JP5857345B2 - 制菌剤 - Google Patents

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Description

本発明は、ミョウバンを含有せず、かつ膨脹作用を有する制菌剤に関する。
ベーキングパウダーなどの食品用膨脹剤はパンや菓子類の生地をスポンジ状に膨らませる膨脹作用を有する。膨脹剤はガス発生基剤(重曹、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウムなど)および酸性物質(ミョウバンなどの無機酸、フマル酸などの有機酸)からなり、水分存在下で互いが反応して炭酸ガスやアンモニウムガスを発生する。
酸性物質としてはミョウバンが汎用されているが、ミョウバンは独特の収斂味があり、近年ミョウバンを含まない膨脹剤のニーズが高まっている。ミョウバンの代替として様々な有機酸および無機酸の利用が試みられている。また、ガス発生を制御するとともに、生地のpH、状態、風味などを適切に維持するために、ガス発生基剤または酸性物質のいずれかを硬化油脂などでコーティングする方法が開発されている(特許文献1〜4)。これらの方法では、粉末状のガス発生基剤または酸性物質が用いられている。
一方、パンや菓子類には、保存期間を延ばすために様々な保存料や制菌剤が添加されている。これらの添加剤は、生地の状態、風味、膨脹剤によるガス発生などに影響を及ぼす可能性があるので、使用に注意を要する。特許文献5には、食品添加剤の溶出を抑制するための食品添加用被覆製剤が記載され、酸味料、pH調整剤として利用される酢酸を含む酢酸ナトリウム製剤を硬化油脂でコーティングして得られた被覆製剤が記載されている。
特開昭52−154562号公報 特開2000−333591号公報 特開2004−313185号公報 特開2011−67195号公報 特開2011−72308号公報
本発明は、ミョウバンを含有せず、かつ膨脹作用を有する制菌剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討を行った結果、酢酸を硬化油脂でコーティングしてなるコート酢酸とガス発生基剤とを組み合わせることによって、ミョウバンを含有せず、かつ膨脹作用を有する制菌剤を提供することができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、ミョウバンを含有せず、かつ膨脹作用を有する制菌剤であって、粉末酢酸を硬化油脂でコーティングしてなるコート酢酸とガス発生基剤とを含有する制菌剤を提供する。
1つの実施態様では、上記硬化油脂の融点は、50℃〜80℃である。
1つの実施態様では、上記コート酢酸は、上記制菌剤100質量部に対して30〜70質量部の割合で含有されている。
1つの実施態様では、上記ガス発生基剤は、上記制菌剤100質量部に対して10〜50質量部の割合で含有されている。
本発明はまた、上記制菌剤が配合された食品を提供する。
1つの実施態様では、上記制菌剤は、小麦粉100質量部に対して上記コート酢酸0.1〜10質量部となるように配合されている。
本発明によれば、ミョウバンを含有せず、かつ膨脹作用を有する制菌剤を提供することができる。本発明のミョウバンを含有せず、かつ膨脹作用を有する制菌剤は、コート酢酸を用いることによって、酢酸がイオン化することなく、生地のpHを適切な範囲に維持することができ、生地ダレなどを起こさない。また、生地の焼成に際し、生地を加熱する場合にのみコーティング剤が溶解し、放出された酢酸は速やかにガス発生基剤と反応して炭酸ガスを発生させるため、十分な量のガスを発生させるとともに、酸味のない食品を提供することができる。さらに、ミョウバンを用いることなく膨脹作用を有するため、ミョウバン独特の収斂味のない風味のよい食品を提供することができる。
カビ植菌後4日後に撮影した蒸しパンの写真である(試験例2)。 スポンジケーキ焼成後の内層を示す写真である(試験例3)。 カビ植菌後6日後に撮影したシフォンケーキの写真である(試験例4)。
