JP2016133494A - 時計部品の製造方法および時計部品 - Google Patents

時計部品の製造方法および時計部品 Download PDF

Info

Publication number
JP2016133494A
JP2016133494A JP2015010655A JP2015010655A JP2016133494A JP 2016133494 A JP2016133494 A JP 2016133494A JP 2015010655 A JP2015010655 A JP 2015010655A JP 2015010655 A JP2015010655 A JP 2015010655A JP 2016133494 A JP2016133494 A JP 2016133494A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
timepiece
mask
hairspring
active layer
oxide film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015010655A
Other languages
English (en)
Inventor
智夫 池田
Tomoo Ikeda
池田  智夫
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Citizen Holdings Co Ltd
Original Assignee
Citizen Holdings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Citizen Holdings Co Ltd filed Critical Citizen Holdings Co Ltd
Priority to JP2015010655A priority Critical patent/JP2016133494A/ja
Publication of JP2016133494A publication Critical patent/JP2016133494A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Micromachines (AREA)
  • Drying Of Semiconductors (AREA)

Abstract

【課題】温度特性に優れた時計部品を、高精度に製造すること。【解決手段】支持層311と酸化膜312と活性層313とを順次積層した3層構造をなす積層基板314の活性層313に対して、第1のマスク315を形成し、当該第1のマスク315部分を残して残余を除去する第1のエッチング工程をおこなう。また、支持層311に対して、第2のマスク316を形成し、当該第2のマスク316部分を残して残余を除去する第2のエッチング工程をおこなう。そして、第1のエッチング工程の後であって、かつ、第2のエッチング工程の後に、第1のエッチング工程および第2のエッチング工程によって露出された酸化膜312を除去する除去工程をおこなうようにした。【選択図】図3C

Description

この発明は、時計における機械部品を構成する時計部品の製造方法および時計部品に関する。
機械式時計の駆動機構は、たとえば、調速機構を構成するひげぜんまいやてん輪などの各種の時計部品を備えている。ひげぜんまいは、従来、金属を加工して形成することが広くおこなわれていたが、その加工精度のばらつきや金属が有する内部応力の影響などによって、設計通りの形状が得られないことがあった。また、金属製のひげぜんまいは、長期間伸縮を繰り返すことにより変形してしまうことがあった。
このようなひげぜんまいを用いて構成される時計は計時の精度に劣るため、従来、金属材料に代えて、水晶やシリコンなどの結晶構造を有する材料をエッチング加工することによって、金属製のひげぜんまいよりも高精度かつばらつきを抑えたひげぜんまいを製造する技術があった。また、水晶やシリコンなどの結晶構造を有する材料は金属と比較して環境温度の変化に対する変形が少ないため、水晶やシリコンなどの結晶構造を有する材料を用いて形成したひげぜんまいは、金属製のひげぜんまいよりも良好な温度特性を示す。
関連する技術として、具体的には、従来、たとえば、機械式時計の駆動機構を構成する時計部品を、シリコン製のコアと当該コアの表面に成膜した二酸化珪素などの非晶質材料とによって形成するようにした技術があった(たとえば、下記特許文献1〜3を参照。)。
実用新案登録第3154091号公報 特許第5378654号公報 特許第4515913号公報
しかしながら、上述した特許文献1〜3に記載された従来の技術は、いずれも、時計部品の外表面を被覆する膜(被覆、被覆層あるいは外側層)を、当該膜によって被覆されるコアを形成した後に成膜しているため、製造される時計部品の外形寸法にばらつきが生じてしまうという問題があった。
そして、時計部品の外形寸法にばらつきが生じることにより、このような時計部品を、たとえば、特許文献1〜3に記載された従来の技術のように、ひげぜんまいとして用いる場合には、振動数の精度が低下してしまい、当該時計部品を用いて構成される時計による計時の精度が低下してしまうという問題があった。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、温度特性に優れた時計部品を、高精度に製造することができる時計部品の製造方法および時計部品を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる時計部品の製造方法は、シリコンからなる支持層の一面側に二酸化珪素からなる酸化膜を介して積層されたシリコンからなる活性層を備えた積層基板の前記活性層に、時計の駆動機構を構成する時計部品の形状に基づく第1のパターンの第1のマスクを形成する第1のマスク形成工程と、前記活性層に対して、前記第1のマスク形成工程において形成された第1のマスク部分を残して残余を除去するエッチング加工をおこなう第1のエッチング工程と、前記支持層に、前記第1のパターンに対応する第2のパターンの第2のマスクを形成する第2のマスク形成工程と、前記支持層に対して、前記第2のマスク形成工程において形成された第2のマスク部分を残して残余を除去するエッチング加工をおこなう第2のエッチング工程と、前記第1のエッチング工程の後であって、かつ、前記第2のエッチング工程の後に、前記第1のエッチング工程および前記第2のエッチング工程によって露出された前記酸化膜を除去する除去工程と、を含むことを特徴とする。
