JPWO2003029370A1 - 被覆用組成物及び被覆物品 - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、含フッ素重合体を含有する塗膜であり、鉄及びステンレスに対する接着性を向上させ、この接着性を高温下においても維持することができるとともに、耐熱性に優れる上記塗膜を得ることができる被覆用組成物を提供することにある。本発明の被覆用組成物は、末端変性ポリアリレンサルファイド樹脂及び含フッ素重合体を含有する被覆用組成物であって、上記末端変性ポリアリレンサルファイド樹脂は、重合体末端に下記一般式(1)−Ar−Y (1)(式中、Arはアリレン基を表し、Yは−SH又は水素原子を表す。)で表される基を有するものである。

Description

技術分野
本発明は、鉄及びステンレスに対する密着性に優れ、耐熱性が良好な塗膜を形成することができる含フッ素重合体を含有する被覆用組成物に関する。
背景技術
ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕等の含フッ素重合体は、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性等の特性に優れるので、アイロン等の家庭用品、フライパンやホットプレート等の厨房器具、食品工業、電気工業、機械工業等の分野で幅広い用途がある。
含フッ素重合体は、また、低摩擦係数を有し、非粘着性にも優れている。この表面特性は、撥水撥油性、離型性、摺動性等に結びつくので、含フッ素重合体は、例えば被覆用の組成物とし、塗装して物品の表面に存在させることにより、フライパン等の厨房器具のほか、成形金型離型材、OA機器用ロール等にも用途が拡大されている。
含フッ素重合体の非粘着性は、その反面、コーティングが施される基材との接着性に乏しいという問題を生じていた。また、基材として、特に、鉄、ステンレス等の金属に対する密着性を確保することが長年要望されていた。
金属表面に対する接着性が良好なものとして、ポリフェニレンサルファイド〔PPS〕で代表されるポリアリレンサルファイド樹脂〔PAS〕が知られている。PASは、物理化学的性質から含フッ素重合体とのブレンドが可能であるので、含フッ素重合体の金属に対する密着性を向上させるために用いることが考えられる。
含フッ素重合体は、塗装時に高温で焼成され、塗膜形成後においても高温で使用されることが多いが、PASは、耐熱性に優れる樹脂であるので、含フッ素重合体と併存させても耐熱性の点で特に問題は生じないものと考えられ、含フッ素重合体とブレンドして用いることが提案されていた。
含フッ素重合体を基材に塗装する場合にPASを用いるものとして、特公昭51−12053号公報には、PPS及びフッ素樹脂を有効成分とする下地塗料が開示されている。このものは、主として金属表面に塗布するフッ素樹脂塗料用のプライマーである。
フッ素樹脂塗料用のプライマーにPPSを用いる場合、得られる塗膜は、常温で充分な硬度を有しているが、例えば100℃以上のような高温下においては、硬度が非常に低く、実用性に問題があった。
高温下における塗膜硬度の低下という問題を解決するため、特開昭53−74532号公報では、フッ素樹脂、PAS並びにポリアミドイミド樹脂〔PAI〕及び/又はポリイミド樹脂〔PI〕を分散させた被覆用組成物が開示されている。
PASとしては、従来、重合体末端に下記一般式
−Ar−Y′
(式中、Arはアリレン基を表し、Y′はチオラート基〔−SM。Mはアルカリ金属を表す。〕又はハロゲン原子を表す。)で表される基を有するものが用いられてきた。本明細書において、このようなPASを従来型PASという。PPSは、Arがフェニレン基である従来型PASである。
従来型PASは、例えば米国特許第3354129号公報に記載されている方法により製造され、主としてPPSが用いられてきた。しかしながら、従来型PASは、重合体末端としてアリレン基にチオラート基又はハロゲンが結合している分子構造を有しているので、鉄やステンレスに対する接着性と耐熱性が不充分であるという問題があった。
発明の要約
本発明の目的は、上記に鑑み、含フッ素重合体を含有する塗膜であり、鉄及びステンレスに対する接着性を向上させ、この接着性を高温下においても維持することができるとともに、耐熱性に優れる上記塗膜を得ることができる被覆用組成物を提供することにある。
本発明は、末端変性ポリアリレンサルファイド樹脂及び含フッ素重合体を含有する被覆用組成物であって、上記末端変性ポリアリレンサルファイド樹脂は、重合体末端に下記一般式(1)
−Ar−Y (1)
(式中、Arはアリレン基を表し、Yは−SH又は水素原子を表す。)で表される基を有するものであることを特徴とする被覆用組成物である。
上記含フッ素重合体は、固形分基準で、上記末端変性ポリアリレンサルファイド樹脂100質量部に対し、5〜500質量部であることが好ましい。
上記被覆用組成物は、更に、ポリアミドイミド樹脂及び/若しくはポリイミド樹脂、又は、ポリエーテルスルホン樹脂を含有するものであることが好ましい。
