JP2015123511A - 電子デバイス、ヒューズ及び電子機器 - Google Patents

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光生 橋本
朗 秋葉
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朗 秋葉
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英生 新倉
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Satoshi Mitani
諭司 三谷
伸也 盛田
Shinya Morita
伸也 盛田
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Norihiko Saruta
訓彦 猿田
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Abstract

【課題】ヒューズの作製又は破断をより容易に行うことが可能となる。【解決手段】少なくとも基板材の一部を含んで形成される第1の部材と、少なくとも前記基板材の一部を含んで形成され前記第1の部材に対して相対的に移動可能な第2の部材と、少なくとも前記基板材の一部を含んで形成され、前記基板材を介して前記第1の部材と前記第2の部材とを電気的に接続するヒューズと、を備える、電子デバイスを提供する。【選択図】図2

Description

本開示は、電子デバイス、ヒューズ及び電子機器に関する。
各種のセンサや電子機器におけるスイッチング素子として、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等の駆動部を有する電子デバイスが用いられている。一般的に、当該駆動部は、相対的に移動可能に構成される複数の部材(例えば固定部材と可動部材)を有し、これらの部材の相対的な移動量が制御されることにより、所望の機能が実現され得る。
一方、このような電子デバイスの駆動部においては、その製造プロセス中に駆動部の各構成部材が帯電し、当該部材間のチャージ量に差が生じることにより、部材間の付着(スティッキング、スティクション)が生じてしまうことがある。スティッキングの発生は、電子デバイスの製造不良の原因となり得るため、製品歩留まりの低下を引き起こす恐れがある。そこで、電子デバイスの製造プロセス中のスティッキングを防止するために、様々な技術が開発されている。
例えば、特許文献1には、駆動する2つの部材をそれぞれ別プロセスによって作製し、後段の工程でこれらの部材を接合することにより、製造プロセス中の部材間のスティッキングを防止する技術が開示されている。
また、スティッキングを防止する他の方法として、製造プロセス中には対象とする部材間をヒューズで接続することにより部材間の電位を略同電位に保ち、後段の工程で当該ヒューズを破断する技術が知られている。例えば、特許文献2、3には、製造プロセス中に2つの部品をポリシリコンやアルミニウム等の導電性材料からなるヒューズで接続することにより両部材間を略同電位に保つとともに、後段の工程で過電流を印加することにより当該ヒューズを溶断する技術が開示されている。
また、過電流による溶断以外の方法でヒューズを破断する方法として、例えば、特許文献4には、ヒューズの近傍に圧電素子によって搖動される振動体を形成し、当該振動体とヒューズとを接触させることによりヒューズを切断する技術が開示されている。また、例えば、特許文献5には、ヒューズに対応する位置に開口部を形成し、当該開口部を介してレーザ光照射やドライエッチング等の処理を行うことによりヒューズを切断する技術が開示されている。
特開2009−32559号公報 特開2012−222241号公報 特表2006−514786号公報 特開2006−221956号公報 特開2005−260398号公報
しかし、特許文献1に記載の技術では、各部材をそれぞれ別プロセスにより作製し、後段の工程でこれらの部材を接合する工程を経る必要があるため、電子デバイスの作製における総工程数が増加する可能性があり、製造コストの増加が懸念される。また、特許文献2−5に記載の技術においても、ヒューズを作製する工程又はヒューズを破断する工程を設ける必要があるため、やはり製造コストの増加につながる恐れがある。
上記事情に鑑みれば、部材間に設けられるヒューズについて、当該ヒューズの作製又は破断をより容易に行うことにより、製造コストの増加を抑制する技術が求められていた。そこで、本開示では、ヒューズの作製又は破断をより容易に行うことが可能な、新規かつ改良された電子デバイス、ヒューズ及び電子機器を提案する。
本開示によれば、少なくとも基板材の一部を含んで形成される第1の部材と、少なくとも前記基板材の一部を含んで形成され前記第1の部材に対して相対的に移動可能な第2の部材と、少なくとも前記基板材の一部を含んで形成され、前記基板材を介して前記第1の部材と前記第2の部材とを電気的に接続するヒューズと、を備える、電子デバイスが提供される。
本開示によれば、少なくとも基板材の一部を含んで形成される第1の部材と、少なくとも前記基板材の一部を含んで形成され前記第1の部材に対して相対的に移動可能な第2の部材と、の間に設けられ、少なくとも前記基板材の一部を含んで形成され、前記基板材を介して前記第1の部材と前記第2の部材とを電気的に接続する、ヒューズが提供される。
本開示によれば、少なくとも基板材の一部を含んで形成される第1の部材と、少なくとも前記基板材の一部を含んで形成され前記第1の部材に対して相対的に移動可能な第2の部材と、少なくとも前記基板材の一部を含んで形成され、前記基板材を介して前記第1の部材と前記第2の部材とを電気的に接続するヒューズと、を有する、電子デバイスを備える、電子機器が提供される。
本開示によれば、第1の部材と、前記第1の部材との間に所定の電位差を与えられることにより、前記第1の部材に対して相対的に移動する第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材とを電気的に接続するヒューズと、を備え、前記ヒューズの少なくとも一部領域には、前記第1の部材と前記第2の部材との間に少なくとも前記所定の電位差を生じさせる抵抗値を有する高抵抗部が形成される、電子デバイスが提供される。
本開示によれば、第1の部材と、前記第1の部材との間に所定の電位差が与えられることにより前記第1の部材に対して相対的に移動する第2の部材と、の間に設けられ、前記第1の部材と前記第2の部材とを電気的に接続するとともに、少なくとも一部領域に、前記第1の部材と前記第2の部材との間に少なくとも前記所定の電位差を生じさせる抵抗値を有する高抵抗部が形成される、ヒューズが提供される。
本開示によれば、第1の部材と、前記第1の部材との間に所定の電位差を与えられることにより、前記第1の部材に対して相対的に移動する第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材とを電気的に接続するとともに、少なくとも一部領域に前記第1の部材と前記第2の部材との間に少なくとも前記所定の電位差を生じさせる抵抗値を有する高抵抗部が形成される、ヒューズと、を有する、電子デバイスを備える、電子機器が提供される。
本開示によれば、第1の部材と、第1の部材に対して相対的に移動可能な第2の部材とが、ヒューズによって電気的に接続される。従って、製造プロセス中において、第1の部材及び第2の部材が略同電位に保たれ、第1の部材と第2の部材とのスティッキングが抑制される。また、第1の部材、第2の部材及びヒューズは、少なくとも基板材の一部を含んで形成される。そして、ヒューズは当該基板材を介して第1の部材と第2の部材とを電気的に接続する。従って、例えば基板材をエッチングする等の工程を追加することなくヒューズを作製することができるため、ヒューズの作製をより容易に行うことが可能となる。
以上説明したように本開示によれば、ヒューズの作製又は破断をより容易に行うことが可能となる。なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