また、この発明にかかる時計部品の製造方法は、上記の発明において、前記第1のエッチング工程および前記第2のエッチング工程は、深掘りRIEによってエッチング加工をおこなうことを特徴とする。
また、この発明にかかる時計部品は、面的な広がりと、当該面の広がり方向に対して直交する厚みとを有し、時計の駆動機構を構成する時計部品であって、前記厚み方向に沿って、シリコンからなる支持層、二酸化珪素からなる酸化膜、および、シリコンからなる活性層の順に積層された構造であることを特徴とする。
また、この発明にかかる時計部品は、上記の発明において、機械式時計の駆動機構を構成し、脱進機を構成するがんぎ車およびアンクル、調速機構を構成するひげぜんまいおよびてん輪、輪列を構成する歯車の少なくとも一つであることを特徴とする。
この発明にかかる時計部品の製造方法および時計部品によれば、温度特性に優れた時計部品を、高精度に製造することができるという効果を奏する。
この発明にかかる実施の形態の製造方法によって製造される、この発明にかかる実施の形態の時計部品が組み込まれる機械式時計の駆動機構を示す説明図である。 ひげぜんまいの構造を示す説明図である。 この発明にかかる実施の形態の、機械式時計の駆動機構を構成する時計部品(ひげぜんまい)の製造方法を示す説明図(その1)である。 この発明にかかる実施の形態の、機械式時計の駆動機構を構成する時計部品(ひげぜんまい)の製造方法を示す説明図(その2)である。 この発明にかかる実施の形態の、機械式時計の駆動機構を構成する時計部品(ひげぜんまい)の製造方法を示す説明図(その3)である。 この発明にかかる実施の形態の、機械式時計の駆動機構を構成する時計部品(ひげぜんまい)の製造方法を示す説明図(その4)である。 この発明にかかる実施の形態の、機械式時計の駆動機構を構成する時計部品(ひげぜんまい)の製造方法を示す説明図(その5)である。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる時計部品の製造方法および当該製造方法によって製造される時計部品の好適な実施の形態を詳細に説明する。
まず、この発明にかかる実施の形態の製造方法によって製造される、この発明にかかる実施の形態の時計部品が組み込まれる時計の駆動機構として、機械式時計の駆動機構について説明する。図1は、この発明にかかる実施の形態の製造方法によって製造される、この発明にかかる実施の形態の時計部品が組み込まれる機械式時計の駆動機構を示す説明図である。
図1において、この発明にかかる実施の形態の製造方法によって製造される時計部品が組み込まれる機械式時計の駆動機構101は、香箱102、脱進機103、調速機構(てんぷ)104、輪列105などを備えている。香箱102は、薄い円筒形状をなす箱の内側に、図示を省略する動力ぜんまいを収容している。駆動機構101においては、香箱102の外周部の香箱車と呼ばれる歯車が設けてあり、輪列105を構成する番車と噛み合っている。
動力ぜんまいは、巻回された状態の長尺状の金属薄板であって、香箱102の中に収容されている。動力ぜんまいの中心の端部(巻回された状態において内周側に位置する端部)は、香箱102の中心軸(香箱真)に取り付けられている。動力ぜんまいの外側の端部(巻回された状態において外周側に位置する端部)は、香箱102の内面に取り付けられている。
脱進機103は、がんぎ車106およびアンクル107によって構成される。がんぎ車106は、カギ型の歯を備えた歯車であって、がんぎ車106の歯はアンクル107に噛み合う。アンクル107は、がんぎ車106の歯に噛み合うことによってがんぎ車106の回転運動を往復運動に変換する。
てんぷ104は、ひげぜんまい108やてん輪109などによって構成される。ひげぜんまい108は、巻回された状態の長尺状の部材であって、渦巻き形状をなしている。ひげぜんまい108は、機械式時計に組み込まれて駆動機構101を構成した状態において、優れた等時性を示すように設計されている。
てんぷ104は、ひげぜんまい108のバネ力による伸縮によって、規則正しく往復運動をおこなうことができる。てん輪109は、リング形状をなし、アンクル107からの反復運動を調節・制御して、一定速度の振動を保つ。てん輪109は、てん輪109がなすリング形状の内側に、てん輪109の中心(てん真)109aから放射状に延設するアームを備えている。
輪列105は、香箱102からがんぎ車106の間に設けられて、それぞれが噛み合わされた複数の歯車によって構成される。具体的には、輪列105は、二番車110、三番車111、四番車112などによって構成される。香箱102の香箱車は、二番車110と噛み合っている。四番車112には秒針113が装着され、二番車110には分針114が装着されている。図1においては、時針や各歯車を支持する地板などは図示を省略する。
駆動機構101においては、動力ぜんまいの中心は逆回転できないように香箱102の中心(香箱真)に固定されており、動力ぜんまいの外側の端部は香箱の内周面に固定されているため、香箱102の中心(香箱真)に巻き付けられた動力ぜんまいが元に戻ろうとすると、巻き上げられた方向と同じ方向にほどけようとする動力ぜんまいの外側の端部に付勢されて、香箱102が巻き上げられたぜんまいがほどける方向と同じ方向に回転する。香箱102の回転は、二番車110、三番車111、四番車112に順次伝達され、四番車112からがんぎ車106に伝達される。
がんぎ車106にはアンクル107が噛み合っているため、がんぎ車106が回転すると、がんぎ車106の歯(衝撃面)がアンクル107の入り爪を押し上げ、これによってアンクル107におけるてんぷ104側の先端がてんぷ104を回転させる。てんぷ104が回転すると、アンクル107の出爪が即座にがんぎ車106を停止させる。てんぷ104がひげぜんまい108の力で逆回転すると、アンクル107の入り爪が解除され、がんぎ車106が再び回転する。
このように、調速機は、等時性のあるひげぜんまい108の伸縮によっててんぷ104に規則正しい往復回転運動を繰り返させ、脱進機103は、てんぷ104に対して往復運動するための力を与え続けるとともに、てんぷ104からの規則正しい振動によって輪列105における各歯車を一定速度で回転させる。がんぎ車106、アンクル107、てんぷ104は、てんぷ104の往復運動を回転運動に変換する調速機構を構成する。
