JP2015127142A - 積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐摩耗性に優れ、硬度が高く、基材とプライマー層との密着性、及び、中間層と上塗り層との密着性に優れる積層体を提供する。【解決手段】基材と、上記基材上に形成された平均粒子径が3μm以上の無機粒子(a)及び耐熱性樹脂(a)を含み、フッ素樹脂を含まないプライマー層と、上記プライマー層上に形成されたフッ素樹脂(b)及び耐熱性樹脂(b)を含む中間層と、上記中間層上に形成されたフッ素樹脂(c)を含む上塗り層からなる積層体。【選択図】なし
Description
本発明は、積層体に関する。
ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体のフッ素樹脂は、低摩擦係数を有し、非粘着性、耐薬品性、耐熱性等の特性に優れているので、食品工業用品、フライパンや鍋等の厨房器具、アイロン等の家庭用品、電気工業用品、機械工業用品等の表面加工に広く用いられている。
しかしながら、フッ素樹脂はその非粘着性により基材との密着性が乏しく、この密着性の改善に耐熱性エンプラ等のバインダー樹脂とフッ素樹脂とを配合したプライマーを下塗りとして予め基材上に塗装して得られるプライマー層と、フッ素樹脂からなる層とを有する積層体が提案されている。
このような積層体においては、さらに、近年においては、耐摩耗性や強度の向上等を目的として、層形成時に充填材を添加する提案がされている。しかし、上記目的のために充分な量の充填材を配合すると、フッ素樹脂が本質的に柔らかいことと充填材が脱落しやすいことから耐摩耗性や強度の向上に限界があった。
特許文献1には、基材上に、水溶性で硬化性のポリアミドイミド系及び/またはポリイミド系バインダーポリマー、セラミック球状粒子、380℃での溶融クリープ粘度が8×109以上で1.0×1010Pa・s以下の範囲であり、かつ標準比重が2.146以上で2.170以下の変性ポリテトラフルオロエチレンをプライマー層とトップコート層に配合し層間密着を改善する技術が開示されている。
特許文献2には、基板上に、それぞれフルオロポリマー樹脂を含有するアンダーコートとオーバーコートとを含み、上記アンダーコートは、上記アンダーコートから出っ張るセラミック粒子をも含有する非粘着性被膜が開示されており、被覆表面から摩耗力をそらし、耐摩耗性と耐久性の向上が図られている。
特許文献3には、基材上に、耐熱性非フルオロポリマーバインダーと約2マイクロメートル以下の平均粒径を有する無機充填剤粒子とを含むベースコートを有しており、上記ベースコート上に、それぞれフルオロポリマー樹脂を含有するプライマー、中間層、トップコートからなるノンスティックコーティングを施す方法が開示されており、基材との密着性の向上が図られている。
本発明は、耐摩耗性に優れ、硬度が高く、基材とプライマー層との密着性、及び、中間層と上塗り層との密着性に優れる積層体を提供することを目的とする。
本発明者は、基材と、上記基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に形成された中間層と、該中間層上に形成された上塗り層とを有する積層体において、プライマー層が耐熱性樹脂と特定の平均粒子径を有する無機粒子を有し、中間層がフッ素樹脂と耐熱性樹脂を有し、上塗り層がフッ素樹脂を有すれば、該積層体が耐摩耗性に優れ、硬度が高く、基材とプライマー層との密着性、及び、中間層と上塗り層との密着性に優れたものになることを見出した。
すなわち、本発明は、基材と、上記基材上に形成された平均粒子径が3μm以上の無機粒子(a)及び耐熱性樹脂(a)を含み、フッ素樹脂を含まないプライマー層と、上記プライマー層上に形成されたフッ素樹脂(b)及び耐熱性樹脂(b)を含む中間層と、上記中間層上に形成されたフッ素樹脂(c)を含む上塗り層からなる積層体である。
無機粒子(a)は、セラミック粒子であることが好ましい。
無機粒子(a)は、無機窒化物類、炭化物類、ホウ化物類、及び酸化物類からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
無機粒子(a)は、ヌープ硬度が1200以上であることが好ましい。
耐熱性樹脂(a)は、ポリアミドイミド、ポリイミド及びポリエーテルスルホンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
フッ素樹脂(c)は、ポリテトラフルオロエチレンを含むことが好ましい。
プライマー層は、基材上に、無機粒子(a)及び耐熱性樹脂(a)を含む水性塗料を塗布することにより得られることが好ましい。
プライマー層の厚みは、10〜30μmであることが好ましい。
上塗り層は、無機粒子(c)を含むことが好ましい。
無機粒子(c)は、無機窒化物類、炭化物類、ホウ化物類、及び酸化物類からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
中間層は、無機粒子を含まないことが好ましい。
フッ素樹脂(b)は、ポリテトラフルオロエチレンを含むことが好ましい。
耐熱性樹脂(b)は、ポリアミドイミド、ポリイミド及びポリエーテルスルホンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
プライマー層は、最大高さ粗さ(Rz)が10μm以上であることが好ましい。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明は、基材と、上記基材上に形成された平均粒子径が3μm以上の無機粒子(a)及び耐熱性樹脂(a)を含み、フッ素樹脂を含まないプライマー層と、上記プライマー層上に形成されたフッ素樹脂(b)及び耐熱性樹脂(b)を含む中間層と、上記中間層上に形成されたフッ素樹脂(c)を含む上塗り層からなる積層体である。本発明の積層体は、基材、プライマー層、中間層及び上塗り層がこの順に積層されており、基材とプライマー層、プライマー層と中間層及び中間層と上塗り層は、いずれも、直接密着している。
本発明の積層体を構成するプライマー層は、平均粒子径が3μm以上の無機粒子(a)及び耐熱性樹脂(a)を含み、フッ素樹脂を含まないものである。
上記プライマー層が、上記耐熱性樹脂(a)を含み、フッ素樹脂を含まないことにより、基材と上記プライマー層との優れた密着性が発揮され、更に、プライマー層の硬度低下を抑えることができる。
上記プライマー層が、平均粒子径が3μm以上の上記無機粒子(a)を含むことにより、該プライマー層と該プライマー層に隣接する中間層との優れた密着性が発揮され、更に、中間層と上塗り層との優れた密着性も発揮される。
このように、本発明の積層体によれば、プライマー層が上記無機粒子(a)及び上記耐熱性樹脂(a)を含むことに起因して、優れた密着性を発揮することができる。
以下に、本発明について具体例を挙げて更に詳述する。
本発明の積層体を構成する基材の材料としては特に限定されず、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス、銅等の金属単体及びこれらの合金類等の金属;ホーロー、ガラス、セラミック等の非金属無機材料等が挙げられる。上記合金類としては、ステンレス等が挙げられる。上記基材の材料としては、金属が好ましく、アルミニウム又はステンレスがより好ましい。