第1の実施形態に係る電子デバイスの一構成例を示す上面図である。 図1に示す電子デバイスのA−A断面における断面図である。 図1に示すヒューズ及びその周辺を含む領域である領域Xの拡大図である。 第1の実施形態に係る電子デバイスが搭載されるモジュールの一構成例を示す機能ブロック図である。 第1の実施形態に係る電子デバイスが搭載されるモジュールの一構成例を示す機能ブロック図である。 応力集中部を有するヒューズの一構成例を示す上面図である。 図5に示す応力集中部を含む領域Yの拡大図である。 応力集中部の他の構成例を示す上面図である。 破断後のヒューズが溶着された様子を示す上面図である。 ヒューズ破断部がヒューズ電極部を複数有する電子デバイスの一構成例を示す上面図である。 ヒューズ破断部が破断用駆動部を有する変形例に係る電子デバイスの一構成例を示す上面図である。 ヒューズ破断部が破断用駆動部を有する変形例と、破断後のヒューズが溶着される変形例とが組み合わせた変形例に係る電子デバイスの一構成例を示す上面図である。 ヒューズがローレンツ力により破断される変形例について説明するための説明図である。 配線層を有するヒューズにおいて、ヒューズがローレンツ力により破断される変形例について説明するための説明図である。 配線層を有するヒューズにおいて、ヒューズがローレンツ力により破断される変形例について説明するための説明図である。 ヒューズがローレンツ力により破断される変形例と、破断後のヒューズが溶着される変形例とが組み合わせた変形例について説明するための説明図である。 ヒューズがローレンツ力により破断される変形例と、破断後のヒューズが溶着される変形例とが組み合わせた変形例について説明するための説明図である。 ヒューズの長さLと固有振動数fとの関係を示すグラフ図である。 図3におけるB−B断面で切断された電子デバイスを示す斜視図である 基板の一例であるSiウエハを模式的に示す斜視図である。 基板の一例であるSiウエハを模式的に示す斜視図である。 第2の実施形態に係る電子デバイスの一構成例を示す上面図である。 図19に示す電子デバイスの、一対の固定電極及び可動電極を含む所定の領域を拡大した拡大図である。 図19に示す電子デバイスの、ヒューズを含む所定の領域を拡大した拡大図である。 電子デバイスを駆動させてヒューズを破断させた様子を示す上面図である。 図19に示す電子デバイスの等価回路を示す概略図である。 電子デバイスを駆動する際に可動部材に加えられる静電引力と、ヒューズ内に生じる最大応力との関係を示すグラフ図である。 製造プロセス中の帯電を考慮した電子デバイスの等価回路を示す概略図である。 高抵抗部が他の領域に設けられる変形例に係るヒューズの一構成例を示す上面図である。 ヒューズの高抵抗部が他の方法により形成される変形例に係る電子デバイスの一構成例を示す上面図である。 切り欠き部が設けられる変形例に係るヒューズの一構成例を示す上面図である。 ヒューズが可動部材の移動方向と平行な方向に延伸するように設けられる変形例に係るヒューズの一構成例を示す上面図である。 ヒューズが可動部材の移動方向と平行な方向に延伸するように設けられる変形例に係るヒューズの他の構成例を示す上面図である。 破断後のヒューズの再接触防止機構が設けられる変形例に係るヒューズの一構成例を示す上面図である。 破断後のヒューズの再接触防止機構が設けられる変形例に係るヒューズの一構成例を示す上面図である。 破断後のヒューズの再接触防止機構が設けられる変形例に係るヒューズの一構成例を示す上面図である。 破断後のヒューズの再接触防止機構が設けられる変形例に係るヒューズの他の構成例を示す上面図である。 破断後のヒューズの再接触防止機構が設けられる変形例に係るヒューズの他の構成例を示す上面図である。 破断後のヒューズの再接触防止機構が設けられる変形例に係るヒューズの更に他の構成について説明するための説明図である。 ヒューズの形成位置が異なる変形例に係る電子デバイスの一構成例を示す上面図である。 ヒューズの形成位置が異なる変形例に係る電子デバイスの他の構成例を示す上面図である。 電子デバイスがサーフェスMEMSである変形例に係る電子デバイスの一構成例を示す上面図である。 図36に示す電子デバイスのC−C断面における断面図である。 図36に示す電子デバイスのD−D断面における断面図である。 第2の実施形態に係る電子デバイスがスイッチング素子として適用された電子機器の一構成例を示す概略図である。 図39に示すスイッチング素子の一構成例を示す概略図である。
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第1の実施形態
1−1.電子デバイスの構成
1−2.ヒューズの構成及びヒューズの破断方法
1−3.電子デバイスにおけるヒューズの機能
1−4.変形例
1−4−1.ヒューズが応力集中部を有する変形例
1−4−2.破断後のヒューズが溶着される変形例
1−4−3.ヒューズ破断部がヒューズ電極部を複数有する変形例
1−4−4.ヒューズ破断部が破断用駆動部を有する変形例
1−4−5.ヒューズがローレンツ力により破断される変形例
1−4−6.ヒューズが振動により破断される変形例
1−4−7.ヒューズの破断面の面方位が基板の劈開面の面方位と一致する変形例
1−5.第1の実施形態のまとめ
2.第2の実施形態
2−1.電子デバイスの構成
2−2.電子デバイスの動作及びヒューズの破断方法
2−3.ヒューズの詳細設計
2−3−1.ヒューズの形状の設計方法
2−3−2.ヒューズの高抵抗部の抵抗値の設計方法
2−4.変形例
2−4−1.ヒューズの高抵抗部についての変形例
2−4−2.ヒューズの形状についての変形例
2−4−3.破断後のヒューズの再接触防止機構が設けられる変形例
2−4−4.ヒューズの形成位置についての変形例
2−4−5.電子デバイスがサーフェスMEMSである変形例
2−5.適用例
2−5−1.電子機器のスイッチング素子への適用
2−6.第2の実施形態のまとめ
3.補足
<1.第1の実施形態>
まず、本開示の第1の実施形態について説明する。
上述したように、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等の電子デバイスにおいては、製造プロセス中に、駆動部を構成する部材間にスティッキングが生じることが懸念されている。そこで、スティッキングを防止する技術として、例えば特許文献1に記載されているような、駆動部を構成する部材をそれぞれ別プロセスによって作製し、後段の工程でこれらの部材を接合する技術や、特許文献2−5に記載されているような、製造プロセス中に駆動部を構成する部材間をヒューズで接続することにより部材間の電位を略同電位に保ち、後段の工程で当該ヒューズを破断する技術が提案されている。
一方、MEMSを作製する際の技術の1つとして、基板材を加工することによりMEMSを作製するバルクマイクロマシニングがある。バルクマイクロマシニングを用いて作製されるMEMS(以下、バルクMEMSとも呼称する。)では、駆動部を構成する部材、例えば固定部材と可動部材とが、ともに少なくとも基板材の一部を含んで形成され得る。
ここで、特許文献2−5に記載のヒューズをバルクMEMSに適用する場合について考える。特許文献2−5に記載のヒューズは、ポリシリコンや金属(例えばアルミニウム等)等の導電性材料によって形成される。従って、これらのヒューズをバルクMEMSに適用しようとした場合には、例えば基板上にポリシリコン層や金属層等を積層し、これらの層をヒューズに応じたパターンに加工するとともに、当該パターンの直下に位置する基板材を取り除く必要がある。このように、特許文献2−5に記載のヒューズをバルクMEMSに適用する場合には、ヒューズとなる導電性材料を加工する工程に加えて、基板材料を取り除く工程を行う必要があり、製造コストの増加につながる恐れがある。
また、上述したように、特許文献1に記載の技術は、駆動部を構成する部材を別々に作製するために、製造コストが増加する可能性がある。更に、特許文献1に記載の技術では、駆動部を構成する部材同士を接合する際に、高い合わせ精度が求められる。従って、より微細な構造を有するMEMSや、駆動方向が基板と平行な面内であるラテラル駆動型のMEMSに対して特許文献1に記載の技術を適用することは困難であると言える。
上記事情に鑑みれば、部材間に設けられるヒューズについて、当該ヒューズの作製をより容易に行うことにより、製造コストの増加を抑制する技術が求められていた。そこで、本開示の第1の実施形態では、ヒューズの作製をより容易に行うことを可能とする技術を提供する。
以下、第1の実施形態について詳しく説明する。なお、以下では、第1の実施形態に係るヒューズを備える電子デバイスとして、バルクMEMSとして作製される静電駆動又は静電検出を行う静電型MEMSを例に挙げて、第1の実施形態についての説明を行う。当該静電型MEMSは、例えば各種の電子機器におけるスイッチング素子として適用され得る。
[1−1.電子デバイスの構成]
まず、図1及び図2を参照して、第1の実施形態に係る電子デバイスの一構成例について説明する。図1は、第1の実施形態に係る電子デバイスの構成を示す上面図である。図2は、図1に示す電子デバイスのA−A断面における断面図である。
図1を参照すると、第1の実施形態に係る電子デバイス10は、固定部材110と、可動部材120と、ヒューズ130と、を備える。上述したように、電子デバイス10は、バルクMEMSとして作製される静電型MEMSであり、固定部材110、可動部材120及びヒューズ130は、基板190に対して各種のエッチング処理を行い、基板190の所定の領域にトレンチ140を形成することにより作製される。なお、説明のため、第1の実施形態について説明するための図1及び後述する各図面では、可動部120及びヒューズ130に対応する部材に対して異なる種類のハッチングを付して図示している。このように、第1の実施形態では、固定部材110、可動部材120及びヒューズ130は、少なくとも基板190の基板材(以下、単に基板材とも呼称する。)の一部を含んで形成されてもよい。なお、第1の実施形態に係る電子デバイス10は、一般的な静電型MEMSに対して、その固定部材と可動部材との間に本実施形態に係るヒューズ130が設けられた構成を有してよく、当該静電型MEMSの構成としては、各種の公知の構成が適用されてよい。
ここで、以下の説明では、基板190の深さ方向をz軸方向とも呼称する。また、基板190において固定部材110、可動部材120及びヒューズ130が形成される面の方向を上方向又はz軸の正方向とも呼称し、その逆方向を下方向又はz軸の負方向とも呼称する。更に、基板190の表面と水平な面内において互いに直交する2方向をx軸方向及びy軸方向とも呼称する。図1及び図2に示す例では、基板190の表面と水平な面内において可動部材120の移動方向をx軸としている。
