JP2016189718A - 乳化油脂、その製造方法および使用方法 - Google Patents

乳化油脂、その製造方法および使用方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016189718A
JP2016189718A JP2015071114A JP2015071114A JP2016189718A JP 2016189718 A JP2016189718 A JP 2016189718A JP 2015071114 A JP2015071114 A JP 2015071114A JP 2015071114 A JP2015071114 A JP 2015071114A JP 2016189718 A JP2016189718 A JP 2016189718A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bread
composition
oil
mass
cake
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015071114A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6565007B2 (ja
Inventor
陽子 鶴田
Yoko Tsuruta
陽子 鶴田
一頼 松元
Kazuyori Matsumoto
一頼 松元
田中 克幸
Katsuyuki Tanaka
克幸 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Okuno Chemical Industries Co Ltd
Original Assignee
Okuno Chemical Industries Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Okuno Chemical Industries Co Ltd filed Critical Okuno Chemical Industries Co Ltd
Priority to JP2015071114A priority Critical patent/JP6565007B2/ja
Publication of JP2016189718A publication Critical patent/JP2016189718A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6565007B2 publication Critical patent/JP6565007B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Edible Oils And Fats (AREA)
  • Bakery Products And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Abstract

【課題】パン、ケーキ類のボリュームアップ効果のある製菓・製パンなどに用いられる乳化油脂を提供する。
【解決手段】組成物の全質量を基準として、(a)常温で液状の油脂を5〜80質量%、(b)ステアロイル乳酸ナトリウムを0.1〜5質量%、(c)ステアロイル乳酸ナトリウム以外のHLB値が8以上の乳化剤を0.1〜5質量%含有することを特徴とする組成物。本発明によれば、より少ないSSL量でパン、ケーキ類のボリュームアップ、食感改善が可能になる。
【選択図】図1

