JP2017080935A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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翔平 市川
佐本 賢治
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Abstract

【課題】レバーアームがガイド部材に衝突する際の衝突音を小さくするインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】インクジェット記録装置は、各部への駆動伝達を切り換えるために左右に移動可能なレバー部材と、レバー部材を右方へ押すキャリッジと、レバー部材を左方へ付勢する第1コイルバネと、開口に挿入されたレバー部材を案内するガイド部材と、制御部とを備える。制御部は、第1位置P1のキャリッジを第1速度V1へ加速しつつ左方へ移動させる処理と、第1速度V1のキャリッジを、レバー部材が開口の縁部に衝突する第3位置P3において第2速度V2となるよう減速させる処理と、第3位置P3の上記キャリッジを加速しつつ左方へ移動させる処理とを実行する。第1コイルバネの付勢力で移動するレバー部材の最小加速度は、第1加速処理におけるキャリッジの加速度よりも大きい。
【選択図】図18

Description

本発明は、ノズルからインク滴を吐出することによってシートに画像を記録するインクジェット記録装置に関する。
従来より、記録ヘッドに設けられたノズルからインク滴を吐出することによってシートに画像を記録するインクジェット記録装置が知られている。インクジェット記録装置では、1つのモータの出力を複数の駆動部へ伝達するために、特許文献1の画像記録装置に開示されるように、駆動伝達の切替が行われている。
上記画像記録装置は、支軸によって支軸の軸方向に沿ってスライド可能に支持されたスライドギヤを備えている。スライドギヤは、モータから駆動伝達される駆動ギヤと噛合しながらスライドする。また、スライドギヤの各スライド位置に対応して、各駆動部へ駆動伝達するための複数の伝達ギヤが配置されている。スライドギヤは、スライドされることによって、各伝達ギヤと噛合する。
上記画像記録装置において、スライドギヤがスライドする構成は以下の通りである。上記画像記録装置は、支軸によってスライドギヤに隣接する位置に軸方向に沿ってスライド可能に支持された軸受と、軸受から上方に突出されたレバーアームとを有するレバー部材を備えている。また、上記画像記録装置は、スライドギヤ及びレバー部材を左方向へ付勢する付勢部材を備えている。また、上記画像記録装置は、レバーアームが挿通される長孔が形成されており、レバーアームを長孔に沿って案内するガイド部材を備えている。
レバー部材は、右方向へ移動するキャリッジがレバーアームに当接してレバーアームを押すことによって、付勢部材の付勢力に抗して右方向へスライドする。このとき、レバーアームは、長孔の一端から他端へ向けてスライドする。また、レバー部材は、キャリッジが左方向へ移動すると、付勢部材の付勢力によって左方向へスライドする。このとき、レバーアームは、キャリッジに当接した状態を維持しつつ長孔の他端から一端へ向けてスライドする。そして、レバーアームが長孔の一端に当接してスライドを停止すると、左方向へ移動するキャリッジは、レバーアームから離間する。上述したレバー部材の右方向及び左方向への移動に伴って、スライドギヤもスライドする。
特開2009−34832号公報
しかしながら、付勢部材の付勢力によってスライドするレバー部材のレバーアームが長孔の一端を区画する縁部と衝突すると、衝突音が生じる。
衝突音を小さくするために、レバーアームが長孔の縁部に衝突するまでの間、キャリッジを左方向へゆっくり移動させることが考えられる。これにより、衝突音を低減することができる。しかしながら、キャリッジをゆっくり移動させると、スライドギヤのスライドによる駆動伝達の切替が遅くなる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、スライドギヤをスライドさせることによる駆動伝達の切替速度の低下を小さく抑えつつ、スライドギヤをスライドさせるためのレバーアームが、当該レバーアームを案内する部材に衝突する際の衝突音を小さくすることができる手段を提供することにある。
(1) 本発明に係るインクジェット装置は、搬送路を搬送されるシートへインク滴を吐出する記録ヘッドと、第1モータと、第2モータと、上記記録ヘッドを搭載しており、上記第1モータから駆動力を付与されることによって第1方向及び当該第1方向と逆方向の第2方向に沿って移動可能なキャリッジと、上記キャリッジの位置を検知する検知部と、上記搬送路よりも上記第1方向に設けられた駆動切替機構と、上記第1モータ及び上記第2モータを制御する制御部と、を備える。上記駆動切替機構は、上記第1方向に沿った支軸によって上記第1方向及び上記第2方向へスライド可能に支持された軸受、及び当該軸受から上記キャリッジの移動領域へ突出したレバーアームを有するレバー部材と、上記第2モータから駆動力を付与されることによって上記第1方向に沿った軸周りに回転する駆動ギヤと、上記支軸によって上記第1方向及び上記第2方向へスライド可能に支持されており、上記レバー部材のスライドに追随してスライド可能に配置されており、上記駆動ギヤと噛合しているスライドギヤと、上記スライドギヤのスライド位置に応じて上記スライドギヤと噛合及び離間可能な伝達ギヤと、上記スライドギヤ及び上記レバー部材を上記第2方向へ付勢する付勢部材と、上記第1方向に延びており且つ上記レバーアームが挿入される長孔を有しており、上記レバーアームを当該長孔に沿って案内するガイド部材と、を備える。上記キャリッジは、上記搬送路よりも上記第1方向の第1位置、上記搬送路よりも上記第2方向の第2位置、及び当該第1位置及び当該第2位置の間の第3位置に移動可能である。上記キャリッジが上記第1位置に位置するとき、上記レバーアームは、上記キャリッジによって上記第1方向へ押されることによって、上記長孔の上記第2方向の端部よりも上記第1方向に位置している。上記キャリッジが上記第3位置に位置するとき、上記レバーアームは、上記長孔の上記第2方向の端部及び上記キャリッジに当接している。上記制御部は、上記第1位置に位置する上記キャリッジを、上記第1モータの回転速度を増加させることによって、第1速度へ加速しつつ上記第2方向へ移動させる第1加速処理と、上記第1加速処理によって移動させられて上記第1位置及び上記第3位置の間に位置する上記キャリッジを、上記第1モータの回転速度を減少させることによって、上記第3位置において上記第1速度よりも低速の第2速度となるように減速させる減速処理と、上記減速処理によって移動させられて上記第3位置または上記第3位置よりも上記第2方向に位置する上記キャリッジを、上記第1モータの回転速度を増加させることによって、上記第2速度よりも高速の第3速度へ加速しつつ上記第2方向へ移動させる第2加速処理と、を実行する。上記付勢部材の付勢力によって上記第2方向へ移動する上記スライドギヤ及び上記レバー部材の最小加速度は、上記第1加速処理における上記キャリッジの加速度よりも大きい。
上記構成によれば、付勢部材の付勢力によって第2方向へ移動するスライドギヤ及びレバー部材の最小加速度は、第1加速処理におけるキャリッジの加速度よりも大きい。そのため、第1加速処理においてキャリッジが第1位置から第3位置へ向けて移動するとき、付勢部材の付勢力によって第2方向へ移動するレバーアームは、キャリッジに当接しつつ移動する。これにより、付勢力の強い付勢部材を使用することができるため、スライドギヤ及びレバー部材の動作を安定させることができる。
また、キャリッジは、第1位置及び第3位置の間において第1加速処理により第1速度に加速された後、減速処理により第2速度に減速される。第1速度は、第2速度よりも高速である。よって、第1加速処理により、レバー部材及びスライドギヤを高速で移動させることができる。その結果、スライドギヤと伝達ギヤとの間の噛合及び離間の切替、または、伝達ギヤが複数設けられている場合におけるスライドギヤが噛合する伝達ギヤの切替、つまり駆動伝達の切替を高速で実行することができる。また、減速処理により、レバーアームがガイド部材の長孔の第2方向の端部に衝突するときのキャリッジの速度が、第2速度に抑えられる。その結果、当該衝突のときの衝突音を小さくすることができる。
また、キャリッジは、第3位置及び第2位置の間において第2加速処理によって第2速度よりも高速に加速される。これにより、キャリッジを高速で第3位置から第2位置へ移動させることができる。その結果、キャリッジが第3位置及び第2位置の間に位置する場合に実行される動作、例えばキャリッジに搭載された記録ヘッドによるインク滴の吐出の実行開始タイミングを早めることができる。
(2) 上記第2速度はゼロである。
上記構成によれば、レバーアームがガイド部材の長孔の第2方向の端部に衝突するときのキャリッジの速度が、減速処理によってゼロに抑えられる。これにより、当該衝突のときの衝突音を更に小さくすることができる。
(3) 上記第1速度は、上記キャリッジが出すことが可能な最高速度である。
上記構成によれば、キャリッジは、第1位置及び第3位置の間において第1加速処理によって最高速度に加速される。これにより、レバー部材及びスライドギヤを更に高速で移動させることができる。
(4) 例えば、上記第1速度は、上記第3速度と等しくてもよい。
(5) 上記記録ヘッドは、上記キャリッジが上記第2位置及び上記第3位置の間を第4速度で移動しているときにインク滴を吐出するものである。上記第4速度は、上記第3速度よりも低速である。
上記構成によれば、記録ヘッドによるインク滴の吐出時におけるキャリッジの移動速度が速すぎることによるシートに記録される画像の画質の悪化を低減することができる。
(6) 上記レバー部材は、上記支軸を中心として回転可能である。上記ガイド部材は、上記長孔を区画して上記第1方向に延びる第1縁部に形成されており、上記スライドギヤが上記伝達ギヤと噛合する位置に上記レバーアームを保持する保持部と、上記第1縁部における上記保持部よりも上記第1方向に形成されており、上記第1方向へ向かって上記第1縁部と対向する第2縁部へ向けて傾斜する第1傾斜面と、上記第2縁部における上記第2方向の端部に形成されており、上記第2方向へ向かって上記第1縁部へ向けて傾斜する第2傾斜面と、を備える。上記キャリッジが上記第3位置に位置するとき、上記レバーアームは、上記第2傾斜面における上記第1方向の端部及び上記キャリッジに当接している。
上記構成によれば、レバーアームは、第1方向へ移動するキャリッジに押されることによって第1傾斜面に沿って案内されて第1縁部から第2縁部へ向けて回動する。
その後、キャリッジが第2方向へ移動すると、レバーアームは、付勢部材の付勢力によって第2方向へ移動する。レバーアームは、第2方向へ移動するキャリッジが第3位置に到達したときに第2傾斜面における第1方向の端部に衝突する。このときの衝突音は、上述した構成により低減される。
その後、キャリッジが第3位置よりも第2方向へ移動すると、レバーアームは、付勢部材の付勢力によって第2傾斜面に沿って案内されて第2縁部から第1縁部へ向けて回動する。これにより、レバーアームは、第1縁部に衝突する。ここで、第2傾斜面に沿って案内されるレバーアームの移動速度は、キャリッジが第1位置から第3位置へ移動しているときのレバーアームの移動速度よりも低い。そのため、レバーアームが第1縁部に衝突するときの衝突音は小さく抑えられる。また、レバーアームが第2傾斜面に衝突するタイミングと、レバーアームが第1縁部に衝突するタイミングとは近いため、人間の耳には、2つの衝突音が1つに聞こえる。そして、各衝突音は上述したように小さく抑えられるため、1つに聞こえる衝突音も小さく抑えることができる。
(7) 上記駆動ギヤは、上記スライドギヤと噛合可能な第1ギヤと、上記第1ギヤと同軸で回転する第2ギヤと、上記第1ギヤまたは上記第2ギヤの一方に、周方向に沿って間隔を空けて設けられた第1面及び第2面と、上記第1ギヤまたは上記第2ギヤの他方に設けられ、上記周方向において上記第1面及び上記第2面の間に位置し、上記第1面及び上記第2面に当接可能な第1当接部と、を備える。上記第1当接部における上記第1面との当接箇所及び上記第2面との当接箇所の上記周方向の距離は、上記第1面及び上記第2面の間の上記周方向の距離よりも短い。
(9) 上記伝達ギヤは、上記スライドギヤと噛合可能な第3ギヤと、上記第3ギヤと同軸で回転する第4ギヤと、上記第3ギヤまたは上記第4ギヤの一方に、周方向に沿って間隔を空けて設けられた第3面及び第4面と、上記第3ギヤまたは上記第4ギヤの他方に設けられ、上記周方向において上記第3面及び上記第4面の間に位置し、上記第3面及び上記第4面に当接可能な第2当接部と、を備える。上記第2当接部における上記第3面との当接箇所及び上記第4面との当接箇所の上記周方向の距離は、上記第3面及び上記第4面の間の上記周方向の距離よりも短い。
付勢部材の付勢力によって第2方向へスライドするスライドギヤが他のギヤに引っ掛かって止まると、レバー部材も止まる。すると、第2方向へ移動するキャリッジがレバー部材から離間する。その後、スライドギヤの引っ掛かりが解消されて、スライドギヤ及びレバー部材が付勢部材の付勢力によって第2方向へ移動すると、レバーアームはガイド部材に衝突して、大きな衝突音が発生する。
