板と、前記化学強化ガラス板上に設けられた機能膜とを有する機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法であって、
ガラス板上に、下記の塗布液を塗布し、乾燥して機能膜を形成する工程と、
前記機能膜が形成されたガラス板を化学強化して機能膜付き化学強化ガラス板を得る工程と、を有し、
前記機能膜を形成する工程を、450℃以下の温度で行うことを特徴とする、機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法。
塗布液:ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するシラン化合物およびその加水分解縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のシリカ前駆体と、液状媒体とを含み、前記シリカ前駆体の含有量が、前記塗布液中の酸化物換算固形分に対して15質量%以上であり、中空シリカ粒子の含有量が、前記塗布液中の酸化物換算固形分に対して10質量%未満である。
[2]化学強化ガラス板と、前記化学強化ガラス板上に設けられた機能膜とを有する機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法であって、
下記の塗布液から450℃以下の温度で機能膜が形成され、その後、450℃超の温度で熱処理されていないガラス板を化学強化して機能膜付き化学強化ガラス板を得る工程を有することを特徴とする、機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法。
塗布液:ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するシラン化合物およびその加水分解縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のシリカ前駆体と、液状媒体とを含み、前記シリカ前駆体の含有量が、前記塗布液中の酸化物換算固形分に対して15質量%以上であり、中空シリカ粒子の含有量が、前記塗布液中の酸化物換算固形分に対して10質量%未満である。
[3]前記ガラス板が以下の組成を有する、[1]または[2]に記載の機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法。
ガラス組成:酸化物基準のモル百分率表示で、SiOを56〜75%、Alを1〜20%、NaOを8〜22%、KOを0〜10%、MgOを0〜14%、ZrOを0〜5%、CaOを0〜10%含有する。
[4]前記塗布液が、中実無機粒子をさらに含み、前記中実無機粒子の含有量が、前記塗布液中の酸化物換算固形分に対して10〜85質量%である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法。
[5]前記機能膜が防眩性を有する、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法。
[6]前記機能膜が低反射性を有する、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法。
[7][1]〜[6]のいずれか一項に記載の機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法により得られる機能膜付き化学強化ガラス板。
[8][7]に記載の機能膜付き化学強化ガラス板を備える物品。
本発明によれば、機能膜が中空シリカ粒子を含まない場合でも、機能膜を形成した後にガラス板を良好に化学強化できる機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法、該製造方法により得られる機能膜付き化学強化ガラス板、および該機能膜付き化学強化ガラス板を備える物品を提供できる。
本発明の機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法により製造される機能膜付き化学強化ガラス板の一例を模式的に示す断面図である。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「化学強化ガラス板」は、化学強化法により強化(化学強化)されたガラス板である。
化学強化法は、ガラス板の表層に圧縮応力層を形成する方法の一つであり、ガラスの歪点温度以下の温度でガラス板を溶融塩に浸漬して、ガラス板表層のイオン(例えばナトリウムイオン)を、より大きなイオン半径のイオン(例えばカリウムイオン)へと交換する方法である。これにより、ガラス板表層に圧縮応力が生じる。なお、ガラスの歪点は、軟化点よりも低い。
「圧縮応力層」は、所望の表面圧縮応力を有する層(化学強化層)である。
化学強化ガラス板の表面圧縮応力および圧縮応力層の厚さは、表面応力計(例えば折原製作所製:FSM−6000LE)により測定される。
「シリカ前駆体」とは、シリカを主成分とするマトリックスを形成し得る物質を意味する。
「シリカを主成分とする」とは、SiOを90質量%以上含むことを意味する。
「ケイ素原子に結合した加水分解性基」とは、加水分解によって、ケイ素原子に結合したOH基に変換し得る基を意味する。
酸化物換算固形分とは、塗布液に含まれる成分のうち、金属元素を含む成分の酸化物換算(金属酸化物換算)の含有量の合計を意味する。
酸化物換算固形分に対する割合として示される含有量は、酸化物換算の含有量である。例えばシリカ前駆体の含有量は、SiO換算量である。すなわち、シリカ前駆体に含まれる全てのSiがSiOに転化したときの含有量である。
<機能膜付き化学強化ガラス板>
図1は、本発明の機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法により得られる機能膜付き化学強化ガラス板の一例を模式的に示す断面図である。
この例の機能膜付き化学強化ガラス板1は、化学強化ガラス板3と、化学強化ガラス板3上に形成された機能膜5とを備える。
機能膜5は、単層の膜であってもよく、複層の膜であってもよい。
(化学強化ガラス板)
化学強化ガラス板3の厚さは、2mm未満が好ましく、0.4mm以上1.1mm以下がより好ましく、0.8mm以上1.1mm以下が特に好ましい。
厚さが2mm未満であるガラス板は、風冷強化法での強化が難しい。そのため、強化するガラス板の厚さが2mm未満の場合に本発明の有用性が高い。また、化学強化ガラス板3の厚さが薄いほど、光の吸収が低く抑えられ、透過率向上を目的とする用途にとって好ましい。また、単位面積当たりの機能膜付き化学強化ガラス板1の質量が軽くなり、機能膜付き化学強化ガラス板1を備える物品を軽量化できる。
化学強化ガラス板3の厚さが0.4mm以上であると、機能膜付き化学強化ガラス板1が大きい場合(例えば長辺が300mm以上)でもたわみが小さく扱いやすい。
化学強化ガラス板3は、表面圧縮応力が400MPa以上、圧縮応力層の厚さが5μm以上であることが好ましい。表面圧縮応力が400MPa以上、且つ圧縮応力層の厚さが5μm以上であれば、化学強化ガラス板3が傷など物理的衝撃への耐久性に優れる。