固定部材110は、少なくとも基板材の一部を含んで形成される。固定部材110は、電子デバイス10の駆動部を構成し、電子デバイス10が駆動する際に移動せずに固定され得る部材である。以下では、固定部材110のことを第1の部材110とも呼称する。固定部材110の一部領域には、例えばy軸方向に延伸する複数の固定電極111が形成される。また、固定部材110の表面の一部領域には、電極部112が形成される。電極部112は、例えば、基板190上に絶縁膜113、配線層114を順に積層し、基板190の表面と配線層114との間にコンタクト115が形成された構成を有する。コンタクト115により、配線層114と基板190とが電気的に接続される。従って、電極部112の表面の配線層114に所定の電圧を印加することにより、固定部材110を構成する基板材の電圧を制御することができる。
可動部材120は、少なくとも基板材の一部を含んで形成される。可動部材120は、電子デバイス10の駆動部を構成し、電子デバイス10が駆動する際に固定部材110に対して相対的に移動可能に構成される。以下では、可動部材120のことを第2の部材120とも呼称する。第1の実施形態では、可動部材120は、基板190と水平な面内における所定の方向(x軸方向)において、固定部材110に対して相対的に移動することができる。可動部材120は、固定部材110の固定電極111と対向するように形成される複数の可動電極121を有する。また、固定部材110と同様に、可動部材120の表面の一部領域には、電極部122が形成される。電極部122は、電極部112と同様に、例えば、基板190上に絶縁膜123、配線層124を順に積層し、基板190の表面と配線層124との間にコンタクト125が形成された構成を有する。コンタクト125により、配線層124と基板190とが電気的に接続される。従って、電極部122の表面の配線層124に所定の電圧を印加することにより、可動部材120を構成する基板材の電圧を制御することができる。
ヒューズ130は、少なくとも基板材の一部を含んで形成され、当該基板材を介して固定部材110と可動部材120とを電気的に接続する。ヒューズ130は、x軸方向に延伸する薄板形状を有する。ここで、後述するように、ヒューズ130は、製造プロセス中は固定部材110及び可動部材120を電気的に接続するが、その後電子デバイス10を駆動する際に破断される。従って、ヒューズ130の形状は、製造プロセス中に加えられる外力によっては破断しないが、それ以上の所定の大きさの外力が加えられた場合には破断可能であるように設計されることが望ましい。このように、ヒューズ130のy軸方向の幅(後述する図3に示す幅W)やx軸方向の長さ(後述する図3に示す長さL)、z軸方向の深さ等の、ヒューズ130の形状を規定するパラメータは、電子デバイス10を作製するプロセスの種類や、最終的にヒューズ130を破断する方法等に応じて、適宜設計され得る。
図2を参照して、固定部材110、可動部材120及びヒューズ130の深さ方向の構造について詳しく説明する。基板190としては、例えばSiウエハが用いられる。Siウエハに対して、半導体プロセスにおいてバルクMEMSを作製する際に一般的に用いられる各種の処理を順次施すことにより、電子デバイス10が作製され得る。なお、第1の実施形態はかかる例に限定されず、電子デバイス10が形成される基板は各種の半導体材料によって構成され得る。例えば、基板190としては、上述したSi以外にも、SiC、GaP、InP等、一般的に半導体デバイスのウエハとして用いられ得る各種の材料が適用されてよい。更に、基板190の材料は半導体材料に限定されず、MEMSが形成され得る各種の公知の材料が適用され得る。
例えば、基板190はSOI(Silicon on Insulator)基板であってよい。図2に示すように、基板190は、Si層191、193の間に、絶縁体、例えばSiOからなるボックス層192を挟んだ構成を有する。固定部材110、可動部材120及びヒューズ130は、SOI基板である基板190の上層のSi層193を加工することにより形成され得る。例えば、固定部材110、可動部材120及びヒューズ130の各々の間に形成されるトレンチ140の深さは、上層のSi層193の厚さ(深さ)に対応している。
可動部材120及びヒューズ130の直下に対応する領域のボックス層192は、例えばエッチング処理により除去され得る。可動部材120の直下に対応する領域のボックス層192が除去されることにより、可動部材120がSOI基板190と水平な面内において移動することが可能となる。また、後述するように、ヒューズ130は、電子デバイス10が駆動する際に破断されるため、その直下に対応する領域のボックス層192は除去されることが望ましい。一方、固定部材110の直下に対応する領域のボックス層192は除去されず残存する。従って、固定部材110は、ボックス層192を介して下層のSi層191と固定的に接続され得る。ただし、可動部材120の一部領域には、ボックス層192が除去されず、下層のSi層191と固定的に接続され得るアンカー部126が設けられる。図1に示す例では、アンカー部126は、一部の可動電極121の先端部に設けられている。可動部材120は、アンカー部126によって基板190に対して固定されつつ、その他の部位が弾性的に固定部材110に対して相対的に移動可能に構成される。
ここで、基板190のうち少なくとも上層のSi層193は、例えば不純物が適宜ドープされることにより、その抵抗値が所定の値以下に調整されている。このように、電子デバイス10では、Si層193に不純物が適宜ドープされることにより、固定部材110、可動部材120及びヒューズ130は、いわば導体として振る舞ってもよい。なお、このように基板材に不純物が適宜ドープされることにより、ヒューズ130は、基板材によって固定部材110と可動部材120とを電気的に導通し得るが、第1の実施形態では、ヒューズ130の表面に導電体による配線層が更に形成されてもよい。ヒューズ130の表面に導電体による配線層が更に形成されることにより、ヒューズ130における抵抗値が更に低減され、固定部材110と可動部材120とをより低抵抗で電気的に接続することが可能となる。
図1に示す構成は、製造プロセス中における電子デバイス10の構成を示している。図1に示すように、製造プロセス中には固定部材110及び可動部材120がヒューズ130によって電気的に接続されているため、固定電極111及び可動電極121は略同電位に保たれる。従って、電子デバイス10を作製する際の製造プロセス中における各工程、例えばドライエッチング工程やスパッタリング工程において、固定電極111及び可動電極121が帯電したとしても、両者の間の電位差を小さい値に抑制することができ、スティッキングの発生を防止することができる。
一方、電子デバイス10を駆動する際には、ヒューズ130を破断する処理を行う。ヒューズ130を破断した後には、電極部112、122の間に所定の電位差を与えることにより、固定部材110と可動部材120との間に所定に電位差を与えることができるようになる。電子デバイス10では、固定部材110と可動部材120との間に所定に電位差を与えることにより、対向して設けられる固定電極111と可動電極121との間に静電引力を発生させ、可動部材120を固定部材110に対してx軸方向に移動させることができる。例えば、可動部材120のx軸方向における端部に端子(図示せず。)を設け、可動部材120が移動することにより当該端子が他の部材に設けられる他の端子と接触するように、電子デバイス10を構成することにより、電子デバイス10を、スイッチング素子として使用することが可能となる。また、逆に、電子デバイス10では、例えば電子デバイス10に外力が与えられ可動部材120がx軸方向に変位した場合には、当該変位量を固定部材110と可動部材120との間の電位差の変化として検出することができる。このように、電子デバイス10を、例えば加速度や圧力等の各種の外力を検出するセンサとして使用することが可能となる。
[1−2.ヒューズの破断方法]
以上説明したように、第1の実施形態においては、電子デバイス10の製造プロセス中にはヒューズ130によって固定部材110と可動部材120とを略同電位に保ち、電子デバイス10を駆動させる際にはヒューズ130を破断する処理が行われる。ここで、第1の実施形態では、ヒューズ130に対して、ヒューズ130の延伸方向と垂直な方向の外力を加える機構が設けられており、当該外力によってヒューズ130を破断させる。第1の実施形態では、電子デバイス10の内部にヒューズ130に対して外力を加える構成(以下、ヒューズ破断部とも呼称する。)が形成されてもよいし、電子デバイス10の外部からヒューズ130に対して外力が加えられてもよい。
図1では、電子デバイス10の内部にヒューズ破断部が設けられる構成例を図示している。例えば、当該ヒューズ破断部は、ヒューズ130に対して外部から所定の大きさの静電引力を加えることにより、当該ヒューズ130を破断することができる。図1に示す例では、当該ヒューズ破断部は、ヒューズ130との間に所定の電位差が与えられることにより、ヒューズ130に対して所定の静電引力を加えるヒューズ電極部160を有する。ヒューズ電極部160は、図1に示すように、ヒューズ130の延伸方向に対して略垂直な方向に、ヒューズ130と対向するように設けられる。
