JP2016014516A - 排ガス冷却装置および排ガス冷却方法 - Google Patents
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Abstract
Description
排ガスに冷却液を噴霧して冷却を行う排ガス冷却装置であって、
前記排ガス冷却装置は、
排ガスの給気口と排気口を有し、内部で排ガスの冷却を行う冷却塔と、
前記排ガスの冷却に用いる冷却液を貯留する貯留タンクと、
前記貯留タンクの冷却液を前記冷却塔へ送るポンプと、
前記冷却塔内に配置され、貯留タンクから送られてきた冷却液を排ガスに噴霧するノズルを有し、
前記ノズルは、直径1.5mm以下のオリフィスを有し、2MPa以上の圧力で、冷却液を霧状に噴霧する一流体ノズルであり、
前記ノズルから噴霧する冷却液のザウター平均粒子径が60μm以下であることを特徴とする排ガス冷却装置。
噴霧する冷却液のザウター平均粒子径が60μm以下であると、霧状の冷却液(以下、「ミスト」ともいう。)の拡散する範囲が狭いとともに、噴霧したミストを瞬時に蒸発させることができる。詳しくは、噴霧したミストはもともと速度エネルギーが小さいとともに、すぐに速度エネルギーを失う。そのため、ノズルからわずか半径数百mmの範囲に拡散するだけである。そして、その拡散過程で瞬時に蒸発する。従って、余剰水量の発生を限りなく抑えることができる。また、ミストが瞬時に蒸発して、その蒸発潜熱で排ガスを冷却するため、噴霧したミスト量に対する冷却効率を早く検知できる。
前記ノズルから噴霧する冷却液の温度が、10℃〜30℃である請求項1記載の排ガス冷却装置。
噴霧する冷却液の温度が低いため、従来例のように加圧熱水をノズルから噴霧する場合よりも、冷却効果が高い。
前記冷却塔の内壁から冷却塔の中心部に向かって延在する複数のパイプがさらに設けられ、
前記パイプの長手方向に沿って前記一流体ノズルが複数配置される請求項1または2記載の排ガス冷却装置。
冷却液の噴霧範囲が広くなるため、冷却むらが起こりにくく、冷却効果も高い。
前記排ガスの給気口は、冷却塔の下部側面に設けられ、
前記排ガスの排気口は、冷却塔の上部に設けられる請求項1〜3のいずれか1項に記載の排ガス冷却装置。
排ガスが冷却塔内を旋回しながら上昇する。そのため、排ガスが冷却塔内で滞留する時間が長く、排ガスと冷却液の接触時間を長く確保できるため、冷却効果が高い。
前記給気口および排気口の少なくとも一方に設ける温度センサと、
前記ポンプがノズルへ送る冷却液の量を制御する制御装置をさらに有し、
前記制御装置は、
供給する排ガスの温度または排出する排ガスの温度が設定値よりも高い場合に、ノズルへ送る冷却液の量を増やし、
供給する排ガスの温度または排出する排ガスの温度が設定値よりも低い場合に、ノズルへ送る冷却液の量を減らす請求項1〜4のいずれか1項に記載の排ガス冷却装置。
供給する排ガスの温度または排出する排ガスの温度に基づき、冷却液の量を増減させることで、冷却液を無駄に多く噴霧したり、逆に冷却液の噴霧量が足りなかったりする事態を防ぐことができる。また、本発明のミストは瞬時に蒸発して排ガスを冷却するため、噴霧したミスト量に対する冷却効率を早く検知できる。そのため、その検知結果を即座にミスト噴霧量に反映することで、冷却精度をいち早く向上させることができる。なお、本発明においては、供給する排ガスの温度と排出する排ガスの温度の両方の値に基づいて、冷却液の噴霧量を増減させても良い。
前記一流体ノズルは、冷却液と空気を同時に噴霧する二流体方式に切り替え可能であり、
前記排ガス冷却装置は、前記二流体方式に用いる圧縮空気を生成するコンプレッサをさらに備え、
前記冷却液の噴霧量が少なくなり、冷却液の液圧だけでは噴霧する冷却液のザウター平均粒子径が60μmより大きくなる場合に、二流体方式に切り替える請求項1〜5のいずれか1項に記載の排ガス冷却装置。