(ひげぜんまい108の構造)
図2は、ひげぜんまい108の構造を示す説明図である。図2における上側は、ひげぜんまい108を図1における紙面上方から見た平面図を示し、図2における下側は当該平面図におけるA−A断面を示している。図2において、ひげぜんまい108は、細いコイル形状のぜんまい部201を備えている。
また、ひげぜんまい108は、細いコイル形状のぜんまい部201における、内周側の端部に設けられたひげ玉202を備えている。ぜんまい部201とひげ玉202とは接続部202aによって接続されている。ぜんまい部201は、接続部202aを介して、ひげ玉202を中心にひげ玉202を巻回するコイル形状をなす。さらに、ひげぜんまい108は、細いコイル形状のぜんまい部201における、外周側の端部に設けられたひげ持203を備えている。この実施の形態におけるひげぜんまい108は、支持層と酸化膜と活性層とを順次積層した3層構造をなす積層基板(図3Aにおける符号311、312、313、314を参照)によって形成されている。
図2において、符号tは、ひげぜんまい108の厚さ寸法を示している。ひげぜんまい108の厚さ寸法は、後述する積層基板(SOI基板)におけるSi層の板厚寸法に応じて定められる。図2において、符号wは、ひげぜんまい108の平面視における幅寸法を示している。ひげぜんまい108の幅寸法は、ひげぜんまい108の位置に応じて異ならせてもよい。すなわち、ひげぜんまい108におけるぜんまい部201の一部の幅寸法をwとし、別の一部の幅寸法をwよりも大きい寸法としてもよい。
(時計部品の製造方法)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の、機械式時計の駆動機構101を構成する時計部品の製造方法について説明する。実施の形態においては、機械式時計の駆動機構101を構成する時計部品として、ひげぜんまい108の製造方法について説明する。
図3A、図3B、図3C、図3Dおよび図4は、この発明にかかる実施の形態の、機械式時計の駆動機構101を構成する時計部品(ひげぜんまい108)の製造方法を示す説明図である。この発明にかかる実施の形態の時計部品の製造方法によるひげぜんまい108は、積層基板314を用いて形成する。
積層基板314は、支持層311と、酸化膜312と、活性層313と、を順次積層した3層構造をなすSOI基板によって実現することができる。支持層311は、シリコンからなる。酸化膜312は、支持層311の一面側に設けられている。酸化膜312は、SiO2(二酸化珪素)からなる。酸化膜312は、以降の工程において、深掘りRIE技術によるシリコンのエッチング加工をおこなう際のストッパとして機能する。
以降、この実施の形態においては、支持層311における酸化膜312が形成される一面、すなわち、図3A、図3B、図3Cおよび図3Dにおける支持層311の紙面上側の面を、支持層311の「おもて面」として説明する。また、以降、この実施の形態においては、支持層311におけるおもて面とは反対側の面、すなわち、図3A、図3B、図3Cおよび図3Dにおける支持層311の紙面下側の面を、支持層311の「裏面」として説明する。
また、この実施の形態においては、酸化膜312における支持層311とは反対側の面、すなわち、図3A、図3B、図3Cおよび図3Dにおける酸化膜312の紙面上側の面を、酸化膜312の「おもて面」として説明する。また、以降、この実施の形態においては、酸化膜312における支持層311側の面、すなわち、図3A、図3B、図3Cおよび図3Dにおける酸化膜312の紙面下側の面を、酸化膜312の「裏面」として説明する。
活性層313は、シリコンからなる。活性層313は、酸化膜312のおもて面に積層されている。すなわち、活性層313は、酸化膜312を介して支持層311のおもて面側に積層されている。この実施の形態においては、活性層313における酸化膜312とは反対側の面、すなわち、図3A、図3B、図3Cおよび図3Dにおける活性層313の紙面上側の面を、活性層313の「おもて面」として説明する。また、以降、この実施の形態においては、活性層313における酸化膜312側の面、すなわち、図3A、図3B、図3Cおよび図3Dにおける活性層313の紙面下側の面を、活性層313の「裏面」として説明する。
SiO2のヤング率の温度特性は、Siのヤング率の温度特性とは逆の温度特性を示す。ヤング定数(Young’s modulus)は、フックの法則が成立する弾性範囲における同軸方向のひずみと応力との比例定数であって、物体に対して当該物体を引っ張る方向に外力を加えた場合における、当該物体の伸びと当該物体に加えられた外力との関係から求められる。ヤング定数は、縦弾性係数、曲げ剛性あるいはたわみ剛性などとも称される。具体的に、たとえば、断面積(S)の物体に力(F)が加えられることによって、当該物体の元の長さ(L)が(ΔL)だけ伸びた場合のヤング率(E)は、E=(F/S)/(ΔL/L)であらわされる。
ひげぜんまい108の製造に際しては、まず、積層基板314における活性層313に、第1のマスク315を形成する(図3Aを参照)。第1のマスク315は、機械式時計の駆動機構を構成する時計部品の形状に基づく第1のパターンをなす。ここに、第1のマスク形成工程を実現することができる。
機械式時計の駆動機構101を構成する時計部品をひげぜんまい108によって実現するこの実施の形態において、第1のパターンは、具体的には、たとえば、ひげぜんまい108の形状を規定する部品パターンと、ひげぜんまい108を囲むように設けられる枠パターンと、接続用パターンと、からなるパターンとすることができる(図4を参照)。部品パターンと枠パターンとを接続する接続用パターンは、たとえば、ひげぜんまい108における外周側の端部(ひげ持203)と、ひげぜんまい108の周囲に設けられる枠パターンと、を接続する。
第1のマスク315の形成に際しては、まず、活性層313のおもて面に、フォトレジストを塗布し、塗布したフォトレジストを、ひげぜんまい108の形状に基づいた第1のパターン状に露光する。フォトレジストは、光(あるいは電子線など)に露光されることによって現像液に対する溶解性などの物性が変化する感光性の物質であって、たとえば、露光されることによって現像液に対して溶解性が増大するポジ型のフォトレジストを用いることができる。あるいは、ポジ型のフォトレジストに代えて、たとえば、露光されることによって現像液に対して溶解性が低下するネガ型のフォトレジストを用いてもよい。