しかし、(7)の構成によれば、第1ギヤは、第1当接部と第1面及び第2面との間の隙間の分だけ回転自在となり、(9)の構成によれば、第3ギヤは、第2当接部と第3面及び第4面との間の隙間の分だけ回転自在となる。その結果、スライドギヤをスライドさせて第1ギヤまたは第3ギヤと噛合させる動作、及び第1ギヤまたは第3ギヤと噛合しているスライドギヤをスライドさせて第1ギヤまたは第3ギヤから離間させる動作を円滑に実行することができる。よって、上述したような引っ掛かりが発生する可能性を低くすることができる。その結果、レバーアームがガイド部材に衝突することによる大きな衝突音が発生する可能性を低くすることができる。
(8) 上記制御部は、上記第2モータを制御して、上記第1当接部が上記第1面及び上記第2面のいずれとも当接していない状態となるように上記駆動ギヤを回転させる回転処理を実行し、上記回転処理の実行後に、上記第1加速処理を実行する。
(10) 上記制御部は、上記第2モータを制御して、上記第2当接部が上記第3面及び上記第4面のいずれとも当接していない状態となるように上記伝達ギヤを回転させる回転処理を実行し、上記回転処理の実行後に、上記第1加速処理を実行する。
(8)の構成によれば、制御部が回転処理を実行すると、第1当接部が第1面及び第2面のいずれとも当接していない状態となる。(10)の構成によれば、制御部が回転処理を実行すると、第2当接部が第3面及び第4面のいずれとも当接していない状態となる。これにより、駆動ギヤは、第1当接部と第1面及び第2面との間の隙間の分だけ回転自在となり、伝達ギヤは、第2当接部と第3面及び第4面との間の隙間の分だけ回転自在となる。その結果、回転処理の後に実行される第1加速処理のときに、(7)及び(9)で説明したような引っ掛かりが発生する可能性を低くすることができる。その結果、レバーアームがガイド部材に衝突することによる大きな衝突音が発生する可能性を低くすることができる。
(11) 例えば、上記伝達ギヤは、上記第1方向に沿って複数が並列に配置されており、上記伝達ギヤの各々は、異なる上記スライド位置の上記スライドギヤと噛合するものであってもよい。
本発明によれば、スライドギヤをスライドさせることによる駆動伝達の切替速度の低下を小さく抑えつつ、レバーアームがガイド部材に衝突する際の衝突音を小さくすることができる。
図1は、複合機10の斜視図である。 図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。 図3は、キャリッジ23及びガイドレール43、44の平面図である。 図4は、プリンタ部11のブロック図である。 図5は、メンテナンス機構110及び廃インクタンク120の構成を示す模式図である。 図6は、第1伝達部181、第3伝達部183、第4伝達部184、及び切替機構170の模式図である。 図7(A)は、第2伝達部182、第5伝達部185、及び切替機構170の模式図であり、図7(B)は、第2伝達部182、第6伝達部186、及び切替機構170の模式図であり、図7(C)は、第2伝達部182、第7伝達部187、及び切替機構170の模式図である。 図8は、切替機構170及び搬送ローラ60周辺の斜視図である。 図9は、図8の右側面図である。 図10は、スライドギヤ160が左位置LPに位置するときの切替機構170周辺の平面図である。 図11は、スライドギヤ160が中央位置MPに位置するときの切替機構170周辺の平面図である。 図12は、スライドギヤ160が右位置RPに位置するときの切替機構170周辺の平面図である。 図13は、ガイド部材173及びローラギヤ180周辺の平面図である。 図14(A)、(B)は、第1クラッチギヤ191の分解斜視図であり、図14(C)、(D)は、第2クラッチギヤ192の分解斜視図である。 図15は、スライドギヤ160を移動させる際に実施される処理を説明するためのフローチャートである。 図16(A)は、変形例における機構141を示す模式図であり、図16(B)は、変形例における機構142を示す模式図である。 図17は、スライドギヤ160を移動させるときの各モータ101、102、103の動作を示すタイムチャートである。 図18は、スライドギヤ160を移動させるときのキャリッジ23の位置に対するキャリッジ23の速度を示したグラフであり、(A)は、第1速度V1と第3速度V3とが等しく且つ第2速度がゼロの場合であり、(B)は、第1速度V1と第3速度V3とが等しく且つ第2速度がゼロよりも大きい場合であり、(C)は、第1速度V1が第3速度V3よりも大きく且つ第2速度がゼロの場合であり、(D)は、位置P3よりも左方においてもキャリッジ23が第2速度V2で移動する場合である。 図19は、図13におけるガイド部材173周辺の拡大図であり、(A)は、突出部175Bが第1ストッパ178によって左方への移動を規制されている状態であり、(B)は、突出部175Bが第2ストッパ179によって左方への移動を規制されている状態であり、(C)は、突出部175Bが第2ストッパ179よりも右方に位置する状態である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上方向4及び下方向5が定義され、開口13が設けられている面を前面22として前方向6及び後方向7が定義され、複合機10を後方向7に視て右方向8及び左方向9が定義される。上方向4及び下方向5は互いに反対方向である。前方向6及び後方向7は互いに反対方向である。右方向8及び左方向9は互いに反対方向である。上方向4、前方向6、及び右方向8は互いに直交している。
[複合機10の全体構成]
複合機10(インクジェット記録装置の一例)は、図1に示されるように、概ね直方体に形成されている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。複合機10は、下部にインクジェット記録方式で用紙12(図2参照、シートの一例)の片面に画像を記録するプリンタ部11を有している。なお、プリンタ部11は、用紙12の両面に画像を記録するものであってもよい。
図2に示されるように、プリンタ部11は、用紙12を搬送する搬送装置と、搬送装置によって搬送される用紙12に画像を記録する記録部24と、搬送装置によって搬送される用紙12を支持するプラテン42と、記録部24に設けられたキャリッジ23を右方向8(第1方向の一例)及び左方向9(第2方向の一例)に沿って移動させるキャリッジモータ103(図4参照、第1モータの一例)と、を備えている。
搬送装置は、第1給送部15と、第2給送部34と、給送トレイ20と、多用途(Multi Purposeの略、以下「MP」と表記する。)トレイ31と、排出トレイ21と、搬送部54と、排出部55とを備えている。また、搬送装置は、図3及び図4に示されるように、給送モータ101(第2モータの一例)と、搬送モータ102と、制御部130と、駆動力伝達機構70と、メンテナンス機構110とを備えている。
[給送トレイ20、排出トレイ21、MPトレイ31]
給送トレイ20は、図1及び図2に示されるように、プリンタ部11の前面22に形成された開口13を通じて後方向7へ挿入され前方向6へ脱抜される。給送トレイ20は、積層された複数の用紙12を支持する。排出トレイ21は、給送トレイ20の上方に配置されている。排出トレイ21は、排出ローラ部55によって排出された用紙12を支持する。MPトレイ31は、プリンタ部11の背面から後方へ向かって斜め上方に傾斜するように構成されている。MPトレイ31は、積層された複数の用紙12を支持する。なお、図2において、MPトレイ31に支持された用紙12の図示は省略されている。
[第1給送部15、第2給送部34]
第1給送部15は、図2に示されるように、第1給送ローラ25と、給送アーム26と、軸27とを備えている。第1給送ローラ25は、給送アーム26の先端部に回転可能に支持されている。第1給送ローラ25は、給送モータ101(図4及び図9参照)の正回転によって、給送トレイ20に支持された用紙12を後述する搬送路65へ向けて搬送方向16へ搬送する方向(すなわち、正回転)に回転する。給送モータ101から第1給送ローラ25への駆動力の伝達については、後に詳細に説明される。給送アーム26は、プリンタ部11のフレーム(不図示)に支持された軸27に回動可能に支持されている。
第2給送部34は、MPトレイ31上に積層された一番上の用紙12を搬送路65へ向けて給送する。第2給送部34を構成する第2給送ローラ35、給送アーム36、及び軸37は、第1給送部15の各構成要素と共通する。また、第2給送部34は、第2給送ローラ35の軸35Aに回動可能に支持されたリフタ38を備える。リフタ38は、図2に破線で示されておりMPトレイ31(MPトレイ31に用紙12が支持されている場合は用紙12)に当接した当接位置と、図2に実線で示されておりMPトレイ31(MPトレイ31に用紙12が支持されている場合は用紙12)から離間した離間位置との間を回動する。また、リフタ38の回動先端は、第2給送ローラ35の外周面より外方に位置する。その結果、当接位置のリフタ38は、MPトレイ31上の用紙12から第2給送ローラ35を離間させる。一方、離間位置のリフタ38は、MPトレイ31上の用紙12に第2給送ローラ35を当接させる。
リフタ38は、給送モータ101(図4参照)の正回転によって、離間位置から当接位置へ回動する。一方、リフタ38は、給送モータ101の逆回転によって、当接位置から離間位置へ回動する。第2給送ローラ35は、給送モータ101の逆回転によって、MPトレイ31に支持された用紙12を搬送方向16に搬送する方向(すなわち、正回転)に回転する。給送モータ101からリフタ38及び第2給送ローラ35への駆動力の伝達については、後に詳細に説明される。
[搬送路65]
プリンタ部11の内部には、図2に示されるように、用紙12が通過する搬送路65が形成されている。搬送路65は、プリンタ部11の内部において所定間隔を隔てて対向するガイド部材18、19によって画定される空間を指す。搬送路65内における用紙12の搬送方向16は、図2に一点鎖線の矢印で示されている。
本実施形態に係る搬送路65は、湾曲された湾曲搬送路と、直線的に延びる直線搬送路とで構成されている。湾曲搬送路は、プリンタ部11の後部において下方から上方に延びつつUターンする経路である。直線搬送路は、搬送部54から記録部24及び排出部55を経て排出トレイ21に至る経路である。
[搬送部54]
搬送部54は、図2に示されるように、搬送路65における記録部24よりも搬送方向16の上流に配置されている。搬送部54は、互いに対向する搬送ローラ60及びピンチローラ61を備える。搬送ローラ60は、搬送モータ102(図4及び図8参照)によって駆動される。ピンチローラ61は、搬送ローラ60の回転に伴って連れ回る。搬送部54は、搬送モータ102の正転駆動力が伝達されることによって正回転する。正回転は、挟持した用紙12を搬送方向16へ搬送する方向の回転である。つまり、搬送ローラ60は、搬送路65上の用紙12に当接した状態で回転することによって当該用紙12を搬送する。
[排出部55]
排出部55は、図2に示されるように、搬送路65における記録部24よりも搬送方向16の下流に配置されている。排出部55は、互いに対向する排出ローラ62及び拍車63を備える。排出ローラ62は、搬送モータ102(図4及び図8参照)によって駆動される。拍車63は、排出ローラ62の回転に伴って連れ回る。排出部55は、搬送モータ102の正転駆動力が伝達されることによって、挟持した用紙12を搬送方向16へ搬送する正回転が可能である。
[記録部24]
記録部24は、図2に示されるように、搬送路65における搬送部54及び排出部55の間に配置されている。記録部24は、プラテン42の上方にプラテン42と対向して配置されている。記録部24は、キャリッジ23と、記録ヘッド39とを備えている。キャリッジ23からは、図3に示されるように、インクチューブ32及びフレキシブルフラットケーブル33が延出されている。インクチューブ32は、インクカートリッジのインクを記録ヘッド39に供給する。フレキシブルフラットケーブル33は、制御部130が実装された制御基板(不図示)と記録ヘッド39とを電気的に接続する。
キャリッジ23は、図3に示されるように、前方向6及び後方向7に離間する位置において各々が右方向8及び左方向9へ延設されたガイドレール43、44に支持されている。キャリッジ23は、ガイドレール44に設けられた公知のベルト機構53に連結されている。なお、このベルト機構53は、キャリッジモータ103(図4参照)によって駆動される。つまり、キャリッジモータ103の駆動により周運動するベルト機構53に連結されたキャリッジ23は、右方向8及び左方向9に沿う主走査方向へ往復移動することができる。
記録ヘッド39は、図2に示されるように、キャリッジ23に搭載されている。記録ヘッド39の下面には、複数のノズル40が形成されている。記録ヘッド39は、ノズル40からインクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ23が移動する過程において、搬送部54によって搬送されてプラテン42に支持されている用紙12に対して記録ヘッド39がインク滴を吐出する。これにより、用紙12に画像が記録される。
キャリッジ23は、用紙12への画像記録時に、右方向8及び左方向9において記録ヘッド39が用紙12へインク滴を吐出可能な範囲を往復動する。具体的には、キャリッジ23は、記録ヘッド39の少なくとも一部が搬送路65及びプラテン42の真上となる範囲を往復動する。以下、画像記録時にキャリッジ23が往復動する範囲は、印刷領域と記される。
また、キャリッジ23は、印刷領域及び搬送路65よりも右方、及び印刷領域及び搬送路65よりも左方に移動可能である。
[プラテン42]
プラテン42は、図2に示されるように、搬送方向16における搬送部54及び排出部55の間に配置されている。プラテン42は、記録部24の下方に記録部24と記録部24と対向して配置されており、搬送部54によって搬送される用紙12を下方から支持する。