圧縮空気を用いて、ミストのザウター平均粒子径を60μm以下にすることで、請求項1と同様の作用効果を得ることができる。
前記一流体ノズルへ空気を送るブロアをさらに備え、
冷却液の噴霧を停止しているノズル、または冷却液の噴霧量が少ないノズルは、前記ブロアから送られた空気を噴出する請求項1〜6のいずれか1項に記載の排ガス冷却装置。
冷却液の噴霧を停止しているノズル、または冷却液の噴霧量が少ないノズルの噴出孔周りに発生する渦流により、ダストが付着および固着することを防ぐことができる。また、ノズル内にスケールが生じることを防ぐこともできる。
排ガスに冷却液を噴霧して冷却を行う排ガス冷却方法であって、
直径1.5mm以下のオリフィスを有する一流体ノズルから、2MPa以上の圧力で、冷却液を霧状に噴霧し、
噴霧したザウター平均粒子径が60μm以下の冷却液によって、排ガスを冷却することを特徴とする排ガス冷却方法。
請求項1と同様の作用効果を奏する。
冷却前の排ガスの温度または冷却後の排ガスの温度を検出し、
冷却前の温度または冷却後の温度が設定値より高い場合に、ノズルから噴霧する冷却液の量を増やし、
冷却前の温度または冷却後の温度が設定値より低い場合に、ノズルから噴霧する冷却液の量を減らす請求項9に記載の排ガス冷却方法。
請求項5と同様の作用効果を奏する。
前記冷却液の噴霧量が少なくなり、冷却液の液圧だけでは噴霧する冷却液のザウター平均粒子径が60μmより大きくなる場合に、
前記冷却液と圧縮空気を同時に噴霧する二流体方式に切り替えて、ザウター平均粒子径を60μm以下に保つ請求項8または9に記載の排ガス冷却装置。
請求項6と同様の作用効果を奏する。
冷却液の噴霧を停止しているノズル、または冷却液の噴霧量が少ないノズルから空気を噴出する請求項8〜10のいずれか1項に記載の排ガス冷却装置。
請求項7と同様の作用効果を奏する。
高炉から排出される排ガスG1は、一般的に一酸化炭素、窒素、二酸化炭素を主成分としており、亜鉛、酸化カリウム、酸化ナトリウム、硫黄などのダストを含んでいる。また、コークス炉から排出される排ガスG1は、一般的に水素、メタン、一酸化炭素、タール油分を主成分としており、ベンゼン、トルエン、キシレン、窒素酸化物、ばいじん、硫黄酸化物などのダストを含んでいる。そのほか、溶解炉としては、キューポラ、反射炉、平炉、電気炉、ルッポ炉、回転炉、アーク炉、転炉などを挙げることができる。この溶解炉から排出する排ガスG1の成分は、溶解する金属によって異なるが、排ガスG1中には一般的に亜鉛、鉄、塩素などの様々なダストが含まれている。なお、前記各排ガスG1の温度は、一般的に800℃〜1000℃の高温である。
図1に示す冷却塔2は円筒形であり、この冷却塔2の下部は、漏斗のように下方へ向かって口径が次第に小さくなる円錐形である。この冷却塔2の下端部には、スラッジを貯めるスラッジ貯留部5が設けられている。このスラッジは、排ガスG1とミストW2が反応してできたものであるが、本発明の排ガス冷却装置1ではミストW2がほぼ完全に蒸発するため、スラッジはほとんど発生しない。貯留されたスラッジは、スラッジ回収装置14のバキュームにより定期的に排出される。そのほか、前記冷却塔2の下部側面には、高温排ガスG1の給気口3が設けられており、冷却塔2の上部天面には、冷却されたガスG2の排気口4が設けられている。なお、冷却塔2の形状は、角筒形等の任意の形状にしても良い。また、冷却塔2の上部に給気口3を設け、下部に排気口4を設けても良い。
冷却塔2の上部および中部には、複数の棒状のパイプ6が設けられている。冷却塔2内に設けるパイプ6の本数は任意に決めることができ、例えば計20本設けることができる。このパイプ6は、冷却塔2の内壁から冷却塔2の中心部に向かって水平方向に延在している。そして、冷却塔2に放射状に配置されている。なお、前記パイプ6の延在方向や配置箇所は一例であり、下方に向かって延在させたり、冷却塔2の一方にのみ配置させたりなど、任意に変更することができる。