Description

本発明は、製菓または製パンなどに用いる乳化油脂およびそれを用いたパンまたはケーキに関する。より詳しくはステアロイル乳酸ナトリウムを含有する乳化油脂およびそれを用いたパンまたはケーキに関する。
ステアロイル乳酸ナトリウム(Sodium stearoyl lactylate、Sodium stearoyl-2-lactylate、SSL〔CAS 番号:25383-99-7〕)は、パンやケーキなどのボリュームアップ、老化抑制などに用いられている。
しかしながら、SSLは水には溶けにくく、分散させるには温水に溶解させるか、油脂を使用する必要があった。
近年、油脂に、SSLおよびそれ以外の乳化剤を溶解して得られる油脂組成物を水含量が30質量%以上のケーキ類の食感をソフトで口どけの良いものにするケーキ用品質改良剤が開発されている(特許文献1)。この品質改良剤の場合、菜種油が90%含まれ、親水性が低く、製造時に高温で加熱溶解する必要があるなどの問題があった。
そこで、より少量で、食感改良、老化抑制およびボリュームアップ効果があり、製菓または製パンなどに用いることができるSSL含有乳化油脂の開発が望まれていた。
特開2014−42457号公報
パン、ケーキ類の食感改良、老化抑制およびボリュームアップ効果のある製菓・製パンなどに用いられる乳化油脂、その製造方法およびそれを用いたパンまたはケーキを提供する。
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)組成物の全質量を基準として、(a)常温で液状の油脂を5〜80質量%、(b)ステアロイル乳酸ナトリウムを0.1〜5質量%、(c)ステアロイル乳酸ナトリウム以外のHLB値が8以上の乳化剤を0.1〜5質量%含有することを特徴とする組成物。
(2)組成物がパンおよび/またはケーキ用品質改良用組成物である、(1)の組成物。
(3)糖類および/または糖アルコールならびに水を混合する工程と、該混合物を低速混合しながら30℃〜70℃まで加熱する工程と、少なくとも1種のHLB値が8より大きい乳化剤およびステアロイル乳酸ナトリウムを30℃〜70℃に加熱した該混合物に添加し、溶解する工程と、常温で液状の油脂を30℃〜70℃に加熱する工程と、該溶解物を該常温で液状の油脂とを混合する工程とを含む、(1)または(2)の組成物の製造方法。
(4)(1)または(2)に記載の組成物を用いてパンおよび/またはケーキを改質する方法。
(5)(1)または(2)に記載の組成物を用いてパンおよび/またはケーキを製造する方法
(6)(1)または(2)に記載の組成物を用いて製造されたパンまたはケーキ。
(7)(1)または(2)に記載の組成物を用いて製造された食品。
本発明によれば、より少ないSSL量でパン、ケーキ類のボリュームアップが可能になる。
図1は、本発明に係る組成物がパンケーキのボリュームに与える影響を示す図である。
本発明によれば、(a)常温で液状の油脂、(b)ステアロイル乳酸ナトリウム、(c)ステアロイル乳酸ナトリウム以外のHLB値が8より大きい乳化剤を含有することを特徴とする組成物が提供される。
(a)常温で液状の油脂としては、食用に適し、常温で液状であれば特に制限されないが、例えば、サラダ油、白絞油、コーン油、大豆油、ごま油、菜種油(キャノーラ油)、こめ油(米ヌカ油)、糠油、椿油、サフラワー油 (ベニバナ油)、ヤシ油(パーム核油)、綿実油、ひまわり油、エゴマ油(荏油)、アマニ油、オリーブオイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボカドオイル、ヘーゼルナッツオイル、ウォルナッツオイル、グレープシードオイル、マスタードオイル、レタス油、魚油、鯨油、鮫油および肝油ならびにそれらの組合せなどが挙げられるが、これらに限られない。また、これらのエステル交換油であってもよく、上記油脂を2以上組み合わせて使用してもよい。
常温で液状の油脂の組成物中の含有量としては、組成物全体の質量を基準として5質量%〜80質量%が好ましく、より好ましくは20質量%〜70質量%である。
(b)ステアロイル乳酸ナトリウム(Sodium stearoyl lactylate、Sodium stearoyl-2-lactylate、SSL〔CAS 番号:25383-99-7〕)としては、純粋な化合物であってもよく、ステアロイル乳酸類のナトリウム塩を主成分とし、これとその関連酸類、およびそれらのナトリウム塩との混合物であってもよい。SSLの一般的な製造方法は、ステアリン酸、乳酸、水酸化ナトリウムの混合水溶液を減圧下で加熱濃縮しながら、ステアリン酸と乳酸のエステル化反応と、ナトリウムによる酸の中和反応を行った後、蒸留や晶析などは行わず、反応液をそのまま冷却し、フレーク状、粉末状、あるいはビーズ状にするものである。したがって、SSLは単一な化合物ではなく、ステアロイル乳酸類のナトリウム塩を主成分とし、これとその関連酸類、及びそれらのナトリウム塩との混合物と定義されているが、これらも本発明に使用できる。
