JP2016098118A - 分相ガラス - Google Patents

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篤 虫明
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Abstract

【課題】焼結体からなる光取り出し層を形成しなくても、有機EL素子の光取り出し効率を高めることができ、しかも生産性に優れるガラスを創案する。【解決手段】本発明の分相ガラスは、異なる相に分相している分相ガラスであって、ガラス組成として、質量%で、SiO240〜75%、Al2O30.1〜20%、B2O310〜40%を含有し、分相温度が液相温度よりも高いことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、分相ガラスに関し、具体的には、光散乱機能を有する分相ガラスに関する。
近年、家電製品の普及、大型化、多機能化等の理由から、家庭等の生活空間で消費されるエネルギーが増えている。特に、照明機器のエネルギー消費が多くなっている。このため、高効率の照明が活発に検討されている。
照明用光源は、限られた範囲を照らす「指向性光源」と、広範囲を照らす「拡散光源」とに分けられる。LED照明は、「指向性光源」に相当し、白熱球の代替として採用されつつある。その一方で、「拡散光源」に相当する蛍光灯の代替光源が望まれており、その候補として、有機EL(エレクトロルミネッセンス)照明が有力である。
有機EL素子は、ガラス板と、陽極である透明導電膜と、電流の注入によって発光するエレクトロルミネッセンスを呈する有機化合物からなる一層又は複数層の発光層を含む有機EL層と、陰極とを備えた素子である。有機EL素子に用いられる有機EL層として、低分子色素系材料、共役高分子系材料等が用いられており、発光層を形成する場合、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層等との積層構造が形成される。このような積層構造を有する有機EL層を、陽極と陰極の間に配置し、陽極と陰極に電界を印加することにより、陽極である透明電極から注入された正孔と、陰極から注入された電子とが、発光層内で再結合し、その再結合エネルギーによって発光中心が励起されて、発光する。
特開2012−25634号公報
有機EL素子は、携帯電話、ディスプレイ用途として検討が進められており、一部では既に実用化されている。また、有機EL素子は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の薄型テレビと同等の発光効率を有している。
しかし、有機EL素子を照明用光源に適用するためには、輝度が未だ実用レベルに到達しておらず、更なる発光効率の改善が必要である。
この問題を解決するために、透明導電膜等とガラス板の間に、光取り出し層を形成することが検討されている。例えば、特許文献1には、ソーダガラス板の表面に、高屈折率のガラスフリットを焼結させた光取り出し層を形成すると共に、光取り出し層内に散乱物質を分散させることにより、光取り出し効率を高めることも記載されている。
しかし、ガラス板の表面に光取り出し層を形成するためには、ガラス板の表面にガラスペーストを塗布する印刷工程が必要になり、この工程は生産コストの高騰を招く。更に、ガラスフリット中に散乱粒子を分散させる場合、散乱粒子自体の吸収により光取り出し層の透過率が低くなる。
本発明は、上記事情に鑑み成されたものであり、その技術的課題は、焼結体からなる光取り出し層を形成しなくても、有機EL素子の光取り出し効率を高めることができ、しかも生産性に優れるガラスを創案することである。
本発明者等は、鋭意検討の結果、分相ガラスのガラス組成範囲を規制すると共に、液相粘度を高めることにより、上記技術的課題を解決し得ることを見出し、本発明として提案するものである。すなわち、本発明の分相ガラスは、異なる相に分相している分相ガラスであって、ガラス組成として、質量%で、SiO 40〜75%、Al 0.1〜20%、B 10〜40%を含有し、分相温度が液相温度よりも高いことを特徴とする。ここで、「液相温度」は、30メッシュ(篩目開き500μm)を通過し、50メッシュ(篩目開き300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れて、温度勾配炉中に24時間保持した後、結晶が析出する温度を測定した値を指す。「分相温度」は、30メッシュ(篩目開き500μm)を通過し、50メッシュ(篩目開き300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れて、温度勾配炉中に24時間保持した後、明確な白濁が認められる温度を指す。