上記含フッ素重合体は、固形分基準で、上記末端変性ポリアリレンサルファイド樹脂並びに上記ポリアミドイミド樹脂及び/又は上記ポリイミド樹脂の合計量100質量部に対し、又は、上記末端変性ポリアリレンサルファイド樹脂及び上記ポリエーテルスルホン樹脂の合計量100質量部に対し、5〜500質量部であることが好ましい。
発明の詳細な開示
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の被覆用組成物は、末端変性ポリアリレンサルファイド樹脂及び含フッ素重合体を含有するものである。
本発明の被覆用組成物は、被塗装物に塗装することにより、上記被塗装物上にフッ素樹脂被覆を形成することができるものである。本明細書において、上記フッ素樹脂被覆とは、本発明の被覆用組成物を塗装することにより得られる塗膜であって、上記被覆用組成物に由来するものを意味する。
上記フッ素樹脂被覆は、必要に応じ、上にトップコートを積層させてもよい。上記トップコートは、通常、上塗り塗料を塗装することにより形成されるものである。
本明細書において、上記被塗装物及び上記フッ素樹脂被覆を有するもの、又は、上記被塗装物、上記フッ素樹脂被覆及び上記トップコートを有するものを、被覆物品という。
本明細書において、上記被覆物品を製造するための方法は、上記フッ素樹脂被覆の上に上記トップコートを積層させない場合、ワンコートという。上記ワンコートは、上記被塗装物に上記被覆用組成物を塗布し、必要に応じて乾燥し、次いで焼成することよりなる。
本明細書において、上記被覆物品を製造するための方法は、上記フッ素樹脂被覆の上に上記トップコートを積層させる場合、ツーコートという。上記ツーコートは、通常、上記被塗装物に上記被覆用組成物を塗布し、必要に応じて乾燥し、次に焼成することなく、上記上塗り塗料を塗布し、必要に応じて乾燥し、次いで焼成することよりなる。上記ツーコートにおいて、必要に応じて、上記上塗り塗料を塗布する前に焼成を行ってもよい。上記トップコートとしては、上記上塗り塗料の代わりに、フィルムを用いてもよい。上記ツーコートの場合、上記被覆用組成物は、上記トップコートの下塗り塗料として用いられ、プライマーとして機能する。
本明細書において、上記塗装とは、上記被覆用組成物又は上記上塗り塗料を塗布し、必要に応じて乾燥し、次いで焼成することよりなる工程を意味する。上記塗装は、上記ツーコートの場合における、上記被覆用組成物を塗布し、必要に応じて乾燥することよりなる工程を含む概念である。
本発明の被覆用組成物は、含フッ素重合体を含有する。上記含フッ素重合体は、上記被塗装物に非粘着性、潤滑性等を付与するために使用する。
上記含フッ素重合体とは、単量体成分として、含フッ素モノエチレン系不飽和炭化水素(a)を含有し、重合することにより得られるものである。
上記含フッ素モノエチレン系不飽和炭化水素(a)とは、分子中にビニル基を1個含有し、フッ素原子により水素原子の一部又は全部が置換されている不飽和炭化水素である。上記含フッ素モノエチレン系不飽和炭化水素(a)は、更に、塩素原子等のその他のハロゲン原子、トリフルオロメチル基等により置換されていてもよい。但し、上記含フッ素モノエチレン系不飽和炭化水素(a)は、後述のトリフルオロエチレンを除く。
上記含フッ素モノエチレン系不飽和炭化水素(a)としては特に限定されず、例えば、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、ビニリデンフルオライド〔VdF〕、フッ化ビニル〔VF〕等が挙げられ、これらは、1種又は2種以上を用いることができる。
上記含フッ素重合体としては、上記単量体成分として、更に、上記含フッ素モノエチレン系不飽和炭化水素(a)と共重合し得る不飽和化合物を含有するものであってもよい。このような不飽和化合物としては特に限定されず、例えば、トリフルオロエチレン〔3FH〕;エチレン〔Et〕、プロピレン〔Pr〕等のハロゲン原子を有しないモノエチレン系不飽和炭化水素等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を用いることができる。
上記含フッ素重合体としては、単独重合体又は共重合体であってよく、単独重合体及び少なくとも2種の共重合体からなる混合物であってもよく、少なくとも2種の共重合体の混合物であってもよい。
上記単独重合体としては特に限定されず、例えば、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕、ポリクロロトリフルオロエチレン〔PCTFE〕、ポリビニリデンフルオライド〔PVdF〕、ポリフッ化ビニル〔PVF〕等が挙げられる。
上記共重合体としては特に限定されず、例えば、2元共重合体、3元共重合体等が挙げられる。上記2元共重合体としては、例えば、TFE/HFP共重合体〔FEP〕、TFE/CTFE共重合体、TFE/VdF共重合体、TFE/3FH共重合体、TFE/Et共重合体〔ETFE〕、TFE/Pr共重合体等のTFE系共重合体;VdF/HFP共重合体;Et/CTFE共重合体〔ECTFE〕;Et/HFP共重合体等が挙げられる。上記TFE系共重合体とは、単量体成分としてTFEを含有し、共重合することにより得られる共重合体である。