SSLは、小麦粉中の蛋白であるグルテンと複合体を形成する。これにより、グルテン網が改良されて、パン生地が強化・安定化するだけでなく、伸展性・弾力性・ガス保持力も向上し、また水分保持力の増加により粘着性の少ない生地となる。このパン生地の改良により、パンの比容積が増大するだけでなく、ケービング現象(パン内部の空洞化)も防止出来る。クラムがソフトになる効果もある。さらには、パンの内相は、気泡膜が薄くて光沢のある、きめ細かなスダチ模様となる。また、SSLは小麦粉や米粉中の澱粉とも複合体を形成する。これにより、α化澱粉の老化が抑制される事により、軟らかく、口溶けの良いパンとなる。
本発明の組成物中のステアロイル乳酸ナトリウムの含有量としては、組成物全体の質量を基準として0.1質量%〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.5質量%〜3質量%である。
(c)ステアロイル乳酸ナトリウム以外のHLB値が8より大きい乳化剤とは、SSL以外の乳化剤でHLB値が8より大きいものをいう。
本発明においては、HLB値が8より大きい乳化剤を使用する。HLBとは、Hydrophile-Lipophile Balanceの略であり、親水親油バランスを表す。HLB値は0から20までの値を取り、0に近いほど親油性が高く20に近いほど親水性が高くなる。
かかる乳化剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられ、グリセリンの重合度が4〜12のポリグリセリンモノラウリン酸エステル、ポリグリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンの重合度が3〜12のポリグリセリンモノオレイン酸エステルおよびポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウリン酸エステル(ポリソルベート20)、およびポリオキシエチレン(20)ソルビタンオレイン酸エステル(ポリソルベート80)が好ましく用いられる。
ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルは、グリセリン単位が2〜15、好ましくは5〜10のポリグリセリンとリシノール酸の縮合度が2〜10、好ましくは3〜6の縮合リシノレートとのエステルであるが、本発明の乳化剤として用いることができる。
本発明の組成物においては、乳化剤としてHLB値の異なる2種類以上の乳化剤を用いることができる。これにより、より精密にHLB値を調整することができる。例えば、デカグリセロールモノエステル(HLB13.4)およびテトラグリセロールモノエステル(HLB8.8)を組み合わせて用いることができる。この場合の低い方のHLB値には制限はなく、低い方のHLB値が8以下であってもよい。
本発明においては、ステアロイル乳酸ナトリウム以外の乳化剤全体のHLB値が8よりも大きいという特徴がある。これにより、HLB値が8以下の乳化剤を用いる場合に比べ、より親水性が高まる。
本発明の組成物は糖類もしくは糖アルコールまたはそれらの組合せを含んでいてもよい。本発明の組成物に使用し得る糖類としては、例えば、グルコース、キシロース、フルクトース、フラクトース、マルトース、トレハロース、マンノース、ラクトース、スクロース、アラビノース、ガラクトース、異性化糖、水飴、オリゴ糖類などが挙げられるが、これらに限られない。本発明の組成物に使用し得る糖アルコールとしては、例えば、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、オリゴ糖アルコール、イソマルト、還元水飴などが挙げられるが、これらに限られない。
本発明の組成物は、糖類および/または糖アルコールならびに水を混合する工程と、該混合物を低速混合しながら30℃〜70℃まで加熱する工程と、少なくとも1種のHLB値が8より大きい乳化剤およびステアロイル乳酸ナトリウムを30℃〜70℃に加熱した該混合物に添加し、溶解する工程と、常温で液状の油脂を30℃〜70℃に加熱する工程と、該溶解物を該常温で液状の油脂とを混合する工程とを含む製造方法により製造される。
糖類および/または糖アルコールならびに水を混合して加熱する工程は、好ましくは30℃〜70℃であり、より好ましくは40℃〜65℃である。
溶解物と常温で液状の油脂を混合して総量1000gの組成物を得る工程の一例
溶解物を50〜55℃に保持し、高速回転させながら混合物に常温で液状の油脂を少量ずつ添加する。この間50℃〜60℃に保持する。その後8000〜12000rpmで10〜30分間混合し、その後室温まで放冷する。
本発明において、「パン」とは、一般的にパンに分類され、膨らませる工程を含むものをいい、例えば、あんパン、ジャムパン、メロンパン、クリームパン、チョコレートパン、レーズンパン、味噌パン、蒸しパン、コロネ、かにぱん、甘食、ぼうしパン、ウグイスパン、コッペパン、バターロール、食パン、米粉パン、乾パン、保存パン、堅パン、揚げパン、カレーパン、饅頭、ナン、ベーグル、シナモンロール、マフィン、ピザ、デニッシュ、クロワッサン、ブリオッシュなどが含まれるがこれらに限られない。
本発明において、「ケーキ」とは、例えば、スポンジケーキ、ロールケーキ、ブッセ、シフォンケーキ、パウンドケーキ、マドレーヌ、バウムクーヘン、カステラ、タルト、蒸しケーキ、パンケーキ、ホットケーキなどが挙げられるが、これらに限られない。