そして、フォトレジストを塗布した後、露光後の積層基板314を現像液によって処理することによって、活性層313のおもて面にひげぜんまい108の形状に基づいた第1のマスク315を形成する。このような、フォトリソグラフィ技術を用いて第1のマスク315を形成することにより、第1のマスク315を、ひげぜんまい108の形状にしたがって高精度に形成することができる。
つぎに、積層基板314における支持層311に、第2のマスク316を形成する(図3Aを参照)。第2のマスク316は、機械式時計の駆動機構101を構成する時計部品の形状に基づく第1のパターンに対応する第2のパターンをなす。ここに、第2のマスク形成工程を実現することができる。
機械式時計の駆動機構101を構成する時計部品をひげぜんまい108によって実現するこの実施の形態において、第2のパターンは、具体的には、たとえば、第1のパターンとは線対称あるいは鏡像関係にあるパターンであって、第1のパターンと同様に、部品パターンと枠パターンと接続用パターンとからなるパターンとすることができる(図4を参照)。
第2のパターンは、具体的には、たとえば、積層基板314のおもて面に第1のマスク315を形成し、かつ、積層基板314の裏面に第2のマスク316を形成した状態において、図3Aにおける紙面上下方向に沿って当該積層基板314をおもて面または裏面から見た場合に、第1のマスク315と第2のマスク316とが重なり合うようなパターンとすることができる。
第2のマスク316の形成に際しては、まず、支持層311の裏面に、フォトレジストを塗布し、塗布したフォトレジストを、ひげぜんまい108の形状に基づいた第2のパターン状に露光する。そして、フォトレジストを塗布した後、露光後の積層基板314を現像液によって処理する。これによって、支持層311の裏面にひげぜんまい108の形状に基づいた第2のマスク316を形成することができる。このような、フォトリソグラフィ技術を用いて第2のマスク316を形成することにより、第2のマスク316を、ひげぜんまい108の形状にしたがって高精度に形成することができる。
第1のマスク形成工程と第2のマスク形成工程とをおこなう順序は、上記のように第1のマスク形成工程をおこなった後に第2のマスク形成工程をおこなう順序に限らない。具体的には、第2のマスク形成工程をおこない、その後に第1のマスク形成工程をおこなってもよい。
第1のマスク形成工程および第2のマスク形成工程のいずれの工程を先におこなう場合も、積層基板314のおもて面に第1のマスク315を形成し、かつ、積層基板314の裏面に第2のマスク316を形成した状態において、図3Aにおける紙面上下方向に沿って当該積層基板314をおもて面または裏面から見た場合に、第1のマスク315と第2のマスク316とが重なり合うように、第1のマスク315および第2のマスク316を形成する。
つぎに、活性層313に対して、第1のマスク315部分を残して残余を除去するエッチング加工をおこなう(図3Bを参照)。ここに、活性層313に対する第1のマスク315を用いたエッチング加工をおこなう工程によって、第1のエッチング工程を実現することができる。活性層313に対するエッチング加工は、エッチングガスなどの反応性の気体、イオン、ラジカルなどによって材料をエッチングするドライエッチング加工によって実現することができる。
活性層313に対するこのドライエッチング加工は、ドライエッチング加工の一つである反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching;RIE)が好ましく、深掘りRIE技術によるドライエッチング加工によって実現することがより好ましい。活性層313に対するエッチング加工を、深掘りRIE技術によるドライエッチング加工によって実現することにより、活性層313に対して高い精度での微細加工をおこなうことができる。具体的には、この実施の形態の時計部品の製造方法においては、たとえば、SF6(六フッ化硫黄)とC48(八フッ化シクロブタン)との混合ガス(SF6+C4F8)を用いて、活性層313を深掘りRIE技術でドライエッチングする。
反応性イオンエッチングは、ドライエッチングに分類される微細加工技術の一つであり、反応室内でエッチングガスに電磁波などを与えプラズマ化するとともに、試料が載置される陰極に高周波電圧を印加することにより試料とプラズマの間に自己バイアス電位を生じさせ、この自己バイアス電位によってプラズマ中のイオン種やラジカル種を試料方向に加速して衝突させ、イオンによるスパッタリングと、エッチングガスの化学反応とを同時に生じさせることによって試料の加工をおこなう。深掘りRIE(Deep Reactive Ion Etching)は、反応性イオンエッチングの一つであり、狭く深い範囲のエッチング加工、すなわち、アスペクト比の高いエッチング加工をおこなうことができる。
つぎに、支持層311に対して、第2のマスク316部分を残して残余を除去するエッチング加工をおこなう(図3Cを参照)。ここに、支持層311に対する第2のマスク316を用いたエッチング加工をおこなう工程によって、第2のエッチング工程を実現することができる。支持層311に対するエッチング加工は、上記の活性層313に対するエッチング加工と同様に、ドライエッチング加工によって実現することができる。
支持層311に対するエッチング加工は、深掘りRIE技術によるドライエッチング加工によって実現することがより好ましい。支持層311に対するエッチング加工を、深掘りRIE技術によるドライエッチング加工によって実現することにより、支持層311に対して高い精度での微細加工をおこなうことができる。
活性層313に対するエッチング加工および支持層311に対するエッチング加工をおこなうことにより、積層基板314においては、ひげぜんまい108を構成する部分と当該部分の周囲に位置する残余の積層基板314とは、酸化膜312のみによってつながった状態とされる。すなわち、ひげぜんまい108を構成する部分は、残余の積層基板314に対して、酸化膜312のみを介してつながってはいるものの、なかば、中空に浮いた状態とされる。また、ひげぜんまい108を構成する部分においては、ぜんまい部201において細いコイル形状をなす隙間部分(つまり、巻回するコイル形状の周回の間部分)に、酸化膜312が残存した状態とされる。