化学強化ガラス板3の表面圧縮応力は、用途によっては、500MPa以上がより好ましく、600MPa以上がさらに好ましい。また、典型的には、表面圧縮応力は800MPa以下である。
圧縮応力層の厚さは、20μm以上であることがより好ましく、25μm超であることがさらに好ましい。また、典型的には、圧縮応力層の厚さは70μm以下である。
化学強化される前のガラス板(未強化ガラス板)については後で詳しく説明する。
(機能膜)
機能膜5は、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するシラン化合物およびその加水分解縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のシリカ前駆体と、液状媒体とを含む塗布液を塗布し、乾燥することによって形成されるものである。したがって機能膜5は、シリカ前駆体から形成された、シリカを主成分とするマトリックス(以下、シリカ系マトリクスともいう。)を含む。
シリカ系マトリクスは、シリカ以外の成分を含んでもよい。該成分としては、Li,B,C,N,F,Na,Mg,Al,P,S,K,Ca,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Sr,Y,Zr,Nb,Ru,Pd,Ag,In,Sn,Hf,Ta,W,Pt,Au,Biおよびランタノイド元素より選ばれる1つもしくは複数のイオンおよびまたは酸化物等の化合物が挙げられる。
機能膜5は、シリカ系マトリクスのみからなるものでもよく、シリカ系マトリクス以外の他の成分をさらに含むものでもよい。例えばシリカ系マトリクス中に分散した粒子を含んでいてもよい。粒子の種類等については、機能膜を製造するための塗布液の項で詳述する。
機能膜5としては、前記シリカ前駆体と液状媒体とを含む塗布液から形成し得るものであれば特に限定されず、例えば防眩膜、低反射膜、ガラスのヤケ防止膜、アルカリバリア膜、傷防止膜、防汚膜等が挙げられる。これらの中では、化学強化ガラスが使用される多くの用途において必要性が高い点では、防眩膜または低反射膜が好ましい。
防眩膜は、防眩性を有する膜である。防眩膜は、低反射性を有する防眩膜(低反射性防眩膜)であってもよい。
低反射膜は、低反射性(反射防止性)を有する膜である。
機能膜5が防眩膜である場合、機能膜5の表面における60゜鏡面光沢度は、80%以下が好ましく、70%以下がより好ましく、60%以下がさらに好ましい。機能膜5の表面における60゜鏡面光沢度が80%以下であれば、防眩効果が充分に発揮される。
機能膜5が防眩膜である場合、機能膜5の表面の算術平均粗さRaは、0.04〜1.00μmが好ましく、0.06〜1.00μmがより好ましく、0.1〜0.8μmがさらに好ましい。機能膜5の表面の算術平均粗さRaが前記範囲の下限値以上であれば、防眩効果が充分に発揮される。機能膜5の表面の算術平均粗さRaが前記範囲の上限値以下であれば、機能膜付き化学強化ガラス板1を保護板や各種フィルタとして画像表示装置本体の視認側に設けた場合に、画像のコントラストの低下が充分に抑えられる。
機能膜5が低反射性を有する防眩膜である場合、機能膜5の屈折率は、1.23〜1.47が好ましく、1.25〜1.40がより好ましい。機能膜5の屈折率が前記範囲の上限値以下であると、機能膜5の表面での反射が抑えられ、化学強化ガラス板3単独の場合よりも光の透過率が向上する。機能膜5の屈折率が前記範囲の下限値以上であると、機能膜5が緻密で、機能膜5の耐摩耗性等の機械的強度、化学強化ガラス板3との密着性等に優れる。また、機能膜付き化学強化ガラス板1をカバーカラスとして太陽電池の光入射側に設けた場合に、太陽電池の発電効率が良好である。
機能膜5が低反射膜である場合、機能膜5の膜厚は、30〜300nmが好ましく、40〜200nmがより好ましい。機能膜5の膜厚が30nm以上であれば、光の干渉が起こり、低反射性能が発現する。機能膜5の膜厚が300nm以下であれば、クラックが発生せずに成膜できる。
機能膜5の膜厚は、分光光度計により測定された反射率により測定される。
機能膜5が低反射膜である場合、機能膜5の反射率は、波長300〜1200nmの範囲内における最も低い値(いわゆるボトム反射率)で、2.6%以下が好ましく、1.0%以下がより好ましい。
<機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法>
機能膜付き化学強化ガラス板1は、例えば、
ガラス板上に、下記の塗布液を塗布し、乾燥して機能膜5を形成する工程(以下、「機能膜形成工程」ともいう。)と、
前記機能膜5が形成されたガラス板を化学強化して機能膜付き化学強化ガラス板1を得る工程(以下、「化学強化工程」ともいう。)と、を経て製造できる。
必要に応じて、化学強化工程の後に、機能膜付き化学強化ガラス板1に対して公知の後加工を施す工程を行ってもよい。
(塗布液)
塗布液は、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するシラン化合物およびその加水分解縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のシリカ前駆体と、液状媒体とを含む。塗布液は、必要に応じて、粒子、テルペン化合物、添加剤等をさらに含んでもよい。
シリカ前駆体:
シリカ前駆体としては、ケイ素原子に結合した炭化水素基および加水分解性基を有するシラン化合物(A1)およびその加水分解縮合物、アルコキシシラン(ただしシラン化合物(A1)を除く。)およびその加水分解縮合物(ゾルゲルシリカ)等が挙げられる。
シラン化合物(A1)において、ケイ素原子に結合した炭化水素基は、1つケイ素原子に結合した1価の炭化水素基であってもよく、2つのケイ素原子に結合した2価の炭化水素基であってもよい。1価の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基等が挙げられる。2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基等が挙げられる。
炭化水素基は、炭素原子間に−O−、−S−、−CO−および−NR’−(ただしR’は水素原子または1価の炭化水素基である。)から選ばれる1つまたは2つ以上を組み合わせた基を有していてもよい。
ケイ素原子に結合した加水分解性基としては、アルコキシ基、アシロキシ基、ケトオキシム基、アルケニルオキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、イソシアネート基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの中では、シラン化合物(A1)の安定性と加水分解のしやすさとのバランスの点から、アルコキシ基、イソシアネート基およびハロゲン原子(特に塩素原子)が好ましい。
アルコキシ基としては、炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基またはエトキシ基がより好ましい。