本発明の組成物は、パンおよび/またはケーキの品質改良作用を阻害しない限り、抗菌作用を奏する既存の抗菌物質(以下、「日持向上成分」ともいう)を含有していてもよい。日持向上成分としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、酢酸、酢酸ナトリウム、グリシン、卵白リゾチーム、およびその他の成分、ならびにそれらの組み合せが挙げられる。日持向上成分の含有量は、当業者が適宜設定することができる。本発明の組成物に日持向上成分を組み合わせることによって、それぞれが本来有する日持向上作用を一層向上させ得る。したがって、例えば、食品中のSSLおよび日持向上成分の含有量を減らすことができ、食品素材に使用した場合、食品本来の風味への影響を最小限に抑えることができる。
上記日持向上成分として使用され得るグリセリン脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、およびデカグリセリンと脂肪酸とのエステル結合した化合物ならびにそれらの組合せが挙げられる。好ましくは、脂肪酸の炭素数が6〜16のモノグリセリン脂肪酸エステルおよびジグリセリン脂肪酸エステル、より好ましくは、脂肪酸の炭素数が8〜14のモノグリセリン脂肪酸エステルおよびジグリセリン脂肪酸エステルである。モノグリセリン脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、カプリル酸モノグリセリド、カプリン酸モノグリセリド、およびラウリン酸モノグリセリドが挙げられる。ジグリセリン脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、ラウリン酸ジグリセリド、ミリスチン酸ジグリセリド、およびカプリン酸ジグリセリドが挙げられる。
その他の成分としては、特に限定されないが、例えば、オレガノ抽出物、カラシ抽出物、カンゾウ抽出物、クローブ抽出物、クワ抽出物、チャ抽出物、リンゴ抽出物、シソ抽出物、ショウガ抽出物、セイヨウワサビ抽出物、セージ抽出物、トウガラシ抽出物、ニンニク抽出物、ピメンタ抽出物、ブドウ抽出物、プロポリス抽出物、ペパー抽出物、ホコッシ抽出物、モウソウチク抽出物、ユッカフォーム抽出物、ローズマリー抽出物、もしくはワサビ抽出物、上記各抽出物の乾燥物、上記各抽出物の酵素処理物、およびキトサンならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
さらに、本発明の組成物は、食品一般において、食品添加物として使用することができる有機酸、無機酸、アミノ酸および/またはそれらの塩ならびにそれらの組み合わせなどをさらに含有していてもよい。有機酸としては、特に限定されないが、例えば、ギ酸、クエン酸、コハク酸、アジピン酸、グルコン酸、DL−酒石酸、L−酒石酸、乳酸、酢酸、フマル酸、DL−リンゴ酸、イタコン酸、およびフィチン酸が挙げられる。無機酸としては、特に限定されないが、例えば、リン酸、炭酸、塩酸が挙げられる。アミノ酸としては、特に限定されないが、例えば、グリシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸が挙げられる。有機酸の塩、無機酸の塩、およびアミノ酸の塩としては、特に限定されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、およびアンモニウム塩が挙げられる。本発明において、これらの含有量は、チアミン類の塩が本来有する抗菌作用を阻害しない範囲において、当業者により、任意の量が設定され得る。
本発明の組成物を食品素材に添加する場合は、該組成物が本来有する、パンおよび/またはケーキの品質改良作用を害しない限り、当該組成物は保存料をさらに含有してもよい。保存料としては、特に限定されないが、例えば、安息香酸、ソルビン酸、プロピオン酸、ピロ亜硫酸、およびそれらの塩、白子タンパク質抽出物、ペクチン分解物、ε−ポリリシンならびにそれらの組み合わせが挙げられる。上記保存料の含有量は、食品添加剤が本来有する抗菌作用を阻害しない範囲において、当業者により、適宜設定され得る。
本発明の組成物は、パンおよび/またはケーキの品質改良作用を阻害しない限り、従来の食品添加剤が通常含有するような他の成分を任意の量にて含有していてもよい。他の成分としては、特に限定されないが、例えば、賦形剤が挙げられる。賦形剤としては、特に限定されないが、例えば、糖質および糖アルコールならびにガム類が挙げられる。糖質としては特に限定されないが、例えば、単糖類、オリゴ糖類、多糖類が挙げられる。単糖類としては、特に限定されないが、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、およびフルクトースが挙げられる。オリゴ糖類としては、特に限定されないが、例えば、乳糖、ショ糖、および麦芽糖が挙げられる。多糖類としては、特に限定されないが、例えば、デンプン、ペクチン、およびデキストリンが挙げられる。糖アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、およびキシリトールが挙げられる。ガム類としては、特に限定されないが、例えば、グアーガムおよびキサンタンガムが挙げられる。本発明の食品添加剤において、これらの成分の含有量は、当業者により、任意の量が設定され得る。
本発明の組成物は、例えば、パン生地、ケーキ生地などの食品素材製造のための添加剤として用いられ得る。