[リニアエンコーダ52]
図3に示されるように、ガイドレール44には、エンコーダストリップ50が配設されている。エンコーダストリップ50は、透明な樹脂からなる帯状のものである。エンコーダストリップ50は、その右端部及び左端部を支持用リブ(不図示)に係止されることによって、右方向8及び左方向9に架設されている。
エンコーダストリップ50には、光を透過させる透光部と光を遮断する遮光部とが、長手方向に等ピッチで交互に配置されたパターンが記されている。キャリッジ23のエンコーダストリップ50に対応する位置には、透過型センサである光学センサ51が設けられている。エンコーダストリップ50と光学センサ51とによって、キャリッジ23の位置を検知するためのリニアエンコーダ52(本発明の検知部の一例)が構成される。光学センサ51によって検知された信号は、後述する制御部130(図4参照)に出力される。
[メンテナンス機構110及び廃インクタンク120]
図5に示されるメンテナンス機構110は、記録ヘッド39のメンテナンスを行うものである。本実施形態において、メンテナンス機構110は、記録ヘッド39のノズル40からインクを吸引して、吸引したインクをチューブ121を通じて廃インクタンク120に送り出すものである。
図3に示されるように、メンテナンス機構110は、キャリッジ23の移動経路の下方であって、プラテン42の右端よりも右方に配置されている。つまり、メンテナンス機構110は、右方向8及び左方向9において搬送路65から外れた位置であり且つ印刷領域よりも右方に配置されている。メンテナンス機構110は、印刷領域よりも右方に位置するキャリッジ23の真下となる位置に配置されている。
廃インクタンク120は、キャリッジ23の移動経路の下方であって、プラテン42の左端よりも左方に配置されている。つまり、廃インクタンク120は、右方向8及び左方向9において搬送路65から外れた位置であり且つ印刷領域よりも左方に配置されている。廃インクタンク120は、印刷領域よりも左方に位置するキャリッジ23に真下となる位置に配置されている。廃インクタンク120は、上方が開放された概ね直方体の箱状である。廃インクタンク120には、インク吸収体(不図示)が収容されている。廃インクタンク120は、インク吸収体がインクを吸収することによって、ノズル40から吸引されたインクを収容可能である。また、廃インクタンク120は、フラッシングと呼ばれる記録ヘッド39からのインク滴の空吐出を上方から受ける。記録ヘッド39から空吐出されたインク滴は、インク吸収体に吸収されて保持される。
なお、メンテナンス機構110がプラテン42の左端よりも左方に配置され、廃インクタンク120がプラテン42の右端よりも右方に配置されていてもよい。また、図5では、メンテナンス機構110と廃インクタンク120とがチューブ121によって接続されていることを示すために、廃インクタンク120を模式的に図示しているが、廃インクタンク120と他の構成要素との位置関係を示すものではない。また、本実施形態では、廃インクタンク120が1つだけ設けられており、ノズル40から吸引されたインクと、フラッシングによって吐出されたインクとは、共に廃インクタンク120に収容されたインク吸収体に保持されるが、廃インクタンクが2つ設けられており、ノズル40から吸引されたインクと、フラッシングによって吐出されたインクとは、それぞれ異なる廃インクタンクに収容されたインク吸収体に保持されてもよい。
図5に示されるように、メンテナンス機構110は、可動部111と、可動部111を上方向4及び下方向5へ移動させるカム機構112と、インクが流れるチューブ121と、インクを吸引するポンプ113とを備えている。
可動部111には、ゴム材料からなるキャップ114が設けられている。キャップ114は、印刷領域よりも右方に位置するキャリッジ23の下方においてキャリッジ23と対向して設けられている。詳細には、キャップ114は、キャリッジ23に搭載された記録ヘッド39の下面に形成されたノズル40の下方にノズル40と対面して設けられている。カム機構112は、給送モータ101(図4参照)により駆動され、可動部111を上方向4及び下方向5へ移動させる。キャップ114は、可動部111が上方へ移動されることにより、印刷領域よりも右方に位置するキャリッジ23に搭載された記録ヘッド39の下面に当接する。その際、キャップ114はノズル40を覆う。以上より、キャップ114は、給送モータ101から駆動力を伝達されることによって、ノズル40から離間された離隔位置と、記録ヘッド39の下面に当接してノズル40を覆った被覆位置とに移動する。
キャップ114には、チューブ121の一端が接続されている。チューブ121は、可撓性を有する樹脂チューブである。チューブ121の他端は、廃インクタンク120に接続されている。
ポンプ113は、本実施形態において、ロータリー式のチューブポンプである。ポンプ113は、内壁面を備えたケーシングと、内壁面に沿って転動される転動ローラとを有する。チューブ121が転動ローラと内壁面との間に配置される。転動ローラは、搬送モータ102(図4及び図8参照)により駆動される。転動ローラが駆動されることにより、チューブ121が扱かれ、ノズル40内のインクがチューブ121に吸引され、チューブ121内のインクが上流(キャップ114)から下流(廃インクタンク120)へ押し出される。
搬送モータ102からポンプ113への駆動力の伝達、及び給送モータ101からカム機構112(キャップ114)への駆動力の伝達は、後に詳細に説明される。
[駆動力伝達機構70]
駆動力伝達機構70は、ギヤ、プーリ、及び無端環状のベルト等の全部又は一部を組み合わせて構成される。駆動力伝達機構70は、図6〜図9に示されるように、第1伝達部181、第2伝達部182、第3伝達部183、第4伝達部184、第5伝達部185、第6伝達部186、第7伝達部187、及び切替機構170(駆動切替機構の一例)を備えている。なお、駆動力伝達機構70の具体的構成(例えば、ギヤの数など)は、以下に説明するものに限らない。
第1伝達部181は、搬送モータ102の駆動力を搬送ローラ60及び切替機構170に伝達する。第2伝達部182は、給送モータ101の駆動力を切替機構170に伝達する。第3伝達部183は、搬送モータ102の駆動力を搬送ローラ60から排出ローラ62に伝達する。第4伝達部184は、搬送モータ102の駆動力を切替機構170からポンプ113に伝達する。第5伝達部185は、給送モータ101の駆動力を切替機構170からカム機構112に伝達する。第6伝達部186は、給送モータ101の駆動力を切替機構170から第1給送ローラ25に伝達する。第7伝達部187は、給送モータ101の駆動力を切替機構170から第2給送ローラ35に伝達する。切替機構170は、給送モータ101及び搬送モータ102の駆動力の伝達先を切り替える。
[第1伝達部181]
第1伝達部181は、図6及び図8に示されるように、搬送モータ102の軸と一体回転するプーリ71と、搬送ローラ60の軸60Aと一体回転するプーリ72と、プーリ71、72に架け渡された無端環状のベルト73とを備える。これにより、搬送ローラ60は、搬送モータ102の正転駆動力が伝達されて正回転し、搬送モータ102の逆転駆動力が伝達されて逆回転する。搬送ローラ60が回転することによって、搬送ローラ60の軸60Aと一体回転する切替機構170のローラギヤ180が回転する。以上より、第1伝達部181は、搬送モータ102の駆動力を搬送ローラ60及び切替機構170に伝達する。
[第2伝達部182]
第2伝達部182は、図7及び図9に示されるように、給送モータ101の軸と一体回転するプーリ79と、プーリ80と、プーリ79、80に架け渡された無端環状のベルト82と、プーリ80の軸と一体回転するギヤ83と、ギヤ83と噛合するギヤ84とを備える。ギヤ84は、切替機構170の第2クラッチギヤ192の第2ギヤ192Bと噛合する。これにより、給送モータ101は、第2クラッチギヤ192へ駆動力を付与する。詳細には、第2クラッチギヤ192は、給送モータ101の正転駆動力が伝達されて正回転し、給送モータ101の逆転駆動力が伝達されて逆回転する。以上より、第2伝達部182は、給送モータ101の駆動力を切替機構170に伝達する。
[第3伝達部183]
第3伝達部183は、図6に示されるように、互いに噛合するギヤ75、76と、プーリ77、78と、無端環状のベルト81とを備える。ギヤ75は、ギヤ76と噛合し且つ搬送ローラ60の軸60Aと一体回転する。ギヤ76及びプーリ77は、同軸で一体回転する。プーリ78は、排出ローラ62の軸62Aに取り付けられている。ベルト81は、プーリ77、78に架け渡されている。これにより、排出ローラ62は、搬送モータ102の正転駆動力が伝達されて正回転し、搬送モータ102の逆転駆動力が伝達されて逆回転する。以上より、第3伝達部183は、搬送モータ102の駆動力を搬送ローラ60から排出ローラ62に伝達する。
[第4伝達部184]
第4伝達部184は、図6に示されるように、切替機構170の第1クラッチギヤ191の第2ギヤ191Bと噛合するギヤ85と、ギヤ85と噛合しており且つポンプ113の転動ローラの軸と一体回転するギヤ86とを備えている。これにより、ポンプ113は、第1クラッチギヤ191の第2ギヤ191Bから正転駆動力が伝達されることによって吸引動作を実行し、第2ギヤ191Bから逆転駆動力が伝達されることによって大気開放動作を実行する。また、第2ギヤ191Bは、搬送モータ102からローラギヤ180、第1スライドギヤ160A、及び第1クラッチギヤ191の第1ギヤ191Aを介して駆動力を伝達される。詳述すると、ローラギヤ180は、第1スライドギヤ160Aと噛合する。第1スライドギヤ160Aは、第1ギヤ191Aと噛合可能である。第2ギヤ191Bは、第1ギヤ191Aと一体に回転可能である。なお、第1スライドギヤ160A及び第1クラッチギヤ191の詳細については、後述する。以上より、第4伝達部184は、搬送モータ102の駆動力を切替機構170からポンプ113に伝達する。
[第5伝達部185]
第5伝達部185は、図7(A)に示されるように、切替機構170の受けギヤ165と噛合するギヤ87と、カム機構112に設けられておりギヤ87と噛合するギヤ88とを備えている。なお、受けギヤ165は、第2クラッチギヤ192及び第2スライドギヤ160Bを介して給送モータ101から駆動力を伝達される。詳述すると、第2クラッチギヤ192の第1ギヤ192Aは、第2伝達部182によって給送モータ101の駆動力を伝達される第2ギヤ192Bと一体に回転可能である。第1ギヤ192Aは、第2スライドギヤ160Bと噛合する。第2スライドギヤ160Bは、受けギヤ165と噛合可能である。なお、第2スライドギヤ160B及び第2クラッチギヤ192の詳細については、後述する。ギヤ88が回転することによって、カム機構112が駆動する。カム機構112が駆動することによって、キャップ114を備えた可動部111が上下動する。以上より、第5伝達部185は、給送モータ101の駆動力(本実施形態では逆転駆動力)を切替機構170からカム機構112に伝達する。
[第6伝達部186]
第6伝達部186は、図7(B)に示されるように、ギヤ89、91と、プーリ94、95と、無端環状のベルト97と、太陽ギヤ98と、振子ギヤ99と、アーム100とで構成されている。
ギヤ89は、切替機構170の受けギヤ167と噛合している。なお、受けギヤ167は、上述した受けギヤ165と同様に、第2クラッチギヤ192及び第2スライドギヤ160Bを介して給送モータ101から駆動力を伝達される。太陽ギヤ98は、ギヤ89と同軸で一体回転する。振子ギヤ99は、太陽ギヤ98と噛合し且つギヤ91に接離する。アーム100は、一端が太陽ギヤ98に回動可能に支持され、他端で振子ギヤ99を自転及び公転可能に支持している。ギヤ91及びプーリ94は、同軸で一体回転する。プーリ95は、第1給送ローラ25と同軸で一体回転する。ベルト97は、プーリ94、95に架け渡されている。
振子ギヤ99は、太陽ギヤ98が回転することによって、自転しながら太陽ギヤ98の周りを公転する。そして、振子ギヤ99は、図7(B)に破線で示されるように、給送モータ101の逆転駆動力が太陽ギヤ98に伝達されることによって、ギヤ91から離間する。一方、振子ギヤ99は、図7(B)に実線で示されるように、給送モータ101の正転駆動力が太陽ギヤ98に伝達されることによって、ギヤ91と噛合する。その結果、第6伝達部186は、給送モータ101の逆転駆動力を第1給送ローラ25に伝達しない。一方、第6伝達部186は、給送モータ101の正転駆動力によって第1給送ローラ25を正回転させる。以上より、第6伝達部186は、給送モータ101の駆動力を切替機構170から第1給送ローラ25に伝達する。
[第7伝達部187]
第7伝達部187は、図7(C)に示されるように、ギヤ156及びギヤ列157で構成されている。ギヤ列157は、隣接するギヤ同士が互いに噛合する複数のギヤ157A〜157Cを備える。
ギヤ156は、切替機構170の受けギヤ166と噛合する。なお、受けギヤ166は、上述した受けギヤ165と同様に、第2クラッチギヤ192及び第2スライドギヤ160Bを介して給送モータ101から駆動力を伝達される。ギヤ156、157Aは、軸37と一体回転する。ギヤ157Cは、第2給送ローラ35の軸35Aと一体回転する。なお、第2給送ローラ35の軸35Aとリフタ38との間にはトルクリミッタが配置されている。その結果、リフタ38は、図7(C)に破線で示される当接位置を越えて時計回りに回動せず、図7(C)に実線で示される離間位置を越えて反時計回りに回動しない。換言すれば、リフタ38は、離間位置と当接位置との間を回動する。