シラン化合物(A1)中に加水分解性基が複数存在する場合には、加水分解性基は、同じ基であっても異なる基であってもよく、同じ基であることが入手しやすさの点で好ましい。
シラン化合物(A1)としては、後述する式(I)で表される化合物、アルキル基を有するアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等)、ビニル基を有するアルコキシシラン(ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等)、エポキシ基を有するアルコキシシラン(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等)、アクリロイルオキシ基を有するアルコキシシラン(3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等)等が挙げられる。
シラン化合物(A1)としては、膜厚が厚くても機能膜のクラックや膜剥がれが生じにくい点から、下式(I)で表される化合物が好ましい。
3−pSi−Q−SiL3−p ・・・(I)
式(I)中、Qは、2価の炭化水素基(炭素原子間に−O−、−S−、−CO−および−NR’−(ただし、R’は水素原子または1価の炭化水素基である。)から選ばれる1つまたは2つ以上を組み合わせた基を有していてもよい。)である。2価の炭化水素としては、上述したものが挙げられる。
Qとしては、入手が容易であり、かつ膜厚が厚くても機能膜のクラックや膜剥がれが生じにくい点から、炭素数2〜8のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜6のアルキレン基がさらに好ましい。
式(I)中、Lは、加水分解性基である。加水分解性基としては、上述したものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
Rは、水素原子または1価の炭化水素基である。1価の炭化水素としては、上述したものが挙げられる。
pは、1〜3の整数である。pは、反応速度が遅くなりすぎない点から、2または3が好ましく、3が特に好ましい。
アルコキシシラン(ただし、前記シラン化合物(A1)を除く。)としては、テトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等)、パーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン(パーフルオロポリエーテルトリエトキシシラン等)、パーフルオロアルキル基を有するアルコキシシラン(パーフルオロエチルトリエトキシシラン等)等が挙げられる。
シラン化合物(A1)およびアルコキシシラン(ただしシラン化合物(A1)を除く。)の加水分解および縮合は、公知の方法により行うことができる。
例えばテトラアルコキシシランの場合、テトラアルコキシシランの4倍モル以上の水、および触媒として酸またはアルカリを用いて行う。
酸としては、無機酸(HNO、HSO、HCl等。)、有機酸(ギ酸、シュウ酸、モノクロル酢酸、ジクロル酢酸、トリクロル酢酸等。)が挙げられる。アルカリとしては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。触媒としては、シラン化合物(A)の加水分解縮合物の長期保存性の点では、酸が好ましい。
シリカ前駆体としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカ前駆体は、機能膜のクラックや膜剥がれを防止する観点から、シラン化合物(A1)およびその加水分解縮合物のいずれか一方または両方を含むことが好ましい。
シリカ前駆体は、機能膜の耐摩耗強度の観点から、テトラアルコキシシランおよびその加水分解縮合物のいずれか一方または両方を含むことが好ましい。
シリカ前駆体は、シラン化合物(A1)およびその加水分解縮合物のいずれか一方または両方と、テトラアルコキシシランおよびその加水分解縮合物のいずれか一方または両方と、を含むことが特に好ましい。
液状媒体:
液状媒体は、シリカ前駆体を溶解または分散するものであり、シリカ前駆体を溶解する溶媒であることが好ましい。塗布液が粒子を含む場合、液状媒体は、粒子を分散する分散媒としての機能も有するものであってよい。
液状媒体としては、例えば、水、アルコール類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類、エステル類、グリコールエーテル類、含窒素化合物、含硫黄化合物等が挙げられる。
アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
エーテル類としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。
セロソルブ類としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等が挙げられる。
エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル等が挙げられる。
グリコールエーテル類としては、エチレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられる。
含窒素化合物としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
含硫黄化合物としては、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
液状媒体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカ前駆体におけるアルコキシシラン等の加水分解に水が必要となるため、加水分解後に液状媒体の置換を行わない限り、液状媒体には少なくとも水が含まれる。
この場合、液状媒体は、水のみであってもよく、水と他の液体との混合液であってもよい。他の液体としては、例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類、エステル類、グリコールエーテル類、含窒素化合物、含硫黄化合物等が挙げられる。他の液体のうち、シリカ系マトリックス前駆体の溶媒としては、アルコール類が好ましく、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノールが特に好ましい。
液状媒体には、酸またはアルカリが含まれてもよい。酸またはアルカリは、シリカ前駆体の溶液の調製の際に、原料(アルコキシシラン等)の加水分解、縮合にために触媒として添加されたものでもよく、シリカ前駆体の溶液の調製後に添加されたものでもよい。
粒子:
塗布液が粒子を含む場合、粒子の種類や配合量によって、機能膜5の特性(屈折率、透過率、反射率、色調、導電性、濡れ性、物理的耐久性、化学的耐久性等)を調整できる。
粒子としては、無機粒子、有機粒子等が挙げられる。
無機粒子の材料としては、金属酸化物、金属、合金、無機顔料等が挙げられる。