第1のエッチング工程と第2のエッチング工程とをおこなう順序は、上記のように第1のエッチング工程をおこなった後に第2のエッチング工程をおこなう順序に限らない。具体的には、第2のエッチング工程をおこない、その後に第1のエッチング工程をおこなってもよい。
つぎに、活性層313に対するエッチング加工(第1のエッチング工程)および支持層311に対するエッチング加工(第2のエッチング工程)をおこなうことによって露出された酸化膜312を除去する(図3Dを参照)。酸化膜312は、具体的には、たとえば、フッ酸を用いたウエットエッチングをおこなうことによって除去することができる。ここに、露出された酸化膜312を除去する工程によって除去工程を実現することができる。
上記のように、活性層313に対するエッチング加工および支持層311に対するエッチング加工をおこなうことによって、ひげぜんまい108を構成する部分は、残余の積層基板314に対して、酸化膜312のみを介してつながった状態とされている。このため、フッ酸を用いたウエットエッチングをおこなうと、ひげぜんまい108を構成する部分と残余の積層基板314とをつなぐ酸化膜312が除去される。
また、フッ酸を用いたウエットエッチングをおこなうと、ひげぜんまい108を構成する部分において細いコイル形状をなす隙間部分に残存する酸化膜312が除去される。これにより、ひげぜんまい108を構成する部分は、接続部のみを介して残余の積層基板314につながった状態とされ、ひげぜんまい108を構成する部分のみが中空に浮いた状態とされる。
さらに、第1のマスク315および第2のマスク316を除去する。第1のマスク315および第2のマスク316は公知の各種の方法によって容易に除去可能であるため、第1のマスク315および第2のマスク316の除去方法や除去手順などについては説明を省略する。第1のマスク315の除去や第2のマスク316の除去は、酸化膜312を除去した後におこなうものに限らない。酸化膜312を除去する前に、第1のマスク315の除去や第2のマスク316の除去をおこなってもよい。また、酸化膜312を除去する前に、第1のマスク315の除去または第2のマスク316のうちのいずれか一方の除去をおこない、酸化膜312を除去した後に他方の除去をおこなってもよい。
第1のマスク315および第2のマスク316(あるいは少なくとも一方)は、除去せず、残しておいてもよい。完成した時計部品(ひげぜんまい108)において第1のマスク315や第2のマスク316を残しておくことにより、残されたマスク315、316によって、たとえば鑑賞を目的として時計部品の外観を変化させることが可能になる。
また、第1のマスク315および第2のマスク316がフォトレジストであれば、第1のマスク315や第2のマスク316を残しておいたひげぜんまい108が組み込まれた時計において、当該時計が落下するなどして衝撃が加わったために、意図せずにひげぜんまい108の近傍に配設される別の時計部品と接触したとしても、その衝撃を緩和することができる。すなわち、フォトレジストは樹脂であるから、接触の際にクッションとなり、その衝撃を緩和することができる。
その後、残余の積層基板314からひげぜんまい108を構成する部分(図4における符号401を参照)を取り外す。これにより、ひげぜんまい108が製造される。ひげぜんまい108は、たとえば、残余の積層基板314とひげぜんまい108を構成する部分とをつなぐ部分(図4における符号403を参照)をピンセットなどによってつまみ、当該部分を折って、残余の積層基板314から、ひげぜんまい108を構成する部分を分離することによって取り外すことができる。
図4は、活性層313および支持層311に対するエッチング加工をおこなった後の積層基板314を示す平面図である。図4においては、活性層313および支持層311に対するエッチング加工をおこなった後の積層基板314を、当該積層基板314における活性層313側および支持層311側から見た状態を示している。
図4における紙面左側は、積層基板314に対して、第1のマスク315を用いて第1のエッチング加工をおこなった面(すなわち、おもて面)を示している。図4における紙面右側は、積層基板314に対して、第2のマスク316を用いて第2のエッチング加工をおこなった面(すなわち、裏面)を示している。
図4において、フッ酸を用いたウエットエッチングをおこなうことにより、活性層313には、部品パターンに基づく部品部401と、枠パターンに基づく枠部402と、接続用パターンに基づく接続部403と、が形成される。接続部403は、部品部401と枠部402とを接続する。接続部403の外形寸法(太さ)は、ひげぜんまい108のひげ玉202となる部分の外形寸法(太さ)よりも細い。活性層313および支持層311に対するフッ酸を用いたウエットエッチングをおこなった後の積層基板314においては、枠部402の内側に、接続部403を介して接続された部品部401が浮いている状態とされる。
上述した実施の形態においては、フォトレジストを用いて第1のマスク315や第2のマスク316を形成したが、第1のマスク315や第2のマスク316はフォトレジストに限るものではない。第1のマスク315や第2のマスク316はフォトレジストに代えて、たとえば、メタルマスクを用いてもよい。メタルマスクを用いたエッチング加工については、公知の技術を用いて実現可能であるため説明を省略する。
上述した実施の形態においては、支持層311のおもて面側に酸化膜312および活性層313を順次形成した積層基板(SOI基板)314を用いてひげぜんまい108を製造する例について説明したが、積層基板314を実現するSOI基板の製造方法はこれに限るものではない。この発明にかかる実施の形態の機械式時計の駆動機構101を構成する時計部品(ひげぜんまい108)は、2枚のシリコン基板(片方は表面にSiO2膜を形成済)を貼り合わせるウェハ貼り合わせ法(Wafer Bondingやスマートカット法)、まずシリコン薄膜を構成した後その表面にSiO2を形成してから、それをシリコン基板に貼り合わせるSeed Method方法などのいずれの製造方法によって製造されたSOI基板を積層基板として用いてもよい。
この発明にかかる実施の形態の製造方法によって製造された時計部品は、シリコンからなるため、透明あるいは半透明の外観をなす。従来、時計に組み込まれた時計部品を、外部から視認できるように構成した時計が存在する。このような時計において、この発明にかかる実施の形態の製造方法によって製造された時計部品を、外部から視認できるように組み込んだ場合、利用者は、当該時計部品ごしに、当該時計部品よりも内側に組み込まれた別の時計部品を視認することができる。