本発明の分相ガラスは、ガラス組成として、質量%で、SiO 40〜75%、Al 0.1〜20%、B 10〜40%を含有する。これにより、ガラスの分相性を高めることができる。その結果、有機ELデバイスに適用した場合、有機EL層からガラスへ入射した光が、異なる相の界面で散乱するため、光を外部に取り出し易くなり、結果として、焼結体からなる光取り出し層を形成しなくても、光取り出し効率を高めることができる。
本発明の分相ガラスは、分相温度が液相温度よりも高い。このようにすれば、成形条件、徐冷条件の制御により、成形時に失透結晶を析出させることなく、ガラスを分相させることが可能になる。結果として、分相を生じさせる別途の熱処理工程が不要になり、分相ガラスの生産コストを低減することが可能になる。
第二に、本発明の分相ガラスは、ガラス組成として、質量%で、SiO 50〜70%、Al 5〜20%、B 15〜35%、LiO+NaO+KO 0〜10%、MgO+CaO 0.1〜20%、SrO+BaO 0〜20%を含有することが好ましい。ここで、「LiO+NaO+KO」は、LiO、NaO及びKOの合量を指す。「MgO+CaO」は、MgOとCaOの合量を指す。「SrO+BaO」は、SrOとBaOの合量を指す。
第三に、本発明の分相ガラスは、クラック抵抗が200gf以上であることが好ましい。このようにすれば、有機ELデバイスの製造工程で分相ガラスが破損し難くなり、有機ELデバイスの歩留まりを高めることができる。ここで、「クラック抵抗」とは、クラック発生率が50%となる荷重のことを指す。また、「クラック発生率」は、次のようにして測定した値を指す。まず湿度30%、温度25℃に保持された恒温恒湿槽内において、所定荷重に設定したビッカース圧子をガラス表面(光学研磨面)に15秒間打ち込み、その15秒後に圧痕の4隅から発生するクラックの数をカウント(1つの圧痕につき最大4とする)する。このようにして圧子を50回打ち込み、総クラック発生数を求めた後、(総クラック発生数/200)×100(%)の式により求める。
第四に、本発明の分相ガラスは、液相粘度が103.5dPa・s以上であることが好ましい。このようにすれば、成形時に失透結晶を析出させることなく、ガラスを効果的に分相させることが可能になる。結果として、分相を生じさせる別途の熱処理工程が不要になり、分相ガラスの生産コストを低減することが可能になる。ここで、「液相粘度」は、液相温度におけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定した値を指す。
第五に、本発明の分相ガラスは、分相粘度が液相粘度よりも低いことが好ましい。このようにすれば、成形時に失透結晶を析出させることなく、ガラスを効果的に分相させることが可能になる。結果として、分相を生じさせる別途の熱処理工程が不要になり、分相ガラスの生産コストを低減することが可能になる。ここで、「分相粘度」は、分相温度におけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定した値を指す。
第六に、本発明の分相ガラスは、ヤング率が70GPa以下であることが好ましい。このようにすれば、分相ガラスを薄板化して、フレキシブル有機ELデバイスを適用する際に、分相ガラスの曲げ応力を低減することができる。結果として、フレキシブル有機ELデバイスの破損確率を低減することができる。
第七に、本発明の分相ガラスは、屈折率ndが1.55以下であることが好ましい。このようにすれば、高価な重金属元素の添加量を低減することができる。結果として、分相ガラスのバッチコストを低減することができる。ここで、「屈折率nd」は、屈折率測定器(例えば、島津製作所社製の屈折率測定器KPR−2000)で測定したd線の値を指す。測定例を挙げると、まず25mm×25mm×約3mmの直方体試料を作製し、次に(徐冷点+30℃)から(歪点−50℃)までの温度域を0.1℃/分の冷却速度で徐冷処理した後、屈折率ndが整合する浸液を浸透させながら、屈折率測定器により屈折率ndを測定することができる。
第八に、本発明の分相ガラスは、平板形状であること、つまりガラス板であることが好ましい。
第九に、本発明の分相ガラスは、オーバーフローダウンドロー法で成形されてなることが好ましい。