上記基材は、必要に応じ、脱脂処理、粗面化処理等の表面処理を行ったものであってもよい。上記粗面化処理の方法としては特に限定されず、例えば、酸又はアルカリによるケミカルエッチング、陽極酸化(アルマイト処理)、サンドブラスト等が挙げられる。上記表面処理は、上記プライマー層を形成するためのプライマー用組成物(i)をハジキを生じず均一に塗布することができる点、及び、基材とプライマー層との密着性が向上する点等から、基材やプライマー用組成物(i)等の種類に応じて適宜選択すればよいが、例えば、サンドブラストであることが好ましい。
上記基材は、380℃で空焼きして油等の不純物を熱分解除去する脱脂処理を実施したものであってもよい。また、表面処理後にアルミナ研掃材を用いて粗面化処理を施したアルミニウム基材を使用してもよい。
本発明の積層体を構成するプライマー層は、耐熱性樹脂(a)を含む。上記耐熱性樹脂(a)は、通常、耐熱性を有すると認識されている樹脂であればよい。本明細書において、「耐熱性」とは、150℃以上の温度における連続使用が可能である性質を意味する。但し、上記耐熱性樹脂(a)としては、上述のフッ素樹脂を除く。
上記耐熱性樹脂(a)としては特に限定されないが、例えば、ポリアミドイミド〔PAI〕、ポリイミド〔PI〕、ポリエーテルスルホン〔PES〕、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリエステル及びポリアリレンサルファイドからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、PAI、PI及びPESからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記PAIは、分子構造中にアミド結合及びイミド結合を有する重合体からなる樹脂である。上記PAIとしては特に限定されず、例えば、アミド結合を分子内に有する芳香族ジアミンとピロメリット酸等の芳香族四価カルボン酸との反応;無水トリメリット酸等の芳香族三価カルボン酸と4,4−ジアミノフェニルエーテル等のジアミンやジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネートとの反応;芳香族イミド環を分子内に有する二塩基酸とジアミンとの反応等の各反応により得られる高分子量重合体からなる樹脂等が挙げられる。上記PAIとしては、耐熱性に優れる点から、主鎖中に芳香環を有する重合体からなるものが好ましい。
上記PIは、分子構造中にイミド結合を有する重合体からなる樹脂である。上記PIとしては特に限定されず、例えば、無水ピロメリット酸等の芳香族四価カルボン酸無水物の反応等により得られる高分子量重合体からなる樹脂等が挙げられる。上記PIとしては、耐熱性に優れる点から、主鎖中に芳香環を有する重合体からなるものが好ましい。
上記PESは、下記一般式:
で表される繰り返し単位を有する重合体からなる樹脂である。上記PESとしては特に限定されず、例えば、ジクロロジフェニルスルホンとビスフェノールとの重縮合により得られる重合体からなる樹脂等が挙げられる。
上記耐熱性樹脂(a)は、基材との密着性に優れ、調理器具を形成する際に行う焼成時の温度下でも充分な耐熱性を有し、得られる調理器具が耐食性に優れる点から、PAI、PI及びPESからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。PAI、PI及びPESは、それぞれが1種又は2種以上からなるものであってよい。
上記耐熱性樹脂(a)としては、基材との密着性及び耐熱性に優れる点から、PAI及びPIからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であることがより好ましい。
上記耐熱性樹脂(a)としては、耐食性に優れる点から、PESと、PAI及びPIからなる群より選択される少なくとも1種と、からなることが好ましい。すなわち、耐熱性樹脂(a)は、PESとPAIとの混合物、PESとPIとの混合物、又は、PESとPAIとPIとの混合物であってよい。上記耐熱性樹脂は、PES及びPAIの混合物であることが特に好ましい。
上記耐熱性樹脂(a)が、PESと、PAI及びPIからなる群より選択される少なくとも1種とからなるものである場合、上記PESは、PESと、PAI及びPIからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂との合計量の30〜85質量%であることが好ましい。より好ましくは、40〜80質量%であり、更に好ましくは、45〜75質量%であり、特に好ましくは、50〜70質量%である。
上記耐熱性樹脂(a)の含有量としては、上記プライマー層の全体積に対して、50〜80体積%であることが好ましい。より好ましくは55〜75体積%、更に好ましくは60〜75体積%である。上記耐熱性樹脂(a)を上記範囲で使用することで、基材とプライマー層との密着性、及びプライマー層と中間層との密着性を向上することができる。
本発明の積層体を構成するプライマー層はまた、平均粒子径が3μm以上の無機粒子(a)を含む。上記無機粒子(a)によって、上記プライマー層は、プライマー層に隣接する中間層の耐摩耗性およびプライマー層と中間層との密着性を向上させることができる。
上記無機粒子(a)としては、例えば、セラミック粒子、金属粒子が挙げられるが、耐摩耗性の観点から、セラミック粒子であることが好ましい。無機粒子(a)としては、ジルコニウム、タンタル、チタン、タングステン、ケイ素、アルミニウム又はベリリウムの無機窒化物類、炭化物類、ホウ化物類及び酸化物類からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、炭化ケイ素又は酸化アルミニウムが入手し易さとコスト面で更に好ましい。
上記無機粒子(a)は、プライマー層に隣接する中間層の耐摩耗性を向上させる効果から、ヌープ硬度が1200以上であることが好ましく、2000以上であることがより好ましい。ヌープ硬度は、凹み又は引掻きに対する材料の抵抗を表現するための尺度であり、例えば、寺沢式微小硬度計(SM−2 大洋テスター社製)により測定することができる。好ましい無機粒子の典型的なヌープ硬度値は、ジルコニア(1200)、窒化アルミニウム(1225)、ベリリア(1300)、窒化ジルコニウム(1510)、ホウ化ジルコニウム(1560)、窒化チタン(1770)、炭化タンタル(1800)、炭化タングステン(1880)、酸化アルミニウム(2025)、炭化ジルコニウム(2150)、炭化チタン(2470)、炭化ケイ素(2500)、ホウ化アルミニウム(2500)、ホウ化チタン(2850)である。
上記無機粒子(a)の形状として、例えば、粒子状、フレーク状等が挙げられるが、粒子状が好ましく、特に破砕粒子が好ましい。