金属酸化物としては、Al、SiO、SnO、TiO、ZrO、ZnO、CeO、Sb含有SnO(ATO)、Sn含有In(ITO)、RuO等が挙げられる。
金属としては、Ag、Ru等が挙げられる。
合金としては、AgPd、RuAu等が挙げられる。
無機顔料としては、チタンブラック、カーボンブラック等が挙げられる。
有機粒子の材料としては、有機顔料、樹脂等が挙げられる。
樹脂としては、ポリスチレン、メラニン樹脂等が挙げられる。
粒子の形状としては、球状、楕円状、針状、板状、棒状、円すい状、円柱状、立方体状、長方体状、ダイヤモンド状、星状、不定形状等が挙げられる。中実無機粒子は、各粒子が独立した状態で存在していてもよく、各粒子が鎖状に連結していてもよく、各粒子が凝集していてもよい。
粒子は、中実粒子でもよく、中空粒子でもよく、多孔質粒子等の穴あき粒子でもよい。「中実」は、内部に空洞を有しないことを示す。「中空」は、内部に空洞を有することを示す。
粒子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
粒子としては、コスト、入手容易性等の点で、中実無機粒子が好ましく、化学的耐久性の点で、中実金属酸化物粒子がより好ましい。
中実無機粒子と他の粒子とを併用してもよい。
機能膜5として低反射性(反射防止性)を有する機能膜(低反射性防眩膜、低反射膜等)を形成する場合には、中実無機粒子として、中実シリカ粒子を含むことが好ましい。
中実シリカ粒子としては、鎖状中実シリカ粒子が好ましい。鎖状中実シリカ粒子は、鎖状の形状を有する中実シリカ粒子である。例えば複数の球状楕円状、針状等の形状を有する中実シリカ粒子が鎖状に連結した形状のものが挙げられる。鎖状中実シリカ粒子の形状は、電子顕微鏡により確認できる。
鎖状中実シリカ粒子は、市販品として容易に入手することができる。また、公知の製造方法により製造したものを使用してもよい。市販品としては、例えば、日産化学工業(株)製のスノーテックスST−OUP等が挙げられる。
粒子の平均凝集粒子径は、5〜300nmであることが好ましく、5〜200nmがより好ましい。粒子の平均凝集粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、粒子の配合効果が発揮されやすく、上限値以下であれば、機能膜5が耐摩耗性等の機械的特性に優れる。
粒子の平均凝集粒子径は、レーザ回折式の粒度分布測定装置により体積基準で測定される。
テルペン化合物:
テルペン化合物は、塗布液が粒子を含む場合に好ましく用いられる。塗布液が粒子とともにテルペン化合物を含む場合、機能膜5中の粒子の周囲に空隙が形成され、機能膜5の屈折率が、テルペン化合物を含まない場合に比べて低くなる傾向がある。
テルペンとは、イソプレン(C)を構成単位とする(C(ただし、nは1以上の整数である。)の組成の炭化水素を意味する。テルペン化合物とは、テルペンから誘導される官能基を有するテルペン類を意味する。テルペン化合物は、不飽和度を異にするものも包含する。
なお、テルペン化合物には液状媒体として機能するものもあるが、「イソプレンを構成単位とする(Cの組成の炭化水素」であるものは、テルペン誘導体に該当し、液状媒体には該当しないものとする。
テルペン化合物としては、国際公開第2010/018852号に記載のテルペン誘導体等を用いることができる。
添加剤:
添加剤としては、公知の各種添加剤を用いることができ、例えば、レベリング性向上のための界面活性剤、機能膜5の耐久性向上のための金属化合物、紫外線吸収剤、赤外線反射/赤外線吸収剤、反射防止剤等が挙げられる。
界面活性剤としては、シリコーンオイル系、アクリル系等が挙げられる。
金属化合物としては、ジルコニウムキレート化合物、チタンキレート化合物、アルミニウムキレート化合物等が好ましい。ジルコニウムキレート化合物としては、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムトリブトキシステアレート等が挙げられる。
組成:
塗布液中のシリカ前駆体の含有量(SiO換算)は、塗布液中の酸化物換算固形分に対して15質量%以上であり、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましい。
シリカ前駆体の含有量(SiO換算)が酸化物換算固形分に対して15質量%以上であると、化学強化ガラス板3と機能膜5との間で充分な密着強度が得られる。
酸化物換算固形分に対するシリカ前駆体の含有量(SiO換算)の上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。塗布液に必要に応じて配合される他の成分の含有量に応じて適宜設定できる。
塗布液中の液状媒体の含有量は、塗布液の固形分濃度に応じた量とされる。
塗布液の固形分濃度は、塗布液の全量(100質量%)のうち、1〜6質量%が好ましく、2〜5質量%がより好ましい。固形分濃度が前記範囲の下限値以上であれば、機能膜5の形成に用いる塗布液の液量を少なくできる。固形分濃度が前記範囲の上限値以下であれば、機能膜5の膜厚の均一性が向上する。
塗布液の固形分濃度は、塗布液中の、液状媒体以外の全成分の含有量の合計である。ただし、金属元素を含む成分の含有量は酸化物換算である。
塗布液が中実無機粒子を含む場合、塗布液中の中実無機粒子の含有量(酸化物換算)は、塗布液中の酸化物換算固形分(100質量%)に対して10〜85質量%であることが好ましく、20〜80質量%がより好ましく、30〜75質量%が特に好ましい。中実無機粒子の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、中実無機粒子の配合効果が充分に得られる。例えば中実シリカ粒子である場合、機能膜5の屈折率が低くなり、充分な透過率向上効果が得られる。中実無機粒子の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、機能膜5が耐摩耗性等の機械的強度に優れる。
塗布液は、粒子として中空シリカ粒子を含んでもよく、含まなくてもよいが、塗布液中の中空シリカ粒子の含有量(SiO換算)は、塗布液中の酸化物換算固形分に対して10質量%未満とする。好ましくは7質量%未満であり、より好ましくは5質量%未満である。中空シリカ粒子の含有量が酸化物換算固形分に対して10質量%未満であれば、機能膜付き化学強化ガラス板1を低コストに製造できる。
塗布液は、例えば、シラン前駆体が液体媒体に溶解した溶液を調製し、必要に応じて追加の液状媒体、粒子の分散液、テルペン化合物、他の任意成分等を混合することによって調製できる。
(ガラス板)
機能膜を形成し、化学強化するガラス板(以下、「未強化ガラス板」という。)としては、化学強化可能な組成を有するものである限り特に限定されず、種々の組成のものを使用することができる。例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス等が好適に使用出来る。化学強化しやすい点では、ガラス組成として、酸化物基準のモル百分率表示で、SiOを56〜75%、Alを1〜20%、NaOを8〜22%、KOを0〜10%、MgOを0〜14%、ZrOを0〜5%、CaOを0〜10%含有することが好ましい。これらのうち、化学強化しやすい点では、アルミノシリケートガラスが好ましい。