前記パイプ6には複数のノズル7が設けられている。このノズル7の数は任意に決めることができる。例えば、1本のパイプ6ごとに40個のノズル7を取り付け、このようなパイプ6を冷却塔2内に計20本配置することで、冷却塔2内に計800個のノズル7を設けることができる。また、これらのノズル7は、パイプ6の長手方向に間隔を空けて設けられている。ノズル7の噴霧口は冷却塔2の下方に向けられており、冷却塔2下部の給気口3から入ってきた排ガスG1に向かって、ミストW2を噴霧する。
これまで説明してきたように、ノズル7から噴霧する冷却液W2には、経済的な水を用いるのが好ましい。この水W2にレジオネラ菌の繁殖を抑える塩素や過酸化水素などの薬剤を添加しても良い。そのほか、防錆剤、スケール防止剤、スライムコントロール剤等の薬剤を添加しても良い。
冷却塔2の給気口3に、高炉等からの排ガスG1の温度を検出する給気口温度センサAを設ける。また、冷却塔2の排気口4に、冷却された排ガスG2の温度を検出する排気口温度センサBを設ける。そして、前記温度センサA、Bは、計測データを後述する冷却制御装置8へ送信する。なお、図1では、給気管15に温度センサAを設け、排気管16に温度センサBを設けた例を示している。
冷却制御装置8は温度センサA、Bおよびインバータ9と連結している。そして、温度センサAが検出した給気口3の排ガスG1の温度と、温度センサBが検出した排気口4の排ガスG2の温度に基づき、両温度の差を求めるとともに、ミストW2の噴霧量に対する冷却効率と、今後のミストW2の噴霧量等を決定する。なお、図1では、冷却制御装置8としてプログラマブルロジックコントローラ(programmable logic controller、PLC)を用いている。
前記冷却制御装置8はインバータ9と連結しており、冷却制御装置8が算出した噴霧量のミストW2を噴霧するように、インバータ9へ指示信号を送信する。信号を受け取ったインバータ9は、モータ10の回転数を変えて、ポンプ11の出力を変更する。ポンプ11の出力は、例えば最大出力の100%〜58%の範囲で任意に変更することができる。なお、図1では、出力が190l/minの高圧ポンプ11を5台設けている。そして、ミストを大量に噴霧しなくても良い状況の場合は、ポンプ11の稼働台数を減らすことで装置1全体の噴霧量を調整している。
図1のパイプ6、ノズル7、ポンプ11、モータ10、インバータ9は、それぞれ複数個設けられている。このとき、1個のポンプ11、1個のモータ10、1個のインバータ9、5本のパイプ6、前記5本のパイプ6に取り付けられた合計160個のノズル7を1ユニットUとしている。そして、図1では、そのユニットUを5つ設けている。そのほか、インバータ9、モータ10およびポンプ11が故障した場合に備えて、1個のインバータ9、1個のモータ10、1個のポンプ11のみからなる予備ユニットUも1つ設けている。なお、1つのユニットを構成するパイプ6、ノズル7、ポンプ11、モータ10、インバータ9の数を任意の数に変更しても良い。また、ユニットUの数も任意に変更できる。
前記ノズル7は、噴霧孔の寸法(オリフィス径)を変えることができないため、ポンプ11からノズル7へ冷却液W1の輸送量を減らすと、ミストW2の粒子径が大きくなってしまう。そこで、空気圧縮機を設けて、ポンプ11とノズル7の間の流路に、圧縮空気G3を送るようにしても良い。すなわち、ポンプ11からノズル7へ冷却液W1の輸送量が所定値以下となるときに、この空気圧縮機を起動させ、輸送液に圧縮空気G3を混入する。このように圧縮空気G3を用いることで、ノズル7から噴霧するミストW2の噴霧速度を維持し、ミストW2の粒子径(平均粒子径60μm以下)を維持することができる。なお、空気圧縮機を起動するきっかけとなる前記所定値を例示すると、ポンプ11が輸送可能な冷却液W1の量の最大値に対して、実際の輸送量が60%以下となり、平均粒子径が60μmを超えた場合を挙げることができる。