上記TFE系共重合体としては、更に、単量体成分としてTFEと共重合し得るその他の単量体を含有し、共重合することにより得られるものであってもよい。上記TFEと共重合し得るその他の単量体としては特に限定されず、例えば、下記一般式:
X(CFCF=CF
(式中、Xは水素原子、塩素原子又はフッ素原子、mは1〜6の整数、nは0又は1を表す。)で示される化合物(但し、上記HFPを除く)、下記一般式:
O[CF(CF)CFO]−CF=CF
(式中、pは1又は2を表す。)で示される化合物、及び、下記一般式:
X(CFCY=CH
(式中、Xは上記と同じであり、Yは水素原子又はフッ素原子、qは1〜6の整数を表す。)で示される化合物等が挙げられる。
上記TFE系共重合体のうち、単量体成分として上記TFEと共重合し得るその他の単量体を含有するものとしては、例えば、TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体〔PFA〕等が挙げられる。
上記3元共重合体としてはVdFとTFEとHFPの共重合体等が挙げられる。
上記単独重合体及び共重合体からなる混合物としては、例えばPTFEとPFA、PTFEとFEP、PTFEとPFAとFEP等が挙げられ、少なくとも2種の共重合体の混合物としては、PFAとFEP等が挙げられる。
上記含フッ素重合体としては、また、単量体成分としてパーフルオロアルキル基を含有するパーフルオロアルキル基含有エチレン性不飽和単量体〔本明細書において、以下、PAEという。〕を含有するものであってもよい。上記PAEとしては、下記一般式
Figure 2003029370
(式中、Rfは炭素数4〜20のパーフルオロアルキル基、Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数1〜17のアルキル基、rは1〜10の整数、sは0〜10の整数を表す。)で表されるものである。
上記含フッ素重合体としては、例えば、上記PAEの単独重合体であってもよいし、単量体成分として、上記PAE及び上記PAEと共重合し得る単量体を含有し、共重合することにより得られる共重合体であってもよい。
上記PAEと共重合し得る単量体としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、N−メチロールプロパンアクリルアミド、(メタ)アクリル酸アミド、アルキル基の炭素数が1〜20である(メタ)アクリル酸のアルキルエステル等の(メタ)アクリル酸誘導体;エチレン、塩化ビニル、フッ化ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の置換又は非置換エチレン;アルキル基の炭素数が1〜20であるビニルアルキルエーテル、アルキル基の炭素数が1〜20であるハロゲン化アルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アルキル基の炭素数が1〜20であるビニルアルキルケトン等のビニルケトン類;無水マレイン酸等の脂肪族不飽和ポリカルボン酸及びその誘導体;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のポリエン等が挙げられる。
上記含フッ素重合体としては、非粘着性、滑り性、耐熱性等に優れる点から、PTFE及び上記TFE系共重合体が好ましく、PTFEがより好ましい。
上記含フッ素重合体としては、平均粒子径が0.01〜30μmのものが好ましい。0.01μm未満であると、上記フッ素樹脂粒子の分散安定性が劣り、30μmを超えると、上記含フッ素重合体の均一分散性に欠け、表面が平滑な塗膜が得られず、塗膜物性が劣る。より好ましい下限は、0.1μmであり、より好ましい上限は、10μmである。上記含フッ素重合体としては、平均粒子径が0.1〜10μmのものがより好ましい。
上記含フッ素重合体は、例えば乳化重合等の従来公知の重合方法等を用いて重合することにより得られる。重合により得られるフッ素樹脂粉末は、所望により、上述の範囲内の平均粒子径を有するように粉砕する。上記粉砕の方法としては特に限定されず、例えば、上記フッ素樹脂粉末をロールでシート状に圧縮し、粉砕機により粉砕し分級する方法等が挙げられる。上記含フッ素重合体は、乳化重合や懸濁重合を用いて得る場合、後述のように本発明の被覆用組成物が液状であるとき、得られる樹脂成分のみを単離することなく、ディスパージョンのまま用いてもよい。
本発明の被覆用組成物は、上記含フッ素重合体とともに、末端変性ポリアリレンサルファイド樹脂〔末端変性PAS〕を含有する。
上記末端変性PASは、重合体末端に上記一般式(1)で表される基を有するものである。本発明の被覆用組成物は、上記末端変性PASを含有することにより、得られる上記フッ素樹脂被覆と上記被塗装物との密着性を向上させることができる。
本明細書において、「アリレン」とは、aryleneを意味し、allyleneを意味しない。
上記一般式(1)におけるアリレン基は、芳香族炭化水素の2価基である。上記アリレン基としては特に限定されないが、例えば、フェニレン基が好ましい。
上記末端変性PASとしては、上記被塗装物との密着性、入手容易性等の点から、重合体末端に上記一般式(1)で表される基を有するように変性した末端変性PPSが好ましい。