なお、例えば「KOを0〜10%含む」とは、は必須ではないが10%まで含んでもよい、の意味である。MgO、ZrO、CaOについても同様である。
未強化ガラス板の厚みは、化学強化ガラス板3の厚さと同じである。
未強化ガラス板は、フロート法等により成形された平滑なガラス板であってもよく、表面に凹凸を有する型板ガラス板であってもよい。また、平坦なガラス板のみでなく曲面形状を有するガラス板でもよい。
未強化ガラス板は、市販のものを使用してもよく、公知の製造方法により製造したものを用いてもよい。
未強化ガラス板は、例えば、ガラスを構成する種々の原料を適量調合し、加熱溶融した後、脱泡または撹拌などにより均質化し、周知のフロート法、ダウンドロー法(例えば、フュージョン法など)またはプレス法などによって板状に成形し、徐冷後、所望のサイズに切断することによって製造できる。また、フロート法、ダウンドロー法(例えば、フュージョン法など)によるガラス成形中にオンライン上でガラスリボンを用いてもよい。
(機能膜形成工程)
機能膜形成工程では、未強化ガラス板上に、前記の塗布液を塗布し、乾燥して機能膜5を形成する。乾燥は、加熱により行ってもよく、加熱せずに(自然乾燥、風乾等)により行ってもよい。
本発明においては、機能膜形成工程を、450℃以下の温度で行う。機能膜形成工程を行う温度は、400℃以下がより好ましい。
機能膜形成工程を450℃以下の温度で行うことにより、塗布液中の中空シリカ粒子の含有量が酸化物換算固形分に対して10質量%未満であっても、その後の化学強化工程で、機能膜5を介して未強化ガラス板を充分に化学強化できる。
機能膜形成工程を行う温度の下限は、塗布液の塗布および塗膜の乾燥が可能な温度であれば特に限定されない。
機能膜形成工程を450℃以下の温度で行うとは、塗布液を未強化ガラス板上に塗布する時点から、次の化学強化工程で化学強化を行うまでの間に、塗布液(塗膜)および機能膜5が450℃超の温度に曝されないことを意味する。
具体的には、塗布液が塗布される雰囲気の温度、塗布液が塗布される未強化ガラス板の温度、塗布後、乾燥を行うまでの塗膜の温度、乾燥温度、乾燥後、化学強化を行うまでの間の機能膜5の温度等が全て450℃以下である。
塗膜の温度および塗膜の乾燥温度はそれぞれ、塗膜が形成された未強化ガラス板の温度を意味するものとする。また、機能膜5の温度は、機能膜5が形成された未強化ガラス板の温度を意味するものとする。
未強化ガラス板の温度は、熱電対、放射温度計等で測定できる。例えば化学強化ガラス表面に熱電対を取りつけて計測することができる。
塗布方法:
塗布液の塗布方法としては、公知のウェットコート法(スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スクリーンコート法、インクジェット法、フローコート法、グラビアコート法、バーコート法、フレキソコート法、スリットコート法、ロールコート法等)等が挙げられる。
機能膜5として防眩膜を形成する場合、塗布液の塗布方法としては、充分な凹凸を形成しやすい点から、スプレー法が好ましい。
スプレー法に用いるノズルとしては、2流体ノズル、1流体ノズル等が挙げられる。
ノズルから吐出される塗布液の液滴の粒径は、通常、0.1〜100μmであり、1〜50μmが好ましい。液滴の粒径が1μm以上であれば、防眩効果が充分に発揮される凹凸を短時間で形成できる。液滴の粒径が50μm以下であれば、防眩効果が充分に発揮される適度な凹凸を形成しやすい。
液滴の粒径は、レーザ測定器によって測定されるザウター平均粒子径である。液滴の粒径は、ノズルの種類、スプレー圧力、液量等により適宜調整できる。例えば、2流体ノズルでは、スプレー圧力が高くなるほど液滴は小さくなり、また、液量が多くなるほど液滴は大きくなる。
一定の塗布条件下では、塗布時間、すなわちスプレー法によるコート面数(重ね塗り回数)によって、形成される機能膜5の表面の算術平均粗さRaおよび60゜鏡面光沢度を調整できる。例えば、コート面数が多くなるほど、機能膜5の表面の算術平均粗さRaが大きくなり、60゜鏡面光沢度が低下する(防眩効果が高くなる)傾向がある。
機能膜5として防眩膜を形成する場合の塗布液の塗布方法として、静電塗装法を用いてもよい。静電塗装法による塗布方法として、例えば、回転霧化頭を備える静電塗装ガンを用いて塗布液を帯電させ噴霧する方法が挙げられる。
機能膜5として低反射膜を形成する場合、塗布液の塗布方法としては、幅の広い未強化ガラス板に対応でき、未強化ガラス板の搬送速度を比較的速くでき、必要とされる塗布液の量が比較的少ない点においては、ロールコート法が好ましく、均一な膜厚の機能膜5を形成でき、かつ光学設計可能な任意の膜厚の機能膜5を形成しやすい(膜厚制御性に優れる)点から、リバースロールコート法がより好ましい。一方、製品の外観の点からは、ダイコート法、インクジェット法が好ましい。
塗布液を塗布する際の雰囲気の温度は、室温〜50℃が好ましく、室温〜40℃がより好ましい。
塗布液を塗布する際の未強化ガラス板の温度は、雰囲気の温度と同じでも異なってもよい。
機能膜5として防眩膜を形成する場合、未強化ガラス板をあらかじめ30〜90℃に加熱してから塗布液を塗布することが好ましい。未強化ガラス板の温度が30℃以上であれば、液状媒体がすばやく蒸発するため、充分な凸凹を形成しやすい。未強化ガラス板の温度が90℃以下であれば、未強化ガラス板と機能膜5との密着性が良好となる。未強化ガラス板が厚さ5mm以下の場合、あらかじめ未強化ガラス板の温度以上の温度に設定した保温板を未強化ガラス板の下に配置し、未強化ガラス板の温度低下を抑えてもよい。
機能膜形成工程において、未強化ガラス板上に、組成の異なる複数の塗布液を順次塗布してもよい。これにより機能膜5として複層の膜を形成できる。
例えば、最初に、粒子を含まない塗布液を塗布し、その後、粒子を含む塗布液を塗布してもよい。また、粒子を含む塗布液を塗布し、その後、粒子を含み、かつ先に塗布した塗布液とは含有する粒子の種類や含有量が異なる塗布液を塗布してもよい。
複数の塗布液を順次塗布する場合、複数の塗布液のうちの1つの塗布液を塗布した後、形成された塗膜の上に次の塗布液をそのまま塗布してもよく、次の塗布液を塗布する前に、該塗膜の乾燥を行ってもよい。このときの乾燥は、塗膜中の液状媒体が完全に除去されるように行ってもよく、塗膜中に液状媒体が残存するように行ってもよい。
乾燥方法:
乾燥は、前記のとおり、加熱により行ってもよく、加熱せずに行ってもよい。
加熱は、塗布液を未強化ガラス板に塗布する際に未強化ガラス板を加熱することによって塗布と同時に行ってもよく、塗布液を未強化ガラス板に塗布した後、塗膜を加熱することによって行ってもよい。
乾燥温度の好ましい上限は、機能膜形成工程を行う温度の好ましい上限と同様である。
乾燥温度の下限は特に限定されない。自然乾燥であってもシラン前駆体の重合はある程度進むため、時間に何らの制約もないのであれば、乾燥温度を室温付近の温度設定とすることも理論上は可能である。