第十に、本発明の分相ガラスは、成形時に分相してなることが好ましい。
第十一に、本発明の分相ガラスは、有機EL照明に用いることが好ましい。
本発明の分相ガラスにおいて、少なくとも一つの相の分相粒子の平均粒子径は0.01〜5μm、特に0.02〜1μmが好ましい。分相粒子の平均粒子径が小さ過ぎると、有機EL層から放射した光が、異なる相の界面で散乱し難くなる。一方、分相粒子の平均粒子径が大き過ぎると、散乱強度が強くなり過ぎて、全光線透過率が低下する虞がある。
本発明の分相ガラスは、ガラス組成として、質量%で、SiO 40〜75%、Al 0.1〜20%、B 10〜40%を含有し、好ましくはSiO 50〜70%、Al 5〜20%、B 15〜35%、LiO+NaO+KO 0〜10%、MgO+CaO 0.1〜20%、SrO+BaO 0〜20%を含有する。以下、上記のように各成分を限定した理由を説明する。なお、各成分の含有範囲の説明において、%表示は、質量%を意味する。
SiOの含有量は40〜75%が好ましい。SiOの含有量が多くなると、溶融性、成形性が低下し易くなる。よって、SiOの好適な上限範囲は75%以下、70%以下、特に65%以下である。一方、SiOの含有量が少なくなると、ガラス網目構造を形成し難くなり、ガラス化が困難になる。またガラスの粘性が低下し過ぎて、高い液相粘度を確保し難くなる。よって、SiOの好適な下限範囲は40%以上、50%以上、特に55%以上である。
Alの含有量は0.1〜20%が好ましい。Alは、耐失透性、クラック抵抗を高める成分であるが、その含有量が多過ぎると、分相性が低下し易くなることに加えて、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆に耐失透性が低下し易くなる。よって、Alの好適な上限範囲は20%以下、15%以下、特に10%以下である。一方、Alの含有量が少な過ぎると、耐失透性、クラック抵抗が低下し易くなる。よって好適な下限範囲は0.1%以上、1%以上、3%以上、4%以上、特に5%以上である。
の含有量は10〜40%が好ましい。Bは、分相性、クラック抵抗を高める成分であるが、その含有量が多過ぎると、耐失透性が低下し易くなる。よって、Bの好適な上限範囲は40%以下、30%以下、特に25%以下であり、好適な下限範囲は10%以上、15%以上、特に20%以上である。
質量比SiO/(Al+B)は、分相性を高める観点から、好ましくは3以下、2.5以下、2以下、特に1.8以下である。なお、「SiO/(Al+B)」は、SiOの含有量をAlとBの合量で割った値である。
LiO、NaO及びKOは、分相性を高める成分であるが、これらの成分の含有量が多過ぎると、液相粘度が低下し易くなり、また歪点が低下し易くなる。更に、酸によるエッチング工程において、アルカリ成分が溶出し易くなる。よって、LiO+NaO+KOの好適な上限範囲は10%以下、5%以下、1%未満、特に0.5%以下であり、LiO、NaO及びKOのそれぞれの好適な上限範囲も10%以下、5%以下、1%未満、特に0.5%以下である。
MgOとCaOは、クラック抵抗、屈折率、ヤング率、歪点を高める成分であると共に、高温粘度を低下させる成分であるが、これらの成分を多量に含有させると、液相温度が上昇して、耐失透性が低下したり、密度が高くなり過ぎる虞がある。よって、MgO+CaOの好適な上限範囲は20%以下、10%以下、7%以下、特に5%以下であり、好適な下限範囲は0.1%以上、0.5%以上、1%以上、2%以上、特に3%以上である。また、MgOの好適な上限範囲は20%以下、10%以下、5%以下、特に2%以下であり、好適な下限範囲は0.1%以上、0.5%以上、特に1%以上である。更に、CaOの好適な上限範囲は20%以下、15%以下、10%以下、9%以下、8%以下、特に7%以下であり、好適な下限範囲は0.1%以上、1%以上、2%以上、特に3%以上である。
SrOとBaOは、耐失透性、屈折率を高める成分であるが、これらの成分を多量に含有させると、クラック抵抗が低下し易くなり、また密度が高くなり易い。よって、SrO+BaOの好適な上限範囲は20%以下、15%以下、10%以下、7%以下、5%以下、3%以下、特に1%以下であり、SrOとBaOのそれぞれの好適な上限範囲も20%以下、15%以下、10%以下、7%以下、5%以下、3%以下、特に1%以下である。
質量比(Al+B+MgO+CaO)/(SrO+BaO)は、クラック抵抗を高める観点から、10以上、20以上、30以上、40以上、特に50以上である。ここで、「(Al+B+MgO+CaO)/(SrO+BaO)」は、Al、B、MgO及びCaOの合量をSrOとBaOの合量で割った値を指す。