上記末端変性PASとしては、数平均分子量が10000〜100000であるものが好ましい。10000未満であると、耐熱性が不充分であったり上記被塗装物との密着性が不充分となる場合があり、100000を超えると、得られる被覆用組成物の粘度が上昇し、塗装作業性が悪化する場合がある。より好ましい下限は、20000であり、より好ましい上限は、50000である。上記末端変性PASとしては、数平均分子量が20000〜50000であるものがより好ましい。
上記末端変性PASとしては、平均粒子径が0.1〜30μmであるものが好ましい。0.1μm未満であると、被覆用組成物中での分散安定性が不充分となる場合があり、30μmを超えると、上記含フッ素重合体との分散性に劣る場合がある。より好ましい下限は、1μmであり、より好ましい上限は、15μmである。上記末端変性PASとしては、平均粒子径が1〜15μmであるものがより好ましい。
上記末端変性PASを製造するための上記末端変性PAS製造方法としては特に限定されず、例えば、従来公知の方法を用いることができ、例えば、特公平6−43489号公報記載の方法等が挙げられる。上記末端変性PAS製造方法としては、例えば、上述の従来型ポリアリレンサルファイド樹脂〔従来型PAS〕が重合体末端に有するチオラート基及び/又はハロゲン原子を、塩酸処理によりメルカプト基〔−SH〕又は水素原子に変換させることにより得る方法等が挙げられる。
上記従来型PASを製造するための方法としては特に限定されず、例えば、従来公知の方法等が用いられ、例えば、NaS等のアルカリ金属硫化物と、パラジクロロベンゼン等のジハロ芳香族化合物との脱ハロゲン/硫化反応によってポリアリレンチオエーテルを生成させることにより製造する方法等が挙げられる。
上記従来型PASを製造し、次いで上記末端変性PASを製造する方法としては、例えば、下記化学式で表されるものが挙げられる。
Figure 2003029370
上記含フッ素重合体は、固形分基準で、上記末端変性PAS100質量部に対し、5〜500質量部であることが好ましい。上記含フッ素重合体が500質量部を超えると、上記被塗装物に対する上記フッ素樹脂被覆の密着性が不足し、5質量部未満であると、上述のツーコートにおいて上記トップコートと上記フッ素樹脂被覆との層間密着性が不足したり、上述のワンコートにおいて非粘着性等の上記含フッ素重合体の特性を充分に発揮することができない場合がある。より好ましい下限は、10質量部であり、より好ましい上限は、400質量部である。上記含フッ素重合体は、固形分基準で、上記末端変性PAS100質量部に対し、10〜400質量部であることがより好ましい。
本発明の被覆用組成物は、上記含フッ素重合体及び上記末端変性PASとともに、ポリアミドイミド樹脂〔PAI〕及び/又はポリイミド樹脂〔PI〕を含有するものであることが好ましい。本発明の被覆用組成物は、上記PAI及び/又は上記PIを含有することにより、得られる上記フッ素樹脂被覆の強度を向上させることができ、この強度を高温下においても維持させることができる。
上記PAIは、主鎖中にアミド結合及びイミド結合を有する重合体からなる樹脂である。このような重合体としては特に限定されず、例えば、アミド基を分子内にもつ芳香族ジアミンとピロメリット酸等の芳香族4価カルボン酸との反応;無水トリメリット酸等の芳香族3価カルボン酸と4,4−ジアミノフェニルエーテル等のジアミンやジフェニルメタンジイソシアネートのようなジイソシアネートとの反応;芳香族イミド環を分子内に有する二塩基酸とジアミンとの反応等の各反応により得られる高分子量重合体等が挙げられる。上記PAIとしては、耐熱性に優れる点から、主鎖中に芳香環を有する重合体からなるものが好ましい。上記PAIとしては、1種又は2種以上を用いることができる。
上記PIは、主鎖中にイミド結合を有する重合体からなる樹脂である。このような重合体としては特に限定されず、例えば、無水ピロメリット酸等の芳香族4価カルボン酸無水物の反応等により得られるもの等が挙げられる。上記PIとしては、耐熱性に優れる点から、主鎖中に芳香環を有する重合体からなるものが好ましい。上記PIとしては、1種又は2種以上を用いることができる。
上記PAI及び/又はPIとしては、上記PAIを単独で用いる場合、上記PIを単独で用いる場合、並びに、上記PAI及び上記PIの混合物を用いる場合の何れであってもよい。上記PAI及び/又はPIとしては、耐熱性が向上される点で、上記PIを用いることが好ましい場合があり、加工性が向上される点で、上記PAIを用いることが好ましい場合がある。
上記PAI及び/又はPIと、上記末端変性PASとの含有比は、質量基準で、[上記PAI及び/又はPI]/上記末端変性PASとして5/1〜1/50であることが好ましい。上記PAI及び/又はPIが5/1を超えると、得られる上記フッ素樹脂被覆の耐熱性と、鉄又はステンレスに対する密着性とが低下する場合があり、1/50未満であると、高温下で上記フッ素樹脂被覆の硬度が低下する場合がある。[上記PAI及び/又はPI]/上記末端変性PASは、上記末端変性PASについて、より好ましい下限が3/1であり、より好ましい上限が1/20である。上記PAI及び/又はPIと、上記末端変性PASとの含有比は、3/1〜1/20であることがより好ましい。
