JP5430267B2 - 粉体を同伴する排出ガスの処理装置および処理方法 - Google Patents
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Description
(i)冷却水噴霧方式
噴霧ノズルから噴霧された冷却水と排出ガスとの接触効率が悪く、冷却効果が小さい。従って、高温の排出ガスに対する高い冷却効果を求めるには、長時間の接触が可能な流路あるいはノズル数を増やす必要があり、大掛かりな装置となる。また、噴霧ノズルからの噴霧された冷却水では、排出ガスとの接触以降の冷却ユニットの壁面に水膜を形成する効果は少なく、排出ガスに同伴する反応生成物(粉体)が流路・配管が蓄積しやすく、長期の使用によって閉塞するおそれが生じるとともに、水膜による該壁面の保護ができないことから、排出ガス中の腐食ガスによって流路・配管が腐蝕が進行し、寿命が短くなるおそれがあった。
水散布ノズルから散水される冷却水と排出ガスとの接触においては、比較的高い冷却効果を得ることができる反面、高温の排出ガスを冷却するためには、接触効率を上げるために多量の冷却水を必要とする。また、図7(B)のように,冷却水との接触効率を上げるためにラシヒリングなどの充填材を散水流路に設け、粉末状の固形物及びミストを分離するためのサイクロンを配設する構成においては、装置が複雑化し、定期的な保守を必要とする処理装置の煩雑化を招来することとなる。
上記のような噴霧方式や散水方式以外に、排出ガスを冷却媒体と直接的に接触する一般な方法として、冷却水バブリング方式が多用される。しかしながら、バブリング方式においても、冷却効率を上げるためには気液接触時間または接触面積を大きくする必要があることから、処理装置の設置面積が大きくなり、装置のコンパクト化が難しい。また、バブリングに必要な加圧状態を形成するためには、バブリングユニットの前段に圧送手段を設ける、あるいは後段に吸引手段を設ける必要があり、装置の煩雑化を招来する。
前記冷却処理部の上端部側の側面に配設された少なくとも1つの冷却水導入部cからの冷却水を、前記冷却処理部の内側面に対して接線方向に噴射させて下流ほど流速が上がり冷却水の密度を大きくする旋回流を形成し、かつ該内側面に下流ほど厚みが増大する水膜を形成させるとともに、
前記冷却処理部の上方側の空間に冷却水導入部aが設けられ、前記排出ガス導入部から噴射された排出ガスが、前記冷却水導入部aから噴射された冷却水と接触することを特徴とする。
粉体を同伴する排出ガスの処理プロセスにおいて、
(1)上端部が大きく開口し、下端ほど空間が絞り込まれる内面の構成を有する冷却処理部に高温の排出ガスを導入し、前記冷却処理部の上方側の空間に設けられ口径が前記上端部よりも小さな排出ガス導入部から噴出させるとともに、該排出ガスに前記冷却処理部の上方側の空間に設けられた冷却水導入部aから噴射された冷却水と接触させ、さらに前記冷却処理部に設けられた複数の冷却水導入部からの冷却水を噴射し、両者を接触・混合して冷却処理する1次処理プロセスと、
(2)前記複数の冷却水導入部の内の少なくとも1つの前記上端部側の側面に配設された冷却水導入部cからの冷却水を、前記冷却処理部の内側面に対して接線方向に噴射させて下流ほど流速が上がり冷却水の密度を大きくする旋回流を形成し、かつ該内側面に下流ほど厚みが増大する水膜を形成させる2次処理プロセスと、
(3)冷却された排出ガスから、該排出ガスに同伴してきた粉体を分離処理する3次処理プロセスと、
を有することを特徴とする。
また、前記冷却処理部の下端部に、前記排出ガス供出部および冷却水導入部dを有する第2処理部が設けられ、排出ガスに対して該冷却水導入部dから新たな冷却水を噴射させ、気液分離および気固分離を行うことによって、冷却・清浄化された排出ガスが排出ガス供出部から排出される。冷却水導入部dから新たな冷却水を噴射させることによって、効率のよい気液分離および気固分離を行うことができる。つまり、粉体が溶解あるいは混合した水滴または飛沫に冷却水が接触すると、こうした粉体をさらに捕集し重量の大きな水滴を生じることから、第2処理部内の下方に移動し、一方処理された排出ガスは、同伴していた粉体が除去され軽質化することから、第2処理部内の上方に移動し、両者は分離可能な状態となる。