上記無機粒子(a)は、平均粒子径が3μm以上である。無機粒子(a)の平均粒子径は、6μm以上が好ましく、8μm以上がより好ましい。無機粒子(a)の平均粒子径は、14μm以下が好ましく、13μm以下がより好ましい。無機粒子(a)の平均粒子径が上記範囲内であることにより、プライマー層と中間層との界面に凹凸を設けることができ、プライマー層からの粒子の脱落を抑えることが可能となる。これにより、層間の接着強度がより向上する。また、中間層と上塗り層との優れた密着性が実現できる。これは、アンカー効果や接着面積の増大による密着力の増大によるためであると考えることができる。プライマー層と中間層との密着性が更に向上する点、及び、後述する上塗り層の耐摩耗性を向上する点から、無機粒子(a)がプライマー層から突き出していることが好ましい。
無機粒子(a)の平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒子径・粒度分布測定装置(日機装(株)製マイクロトラックMT3300II、媒体:純水、温度:室温)により測定して得られる粒度分布から算出する。
無機粒子(a)の平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒子径・粒度分布測定装置(日機装(株)製マイクロトラックMT3300II、媒体:純水、温度:室温)により測定して得られる粒度分布から算出する。
上記無機粒子(a)の含有量は、上記プライマー層の全体積に対して、10〜50体積%であることが好ましく、20〜40体積%であることがより好ましく、25〜40体積%が特に好ましい。上記無機粒子(a)を上記範囲で使用することで、基材とプライマー層との密着性を維持し、プライマー層と中間層との密着性、中間層の耐摩耗性を向上することができる。また、中間層と上塗り層との優れた密着性が実現できる。無機粒子(a)の含有量が少な過ぎると、プライマー層表面のアンカー効果が充分でない。無機粒子(a)の含有量が多過ぎると、アンカー効果が期待できても粒子が脱落しやすくなり、基材とプライマー層との密着性が低下するおそれがある。
上記プライマー層は、通常、基材上に形成する。上記プライマー層は、例えば、上記無機粒子(a)及び上記耐熱性樹脂(a)を含む水性塗料を基材上に塗布し、乾燥させる。また、必要に応じて焼成しても良い。
上記プライマー層が上記無機粒子(a)と上記耐熱性樹脂(a)とからなる場合、上記耐熱性樹脂(a)は本質的に上記無機粒子と接着し、また基材との接着性を有するので、基材に対する密着性に優れている。上記プライマー層は、また、上記無機粒子(a)により、プライマー層と中間層との界面に凹凸を設けることができるので、プライマー層と中間層との密着性に優れている。このように、上記プライマー層は、上記無機粒子(a)と上記耐熱性樹脂(a)とからなる場合、基材及び中間層の双方に対し、優れた密着性を有するものである。
本発明の積層体を構成するプライマー層は、上記無機粒子(a)と上記耐熱性樹脂(a)以外に、添加剤を更に含んでもよい。上記添加剤としては特に限定されず、例えば、レベリング剤、固体潤滑剤、沈降防止剤、水分吸収剤、表面調整剤、チキソトロピー性付与剤、粘度調節剤、ゲル化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、色分かれ防止剤、皮張り防止剤、スリ傷防止剤、防カビ剤、抗菌剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、カーボンブラック、クレー、タルク、ダイヤモンド、フッ素化ダイヤモンド、トルマリン、翡翠、ゲルマニウム、体質顔料、コランダム、ケイ石、クリソベリル、トパーズ、ベリル、ガーネット、石英、ざくろ石、酸化ジルコニウム、炭化ジルコニウム、鱗片状顔料、ガラス、各種強化材、各種増量材、導電性フィラー、金、銀、銅、白金、ステンレス等の金属粉末等が挙げられる。
上記添加剤の含有量は、上記プライマー層の場合、上記無機粒子(a)と上記耐熱性樹脂(a)を含む後述のプライマー用組成物(i)中0.1〜5.0質量%が好ましく、0.5〜3.0質量%がより好ましい。
上記プライマー層は、厚みが5〜40μmであることが好ましく、10〜35μmであることがより好ましい。厚みが薄過ぎると、プライマー表面のアンカー効果が期待できないのと、ピンホールが発生し易く、積層体の耐食性が低下するおそれがある。厚みが厚過ぎると、クラック或いは膨れ等の塗膜欠陥が生じ易くなり、積層体の耐摩耗性の低下、硬度の低下、耐食性が低下するおそれがある。上記プライマー層の厚みの更に好ましい上限は、30μmであり、特に好ましい上限は、25μmである。
上記プライマー層は、最大高さ粗さ(Rz)が、10μm以上であることが好ましい。プライマー層の最大高さ粗さ(Rz)が上記範囲内であることにより、耐摩耗性が向上する。また、中間層と上塗り層との優れた密着性が実現できる。プライマー層の最大高さ粗さ(Rz)は、12μm以上であることがより好ましく、15μm以上であることが更に好ましく、20μm以下であることが好ましく、17μm以下であることがより好ましい。
本発明の積層体は、上記プライマー層が1層または2層以上であってもよい。
本発明の積層体を構成する中間層は、フッ素樹脂(b)を含む。これにより、中間層と上塗り層との密着性を向上させることができる。
上記フッ素樹脂(b)としては、炭素原子に結合している水素原子の全部がフッ素原子により置換されている重合体を用いることができる。上記フッ素樹脂(b)は、非溶融加工性であってもよいし、溶融加工性であってもよい。
上記フッ素樹脂(b)は、フッ素原子により水素原子の全部が置換されているビニル基を分子中に含有する不飽和単量体を重合することにより得られるものであることが好ましい。上記フッ素樹脂(b)は、上記含フッ素不飽和単量体の単独重合体であってもよく、2種以上の上記含フッ素不飽和単量体の共重合体であってもよい。また、上記フッ素樹脂(b)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記含フッ素不飽和単量体の単独重合体、及び、2種以上の上記含フッ素不飽和単量体の共重合体としては、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕(テトラフルオロエチレン〔TFE〕ホモポリマー〔TFEホモポリマー〕及び/又は変性ポリテトラフルオロエチレン〔変性PTFE〕)、TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕共重合体〔PFA〕、TFE/ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕共重合体〔FEP〕等が挙げられる。TFEホモポリマー、及び変性PTFEは非溶融加工性である。なかでも、上記フッ素樹脂(b)は、PTFEを含むことが好ましく、PTFEとともに、PFA及び/又はFEPを含むことも好ましい。
本明細書において、上記「変性PTFE」とは、得られる共重合体に溶融加工性を付与しない程度の少量の共単量体をTFEと共重合してなるものを意味する。上記少量の共単量体としては特に限定されず、例えば、HFP、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、PAVE等が挙げられる。上記少量の共単量体が上記変性PTFEに付加されている割合は、その種類によって異なるが、例えば、PAVEを用いる場合、通常、上記TFEと上記少量の共単量体との合計質量の0.001〜1質量%であることが好ましい。