上記PAI及び/又は上記PIを用いる場合、上記含フッ素重合体は、固形分基準で、上記末端変性PAS並びに上記PAI及び/又は上記PIの合計量100質量部に対し、5〜500質量部であることが好ましい。
上記含フッ素重合体が500質量部を超えると、上記フッ素樹脂被覆の上記被塗装物に対する密着性が不足したり、上記PAI及び/又はPIを含有することによる強度が不充分となる場合があり、5質量部未満であると、上述のツーコートにおいて上記トップコートと上記フッ素樹脂被覆との層間密着性が不足したり、上述のワンコートにおいて上記含フッ素重合体の特性を充分に発揮することができない場合がある。より好ましい下限は、10質量部であり、より好ましい上限は、400質量部である。上記含フッ素重合体は、固形分基準で、上記末端変性PAS並びに上記PAI及び/又は上記PIの合計量100質量部に対し、10〜400質量部であることがより好ましい。
本発明の被覆用組成物は、また、上記含フッ素重合体及び上記末端変性PASとともに、ポリエーテルスルホン樹脂〔PES〕を含有するものであることが好ましい。本発明の被覆用組成物は、上記PESを含有することにより、得られる上記フッ素樹脂被覆の耐熱性を低下させることなく耐食性を向上させることができる。
上記PESとしては、下記一般式
Figure 2003029370
(式中、tは2以上の整数を表す。)で表される重合体からなる樹脂等が挙げられる。上記PESとしては特に限定されず、例えば、ジクロロジフェニルスルホンとビスフェノールとの重縮合により得られる重合体からなる樹脂等が挙げられる。
上記PESと上記末端変性PASとの含有比は、質量基準で、上記PES/上記末端変性PASとして5/1〜1/50であることが好ましい。上記PESが5/1を超えると、得られる上記フッ素樹脂被覆の鉄又はステンレスに対する密着性が低下する場合があり、1/50未満であると、上記フッ素樹脂被覆の耐食性が低下する場合がある。上記PES/上記末端変性PASは、上記末端変性PASについて、より好ましい下限が3/1であり、より好ましい上限が1/20である。上記PESと、上記末端変性PASとの含有比は、3/1〜1/20であることがより好ましい。
上記PESを用いる場合、上記含フッ素重合体は、固形分基準で、上記末端変性PAS及び上記PESの合計量100質量部に対し、5〜500質量部であることが好ましい。
上記含フッ素重合体が500質量部を超えると、上記フッ素樹脂被覆の上記被塗装物に対する密着性が不足したり、上記PESを含有することによる耐食性が不充分となる場合があり、5質量部未満であると、上述のツーコートにおいて上記トップコートと上記フッ素樹脂被覆との層間密着性が不足したり、上述のワンコートにおいて上記含フッ素重合体の特性を充分に発揮することができない場合がある。より好ましい下限は、10質量部であり、より好ましい上限は、400質量部である。上記含フッ素重合体は、固形分基準で、上記末端変性PAS並びに上記PESの合計量100質量部に対し、10〜400質量部であることがより好ましい。
本発明の被覆用組成物は、上記含フッ素重合体、上記末端変性PAS、並びに、所望により用いられる上記PAI及び/若しくはPI、又は、上記PESのほかに、必要に応じ、上記フッ素樹脂被覆の造膜性、耐腐食性等の物性を向上させるため、その他の樹脂を含有するものであってもよい。上記その他の樹脂としては特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンポリエステル樹脂等が挙げられる。
本発明の被覆用組成物としては特に限定されないが、上記被塗装物との密着性の向上、得られるフッ素樹脂被覆の表面平滑性等の点から、液状であることが好ましい。上記被覆用組成物は、液状である場合、上述の各種成分に加え、液状担体を含有する。上記液状担体は、通常、水及び/又は有機液体である。
上記有機液体としては特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン等の芳香族系炭化水素;炭素数が6〜12の飽和炭化水素;N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド等の含窒素系溶剤;γ−ブチロラクトン等の含酸素系溶剤;酢酸ブチル等のエステル類;メチルイソブチルケトン等のケトン類;ブチルセロソルブなどのグリコールエーテル類;1−ブタノール等のアルコール類が挙げられる。上記芳香族系炭化水素としては、市販品としてソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200(何れも商品名、エクソン化学社製)等を用いてもよい。上記有機液体としては、また、市販品としてミネラルスピリット(日本工業規格、工業ガソリン4号)等を用いてもよい。これらは、1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の被覆用組成物は、液状である場合、特に上記液状担体として水を用いる場合、上記含フッ素重合体からなる微粒子の分散安定性を向上させるため、界面活性剤を含有するものであってよい。上記界面活性剤としては特に限定されず、例えば、パーフルオロオクタン酸アンモニウム等の含フッ素系アニオン性界面活性剤;ラウリル硫酸ナトリウム等のその他のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