上記成分以外にも、例えば、以下の成分を導入することができる。
ZnOは0〜20%が好ましい。ZnOの含有量が多くなると、密度が高くなり易く、またZnOの含有量が多過ぎると、耐失透性が低下し易くなる。よって、ZnOの好適な上限範囲は20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、3%以下、特に1%未満である。
TiOは0〜20%が好ましい。TiOの含有量が多くなると、密度が高くなり易く、またTiOの含有量が多過ぎると、耐失透性が低下し易くなる。よって、TiOの好適な上限範囲は20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、3%以下、特に1%未満である。
ZrOは0〜20%が好ましい。ZrOの含有量が多くなると、密度が高くなり易く、またZrOの含有量が多過ぎると、耐失透性が低下し易くなる。よって、ZrOの好適な上限範囲は20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、3%以下、特に1%未満である。
は、分相性を高める成分であり、その含有量は0〜10%が好ましい。しかし、Pの含有量が多くなると、耐失透性が低下し易くなる。よって、Pの好適な上限範囲は10%以下、7%以下、4%以下、3%以下、特に2%以下であり、好適な下限範囲は0.001%以上、0.01%以上、特に0.1%以上である。
レアメタル酸化物の含有量は合量で0〜10%が好ましい。レアメタル酸化物は、屈折率を高める成分であるが、これらの成分の含有量が多くなると、密度、熱膨張係数が高くなり易く、また耐失透性が低下して、高い液相粘度を確保し難くなる。更に原料コストが上昇して、分相ガラスの生産コストが高騰し易くなる。よって、レアメタル酸化物の好適な上限範囲は10%以下、5%以下、3%以下、1%以下、0.5%以下、特に0.1%以下である。なお、本発明でいう「レアメタル酸化物」は、La、Nd、Gd、CeO等の希土類酸化物、Y、Nb及びTaを指す。
清澄剤として、下記酸化物換算で、As、Sb、SnO、Fe、F、Cl、SO及びCeOの群から選択された一種又は二種以上を合量で0〜3%導入することができる。特に、清澄剤として、SnO、Fe及びCeOが好ましい。一方、AsとSbは、環境的観点から、その使用を極力控えることが好ましく、各々の含有量は0.3%未満、特に0.1%未満が好ましい。ここで、「下記酸化物換算」は、表記の酸化物とは価数が異なる酸化物であっても、表記の酸化物に換算した上で取り扱うことを意味する。
SnOは、高温域で良好な清澄作用を有する成分であると共に、高温粘性を低下させる成分である。SnOの含有量は、好ましくは0〜1%、0.01〜0.5%、0.05〜0.3、特に0.1〜0.3%である。SnOの含有量が多過ぎると、SnOの失透結晶が析出し易くなる。
Feの好適な下限範囲は0.05%以下、0.04%以下、0.03%以下、特に0.02%以下であり、好適な下限範囲は0.001%以上である。
CeOの含有量は0〜3%が好ましい。CeOの含有量が多くなると、耐失透性が低下し易くなる。よって、CeOの好適な上限範囲は3%以下、2%以下、1%以下、特に0.1%以下であり、CeOを導入する場合、CeOの好適な下限範囲は0.001%以上、特に0.01%以上である。
PbOは、高温粘性を低下させる成分であるが、環境的観点から、その使用を極力控えることが好ましい。PbOの含有量は0.5%以下、特に0.1%未満が好ましい。
上記成分以外にも、他の成分を合量で好ましくは10%(望ましくは5%、特に1%)まで導入してもよい。
本発明の分相ガラスは、以下の特性を有することが好ましい。
本発明の分相ガラスは、分相温度が液相温度よりも高い。このようにすれば、成形条件、徐冷条件の制御により、成形時に失透結晶を析出させることなく、ガラスを分相させることが可能になる。結果として、分相を生じさせる別途の熱処理工程が不要になり、分相ガラスの生産コストを低減することが可能になる。分相温度は、好ましくは900℃以上、1000℃以上、特に1100℃以上である。また、分相粘度は、好ましくは107.0dPa・s以下、106.0dPa・s以下、特に105.0dPa・s以下である。このようにすれば、ガラスを効果的に分相させることが可能になる。結果として、分相を生じさせる別途の熱処理工程が不要になり、分相ガラスの生産コストを低減することが可能になる。なお、本発明の分相ガラスは、成形工程及び/又は徐冷工程でガラスが分相することが好ましいが、これらの工程以外、例えば溶融工程でガラスが分相していてもよい。