食品中の本発明の組成物の含有量、ならびに食品素材を本発明の組成物で処理する様式は適宜選択することができる。食品中の食品添加剤の含有量としては、全質量に対して、好ましくは0.5質量%〜20質量%、より好ましくは2質量%〜10質量%である。本発明の食品添加剤は、食品素材または食品の種類や目的に応じて、例えば、食品素材中に食品添加剤を混合してもよく、または食品素材に食品添加剤を噴霧してもよい。噴霧する場合は、エタノールなどの揮発性溶媒に本発明の食品添加剤を混合して噴霧することができる。
(実施例1)
表1の原料および組成によりSSL製剤を調製した。
製剤の作製には、ホモミキサーを用いた。ソルビトール、水を混合し、低速混合しながら40℃まで加熱した。デカグリセロールモノエステル、テトラグリセロールモノエステル、ステアロイル乳酸ナトリウムを投入し溶解した。
油側としては、米ヌカ油を50〜60℃に加熱した。
10000rpmにて攪拌している水側へ油側を加え、10分間混合後、室温まで放冷して目的の組成物を得た。表1に示すように、油相:水相が10:0の場合は製剤安定性(3日後)が悪く、水へ分散しないが、油相:水相が8:2〜0:10については、製剤安定性も良く、水に容易に分散することがわかった。
パンケーキは、表2の配合で作製した。
パンケーキは、粉部分を合わせて篩いにかけた(SSLも合わせた)。次に乳化油脂と水を加えてダマができない程度に軽く攪拌した。次に180℃銅板にて表2分30秒、裏1分30秒焼成した。
結果を図1に示す。本発明のSSL製剤と同じ量の粉末SSLを添加したパンケーキ(図1のSSL粉体添加)は、SSL無添加のコントロール(図1の対照区)とほぼ同等のボリュームを示した。しかしながら、本発明のSSL製剤を添加して製造したパンケーキ(図1の配合V)は、5枚重ねた高さが約16〜19%高くなった。配合III、配合VIII、配合IXも目視による観察でもボリュームがアップした(図1および表3)。すなわち、本発明にかかるSSL製剤はパンケーキのボリュームをアップする効果があることが確認された。
パンケーキの官能評価の結果を表3に示す。官能評価は、パネラー10人で行った。評価は、○、△、×の3段階で行った。評価は平均値を示す。
表3の注釈および記号は以下の通りである。
※1:作製したパンケーキを室温まで放冷した時の食感
○・・・しっとり感が十分にある
△・・・ややパサつきがある
×・・・パサパサとして乾いた食感
※2:作製したパンケーキを室温まで放冷した時の食感
○・・・崩壊性があり、唾液に容易に馴染む
△・・・咀嚼中に唾液に徐々に馴染む
×・・・咀嚼中に食塊となり唾液には馴染みにくい
※3:作製したパンケーキを室温まで放冷した時の食感
○・・・咀嚼時の破断が容易である
△・・・咀嚼時の破断にやや抵抗がある
×・・・咀嚼時の破断は困難である
※4:作製したパンケーキを20℃にて各日数保存した時の食感
○・・・作製当日と同等のしっとり感、口溶け感、柔らかさを維持
△・・・作製当日と比較して、しっとり感、口溶け感、柔らかさがやや劣る
×・・・作製当日と大きく異なりパサつきや硬化が見られる
表3に示すように、本発明のSSL含有組成物を添加したパンケーキは、しっとり感、口溶け感、柔らかさ、老化抑制の全ての面で、対照区、SSL粉体添加区よりも優れた性質を示した。
(実施例2)パン(ココア味)への添加
パン(ココア味)は表4の配合で製造した。製造工程は、以下の通りである。
(1)粉部分を合わせて篩いにかける。(粉体添加するSSLも合わせる)。
(2)すべての材料を合わせてミキシング 低速5分 高速8分(捏上温度:28℃)
(3)フロアタイム 27℃、RH70%、120分
(4)分割、丸め(50g/個)
(5)ベンチタイム 10〜15分
(6)成型
(7)ホイロ 38℃、RH75%、45分
(8)焼成 上火200℃/下火180℃ 約10分
(官能試験)
上記パン(ココア味)について、パネラー10人で官能評価を行った。結果を表5に示す。このパンは長期保存用の配合であるため、加水量が少ないことから作業性が悪く、食感もパサパサとして乾いた食感になりやすいものである。本発明品を使用したIII実施例では、生地の伸展性、食感(しっとり感、口溶け感、柔らかさ)、老化防止についてI比較例3およびII比較例4に比べて優れた評価が得られた。
表5中の評価基準は以下の通りである。
※1:分割、成型時の生地の伸展性
○・・・生地の伸展性良好
△・・・やや硬く伸びにくい
×・・・硬く伸びにくい
※2:作製したパンを室温まで放冷した時の食感
○・・・しっとり感が十分にある
△・・・ややパサつきがある
×・・・パサパサとして乾いた食感
※3:作製したパンを室温まで放冷した時の食感
○・・・崩壊性があり、唾液に容易に馴染む
△・・・咀嚼中に唾液に徐々に馴染む
×・・・咀嚼中に食塊となり唾液には馴染みにくい
※4:作製したパンを室温まで放冷した時の食感
○・・・咀嚼時の破断が容易である
△・・・咀嚼時の破断にやや抵抗がある
×・・・咀嚼時の破断は困難である
※5:作製したパンを20℃にて各日数保存した時の食感
○・・・作製当日と同等のしっとり感、口溶け感、柔らかさを維持
△・・・作製当日と比較して、しっとり感、口溶け感、柔らかさがやや劣る
×・・・作製当日と大きく異なりパサつきや硬化が見られる
本発明は、パン産業、ケーキ産業において利用できる。