本発明のミョウバンを含有せず、かつ膨脹作用を有する制菌剤は、粉末酢酸を硬化油脂でコーティングしてなるコート酢酸を含有する。本発明において、粉末酢酸とは、酢酸および酢酸塩を含有する粉状物質をいう。酢酸としては、特に限定されず、酢酸、氷酢酸、醸造酢、これらの混合物が挙げられる。酢酸塩としては、特に限定されず、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸カリウム、これらの混合物が挙げられる。好ましくは、酢酸ナトリウムである。粉末酢酸に含有される酢酸の量としては、特に限定されないが、酢酸塩が酢酸ナトリウムの場合、好ましくは20〜42質量部、より好ましくは30〜42質量部である。20質量部よりも少ないと、膨脹作用、制菌効果が不十分となる。42質量部よりも多いと、粉末酢酸が得られない。粉末酢酸は、酢酸と酢酸塩とを混合することにより得られる。例えば、粉状の酢酸塩に液状の酢酸を吹きつけることにより得られる。粉末酢酸は、さらにデキストリンなどの賦形剤を含有してもよい。
本発明のコート酢酸は、粉末酢酸を硬化油脂でコーティングしたものである。本発明において、硬化油脂とは、常温で固形の油脂をいう。硬化油脂は、一般にオレイン酸やリノール酸などの不飽和脂肪酸を多く含む植物油などの油脂に、ニッケルなどの触媒を用いて水素添加を行う方法により得られる。
水素添加に用いる油脂としては、特に限定されず、例えば、菜種油、パーム油、大豆油、綿実油、コーン油、牛脂、ラード、ワックスが挙げられる。好ましくは菜種油、パーム油、大豆油、より好ましくは菜種油である。硬化油脂の融点としては、特に限定されないが、好ましくは50〜80℃、より好ましくは60〜75℃である。
粉末酢酸を硬化油脂でコーティングする方法としては、特に限定されず、例えば、特許文献5に記載の方法、特開平5−146662号公報に記載の方法が挙げられる。好ましくは、特許文献5に記載の方法である。
コーティングに用いる硬化油脂の量としては、特に限定されず、粉末酢酸100質量部に対して、通常5〜80質量部、好ましくは15〜50質量部である。すなわち、コート酢酸に含有される硬化油脂の量としては、コート酢酸100質量部に対して、通常4.7〜44.4質量部、好ましくは13〜33.3質量部である。
コート酢酸は、界面活性剤、乳化剤、製造用剤を含有してもよい。界面活性剤、乳化剤としては、特に限定されず、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。製造用剤としては、特に限定されず、例えば、微粒二酸化ケイ素が挙げられる。コート酢酸に含有される界面活性剤、乳化剤、製造用剤の量としては、特に限定されず、コート酢酸100質量部に対して、通常1〜40質量部、好ましくは10〜30質量部である。界面活性剤、乳化剤、製造用剤は、粉末酢酸を硬化油脂でコーティングする際に、硬化油脂と混合して用いる。
本発明のミョウバンを含有せず、かつ膨脹作用を有する制菌剤に含有されるコート酢酸の量としては、特に限定されないが、膨脹作用に必要な反応当量を考慮すると、制菌剤100質量部に対して、好ましくは30〜70質量部、より好ましくは40〜60質量部である。
本発明のミョウバンを含有せず、かつ膨脹作用を有する制菌剤は、ガス発生基剤を含有する。ガス発生基剤としては、特に限定されず、例えば、重曹、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウムが挙げられる。好ましくは、重曹である。
本発明のミョウバンを含有せず、かつ膨脹作用を有する制菌剤に含有されるガス発生基剤の量としては、特に限定されないが、膨脹作用に必要な反応当量を考慮すると、制菌剤100質量部に対して、好ましくは10〜50質量部、より好ましくは20〜40質量部である。
本発明のミョウバンを含有せず、かつ膨脹作用を有する制菌剤は、他の添加剤を含有してもよい。本発明のミョウバンを含有せず、かつ膨脹作用を有する制菌剤は、ガス発生基剤、コート酢酸および添加剤を混合することにより得られる。
本発明のミョウバンを含有せず、かつ膨脹作用を有する制菌剤が用いられる食品としては、特に限定されず、例えば、食パン、菓子パンなどのパン類、蒸しケーキ、蒸しパン、中華まんじゅうなどの蒸し物類、ドーナツなどの揚げ菓子類、マフィン類、スポンジケーキ、シュー皮などの焼き菓子類、天ぷらなどの揚げ物類、お好み焼、たこ焼きなどの惣菜類、はんぺんなどの水産加工品、ハンバーグなどの蓄肉加工品が挙げられる。
本発明のミョウバンを含有せず、かつ膨脹作用を有する制菌剤が食品に配合される量としては、特に限定されないが、小麦粉100質量部に対して、コート酢酸が好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.3〜5質量部である。0.1質量部よりも少ないと、膨脹作用、制菌効果が不十分となる。10質量部よりも多いと、食品の味、風味、食感が悪くなる。