液相粘度は、103.5dPa・s以上、104.0dPa・s以上、104.5dPa・s以上、105.0dPa・s以上、105.5dPa・s以上、特に106.0dPa・s以上である。また、液相温度は、好ましくは1200℃以下、1150℃以下、1100℃以下、特に1050℃以下である。このようにすれば、成形時にガラスが失透し難くなる。更にオーバーフローダウンドロー法、フロート法等によりガラス板を成形し易くなる。
クラック抵抗は、好ましくは200gf以上、500gf以上、700gf以上、900gf以上、1200gf以上、特に1500gf以上である。クラック抵抗が低いと、有機ELデバイスの製造工程で分相ガラスが破損し易くなり、有機ELデバイスの歩留まりが低下し易くなる。
30〜380℃における熱膨張係数は、好ましくは10×10−7/℃〜100×10−7/℃、20×10−7/℃〜60×10−7/℃、22×10−7/℃〜50×10−7/℃、特に25×10−7/℃〜40×10−7/℃である。近年、有機ELデバイスにおいて、デザイン的要素を高める観点から、ガラス板に可撓性が要求される場合がある。可撓性を高めるためには、ガラス板の板厚を小さくする必要があるが、この場合、ガラス板とITO、FTO等の透明導電膜の熱膨張係数が不整合になると、ガラス板が反り易くなる。そこで、30〜380℃における熱膨張係数を上記範囲とすれば、このような事態を防止し易くなる。なお、「30〜380℃における熱膨張係数」は、ディラトメーターで測定した平均値を指す。
密度は、好ましくは3.0g/cm以下、2.6g/cm以下、特に2.4g/cm以下である。このようにすれば、有機ELデバイスを軽量化することができる。
歪点は、好ましくは450℃以上、500℃以上、550℃以上、特に600℃以上である。透明導電膜を高温で形成する程、透明性が高く、電気抵抗が低くなり易い。しかし、従来のガラス板は、耐熱性が不十分であるため、透明導電膜を高温で成膜することが困難であった。そこで、歪点を上記範囲とすれば、透明導電膜の透明性と低電気抵抗の両立が可能になる。更に有機デバイスの製造工程において、熱処理によりガラス板が熱収縮し難くなる。
ヤング率は、好ましくは70GPa以下、65GPa以下、60GPa以下、55GPa以下、特に50GPa以下である。ヤング率を低減すると、一定の変形量当たりに発生する応力を低減することができる。また高度から落下した物体がガラスに衝突した場合、ガラスが弾性変形し易くなるため、落下の衝撃を緩和し易くなる。また薄板ガラスに成形する場合は、ヤング率が低い程、小さい曲率半径でロール状に巻くことが可能となる。
屈折率ndは、1.55以下であることが好ましい。このようにすれば、高価な重金属元素の添加量を低減することができる。結果として、分相ガラスのバッチコストを低減することができる。また屈折率ndが高過ぎると、分相ガラスと空気の界面における反射率が高くなり、光を外部に取り出し難くなる。一方、屈折率ndは、好ましくは1.45以上である。屈折率ndが低過ぎると、分相ガラスと透明導電膜等の界面における反射率が高くなり、光を外部に取り出し難くなる。
厚み(ガラス板の場合、板厚)は、好ましくは1.5mm以下、1.3mm以下、1.1mm以下、0.8mm以下、0.7mm以下、0.5mm以下、0.3mm以下、0.2mm以下、特に0.1mm以下である。厚みが小さい程、可撓性が高まり、有機EL照明の意匠性を高め易くなるが、厚みが極端に小さくなると、分相ガラスが破損し易くなる。よって、厚みは、好ましくは10μm以上、特に30μm以上である。
本発明の分相ガラスは、ガラス板であることが好ましい。このようにすれば、有機ELデバイスに適用し易くなる。平板形状を有する場合、少なくとも一方の表面に未研磨面を有すること(特に、少なくとも一方の表面の有効面全体が未研磨面であること)が好ましい。ガラスの理論強度は、非常に高いが、理論強度よりも遥かに低い応力でも破壊に至ることが多い。これは、ガラス板の表面にグリフィスフローと呼ばれる小さな欠陥が成形後の工程、例えば研磨工程等で生じるからである。よって、ガラス板の表面を未研磨にすれば、本来の機械的強度を損ない難くなるため、ガラス板が破壊し難くなる。また、研磨工程を簡略化又は省略し得るため、ガラス板の生産コストを低廉化することができる。