Claims (6)

  1. 組成物の全質量を基準として、(a)常温で液状の油脂を5〜80質量%、(b)ステアロイル乳酸ナトリウムを0.1〜5質量%、(c)ステアロイル乳酸ナトリウム以外のHLB値が8より大きい乳化剤を0.1〜5質量%含有することを特徴とする組成物。
  2. 組成物がパンおよび/またはケーキ用品質改良用組成物である、請求項1の組成物。
  3. 糖類および/または糖アルコールならびに水を混合する工程と、
    該混合物を低速混合しながら30℃〜70℃まで加熱する工程と、
    少なくとも1種のHLB値が8より大きい乳化剤およびステアロイル乳酸ナトリウムを30℃〜70℃に加熱した該混合物に添加し、溶解する工程と、
    常温で液状の油脂を30℃〜70℃に加熱する工程と、
    該溶解物を該常温で液状の油脂とを混合する工程とを含む、
    請求項1または2の組成物の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の組成物を用いてパンおよび/またはケーキを改質する方法。
  5. 請求項1または2に記載の組成物を用いてパンおよび/またはケーキを製造する方法。
  6. 請求項1または2に記載の組成物を用いて製造されたパンまたはケーキ。
JP2015071114A 2015-03-31 2015-03-31 乳化油脂、その製造方法および使用方法 Active JP6565007B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015071114A JP6565007B2 (ja) 2015-03-31 2015-03-31 乳化油脂、その製造方法および使用方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015071114A JP6565007B2 (ja) 2015-03-31 2015-03-31 乳化油脂、その製造方法および使用方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016189718A true JP2016189718A (ja) 2016-11-10
JP6565007B2 JP6565007B2 (ja) 2019-08-28