本発明のミョウバンを含有せず、かつ膨脹作用を有する制菌剤は、コート酢酸表面の硬化油脂の融点近くまで加熱されると、油脂が溶け、中の粉末酢酸が食品中の水分を介して主剤の重曹などのガス発生基剤と反応して急激に炭酸ガスを発生する。炭酸ガスが食品を膨脹させるとともに、酢酸および酢酸ナトリウムが制菌効果を発揮する。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
コート酢酸として、酢酸および酢酸ナトリウムの混合粉末(酢酸:酢酸ナトリウム=42:58(質量比))を菜種極度硬化油(融点67℃;主成分:トリアシルグリセロール)とソルビタン脂肪酸エステル(融点53℃)とでコーティングしたもの(混合粉末:菜種極度硬化油=68:32(質量比))を用いた。このコート酢酸60質量部、重曹25質量部およびコーンスターチ15質量部を混合し、ベーキングパウダー(コート酢酸BP)を得た。
(試験例1:ガス発生特性)
実施例1で得られたコート酢酸BPのガス発生特性を既存のベーキングパウダー(BP)と比較した。既存BPとしては、奥野製薬工業株式会社製エースベーキングパウダーO印(以下、O印)およびトップベーキングパウダーオレンジエース(以下、オレンジエース)を用いた。O印は、焼きミョウバン35質量部、重曹40質量部を含有し、加熱後半にガスが発生し(遅効性)、製品ボリュームをだすことができるベーキングパウダーである。オレンジエースは、焼きミョウバン26質量部、重曹27質量部を含有し、遅効性〜持続性であり、安定性が高く、生地のふきが少なく、40℃で生地を放置してもガスの損失が最小限に抑えられるベーキングパウダーである。各ベーキングパウダー4gから発生するガス量を各温度帯で測定した結果を表1に示す。
Figure 0005857345
表1から明らかなように、既存BPでは温度上昇に伴って徐々に発生ガス量が増加したのに対して、コート酢酸BPでは50℃まではほとんどガスを発生せず、55℃〜60℃で急激にガスを発生する特徴が認められた。コート酢酸BPでは菓子のふくらみに関与しない40℃以下でのガス発生の無駄が少ないといえる。
(試験例2:蒸しパンへのカビ植菌試験)
実施例1で得られたコート酢酸BPの制菌効果を蒸しパンへのカビ植菌試験により調べた。比較対照BPとして、奥野製薬工業株式会社製トップベーキングパウダーベイクマン(以下、ベイクマン)を用いた。ベイクマンは、焼きミョウバン19質量部、重曹28質量部を含有し、遅効性〜持続性のベーキングパウダーである。
蒸しパンを調製するために、表2の配合比に従い、水以外の材料を混合し篩にかけた。この混合物に水を添加し、縦型ミキサー(ビーター)を用いて低速にて1分間混合した。得られた生地を70gずつ型に充填し、強めの蒸気で12分間蒸し、放冷して、蒸しパンを得た。
Figure 0005857345
次いで、得られた蒸しパンに、1×10/mlに調整したカビ胞子懸濁液(黒色コウジカビ(Aspergillus niger)、ペニシリウム属(Penicillium sp.)カビ)を10スポット植菌し、これを25℃にて保存し、目視にてカビの生育を観察した。結果を表3および図1に示す。
Figure 0005857345
表3および図1から明らかなように、黒色コウジカビ、ペニシリウム属カビのいずれについても、ベイクマンを用いて調製した蒸しパンでは4日後にカビの生育が認められたのに対して、コート酢酸BPを用いて調製した蒸しパンでは7日後にカビの生育が認められた。コート酢酸BPは、ベイクマンと比較して3日間カビの生育を抑制することができた。
得られた蒸しパンの風味・製パン性を評価した。風味は、成人20名が蒸しパンを実際に食して評価した。製パン性としては、パン調製過程の生地物性および生地ダレを評価した。結果を表4に示す。
Figure 0005857345
表4から明らかなように、コート酢酸BPを用いて調製した蒸しパンは、ベイクマンを用いて調製した蒸しパンと比較して、風味で勝り、製パン性で同等であった。
(試験例3:スポンジケーキの焼成後の状態および保存試験)
実施例1で得られたコート酢酸BPの膨脹作用と制菌効果を、スポンジケーキを調製して調べた。比較対照BPとして、奥野製薬工業株式会社製エースベーキングパウダー(以下、エースBP)を用いた。エースBPは焼きミョウバン35質量部、重曹39質量部を含有し、遅効性のベーキングパウダーである。トップユニックD(奥野製薬工業株式会社製)は、グリセリン脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルを主成分とするスポンジ生地用起泡剤)である。