本発明の被覆用組成物は、液状である場合、粘度としては特に限定されないが、0.1〜50000mPa・sであることが好ましい。0.1mPa・s未満であると、タレ等を生じやすく、目的とする膜厚を得ることが困難となる場合があり、50000mPa・sを超えると、塗装作業性が悪く、得られるフッ素樹脂被覆の膜厚均一性、平滑性等に劣る場合がある。より好ましい下限は、1mPa・sであり、より好ましい上限は、30000mPa・sである。本発明の被覆用組成物の粘度は、1〜30000mPa・sであることがより好ましい。
本発明の被覆用組成物は、更に、一般的なコーティング用組成物に通常用いられる各種添加剤を含有するものであってもよい。上記各種添加剤としては特に限定されず、例えば、上記フッ素樹脂被覆又は上記トップコートの用途に応じて選択され、例えば塗装性、上記フッ素樹脂被覆の性質向上等を目的として、レベリング剤、固体潤滑剤、顔料、充填材、顔料分散剤、沈降防止剤、水分吸収剤、表面調整剤、チキソトロピー性付与剤、粘度調節剤、ゲル化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、色分かれ防止剤、皮張り防止剤、スリ傷防止剤、防カビ剤、抗菌剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤等が挙げられる。
本発明の被覆用組成物は、例えば従来公知の方法により調製することができ、例えば上記各種成分を適宜混合し分散することにより調製し、必要に応じて粘度調節剤等で塗装しやすい粘度に調整し、塗料にすることができる。上記含フッ素重合体、上記末端変性PAS、上記PAI及び/若しくはPI、又は、上記PES、上記顔料等は、必要に応じて適宜界面活性剤等を用いてそれぞれの分散体を予め調製し、得られる分散体を混合することにより調製してもよい。
本発明の被覆用組成物は、上記被塗装物に塗布し、必要に応じて乾燥する。本明細書において、このようにして得られる塗膜を、未焼成フッ素樹脂塗膜という。
上記被塗装物としては特に限定されず、例えば、鉄、アルミニウム、銅等の金属単体及びこれらの合金類等の金属;ホーロー、ガラス、セラミックス等の非金属無機材料等が挙げられる。上記合金類としては、ステンレス等が挙げられる。上記被塗装物としては、鉄である場合、及び、ステンレスである場合、本発明による密着性向上の効果を充分に活かすことができる。
上記被塗装物としては、本発明の被覆用組成物の組成、用途等に応じ、予め、脱脂、化成処理、酸又はアルカリによるエッチング、サンドブラスト等の下地処理を適宜行ったものであることが好ましい。
本発明の被覆用組成物を塗布する方法としては特に限定されず、例えば、スプレー塗装、ロール塗装、ドクターブレードによる塗装、ディップ(浸漬)塗装、含浸、スピンフローコート、カーテンフローコート等が挙げられる。
上記乾燥としては特に限定されず、例えば従来公知の方法等が用いられ、例えば、60〜150℃で5〜60分間行うことができる。
得られた未焼成フッ素樹脂塗膜は、上述のワンコートの場合、次いで焼成する。上記焼成としては特に限定されず、例えば、従来公知の方法等が用いられ、使用する上記含フッ素重合体、上記末端変性PAS等の種類によるが、通常、280〜400℃で10〜60分間行う。
上記未焼成フッ素樹脂塗膜は、上述のツーコートの場合、上に上記上塗り塗料を塗布し、必要に応じて乾燥し、次いで焼成する。
上記上塗り塗料は、本発明においては、上塗り用含フッ素重合体を含有する。上記上塗り用含フッ素重合体としては特に限定されず、例えば、PTFE、PFA、FEP等が挙げられるが、上記フッ素樹脂被覆との層間密着性を向上させる点から、上記含フッ素重合体と同じ又は類似のものが好ましい。上記上塗り塗料としては、主成分としてPTFEを含有するPTFE系の各種塗料、主成分としてPFAを含有するPFA系の各種塗料、主成分としてFEPを含有するFEP系の各種塗料等が挙げられる。
上記上塗り塗料は、更に、必要に応じて、一般的な塗料に通常含有される上述の各種添加剤のような添加剤を含有するものであってよい。
上記上塗り塗料としては、例えば、PTFE系、PFA系、FEP系等の水性ディスパージョン系上塗り塗料及び溶剤系上塗り塗料等の液状塗料;PFA系、FEP系等の粉体塗料等が挙げられる。上記上塗り塗料としては、厚膜化、回収再利用等が容易である点等から、粉体塗料が好ましい。
上記未焼成フッ素樹脂被膜は、上記上塗り塗料を塗布する前に、通常、焼成を行わないが、必要に応じて焼成を行ってもよい。焼成を行わない場合、工程の簡略化や、エネルギー、労力、時間等の低減を図ることができる。