図1は、本処理装置の基本構成例(第1構成例)を示す概略図であり、冷却処理部10と、分離された処理水や粉体を貯蔵する貯蔵部20が設けられている。冷却処理部10には、排出ガスが導入される排出ガス導入部1と、冷却水が導入される冷却水導入部2a〜2dと、これらが気液接触する第1処理部3と、さらに冷却水が導入され気液(気固)分離される第2処理部4と、処理された排出ガスが供出される排出ガス供出部5と、分離された処理水や粉体がトラップされる粉体分離部6が設けられ、貯蔵部20には、粉体分離部6からの粉体を含む処理水を貯蔵する貯蔵タンク7が設けられる。冷却水導入部2a〜2dからの冷却水の導入および流量は、開閉弁V1〜V4によって制御・調整される。
本処理装置においては、被処理ガスである排出ガスが導入される第1処理部3の内部構造は、図2(A)のように、上端部3bに対して大きく開口することが好ましい。排出ガスを口径の小さな排出ガス導入部1から急激に開口した第1処理部3の空間に噴き出すことによって、断熱膨張に近い冷却機能を生み出すことができるとともに、上端部3bに設けられた冷却水導入部2aから噴射された冷却水との接触効果を上げることができる。こうした機能は、排出ガス導入部1の先端をノズル状にし、加圧された排出ガスを噴き出すことによって、さらに効果上げることができる。
第1処理部3において、図2(B)のように、上端部3b近傍の内側面3aが複数(図では4つ)に等分割された位置に、冷却水導入部が設けられ、各冷却水導入部からの冷却水を第1処理部3の内側面3aに対して接線方向に噴射させることが好ましい。4分割された位置に冷却水導入部21c〜24cが設けられ、略等量の冷却水を内側面3aに対して接線方向に噴射させることによって、ムラのない水量の大きな旋回流Cを形成することができるとともに、内側面3a全体に均一で水量の大きな水膜Fを形成することができる。これによって、吸熱効果の均一性および粉体の付着防止を大きくすることが可能となる。ただし、複数の冷却水導入部21c〜24cを全て等量の冷却水を噴射する必要はなく、特定の冷却水導入部を選択し、局部的に旋回流Cの強化あるいは水膜Fの強化のために、水量を増加することも可能である。
第1処理部3において十分に冷却された排出ガスは、粉体中の溶解成分が溶解あるいは非溶解成分が混合した飛沫あるいは水滴状の冷却水を同伴するが、そのままではガスと粉体および水分を分離することは難しい。本処理装置では、第1処理部3からの排出ガスに対して、さらに冷却水導入部2dから新たな冷却水を噴射させることによって、効率のよい気液分離および気固分離を行うことができる。つまり、粉体が溶解あるいは混合した水滴または飛沫に冷却水が接触すると、こうした粉体をさらに捕集し重量の大きな水滴を生じることから、第2処理部4内の下方に移動し、一方処理された排出ガスは、同伴していた粉体が除去され軽質化することから、第2処理部4内の上方に移動し、両者は分離可能な状態となる。そこで、排出ガスは、第2処理部4内の上部に設けられた排出ガス供出部5から供出され、ガス体と分離された冷却水や粉体(粉体等という)は、第2処理部4内の下部に設けられた粉体分離部6にトラップされて貯蔵タンク7に貯留される。
貯蔵タンク7には、粉体等のレベルを検出するレベルセンサLと、粉体等を排出する排出弁7aを備え、所定の貯留量を超えた場合に排出弁7aを開として粉体等を排出することができる。このとき、貯留された粉体等のレベルを、レベルセンサLを用いて監視することによって、所定量の系外への排出を自動的に行い、安定した粉体等の分離を図ることができる。貯蔵タンク7には、その内部に温度センサ7eが設けられ、所望の温度に管理維持される。
上記のような構成を有する本処理装置においては、以下の処理プロセスに沿って、排出ガスの冷却処理、分離処理が行われる。
(1)上端部が大きく開口し、下端ほど空間が絞り込まれる内面の構成を有する冷却処理部10に高温の排出ガスを導入し、前記冷却処理部の上方側の空間に設けられ口径が前記上端部よりも小さな排出ガス導入部1から噴出させるとともに、該排出ガスに前記冷却処理部の上方側の空間に設けられた冷却水導入部2aから噴射された冷却水と接触させ、さらに前記冷却処理部10に設けられた複数の冷却水導入部(例えば2b,2c)からの冷却水を噴射し、両者を接触・混合して冷却処理する1次処理プロセス