上記構成の第7伝達部187は、給送モータ101の正転駆動力によって、第2給送ローラ35を逆回転させ、リフタ38を当接位置へ向けて回動させる。その結果、給送モータ101の正転駆動によって、MPトレイ31に支持された用紙12は、搬送路65に給送されない。一方、第7伝達部187は、給送モータ101の逆転駆動力によって、第2給送ローラ35を正回転させ、リフタ38を離間位置へ向けて回動させる。その結果、給送モータ101の逆転駆動によって、MPトレイ31に支持された用紙12は、搬送路65に給送される。以上より、第7伝達部187は、給送モータ101の駆動力を切替機構170から第2給送ローラ35に伝達する。
[切替機構170]
切替機構170は、搬送モータ102及び給送モータ101の駆動力の伝達状態を、第1状態、第2状態、及び第3状態に切替可能である。第1状態は、搬送モータ102の駆動力がポンプ113に伝達され、且つ給送モータ101の駆動力がカム機構112に伝達される状態である。第2状態は、搬送モータ102の駆動力がポンプ113に伝達されず、且つ給送モータ101の駆動力が第2給送ローラ35及びリフタ38に伝達される状態である。第3状態は、搬送モータ102の駆動力がポンプ113に伝達されず、且つ給送モータ101の駆動力が第1給送ローラ25に伝達される状態である。
切替機構170は、プラテン42及び搬送路65よりも右方に設けられている。切替機構170は、図8に示されるように、スライドギヤ160と、ローラギヤ180と、3つの受けギヤ165、166、167(伝達ギヤの一例)と、スライド機構150と、クラッチギヤ190とを備えている。
[スライドギヤ160、ローラギヤ180、及び受けギヤ165、166、167]
スライドギヤ160は、図8及び図10〜図12に示されるように、右方向8及び左方向9に延びた支軸174に支持されている。スライドギヤ160は、支軸174を中心として回転可能である。また、スライドギヤ160は、支軸174の軸方向である右方向8及び左方向9に沿って、図12に示される右位置RP、右位置RPよりも左方であり図11に示される中央位置MP、中央位置MPよりも左方であり図10に示される左位置LPに移動可能(スライド可能)である。右位置RP、中央位置MP、及び左位置LPは、スライド位置の一例である。
スライドギヤ160は、第1スライドギヤ160Aと第2スライドギヤ160Bとを備えている。各スライドギヤ160A、160Bは、支軸174を中心として回転可能であり且つ支軸174の軸方向(右方向8及び左方向9)に沿って移動可能である。
第2スライドギヤ160Bは、第1スライドギヤ160Aの左方に配置されている。第1スライドギヤ160Aと第2スライドギヤ160Bとは、互いに当接して配置されている。
第2スライドギヤ160Bは、外周に歯が形成されたギヤ本体161と、ギヤ本体161から第1スライドギヤ160Aに向かって右方向8へ延びた凸部162とを備えている。凸部162の直径は、ギヤ本体161の直径よりも小さい。凸部162の突出先端と第1スライドギヤ160Aとは、後述する第1コイルバネ168及び第2コイルバネ169の付勢力によって当接している。これにより、第1スライドギヤ160Aの歯の部分と、第2スライドギヤ160Bの歯の部分(ギヤ本体161)とは、右方向8及び左方向9に間隔を空けて配置されている。
第1スライドギヤ160Aは、スライドギヤ160の位置にかかわらず、ローラギヤ180と噛合している。つまり、第1スライドギヤ160Aは、スライドギヤ160が右位置RP、中央位置MP、及び左位置LPのいずれの位置であっても、ローラギヤ180と噛合している(図10〜図12参照)。
ローラギヤ180は、搬送ローラ60の右端部において、搬送ローラ60の軸60Aに固定されている。これにより、ローラギヤ180は、搬送ローラ60と一体に回転する。以上より、搬送モータ102の駆動力は、ローラギヤ180を介して第1スライドギヤ160Aに伝達される。
第1スライドギヤ160Aは、スライドギヤ160の位置に応じて、クラッチギヤ190の第1クラッチギヤ191の第1ギヤ191Aと噛合または第1ギヤ191Aから離間する。
第2スライドギヤ160Bは、スライドギヤ160の位置にかかわらず、クラッチギヤ190の第2クラッチギヤ192の第1ギヤ192Aと噛合している。つまり、第2スライドギヤ160Bは、スライドギヤ160が右位置RP、中央位置MP、及び左位置LPのいずれの位置であっても、第1ギヤ192Aと噛合している(図10〜図12参照)。
第2スライドギヤ160Bは、スライドギヤ160の位置に応じて、3つの受けギヤ165、166、167のいずれかと噛合する。つまり、3つの受けギヤ165、166、167のそれぞれが、第2スライドギヤ160Bと噛合可能である。
受けギヤ165、166、167は、右方向8及び左方向9に沿って間隔を空けて並んだ状態で配置されている。つまり、3つの受けギヤ165、166、167は、右方向8及び左方向9に沿って並列に配置されている。受けギヤ166は、受けギヤ165よりも左方に配置されている。受けギヤ167は、受けギヤ166よりも左方に配置されている。つまり、受けギヤ165は、3つの受けギヤ165、166、167のうち、最も右方に配置されている。また、受けギヤ167は、3つの受けギヤ165、166、167のうち、最も左方に配置されている。
受けギヤ165、166の右方向8及び左方向9の間隔、及び受けギヤ166、167の右方向8及び左方向9の間隔は、第2スライドギヤ160Bのギヤ本体161の軸方向(右方向8及び左方向9)の長さよりも長い。
受けギヤ165、166、167は、スライドギヤ160の位置に応じてスライドギヤ160と噛合及び離間可能である。
図12に示されるように、スライドギヤ160が右位置RPに位置するとき、第1スライドギヤ160Aは、ローラギヤ180及び第1クラッチギヤ191の第1ギヤ191Aと噛合している。これにより、搬送モータ102の駆動力は、第1スライドギヤ160A及び第1クラッチギヤ191を介してポンプ113に伝達される(図6参照)。
スライドギヤ160が右位置RPに位置するとき、第2スライドギヤ160Bは、第2クラッチギヤ192の第1ギヤ192A及び受けギヤ165と噛合している。これにより、給送モータ101の駆動力は、第2スライドギヤ160B及び受けギヤ165を介してキャップ114を上下動させるカム機構112に伝達される(図7(A)参照)。
図10及び図11に示されるように、スライドギヤ160が左位置LPまたは中央位置MPに位置するとき、第1スライドギヤ160Aは、ローラギヤ180と噛合しているが、第1クラッチギヤ191の第1ギヤ191Aに対して離間している。これにより、搬送モータ102の駆動力は、第1クラッチギヤ191に伝達されない。
図11に示されるように、スライドギヤ160が中央位置MPに位置するとき、第2スライドギヤ160Bは、第2クラッチギヤ192の第1ギヤ192A及び受けギヤ166と噛合している。これにより、給送モータ101の駆動力は、第2スライドギヤ160B及び受けギヤ166を介して第2給送ローラ35及びリフタ38に伝達される(図7(C)参照)。
図10に示されるように、スライドギヤ160が左位置LPに位置するとき、第2スライドギヤ160Bは、第2クラッチギヤ192の第1ギヤ192A及び受けギヤ167と噛合している。これにより、給送モータ101の駆動力は、第2スライドギヤ160B及び受けギヤ167を介して第1給送ローラ25に伝達される(図7(B)参照)。
なお、本実施形態では、受けギヤは3個設けられているが、受けギヤの数は3個に限らない。受けギヤは、少なくとも、カム機構112に駆動力を伝達するギヤと、給送ローラ(第1給送ローラ25または第2給送ローラ35)に駆動力を伝達するギヤとを備えていることを条件として、2個または4個以上であってもよい。例えば、複合機10がMPトレイ31及び第2給送ローラ35を備えていない場合、受けギヤは2個設けられる。また、例えば、複合機10が開口13を通じて前方向6及び後方向7に挿抜される給送トレイを上下2段備えており、上下2段の給送トレイのそれぞれに対応して給送ローラが設けられている場合、受けギヤは4個設けられる。
また、スライドギヤ160は、受けギヤの数に応じて、上述した位置(右位置RP、中央位置MP、左位置LP)に加えて、上述した位置以外の位置へも移動可能であってもよい。
[スライド機構150]
スライド機構150は、スライドギヤ160を右方向8及び左方向9に移動させる機構である。スライド機構150は、キャリッジ23(図2参照)と、レバー部材175(図8参照)と、第1コイルバネ168(付勢部材の一例、図10参照)と、第2コイルバネ169(図10参照)と、ガイド部材173(図13参照)とを備えている。なお、図8において、第1コイルバネ168及び第2コイルバネ169の図示は省略されている。
キャリッジ23は、右方向8及び左方向9に沿って、図3に破線で示される第1位置、図3に二点鎖線で示される第2位置、及び図3に一点鎖線で示される第3位置に移動可能である。第1位置は、搬送路65よりも右方の位置であり、スライドギヤ160が右位置RPに位置するときのキャリッジ23の位置である。第2位置は、搬送路65よりも左方の位置であり、フラッシングが実行されるときのキャリッジ23の位置である。第3位置は、第1位置及び第2位置の間の位置であり、第1位置から左方へ移動するキャリッジ23が後述するレバー部材175の突出部175Bから離間する直前のキャリッジ23の位置である。
図8及び図10に示されるように、レバー部材175は、第1スライドギヤ160Aの右面に当接して配置されている。つまり、レバー部材175は、第1スライドギヤ160Aの右方に配置されている。
レバー部材175は、第1スライドギヤ160Aと当接した本体部175A(軸受の一例)と、本体部175Aから上方に突出した突出部175B(レバーアームの一例)とを備えている。本体部175Aに、支軸174が挿通されている。これにより、本体部175Aは、右方向8及び左方向9に移動自在且つ回転自在に支軸174に支持されている。突出部175Bは、キャリッジ23の移動領域のうち印刷領域外の移動領域にまで延びている。これにより、突出部175Bは、右方向8へ移動するキャリッジ23に当接されて右方へ押されることが可能である。
図10に示されるように、第1コイルバネ168は、本体部175Aの右方に配置されている。第1コイルバネ168に、支軸174が挿通されている。第1コイルバネ168の一端は、本体部175Aに当接している。第1コイルバネ168の他端は、プリンタ部11のフレーム(不図示)などに当接している。これにより、第1コイルバネ168は、レバー部材175及びスライドギヤ160を左方向9へ付勢可能である。
第2コイルバネ169は、第2スライドギヤ160Bの左方に配置されている。第2コイルバネ169に、支軸174が挿通されている。第2コイルバネ169の一端は、第2スライドギヤ160Bのギヤ本体161に当接している。第2コイルバネ169の他端は、プリンタ部11のフレーム176に当接している。これにより、第2コイルバネ169は、スライドギヤ160及びレバー部材175を右方向8へ付勢可能である。
第2コイルバネ169の付勢力は、第1コイルバネ168の付勢力よりも小さい。その結果、スライドギヤ160とレバー部材175とは、左方向9へ付勢されている。
また、レバー部材175は、第1コイルバネ168及び第2コイルバネ169によって矢印122(図9参照)の方向へ付勢されている。矢印122の方向は、突出部175Bが前方向6へ移動するように本体部175Aが回転する方向である。なお、レバー部材175は、第1コイルバネ168及び第2コイルバネ169とは別の付勢部材(例えばトーションバネ)によって矢印122の方向へ付勢されていてもよい。
なお、レバー部材175及びスライドギヤ160は、必ずしも互いに当接している必要はない。例えば、レバー部材175及びスライドギヤ160の間に、支軸174によって右方向8及び左方向9へ移動可能に支持された板状の部材が介在されていてもよい。
図13に示されるように、ガイド部材173は、レバー部材175の本体部175Aの上方に設けられている。ガイド部材173には、右方向8及び左方向9に沿って延びた開口177(長孔の一例)が形成されている。開口177には、レバー部材175の突出部175Bが下方から上方へ向けて挿通されている。突出部175Bは、レバー部材175が右方向8及び左方向9に沿って移動されるときに、開口177に沿って案内される。
開口177の左端部を区画する縁部(詳細には後述する傾斜面171の左端部)は、第1ストッパ178を構成している。第1ストッパ178は、スライドギヤ160が左位置LPに位置している状態で突出部175Bと当接する。これにより、レバー部材175が第1コイルバネ168の付勢力によって左位置LPから左方へ移動することが規制される。一方、第1ストッパ178は、レバー部材175の右方への移動を規制しない。
開口177の前端を区画しており且つ右方向8及び左方向9に沿って延びる縁部177A(第1縁部の一例)には、第2ストッパ179(保持部の一例)と、第2ストッパ179よりも右方に設けられた傾斜面172(第1傾斜面の一例)とが形成されている。第2ストッパ179は、縁部177Aから後方へ突出している。傾斜面172は、右方へ向かって後方へ傾斜している。つまり、傾斜面172は、右方へ向かって縁部177Aと対向する縁部177Bへ向けて傾斜している。
開口177の後端を区画しており且つ右方向8及び左方向9に沿って延びる縁部177B(第2縁部の一例)には、傾斜面171(第2傾斜面の一例)が形成されている。傾斜面171は、縁部177Bの左端部に形成されている。傾斜面171は、左方へ向かって前方へ傾斜している。つまり、傾斜面171は、左方へ向かって縁部177Aへ向けて傾斜している。