ノズル7の噴霧孔の周りに渦流が発生し、それによりノズルにダストが付着および固着する可能性がある。また、ノズル7内にスケールが生じる可能性もある。それらのダストおよびスケールは、次第に噴霧孔を塞ぎ、ミストW2の噴霧を困難にする。特に本発明のノズル7は、オリフィスが非常に小さいため塞がりやすい。
本発明に係る排ガス冷却方法を説明する。まず、高炉等から排出された高温(例えば1000℃)の排ガスG1が、供給口3から冷却塔2内へ送られる。供給された排ガスG1は、冷却塔2内を旋回しながら上昇し、冷却塔2上部に設けた排気口4から排気された後、後段の集塵機へと送られる。冷却塔2内では、ノズル7から下方へ向かってミストW2が噴霧される。噴霧されるミストW2の粒径は、例えば平均粒径約50μmであり、均質であるため、瞬時に蒸発する。この蒸発潜熱により排ガスG1が冷却されて、冷却された排ガスG2となり、排気口4から排気される際には、200℃以下まで冷却される。なお、ダイオキシンの生成を防止するために、170℃以下まで冷却することが好ましい。
2 冷却塔
3 給気口
4 排気口
5 スラッジ貯留部
6 パイプ
7 ノズル
8 冷却制御装置
9 インバータ
10 モータ
11 ポンプ
12 フィルタ
13 ブロア
14 スラッジ回収装置
15 給気管
16 排気管
A 入口温度計
B 出口温度計
G1 給気ガス
G2 排気ガス
G3 コンプレッサーエア
G4 ノズル保護エア
S セット
U ユニット
W1 冷却液
W2 ミスト(冷却液)
排ガスに冷却液を噴霧して冷却を行う排ガス冷却装置であって、
前記排ガス冷却装置は、
排ガスの給気口と排気口を有し、内部で排ガスの冷却を行う冷却塔と、
前記排ガスの冷却に用いる冷却液を貯留する貯留タンクと、
前記貯留タンクの冷却液を前記冷却塔へ送るポンプと、
前記冷却塔の側面の内壁から冷却塔の中心部に向かって延在する複数のパイプと、
前記冷却塔内に配置され、貯留タンクから送られてきた冷却液を排ガスに噴霧する複数のノズルを有し、
前記パイプは、前記冷却塔の異なる高さに複数設けられ、
前記ノズルは、前記パイプの基端側から先端側に向って長手方向に沿って複数設けられ、
前記ノズルは、直径1.5mm以下のオリフィスを有し、2MPa以上の圧力で、冷却液を霧状に噴霧する一流体ノズルであり、
前記ノズルから噴霧する冷却液のザウター平均粒子径が60μm以下であり、
前記ノズルから噴霧する冷却液の温度が、10℃〜30℃であることを特徴とする排ガス冷却装置。
噴霧する冷却液のザウター平均粒子径が60μm以下であると、霧状の冷却液(以下、「ミスト」ともいう。)の拡散する範囲が狭いとともに、噴霧したミストを瞬時に蒸発させることができる。詳しくは、噴霧したミストはもともと速度エネルギーが小さいとともに、すぐに速度エネルギーを失う。そのため、ノズルからわずか半径数百mmの範囲に拡散するだけである。そして、その拡散過程で瞬時に蒸発する。従って、余剰水量の発生を限りなく抑えることができる。また、ミストが瞬時に蒸発して、その蒸発潜熱で排ガスを冷却するため、噴霧したミスト量に対する冷却効率を早く検知できる。
また、噴霧する冷却液の温度が低いため、従来例のように加圧熱水をノズルから噴霧する場合よりも、冷却効果が高い。
また、冷却塔の側面の内壁から冷却塔の中心部に向かって延在するパイプを複数設ける。そして、パイプの基端側から先端側に向って長手方向に沿って、ノズルを複数設ける。このような構成により、冷却液の噴霧範囲が広くなるため、冷却むらが起こりにくく、冷却効果も高くなる。
また、排ガスは、冷却塔内を下方から上方へ、または上方から下方へ高さ方向に移動する。そのため、パイプを冷却塔の異なる高さに複数設けることで、排ガスの冷却時間を長く確保することができ、冷却効率が高くなる。
前記排ガスの給気口は、冷却塔の下部側面に設けられ、
前記排ガスの排気口は、冷却塔の上部に設けられ、
前記複数のノズルの噴霧口が前記冷却塔の下方に向いている請求項1に記載の排ガス冷却装置。