上記上塗り塗料の塗布の方法としては特に限定されず、例えば、上記液状塗料の場合、上記被覆用組成物を塗布する方法と同様の方法等が挙げられ、上記粉体塗料の場合、静電スプレー塗装、流動浸漬塗装、ロトライニング方法等が挙げられる。
上記上塗り塗料を塗布した後の乾燥及び焼成としては特に限定されず、例えば、上記ワンコートについて上述したものと同様の条件を用いることができる。
上記ワンコート又は上記ツーコートにおける焼成の後における膜厚としては特に限定されず、用途によるが、例えば、上記フッ素樹脂被覆が1〜100μm、上記トップコートが10〜200μmであることが好ましい。
上記トップコートとしては、フッ素樹脂系フィルムであってもよい。上記フッ素樹脂系フィルムは、上記上塗り用含フッ素重合体を含有し、フィルム状に形成されたものである。この場合、上記未焼成フッ素樹脂被覆の上に上記フッ素樹脂系フィルムを載置し、加熱圧着により上記未焼成フッ素樹脂被覆と上記フッ素樹脂系フィルムとを密着させる等の従来公知の方法等を用いることができる。
上記フッ素樹脂被覆は、上記トップコートを上に積層させることにより、上記含フッ素重合体の非粘着性等の優れた特性を、上記上塗り塗料用含フッ素重合体とともに充分に発揮させることができる。
本発明の被覆用組成物は、上述のように、上記含フッ素重合体とともに、上記末端変性PASを含有することから、上記被塗装物との密着性を向上することができる。上記密着性向上の効果は、特に、上記被塗装物として従来は塗膜との密着性が不充分であった鉄又はステンレスを用いる場合、充分に活かすことができる。本発明の被覆用組成物がこのように有利な効果を奏する機構としては、明確ではないが、以下のように考えられる。
上記末端変性PASは、上述の従来型PASと異なり、重合体末端に水素原子又はメルカプト基を有することから、鉄、ステンレス等の上記被塗装物を構成する物質に対し、水素結合等により密着性を向上することができるものと考えられる。上記末端変性PASは耐熱性であり、このような優れた密着性及び接着性は、高温下においても維持することができる。
本発明の被覆用組成物は、また、上述の焼成により上記含フッ素重合体が上記フッ素樹脂被覆の表面に浮上して上記含フッ素重合体の層を形成するので、非粘着性等のフッ素樹脂の特性を充分に発揮させることができる。上記フッ素樹脂被覆の上に上記トップコートを積層させる場合、上記フッ素樹脂被覆中の含フッ素重合体と、上記トップコート中の上塗り用含フッ素重合体との分子構造、物性等の共通性により、上記フッ素樹脂被覆は上記トップコートと優れた層間密着性を有する。
従って、本発明の被覆用組成物の用途としては特に限定されないが、上記被塗装物が鉄又はステンレスであり、耐熱性が要求される用途に特に好適に用いられる。上記用途としては、例えば、得られる被覆物品の表面の非粘着性を利用する場合、フライパン、グリル鍋、その他の各種鍋、炊飯器、餅つき器、オーブン、ホットプレート、パン焼き型、包丁、ガステーブル等の金属製調理器具;電気ポット、製氷トレー等の飲食用容器;練りロール、圧延ロール、コンベアホッパー等の食品工業用部品;発泡スチロール成形用等の金型、合板・化粧板製造用離型板等の成形金型離型;レンジフード;コンベアーベルト等の冷凍食品製造装置等が挙げられる。
上記用途としては、また、上記被覆物品の表面の滑り性を利用する場合、のこぎり、やすり等の工具;アイロン;金属箔;食品加工機、包装機、紡繊機械等のすべり軸受;カメラ・時計の摺動部品;自動車部品等が挙げられる。
なお、上記パン焼き型とは、パン種を入れてオーブン中等でパンを焼くときに用いられる成形型である。
上記被覆用組成物を塗装することにより得られることを特徴とする被覆物品もまた、本発明の一つである。
発明を実施するための最良の形態
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
(末端変性PPS水性分散体)
塩酸処理により重合体末端を上記一般式(1)で表される基にし、平均粒子径10μmに粉砕した数平均分子量29000の末端変性PPSを100g、非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンドデシルエーテル(HLB=16.3)を20g、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールを2.5g、2−エチルヘキサノールを2.5g及び脱イオン水を375g混合し、ボールミルを用いて66時間かけて粉砕混合した。
(プライマー用被覆用組成物)
PTFE固形分100質量部に対し、分散安定剤としてポリエーテル系非イオン性界面活性剤を6質量部含有させ、平均粒子径0.28μmのPTFE粒子の水性分散液(固形分60質量%)を調製した。別に、脱イオン水90.2部、ポリエーテル系非イオン性界面活性剤6.24部、カーボン31.1部の混合物をボールミルを用いて混合し、顔料の水性分散液を調製した。