上記溶融粘度は、フローテスターCFT−500C(島津製作所社製)を用いて、融点より50℃高い温度下、荷重7kgfで、直径2.1mm×長さ8mmのオリフィスを通して押し出し、この時の押し出し速度より算出したものである。
上記溶融加工性フッ素樹脂の数平均分子量としては、2×104〜1×107であることが好ましく、特に2×105〜8×106であることが好ましい。数平均分子量が2×104未満では塗膜が脆くなる傾向があり、1×107を超えると溶融粘度が高すぎて粒子同士が融着しにくくなる傾向がある。
上記溶融加工性フッ素樹脂の数平均分子量としては、2×104〜1×107であることが好ましく、特に2×105〜8×106であることが好ましい。数平均分子量が2×104未満では塗膜が脆くなる傾向があり、1×107を超えると溶融粘度が高すぎて粒子同士が融着しにくくなる傾向がある。
上記非溶融加工性フッ素樹脂の数平均分子量は、「Journal of Applied Polymer Science」第17巻、第3253〜3257頁(1973)に記載の方法により測定して求めることができる。また、FEPの数平均分子量は、ASTM D2116に記載の方法により、溶融流れ速度(MFR)を測定し、以下に示す式(1)により溶融粘度(MV)を求め、さらに式(2)から数平均分子量(Mn)を求めることができる。
式(1):
式(2):
フッ素樹脂粒子は、たとえばフッ素系単量体を乳化重合などの方法で重合して製造した微粒子(パーフルオロ系フッ素樹脂水性分散液における微粒子)をそのまま使用することができ、その平均粒子径としては0.01〜100μmが好ましく、特に0.1〜5μmが好ましい。平均粒子径が0.01μm未満のものは造膜させることが困難となり、100μmを超えると塗装に用いるガンノズルが目詰まりする傾向がある。
また、本発明においては、上記乳化重合で得られるフッ素樹脂粒子を水性分散液の形態で用いることが好ましい。フッ素樹脂水性分散液のフッ素樹脂固形分濃度としては、安定性や後の塗膜形成性が良好な点から20〜80質量%が好ましく、特に40〜70質量%であることが好ましい。なお、フッ素樹脂水性分散組成物の調製段階で、固形分濃度は適宜調整できる。
上記フッ素樹脂(b)の含有量としては、上記中間層の全質量に対して、60〜90質量%であることが好ましい。より好ましくは65〜85質量%、更に好ましくは70〜80質量%である。上記フッ素樹脂(b)を上記範囲で使用することで、中間層と該中間層に隣接する後述の上塗り層との密着性を向上することができる。
本発明の積層体を構成する中間層はまた、耐熱性樹脂(b)を含む。
上記耐熱性樹脂(b)は、上記耐熱性樹脂(a)として例示した耐熱性樹脂を用いてよく、PAI、PI及びPESからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、耐食性に優れる点から、PESと、PAI及びPIからなる群より選択される少なくとも1種と、からなることがより好ましい。
上記耐熱性樹脂(b)の含有量としては、上記中間層の全質量に対して、10〜40質量%であることが好ましい。より好ましくは15〜35質量%、更に好ましくは20〜30質量%である。上記耐熱性樹脂(b)を上記範囲で使用することで、中間層とプライマー層との密着性、及び中間層と上塗り層との密着性を向上することができる。
上記中間層は、通常、プライマー層上に形成する。上記中間層は、例えば、フッ素樹脂(b)と耐熱性樹脂(b)とからなる中間用組成物(ii)をプライマー層上に塗布し、必要に応じて乾燥し、次いで焼成することにより得られる。
上記中間層が上記フッ素樹脂(b)と上記耐熱性樹脂(b)とからなる場合、上記耐熱性樹脂(b)が上記プライマー層中の耐熱性樹脂(b)との親和性を有するので、プライマー層に対する密着性に優れている。上記中間層は、また、上記フッ素樹脂(b)が上塗り層中のフッ素樹脂(c)との親和性を有するので、上塗り層との密着性に優れている。このように、上記中間層は、上記フッ素樹脂(b)と上記耐熱性樹脂(b)とからなる場合、プライマー層及び上塗り層の双方に対し、優れた密着性を有するものである。
上記中間層は、上記フッ素樹脂(b)と上記耐熱性樹脂(b)以外に、本発明の効果を損なわない程度に、添加剤を含んでもよい。上記添加剤としては特に限定されず、例えば、上記プライマー層において例示した添加剤を用いることができるが、上記無機粒子(a)及び後述する無機粒子(c)として例示する無機粒子を含まないことが好ましい。
上記添加剤の含有量は、上記中間層の場合、上記フッ素樹脂(b)と上記耐熱性樹脂(b)を含む後述の中間用組成物(ii)中6〜16質量%が好ましく、8〜14質量%がより好ましい。
上記中間層の厚みは、15〜30μmであることが好ましく、18〜25μmであることがより好ましい。
本発明の積層体を構成する上塗り層は、フッ素樹脂(c)を含む。これにより、本発明の積層体が、非粘着性、耐熱性、滑り性等の性能を発揮することができる。
上記フッ素樹脂(c)としては、上記フッ素樹脂(b)として例示したフッ素樹脂を用いてよく、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕(TFEホモポリマー及び/又は変性PTFE)を含むことが好ましく、PTFEとともに、PFA及び/又はFEPを含むことも好ましい。
上記フッ素樹脂(c)の含有量としては、上記上塗り層の全質量に対して、70〜100質量%であることが好ましい。より好ましくは75〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%である。上記フッ素樹脂(c)を上記範囲で使用することで、上塗り層と上記上塗り層表面の非粘着性を向上させることができる。
本発明の積層体を構成する上塗り層はまた、無機粒子(c)を含むことが好ましい。
上記無機粒子(c)としては、上記無機粒子(a)として例示した無機粒子を用いてよく、ジルコニウム、タンタル、チタン、タングステン、ケイ素、アルミニウム及びベリリウム等の無機窒化物類、炭化物類、ホウ化物類及び酸化物類からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、炭化ケイ素及び酸化アルミニウムが入手し易い点で更に好ましい。
上記無機粒子(c)は、上塗り層の耐摩耗性が向上する点から、ヌープ硬度が1200以上であることが好ましく、2000以上であることがより好ましい。
上記無機粒子(c)の形状としては特に限定されず、例えば、粒子状、フレーク状等が挙げられる。
上記無機粒子(c)は、平均粒子径が14μm以上であることが好ましい。無機粒子(c)の平均粒子径は、16μm以上がより好ましく、20μm以上が更に好ましい。無機粒子(c)の平均粒子径が上記範囲内であることにより、上塗り層の耐摩耗性を向上させることができる。上塗り層の耐摩耗性が更に向上する点から、無機粒子(c)が上塗り層から突き出していることが好ましい。
無機粒子(c)の平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒子径・粒度分布測定装置(日機装(株)製マイクロトラックMT3300II、媒体:純水、温度:室温)により測定して得られる粒度分布から算出する。