スポンジケーキを調製するために、表5の配合比に従い、全ての材料を添加し、ホイッパーを用いて高速にて2〜3分間混合した(生地比重:約0.5g/mL)。得られた生地120gを直径12cmのケーキ型に充填し、170℃にて30分間焼成した。焼成後の状態を表6および図2に示す。
Figure 0005857345
Figure 0005857345
表6および図2から明らかなように、コート酢酸BPを用いて調製したスポンジケーキの性状は、生地比重、高さ、幅、pH、内部状態とも、エースBPを用いて調製したスポンジケーキの性状と同等であった。
次いで、得られたスポンジケーキを30℃にて10日間保存し、目視にてカビの発生を観察した。結果を表7に示す。
Figure 0005857345
表7から明らかなように、エースBPを用いて調製したスポンジケーキでは8日後にカビの発生が認められたのに対して、コート酢酸BPを用いて調製したスポンジケーキでは10日間保存してもカビの発生は認められなかった。
得られたスポンジケーキの風味・製パン性の評価の結果を表8に示す。
Figure 0005857345
表8から明らかなように、コート酢酸BPを用いて調製したスポンジケーキは、エースBPを用いて調製したスポンジケーキと比較して、風味で勝り、製パン性で同等であった。
(試験例4:シフォンケーキ保存試験1)
実施例1で得られたコート酢酸BPの制菌効果を、シフォンケーキを調製して調べた。比較対照BPとして、エースBPを用いた。
シフォンケーキを調製するために、表9の配合比に従い、卵、トップユニックD、水を添加し、低速にて30秒間、次いで高速にて3分間混合した。この混合物に液体油脂以外の原料を添加し、低速にて2分間、次いで高速にて2〜4分間で混合した。この混合物に液体油脂を添加し、低速にて2〜3分間混合した(生地比重:0.375〜0.377g/mL)。得られた生地120gを直径12cmのスポンジケーキ型に充填し、170℃にて30分間焼成し、放冷して、シフォンケーキを得た。
Figure 0005857345
次いで、得られたシフォンケーキに、1×10/mlに調整したカビ胞子懸濁液(黒色コウジカビ)を10スポット植菌し、これを25℃にて7日間保存し、目視にてカビの生育を観察した。結果を表10および図3に示す。
Figure 0005857345
表10および図3から明らかなように、エースBPを用いて調製したシフォンケーキでは5日後に全てのスポットで胞子形成が認められたが、コート酢酸BPを用いて調製したシフォンケーキでは約2日間カビの発生を抑制することができた。
得られたシフォンケーキの風味・製パン性の評価の結果を表11に示す。
Figure 0005857345
表11から明らかなように、コート酢酸BPを用いて調製したシフォンケーキは、エースBPを用いて調製したシフォンケーキと比較して、風味で勝り、製パン性で同等であった。
(試験例5:シフォンケーキ保存試験2)
実施例1で得られたコート酢酸BPの制菌効果を、シフォンケーキを調製して調べた。比較対照BPとして、エースBPを用いた。また、エースBPと制菌剤(奥野製薬工業株式会社製KS−TOP)とを併用した。試験区を以下のように設定した。
試験区A コート酢酸BP
試験区B エースBP
試験区C エースBP+KS−TOP
KS-TOPは、pH調整機能を持たせた制菌剤で、酢酸ナトリウム70質量部および有機酸を含有する。
シフォンケーキを調製するために、表12の配合比に従い、卵、トップユニックD、水を添加し、低速にて30秒間、次いで高速にて3分間混合した。この混合物に液体油脂以外の原料を添加し、低速にて2分間、次いで高速にて2〜4分間で混合した(生地比重:0.32〜0.34g/mL)。この混合物に液体油脂を添加し、低速にて2〜3分間混合した(生地比重:0.35〜0.37g/mL)。得られた生地120gを直径12cmのスポンジケーキ型に充填し、170℃にて30分間焼成し、放冷して、シフォンケーキを得た。
Figure 0005857345
次いで、得られたシフォンケーキに、1×10/mlに調整したカビ胞子懸濁液(黒色コウジカビ)を10スポット植菌し、これを25℃にて6日間保存し、目視にてカビの生育を観察した。結果を表13に示す。
Figure 0005857345
表13から明らかなように、試験区Bでは5日後にほぼ全てのカビの生育が認められたが、試験区Aおよび試験区Cでは1日間ほどカビの生育を抑制することができた。
得られたシフォンケーキの風味・製パン性の評価の結果を表14に示す。
Figure 0005857345
表14から明らかなように、試験区Aは、試験区Bと比較して、風味で勝り、製パン性で同等であった。また、試験区Cと比較して、風味で勝り、製パン性でも勝った。