上記末端変性PPS水性分散体を98.84部、上記PTFE水性分散液を100部、上記顔料の水性分散液を6.59部、分散安定剤としてフルオロカルボン酸アンモニウム塩を1.68部、分散安定剤として非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを1.39部、増粘剤としてメチルセルロースを0.40部、消泡剤として2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールと非イオン性界面活性剤との混合物を0.63部、及び、脱イオン水を26.02部、攪拌機を用いて充分混合し、プライマー用の被覆用組成物を調製した。
実施例2
固形分29質量%のポリアミドイミド樹脂〔PAI〕のワニス(N−メチル−2−ピロリドンを71質量%含む)20部と脱イオン水9部を混合攪拌し、PAIの水性分散体(固形分20質量%)を調製した。実施例1の末端変性PPS水性分散体98.84部に代えて、上記PAI水性分散体4.71部と上記末端変性PPS水性分散体94.13部との混合物を用いること以外は実施例1と同様にしてプライマー用の被覆用組成物を調製した。
比較例
末端変性PPSに代えて、上記従来型PASとしてPPS(平均粒子径17μm、商品名:ライトンV−1、フィリップス社製)を用いること以外は実施例1と同様にしてプライマー用組成物を作製した。
試験用塗装板の作製
実施例1〜2のプライマー用の被覆用組成物及び比較例のプライマー用組成物を使用して、下記の手順で試験用塗装板を作製した。
被塗装物としては厚さ1.6mmの鉄(SS−400)板及びステンレス(SUS304)板を使用した。これらは予め、表面をアセトン脱脂した後、サンドブラストにより表面粗度Ra値が1.0〜1.5μmとなるように粗面化し、エアーブローにより表面のダストを除去した。上記被塗装物に、上記プライマー用の各組成物を乾燥膜厚5〜10μmとなるようにノズル径1.0mmの重力式スプレーガン(商品名:RG−2型、アネスト岩田社製)を用い、吹き付け圧力0.2MPaでスプレー塗装した。
これを100℃で15分間乾燥し、室温まで冷却した後、上塗り塗料として平均粒子径25μmのPFA粉体塗料(ダイキン工業社製)を印加電圧50KV、圧力0.08MPaの条件で静電塗装し、380℃で20分間焼成した。トップコートの膜厚は40μmであった。
評価
得られた試験用塗装板の塗膜について、下記評価を行った。結果は、鉄板について表1に、ステンレス板について表2に示す。
1.耐熱試験
試験用塗装板を300℃に保持して100時間、200時間、300時間及び400時間が経過した後室温に冷却したもの、並びに、このような加熱を行わないもの(0時間)について、JIS K 5400−8−5に準拠し、碁盤目テープ法(1mm幅)で得られた塗膜の被塗装物に対する付着性を調べた。塗膜表面にセロハン粘着テープを圧着させ、瞬間的に引きはがす操作を10回繰り返し、剥離せずに残存した升目の数で評価した。
2.鉛筆硬度
JIS K 5400−8−4に準拠し、鉛筆引っかき試験機を用いて鉛筆にかかる荷重を1kgとし、室温及び200℃における鉛筆硬度を測定した。
Figure 2003029370
Figure 2003029370
表1及び表2から明らかなように、重合体末端がチオラート基又はハロゲン原子である従来のPPSを用いた比較例では、鉄及びステンレスに対する塗膜の密着性に劣るのに対し、重合体末端に水素原子又はメルカプト基を有する末端変性PPSを用いた実施例1〜2では、上記密着性は高温に長時間置いた場合でも優れることがわかった。PAIを用いない実施例1とPAIを用いる実施例2とを比較すると、後者は硬度に優れることがわかった。
産業上の利用可能性
本発明の被覆用組成物は、上述の構成よりなるので、被塗装物、特に鉄及びステンレスに対する接着性を向上させることができ、この接着性を高温下においても維持することができる。

Claims (7)

  1. 末端変性ポリアリレンサルファイド樹脂及び含フッ素重合体を含有する被覆用組成物であって、
    前記末端変性ポリアリレンサルファイド樹脂は、重合体末端に下記一般式(1)
    −Ar−Y (1)
    (式中、Arはアリレン基を表し、Yは−SH又は水素原子を表す。)で表される基を有するものであることを特徴とする被覆用組成物。
  2. 含フッ素重合体は、固形分基準で、末端変性ポリアリレンサルファイド樹脂100質量部に対し、5〜500質量部である請求の範囲第1項記載の被覆用組成物。
  3. 更に、ポリアミドイミド樹脂及び/又はポリイミド樹脂を含有するものである請求の範囲第1項記載の被覆用組成物。
  4. 更に、ポリエーテルスルホン樹脂を含有するものである請求の範囲第1項記載の被覆用組成物。
  5. 含フッ素重合体は、固形分基準で、末端変性ポリアリレンサルファイド樹脂並びにポリアミドイミド樹脂及び/又はポリイミド樹脂の合計量100質量部に対し、5〜500質量部である請求の範囲第3項記載の被覆用組成物。
  6. 含フッ素重合体は、固形分基準で、末端変性ポリアリレンサルファイド樹脂及びポリエーテルスルホン樹脂の合計量100質量部に対し、5〜500質量部である請求の範囲第4項記載の被覆用組成物。
  7. 請求の範囲第1、2、3、4、5又は6項記載の被覆用組成物を塗装することにより得られることを特徴とする被覆物品。
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