無機粒子(c)の平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒子径・粒度分布測定装置(日機装(株)製マイクロトラックMT3300II、媒体:純水、温度:室温)により測定して得られる粒度分布から算出する。
上記無機粒子(c)は、無機粒子(c)の種類や硬度等によって配合量を調製することができるが、通常、上記フッ素樹脂(c)の2〜10質量%の範囲で使用することで上塗り層の耐摩耗性を向上することができる。
本発明の積層体を構成する上塗り層は、上記フッ素樹脂(c)と上記無機粒子(c)以外に、添加剤を更に含んでもよい。上記添加剤としては特に限定されず、例えば、上記プライマー層において例示した添加剤を用いることができる。
上記添加剤の含有量は、上記上塗り層の場合、フッ素樹脂(c)を含む後述の上塗り用組成物(iii)中10〜30質量%が好ましく、15〜20質量%がより好ましい。
上記上塗り層は、厚みが10〜40μmであるものが好ましい。厚みが薄過ぎると、得られる積層体の非粘着性としての耐久性、耐食性が充分ではない場合がある。厚みが厚過ぎると、クラック、膨れ等の塗膜欠陥が発生しやすくなる。
上記上塗り層の厚みのより好ましい下限は15μmであり、更に好ましい下限は18μmである。また、より好ましい上限は30μmであり、更に好ましい上限は25μmである。
上記上塗り層の厚みのより好ましい下限は15μmであり、更に好ましい下限は18μmである。また、より好ましい上限は30μmであり、更に好ましい上限は25μmである。
本発明の積層体は、基材、プライマー層、中間層、上塗り層がこの順に積層されている場合、上塗り層の上面に文字、図面等の印刷が施されているものであってもよい。
本発明の積層体は、例えば、以下の製造方法によって製造することができる。
すなわち、基材上に、プライマー用組成物(i)を塗布することによりプライマー塗布膜を形成する工程(1)、プライマー塗布膜上に、上記フッ素樹脂(b)及び上記耐熱性樹脂(b)を含む中間用組成物(ii)を塗布することにより中間塗布膜(Ap)を形成する工程(2)、中間塗布膜(Ap)上にフッ素樹脂(c)を含む上塗り用組成物(iii)を塗布することにより上塗り塗布膜(Bp)を形成する工程(3)、並びに、プライマー塗布膜、中間塗布膜(Ap)及び上塗り塗布膜(Bp)からなる塗布膜積層体を焼成することにより、基材、プライマー層、中間層及び上塗り層からなる積層体を形成する工程(4)を含む方法により、本発明の積層体を製造することができる。
上記工程(1)は、基材上に、プライマー用組成物(i)を塗布することによりプライマー塗布膜を形成する工程である。
上記プライマー用組成物(i)の液状媒体が主に有機液体からなるものである場合、上記耐熱性樹脂(a)並びに無機粒子(a)は、上記液状媒体に粒子として分散したもの、及び/又は、上記液状媒体に溶解したものである。上記有機液体としては、従来公知の有機溶剤等を用いてよく、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記プライマー用組成物(i)においては、耐熱性樹脂(a)からなる分散粒子は、通常、特開昭56−90862号公報に記載された方法か、特開昭59−33361号公報に記載された方法で製造される。
上記プライマー用組成物(i)は、基材との密着性に優れる点から液状分散液のものであることが好ましい。
上記プライマー用組成物(i)は、上記無機粒子(a)と上記耐熱性樹脂(a)とともに、塗装作業性や得られる積層体の耐摩耗性や耐食性等の性能をより向上させることを目的として、更に、上述した添加剤を含有させても良い。
基材上にプライマー用組成物(i)を塗布する方法としては特に限定されず、上記プライマー用組成物(i)が液状である場合、例えば、スプレー塗装、ロール塗装、ドクターブレードによる塗装、ディップ(浸漬)塗装、含浸塗装、スピンフロー塗装、カーテンフロー塗装等が挙げられ、なかでも、スプレー塗装が好ましい。
上記工程(1)におけるプライマー用組成物(i)の塗布の後、工程(2)を行う前に乾燥を行ってもよいし、乾燥を行わなくてもよい。更に、焼成を行ってもよいし、焼成を行わなくてもよい。
上記工程(1)において、上記乾燥は、100〜150℃の温度で5〜60分間行うことが好ましい。上記焼成を行う場合には、300〜400℃の温度で10〜30分間行うことが好ましい。
上記プライマー塗布膜は、基材上に上記プライマー用組成物(i)を塗布した後、必要に応じて乾燥又は焼成することにより形成されるものである。上記プライマー塗布膜は、得られる積層体においてプライマー層となる。
上記プライマー層を2層以上形成する場合には、上記プライマー用組成物(i)の配合を必要に応じて変更して、上記工程(1)を繰り返せばよい。
上記工程(2)は、プライマー塗布膜上に、上記フッ素樹脂(b)及び上記耐熱性樹脂(b)を含む中間用組成物(ii)を塗布することにより中間塗布膜(Ap)を形成する工程である。
上記プライマー塗布膜上に中間用組成物(ii)を塗布する方法としては特に限定されず、例えば、上記プライマー用組成物(i)の塗布の方法と同じ方法等が挙げられる。
上記工程(2)においては、中間用組成物(ii)を上記プライマー塗布膜上に塗布したのち、乾燥又は焼成を行ってもよい。上記工程(2)における乾燥又は焼成は、上記工程(1)における乾燥又は焼成と同様の条件で行うことが好ましい。
通常は、上記中間用組成物(ii)をプライマー塗布膜上に塗布したのち、焼成を行わないことが好ましい。後述の工程(4)において塗布膜積層体の焼成を行う際に、全ての塗布膜を同時に焼成することができるからである。
中間塗布膜(Ap)は、上記プライマー塗布膜上に中間用組成物(ii)を塗布した後、必要に応じて乾燥又は焼成することにより形成されるものである。上記中間塗布膜(Ap)は、得られる積層体において中間層となる。
上記工程(3)は、中間塗布膜(Ap)上に、フッ素樹脂(c)を含む上塗り用組成物(iii)を塗布することにより上塗り塗布膜(Bp)を形成する工程である。
上記工程(3)における上塗り用組成物(iii)は、上記フッ素樹脂(c)及び上記無機粒子(c)を含む粉体塗料であってもよく、水性塗料等の液状塗料であってもよい。被塗布物に満遍なく塗布することができ、しかも表面が平滑な塗膜が得られる点では、液状塗料であることが好ましく、乾燥工程が不要で少ない塗装回数で厚い塗布膜を得ることが容易である点では、粉体塗料であることが好ましい。上塗り用組成物(iii)が液状塗料である場合は、上記フッ素樹脂(c)及び上記無機粒子(c)が液状媒体に分散されてなるものが好ましい。
上記中間塗布膜(Ap)上に上塗り用組成物(iii)を塗布する方法としては特に限定されず、例えば、上記プライマー用組成物(i)の塗布の方法と同じ方法等が挙げられる。上塗り用組成物(iii)が粉体塗料である場合は、静電塗装が好ましい。
上記上塗り層を2層以上形成する場合には、上記上塗り用組成物(iii)の配合を必要に応じて変更して、上記工程(3)を繰り返せばよい。
上記工程(4)は、プライマー塗布膜、中間塗布膜(Ap)及び上塗り塗布膜(Bp)からなる塗布膜積層体を焼成することにより、基材、プライマー層、中間層及び上塗り層からなる積層体を形成する工程である。