(2)複数の冷却水導入部(例えば2b,2c)の内の少なくとも1つの上端部側の側面に配設された冷却水導入部2cからの冷却水を、排出ガスの流路に垂直かつ冷却処理部10(第1処理部3)の内側面3aに対して接線方向に噴射させて下流ほど流速が上がり冷却水の密度を大きくする旋回流Cを形成し、かつ内側面3aに下流ほど厚みが増大する水膜Fを形成させる2次処理プロセス
(3)冷却された排出ガスから、該排出ガスに同伴してきた粉体を分離処理する3次処理プロセス
を有することを特徴とする排出ガスの処理方法。
本処理装置、特に第1処理部3における冷却機能および粉体の処理機能を以下の通り検証した。
(a)高温排出ガスの冷却効率の検証
(a−1)処理条件
図3(A)に示す実験装置を用い、外気温20℃の条件下で、粉体(SiO2,P2O5等)を含む大気ベースのガスを加熱炉E1に導入し、約300℃に加熱された排出ガスとして、流量約200SLMで、内容積約5Lの第1処理部3に供給すると同時に、水圧約0.3MPa、水温14℃の冷却水を、以下の3つの条件で第1処理部3に供給した場合について、
(i)導入しない場合
(ii)ノズル(冷却水導入部に相当)E2aおよびE2bから各々流量約2.25L/min(総流量約4.5L/min)で旋回流Cを形成して供給した場合
(iii)ノズルE2cから流量約4.5L/minで排出ガスと同方向(順流)に供給した場合
第1処理部3の外壁面温度t1および出口温度t2、第2処理部4の出口温度t3をモニタし、冷却水の供給効果を検証した。ここで、第2処理部4は、内容積約5Lを有し、冷却水の供給はない。
その結果を表1に示す。冷却水の供給効果は、(ii)旋回流および(iii)順流のいずれも顕著に見られるが、冷却効果には大きな差異があり、旋回流の高い冷却効果が立証された。特に、第1処理部3の外壁面温度t1における差異は、出口ガス温度t2の差異と略同等であり、水膜Fの形成によって内側面および側壁を介して効率よく熱量が移動し、放熱されていることを表わしている。つまり、冷却水の旋回流Cおよび水膜Fの形成によって、非常に高い冷却機能を確保することができることを検証することができた。
(b−1)処理条件
図3(B)に示す実験装置を用い、流量約200〜300SLMの空気をブロアE3によって圧送し、内容積約30Lの粉体容器E4内に配設された粉体(粉体の性状として、親水性かつ粘性が高く付着しやすい材料である片栗粉を用いた)約500gに吹き付けて、排出ガスとして粉体を同伴した状態で、下流に設けられた内容積約3Lの第1処理部3に供給すると同時に、水圧約0.3MPa、水温14℃の冷却水を、以下の3つの条件で第1処理部3に供給した場合について、
(i)ノズルE2aおよびE2bから各々流量約2.25L/min(総流量約4.5L/min)で旋回流Cを形成して供給した場合
(ii)ノズルE2cから流量約4.5L/minで排出ガスと同方向(順流)に供給した場合
(iii)ノズルE2dから流量約4.5L/minで排出ガスの流れの中心に垂直な方向(直角流)に供給した場合
第1処理部3の内側面における粉体の付着状況(除去状況)をモニタし、その冷却水の供給効果を検証した。ここで、第1処理部3は、内部の粉体の付着状態を観察することが可能なように透明PVCにより製作し、確認は目視で行った。
その結果を表2に示す。冷却水の供給効果は、(i)旋回流および(ii)順流のいずれも顕著に見られるが、(iii)直角流については、内側面の粉体除去効果は殆ど見られなかった。また、(i)旋回流と(ii)順流の間での粉体除去効果には大きな差異があり、旋回流の高い粉体除去効果が立証された。つまり、冷却水の旋回流Cおよび水膜Fの形成によって、非常に高い粉体除去機能を確保することができることを検証することができた。
(c−1)処理条件
図3(B)に示す実験装置を用い、冷却水の供給流量以外を、上記(b−1)と同様の条件として、以下の2つの条件で第1処理部3に供給した場合について、
(i)ノズルE2aおよびE2bから旋回流Cを形成して供給した場合
(ii)ノズルE2dから排出ガスの流れの中心に垂直な方向(直角流)に供給した場合
第1処理部3の内側面における粉体の付着状況(除去状況)をモニタし、その冷却水の供給効果を検証した。
その結果を図4に示す。冷却水の供給流量を変化させた場合の粉体除去効果は、直角流では、冷却水の供給流量の低下に伴い殆ど比例的に粉体の付着量が増加し、十分な粉体除去効率を得ることができない傾向が見られる一方、旋回流では、約2L/min以上において高い粉体除去効率を示し、直角流に比較して大きな異差が見られた。また、旋回流についても、約2L/min以下の流量条件においては、著しい粉体除去効率の低下が見られ、約2L/min以上の流量条件を確保することが好ましいとの検証結果を得た。