レバー部材175の突出部175Bは、第1コイルバネ168及び第2コイルバネ169に矢印122の方向(図9参照)へ付勢されることによって、縁部177Aに当接している。
第1ストッパ178は、スライドギヤ160が左位置LPに保持されている状態のとき、突出部175Bと当接する。これにより、レバー部材175が、第1コイルバネ168の付勢力によって左位置LPから左方へ移動することが規制される。一方、第1ストッパ178は、レバー部材175の右方への移動を規制しない。レバー部材175の突出部175Bは、第1ストッパ178によって、スライドギヤ160が左位置LPとなる位置に保持される。
第2ストッパ179は、スライドギヤ160が中央位置MPに位置している状態で突出部175Bと係合する。これにより、レバー部材175が第1コイルバネ168の付勢力によって中央位置MPから左方へ移動することが規制される。一方、第2ストッパ179は、レバー部材175の右方への移動を規制しない。レバー部材175の突出部175Bは、第2ストッパ179によって、スライドギヤ160が中央位置MPとなる位置に保持される。
スライドギヤ160が左位置LPに保持されている状態で、突出部175Bが右方へ移動するキャリッジ23に当接されて押されると、レバー部材175は、第1コイルバネ168の付勢力に抗って右方へ移動する。このとき、第2コイルバネ169によって右方へ付勢された第2スライドギヤ160Bは、レバー部材175の移動に伴って右方へ移動する。第1スライドギヤ160Aは、移動する第2スライドギヤ160Bに押されて右方へ移動する。
突出部175Bは、第2ストッパ179の一部を構成し且つ左方を向く傾斜面179Aに沿って案内される。このとき、レバー部材175は、第1コイルバネ168及び第2コイルバネ169の付勢力に抗って矢印122(図9参照)と逆方向へ回動する。突出部175Bが傾斜面179Aを通過すると、レバー部材175は、第1コイルバネ168及び第2コイルバネ169の付勢力によって矢印122の方向へ回動する。これにより、突出部175Bが第2ストッパ179と係合する。このとき、スライドギヤ160は、中央位置MPに保持される。また、このときのキャリッジ23の位置は、図3に点線で示される位置である。
スライドギヤ160が中央位置MPに保持されている状態(突出部175Bが第2ストッパ179と係合している状態)で、突出部175Bが右方へ移動するキャリッジ23に当接されて押されると、レバー部材175は、第1コイルバネ168の付勢力に抗って右方へ移動する。このとき、第2コイルバネ169によって右方向8へ付勢された第2スライドギヤ160Bは、レバー部材175の移動に伴って右方へ移動する。第1スライドギヤ160Aは、移動する第2スライドギヤ160Bに押されて右方に移動する。
突出部175Bは、傾斜面172に沿って案内される。これにより、突出部175Bは、第2ストッパ179よりも後方に位置される。このとき、レバー部材175は、第1コイルバネ168及び第2コイルバネ169の付勢力に抗って矢印122(図9参照)と逆方向へ回動する。
以上より、スライドギヤ160は、レバー部材175の右方への移動に追随して右方へ移動可能である。
突出部175Bが第2ストッパ179よりも右方に位置している状態では、キャリッジ23が突出部175Bとの当接を維持することによって、スライドギヤ160は、右位置RPに保持される。このときのキャリッジ23の位置が、図3に破線で示される第1位置である。キャリッジ23が第1位置に位置しているとき、突出部175Bは、キャリッジ23に右方へ押されることによって、開口177の左端部よりも右方に位置している。
スライドギヤ160が右位置RPに保持されている状態で、キャリッジ23が左方へ移動すると、突出部175Bは、第1コイルバネ168の付勢力(詳細には第1コイルバネ168の左方向9への付勢力から第2コイルバネ169の右方向8への付勢力を減じた付勢力)によって、キャリッジ23に追随して左方へ移動する。
ここで、第1コイルバネ168及び第2コイルバネ169のバネ定数は、上記付勢力によって左方へ移動するレバー部材175及びスライドギヤ160の最小加速度がキャリッジ23の加速度(詳細には後述する第1加速処理におけるキャリッジ23の加速度)よりも大きくなるように設定されている。これにより、突出部175Bは、キャリッジ23に右方から当接した状態を維持しつつ、左方へ移動する。
このとき、突出部175Bは、第2ストッパ179よりも後方に位置している。また、レバー部材175を矢印122(図9参照)の方向へ回動させる第1コイルバネ168及び第2コイルバネ169の付勢力よりも、レバー部材175を左方へ移動させる第1コイルバネ168の付勢力の方が強い。そのため、突出部175Bの左方への移動中に、レバー部材175は矢印122の方向へ殆ど回動しない。よって、突出部175Bは、第2ストッパ179と係合することなく、第2ストッパ179よりも左方へ移動する。その結果、レバー部材175は、突出部175Bが傾斜面171の右端部に衝突して当接するまで左方へ移動する。
レバー部材175が傾斜面171の右端部に当接した瞬間、キャリッジ23はレバー部材175に当接した状態を維持している。このときのキャリッジ23の位置が、図3に一点鎖線で示される第3位置である。つまり、キャリッジ23が第3位置に位置しているとき、突出部175Bは、開口177の左端部を区画する傾斜面171の右端部、及びキャリッジ23に当接している。その後、第3位置のキャリッジ23はレバー部材175から離間して、図3に二点鎖線で示される第2位置へ向けて左方へ移動する。
突出部175Bは、傾斜面171に当接後、第1コイルバネ168の付勢力によって傾斜面171に沿って案内されて、縁部177Aに衝突して当接する。
レバー部材175が左方へ移動することによって、スライドギヤ160は、レバー部材175に押されて右位置RPから左位置LPへ移動する。
以上より、スライドギヤ160は、レバー部材175の左方への移動に追随して左方へ移動可能である。
[クラッチギヤ190]
図8及び図10に示されるように、クラッチギヤ190は、第1クラッチギヤ191(伝達ギヤの一例)と第2クラッチギヤ192(駆動ギヤの一例)とを備えている。第1クラッチギヤ191は、第1ギヤ191A(第3ギヤの一例)と第2ギヤ191B(第4ギヤの一例)とを備えている。第2クラッチギヤ192は、第1ギヤ192A(第1ギヤの一例)と第2ギヤ192B(第2ギヤの一例)とを備えている。
図6及び図12に示されるように、第1クラッチギヤ191の第1ギヤ191Aは、スライドギヤ160が右位置RPに位置する状態において、第1スライドギヤ160Aと噛合している。図6に示されるように、第1クラッチギヤ191の第2ギヤ191Bは、第4伝達部184のギヤ85と噛合している。
図7、図8、及び図10〜図12に示されるように、第2クラッチギヤ192の第1ギヤ192Aは、第2スライドギヤ160Bと噛合している。図7及び図8に示されるように、第2クラッチギヤ192の第2ギヤ192Bは、第2伝達部182のギヤ84と噛合している。
以下、図14(A)、(B)を参照しつつ、第1クラッチギヤ191の構成について説明する。
第1ギヤ191Aは、右方向8及び左方向9に延びた支軸151(図8参照)に回転可能に支持されている。第2ギヤ191Bも、第1ギヤ191Aと同様に、支軸151に回転可能に支持されている。つまり、第2ギヤ191Bは、第1ギヤ191Aと同軸で回転する。
第1ギヤ191Aの右面193には、右方向8に突出する2つの凸部194、195(第2当接部の一例)が設けられている。換言すると、第1ギヤ191Aにおける第2ギヤ191Bと対向する面(右面193)には、第2ギヤ191Bに向けて突出する2つの凸部194、195が設けられている。凸部194、195は、右面193の周方向104に互いに間隔を空けて配置されている。凸部194、195の周方向104の長さは同一である。ここで、後述するように、凸部194の周方向104の一端面は、凹部198の側面198Aと当接可能であり、凸部194の周方向104の他端面は、凹部198の側面198Bと当接可能である。また、凸部195の周方向104の一端面は、凹部199の側面199Aと当接可能であり、凸部195の周方向104の他端面は、凹部199の側面199Bと当接可能である。つまり、凸部194の周方向104の長さは、凸部194における側面198Aとの当接箇所及び側面198Bとの当接箇所の周方向104の距離であり、凸部195の周方向104の長さは、凸部195における側面199Aとの当接箇所及び側面199Bとの当接箇所の周方向104の距離である。
第2ギヤ191Bの左面197(第2ギヤ191Bにおける第1ギヤ191Aと対向する面)には、2つの凹部198、199が設けられている。凹部198、199は、周方向104に沿って延びている。凹部198の周方向104の一端は、側面198A(第3面の一例)によって区画されている。凹部198の周方向104の他端は、側面198B(第4面の一例)によって区画されている。凹部199の周方向104の一端は、側面199A(第3面の一例)によって区画されている。凹部199の周方向104の他端は、側面199B(第4面の一例)によって区画されている。
側面198A、198B間の周方向104の距離は、側面199A、199B間の周方向104の距離と同一である。側面198A、198B間の周方向104の距離、及び側面199A、199B間の周方向104の距離は、凸部194、195の周方向104の長さよりも長い。
第1ギヤ191A及び第2ギヤ191Bは、第1ギヤ191Aの右面193と第2ギヤ191Bの左面197とが対向した状態で配置される。このとき、凸部194が凹部198に挿入されている。つまり、凸部194が凹部198の側面198A、198Bの間に位置する。また、凸部195が凹部199に挿入されている。つまり、凸部195が凹部199の側面199A、199Bの間に位置する。
第1クラッチギヤ191は、上記のように構成されていることによって、以下のように回転する。
凸部194が側面198Aと当接していない状態で、搬送モータ102から正転駆動力を伝達された第1ギヤ191Aは、凸部194が側面198Aに近づく方向へ回転する(正回転)。このとき、第1ギヤ191Aは、第2ギヤ191Bに対して空転する。つまり、第2ギヤ191Bは回転しない。第1ギヤ191Aの正回転によって、凸部194が側面198Aに当接して側面198Aを押すと、第2ギヤ191Bは、第1ギヤ191Aと一体に正回転する。なお、凸部194が側面198Aと当接して押す代わりに或いは凸部194が側面198Aと当接して押すとともに、凸部195が側面199Aと当接して押してもよい。
一方、凸部194が側面198Bと当接していない状態で、搬送モータ102から逆転駆動力を伝達された第1ギヤ191Aは、凸部194が側面198Bに近づく方向へ回転する(逆回転)。このとき、第1ギヤ191Aは、第2ギヤ191Bに対して空転する。つまり、第2ギヤ191Bは回転しない。第1ギヤ191Aの逆回転によって、凸部194が側面198Bに当接して側面198Bを押すと、第2ギヤ191Bは、第1ギヤ191Aと一体に逆回転する。なお、凸部194が側面198Bと当接して押す代わりに或いは凸部194が側面198Bと当接して押すとともに、凸部195が側面199Bと当接して押してもよい。
なお、第1ギヤ191Aが第2ギヤ191Bに対して所定量空転可能であることを条件として、凸部194、195の周方向104に沿った長さは、同一でなくてもよい。また、側面198A、198B間の周方向104の距離と、側面199A、199B間の周方向104の距離とは、同一でなくてもよい。
また、本実施形態では、第1ギヤ191Aが2つの凸部を備え、第2ギヤ191Bが2つの凹部を備えていたが、当該凸部及び当該凹部の数は2つに限らない。
また、本実施形態では、第1ギヤ191Aが凸部を備え、第2ギヤ191Bが当該凸部が挿入される凹部を備えていたが、第2ギヤ191Bが凸部を備え、第1ギヤ191Aが当該凸部が挿入される凹部を備えていてもよい。
また、本実施形態では、第1ギヤ191Aが凸部を備え、第2ギヤ191Bが当該凸部が挿入される凹部を備えていたが、第1ギヤ191Aまたは第2ギヤ191Bの一方に設けられた凸部が、第1ギヤ191Aまたは第2ギヤ191Bの他方に周方向104に間隔を空けて設けられた2つの面の間に挿入される構成であれば、本実施形態の構成に限らない。
例えば、第1ギヤ191A及び第2ギヤ191Bが、それぞれ周方向104に間隔を空けて設けられた2つの凸部を備えており、第1ギヤ191Aまたは第2ギヤ191Bの一方の凸部が他方の2つの凸部の向かい合う側面の間に挿入されていてもよい。この場合、上記向かい合う側面が第1面及び第2面の一例である。
以下、図14(C)、(D)を参照しつつ、第2クラッチギヤ192の構成について説明する。なお、第2クラッチギヤ192は、第1クラッチギヤ191とほぼ同構成であるため、第2クラッチギヤ192の各構成要素と第1クラッチギヤ191の各構成要素との対応関係が、主に説明される。
第1ギヤ192Aは、右方向8及び左方向9へ延びた支軸152(図8参照)に回転可能に支持されている。第2ギヤ192Bも、第1ギヤ192Aと同様に、支軸152に回転可能に支持されている。つまり、第2ギヤ192Bは、第1ギヤ192Aと同軸で回転する。
第2ギヤ192Bの右面143は、第1ギヤ191Aの右面193に対応する。第2ギヤ192Bの凸部144、145(第1当接部の一例)は、それぞれ第1ギヤ191Aの凸部194、195に対応する。