ヒューズ電極部160は、例えば固定部材110と同様に、基板材の一部を含んで形成されるとともに、基板190を構成する下層のSi層に対して固定的に形成され得る。ヒューズ電極部160を構成する基板材(上層のSi層193)も、固定部材110、可動部材120及びヒューズ130と同様に、例えば不純物が適宜ドープされることにより、その抵抗値が所定の値以下に調整されている。ヒューズ電極部160の表面の一部領域には、電極部162が形成される。電極部162の具体的な構成は、上述した電極部112、122と同様であってよく、例えば、基板190上に絶縁膜163、配線層164を順に積層し、基板190の表面と配線層164との間にコンタクト165が形成された構成を有する。コンタクト165により、配線層164と基板190とが電気的に接続される。従って、電極部162の表面の配線層164に所定の電圧を印加することにより、ヒューズ電極部160を構成する基板材の電圧を制御することができる。
図3を参照して、ヒューズ130の破断方法について説明する。図3は、図1に示すヒューズ及びその周辺を含む領域である領域Xの拡大図である。
図3を参照すると、第1の実施形態に係るヒューズ130は、基板190を加工することにより形成され、x軸方向に延伸する薄板形状を有する。なお、以下の説明では、図3に示すように、ヒューズ130のy軸方向の幅を幅W、ヒューズ130のx軸方向の長さを長さLとも呼称する。また、図3には明示的には示されないが、ヒューズ130のz軸方向の幅(例えば、基板190の上層のSi層193の深さに対応している。)を幅Dとも呼称する。例えば、ヒューズ130は、長さLが210(μm)、幅Wが0.6(μm)、幅Dが50(μm)となるように形成される。ただし、これらの数値は、ヒューズ130の形状の一例を示すものであり、ヒューズ130の形状はかかる例に限定されない。上述したように、ヒューズ130の形状は、電子デバイス10を作製するプロセスの種類や、最終的にヒューズ130を破断する方法等に応じて、適宜設計されてよい。
図3に示す構成において、例えば固定部材110の電極部112と可動部材120の電極部122とに0(V)の電位を与え(すなわち、固定部材110及び可動部材120に0(V)の電位を与え)、ヒューズ電極部160に所定の電圧(例えば80(V))を印加する。すると、ヒューズ130とヒューズ電極部160との間の電位差Vにより、ヒューズ130に対して、ヒューズ130をヒューズ電極部160に引き寄せる方向に静電引力が加えられる。当該静電引力による曲げ応力によりヒューズ130を破断させることができる。なお、固定部材110及び可動部材120に与えられる電圧値、並びに、ヒューズ電極部160に与えられる電圧値は、上記の例に限定されない。これらの電圧値は、ヒューズ130の形状等を考慮して、ヒューズ130を破断し得る所望の静電引力を加え得るような電位差Vをヒューズ130とヒューズ電極部160との間に生じさせるように、適宜設定され得る。また、例えば、ヒューズ電極部160に与えられる電圧は負の値であってもよい。当該電圧が負の値である場合、ヒューズ130には、y軸の負方向に作用する静電力が加えられることとなる。
当該静電引力は、固定部材110及び可動部材120とヒューズ電極部160との間の電位差に応じて発生するため、当該電位差を適宜調整することにより、当該静電引力の大きさを制御することができる。固定部材110及び可動部材120とヒューズ電極部160との間の電位差は、ヒューズ130の材質(すなわち、基板190の材質)や、ヒューズ130の形状等を考慮して、ヒューズ130を破断し得る静電引力が発生するように適宜設定されてよい。
以上、第1の実施形態について説明した。以上説明したように、第1の実施形態では、電子デバイス10が、第1の部材である固定部材110と、第2の部材である可動部材120と、固定部材110と可動部材120とを電気的に接続するヒューズ130と、を備える。このように、ヒューズ130によって固定部材110と可動部材120とが電気的に接続され、固定部材110及び可動部材120が略同電位に保たれることにより、製造プロセス中における固定部材110と可動部材120とのスティッキングが抑制される。また、第1の実施形態では、ヒューズ130に対して、ヒューズ130の延伸方向と垂直な方向の外力を加える機構が設けられてもよく、当該外力によってヒューズ130が破断され得る。ヒューズ130が破断されることにより、固定部材110と可動部材120との間に所定の電位差を与えることができるようになり、例えばMEMSとしての電子デバイス10の本来の駆動が実現される。
また、第1の実施形態では、電子デバイス10は例えばバルクMEMSであってよく、固定部材110、可動部材120及びヒューズ130は、少なくとも基板材の一部を含んで形成される。そして、ヒューズ130は当該基板材を介して固定部材110と可動部材120とを電気的に接続する。ここで、上述したように、例えば特許文献2−5に記載の技術では、ヒューズは基板上に積層される導電膜層によって形成されるため、例えば当該導電膜層の直下の基板材料をエッチング等により除去する必要があった。しかしながら、上述したように、第1の実施形態では、ヒューズ130が基板190によって構成される。従って、例えば基板190をエッチングする等の工程を追加することなくヒューズ130を形成することができるため、より簡易な方法でヒューズ130を作製することが可能となる。よって、電子デバイス10の製造コストをより低減することができる。
また、特許文献2−5に記載の技術では、ヒューズが基板材を含む場合は想定されていないため、このような基板材を含むヒューズを破断するための方法が十分に検討されていない。例えば、これらの文献に記載されている、過電流による溶断や、振動体との接触による切断、レーザ照射やエッチングによる切断等の方法を、基板材を含むヒューズ130に対して適用したとしても、その破断は困難であると考えられる。一方、第1の実施形態では、ヒューズ130に対して、ヒューズ130の延伸方向と垂直な方向の外力を加える機構が設けられ、当該外力によってヒューズ130が破断され得る。従って、基板材を含むヒューズ130であっても、より確実に破断させることができ、電子デバイス10をより安定的に動作させることが可能となる。
なお、上記の説明では、電子デバイス10が、第1の部材である固定部材110と第2の部材である可動部材120とを備えるMEMSである場合について説明したが、第1の実施形態はかかる例に限定されない。第1の実施形態に係るヒューズ130は、相対的に移動する互いに異なる部材間に設けられればよく、例えば、第1の部材及び第2の部材はともに可動部材であってもよい。第1の部材及び第2の部材がともに可動部材である場合であっても、上述した実施形態と同様にヒューズ130を形成することにより、より簡易な方法でヒューズ130を形成可能であるとともに、製造プロセス中における第1の部材と第2の部材とのスティッキングを防止することが可能である。
また、第1の実施形態では、電子デバイス10はMEMSでなくてもよい。第1の実施形態に係るヒューズ130は、基板を介して複数の部材を電気的に接続するものであるため、当該ヒューズ130は、基板の一部を加工して形成されるデバイスであって、互いに異なる複数の部材間にヒューズが設けられ得るデバイスであれば、あらゆる種類のデバイスに適用可能である。第1の実施形態によれば、より容易にヒューズ130を作製することが可能となるため、当該ヒューズ130を各種のデバイスに適用することにより、当該デバイスの製造コストをより低減することができる。
また、上記の説明では、ヒューズ130を破断するための方法として、静電引力を利用する方法について説明したが、第1の実施形態はかかる例に限定されない。第1の実施形態では、ヒューズ130に対して、ヒューズ130の延伸方向と垂直ないずれかの方向に働く外力を与えることによりヒューズ130を破断させればよく、その具体的な方法は任意である。従って、ヒューズ破断部の具体的な構成も、図1に示す構成に限定されず、ヒューズ130に対して、ヒューズ130の延伸方向と垂直ないずれかの方向に働く外力を与え得るように、適宜変更されてよい。ヒューズ130を破断する他の方法については、下記[1−4.具体例]で詳しく説明する。
なお、ヒューズ130の具体的な形状は、例えばFEM(Finite Element Method)等を用いたシミュレーションによって、ヒューズ130における応力分布を解析することにより設計されてよい。上述したように、ヒューズ130の形状は、製造プロセス中に加えられる外力によっては破断しないが、それ以上の所定の大きさの外力が加えられた場合には破断可能であるように設計されることが望ましい。例えば、FEM等の手法を用いて、ヒューズ130を模した計算モデルを作成し、当該計算モデルに対して製造プロセス中に加えられ得る外力や、ヒューズ130を破断する際に加えられ得る外力が印加された際の応力分布をそれぞれ計算する。そして、ヒューズ130の形状を適宜変更しながら当該計算を繰り返し行うことにより、製造プロセス中に生じる最大応力がヒューズ130の破断応力よりも小さくなるとともに、ヒューズ破断時に生じる最大応力がヒューズ130の破断応力よりも大きくなるようなヒューズ130の形状を探索し、ヒューズ130の具体的な形状を決定してもよい。また、上記方法により、ヒューズ130に対して加える外力を順次変更しながら応力分布計算を繰り返し行うことにより、ヒューズ130が破断され得る外力の値を適宜計算することも可能である。
[1−3.電子デバイスにおけるヒューズの機能]