次に、除害処理装置を含む本処理装置の構成例を図5に示す。冷却処理部10および貯蔵部20の前段に、除害処理装置30が設けられ、半導体製造設備等の消費設備(図示せず)からの被処理ガスが、導入部8から開閉弁V6を介して除害処理装置30に導入される。本構成例は、こうした除害処理装置によって新たな粉体(反応生成物)が生じる場合に、本処理装置を適用したものである。除害処理装置30としては、例えば有機成分が多く含まれる被処理ガスにおいては燃焼炉(酸化炉)が多く用いられ、その他触媒を用いて無害化物質に変換する方法や吸着剤によって有害物質を除去する方法が用いられる。
MCxHyOz+mO2→xCO2(g)+y/2H2O(g)+M0 ・・式1
M0+Cat→Cat−M ・・式2
こうした金属化合物の一部は水溶性であるが、多くの金属化合物あるいは金属結合体は難溶性であり成長性を有することから、これらを同伴する排出ガスの清浄化処理において、一旦その処理部の側壁に付着した場合には、それを除去することは非常に難しく、やがて流路の閉塞に繋がることがある。
2a〜2d 冷却水導入部
3 第1処理部
4 第2処理部
5 排出ガス供出部
6 粉体分離部
7 貯蔵タンク
10 冷却処理部
20 貯蔵部
C 旋回流
F 水膜
L レベル計
T1〜T4 温度計
V1〜V4 開閉弁
Claims (4)
- 上端部が大きく開口し、下端ほど空間が絞り込まれる内面の構成を有し、粉体を同伴する排出ガスと冷却水を接触させ、該排出ガスを冷却させる冷却処理部を備え、前記冷却処理部の上方側の空間に設けられ高温の排出ガスが導入される口径が前記上端部よりも小さなガス導入部と、前記冷却処理部の下端部に設けられた第2処理部において冷却処理された排出ガスが供出される排出ガス供出部と、冷却水が導入される少なくとも3つの冷却水導入部a〜cを有し、
前記冷却処理部の上端部側の側面に配設された少なくとも1つの冷却水導入部cからの冷却水を、前記冷却処理部の内側面に対して接線方向に噴射させて下流ほど流速が上がり冷却水の密度を大きくする旋回流を形成し、かつ該内側面に下流ほど厚みが増大する水膜を形成させるとともに、
前記冷却処理部の上方側の空間に冷却水導入部aが設けられ、前記排出ガス導入部から噴射された排出ガスが、前記冷却水導入部aから噴射された冷却水と接触することを特徴とする粉体を同伴する排出ガスの処理装置。 - 前記冷却処理部の下端部に、前記排出ガス供出部および冷却水導入部dを有する第2処理部が設けられ、排出ガスに対して該冷却水導入部dから新たな冷却水を噴射させ、気液分離および気固分離を行うことを特徴とする請求項1記載の粉体を同伴する排出ガスの処理装置。
- 前記冷却処理部の上端部近傍の内側面が複数に等分割された位置に、複数の冷却水導入部cが設けられ、各冷却水導入部cからの冷却水を前記冷却処理部の内側面に対して接線方向に噴射させて旋回流を形成し、該内側面全体に水膜を形成させることを特徴とする請求項1または2記載の粉体を同伴する排出ガスの処理装置。
- 粉体を同伴する排出ガスの処理プロセスにおいて、
(1)上端部が大きく開口し、下端ほど空間が絞り込まれる内面の構成を有する冷却処理部に高温の排出ガスを導入し、前記冷却処理部の上方側の空間に設けられ口径が前記上端部よりも小さな排出ガス導入部から噴出させるとともに、該排出ガスに前記冷却処理部の上方側の空間に設けられた冷却水導入部aから噴射された冷却水と接触させ、さらに前記冷却処理部に設けられた複数の冷却水導入部からの冷却水を噴射し、両者を接触・混合して冷却処理する1次処理プロセスと、
(2)前記複数の冷却水導入部の内の少なくとも1つの前記上端部側の側面に配設された冷却水導入部cからの冷却水を、前記冷却処理部の内側面に対して接線方向に噴射させて下流ほど流速が上がり冷却水の密度を大きくする旋回流を形成し、かつ該内側面に下流ほど厚みが増大する水膜を形成させる2次処理プロセスと、
(3)冷却された排出ガスから、該排出ガスに同伴してきた粉体を分離処理する3次処理プロセスと、
を有することを特徴とする排出ガスの処理方法。
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