排ガスが冷却塔内を旋回しながら上昇する。そのため、排ガスが冷却塔内で滞留する時間が長く、排ガスと冷却液の接触時間を長く確保できるため、冷却効果が高い。
また、ノズルの噴霧口は冷却塔の下方に向けられており、冷却塔下部の給気口から入ってきた排ガスに向かってミストを噴霧する。
前記給気口および排気口の少なくとも一方に設ける温度センサと、
前記ポンプがノズルへ送る冷却液の量を制御する制御装置をさらに有し、
前記制御装置は、
供給する排ガスの温度または排出する排ガスの温度が設定値よりも高い場合に、ノズルへ送る冷却液の量を増やし、
供給する排ガスの温度または排出する排ガスの温度が設定値よりも低い場合に、ノズルへ送る冷却液の量を減らす請求項1に記載の排ガス冷却装置。
供給する排ガスの温度または排出する排ガスの温度に基づき、冷却液の量を増減させることで、冷却液を無駄に多く噴霧したり、逆に冷却液の噴霧量が足りなかったりする事態を防ぐことができる。また、本発明のミストは瞬時に蒸発して排ガスを冷却するため、噴霧したミスト量に対する冷却効率を早く検知できる。そのため、その検知結果を即座にミスト噴霧量に反映することで、冷却精度をいち早く向上させることができる。なお、本発明においては、供給する排ガスの温度と排出する排ガスの温度の両方の値に基づいて、冷却液の噴霧量を増減させても良い。
前記一流体ノズルは、冷却液と空気を同時に噴霧する二流体方式に切り替え可能であり、
前記排ガス冷却装置は、前記二流体方式に用いる圧縮空気を生成するコンプレッサをさらに備え、
前記冷却液の噴霧量が少なくなり、冷却液の液圧だけでは噴霧する冷却液のザウター平均粒子径が60μmより大きくなる場合に、二流体方式に切り替える請求項1に記載の排ガス冷却装置。
圧縮空気を用いて、ミストのザウター平均粒子径を60μm以下にすることで、請求項1と同様の作用効果を得ることができる。
前記一流体ノズルへ空気を送るブロアをさらに備え、
冷却液の噴霧を停止しているノズル、または冷却液の噴霧量が少ないノズルは、前記ブロアから送られた空気を噴出する請求項1に記載の排ガス冷却装置。
冷却液の噴霧を停止しているノズル、または冷却液の噴霧量が少ないノズルの噴出孔周りに発生する渦流により、ダストが付着および固着することを防ぐことができる。また、ノズル内にスケールが生じることを防ぐこともできる。
排ガスの給気口と排気口を有し、内部で排ガスの冷却を行う冷却塔と、
前記排ガスの冷却に用いる冷却液を貯留する貯留タンクと、
前記貯留タンクの冷却液を前記冷却塔へ送るポンプと、
前記冷却塔の側面の内壁から冷却塔の中心部に向かって延在する複数のパイプと、
前記冷却塔内に配置され、貯留タンクから送られてきた冷却液を排ガスに噴霧する複数のノズルを有し、
前記パイプが、前記冷却塔の異なる高さに複数設けられ、
前記ノズルが、前記パイプの基端側から先端側に向って長手方向に沿って複数設けられた排ガス冷却装置を用いて、
排ガスに冷却液を噴霧して冷却を行う排ガス冷却方法であって、
直径1.5mm以下のオリフィスを有する一流体ノズルから、2MPa以上の圧力で、温度が10℃〜30℃の冷却液を霧状に噴霧し、
噴霧したザウター平均粒子径が60μm以下の冷却液によって、排ガスを冷却することを特徴とする排ガス冷却方法。
方法の観点から、請求項1と同様の作用効果を奏する。
<請求項7記載の発明>
前記冷却塔の下部側面に設けた給気口から排ガスを供給し、
供給された排ガスが冷却塔内を上昇する過程で、前記複数のノズルの噴霧口から下方へ向かって噴霧された冷却液によって前記排ガスが冷却され、
冷却された排ガスを冷却塔上部に設けた排気口から排気する請求項6記載の排ガス冷却方法。
(作用効果)
方法の観点から、請求項2と同様の作用効果を奏する。
冷却前の排ガスの温度または冷却後の排ガスの温度を検出し、
冷却前の温度または冷却後の温度が設定値より高い場合に、ノズルから噴霧する冷却液の量を増やし、