上述したように、第1の実施形態では、製造プロセス中には固定部材110及び可動部材120がヒューズ130によって電気的に接続され、電子デバイス10を駆動させる際には、ヒューズ130が破断される。図4A及び図4Bを参照して、電子デバイス10におけるヒューズ130の機能についてより詳細に説明する。図4A及び図4Bは、第1の実施形態に係る電子デバイス10が搭載されるモジュールの一構成例を示す機能ブロック図である。
図4Aは、製造プロセス中におけるモジュール30の一構成例を示している。図4Aを参照すると、モジュール30は、電子デバイス10及び制御回路20を備える。電子デバイス10は、例えばMEMSであり、図1に示す構成を有する。すなわち、電子デバイス10は、固定部材110と、固定部材110に対して相対的に移動可能に構成される可動部材120と、固定部材110と可動部材120とを電気的に接続するヒューズ130と、を有する。また、電子デバイス10は例えばバルクMEMSであり、固定部材110、可動部材120及びヒューズ130は、少なくとも基板材の一部を含んで形成される。
制御回路20は、例えばCPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Pocessor)等の各種のプロセッサによって構成され、所定のプログラムに従って所定の動作を行うことにより、電子デバイス10の駆動を制御する。制御回路20は、電子デバイス10を駆動するためのアクチュエート回路210と、電子デバイス10の挙動から所定の物理量を検出するセンシング回路220と、を有する。
図1を参照して上述した例では、電子デバイス10は、固定部材110の固定電極111と可動部材120の可動電極121とが対向して設けられる静電型MEMSである。例えば、アクチュエート回路210は、電子デバイス10の可動部材120と電気的に接続される。アクチュエート回路210は、可動部材120に対して所定の電圧を与えることにより、固定電極111と可動電極121との間に静電引力を発生させ、可動部材120を固定部材110に対して移動させるように電子デバイス10を駆動させることができる。また、例えば、センシング回路220は、電子デバイス10の固定部材110及び可動部材120と電気的に接続される。センシング回路220は、例えば電子デバイス10に外力が加えられて固定部材110に対して可動部材120が移動した場合に、可動部材120の変位量を固定電極111と可動電極121との間の電位差の変化量として検出することにより、当該外力に対応する物理量(例えば加速度や圧力等)を検出することができる。
図4Aに示す状態では、ヒューズ130によって固定部材110と可動部材120とが電気的に接続されているため、固定部材110と可動部材120とが略同電位に保たれる。従って、アクチュエート回路210による電子デバイス10の駆動やセンシング回路220による電子デバイス10を用いた物理量の検出は実現され得ない。しかしながら、製造プロセス中、例えばドライエッチング工程やスパッタリング工程において、固定部材110及び可動部材120が帯電したとしても、両者の電位が略同電位に保たれるため、スティキングの発生を抑制することができる。
一方、図4Bは、ヒューズ130が破断された後のモジュール30の一構成例を示している。図4Bを参照すると、ヒューズ130が破断された後のモジュール30は、図4Aに示す構成に対して、ヒューズ130が取り除かれた構成を有する。従って、固定部材110と可動部材120との間に所定の電位差を生じさせることが可能となり、上述したような、アクチュエート回路210による電子デバイス10の駆動やセンシング回路220による電子デバイス10を用いた物理量の検出が可能となる。
第1の実施形態では、電子デバイス10を製作する際にスティッキングの発生が懸念される工程を通過した後の任意の段階、又は、電子デバイス10がモジュール30に搭載された後の任意の段階で、ヒューズ130の破断が行われてよい。ヒューズ130は、スティッキングの発生が懸念される工程よりも後であって、電子デバイス10を駆動させる前であれば、いずれのタイミングで破断されてもよい。
以上、図4A及び図4Bを参照して、電子デバイス10におけるヒューズ130の機能について説明した。
[1−4.変形例]
次に、上述した第1に実施形態におけるいくつかの変形例について説明する。第1の実施形態は、以下のような構成を有してもよい。
(1−4−1.ヒューズが応力集中部を有する変形例)
図1−図3を参照して上述した実施形態では、ヒューズ130は、略一様な幅Wを有する平板形状を有していた。しかし、第1の実施形態はかかる例に限定されず、ヒューズ130は、その一部領域に、外力が加えられた際に応力が集中する応力集中部を有してもよい。当該応力集中部は、ヒューズ130の一部領域に設けられ、外力が加えられる方向の幅が他の領域よりも小さく形成される部位として実現され得る。
図5−図7を参照して、第1の実施形態において、ヒューズが応力集中部を有する変形例について説明する。なお、本変形例は、図1−図3を参照して説明した実施形態に対して、ヒューズ130の構成が異なるものに対応しており、その他の構成、例えば固定部材110、可動部材120及びヒューズ電極部160の構成は上記実施形態と同様であってよい。従って、以下の本変形例についての説明では、上述した実施形態との相違点について主に説明することとし、重複する事項については詳細な説明を省略する。
図5は、応力集中部を有するヒューズの一構成例を示す上面図である。図6は、図5に示す応力集中部を含む領域Yの拡大図である。図7は、応力集中部の他の構成例を示す上面図である。なお、図5は、上述した図2に対応する図であり、本変形例に係る電子デバイスの構成のうち、ヒューズ及びその周辺を含む領域である領域Xの拡大図に対応している。また、図5及び後述する図8−図11では、簡単のため、電極部112、122、162は、その詳細な構成の図示を省略している。
図5及び図6を参照すると、本変形例に係るヒューズ130aは、その一部領域に切り欠き部131を有する。切り欠き部131は、ヒューズ130aの一部領域において、ヒューズ130aを破断する際にヒューズ130aに対して外力が加えられる方向(y軸方向)に向かって形成される。切り欠き部131が設けられた領域は、外力が加えられる方向の幅が小さくなる、すなわち、外力が加えられる方向における断面積が局所的に小さくなるため、外力が加えられた際に応力集中部として機能し得る。従って、ヒューズ130aに対して外力が加えられた際には、例えば当該切り欠き部131からy軸方向に亀裂が伸展し、ヒューズ130aが破断することとなる。
図5及び図6に示す例では、ヒューズ130aのy軸方向にヒューズ破断部であるヒューズ電極部160が設けられる。従って、上記[1−2.ヒューズの破断方法]で説明した方法と同様の方法により、ヒューズ130aとヒューズ電極部160とに電位差が与えられることにより、y軸方向に作用する静電引力がヒューズ130aに加えられることとなる。
本変形例の効果を確認するために、本発明者らは、ヒューズ130aを模した計算モデルを作成し、当該計算モデルに対して所定の静電引力を加えた場合にヒューズ130aに生じる応力値をシミュレーションにより算出した。計算モデルとしては、ヒューズ130aの長さLを210(μm)、幅Wを0.6(μm)、幅Dを50(μm)とした。また、切り欠き部131のy軸方向の深さを0.3(μm)とした。当該計算モデルに対して、y軸方向に80V/6μmの大きさの静電力を加えたところ、切り欠き部131において、最大で約2600(MPa)の応力が生じることが計算により確認された。一方、上記の構造を有するヒューズ130を破断するために必要な応力値を別途計算したところ、破断の目安となる応力値は約1000(MPa)であった。従って、上記条件によって切り欠き部131に生じる応力により、ヒューズ130aの破壊が十分可能であることが確認された。
このように、本変形例においては、ヒューズ130aの一部領域に、応力集中部である切り欠き部131が設けられることにより、当該領域においてより大きな応力を発生させることができ、ヒューズ130aの破断をより容易に行うことが可能となる。なお、図5及び図6に示す例では、切り欠き部131は、ヒューズ130の両端近傍、すなわち、固定部材110及び可動部材120の近傍に1箇所ずつ設けられているが、本変形例はかかる例に限定されない。切り欠き部131が形成される位置及び数、並びに、切り欠き部131の形状等は、適宜設定されてよい。上述したように、ヒューズ130aにおいては、切り欠き部131が設けられる箇所に応力が集中し、当該箇所においてヒューズ130aが破断しやすくなる。従って、例えば、切り欠き部131の形成位置は、ヒューズ130aを破断させたい位置に調整され得る。また、固定部材110、可動部材120及びヒューズ130を作製した際に、予めヒューズ130の内部応力に分布が生じている場合であれば、当該内部応力がより大きい部位に切り欠き部131を形成することにより、ヒューズ130aの破断が更に容易になる。
また、ヒューズ130aに設けられる応力集中部の形状は、図6に示す切り欠き部131に限定されず、例えば図7に示すような薄肉部132であってもよい。薄肉部132は、ヒューズ130aのうちx軸方向に所定の長さの領域を、当該領域のy軸方向の幅が他の領域よりも小さくなるように加工することにより形成され得る。切り欠き部131と同様に、薄肉部132も、外力が加えられた際に応力集中部として機能する。ただし、本変形例はこれらの例に限定されず、ヒューズ130aの一部領域に応力が集中する応力集中部が形成されればよく、当該応力集中部の形状は任意であってよい。