このように、透明あるいは半透明の時計部品を、敢えて、外部から視認できるようにすることによって、当該時計部品が組み込まれた時計の美観を向上させ、当該時計を特徴付けることができる。さらに、時計における複数の時計部品を、この発明にかかる実施の形態の製造方法によって製造し、これらが外部から視認できるように時計に組み込むことにより、当該時計の美観を向上させ、当該時計を一層特徴付けることができる。
以上説明したように、この実施の形態の時計部品の製造方法は、支持層311と酸化膜312と活性層313とを順次積層した3層構造をなす積層基板314(SOI基板)によって実現される積層基板314の支持層311に対して、第1のマスク315を形成し、当該第1のマスク315部分を残して残余を除去する第1のエッチング工程をおこなう。また、この実施の形態の時計部品の製造方法は、活性層313に対して、第2のマスク316を形成し、当該第2のマスク316部分を残して残余を除去する第2のエッチング工程をおこなう。そして、第1のエッチング工程の後であって、かつ、第2のエッチング工程の後に、第1のエッチング工程および第2のエッチング工程によって露出された酸化膜312を除去する除去工程をおこなうようにしたことを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態の時計部品の製造方法によれば、シリコンからなる支持層311および活性層313の間に、シリコンのヤング率の温度特性とは逆のヤング率の温度特性を示すSiO2からなる酸化膜312を備えた3層構造の時計部品を製造することができる。
上記のように、ひげぜんまい108は規則的に所定の歩度でてんぷ104を往復運動させる必要があり、加工精度のばらつきや金属が有する内部応力の影響などに起因して設計通りの形状が得られないことがあった金属製のひげぜんまい108を用いた機械式時計においては、てんぷ104が等時性のある運動ができず、結果として時計の歩度ずれが生じてしまうという不具合を生じていた。
このような歩度ずれを調整する手段として、従来、てんぷ104の周期を調整する緩急機構を設ける技術があった。緩急機構は、ひげぜんまい108の外周部に接触するひげ棒(あるいはひげ受)を備え、ひげ棒(あるいはひげ受)と一体的に設けられた緩急針を操作することによって、ひげぜんまい108に対するひげ棒(あるいはひげ受)の接触位置を調整してひげぜんまい108の有効長さを変えることによって時計の歩度を調整する。
しかし、緩急機構を備えた時計においては、てん輪109の回転角の変化や時計の姿勢の変化などによりひげぜんまい108の外周部がひげ棒に不用意に接触して、ひげぜんまい108の伸縮を制限してしまうことがあった。ひげぜんまい108の伸縮が制限されるとてんぷ104の往復運動に影響が生じるため、緩急機構を設ける従来の技術では、緩急機構を設けることによって歩度が不安定になってしまうことがあった。また、緩急機構は緩急針を操作する必要があるため、構造体としてある程度の大きさの空間が必要であり、時計の小型化の妨げとなっていた。
そして、このような不具合を回避するために、金属材料に代えて、水晶やシリコンなどの結晶構造を有する材料を用いた従来の技術では、金属によるひげぜんまいよりも加工精度のばらつきは少ないものの、耐久性を高めるための非晶質材料の成膜状態によって外形寸法にばらつきが生じてしまうため、水晶やシリコンを材料としたひげぜんまいであっても時計の歩度精度を高めるための歩度調整をおこなう緩急機構が必要であった。このように、耐久性、温度特性、加工精度をすべて満たすことが困難であった。
一般的に、ヤング率は、温度の変動に応じて変動するという温度特性を示す。このため、水晶やシリコンの結晶構造を有する材料を単体で用いて製造した時計部品は、温度の変動にともなうヤング率の変動に起因して、環境温度に応じて性能が変動してしまう。上記のように、ひげぜんまい108などの時計部品は非常に精密な精度が要求されるため、温度の変化にともなう性能の変動は、計時の精度にばらつきを生じる原因となる。
これに対し、この発明にかかる実施の形態の時計部品の製造方法によれば、積層基板314の構造を利用することにより、シリコンのヤング率の温度特性を補償するための酸化膜312を別途設ける工程を経ることなく、シリコンからなる支持層311および活性層313の間に、シリコンのヤング率の温度特性とは逆のヤング率の温度特性を示すSiO2からなる酸化膜312を備えた3層構造の時計部品を製造することができる。
上記のように、SiO2のヤング率の温度特性はSiのヤング率とは逆の温度特性を示すことから、時計部品においては支持層311および活性層313の温度特性と酸化膜312の温度特性とが互いに打ち消す方向に作用する。これにより、温度特性に優れた時計部品を製造することができる。また、この発明にかかる実施の形態の時計部品の製造方法によれば、シリコンからなる支持層311と活性層313との間において酸化膜312を一体的に備えた時計部品を製造することができるので、耐久性に優れた時計部品を製造することができる。
また、この発明にかかる実施の形態の時計部品の製造方法によれば、たとえば、シリコン単結晶からなるシリコン基板を時計部品の形状にエッチングした後に別途SiO2を成膜する場合と比較して、時計部品を精度よく製造することができる。これにより、成膜状態のばらつきなどに起因して、時計部品ごとに振動数の精度にばらつきが生じることを抑えることができる。
このように、この発明にかかる実施の形態の時計部品の製造方法によれば、温度特性に優れ、耐久性の高い時計部品を、高精度に製造することができ、時計部品ごとの振動数のばらつきを抑えることができる。そして、この発明にかかる実施の形態の時計部品の製造方法によって製造された時計部品を用いて時計を構成することにより、時計による計時の精度を高く維持することができる。