冷却前の温度または冷却後の温度が設定値より低い場合に、ノズルから噴霧する冷却液の量を減らす請求項6に記載の排ガス冷却方法。
方法の観点から、請求項3と同様の作用効果を奏する。
前記冷却液の噴霧量が少なくなり、冷却液の液圧だけでは噴霧する冷却液のザウター平均粒子径が60μmより大きくなる場合に、
前記冷却液と圧縮空気を同時に噴霧する二流体方式に切り替えて、ザウター平均粒子径を60μm以下に保つ請求項6に記載の排ガス冷却方法。
方法の観点から、請求項4と同様の作用効果を奏する。
冷却液の噴霧を停止しているノズル、または冷却液の噴霧量が少ないノズルから空気を噴出する請求項6のいずれか1項に記載の排ガス冷却方法。
方法の観点から、請求項5と同様の作用効果を奏する。
高炉から排出される排ガスG1は、一般的に一酸化炭素、窒素、二酸化炭素を主成分としており、亜鉛、酸化カリウム、酸化ナトリウム、硫黄などのダストを含んでいる。また、コークス炉から排出される排ガスG1は、一般的に水素、メタン、一酸化炭素、タール油分を主成分としており、ベンゼン、トルエン、キシレン、窒素酸化物、ばいじん、硫黄酸化物などのダストを含んでいる。そのほか、溶解炉としては、キューポラ、反射炉、平炉、電気炉、ルッポ炉、回転炉、アーク炉、転炉などを挙げることができる。この溶解炉から排出する排ガスG1の成分は、溶解する金属によって異なるが、排ガスG1中には一般的に亜鉛、鉄、塩素などの様々なダストが含まれている。なお、前記各排ガスG1の温度は、一般的に800℃〜1000℃の高温である。
図1に示す冷却塔2は円筒形であり、この冷却塔2の下部は、漏斗のように下方へ向かって口径が次第に小さくなる円錐形である。この冷却塔2の下端部には、スラッジを貯めるスラッジ貯留部5が設けられている。このスラッジは、排ガスG1とミストW2が反応してできたものであるが、本発明の排ガス冷却装置1ではミストW2がほぼ完全に蒸発するため、スラッジはほとんど発生しない。貯留されたスラッジは、スラッジ回収装置14のバキュームにより定期的に排出される。そのほか、前記冷却塔2の下部側面には、高温排ガスG1の給気口3が設けられており、冷却塔2の上部天面には、冷却されたガスG2の排気口4が設けられている。なお、冷却塔2の形状は、角筒形等の任意の形状にしても良い。また、冷却塔2の上部に給気口3を設け、下部に排気口4を設けても良い。
冷却塔2の上部および中部には、複数の棒状のパイプ6が設けられている。冷却塔2内に設けるパイプ6の本数は任意に決めることができ、例えば計20本設けることができる。このパイプ6は、冷却塔2の内壁から冷却塔2の中心部に向かって水平方向に延在している。そして、冷却塔2に放射状に配置されている。なお、前記パイプ6の延在方向や配置箇所は一例であり、下方に向かって延在させたり、冷却塔2の一方にのみ配置させたりなど、任意に変更することができる。
前記パイプ6には複数のノズル7が設けられている。このノズル7の数は任意に決めることができる。例えば、1本のパイプ6ごとに40個のノズル7を取り付け、このようなパイプ6を冷却塔2内に計20本配置することで、冷却塔2内に計800個のノズル7を設けることができる。また、これらのノズル7は、パイプ6の長手方向に間隔を空けて設けられている。ノズル7の噴霧口は冷却塔2の下方に向けられており、冷却塔2下部の給気口3から入ってきた排ガスG1に向かって、ミストW2を噴霧する。
これまで説明してきたように、ノズル7から噴霧する冷却液W2には、経済的な水を用いるのが好ましい。この水W2にレジオネラ菌の繁殖を抑える塩素や過酸化水素などの薬剤を添加しても良い。そのほか、防錆剤、スケール防止剤、スライムコントロール剤等の薬剤を添加しても良い。
冷却塔2の給気口3に、高炉等からの排ガスG1の温度を検出する給気口温度センサAを設ける。また、冷却塔2の排気口4に、冷却された排ガスG2の温度を検出する排気口温度センサBを設ける。そして、前記温度センサA、Bは、計測データを後述する冷却制御装置8へ送信する。なお、図1では、給気管15に温度センサAを設け、排気管16に温度センサBを設けた例を示している。