(比較例1)
酸性物質としてフマル酸を含有するベーキングパウダーを表15および16の配合比に従い、調製した(コートフマル酸BP)。
Figure 0005857345
Figure 0005857345
(試験例6:フマル酸との制菌効果比較試験)
実施例1で得られたコート酢酸BPと比較例1で得られたコートフマル酸BPとの間で蒸しパンにおける制菌効果を比較した。比較対照BPとして、ベイクマンを用いた。
蒸しパンを調製するために、表17の配合比に従い、水以外の材料を混合し篩にかけた。この混合物に水を添加し、縦型ミキサー(ビーター)を用いて低速にて1分間混合した。得られた生地を70gずつ型に充填し、強めの蒸気で12分間蒸し、放冷して、蒸しパンを得た。
Figure 0005857345
次いで、得られた蒸しパンに、1×10/mlに調整したカビ胞子懸濁液(黒色コウジカビ)を10スポット植菌し、これを30℃にて5日間保存し、目視にてカビの生育を観察した。結果を表18に示す。
Figure 0005857345
表18から明らかなように、ベイクマンでは3日後、コートフマル酸BPを用いて調製した蒸しパンでは4日後、コート酢酸BPを用いて調製した蒸しパンでは5日後に胞子形成が認められた。コート酢酸BPは、コートフマル酸BPと比較して1日間カビの生育を抑制することができた。
得られた蒸しパンの風味・製パン性の評価の結果を表19に示す。
Figure 0005857345
表19から明らかなように、コート酢酸BPを用いて調製した蒸しパンは、ベイクマンを用いて調製した蒸しパンと比較して、風味で勝り、製パン性で同等であった。また、コートフマル酸BPを用いて調製した蒸しパンと比較して、風味で勝り、製パン性でも勝った。
(試験例7:ケーキドーナツの調製)
実施例1で得られたコート酢酸BP、および比較対照としてO印を用いてケーキドーナツを調製するために、表20の配合表に従い、全ての材料を混合し篩にかけた。この混合物に水を添加し、ビーターを用いて低速にて2分間混合した。15分間後(ベンチタイム)、得られた生地30gをデポジッターを用いて成型し、180℃にて片面を55秒間フライし、反転後さらに55秒間フライした。得られたケーキドーナツの風味・製パン性の評価の結果を表21に示し、吸油量の結果を表22に示す。
Figure 0005857345
Figure 0005857345
Figure 0005857345
表21および22から明らかなように、コート酢酸BPを用いて調製したケーキドーナツはO印を用いて調製したケーキドーナツと同等の風味、製パン性、吸油量であった。
本発明によれば、ミョウバンを含有せず、ミョウバンに代わる酸性物質を含有し、かつ膨脹作用を有する制菌剤を提供することができる。本発明のミョウバンを含有せず、かつ膨脹作用を有する制菌剤は、コート酢酸を用いることによって、酢酸がイオン化することなく、生地のpHを適切な範囲に維持することができ、生地ダレなどを起こさない。また、生地の焼成に際し、生地を加熱する場合にのみコーティング剤が溶解し、放出された酢酸は速やかにガス発生基剤と反応して炭酸ガスを発生させるため、十分な量のガスを発生させるとともに、酸味のない食品を提供することができる。さらに、ミョウバンを用いることなく膨脹作用を有するため、ミョウバン独特の収斂味のない風味のよい食品を提供することができる。加えて、膨脹剤と制菌剤とを別々に用いることを要しないため、食品製造のコストダウンにつながるとともに、各々の機能を阻害し合わない製剤設計が可能となる。

Claims (6)

  1. ミョウバンを含有せず、かつ膨脹作用を有する制菌剤であって、粉末酢酸を硬化油脂でコーティングしてなるコート酢酸とガス発生基剤とを含有する制菌剤。
  2. 前記硬化油脂の融点が、50℃〜80℃である、請求項1に記載の制菌剤。
  3. 前記コート酢酸が、前記制菌剤100質量部に対して30〜70質量部の割合で含有されている、請求項1または2に記載の制菌剤。
  4. 前記ガス発生基剤が、前記制菌剤100質量部に対して10〜50質量部の割合で含有されている、請求項1から3のいずれかの項に記載の制菌剤。
  5. 請求項1から4のいずれかの項に記載の制菌剤が配合された食品。
  6. 前記制菌剤が、小麦粉100質量部に対して前記コート酢酸0.1〜10質量部となるように配合されている、請求項5に記載の食品。
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