上記製造方法は、上記プライマー塗布膜を形成する工程(1)の後、又は、上記塗布膜(Ap)を形成する工程(2)の後に、文字、図面等を印刷する工程を有するものであってもよい。
上記印刷の方法としては特に限定されず、例えば、パット転写印刷が挙げられる。上記印刷に用いる印刷インキとしては特に限定されず、例えば、PESとTFEホモポリマーと酸化チタンとからなる組成物が挙げられる。
本発明の積層体は、被覆物品を構成することもできる。上記積層体は耐食性に優れるものであるため、耐食性が求められるあらゆる分野において好適に用いることができる。上記被覆物品としては特に限定されず、含フッ素重合体が有する非粘着性、耐熱性、滑り性等を利用した用途に使用することができ、例えば、非粘着性を利用したものとして、フライパン、圧力鍋、鍋、グリル鍋、炊飯釜、オーブン、ホットプレート、パン焼き型、包丁、ガステーブル等の調理器具;電気ポット、製氷トレー、金型、レンジフード等の厨房用品;練りロール、圧延ロール、コンベア、ホッパー等の食品工業用部品;オフィースオートメーション(OA)用ロール、OA用ベルト、OA用分離爪、製紙ロール、フィルム製造用カレンダーロール等の工業用品;発泡スチロール成形用等の金型、鋳型、合板・化粧板製造用離型板等の成形金型離型、工業用コンテナ(特に半導体工業用)等が挙げられ、滑り性を利用したものとして、のこぎり、やすり等の工具;アイロン、鋏、包丁等の家庭用品;金属箔、電線、食品加工機、包装機、紡織機械等のすべり軸受、カメラ・時計の摺動部品、パイプ、バルブ、ベアリング等の自動車部品、雪かきシャベル、すき、シュート等が挙げられる。
このような、上記積層体を有する被覆物品もまた、本発明の1つである。
このような、上記積層体を有する被覆物品もまた、本発明の1つである。
本発明の積層体は、上述した構成を有することによって、耐摩耗性に優れ、硬度が高く、基材とプライマー層との密着性、及び、中間層と上塗り層との密着性に優れる。このような積層体は、調理器具や厨房用品等に特に好適に用いることができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。「%」及び「部」は、それぞれ質量%及び質量部を表す。
製造例1 ポリエーテルスルホン樹脂水性分散液の調製
数平均分子量約24000のポリエーテルスルホン樹脂〔PES〕60部及び脱イオン水60部を、セラミックボールミル中でPESからなる粒子が完全に粉砕されるまで攪拌した。次いで、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPという)180部を添加し、更に、粉砕し、PES濃度が約20%のPES水性分散液を得た。PES水性分散液中のPESからなる粒子の平均粒子径は、2μmであった。
数平均分子量約24000のポリエーテルスルホン樹脂〔PES〕60部及び脱イオン水60部を、セラミックボールミル中でPESからなる粒子が完全に粉砕されるまで攪拌した。次いで、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPという)180部を添加し、更に、粉砕し、PES濃度が約20%のPES水性分散液を得た。PES水性分散液中のPESからなる粒子の平均粒子径は、2μmであった。
製造例2 ポリアミドイミド樹脂水性分散液の調製
固形分29%のポリアミドイミド樹脂〔PAI〕ワニス(NMPを71%含む)を水中に投入してボールミル中で粉砕してPAI水性分散液を得た。得られたPAI水性分散液の固形分は、20%であり、PAI水性分散液中のPAIの平均粒子径は、2μmであった。
固形分29%のポリアミドイミド樹脂〔PAI〕ワニス(NMPを71%含む)を水中に投入してボールミル中で粉砕してPAI水性分散液を得た。得られたPAI水性分散液の固形分は、20%であり、PAI水性分散液中のPAIの平均粒子径は、2μmであった。
製造例3
カーボンブラックのミルベース(固形分20%)1.72部に製造例1で得られたPES水性分散液(20%)を49.53部、製造例2で得られたPAI水性分散液(20%)を33.02部、平均粒子径12μmの炭化ケイ素(ヌープ硬度:2500)15.09部、分散安定剤としてポリエーテル系非イオン性界面活性剤(ポリオキリエチレントリデシルエーテル)をPES、PAI、炭化ケイ素の固形分合計量に対して0.2%添加し、プライマー用組成物P1を得た。
カーボンブラックのミルベース(固形分20%)1.72部に製造例1で得られたPES水性分散液(20%)を49.53部、製造例2で得られたPAI水性分散液(20%)を33.02部、平均粒子径12μmの炭化ケイ素(ヌープ硬度:2500)15.09部、分散安定剤としてポリエーテル系非イオン性界面活性剤(ポリオキリエチレントリデシルエーテル)をPES、PAI、炭化ケイ素の固形分合計量に対して0.2%添加し、プライマー用組成物P1を得た。
製造例4
平均粒子径12μmの炭化ケイ素の代わりに、平均粒子径10μmの炭化ケイ素(ヌープ硬度:2500)を用いた以外は、製造例3と同様にして、プライマー用組成物P2を調製した。
平均粒子径12μmの炭化ケイ素の代わりに、平均粒子径10μmの炭化ケイ素(ヌープ硬度:2500)を用いた以外は、製造例3と同様にして、プライマー用組成物P2を調製した。
製造例5
平均粒子径12μmの炭化ケイ素の代わりに、平均粒子径8μmの炭化ケイ素(ヌープ硬度:2500)を用いた以外は、製造例3と同様にして、プライマー用組成物P3を調製した。
平均粒子径12μmの炭化ケイ素の代わりに、平均粒子径8μmの炭化ケイ素(ヌープ硬度:2500)を用いた以外は、製造例3と同様にして、プライマー用組成物P3を調製した。
製造例6
平均粒子径12μmの炭化ケイ素の代わりに、平均粒子径0.4μmのアルミナ(ヌープ硬度:2025)を用いた以外は、製造例3と同様にして、プライマー用組成物P4を調製した。
平均粒子径12μmの炭化ケイ素の代わりに、平均粒子径0.4μmのアルミナ(ヌープ硬度:2025)を用いた以外は、製造例3と同様にして、プライマー用組成物P4を調製した。
製造例7
炭化ケイ素を用いなかった以外は、製造例3と同様にして、プライマー用組成物P5を調製した。
炭化ケイ素を用いなかった以外は、製造例3と同様にして、プライマー用組成物P5を調製した。
製造例8
カーボンブラックのミルベース(固形分20%)4.19部にテトラフルオロエチレンホモポリマー〔TFEホモポリマー〕水性分散体(平均粒子径0.3μm、固形分62%、分散剤としてポリエーテル系非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレントリデシルエーテル)をTFEホモポリマーに対して6%含有している)45.00部、TFE/ヘキサフルオロプロピレン共重合体〔FEP〕水性分散体(平均粒子径0.17μm、固形分63%、分散剤としてポリエーテル系非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレントリデシルエーテル)をTFEホモポリマーに対して6%含有している)8.69部、製造例1で得られたPES水性分散液(20%)を21.03部、製造例2で得られたPAI水性分散液(20%)を7.13部加え、増粘剤としてメチルセルロースをTFEホモポリマーの固形分に対して4.4%添加し、分散安定剤として非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)をTFEホモポリマーとFEPの合計固形分に対して4.6%添加して、固形分39.8%の水性分散液(中間用組成物M1)を得た。