さらに、酸化膜312を一体的に備えた時計部品を用いて機械式時計の駆動機構101を構成することにより、当該機械式時計における計時の精度を確保して、歩度調整を不要とすることができる。そして、歩度調整を不要とすることにより、歩度調整を実現するための緩急機構を不要とすることができるので、このような時計部品により構成された駆動機構101を備えた機械式時計の小型化を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の時計部品の製造方法は、第1のエッチング工程および第2のエッチング工程において、深掘りRIEによってエッチング加工をおこなうことを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態の時計部品の製造方法によれば、第1のエッチング工程および第2のエッチング工程を深掘りRIEによっておこなうことにより、精度の高い時計部品を製造することができる。これにより、この発明にかかる実施の形態の時計部品の製造方法によれば、温度特性に優れ、時計部品ごとの振動数のばらつきを抑えた、より加工精度の高い時計部品を製造することができる。
上述した実施の形態においては、この発明にかかる製造方法によって製造される時計部品をひげぜんまい108によって実現する例について説明したが、この発明にかかる製造方法によって製造される時計部品はひげぜんまい108によって実現されるものに限らない。この発明にかかる製造方法によって製造される時計部品は、たとえば、面的な広がりと、当該面の広がり方向に対して直交する厚みとを有する時計部品であることが好ましい。
「面的な広がり」は、たとえば、図3Aにおける紙面左右方向への広がりであって、当該広がりをなす面は、支持層311のおもて面や裏面、酸化膜312のおもて面や裏面、活性層313のおもて面や裏面などによって実現することができる。「厚み」は、たとえば、図3Aにおける紙面上下方向の寸法によって規定することができる。
具体的には、この発明にかかる製造方法によって製造される時計部品は、ひげぜんまい108に代えて、あるいは、ひげぜんまい108に加えて、脱進機103を構成するがんぎ車106やアンクル107、てんぷ104を構成するてん輪109、輪列105を構成する二番車110、三番車111、四番車112などによって実現されるものであってもよい。
このように、この実施の形態の時計部品は、面的な広がりと、当該面の広がり方向に対して直交する厚みとを有し、機械式時計の駆動機構101を構成する時計部品であって、厚み方向に沿って、シリコンからなる支持層311、二酸化珪素からなる酸化膜312、および、シリコンからなる活性層313の順に積層された構造であることを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態の時計部品によれば、上記のように、シリコンからなる支持層311および活性層313の間に設けられるSiO2からなる酸化膜312が、シリコンのヤング率の温度特性とは逆のヤング率の温度特性を示すため、時計部品においては支持層311および活性層313の温度特性と酸化膜312の温度特性とが互いに打ち消す方向に作用する。これにより、環境温度の変化に対する変形や特性の変化の少ない、いわゆる温度特性に優れた時計部品を提供することができる。
また、この発明にかかる実施の形態の時計部品によれば、支持層311や活性層313をなすシリコンよりも硬い酸化膜312を一体的に備えた時計部品を製造することができる。これにより、耐久性に優れた時計部品を製造することができる。
また、この発明にかかる時計部品は、機械式時計の駆動機構101を構成し、脱進機103を構成するがんぎ車106およびアンクル107、てんぷ104を構成するひげぜんまい108およびてん輪109、輪列105を構成する二番車110、三番車111、四番車112などの歯車の少なくとも一つであることを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態の時計部品によれば、機械式時計において計時のために駆動される時計部品の少なくとも一つを、支持層311、酸化膜312および活性層313が厚み方向に沿ってこの順に積層された3層構造とすることにより、機械式時計における計時の精度を確保することができる。これにより、計時精度の高い機械式時計を製造することができる。
以上のように、この発明にかかる時計部品の製造方法および時計部品は、時計における機械部品を構成する時計部品の製造方法および時計部品に有用であり、特に、機械式時計の駆動機構を構成する時計部品の製造方法および時計部品に適している。
101 駆動機構
102 香箱
103 脱進機
104 調速機構(てんぷ)
105 輪列
106 がんぎ車
107 アンクル
108 ひげぜんまい
109 てん輪
110 二番車
111 三番車
112 四番車
311 支持層
312 酸化膜
313 活性層
314 積層基板

Claims (4)

  1. シリコンからなる支持層の一面側に二酸化珪素からなる酸化膜を介して積層されたシリコンからなる活性層を備えた積層基板の前記活性層に、時計の駆動機構を構成する時計部品の形状に基づく第1のパターンの第1のマスクを形成する第1のマスク形成工程と、
    前記活性層に対して、前記第1のマスク形成工程において形成された第1のマスク部分を残して残余を除去するエッチング加工をおこなう第1のエッチング工程と、
    前記支持層に、前記第1のパターンに対応する第2のパターンの第2のマスクを形成する第2のマスク形成工程と、
    前記支持層に対して、前記第2のマスク形成工程において形成された第2のマスク部分を残して残余を除去するエッチング加工をおこなう第2のエッチング工程と、
    前記第1のエッチング工程の後であって、かつ、前記第2のエッチング工程の後に、前記第1のエッチング工程および前記第2のエッチング工程によって露出された前記酸化膜を除去する除去工程と、
    を含むことを特徴とする時計部品の製造方法。
  2. 前記第1のエッチング工程および前記第2のエッチング工程は、深掘りRIEによってエッチング加工をおこなうことを特徴とする請求項1に記載の時計部品の製造方法。
  3. 面的な広がりと、当該面の広がり方向に対して直交する厚みとを有し、時計の駆動機構を構成する時計部品であって、
    前記厚み方向に沿って、シリコンからなる支持層、二酸化珪素からなる酸化膜、および、シリコンからなる活性層の順に積層された構造であることを特徴とする時計部品。
  4. 機械式時計の駆動機構を構成し、脱進機を構成するがんぎ車およびアンクル、調速機構を構成するひげぜんまいおよびてん輪、輪列を構成する歯車の少なくとも一つであることを特徴とする請求項3に記載の時計部品。