以上、図5−図7を参照して、第1の実施形態において、ヒューズが応力集中部を有する変形例について説明した。以上説明したように、本変形例においては、ヒューズ130aの一部領域に、例えば切り欠き部131や薄肉部132等の、外力が加えられた際に応力が集中する応力集中部が形成されるため、ヒューズ130aの破断をより容易に行うことが可能となる。また、外力が加えられた際には、応力集中部が設けられた部位でヒューズ130aが破断する可能性が高いため、応力集中部の形成位置を調整することにより、ヒューズ130aの破断位置を制御することが可能となる。
(1−4−2.破断後のヒューズが溶着される変形例)
図1−図3を参照して上述した実施形態において、電子デバイス10を駆動するためにヒューズ130を破断すると、破断後のヒューズ130は、固定部材110又は可動部材120との接続部位においてそれぞれ支持された、一対の片持ち梁のような形状を有することとなる。このような状態においては、電子デバイス10が駆動され、可動部材120が固定部材110に対して移動する際に、ヒューズ130の破断面同士が接触してしまう恐れがある。ヒューズ130の破断面同士が接触すると、固定部材610と可動部材620とが導通し略同電位となってしまうため、電子デバイス10の駆動が正常に行われなくなる可能性がある。また、破断後のヒューズ130が当該接触により更に破壊されてしまう恐れもある。ヒューズ130が更に破壊されることにより、当該破壊によって生じ得るパーティクルによって電子デバイス10の正常な動作が妨げられることも考えられ、電子デバイス10の信頼性が低下する恐れがある。
そこで、本変形例では、破断後のヒューズ130を所定の部位に溶着することにより、破断後のヒューズ130を破断前のヒューズ130の位置とは異なる位置に固定し、ヒューズ130の破断面同士が再接触することを防止する。図8を参照して、第1の実施形態において、破断後のヒューズが溶着される変形例について説明する。なお、本変形例は、図1−図3を参照して説明した実施形態に対して、ヒューズを破断する処理の後に更に所定の処理が追加されたものに対応しており、その他の構成、例えば固定部材110、可動部材120、ヒューズ130及びヒューズ電極部160の構成は上記実施形態と同様であってよい。従って、以下の本変形例についての説明では、上述した実施形態との相違点について主に説明することとし、重複する事項については詳細な説明を省略する。
図8は、破断後のヒューズが溶着された様子を示す上面図である。なお、図8は、上述した図2に対応する図であり、本変形例に係る電子デバイスの構成のうち、ヒューズ及びその周辺を含む領域である領域Xの拡大図に対応している。
図8を参照すると、本変形例では、図3を参照して説明した実施形態と同様に、ヒューズ電極部160とヒューズ130との間に所定の電位差を与えることにより、ヒューズ130に静電引力を加え、ヒューズ130を破断する。ここで、上述したように、破断後のヒューズ130は、固定部材110との接続部位において支持された片持ち梁として振る舞い得る。従って、ヒューズ130が破断された後も、ヒューズ電極部160とヒューズ130との間に電位差を与え続けることにより、図8に示すように、破断後のヒューズ130の自由端に対応する部位が、ヒューズ電極部160の方向に引き寄せられることとなる。
ここで、本変形例では、破断後のヒューズ130がヒューズ電極部160に引き寄せられた際に、ヒューズ130の少なくとも一部領域がヒューズ電極部160を構成する基板190に接触するように、ヒューズ130及びヒューズ電極部160の形成位置が設定されている。ヒューズ130の少なくとも一部領域、例えば自由端に対応する部位がヒューズ電極部160を構成する基板190と接触すると、接触と同時に両者の間に電流が流れ、抵抗のより大きい接触部がジュール熱により溶解し固着する。このように、本変形例では、破断後のヒューズ130の自由端に対応する部位がヒューズ電極部160に溶着されるため、破断後のヒューズ130が再び接触したり更に破壊されたりすることを防止することができ、電子デバイス10の正常な動作が保たれる。
なお、本変形例では、破断後のヒューズ130とヒューズ電極部160とは必ずしも接触する必要はなく、例えば両者を1(μm)以下に近接させることにより生じ得るアークを用いることにより、両者が溶着されてもよい。また、ヒューズ電極部160とヒューズ130との間に付加される電位差は、ヒューズ130を破断するときから、破断後にヒューズ130を引き寄せ溶着するまでの間、一定の値であってもよいし、適宜変更されてもよい。当該電位差は、ヒューズ130及び基板190の材質や、ヒューズ130の形状等に応じて、ヒューズ130の破断と溶着を実現し得るように適宜設定されてよい。また、破断後のヒューズ130が溶着される部位はヒューズ電極部160に限定されない。電子デバイス10内に形成され得る他の部位から破断後のヒューズ130に対して静電引力を加えることにより、破断後のヒューズ130を当該他の部位に引き寄せ、溶着させてもよい。
なお、本変形例に対して、上記(1−4−1.ヒューズが応力集中部を有する変形例)で説明した変形例を組み合わせることも可能である。上述したように、応力集中部を有するヒューズ130aでは、応力集中部を設ける位置を調整することにより、その破断位置を制御することが可能である。従って、ヒューズ130aにおいて応力集中部を設ける位置を適宜調整することにより、破断後のヒューズ130aによって形成される片持ち梁において自由端が形成される位置を制御することができる。よって、破断後のヒューズ130とヒューズ電極部160とが接触し得る位置をより正確に予測することが可能となるため、ヒューズ130及びヒューズ電極部160の形成位置の設計をより的確に行うことができる。
以上、図8を参照して、第1の実施形態において、破断後のヒューズが溶着される変形例について説明した。以上説明したように、本変形例においては、破断後のヒューズ130の一部領域が、他の部位、例えばヒューズ電極部160に溶着される。従って、破断後のヒューズ130が再接触してリークパスが形成されたり、更に破壊されたりすることを防止することができ、電子デバイス10の駆動に対するより高い信頼性が確保される。
(1−4−3.ヒューズ破断部がヒューズ電極部を複数有する変形例)
図1−図3を参照して上述した実施形態では、電子デバイス10内に設けられるヒューズ破断部は、1つのヒューズ電極部160を有していた。しかし、第1の実施形態はかかる例に限定されず、当該ヒューズ破断部は、複数のヒューズ電極部160を有してもよい。
図9を参照して、第1の実施形態において、ヒューズ破断部がヒューズ電極部を複数有する変形例について説明する。なお、本変形例は、図1−図3を参照して説明した実施形態に対して、ヒューズ破断部の構成が異なるものに対応しており、その他の構成、例えば固定部材110及び可動部材120の構成は上記実施形態と同様であってよい。従って、以下の本変形例についての説明では、上述した実施形態との相違点について主に説明することとし、重複する事項については詳細な説明を省略する。
図9は、ヒューズ破断部がヒューズ電極部を複数有する電子デバイスの一構成例を示す上面図である。なお、図9は、上述した図2に対応する図であり、本変形例に係る電子デバイスの構成のうち、ヒューズ及びその周辺を含む領域Xの拡大図に対応している。
図9を参照すると、本変形例では、ヒューズ破断部が複数のヒューズ電極部160a、160bを有する。ヒューズ電極部160a、160bは、ヒューズ130cを挟んで互いに異なる方向にそれぞれ設けられる。また、ヒューズ電極部160a、160bは、ヒューズ130cを挟んで互いに対向しないように、すなわち、ヒューズ130cの互いに異なる部位に対向するように設けられる。なお、ヒューズ130cは、固定部材110と可動部材120とを電気的に接続するものであり、図1に示すヒューズ130と同様の機能を有する。また、ヒューズ電極部160a、160bの具体的な構成は、図1に示すヒューズ電極部160と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
図9に示す例では、ヒューズ130cの固定部材110からx軸方向に所定の長さを有する領域である領域131cと対向するようにヒューズ電極部160aが設けられる。例えば、ヒューズ電極部160aは、y軸の負方向からヒューズ130cと対向するように設けられる。また、ヒューズ130cの可動部材120からx軸方向に所定の長さを有する領域である領域132cと対向するようにヒューズ電極部160bが設けられる。例えば、ヒューズ電極部160bは、y軸の正方向からヒューズ130cと対向するように設けられる。このように、図9に示す例では、少なくとも1つのヒューズ電極部160aが、ヒューズ130cの第1の領域(領域131c)に対して第1の方向(y軸の負方向)に静電引力を加えるように配置され、少なくとも1つの他のヒューズ電極部160bが、ヒューズ130cの前記第1の領域とは異なる第2の領域(領域132c)に対して前記第1の方向とは逆の方向である第2の方向(y軸の正方向)に静電引力を加えるように配置される。