冷却制御装置8は温度センサA、Bおよびインバータ9と連結している。そして、温度センサAが検出した給気口3の排ガスG1の温度と、温度センサBが検出した排気口4の排ガスG2の温度に基づき、両温度の差を求めるとともに、ミストW2の噴霧量に対する冷却効率と、今後のミストW2の噴霧量等を決定する。なお、図1では、冷却制御装置8としてプログラマブルロジックコントローラ(programmable logic controller、PLC)を用いている。
前記冷却制御装置8はインバータ9と連結しており、冷却制御装置8が算出した噴霧量のミストW2を噴霧するように、インバータ9へ指示信号を送信する。信号を受け取ったインバータ9は、モータ10の回転数を変えて、ポンプ11の出力を変更する。ポンプ11の出力は、例えば最大出力の100%〜58%の範囲で任意に変更することができる。なお、図1では、出力が190L/minの高圧ポンプ11を5台設けている。そして、ミストを大量に噴霧しなくても良い状況の場合は、ポンプ11の稼働台数を減らすことで装置1全体の噴霧量を調整している。
図1のパイプ6、ノズル7、ポンプ11、モータ10、インバータ9は、それぞれ複数個設けられている。このとき、1個のポンプ11、1個のモータ10、1個のインバータ9、5本のパイプ6、前記5本のパイプ6に取り付けられた合計160個のノズル7を1ユニットUとしている。そして、図1では、そのユニットUを5つ設けている。そのほか、インバータ9、モータ10およびポンプ11が故障した場合に備えて、1個のインバータ9、1個のモータ10、1個のポンプ11のみからなる予備ユニットUも1つ設けている。なお、1つのユニットを構成するパイプ6、ノズル7、ポンプ11、モータ10、インバータ9の数を任意の数に変更しても良い。また、ユニットUの数も任意に変更できる。
前記ノズル7は、噴霧孔の寸法(オリフィス径)を変えることができないため、ポンプ11からノズル7へ冷却液W1の輸送量を減らすと、ミストW2の粒子径が大きくなってしまう。そこで、空気圧縮機を設けて、ポンプ11とノズル7の間の流路に、圧縮空気G3を送るようにしても良い。すなわち、ポンプ11からノズル7へ冷却液W1の輸送量が所定値以下となるときに、この空気圧縮機を起動させ、輸送液に圧縮空気G3を混入する。このように圧縮空気G3を用いることで、ノズル7から噴霧するミストW2の噴霧速度を維持し、ミストW2の粒子径(平均粒子径60μm以下)を維持することができる。なお、空気圧縮機を起動するきっかけとなる前記所定値を例示すると、ポンプ11が輸送可能な冷却液W1の量の最大値に対して、実際の輸送量が60%以下となり、平均粒子径が60μmを超えた場合を挙げることができる。
ノズル7の噴霧孔の周りに渦流が発生し、それによりノズルにダストが付着および固着する可能性がある。また、ノズル7内にスケールが生じる可能性もある。それらのダストおよびスケールは、次第に噴霧孔を塞ぎ、ミストW2の噴霧を困難にする。特に本発明のノズル7は、オリフィスが非常に小さいため塞がりやすい。
本発明に係る排ガス冷却方法を説明する。まず、高炉等から排出された高温(例えば1000℃)の排ガスG1が、給気口3から冷却塔2内へ送られる。供給された排ガスG1は、冷却塔2内を旋回しながら上昇し、冷却塔2上部に設けた排気口4から排気された後、後段の集塵機へと送られる。冷却塔2内では、ノズル7から下方へ向かってミストW2が噴霧される。噴霧されるミストW2の粒径は、例えば平均粒径約50μmであり、均質であるため、瞬時に蒸発する。この蒸発潜熱により排ガスG1が冷却されて、冷却された排ガスG2となり、排気口4から排気される際には、200℃以下まで冷却される。なお、ダイオキシンの生成を防止するために、170℃以下まで冷却することが好ましい。
2 冷却塔
3 給気口
4 排気口
5 スラッジ貯留部