第1ギヤ192Aの左面147は、第2ギヤ191Bの左面197に対応する。第1ギヤ192Aにおいて支軸152に沿った方向(右方向8及び左方向9)に貫通された貫通孔148、149は、それぞれ第2ギヤ191Bの左面197に設けられた凹部198、199に対応する。なお、第1ギヤ192Aの貫通孔148、149は、左面147に設けられた凹部であってもよい。また、第2ギヤ191Bの凹部198、199は、右方向8及び左方向9に貫通された貫通孔であってもよい。貫通孔148の側面148A、148Bは、それぞれ凹部198の側面198A、198Bに対応する。貫通孔149の側面149A、149Bは、それぞれ凹部199の側面199A、199Bに対応する。側面148A、149Aは、それぞれ第1面の一例であり、側面148B、149Bは、それぞれ第2面の一例である。
第2ギヤ192B及び第1ギヤ192Aは、第2ギヤ192Bの右面143と第1ギヤ192Aの左面147とが対向した状態で配置される。このとき、凸部144が貫通孔148に挿入されている。つまり、凸部144が貫通孔148の側面148A、148Bの間に位置する。また、凸部145が貫通孔149に挿入されている。つまり、凸部145が貫通孔149の側面149A、149Bの間に位置する。
第2クラッチギヤ192は、上記のように構成されていることによって、以下のように回転する。
凸部144が側面148Aと当接していない状態で、搬送モータ102から正転駆動力を伝達された第2ギヤ192Bは、凸部144が側面148Aに近づく方向へ回転する(正回転)。このとき、第2ギヤ192Bは、第1ギヤ192Aに対して空転する。つまり、第1ギヤ192Aは回転しない。第2ギヤ192Bの正回転によって、凸部144が側面148Aに当接して側面148Aを押すと、第1ギヤ192Aは、第2ギヤ192Bと一体に正回転する。なお、凸部144が側面148Aと当接して押す代わりに或いは凸部144が側面148Aと当接して押すとともに、凸部145が側面149Aと当接して押してもよい。
一方、凸部144が側面148Bと当接していない状態で、搬送モータ102から逆転駆動力を伝達された第2ギヤ192Bは、凸部144が側面148Bに近づく方向へ回転する(逆回転)。このとき、第2ギヤ192Bは、第1ギヤ192Aに対して空転する。つまり、第1ギヤ192Aは回転しない。第2ギヤ192Bの逆回転によって、凸部144が側面148Bに当接して側面148Bを押すと、第1ギヤ192Aは、第2ギヤ192Bと一体に逆回転する。なお、凸部144が側面148Bと当接して押す代わりに或いは凸部144が側面148Bと当接して押すとともに、凸部145が側面149Bと当接して押してもよい。
[制御部130]
制御部130は、図4に示されるように、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135を備えており、これらは内部バス137によって接続されている。ROM132には、CPU131が各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
ASIC135には、給送モータ101、搬送モータ102、及びキャリッジモータ103などが接続されている。ASIC135は、各モータを回転させるための駆動信号を生成し、この駆動信号を元に各モータを制御する。各モータは、ASIC135からの駆動信号によって正回転又は逆回転する。例えば、制御部130は、給送モータ101の駆動を制御して、各給送ローラ25、35を回転させたりカム機構112を駆動させたりする。また、制御部130は、搬送モータ102の駆動を制御して各ローラ60、62を回転させたりポンプ113を駆動させたりする。また、制御部130は、キャリッジモータ103の駆動を制御してキャリッジ23を往復移動させる。また、制御部130は、記録ヘッド39を制御してノズル40からインク滴を吐出させる。以上より、制御部130は、各モータ101、102、103及びスライド機構150を制御する。
また、ASIC135には、リニアエンコーダ52の光学センサ51が接続されている。CPU131は、光学センサ51からの検知信号に基づいてキャリッジ23の位置を算出する。詳細には、制御部130は、キャリッジ23を移動させて、搬送路65よりも右方または左方に設けられたフレーム(不図示)に当接させることによって、キャリッジ23の原点位置を決定しておく。そして、制御部130は、光学センサ51からの検知信号に基づいて当該原点位置からキャリッジ23の移動量を算出することによって、キャリッジ23の位置を算出する。
[スライドギヤ160の移動時に実施される処理]
以下、図15のフローチャート、図17のタイムチャート、及び図18のグラフを参照して、スライドギヤ160が第1ギヤ191A、192Aと噛合している状態において、スライドギヤ160を右方向8及び左方向9に沿って移動させる際に実施される処理が説明される。各処理は、制御部130のCPU131によって実行される。なお、以下の各処理は、ROM132に記憶されているプログラムをCPU131が読み出して実行してもよいし、制御部130に搭載されたハードウェア回路によって実現されてもよい。
スライドギヤ160は、記録ヘッド39のメンテナンスが実行される際に、右位置RPに移動されて、図12に示されるように、第1ギヤ191A、192Aと噛合している状態にされる(S10)。詳述すると、制御部130は、キャリッジモータ103を駆動させて、キャリッジ23を右方へ移動させる。これにより、レバー部材175の突出部175Bがキャリッジ23に押される。その結果、スライドギヤ160は、第2コイルバネ169の付勢力によって右位置RPに移動する。このとき、キャリッジ23は、図3に破線で示される第1位置に位置している。
この状態において、記録ヘッド39のメンテナンスが実行される(S20)。以下に詳述する。まず、制御部130は、給送モータ101を逆転駆動させる。これにより、給送モータ101の逆転駆動力は、図7(A)に示されるように、第2伝達部182、切替機構170(第2クラッチギヤ192、第2スライドギヤ160B、及び受けギヤ165)、及び第5伝達部185を介して、カム機構112に伝達される。その結果、記録ヘッド39の下面から離間した状態の可動部111が上方へ移動して、記録ヘッド39の下面に当接する。その際、キャップ114は、離隔位置から被覆位置に移動して、ノズル40を覆う。なお、給送モータ101の逆転駆動によって第2クラッチギヤ192が回転した結果、第2ギヤ192Bの凸部144と第1ギヤ192Aの側面148Bとが当接した状態となる。
次に、制御部130は、搬送モータ102を正転駆動させる。これにより、搬送モータ102の正転駆動力は、図6に示されるように、第1伝達部181、切替機構170(ローラギヤ180、第1スライドギヤ160A、及び第1クラッチギヤ191)、及び第4伝達部184を介して、ポンプ113に伝達される。その結果、ポンプ113が駆動されて、ノズル40からインクが吸引される。次に、制御部130は、搬送モータ102を逆転駆動させる。これにより、搬送モータ102の逆転駆動力は、正転駆動の場合と同様にしてポンプ113に伝達される。その結果、ポンプ113が大気開放される。なお、搬送モータ102の逆転駆動によって第1クラッチギヤ191が回転した結果、第1ギヤ191Aの凸部194と第2ギヤ191Bの側面198Bとが当接した状態となる。
記録ヘッド39のメンテナンスが終了した後、制御部130は、待機している(S30:No)。そして、複合機10の前面上部に設けられた操作パネル17(図1参照)がユーザに操作されることによって操作パネル17から制御部130に用紙12への印刷指令がされると、或いは複合機10と有線または無線で接続されたパーソナルコンピュータなどの外部機器(不図示)から制御部130に用紙12への印刷指令がされると(S30:Yes)、制御部130は、第1回転処理及びキャップ移動処理を並行して実行する(S40)。なお、制御部130は、回転処理として、第1回転処理と後述する第2回転処理とを実行する。
具体的には、制御部130は、図17に示されるように、搬送モータ102を正転駆動させつつ(図17のT1〜T3)、給送モータ101を逆転駆動させる(図17のT1〜T2)。搬送モータ102の正転駆動により、第1回転処理が実行され、給送モータ101の逆転駆動により、キャップ移動処理が実行される。
本実施形態では、搬送モータ102の正転駆動と給送モータ101の逆転駆動とは、同時(図17のT1)に開始されているが、搬送モータ102の正転駆動と給送モータ101の逆転駆動との開始タイミングは、同時でなくてもよい。
また、本実施形態では、搬送モータ102の正転駆動は、給送モータ101の逆転駆動の終了タイミング(図17のT2)よりも前のタイミングで終了している(図17のT3)。これは、搬送モータ102の正転駆動が、後述するスライド処理におけるキャリッジモータ103の正転駆動に影響を与えないようにするためである。なお、搬送モータ102の正転駆動の終了タイミングは、スライド処理の開始タイミング(図17のT2)よりも前のタイミングであることを条件として、給送モータ101の逆転駆動の終了タイミングと同時でもよいし当該終了タイミングよりも後でもよい。
以下、第1回転処理及びキャップ移動処理の各々について説明する。
回転処理は、クラッチギヤ190を回転させる処理である。第1回転処理は、クラッチギヤ190のうち第1クラッチギヤ191を回転させる処理である。
制御部130は、搬送モータ102をステップS20の実行時における最後の回転方向(逆回転)とは逆方向の回転となるように正転駆動させる(図17のT1〜T3)。これにより、搬送モータ102の正転駆動力は、図6に示されるように、第1伝達部181、ローラギヤ180、及び第1スライドギヤ160Aを介して、第1クラッチギヤ191の第1ギヤ191Aに伝達される。その結果、第1ギヤ191Aは、凸部194が第2ギヤ191Bの側面198Bから離れ且つ側面198Aに近づく方向へ回転する。このとき、搬送モータ102の駆動による第1ギヤ191Aの回転量は、所定量未満に抑えられる。ここで、所定量は、第2ギヤ191Bの側面198A、198B間の周方向104に沿った距離から、第1ギヤ191Aの凸部194の周方向104に沿った長さを減算した量である。これにより、第1回転処理において、第1ギヤ191Aは、凸部194が第2ギヤ191Bの側面198A、198Bと当接していない状態となるように回転される。その結果、第1ギヤ191A及び第2ギヤ191Bは、互いに空転可能な状態となる。
なお、第1ギヤ191Aの回転量は、公知の手段にて検知することができる。公知の手段としては、例えば、ロータリエンコーダが用いられる。ロータリエンコーダは、エンコーダディスクと、光学センサとを備える。エンコーダディスクは、第1ギヤ191Aまたは第1ギヤ191Aとの間で駆動力の伝達が可能なローラやギヤなどと共に回転する。光学センサは、回転するエンコーダディスクを読み取ってパルス信号を生成し、生成したパルス信号を制御部130に出力する。制御部130は、このパルス信号に基づいて第1ギヤ191Aの回転量を検知する。
また、制御部130は、第1ギヤ191Aの第2ギヤ191Bに対する相対位置を、以下のようにして検知することができる。つまり、第1回転処理の開始時には、凸部194と側面198Bとが当接している状態である。そして、制御部130は、この状態からの第1ギヤ191Aの回転量を検知することによって、凸部194と側面198Bとの周方向104に沿った距離を検知することができる。つまり、第1ギヤ191Aの第2ギヤ191Bに対する相対位置を検知することができる。
キャップ移動処理は、ステップS20において記録ヘッド39の下面に当接した状態の可動部111を下方へ移動させる処理である。制御部130は、給送モータ101を逆転駆動させる(図17のT1〜T2)。これにより、給送モータ101の駆動力は、ステップS20のときと同様に、カム機構112に伝達される。その結果、可動部111が下方へ移動して、記録ヘッド39の下面から離間する。その際、キャップ114は、被覆位置から離隔位置に移動する。なお、給送モータ101の逆転駆動によって第2クラッチギヤ192が回転した結果、第2ギヤ192Bの凸部144と第1ギヤ192Aの側面148Bとが当接した状態となる。
制御部130は、キャップ移動処理の終了後に、第2回転処理及びスライド処理を並行して実行する(S50)。具体的には、制御部130は、図17に示されるように、第2回転処理として給送モータ101を正転駆動させつつ(図17のT2〜T4)、スライド処理としてキャリッジモータ103を正転駆動させる(図17のT2〜T5)。給送モータ101の正転駆動により、第1ギヤ192A及び第2ギヤ192Bが互いに空転可能な状態となるまで、第2ギヤ192Bが回転する。キャリッジモータ103の正転駆動により、キャリッジ23が第1位置から印刷領域に向けて、つまり左方へ移動する。
本実施形態では、第2回転処理とスライド処理とは、同時に実行開始される(図17のT2)。なお、スライド処理は、第2回転処理の開始より後に実行開始されてもよい。つまり、スライド処理は、第2回転処理の開始以降に実行される。
以下、第2回転処理及びスライド処理の各々について説明する。
第2回転処理は、クラッチギヤ190のうち第2クラッチギヤ192を回転させる処理である。
制御部130は、給送モータ101をステップS20の実行時とは逆方向の回転となるように正転駆動させる(図17のT2〜T4)。これにより、給送モータ101の正転駆動力は、図7に示されるように、第2伝達部182を介して、第2クラッチギヤ192の第2ギヤ192Bに伝達される。その結果、第2ギヤ192Bは、凸部144が第1ギヤ192Aの側面148Bから離れ且つ側面148Aに近づく方向へ回転する。このとき、第1回転処理のときと同様に、給送モータ101の駆動による第2ギヤ192Bの回転量は、所定量未満に抑えられる。ここで、所定量は、第1ギヤ192Aの側面148A、148B間の周方向104に沿った距離から、第2ギヤ192Bの凸部144の周方向104に沿った長さを減算した量である。これにより、第2回転処理において、第2ギヤ192Bは、凸部144が第1ギヤ192Aの側面148A、148Bと当接していない状態となるように回転される。その結果、第1ギヤ192A及び第2ギヤ192Bは、互いに空転可能な状態となる。