当該構成において、ヒューズ電極部160a、160bとヒューズ130cとの間に所定の電位差が与えられると、ヒューズ130cの領域131cには、ヒューズ130cをヒューズ電極部160aの配設方向、すなわちy軸の負方向に引き寄せる静電引力が加えられ、ヒューズ130cの領域132cには、ヒューズ130cをヒューズ電極部160bの配設方向、すなわちy軸の正方向に引き寄せる静電引力が加えられる。このように、本変形例では、ヒューズ130cの一端側と他端側とに対して、ヒューズ130cの延伸方向と垂直な方向において互いに逆方向に外力が加えられる。従って、ヒューズ130cの略中心付近における応力が増大し、ヒューズ130cの破断をより容易に行うことが可能となる。
また、図9に示すように、本変形例では、ヒューズ130cは、x軸方向に直線的に延伸するのではなく、領域131cと132cとの間に、x−y平面内で屈曲する屈曲部を有する。当該屈曲部は、ヒューズ130cにおいて応力集中部として機能し得るため、当該屈曲部を有することにより、ヒューズ130cの破断が更に容易になる。ただし、本変形例はかかる例に限定されず、例えば図1に図示したような直線形状を有するヒューズ130に対して、複数のヒューズ電極部160a、160bが設けられてもよい。
また、本変形例において、ヒューズ電極部160a、160bが配置される位置や数は、図9に示す例に限定されず、適宜設定されてよい。例えば、ヒューズ電極部160a、160bは、ヒューズ130cを挟んで互いに異なる方向にそれぞれ設けられるのではなく、ヒューズ130cに対して同じ方向(例えばy軸の正方向又は負方向)に設けられてもよい。また、より多くの数のヒューズ電極部160a、160bが設けられてもよい。本変形例では、ヒューズ電極部160a、160bの配置位置や配置数を適宜変更することにより、ヒューズ130cにおける応力集中位置、すなわち破断位置が調整されてよい。
以上、図9を参照して、第1の実施形態において、ヒューズ破断部がヒューズ電極部を複数有する変形例について説明した。以上説明したように、本変形例においては、ヒューズ破断部が複数のヒューズ電極部160a、160bを有することにより、ヒューズ130cを破断する際にヒューズ130cに対して加えられる外力が増大し、その破断がより容易になる。更に、複数のヒューズ電極部160a、160bの配置位置や配置数を適宜変更することにより、ヒューズ130cにおける破断位置を制御することが可能となる。
(1−4−4.ヒューズ破断部が破断用駆動部を有する変形例)
図1−図3を参照して上述した実施形態では、ヒューズ破断部はヒューズ電極部160を有し、静電引力によってヒューズ130を破断していた。しかし、第1の実施形態はかかる例に限定されず、ヒューズ破断部は、他の構成によってヒューズ130に対して外力を加え、ヒューズ130を破断してもよい。本変形例では、ヒューズ破断部は、ヒューズ130に一部領域を所定の方向に押圧することにより外力を加え、ヒューズ130を破断する、破断用駆動部を有する。
図10を参照して、第1の実施形態において、ヒューズ破断部が破断用駆動部を有する変形例について説明する。なお、本変形例は、図1−図3を参照して説明した実施形態に対して、ヒューズ破断部の構成が異なるものに対応しており、その他の構成、例えば固定部材110、可動部材120及びヒューズ130の構成は上記実施形態と同様であってよい。従って、以下の本変形例についての説明では、上述した実施形態との相違点について主に説明することとし、重複する事項については詳細な説明を省略する。
図10は、ヒューズ破断部が破断用駆動部を有する変形例に係る電子デバイスの一構成例を示す上面図である。なお、図10は、上述した図2に対応する図であり、本変形例に係る電子デバイスの構成のうち、ヒューズ及びその周辺を含む領域である領域Xを拡大した図に対応している。
図10を参照すると、本変形例では、ヒューズ破断部は破断用駆動部170を有する。破断用駆動部170は、y軸の負方向からヒューズ130と対向するように設けられる。
破断用駆動部170の構成について詳しく説明する。破断用駆動部170は、基板190を加工することにより形成される、静電型のバルクMEMSであってよい。破断用駆動部170は、破断用固定部材172及び破断用可動部材176を有する。
破断用固定部材172は、基板190の上層のSi層193を加工することにより形成され、固定部材110と同様に、破断用駆動部170が駆動する際に移動せずに固定され得る部材である。破断用固定部材172の一部領域には、例えばy軸方向に突出する複数の破断用固定電極173が形成される。また、破断用固定部材172の表面における一部領域には、破断用固定部材172に対して所定の電圧を印加するための破断用駆動配線174が形成される。破断用駆動配線174は、固定部材110の電極部112に対応するものである。破断用駆動配線174は、例えばコンタクトホール(図示せず。)を介して破断用固定部材172を構成する基板190と電気的に接続されており、破断用駆動配線174に所定の電圧を与えることにより、破断用固定部材172の電圧を制御することができる。
破断用可動部材176は、基板190の上層のSi層193を加工することにより形成され、可動部材120と同様に、破断用駆動部170が駆動する際に破断用固定部材172に対して相対的に移動可能に構成される。破断用可動部材176の一部領域には、破断用固定電極173と対向するように、例えばy軸方向に突出する複数の破断用可動電極177が形成される。また、破断用可動部材176の一部領域は、ばね178によって固定部材110と接続されている。当該ばね178は、破断用可動部材176が移動した際に、破断用可動部材176に対して、破断用可動部材176を元の位置に戻すような復元力を与える。更に、破断用可動部材176のヒューズ130と対向する部位の一部領域には、ヒューズ130に向かって突出する突出部179が設けられる。
破断用駆動部170は、静電力によって駆動する静電型MEMSであり、破断用駆動配線174に所定の電圧が印加されることによって駆動する。具体的には、図10に示す例であれば、破断用駆動配線174に所定の電圧が印加されることにより、破断用可動部材176がy軸の正方向に移動する。破断用可動部材176がy軸の正方向に移動することにより、突出部179がヒューズ130にy軸の負方向から接触し、破断用駆動部170の駆動力によりヒューズ130が押し曲げられ破断する。
上述した静電引力によってヒューズ130を破断する方法では、静電引力がヒューズ130に対して、x軸方向に分布する分布荷重として加えられるため、ヒューズ130を破断するために比較的大きな外力が必要になる可能性がある。一方、本変形例では、突出部179が直接ヒューズ130に接触し押圧することにより外力を加えるため、突出部179との接触部位における集中荷重がヒューズ130に加えられることとなる。従って、当該接触部位において応力集中が生じ、ヒューズ130をより容易に破断することが可能となる。また、破断用可動部材176における突出部179の形成位置、すなわち、突出部179とヒューズ130との接触部位の位置を調整することにより、ヒューズ130の破断位置を制御することが可能である。更に、破断用駆動部170として静電型MEMSを用いることにより、例えば破断用固定電極173及び破断用可動電極177の構成を櫛歯型にすることにより破断用可動部材176の変位量を増加させたり、破断用固定電極173及び破断用可動電極177の電極面積を変更することにより駆動力を調整したり、といった、一般的に静電型MEMSにおいて用いられる各種の設計手法、制御手法を応用することができ、より適切な破断用駆動部170の設計を行うことが可能となる。
なお、図10に示す例では、破断用駆動部170が静電型MEMSである場合について説明したが、本変形例はかかる例に限定されない。破断用駆動部170は、駆動されることにより、ヒューズ130を所定の方向に押圧しこれを破断可能なように構成されればよく、破断用駆動部170としては、各種の公知のMEMSが適用されてよい。例えば、破断用駆動部170の駆動方式は静電力によるものに限定されず、電磁力や熱を利用したものであってもよい。
ここで、本変形例に対して、上記(1−4−2.破断後のヒューズが溶着される変形例)で説明した変形例を組み合わせることも可能である。図11を参照して、このような、ヒューズ破断部が破断用駆動部を有する変形例と、破断後のヒューズが溶着される変形例とが組み合わせた変形例について説明する。図11は、ヒューズ破断部が破断用駆動部を有する変形例と、破断後のヒューズが溶着される変形例とが組み合わせた変形例に係る電子デバイスの一構成例を示す上面図である。なお、図11は、上述した図2に対応する図であり、本変形例に係る電子デバイスの構成のうち、ヒューズ及びその周辺を含む領域である領域Xの拡大図に対応している。
図11を参照すると、本変形例では、ヒューズ破断部が、ヒューズ電極部160及び破断用駆動部170aを有する。具体的には、本変形例では、図11に示すように、ヒューズ130を挟んで互いに対向する位置に、破断用駆動部170a及びヒューズ電極部160がそれぞれ設けられる。なお、破断用駆動部170aは、図10に示す破断用駆動部170に対して、突出部179の形成位置が変更されたものに対応し、その他の構成は破断用駆動部170と同様であるため、その詳細な構成についての説明は省略する。本変形例に係る破断用駆動部170aの突出部179aは、ヒューズ130のx軸方向における略中心付近からいずれかの方向にずれた位置でヒューズ130と対向するように形成される。図11に示す例では、突出部179aは、ヒューズ130のx軸方向において、より可動部材120に近い位置でヒューズ130と対向するように形成されている。破断用駆動部170aが駆動される際には、突出部179aの形成位置に対応する位置でヒューズ130が破断されることとなる。ただし、破断用駆動部170aにおいて突出部179aが設けられる位置は図示される例に限定されず、ヒューズ130との接触部位、すなわちヒューズ130を破断する際の応力集中部位を考慮して適宜設定されてよい。