充分な乾燥条件が確保できる点から、乾燥温度は、25℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましい。
化学強化の効率の点では、乾燥温度は、25〜400℃が好ましく、30〜400℃が特に好ましい。
乾燥時間は、乾燥温度によっても異なるが、典型的には0.5〜30分間程度であり、1〜5分間が好ましい。
(化学強化工程)
化学強化工程では、機能膜形成工程で機能膜5が形成された未強化ガラス板を化学強化する。これにより、未強化ガラス板が化学強化ガラス板3となって機能膜付き化学強化ガラス板1が得られる。
化学強化は、公知の方法により実施できる。
例えば未強化ガラス板がNaOを含有するものである場合の例として、加熱された硝酸カリウム(KNO)溶融塩に、機能膜5が形成された未強化ガラス板を浸漬する方法が挙げられる。該方法では、未強化ガラス板表層のNaイオンと、溶融塩中のKイオンとが交換され、表面圧縮応力が生じるとともに圧縮応力層が形成される。KNO溶融塩は、KNO以外に、例えばNaNOを5%程度含有するものであってもよい。
化学強化は、未強化ガラス板に所望の表面圧縮応力を有する圧縮応力層が形成されるように行うことが好ましい。表面圧縮応力および圧縮応力層の厚さの好ましい範囲は前記の通りである。
未強化ガラス板に所望の表面圧縮応力を有する圧縮応力層を形成するための化学強化処理条件は、未強化ガラス板のガラス組成、未強化ガラス板の厚み等によっても異なるが、350〜550℃のKNO溶融塩に2〜20時間浸漬させることが典型的である。経済的な観点から、化学強化処理条件は、350〜500℃のKNO溶融塩に2〜16時間浸漬させることが好ましく、350〜500℃のKNO溶融塩に2〜10時間浸漬させることがより好ましい。
上記のようにして、化学強化ガラス板3と機能膜5とを備える機能膜付き化学強化ガラス板1が得られる。
(作用効果)
以上説明した本発明の機能膜付き化学強化ガラス板1の製造方法にあっては、機能膜形成工程を450℃以下の温度で行うことにより、塗布液中の中空シリカ粒子の含有量が酸化物換算固形分に対して10質量%未満であっても、その後の化学強化工程で、機能膜5を介して未強化ガラス板を充分に化学強化できる。例えばアルミノシリケートガラスの場合は未強化ガラス板の機能膜5と接する面の表層に、圧縮応力が500MPa以上の圧縮応力層を20μm以上の厚さで形成できる。
これは、機能膜形成工程を450℃以下の温度で行うことにより、機能膜5を構成するシリカ系マトリクスが、イオンが通過可能なものとなり、化学強化工程で機能膜5を介したイオン交換が良好に行われるためと考えられる。前述の特許文献1で一定以上の割合で中空シリカゾルを含むことが必要とされたのは、低反射膜を形成する際に高温で焼成しているため、マトリクスが緻密で、その中をイオンが通過できないためと考えられる。
したがって、本発明の製造方法にあっては、機能膜用の材料としては比較的高価な中空シリカ粒子を用いなくても、例えばシリカ前駆体と液状媒体とからなる塗布液を用いる場合でも、機能膜の形成後に化学強化を行って機能膜付き化学強化ガラス板を得ることができる。
なお、ここでは機能膜形成工程と化学強化工程とを順次行う例を示したが、本発明の機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法は、前記の塗布液から450℃以下の温度で機能膜が形成され、その後、450℃超の温度で熱処理されていないガラス板を出発材料とし、これを化学強化する工程を有する方法であってもよい。
本発明の機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法により得られる機能膜付き化学強化ガラス板は、機能膜の種類に応じて種々の用途に用いることができる。具体例としては、車両用透明部品(ヘッドライトカバー、サイドミラー、フロント透明基板、サイド透明基板、リア透明基板等。) 、車両用透明部品(インスツルメントパネル表面等。) 、メータ、建築窓、ショーウインドウ、ディスプレイ(ノート型パソコン、モニタ、LCD、PDP 、ELD、CRT、PDA等)、LCDカラーフィルタ、タッチパネル用基板、ピックアップレンズ、光学レンズ、眼鏡レンズ、カメラ部品、ビデオ部品、CCD用カバー基板、光ファイバ端面、プロジェクタ部品、複写機部品、太陽電池用透明基板(カバーガラス等。)、携帯電話窓、バックライトユニット部品(導光板、冷陰極管等。)、液晶輝度向上フィルム、有機EL発光素子部品、無機EL発光素子部品、蛍光体発光素子部品、光学フィルタ、光学部品の端面、照明ランプ、照明器具のカバー、増幅レーザー光源等が挙げられる。
<物品>
本発明の物品は、前述の製造方法により得られる機能膜付き化学強化ガラス板を備える。
本発明の物品は、前記機能膜付き化学強化ガラス板からなるものでもよく、前記機能膜付き化学強化ガラス板以外の他の部材をさらに備えるものでもよい。
本発明の物品の例としては、前記で機能膜付き化学強化ガラス板の用途として挙げたもの、それらのいずれか1種以上を備える装置、等が挙げられる。
装置としては、例えば機能膜が防眩膜(低反射性を有してもよく有しなくてもよい。)または低反射膜である場合の例として、太陽電池モジュール、表示装置、照明装置等が挙げられる。
太陽電池モジュールとしては、太陽電池と、太陽電池を保護するために太陽電池の前面および背面にそれぞれ配置された透明基板(カバーガラス等)とを備え、前記透明基板の少なくとも一方の透明基板(好ましくは少なくとも前面側の透明基板)として前記機能膜付き化学強化ガラス板を用いたものが好ましい。
表示装置の例としては、携帯電話、スマートフォン、タブレット、カーナビゲーション等が挙げられる。
照明装置の例としては、有機EL(エレクトロルミネッセンス)照明装置、LED(発光ダイオード)照明装置等が挙げられる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
以下の各例のうち、例3〜13は実施例であり、例1、2、14は比較例である。
各例で用いた測定・評価方法および材料(入手先または調製方法)を以下に示す。
<測定・評価方法>
(表面圧縮応力、圧縮応力層の厚さ)
化学強化ガラス板の表面圧縮応力、圧縮応力層の厚さは、表面応力計(折原製作所製:FSM−6000LE)で測定した。
機能膜(防眩膜、低反射膜)付き化学強化ガラス板とした後の化学強化ガラス板については、機能膜が形成されている側の表面圧縮応力、圧縮応力層の厚さを前記と同様にして測定した。
(光沢度)
防眩膜の表面の光沢度として、60゜鏡面光沢度を測定した。60゜鏡面光沢度は、光沢度計(日本電色工業社製、PG−3D型)を用いて、JIS Z8741:1997に規定されている方法により、防眩膜のほぼ中央部で測定した。また、防眩膜の表面の光沢度は、防眩膜付き化学強化ガラス板の裏面(防眩膜と反対側の面)に黒のビニールテープを貼り付けることにより、ガラス板の裏面反射の影響を無くした状態で測定した。光沢度が小さいほど、防眩性に優れることを示す。
(算術平均粗さRa)
防眩膜の表面の算術平均粗さRaは、表面粗さ計(東京精密社製、サーフコム(登録商標)1500DX)を用い、JIS B0601:2001に記載された方法によって測定した。粗さ曲線用の基準長さlr(カットオフ値λc)は0.08mmとした。