なお、第2クラッチギヤ192において、第2ギヤ192Bの回転量、及び第2ギヤ192Bの第1ギヤ192Aに対する相対位置は、第1クラッチギヤ191の場合と同様に、公知の手段にて検知することができる。
スライド処理は、スライドギヤ160を右位置RPから左方へ移動させる処理である。制御部130は、キャリッジモータ103を正転駆動させて、キャリッジ23を、図3に破線で示される第1位置から、図3に二点鎖線で示される第2位置に向けて移動させる(図17のT2〜T5)。つまり、キャリッジ23は、第1位置から左方へ移動される。これにより、スライドギヤ160は、第1コイルバネ168の付勢力によって左位置LPへ向けて移動する。なお、第1回転処理によって第1ギヤ191Aが第2ギヤ191Bに対して空転可能となっており、第2回転処理によって第1ギヤ192Aが第2ギヤ192Bに対して空転可能となっている。そのため、スライドギヤ160の移動は、円滑に実行される。また、本実施形態では、キャリッジモータ103の正転駆動は、タイミングT2において開始されているが、タイミングT2よりも後に開始されてもよい。
制御部130は、スライド処理において、キャリッジ23を加減速させる。制御部130は、第1加速処理、減速処理、及び第2加速処理の順序で実行する。以下、図18(A)が参照されつつ、第1加速処理、減速処理、及び第2加速処理が説明される。
第1加速処理は、第1位置P1に位置するキャリッジ23を第1速度V1へ加速させつつ左方へ移動させる処理である。本実施形態において、第1速度V1は、キャリッジ23が出すことができる最高速度である。本実施形態では、第1位置P1と第3位置P3との間の位置P1Aにおいて、キャリッジ23は第1速度V1に達している。
制御部130は、キャリッジモータ103の回転速度を増加させることによって、キャリッジ23を加速させる。キャリッジモータ103の回転速度の増加は、例えばキャリッジモータ103がPWM制御によって駆動されている場合、デューティ比を増加させることによって実行される。キャリッジ23の加速度は、キャリッジモータ103の性能に基づいて決定される。なお、本実施形態では、第1加速度並びに後述する減速処理及び第2加速度におけるキャリッジ23の加速度は一定であるが、当該加速度は一定でなくてもよい。
減速処理は、第1加速処理において左方へ移動させられて第1位置P1と第3位置P3の間に位置するキャリッジ23を、第3位置P3において第2速度V2となるように減速させつつ左方へ移動させる処理である。第2速度V2は、第1速度V1よりも低速の速度であり、本実施形態ではゼロである。
制御部130は、キャリッジモータ103の回転速度を減少させることによって、キャリッジ23を減速させる。キャリッジモータ103の回転速度の減少は、例えばキャリッジモータ103がPWM制御によって駆動されている場合、デューティ比を減少させることによって実行される。キャリッジ23の減速度(負の加速度)は、キャリッジモータ103の性能に基づいて決定される。本実施形態では、位置P1Aと第3位置P3との間の位置P1Bにおいて、キャリッジ23の減速が開始されている。
なお、本実施形態では、キャリッジ23は位置P1A、P1Bの間において第1速度V1で等速移動しているが、位置P1A、P1B間の距離やキャリッジ23の加速性能によっては、キャリッジ23は図18(A)に二点鎖線で示されるように第1速度V1に達した瞬間に減速を開始してもよい。
第2加速処理は、第3位置P3に位置するキャリッジ23を第3速度V3へ加速させつつ左方へ移動させる処理である。第3速度V3は、図18(A)に示されるように、第2速度V2よりも高速の速度であり、本実施形態では第1速度V1と等しい。制御部130は、第1加速処理のときと同様にして、キャリッジ23を加速させる。
制御部130は、第2加速処理の後、第3速度V3で左方へ移動するキャリッジ23が、図3に二点鎖線で示される第2位置P2へ近づくと、減速処理のときと同様にして、キャリッジ23が第2位置P2において速度ゼロとなるように、キャリッジ23を減速させる。これにより、キャリッジ23は、第2位置P2において停止する。
キャリッジ23が第2位置P2に到達すると、制御部130は、記録ヘッド39を制御して、フラッシングを実行する(S60)。詳細には、制御部130は、記録ヘッド39を制御してノズル40からインク滴を吐出させる。吐出されたインク滴は、廃インクタンク120に収容されたインク吸収体に着弾されて、インク吸収体に吸収される。
フラッシング(S60)の後、制御部130は、給送処理を実行する(S70)。制御部130は、給送処理において、給送モータ101を正転駆動させる。これにより、第1給送ローラ25が正回転して、給送トレイ20に支持された用紙12が搬送路65へ給送される。
搬送路65へ給送された用紙12は、搬送部54と当接する。用紙12が搬送部54と当接するタイミングにおいて、搬送モータ102は逆転駆動または停止されている。これにより、用紙12は搬送部54と当接することによって斜行矯正される。
次に、制御部130は、搬送処理を実行する(S80)。制御部130は、搬送処理において、搬送モータ102を逆転駆動または停止から正転駆動に切り替える。これにより、搬送ローラ60が正回転し、用紙12は搬送部54に挟持されて記録部24の直下へ向けて搬送方向16に搬送される。
次に、制御部130は、印刷処理を実行する(S90)。印刷処理が開始されると、制御部130は、図18(A)に一点鎖線で示されるように、第2位置P2のキャリッジ23を第4速度V4へ加速させつつ右方へ移動させる。また、制御部130は、キャリッジ23を第4速度V4で右方へ移動させつつ、記録ヘッド39を制御してノズル40からインク滴を吐出する。第4速度V4は、本実施形態においてインク滴の吐出が適正に実行されるように第3速度V3よりも低速に設定されている。
制御部130は、第4速度V4で右方へ移動するキャリッジ23を、印刷領域よりも右方の位置で停止させる。その後、制御部130は、搬送モータ102を所定量正転駆動させて、用紙12を改行相当分だけ搬送させる。
以降、制御部130は、印刷処理において、キャリッジ23を右方向8または左方向9へ移動させつつ記録ヘッド39のノズル40からインク滴を吐出する記録動作と、搬送モータ102を所定量正転駆動させて、用紙12を改行相当分だけ搬送させる搬送動作とを交互に実行する。これにより、用紙12に画像が記録される。
用紙12への印刷完了後、制御部130は、排出処理を実行する(S100)。制御部130は、排出処理において、搬送モータ102を正転駆動させる。これにより、排出ローラ62が正回転して、用紙12は排出部55に挟持されて搬送方向16に搬送される。その結果、用紙12は、排出トレイ21に排出される。
なお、MPトレイ31に支持された用紙12に画像を記録するためには、制御部130は、ステップS60とステップS70との間において、キャリッジ23を右方へ移動させて、スライドギヤ160を左位置LPから中央位置MPへ移動させる処理を実行すればよい。この場合、次の給送処理(S70)では、給送トレイ20に支持された用紙12に画像を記録する場合とは異なり、給送モータ101は逆転駆動される。これにより、リフタ38が離間位置へ向けて回動されるとともに第2給送ローラ35が正回転される。その結果、MPトレイ31に支持された用紙12が搬送路65へ給送される。
[本実施形態の作用効果]
上記の実施形態によれば、第1コイルバネ168の付勢力によって左方向9へ移動するスライドギヤ160及びレバー部材175の最小加速度は、第1加速処理におけるキャリッジ23の加速度よりも大きい。そのため、第1加速処理においてキャリッジ23が第1位置P1から第3位置P3へ向けて移動するとき、第1コイルバネ168の付勢力によって左方向9へ移動する突出部175Bは、キャリッジ23に当接しつつ移動する。これにより、付勢力の強いコイルバネを使用することができるため、スライドギヤ160及びレバー部材175の動作を安定させることができる。
また、キャリッジ23は、第1位置P1及び第3位置P3の間において第1加速処理により第1速度V1に加速された後、減速処理によって第2速度V2に減速される。第1速度V1は、第2速度V2よりも高速である。よって、第1加速処理により、レバー部材175及びスライドギヤ160を高速で移動させることができる。その結果、スライドギヤ160と受けギヤ165、166、167との間の噛合及び離間の切替、または、スライドギヤ160が噛合する受けギヤ165、166、167の切替、つまり駆動伝達の切替を高速で実行することができる。また、減速処理により、突出部175Bがガイド部材173の開口177の左端部に衝突するときのキャリッジ23の速度が、第2速度V2に抑えられる。その結果、当該衝突のときの衝突音を小さくすることができる。
また、キャリッジ23は、第3位置P3及び第2位置P2の間において第2加速処理によって第2速度V2よりも高速に加速される。これにより、キャリッジ23を高速で第3位置P3から第2位置P2へ移動させることができる。その結果、キャリッジ23が第3位置P3及び第2位置P2の間に位置する場合に実行される動作、例えば、第2位置P2で実行されるフラッシングの実行開始タイミングを早めることができる。それに伴い、当該フラッシングの後、キャリッジ23が第2位置P2から第3位置P3へ移動する過程において実行される記録ヘッド39によるインク滴の吐出の実行開始タイミングを早めることができる。また、キャリッジ23が第2加速処理によって第3位置P3から第2位置P2へ移動する過程において、当該インク滴の吐出が実行される場合、当該インク滴の吐出の実行開始タイミングを早めることができる。
また、上記の実施形態によれば、突出部175Bがガイド部材173の開口177の左端部に衝突するときのキャリッジ23の速度が、減速処理によってゼロに抑えられる。これにより、当該衝突のときの衝突音を第2速度V2がゼロよりも大きい場合よりも更に小さくすることができる。
また、上記の実施形態によれば、キャリッジ23は、第1位置P1及び第3位置P3の間において第1加速処理によって最高速度に加速される。これにより、レバー部材175及びスライドギヤ160を更に高速で移動させることができる。
また、上記の実施形態によれば、用紙12に対する画像記録時においてキャリッジ23は第3速度V3よりも遅い第4速度V4で移動するため、記録ヘッド39によるインク滴の吐出時におけるキャリッジ23の移動速度が速すぎることによる用紙12に記録される画像の画質の悪化を低減することができる。
また、上記の実施形態によれば、突出部175Bは、右方向8へ移動するキャリッジ23に押されることによって傾斜面172に沿って案内されて縁部177Aから縁部177Bへ向けて移動する。
その後、キャリッジが左方向9へ移動すると、突出部175Bは、第1コイルバネ168の付勢力によって左方向9へ移動する。突出部175Bは、左方向9へ移動するキャリッジ23が第3位置P3に到達したときに傾斜面171における右端部に衝突する。このときの衝突音は、上記の実施形態であることにより低減される。
その後、キャリッジ23が第3位置P3よりも左方向9へ移動すると、突出部175Bは、第1コイルバネ168の付勢力によって傾斜面171に沿って案内されて縁部177Bから縁部177Aへ向けて移動する。これにより、突出部175Bは、縁部177Aに衝突する。ここで、傾斜面171に沿って案内される突出部175Bの移動速度は、キャリッジ23が第1位置P1から第3位置P3へ移動しているときの突出部175Bの移動速度よりも低い。そのため、突出部175Bが縁部177Aに衝突するときの衝突音は小さく抑えられる。また、突出部175Bが傾斜面171に衝突するタイミングと、突出部175Bが縁部177Aに衝突するタイミングとは近いため、人間の耳には、2つの衝突音が1つに聞こえる。そして、各衝突音は上述したように小さく抑えられるため、1つに聞こえる衝突音も小さく抑えることができる。
また、第1コイルバネ168の付勢力によって左方向9へスライドするスライドギヤ160が受けギヤ165、166、167などに引っ掛かって止まると、レバー部材175も止まる。すると、左方向9へ移動するキャリッジ23がレバー部材175から離間する。その後、スライドギヤ160の引っ掛かりが解消されて、スライドギヤ160及びレバー部材175が第1コイルバネ168の付勢力によって左方向9へ移動すると、突出部175Bはガイド部材173に衝突して、大きな衝突音が発生する。
しかし、上記の実施形態によれば、第1ギヤ192Aは、凸部144と側面148A、148Bとの間の隙間の分だけ回転自在となり、第1ギヤ191Aは、凸部194と側面198A、198Bとの間の隙間の分だけ回転自在となる。その結果、スライドギヤ160をスライドさせて第1ギヤ191A、192Aと噛合させる動作、及び第1ギヤ191A、192Aと噛合しているスライドギヤ160をスライドさせて第1ギヤ191A、192Aから離間させる動作を円滑に実行することができる。よって、上述したような引っ掛かりが発生する可能性を低くすることができる。その結果、突出部175Bがガイド部材173に衝突することによる大きな衝突音が発生する可能性を低くすることができる。
[変形例1]