カーボンブラックのミルベース(固形分20%)4.19部にテトラフルオロエチレンホモポリマー〔TFEホモポリマー〕水性分散体(平均粒子径0.3μm、固形分62%、分散剤としてポリエーテル系非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレントリデシルエーテル)をTFEホモポリマーに対して6%含有している)45.00部、TFE/ヘキサフルオロプロピレン共重合体〔FEP〕水性分散体(平均粒子径0.17μm、固形分63%、分散剤としてポリエーテル系非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレントリデシルエーテル)をTFEホモポリマーに対して6%含有している)8.69部、製造例1で得られたPES水性分散液(20%)を21.03部、製造例2で得られたPAI水性分散液(20%)を7.13部加え、増粘剤としてメチルセルロースをTFEホモポリマーの固形分に対して4.4%添加し、分散安定剤として非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)をTFEホモポリマーとFEPの合計固形分に対して4.6%添加して、固形分39.8%の水性分散液(中間用組成物M1)を得た。
製造例9
平均粒子径15μmの炭化ケイ素(ヌープ硬度:2500)5.29部を更に配合した以外は、製造例8と同様にして、中間用組成物M2を調製した。
平均粒子径15μmの炭化ケイ素(ヌープ硬度:2500)5.29部を更に配合した以外は、製造例8と同様にして、中間用組成物M2を調製した。
製造例10
平均粒子径21μmの炭化ケイ素(ヌープ硬度:2500)5.29部を更に配合した以外は、製造例8と同様にして、中間用組成物M3を調製した。
平均粒子径21μmの炭化ケイ素(ヌープ硬度:2500)5.29部を更に配合した以外は、製造例8と同様にして、中間用組成物M3を調製した。
製造例11
テトラフルオロエチレンホモポリマー〔TFEホモポリマー〕水性分散体(平均粒子径0.3μm、固形分62%、分散剤としてポリエーテル系非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレントリデシルエーテル)をTFEホモポリマーに対して6%含有している)65.65部、解重合性アクリル樹脂エマルジョン(ブチルアクリレート系樹脂、平均粒子径0.3μm、固形分40%)12.22部、ポリオキシエチレントリデシルエーテルの水溶液(20%)1.04部、ラウリル硫酸ナトリウム水溶液(25%)0.84部、増粘剤(オレイン酸アンモニウム50%水溶液)0.78部、グリセリン3.36部、ジエチレングリコールモノエチルエーテル2.22部、サーフィノール104A 0.45部、消泡剤(炭化水素系溶剤)1.35部、カーボンブラックミルベース(20%)1.03部、チタンコートマイカ0.88部、水6.77部を混合した上塗り用組成物T1を得た。
テトラフルオロエチレンホモポリマー〔TFEホモポリマー〕水性分散体(平均粒子径0.3μm、固形分62%、分散剤としてポリエーテル系非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレントリデシルエーテル)をTFEホモポリマーに対して6%含有している)65.65部、解重合性アクリル樹脂エマルジョン(ブチルアクリレート系樹脂、平均粒子径0.3μm、固形分40%)12.22部、ポリオキシエチレントリデシルエーテルの水溶液(20%)1.04部、ラウリル硫酸ナトリウム水溶液(25%)0.84部、増粘剤(オレイン酸アンモニウム50%水溶液)0.78部、グリセリン3.36部、ジエチレングリコールモノエチルエーテル2.22部、サーフィノール104A 0.45部、消泡剤(炭化水素系溶剤)1.35部、カーボンブラックミルベース(20%)1.03部、チタンコートマイカ0.88部、水6.77部を混合した上塗り用組成物T1を得た。
製造例12
平均粒子径21μmの炭化ケイ素(ヌープ硬度:2500)2.20部を更に配合した以外は、製造例11と同様にして、上塗り用組成物T2を調製した。
平均粒子径21μmの炭化ケイ素(ヌープ硬度:2500)2.20部を更に配合した以外は、製造例11と同様にして、上塗り用組成物T2を調製した。
製造例13
平均粒子径8μmの炭化ケイ素(ヌープ硬度:2500)2.20部を更に配合した以外は、製造例11と同様にして、上塗り用組成物T3を調製した。
平均粒子径8μmの炭化ケイ素(ヌープ硬度:2500)2.20部を更に配合した以外は、製造例11と同様にして、上塗り用組成物T3を調製した。
製造例14
平均粒子径32μmのガラスフレーク4.00部を更に配合した以外は、製造例11と同様にして、上塗り用組成物T4を調製した。
平均粒子径32μmのガラスフレーク4.00部を更に配合した以外は、製造例11と同様にして、上塗り用組成物T4を調製した。
(実施例1〜6)
アルミニウム板(A−1050P)の表面をアセトンで脱脂した後、JIS B 0601−2001に準拠して測定した表面粗度Ra値が2.0〜3.0μmとなるようにサンドブラストを行い、表面を粗面化した。エアーブローにより表面のダストを除去した後、プライマー用組成物P1又はP2を塗装し、乾燥膜厚が10〜12μmの範囲となるように、重力式スプレーガンを用い、吹き付け圧力0.2MPaでスプレー塗装した。次いで、プライマー用組成物P1、P2又はP3を再び乾燥膜厚10〜13μmの範囲となるように塗装した。
得られたアルミニウム板上の塗布膜を100〜150℃で15分間乾燥し、室温まで冷却した。次いで、表面粗さ形状測定器(東京精密社製、サーフコム470A)を用い、JIS B 0601−2001による最大高さ粗さ(Rz)を測定した。
次いで、中間用組成物M1を18〜21μmの範囲で塗装し、塗布膜を100〜150℃で15分乾燥し、室温まで冷却した。
次いで、上塗り用組成物T1〜T4を18〜22μmの範囲で塗装し、100〜150℃で15分乾燥させた後、380℃で20分焼成し、全膜厚60〜63μmの積層塗膜を得た。各実施例の積層体構成を表1に示す。
アルミニウム板(A−1050P)の表面をアセトンで脱脂した後、JIS B 0601−2001に準拠して測定した表面粗度Ra値が2.0〜3.0μmとなるようにサンドブラストを行い、表面を粗面化した。エアーブローにより表面のダストを除去した後、プライマー用組成物P1又はP2を塗装し、乾燥膜厚が10〜12μmの範囲となるように、重力式スプレーガンを用い、吹き付け圧力0.2MPaでスプレー塗装した。次いで、プライマー用組成物P1、P2又はP3を再び乾燥膜厚10〜13μmの範囲となるように塗装した。