ガラス板の場合、少なくとも一方の表面(特に未研磨面)の表面粗さRaは0.01〜1μmが好ましい。表面粗さRaが大きいと、その面に透明導電膜等を形成する場合、透明導電膜の品位が低下して、均一な発光を得難くなる。表面粗さRaの好適な上限範囲は1μm以下、0.8μm以下、0.5μm以下、0.3μm以下、0.1μm以下、0.07μm以下、0.05μm以下、0.03μm以下、特に10nm以下である。
本発明の分相ガラスは、ダウンドロー法、特にオーバーフローダウンドロー法で成形されてなることが好ましい。このようにすれば、未研磨で表面品位が良好なガラス板を製造することができる。その理由は、オーバーフローダウンドロー法の場合、表面になるべき面は樋状耐火物に接触せず、自由表面の状態で成形されるからである。なお、オーバーフローダウンドロー法以外にも、スロットダウンドロー法を採用することができる。このようにすれば、薄板ガラスを作製し易くなる。
上記成形方法以外にも、例えば、リドロー法、フロート法、ロールアウト法等を採用することができる。特に、フロート法は、大型のガラス板を効率良く作製することができる。
本発明の分相ガラスは、分相を生じさせる別途の熱処理工程を経ていないことが好ましく、成形工程で分相しているか、或いは成形直後の徐冷工程で分相していることが好ましい。特に、オーバーフローダウンドロー法でガラス板を成形する場合、樋状構造物内で分相現象が生じていてもよく、延伸成形時や徐冷時に分相現象が生じていてもよい。このようにすれば、ガラスの製造工程数が減少し、ガラスの生産コストを低減することができる。なお、分相現象は、ガラス組成、成形条件、徐冷条件等により制御することができる。
本発明の分相ガラスは、ガラス板の場合、少なくとも一方の表面を粗面化面としてもよい。粗面化面を有機EL照明等の空気と接する側に配置すれば、ガラス板の散乱効果に加えて、粗面化面の無反射構造により、有機EL層から放射した光が有機EL層内に戻り難くなり、結果として、光の取り出し効率を高めることができる。粗面化面の表面粗さRaは、好ましくは10Å以上、20Å以上、30Å以上、特に50Å以上である。粗面化面は、HFエッチング、サンドブラスト等で形成することができる。また、リプレス等の熱加工により、ガラス板の表面に凹凸形状を形成してもよい。このようにすれば、ガラス表面に正確な無反射構造を形成することができる。凹凸形状は、屈折率nを考慮しながら、その間隔と深さを調整すればよい。
また、大気圧プラズマプロセスにより粗面化面を形成することもできる。このようにすれば、ガラス板の一方の表面の表面状態を維持した上で、他方の表面に対して、均一に粗面化処理を行うことができる。また、大気圧プラズマプロセスのソースとして、Fを含有するガス(例えば、SF、CF)を用いることが好ましい。このようにすれば、HF系ガスを含むプラズマが発生するため、粗面化面を効率良く形成することができる。
更に、ガラス板の成形時に、少なくとも一方の表面に粗面化面を形成することもできる。このようにすれば、別途独立した粗面化処理が不要になり、粗面化処理の効率が向上する。
なお、ガラス板に粗面化面を形成せずに、ガラス板の表面に所定の凹凸形状を有する樹脂フィルムを貼り付けてもよい。なお、凹凸形状の表面粗さRaは、好ましくは10Å以上、20Å以上、30Å以上、特に50Å以上である。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例は単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
表1、2は、試料No.1〜15を示している。
まず、表中のガラス組成になるように、ガラス原料を調合した後、得られたガラスバッチをガラス溶融炉に供給して1600℃で24時間溶融した。次に、得られた溶融ガラスをカーボン板の上に流し出して平板形状に成形し、歪点より室温まで徐冷処理を行った。ここで、得られたガラス板は、成形時に異なる相に分相していた。最後に、各ガラス板について、必要に応じて加工を行い、種々の特性を評価した。
熱膨張係数は、30〜380℃の温度範囲においてディラトメーターで測定した平均値である。なお、測定試料として、φ5mm×20mmの円柱状試料(端面はR加工されている)を用いた。
密度は、周知のアルキメデス法で測定した値である。
歪点は、ASTM C336−71に記載の方法で測定した値である。なお、歪点が高い程、耐熱性が高くなる。
徐冷点、軟化点は、ASTM C338−93に記載の方法で測定した値である。