上記の実施形態では、搬送モータ102からポンプ113への駆動力の伝達と、給送モータ101からカム機構112、第1給送ローラ25、及び第2給送ローラ35への駆動力の伝達は、いずれも駆動力伝達機構70を介して行われていた。駆動力伝達機構70では、第1スライドギヤ160Aと第2スライドギヤ160Bとは互いに当接しており、両ギヤ160A、160Bの移動は、互いに関連していた。つまり、搬送モータ102からポンプ113への駆動力の伝達と、給送モータ101からカム機構112、第1給送ローラ25、及び第2給送ローラ35への駆動力の伝達は、互いに関連していた。
しかし、搬送モータ102からポンプ113への駆動力の伝達と、給送モータ101からカム機構112、第1給送ローラ25、及び第2給送ローラ35への駆動力の伝達は、互いに独立していてもよい。また、複合機10は、上記の実施形態における駆動力伝達機構70のうち、搬送モータ102からポンプ113へ駆動力を伝達する機構のみを備えていてもよい。また、複合機10は、上記の実施形態における駆動力伝達機構70のうち、給送モータ101からカム機構112、第1給送ローラ25、及び第2給送ローラ35へ駆動力を伝達する機構のみを備えていてもよい。
この場合、搬送モータ102からポンプ113へ駆動力を伝達する機構141は、図16(A)に示される構成である。つまり、機構141は、給送モータ101からカム機構112、第1給送ローラ25、及び第2給送ローラ35へ駆動力を伝達する機構が駆動力伝達機構70から省かれた構成である。なお、図16(A)は、第1スライドギヤ160Aが右位置RPに位置する状態である。
また、給送モータ101からカム機構112、第1給送ローラ25、及び第2給送ローラ35へ駆動力を伝達する機構142は、図16(B)に示される構成である。つまり、機構142は、搬送モータ102からポンプ113へ駆動力を伝達する機構が駆動力伝達機構70から省かれた構成である。なお、図16(B)は、第2スライドギヤ160Bが右位置RPに位置する状態である。また、図16(B)では、レバー部材175の本体部175Aは、第2スライドギヤ160Bと当接している。
[その他の変形例]
上記の実施形態では、第1速度V1はキャリッジ23が出すことができる最高速度であったが、第1速度V1は当該最高速度よりも低速であってもよい。
上記の実施形態では、第2速度V2はゼロであったが、図18(B)に示されるように、第2速度V2は、第1速度V1よりも低速の速度であればゼロでなくてもよい。
上記の実施形態では、第3速度V3は第1速度V1と等しかったが、図18(C)に示されるように、第3速度V3は第1速度V1よりも低速でもよい。また、第1速度V1がキャリッジ23が出すことができる最高速度よりも低速である場合、図示されていないが第3速度V3は第1速度V1よりも高速でもよい。
上記の実施形態では、第2加速処理の開始タイミングは、図18(A)に示されるように、キャリッジ23が位置P3にあるときであった。しかし、第2速度V2がゼロでない場合、第2加速処理の開始タイミングは、図18(D)に示されるように、キャリッジ23が位置P3から左方へ所定距離移動して位置P4にあるときであってもよい。
上記の実施形態では、第4速度V4は、インク滴の吐出が適正に実行されるように第3速度V3よりも低速に設定されていた。しかし、第4速度V4は、インク滴の吐出が適正に実行されることを条件として、第3速度V3以上に設定されていてもよい。また、第1速度V1がキャリッジ23が出すことができる最高速度よりも低速である場合、第4速度V4は、インク滴の吐出が適正に実行されることを条件として、第1速度V1よりも高速に設定されていてもよい。また、第4速度V4は、インク滴の吐出が適正に実行されることを条件として、当該最高速度に設定されていてもよい。
上記の実施形態では、第2加速処理によってキャリッジ23が左方へ移動された後、フラッシングが実行されていたが、フラッシングが実行されなくてもよい。例えば、第2加速処理によってキャリッジ23が第2位置P2に移動された後、フラッシングが実行されないまま、給送処理(S70)が実行されてもよい。また、例えば、第2加速処理の実行よりも前に給送処理(S70)及び搬送処理(S80)が実行され、その後、印刷処理の記録動作におけるキャリッジ23の移動として、第2加速処理が実行されてもよい。
上記の実施形態では、当接部は、凹部198、199、148、149の間に1つずつ挿入される凸部194、195、144、145であった。しかし、当接部の形状は、上記実施形態における凸部194、195、144、145の形状(図14に示されるような形状)に限らない。例えば、第1ギヤ191Aの右面193から右方向8に突出し且つ周方向104に間隔を空けて設けられた2つの凸部が、凹部198に挿入されていてもよい。この場合、当該2つの凸部が、当接部の一例である。当該2つの凸部の一方が側面198Aと当接可能であり、当該2つの凸部の他方が側面198Bと当接可能である。そして、当該2つの凸部の一方における側面198Aとの当接箇所、及び当該2つの凸部の他方における側面198Bとの当接箇所の周方向104の距離が、側面198A、198Bの間の周方向104の距離よりも短い。
上記の実施形態では、レバー部材175は、第1スライドギヤ160Aの右方に配置されていたが、他の配置位置でもよい。例えば、レバー部材175は、第2スライドギヤ160Bと第2コイルバネ169との間に配置されていてもよい。
上記の実施形態では、スライド機構150は、2つのコイルバネ168、169を備えていたが、1つのコイルバネのみを備えていてもよい。例えば、スライドギヤ160がレバー部材175の右方に配置されており、1つのコイルバネがスライドギヤ160に右方から当接してスライドギヤ160及びレバー部材175を左方へ付勢していてもよい。
10・・・複合機(インクジェット記録装置)
12・・・用紙(シート)
23・・・キャリッジ
39・・・記録ヘッド
65・・・搬送路
101・・・給送モータ(第2モータ)
103・・・キャリッジモータ(第1モータ)
130・・・制御部
160・・・スライドギヤ
165、166、167・・・受けギヤ(伝達ギヤ)
168・・・第1コイルバネ(付勢部材)
170・・・切替機構(駆動切替機構)
173・・・ガイド部材
174・・・支軸
175・・・レバー部材
175A・・・本体部(軸受)
175B・・・突出部(レバーアーム)
177・・・開口(長孔)
192・・・第2クラッチギヤ(駆動ギヤ)

Claims (11)

  1. 搬送路を搬送されるシートへインク滴を吐出する記録ヘッドと、
    第1モータと、
    第2モータと、
    上記記録ヘッドを搭載しており、上記第1モータから駆動力を付与されることによって第1方向及び当該第1方向と逆方向の第2方向に沿って移動可能なキャリッジと、
    上記キャリッジの位置を検知する検知部と、
    上記搬送路よりも上記第1方向に設けられた駆動切替機構と、
    上記第1モータ及び上記第2モータを制御する制御部と、を備え、
    上記駆動切替機構は、
    上記第1方向に沿った支軸によって上記第1方向及び上記第2方向へスライド可能に支持された軸受、及び当該軸受から上記キャリッジの移動領域へ突出したレバーアームを有するレバー部材と、
    上記第2モータから駆動力を付与されることによって上記第1方向に沿った軸周りに回転する駆動ギヤと、
    上記支軸によって上記第1方向及び上記第2方向へスライド可能に支持されており、上記レバー部材のスライドに追随してスライド可能に配置されており、上記駆動ギヤと噛合しているスライドギヤと、
    上記スライドギヤのスライド位置に応じて上記スライドギヤと噛合及び離間可能な伝達ギヤと、
    上記スライドギヤ及び上記レバー部材を上記第2方向へ付勢する付勢部材と、
    上記第1方向に延びており且つ上記レバーアームが挿入される長孔を有しており、上記レバーアームを当該長孔に沿って案内するガイド部材と、を備え、
    上記キャリッジは、上記搬送路よりも上記第1方向の第1位置、上記搬送路よりも上記第2方向の第2位置、及び当該第1位置及び当該第2位置の間の第3位置に移動可能であり、
    上記キャリッジが上記第1位置に位置するとき、上記レバーアームは、上記キャリッジによって上記第1方向へ押されることによって、上記長孔の上記第2方向の端部よりも上記第1方向に位置しており、
    上記キャリッジが上記第3位置に位置するとき、上記レバーアームは、上記長孔の上記第2方向の端部及び上記キャリッジに当接しており、
    上記制御部は、
    上記第1位置に位置する上記キャリッジを、上記第1モータの回転速度を増加させることによって、第1速度へ加速しつつ上記第2方向へ移動させる第1加速処理と、
    上記第1加速処理によって移動させられて上記第1位置及び上記第3位置の間に位置する上記キャリッジを、上記第1モータの回転速度を減少させることによって、上記第3位置において上記第1速度よりも低速の第2速度となるように減速させる減速処理と、
    上記減速処理によって移動させられて上記第3位置または上記第3位置よりも上記第2方向に位置する上記キャリッジを、上記第1モータの回転速度を増加させることによって、上記第2速度よりも高速の第3速度へ加速しつつ上記第2方向へ移動させる第2加速処理と、を実行し、
    上記付勢部材の付勢力によって上記第2方向へ移動する上記スライドギヤ及び上記レバー部材の最小加速度は、上記第1加速処理における上記キャリッジの加速度よりも大きいインクジェット記録装置。
  2. 上記第2速度はゼロである請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 上記第1速度は、上記キャリッジが出すことが可能な最高速度である請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 上記第1速度は、上記第3速度と等しい請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  5. 上記記録ヘッドは、上記キャリッジが上記第2位置及び上記第3位置の間を第4速度で移動しているときにインク滴を吐出するものであり、
    上記第4速度は、上記第3速度よりも低速である請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  6. 上記レバー部材は、上記支軸を中心として回転可能であり、
    上記ガイド部材は、
    上記長孔を区画して上記第1方向に延びる第1縁部に形成されており、上記スライドギヤが上記伝達ギヤと噛合する位置に上記レバーアームを保持する保持部と、
    上記第1縁部における上記保持部よりも上記第1方向に形成されており、上記第1方向へ向かって上記第1縁部と対向する第2縁部へ向けて傾斜する第1傾斜面と、
    上記第2縁部における上記第2方向の端部に形成されており、上記第2方向へ向かって上記第1縁部へ向けて傾斜する第2傾斜面と、を備え、
    上記キャリッジが上記第3位置に位置するとき、上記レバーアームは、上記第2傾斜面における上記第1方向の端部及び上記キャリッジに当接している請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  7. 上記駆動ギヤは、
    上記スライドギヤと噛合可能な第1ギヤと、
    上記第1ギヤと同軸で回転する第2ギヤと、
    上記第1ギヤまたは上記第2ギヤの一方に、周方向に沿って間隔を空けて設けられた第1面及び第2面と、
    上記第1ギヤまたは上記第2ギヤの他方に設けられ、上記周方向において上記第1面及び上記第2面の間に位置し、上記第1面及び上記第2面に当接可能な第1当接部と、を備え、
    上記第1当接部における上記第1面との当接箇所及び上記第2面との当接箇所の上記周方向の距離は、上記第1面及び上記第2面の間の上記周方向の距離よりも短い請求項1から6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  8. 上記制御部は、
    上記第2モータを制御して、上記第1当接部が上記第1面及び上記第2面のいずれとも当接していない状態となるように上記駆動ギヤを回転させる回転処理を実行し、
    上記回転処理の実行後に、上記第1加速処理を実行する請求項7に記載のインクジェット記録装置。
  9. 上記伝達ギヤは、
    上記スライドギヤと噛合可能な第3ギヤと、
    上記第3ギヤと同軸で回転する第4ギヤと、
    上記第3ギヤまたは上記第4ギヤの一方に、周方向に沿って間隔を空けて設けられた第3面及び第4面と、
    上記第3ギヤまたは上記第4ギヤの他方に設けられ、上記周方向において上記第3面及び上記第4面の間に位置し、上記第3面及び上記第4面に当接可能な第2当接部と、を備え、
    上記第2当接部における上記第3面との当接箇所及び上記第4面との当接箇所の上記周方向の距離は、上記第3面及び上記第4面の間の上記周方向の距離よりも短い請求項1から6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  10. 上記制御部は、
    上記第2モータを制御して、上記第2当接部が上記第3面及び上記第4面のいずれとも当接していない状態となるように上記伝達ギヤを回転させる回転処理を実行し、
    上記回転処理の実行後に、上記第1加速処理を実行する請求項9に記載のインクジェット記録装置。
  11. 上記伝達ギヤは、上記第1方向に沿って複数が並列に配置されており、
    上記伝達ギヤの各々は、異なる上記スライド位置の上記スライドギヤと噛合する請求項1から10のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
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