得られたアルミニウム板上の塗布膜を100〜150℃で15分間乾燥し、室温まで冷却した。次いで、表面粗さ形状測定器(東京精密社製、サーフコム470A)を用い、JIS B 0601−2001による最大高さ粗さ(Rz)を測定した。
次いで、中間用組成物M1を18〜21μmの範囲で塗装し、塗布膜を100〜150℃で15分乾燥し、室温まで冷却した。
次いで、上塗り用組成物T1〜T4を18〜22μmの範囲で塗装し、100〜150℃で15分乾燥させた後、380℃で20分焼成し、全膜厚60〜63μmの積層塗膜を得た。各実施例の積層体構成を表1に示す。
(比較例1〜3)
アルミニウム板(A−1050P)の表面をアセトンで脱脂した後、JIS B 0601−2001に準拠して測定した表面粗度Ra値が2.0〜3.0μmとなるようにサンドブラストを行い、表面を粗面化した。エアーブローにより表面のダストを除去した後、プライマー用組成物P4又はP5を塗装し、乾燥膜厚が14〜20μmの範囲となるように、重力式スプレーガンを用い、吹き付け圧力0.2MPaでスプレー塗装した。
得られたアルミニウム板上の塗布膜を100〜150℃で15分間乾燥し、室温まで冷却した。次いで、表面粗さ形状測定器(東京精密社製、サーフコム470A)を用い、JIS B 0601−2001による最大高さ粗さ(Rz)を測定した。
次いで、中間用組成物M1、M2又はM3を17〜20μmの範囲で塗装し、塗布膜を100〜150℃で15分乾燥し、室温まで冷却した。
次いで、上塗り用組成物T1又はT2を17〜19μmの範囲で塗装し、100〜150℃で15分乾燥させた後、380℃で20分焼成し、全膜厚49〜59μmの積層塗膜を得た。各比較例の積層体構成を表2に示す。
アルミニウム板(A−1050P)の表面をアセトンで脱脂した後、JIS B 0601−2001に準拠して測定した表面粗度Ra値が2.0〜3.0μmとなるようにサンドブラストを行い、表面を粗面化した。エアーブローにより表面のダストを除去した後、プライマー用組成物P4又はP5を塗装し、乾燥膜厚が14〜20μmの範囲となるように、重力式スプレーガンを用い、吹き付け圧力0.2MPaでスプレー塗装した。
得られたアルミニウム板上の塗布膜を100〜150℃で15分間乾燥し、室温まで冷却した。次いで、表面粗さ形状測定器(東京精密社製、サーフコム470A)を用い、JIS B 0601−2001による最大高さ粗さ(Rz)を測定した。
次いで、中間用組成物M1、M2又はM3を17〜20μmの範囲で塗装し、塗布膜を100〜150℃で15分乾燥し、室温まで冷却した。
次いで、上塗り用組成物T1又はT2を17〜19μmの範囲で塗装し、100〜150℃で15分乾燥させた後、380℃で20分焼成し、全膜厚49〜59μmの積層塗膜を得た。各比較例の積層体構成を表2に示す。
(膜厚の測定)
上記積層塗膜への塗装時にダミーのアルミニウム板(A−1050P)にも同時に塗装し、ダミーのアルミニウム板上に形成された塗膜の膜厚を測定し、各層の膜厚とした。結果を表1、表2に示す。
上記積層塗膜への塗装時にダミーのアルミニウム板(A−1050P)にも同時に塗装し、ダミーのアルミニウム板上に形成された塗膜の膜厚を測定し、各層の膜厚とした。結果を表1、表2に示す。
(耐摩耗性)
3M社製工業用パッド(商品名:スコッチ・ブライト7447C、粒度320のアルミナ配合)を3cm平方にカットし、5%中性洗剤を1cc垂らし、荷重4.5kgで往復運動させ、1000往復毎にパッド交換を行い、基材が露出するまでの往復回数により評価した。結果を表1、表2に示す。
3M社製工業用パッド(商品名:スコッチ・ブライト7447C、粒度320のアルミナ配合)を3cm平方にカットし、5%中性洗剤を1cc垂らし、荷重4.5kgで往復運動させ、1000往復毎にパッド交換を行い、基材が露出するまでの往復回数により評価した。結果を表1、表2に示す。
(塗膜硬度の測定)
200℃のホットステージを取り付けた鉛筆硬度試験機を用いて、上塗りと中塗りの層間で剥離する硬度を上塗り/中塗り界面剥離硬度、塗膜が破れて基材が露出する硬度を基材剥離硬度とした。結果を表1、表2に示す。表中の9H、8H、7H、3H、3B、2B、4B、6Bは、鉛筆の硬度記号を表す。
200℃のホットステージを取り付けた鉛筆硬度試験機を用いて、上塗りと中塗りの層間で剥離する硬度を上塗り/中塗り界面剥離硬度、塗膜が破れて基材が露出する硬度を基材剥離硬度とした。結果を表1、表2に示す。表中の9H、8H、7H、3H、3B、2B、4B、6Bは、鉛筆の硬度記号を表す。
表1、表2から、実施例1〜6により得られた積層塗膜は、耐摩耗性と硬度のバランスが取れた塗膜性能が確認された。
Claims (14)
- 基材と、
前記基材上に形成された平均粒子径が3μm以上の無機粒子(a)及び耐熱性樹脂(a)を含み、フッ素樹脂を含まないプライマー層と、
前記プライマー層上に形成されたフッ素樹脂(b)及び耐熱性樹脂(b)を含む中間層と、
前記中間層上に形成されたフッ素樹脂(c)を含む上塗り層からなる積層体。 - 無機粒子(a)は、セラミック粒子である請求項1記載の積層体。
- 無機粒子(a)は、無機窒化物類、炭化物類、ホウ化物類、及び酸化物類からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載の積層体。
- 無機粒子(a)は、ヌープ硬度が1200以上である請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
- 耐熱性樹脂(a)は、ポリアミドイミド、ポリイミド及びポリエーテルスルホンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
- フッ素樹脂(c)は、ポリテトラフルオロエチレンを含む請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
- プライマー層は、基材上に、無機粒子(a)及び耐熱性樹脂(a)を含む水性塗料を塗布することにより得られる請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
- プライマー層の厚みは、10〜30μmである請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
- 上塗り層は、無機粒子(c)を含む請求項1〜8のいずれかに記載の積層体。
- 無機粒子(c)は、無機窒化物類、炭化物類、ホウ化物類、及び酸化物類からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜9のいずれかに記載の積層体。
- 中間層は、無機粒子を含まない請求項1〜10のいずれかに記載の積層体。
- フッ素樹脂(b)は、ポリテトラフルオロエチレンを含む請求項1〜11のいずれかに記載の積層体。
- 耐熱性樹脂(b)は、ポリアミドイミド、ポリイミド及びポリエーテルスルホンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜12のいずれかに記載の積層体。
- プライマー層は、最大高さ粗さ(Rz)が10μm以上である請求項1〜13のいずれかに記載の積層体。
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