高温粘度104.0dPa・s、103.0dPa・s及び102.5dPa・sにおける温度は、白金球引き上げ法で測定した値である。なお、高温粘度が低い程、溶融性に優れる。
分相温度は、30メッシュ(篩目開き500μm)を通過し、50メッシュ(篩目開き300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れて、温度勾配炉中に24時間保持した後、白濁が明確に認められる温度を測定したものである。分相粘度は、分相温度におけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定したものである。
液相温度は、30メッシュ(篩目開き500μm)を通過し、50メッシュ(篩目開き300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れて、温度勾配炉中に24時間保持した後、結晶が析出する温度を測定したものである。液相粘度は、液相温度におけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定したものである。
ヤング率は、共振法で測定した値である。
クラック発生率は、次のようにして測定した値である。まず湿度30%、温度25℃に保持された恒温恒湿槽内において、所定荷重に設定したビッカース圧子をガラス表面(光学研磨面)に15秒間打ち込み、その15秒後に圧痕の4隅から発生するクラックの数をカウント(1つの圧痕につき最大4とする)する。このようにして圧子を50回打ち込み、総クラック発生数を求めた後、(総クラック発生数/200)×100(%)の式により求めた。
屈折率ndは、島津製作所社製の屈折率測定器KPR−2000により測定したd線の値である。具体的には、まず25mm×25mm×約3mmの直方体試料を作製し、(徐冷点+30℃)から(歪点−50℃)までの温度域を0.1℃/分の冷却速度で徐冷処理した後、屈折率ndが整合する浸液を浸透させて測定した値である。
表1、2から分かる通り、試料No.1〜15は、分相温度が液相温度よりも高かった。なお、試料No.1〜15は、何れも分相温度が液相温度よりも高かったため、正確な液相温度を測定することができなかった。

Claims (11)

  1. 異種の相に分相している分相ガラスであって、
    ガラス組成として、質量%で、SiO 40〜75%、Al 0.1〜20%、B 10〜40%を含有し、分相温度が液相温度よりも高いことを特徴とする分相ガラス。
  2. ガラス組成として、質量%で、SiO 50〜70%、Al 5〜20%、B 15〜35%、LiO+NaO+KO 0〜10%、MgO+CaO 0.1〜20%、SrO+BaO 0〜20%を含有することを特徴とする請求項1に記載の分相ガラス。
  3. クラック抵抗が200gf以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の分相ガラス。
  4. 液相粘度が103.5dPa・s以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の分相ガラス。
  5. 分相粘度が液相粘度よりも低いことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の分相ガラス。
  6. ヤング率が70GPa以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の分相ガラス。
  7. 屈折率ndが1.55以下であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の分相ガラス。
  8. 平板形状であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の分相ガラス。
  9. オーバーフローダウンドロー法で成形されてなることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の分相ガラス。
  10. 成形時に分相してなることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の分相ガラス。
  11. 有機EL照明に用いることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の分相ガラス。
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