Family

ID=57244901

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015071114A Active JP6565007B2 (ja) 2015-03-31 2015-03-31 乳化油脂、その製造方法および使用方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6565007B2 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6471455A (en) * 1987-09-11 1989-03-16 Asahi Denka Kogyo Kk Liquid food
JPH06181701A (ja) * 1992-12-22 1994-07-05 Amakosu:Kk でん粉食品の品質改良用組成物
JPH06225684A (ja) * 1993-02-03 1994-08-16 Amakosu:Kk でん粉食品の品質改良用組成物
JP2004065214A (ja) * 2002-08-05 2004-03-04 Kosshi:Kk 肉類の改良剤およびこれを添加した肉類
WO2009123337A1 (ja) * 2008-03-31 2009-10-08 花王株式会社 乳化油脂組成物
JP2011072272A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Kao Corp 乳化油脂組成物
JP2012249592A (ja) * 2011-06-03 2012-12-20 Kao Corp ベーカリー用油脂組成物

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6471455A (en) * 1987-09-11 1989-03-16 Asahi Denka Kogyo Kk Liquid food
JPH06181701A (ja) * 1992-12-22 1994-07-05 Amakosu:Kk でん粉食品の品質改良用組成物
JPH06225684A (ja) * 1993-02-03 1994-08-16 Amakosu:Kk でん粉食品の品質改良用組成物
JP2004065214A (ja) * 2002-08-05 2004-03-04 Kosshi:Kk 肉類の改良剤およびこれを添加した肉類
WO2009123337A1 (ja) * 2008-03-31 2009-10-08 花王株式会社 乳化油脂組成物
JP2011072272A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Kao Corp 乳化油脂組成物
JP2012249592A (ja) * 2011-06-03 2012-12-20 Kao Corp ベーカリー用油脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP6565007B2 (ja) 2019-08-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4711432B2 (ja) 製パン用粉末油脂
JP5350964B2 (ja) 乳化油脂組成物
TW201519791A (zh) 乳化油脂組成物
JP5214536B2 (ja) フラワーペースト類
JP4289833B2 (ja) 米粉生地焼成食品、そのための米粉生地及びミックス粉
JP5857345B2 (ja) 制菌剤
JP4212520B2 (ja) 麺類のほぐれ性向上用油脂組成物
JP2011055786A (ja) ベーカリー用上掛け生地
JP5886006B2 (ja) 製パン練り込み用乳化油脂組成物
JP5964250B2 (ja) 油中水型である製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物
JP2018157771A (ja) 菓子用生地
JP6264985B2 (ja) 製パン用油脂組成物及びパン類
JP2005320445A (ja) パームステアリン含有可塑性油脂組成物
JP6565007B2 (ja) 乳化油脂、その製造方法および使用方法
JP3029519B2 (ja) ケーキ類用起泡性乳化油脂組成物
JP2017209038A (ja) ベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物
JP4585447B2 (ja) 層状焼成食品練り込み用油脂組成物
JP6090900B2 (ja) 焼き菓子練り込み用油中水型乳化物
JP2013085483A (ja) パン生地
JP2021003043A (ja) パン
JPH10179048A (ja) 食品の品質改良剤
JP2013215163A (ja) パン生地及びパン類
JP7203574B2 (ja) ベーカリー用油脂組成物
JP2010252667A (ja) 多加水パン生地
JP2009082098A (ja) パン類生地

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171212

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20180411

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181031

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181120

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190118

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190625

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190702

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6565007

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250