JP2015010655A 2015-01-22 2015-01-22 時計部品の製造方法および時計部品 Pending JP2016133494A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015010655A JP2016133494A (ja) 2015-01-22 2015-01-22 時計部品の製造方法および時計部品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015010655A JP2016133494A (ja) 2015-01-22 2015-01-22 時計部品の製造方法および時計部品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016133494A true JP2016133494A (ja) 2016-07-25

Family

ID=56426049

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015010655A Pending JP2016133494A (ja) 2015-01-22 2015-01-22 時計部品の製造方法および時計部品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016133494A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018044835A (ja) * 2016-09-14 2018-03-22 セイコーエプソン株式会社 機械部品の製造方法、及び時計の製造方法
CN108089426A (zh) * 2016-11-23 2018-05-29 斯沃奇集团研究和开发有限公司 用于钟表的柔性条形件及其制造方法
CN109870891A (zh) * 2017-12-05 2019-06-11 劳力士有限公司 制造钟或表的部件的方法
JP2021015083A (ja) * 2019-07-16 2021-02-12 セイコーエプソン株式会社 時計用部品、時計用ムーブメントおよび時計

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018044835A (ja) * 2016-09-14 2018-03-22 セイコーエプソン株式会社 機械部品の製造方法、及び時計の製造方法
CN108089426A (zh) * 2016-11-23 2018-05-29 斯沃奇集团研究和开发有限公司 用于钟表的柔性条形件及其制造方法
EP3326963A1 (fr) * 2016-11-23 2018-05-30 The Swatch Group Research and Development Ltd Lame flexible pour l'horlogerie, et procede de fabrication
JP2018084577A (ja) * 2016-11-23 2018-05-31 ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド 計時器用のフレキシブルな細長材及びその製造方法
US10579020B2 (en) 2016-11-23 2020-03-03 The Swatch Group Research And Development Ltd Flexible strip for horology and method for manufacturing the same
CN109870891A (zh) * 2017-12-05 2019-06-11 劳力士有限公司 制造钟或表的部件的方法
JP2021015083A (ja) * 2019-07-16 2021-02-12 セイコーエプソン株式会社 時計用部品、時計用ムーブメントおよび時計
JP7238657B2 (ja) 2019-07-16 2023-03-14 セイコーエプソン株式会社 時計用部品、時計用ムーブメントおよび時計

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5122073B2 (ja) ひげゼンマイ付きテンプの調速機とその製造方法
JP2016133494A (ja) 時計部品の製造方法および時計部品
US9605965B2 (en) Micromachined piezoelectric x-axis gyroscope
JP2016133495A (ja) 時計部品の製造方法および時計部品
JPWO2015068399A1 (ja) 電子部品の製造方法
JP2017044533A (ja) 時計部品の製造方法
KR101599570B1 (ko) 2개의 평면에서의 전극을 구비한 마이크로 기계 부품 제조 방법 및 마이크로 기계 부품
JP5694007B2 (ja) Mems揺動装置
JP2012167808A (ja) 機械部品、機械組立体、機械部品の製造方法および時計
JP2009113128A (ja) マイクロ揺動素子およびマイクロ揺動素子製造方法
JP2017044543A (ja) シリコン加工物の製造方法およびシリコン加工物
JP2017219520A (ja) 時計部品の製造方法および時計部品
JP6831025B2 (ja) ひげぜんまい
JP5171489B2 (ja) 異方性エッチングによる構造体の作製方法、及びエッチングマスク付きシリコン基板
JP5162387B2 (ja) 圧電振動片の製造方法
JP7087873B2 (ja) 時計部品の製造方法
US20230102578A1 (en) Method Of Manufacturing Vibration Element
US20230097025A1 (en) Method Of Manufacturing Vibration Element
JP6055273B2 (ja) 圧電素子の製造方法
JP2010145259A (ja) Memsセンサの製造方法およびmems
JP2017090065A (ja) 時計部品および時計部品の製造方法
US20060279168A1 (en) Laser scanner having low dynamic deformation
JP2018025467A (ja) 時計用部品
JP5038078B2 (ja) 圧電振動子の製造方法
TW202035890A (zh) 矽游絲的製造方法