(透過率差Td)
低反射膜を形成する前のガラス板、各例で得た低反射膜付き化学強化ガラス板それぞれについて、分光光度計(日本分光社製、V670)を用いて、波長400nm〜1100nmにおける光の透過率(%)を測定し、平均透過率(%)を求めた。その結果から、下式(1)により透過率差Td(%)を算出した。光の入射角度は0°(ガラス板に対して垂直に入射)とした。透過率差Tdが大きいほど、透過率向上効果が高いことを示す。
Td=T1−T2 …(1)
ただし、T1は、低反射膜付き化学強化ガラス板の平均透過率(%)であり、T2は、低反射膜を形成する前のガラス板の平均透過率(%)である。
(膜厚)
低反射膜の膜厚d(nm)は、低反射膜付き化学強化ガラス板の裏面(低反射膜と反対側の面)に黒のビニールテープを貼り付けた状態で、分光光度計(大塚電子社製、瞬間マルチ測光システムMCPD−3000)により、波長300〜780nmの範囲で前記低反射膜の反射率を測定し、得られた最も低い反射率(ボトム反射率Rmin)と、低反射膜を形成する前のガラス板の屈折率nとから、下式(2)により屈折率nを算出し、次いで得られた屈折率nとボトム反射率Rminにおける波長λ(nm)から下式(3)によって算出した。
min=(n−n/(n+n ・・・(2)
n×d=λ/4 ・・・(3)
〔使用材料〕
(シリカ前駆体溶液(a−1)の調製)
変性エタノール(日本アルコール販売社製、商品名「ソルミックスAP−11」。エタノールを主剤とした混合溶媒。以下同様。)の75.8gを撹拌しながら、イオン交換水の11.9gと61質量%硝酸の0.1gとの混合液を加え、5分間撹拌した。これに、テトラエトキシシラン(SiO換算固形分濃度:29質量%)の12.2gを加え、室温で30分間撹拌し、SiO換算固形分濃度が3.5質量%のシリカ前駆体溶液(a−1)を調製した。
なお、ここでのSiO換算固形分濃度は、テトラエトキシシランのすべてのSiがSiOに転化したときの固形分濃度である。
(シリカ前駆体溶液(a−2)の調製)
変性エタノールの80.3gを撹拌しながら、イオン交換水の7.9gと61質量%硝酸の0.2gとの混合液を加え、5分間撹拌した。次いで、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン(信越シリコーン社製、商品名「KBM3066」、SiO換算固形分濃度:37質量%)の11.6gを加え、ウォーターバス中60℃で15分間撹拌し、SiO換算固形分濃度が4.3質量%のシリカ前駆体溶液(a−2)を調製した。
なお、ここでのSiO換算固形分濃度は、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンのすべてのSiがSiOに転化したときの固形分濃度である。
(中実シリカ粒子分散液(b))
日産化学工業社製の鎖状SiO微粒子分散液、商品名:スノーテックス OUP(SiO換算固形分濃度15.5質量%、平均一次粒子径10〜20nm、平均凝集粒子径40〜100nm)。
(塗布液(A)の調製)
シリカ前駆体溶液(a−1)の77.1gを撹拌しながらシリカ前駆体溶液(a−2)の7.0gを加え、30分間撹拌した。次いで、変性エタノール15.9gを加え、室温で30分間撹拌し、SiO換算固形分濃度が3.0質量%の塗布液(A)を得た。
(塗布液(B)の調製)
変性エタノールの56.5gを撹拌しながら塗布液(A)の30.0gを加え、次いで、鎖状中実シリカゾル(日産化学工業社 スノーテックスST−OUP)13.5gを加え、室温で30分間撹拌し、SiO換算固形分濃度が3.0質量%の塗布液(B)を得た。なお、ここでのSiO換算固形分濃度は、塗布液(A)のSiO換算固形分と、鎖状中実シリカゾルのSiO換算固形分(鎖状中実シリカ粒子)との合計である。
塗布液(B)中の鎖状中実シリカ粒子の含有量は、塗布液(B)のSiO換算固形分に対して70質量%である。塗布液(B)中の鎖状中実シリカ粒子の平均凝集粒子径は70nmであった。
(塗布液(C)の調製)
変性エタノールの0.3gを撹拌しながら、これにイソブチルアルコールの24.0g、ジアセトンアルコール(DAA)の15.0g、塗布液(A)の30.0g、中実シリカ粒子分散液(b)の9.7gを加え、固形分濃度が3.0質量%の塗布液(C)を調製した。
〔例1〕
ガラス板として、ソーダライムガラス板(旭硝子社製、製品名:FL1.1、サイズ:100mm×100mm、厚さ1.1mm。)を用意した。
前記ガラス板を、純水中で超音波洗浄処理し、風乾し、予熱炉にて420℃で120分間処理し、その後、KNO溶融浴中に420℃で150分間浸漬した。処理後、ガラス板を取り出して室温下で60分間冷却し、純水中で超音波洗浄処理、風乾することで化学強化ガラス板を得た。
得られた化学強化ガラス板の表面圧縮応力、圧縮応力層の厚さを表1に示す。
〔例2〕
ガラス板を、アルミノシリケートガラス板(旭硝子社製、製品名:Leoflexの強化前のガラス、サイズ:100mm×100mm、厚さ0.85mm。)に変更した以外は例1と同様にして、化学強化ガラス板を得た。
得られた強化ガラス板の表面圧縮応力、圧縮応力層の厚さを表2に示す。
〔例3〕
(ガラス板の洗浄)
ガラス板として、ソーダライムガラス板(旭硝子社製、製品名:FL1.1、サイズ:100mm×100mm、厚さ1.1mm。)を用意した。該ガラス板の表面を炭酸水素ナトリウム水で洗浄後、イオン交換水でリンスし、乾燥させた。
(防眩膜付きガラス板の作製)
前記ガラス板を、予熱炉(ISUZU社製、VTR−115)にて予熱した。次いで、該ガラス板の表面温度を90℃に保温した状態で、該ガラス板上に、下記の条件で、表1に示す算術平均粗さRaとなるように塗布液(A)を塗布した。
スプレー圧力:0.2MPa、
ノズル移動速度:750mm/分、
スプレーピッチ:22mm。
その後、30℃で30分間乾燥し、防眩膜付きガラス板を得た。
スプレー法による塗布には、6軸塗装用ロボット(川崎ロボティックス社製、JF−5)を用いた。また、ノズルとしては、VAUノズル(スプレーイングシステムジャパン社製)を用いた。
(防眩膜付きガラス板の化学強化処理)
ガラス板の代わりに前記防眩膜付きガラス板を用いた以外は例1と同様に化学強化処理を行って防眩膜付き化学強化ガラス板を得た。
得られた防眩膜付き化学強化ガラス板の表面圧縮応力、圧縮応力層の厚さ、光沢度、算術平均粗さRaを表1に示す。
〔例4〜6〕
塗布液(A)を表1に示す算術平均粗さRaとなるように塗布した以外は例3と同様にして防眩膜付き化学強化ガラス板を得た。
得られた防眩膜付き化学強化ガラス板の表面圧縮応力、圧縮応力層の厚さ、光沢度、算術平均粗さRaを表1に示す。
〔例7〕
ガラス板をアルミノシリケートガラス板(旭硝子社製、製品名:Leoflexの強化前のガラス、サイズ:100mm×100mm、厚さ0.85mm。)に変更し、塗布液(A)を表2に示す塗布液に変更して表2に示す算術平均粗さRaとなるように塗布した以外は例3と同様にして防眩膜付き化学強化ガラス板を得た。