6 パイプ
7 ノズル
8 冷却制御装置
9 インバータ
10 モータ
11 ポンプ
12 フィルタ
13 ブロア
14 スラッジ回収装置
15 給気管
16 排気管
A 入口温度計
B 出口温度計
G1 給気ガス
G2 排気ガス
G3 コンプレッサーエア
G4 ノズル保護エア
S セット
U ユニット
W1 冷却液
W2 ミスト(冷却液)
Claims (11)
- 排ガスに冷却液を噴霧して冷却を行う排ガス冷却装置であって、
前記排ガス冷却装置は、
排ガスの給気口と排気口を有し、内部で排ガスの冷却を行う冷却塔と、
前記排ガスの冷却に用いる冷却液を貯留する貯留タンクと、
前記貯留タンクの冷却液を前記冷却塔へ送るポンプと、
前記冷却塔内に配置され、貯留タンクから送られてきた冷却液を排ガスに噴霧するノズルを有し、
前記ノズルは、直径1.5mm以下のオリフィスを有し、2MPa以上の圧力で、冷却液を霧状に噴霧する一流体ノズルであり、
前記ノズルから噴霧する冷却液のザウター平均粒子径が60μm以下であることを特徴とする排ガス冷却装置。 - 前記ノズルから噴霧する冷却液の温度が、10℃〜30℃である請求項1記載の排ガス冷却装置。
- 前記冷却塔の内壁から冷却塔の中心部に向かって延在する複数のパイプがさらに設けられ、
前記パイプの長手方向に沿って前記一流体ノズルが複数配置される請求項1または2記載の排ガス冷却装置。 - 前記排ガスの給気口は、冷却塔の下部側面に設けられ、
前記排ガスの排気口は、冷却塔の上部に設けられる請求項1〜3のいずれか1項に記載の排ガス冷却装置。 - 前記給気口および排気口の少なくとも一方に設ける温度センサと、
前記ポンプがノズルへ送る冷却液の量を制御する制御装置をさらに有し、
前記制御装置は、
供給する排ガスの温度または排出する排ガスの温度が設定値よりも高い場合に、ノズルへ送る冷却液の量を増やし、
供給する排ガスの温度または排出する排ガスの温度が設定値よりも低い場合に、ノズルへ送る冷却液の量を減らす請求項1〜4のいずれか1項に記載の排ガス冷却装置。 - 前記一流体ノズルは、冷却液と空気を同時に噴霧する二流体方式に切り替え可能であり、
前記排ガス冷却装置は、前記二流体方式に用いる圧縮空気を生成するコンプレッサをさらに備え、
前記冷却液の噴霧量が少なくなり、冷却液の液圧だけでは噴霧する冷却液のザウター平均粒子径が60μmより大きくなる場合に、二流体方式に切り替える請求項1〜5のいずれか1項に記載の排ガス冷却装置。 - 前記一流体ノズルへ空気を送るブロアをさらに備え、
冷却液の噴霧を停止しているノズル、または冷却液の噴霧量が少ないノズルは、前記ブロアから送られた空気を噴出する請求項1〜6のいずれか1項に記載の排ガス冷却装置。 - 排ガスに冷却液を噴霧して冷却を行う排ガス冷却方法であって、
直径1.5mm以下のオリフィスを有する一流体ノズルから、2MPa以上の圧力で、冷却液を霧状に噴霧し、
噴霧したザウター平均粒子径が60μm以下の冷却液によって、排ガスを冷却することを特徴とする排ガス冷却方法。 - 冷却前の排ガスの温度または冷却後の排ガスの温度を検出し、
冷却前の温度または冷却後の温度が設定値より高い場合に、ノズルから噴霧する冷却液の量を増やし、
冷却前の温度または冷却後の温度が設定値より低い場合に、ノズルから噴霧する冷却液の量を減らす請求項9に記載の排ガス冷却方法。 - 前記冷却液の噴霧量が少なくなり、冷却液の液圧だけでは噴霧する冷却液のザウター平均粒子径が60μmより大きくなる場合に、
前記冷却液と圧縮空気を同時に噴霧する二流体方式に切り替えて、ザウター平均粒子径を60μm以下に保つ請求項8または9に記載の排ガス冷却装置。 - 冷却液の噴霧を停止しているノズル、または冷却液の噴霧量が少ないノズルから空気を噴出する請求項8〜10のいずれか1項に記載の排ガス冷却装置。
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