得られた防眩膜付き化学強化ガラス板の表面圧縮応力、圧縮応力層の厚さ、光沢度、算術平均粗さRaを表2に示す。
〔例8〜9〕
表2に示す塗布液、乾燥温度にて、表1に示す算術平均粗さRaとなるように塗布液を塗布した以外は例7と同様にして防眩膜付き化学強化ガラス板を得た。
得られた防眩膜付き化学強化ガラス板の表面圧縮応力、圧縮応力層の厚さ、光沢度、算術平均粗さRaを表2に示す。
〔例10〜11〕
表1に示す塗布液、乾燥温度にて、表1に示す算術平均粗さRaとなるように塗布液を塗布した以外は例3と同様にして防眩膜付き化学強化ガラス板を得た。
得られた防眩膜付き化学強化ガラス板の表面圧縮応力、圧縮応力層の厚さ、光沢度、算術平均粗さRaを表1に示す。
〔例12〕
(低反射膜付きガラス板の作製)
ガラス板としてアルミノシリケートガラス板(旭硝子社製、製品名:Leoflexの強化前のガラス、サイズ:100mm×100mm、厚さ0.85mm。)を用意した。
前記ガラス板を予熱炉(ISUZU社製、VTR−115)にて予熱した。ガラス面温が30℃に保温された状態にて、前記ガラス板上に、リバースロールコータ(三和精機社製)のコーティングロールによって塗布液(C)を所定の膜厚で塗布した。塗布条件は、ガラス板の搬送速度:8.5m/分、コーティングロールと搬送ベルトとのギャップ:2.9mm、コーティングロールとドクターロールとの押込み厚:0.6mmとした。コーティングロールとしては、表面の硬度(JIS−A)が30のゴム(エチレンプロピレンジエンゴム)がライニングされたゴムライニングロールを用いた。ドクターロールとしては、格子状の溝が表面に形成されたメタルロールを用いた。その後、200℃で30分間乾燥し、低反射膜付きガラス板を得た。
(低反射膜付きガラス板の化学強化処理)
ガラス板の代わりに前記低反射膜付きガラス板を用いた以外は例1と同様に化学強化処理を行って低反射膜付き化学強化ガラス板を得た。
得られた低反射膜付き化学強化ガラス板の表面圧縮応力、圧縮応力層の厚さ、透過率差Td、低反射膜の膜厚を表2に示す。
〔例13〜14〕
乾燥温度を表1に示す温度に変更した以外は例12と同様にして低反射膜付き化学強化ガラス板を得た。
得られた低反射膜付き化学強化ガラス板の表面圧縮応力、圧縮応力層の厚さ、透過率差Td、低反射膜の膜厚を表2に示す。
Figure 2017132644
Figure 2017132644
例1、3〜6、10〜11を対比すると、例3〜6、10〜11の防眩膜付き化学強化ガラス板は、機能膜(防眩膜)の形成後に化学強化を行ったものであるが、化学強化ガラス板の圧縮応力層の厚さが、機能膜を形成せずに化学強化を行った例1の化学強化ガラス板と同等以上であった。特に塗膜の乾燥を300〜400℃で行った例10〜11では、化学強化ガラス板の表面圧縮応力も例1の化学強化ガラス板と同等以上であった。
例2、7〜9、12〜14を対比すると、例7〜9の防眩膜付き化学強化ガラス板および例12〜13の低反射膜付き化学強化ガラス板は、機能膜(防眩膜、低反射膜)の形成後に化学強化を行ったものであるが、化学強化ガラス板の表面圧縮応力および圧縮応力層の厚さが、機能膜を形成せずに化学強化を行った例2の化学強化ガラス板と同等以上であった。
対して塗膜の乾燥を500℃で行った例14の低反射膜付き化学強化ガラス板は、化学強化ガラス板の表面圧縮応力および圧縮応力層の厚さが、例2の化学強化ガラス板よりも劣っていた。
1 機能膜付き化学強化ガラス板
3 化学強化ガラス板
5 機能膜

Claims (8)

  1. 化学強化ガラス板と、前記化学強化ガラス板上に設けられた機能膜とを有する機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法であって、
    ガラス板上に、下記の塗布液を塗布し、乾燥して機能膜を形成する工程と、
    前記機能膜が形成されたガラス板を化学強化して機能膜付き化学強化ガラス板を得る工程と、を有し、
    前記機能膜を形成する工程を、450℃以下の温度で行うことを特徴とする、機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法。
    塗布液:ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するシラン化合物およびその加水分解縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のシリカ前駆体と、液状媒体とを含み、前記シリカ前駆体の含有量が、前記塗布液中の酸化物換算固形分に対して15質量%以上であり、中空シリカ粒子の含有量が、前記塗布液中の酸化物換算固形分に対して10質量%未満である。
  2. 化学強化ガラス板と、前記化学強化ガラス板上に設けられた機能膜とを有する機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法であって、
    下記の塗布液から450℃以下の温度で機能膜が形成され、その後、450℃超の温度で熱処理されていないガラス板を化学強化して機能膜付き化学強化ガラス板を得る工程を有することを特徴とする、機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法。
    塗布液:ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するシラン化合物およびその加水分解縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のシリカ前駆体と、液状媒体とを含み、前記シリカ前駆体の含有量が、前記塗布液中の酸化物換算固形分に対して15質量%以上であり、中空シリカ粒子の含有量が、前記塗布液中の酸化物換算固形分に対して10質量%未満である。
  3. 前記ガラス板が以下の組成を有する、請求項1または2に記載の機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法。
    ガラス組成:酸化物基準のモル百分率表示で、SiOを56〜75%、Alを1〜20%、NaOを8〜22%、KOを0〜10%、MgOを0〜14%、ZrOを0〜5%、CaOを0〜10%含有する。
  4. 前記塗布液が、中実無機粒子をさらに含み、前記中実無機粒子の含有量が、前記塗布液中の酸化物換算固形分に対して10〜85質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法。
  5. 前記機能膜が防眩性を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法。
  6. 前記機能膜が低反射性を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の機能膜付き化学強化ガラス板の製造方法により得られる機能膜付き化学強化ガラス板。
  8. 請求項7に記載の機能膜付き化学強化ガラス板を備える物品。
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