本変形例では、図10を参照して説明した方法と同様に、破断用駆動部170aを駆動させることにより突出部179aによってヒューズ130を押圧し、ヒューズ130を破断させる。そして、ヒューズ130が破断された後に、ヒューズ130とヒューズ電極部160との間に所定の電位差が与えられる。従って、破断されたヒューズ130の片持ち梁の自由端に対応する部位が、静電引力によりヒューズ電極部160に引き寄せられ、ヒューズ電極部160と溶着する。破断後のヒューズ130がヒューズ電極部160に溶着されることにより、破断後のヒューズが再接触しリークパスが形成されることや、破断後のヒューズが更に破壊されることが防止される。従って、電子デバイス10のより確実な駆動が保障される。
なお、本変形例においては、ヒューズ130を破断する際に、破断用駆動部170aを駆動させるとともに、ヒューズ130とヒューズ電極部160との間に所定の電位差が与えられてもよい。これにより、ヒューズ130に対して、突出部179aの押圧力による曲げ応力と静電引力による曲げ応力とがともに加えられることとなるため、ヒューズ130の破断がより容易になる。また、本変形例においては、破断後のヒューズ130をヒューズ電極部160に溶着させる際に、ヒューズ130とヒューズ電極部160との間に所定の電位差が与えられるとともに、破断用駆動部170を駆動させることにより突出部179aによって破断後のヒューズ130を押圧してもよい。これにより、破断後のヒューズ130に対して、静電引力と、突出部179による押圧力とがともに加えられることとなるため、破断後のヒューズ130のヒューズ電極部160への引き寄せ及び溶着が、より確実に行われることとなる。
以上、図10を参照して、第1の実施形態において、ヒューズ破断部が破断用駆動部を有する変形例について説明した。以上説明したように、本変形例においては、ヒューズ破断部が、例えば静電型MEMSである破断用駆動部170を有する。そして、当該破断用駆動部170を駆動することにより、ヒューズ130に突出部179を直接接触させ押圧することにより、ヒューズ130を破断させる。ヒューズ130の突出部179との接触部位に集中荷重を加えることが可能となるため、ヒューズ130の破断がより容易となる。また、突出部179の形成位置を変更することにより、ヒューズ130の破断位置を制御することができる。
また、図11を参照して、ヒューズ破断部が破断用駆動部を有する変形例と、破断後のヒューズが溶着される変形例とが組み合わせた変形例について説明した。本変形例では、破断後のヒューズ130がヒューズ電極部160に溶着されるため、ヒューズ130の再接触やヒューズ130の更なる破壊が防止され、電子デバイス10のより確実な駆動が保障される。また、本変形例では、ヒューズ130を破断する際及び/又はヒューズ130を溶着する際に、ヒューズ電極部160による静電引力と、破断用駆動部170aを駆動させることによる突出部179aによる押圧力とが、ヒューズ130に対してともに加えられてもよい。これにより、ヒューズ130の破断が更に容易なものとなり得る。また、破断後のヒューズ130とヒューズ電極部160とをより確実に溶着させることが可能となる。
(1−4−5.ヒューズがローレンツ力により破断される変形例)
図1−図3を参照して上述した実施形態では、ヒューズ破断部はヒューズ電極部160を有し、静電引力によってヒューズ130を破断していた。また、上記(1−4−4.ヒューズ破断部が破断用駆動部を有する変形例)では、ヒューズ130を破断する他の方法として、ヒューズ破断部が破断用駆動部170を有する変形例について説明した。しかし、第1の実施形態はかかる例に限定されず、ヒューズ130は他の構成によって外力を与えられることにより破断されてもよい。本変形例では、ヒューズ130間に所定の電流が印加された状態でヒューズ130に対して磁界が印加されることにより、ヒューズ130に生じるローレンツ力による曲げ応力によってヒューズ130が破断される。
図12−図15Bを参照して、第1の実施形態において、ヒューズがローレンツ力により破断される変形例について説明する。なお、本変形例は、図1−図3を参照して説明した実施形態に対して、ヒューズを破断する構成が異なるものに対応しており、その他の構成、例えば固定部材110、可動部材120及びヒューズ130の構成は上記実施形態と同様であってよい。従って、以下の本変形例についての説明では、上述した実施形態との相違点について主に説明することとし、重複する事項については詳細な説明を省略する。
図12は、ヒューズがローレンツ力により破断される変形例について説明するための説明図である。なお、図12並びに後述する図13、図14、図15A及び図15Bにおいては、簡単のため、図1に示す構成のうち、固定部材110の電極部112、可動部材120の電極部122及びヒューズ130に対応する構成を抜き出し、これらの構成を簡略化して図示している。
本変形例では、電子デバイス10の内部にヒューズ破断部が設けられなくてよい。本変形例では、ヒューズ130に対して電子デバイス10の外部から電流及び磁界を印加することによりヒューズ130にローレンツ力を発生させ、当該ローレンツ力による曲げ応力によりヒューズ130を破断させる。
図12を参照して、本変形例におけるヒューズ130の破断方法について詳しく説明する。図12に示すように、本変形例では、ヒューズ130を破断する際に、固定部材110の電極部112と可動部材120の電極部122との間に所定の値を有する電流が印加される。これにより、ヒューズ130の内部には、x軸方向に電流が流れることとなる。また、ヒューズ130に対してz軸方向に所定の大きさの磁界が印加される。当該磁界は、例えば、磁石180をヒューズ130のz軸方向に配置することにより印加され得る。なお、ヒューズ130に対して磁界を印加する構成はかかる例に限定されず、磁界を発生させ得る各種の公知の構成が用いられてよい。例えば磁石180の代わりにコイル(電磁石)等が用いられてもよい。
ヒューズ130に対して、x軸方向に電流iが印加され、z軸方向に磁界Hが印加されることにより、ヒューズ130にはy軸方向に働くローレンツ力Fが発生する。図12では、ヒューズ130における電流i、磁界H及びローレンツ力Fの方向を模式的に矢印で示している。ローレンツ力Fをヒューズ130に生じさせることにより、ヒューズ130にはy軸方向への曲げ応力が発生し、ヒューズ130をy軸方向に破断することができる。なお、印加する電流i及び磁界Hの大きさは、ヒューズ130を破断するに足るローレンツ力が発生するように、適宜調整され得る。
このように、本変形例では、ヒューズ130に対して電子デバイス10の外部から電流及び磁界を印加することにより、ローレンツ力を利用してヒューズ130を破断する。本変形例によれば、電子デバイス10内にヒューズ破断部(例えば上述したヒューズ電極部160や破断用駆動部170等)を形成する必要がないため、電子デバイス10をより小型化することが可能となる。
なお、第1の実施形態においては、ヒューズ130の表面に導電体による配線層が形成されてもよい。本変形例は、このような配線層が形成されたヒューズに対しても適用可能である。図13及び図14を参照して、配線層を有するヒューズにおいて、ヒューズがローレンツ力により破断される変形例について説明する。図13及び図14は、配線層を有するヒューズにおいて、ヒューズがローレンツ力により破断される変形例について説明するための説明図である。
図13を参照すると、ヒューズ130dは、基板190を加工して形成されるヒューズ基板131dの上面に、絶縁膜層132d及び導電性材料からなる配線層133dが順次積層された構成を有する。また、図14を参照すると、ヒューズ130eは、基板190を加工して形成されるヒューズ基板131eの側面(x−z平面と平行な面)に絶縁膜層132e及び導電性材料からなる配線層133eが順次積層された構成を有する。配線層133d及び配線層133eは、固定部材110の電極部112の配線層114及び可動部材120の電極部122の配線層124と電気的に接続されている。
ヒューズ130d、130eにおいても、図12に示すヒューズ130と同様に、x軸方向に電流iが印加され、z軸方向に磁界Hが印加されることにより、y軸方向に働くローレンツ力Fが発生する。当該ローレンツ力Fによる曲げ応力により、ヒューズ130d、130eが破断されることとなる。ただし、ヒューズ130d、130eでは、ローレンツ力Fは、ヒューズ基板131d、131e及び配線層133d、133eの双方に生じ得る。配線層133d、133eが設けられることにより、ヒューズ130d、130eがより低抵抗化し、電流iの大きさが増加し得るため、ローレンツ力Fの大きさをより増加させることができ、ヒューズ130d、130eの破断がより容易になる。なお、ヒューズ130d、130eの具体的な構成、例えば配線層の有無や配線層のレイアウト等は、図示した例に限定されず、他の構成部材との関係性等を考慮して適宜選択されてよい。
ここで、本変形例に対して、上記(1−4−2.破断後のヒューズが溶着される変形例)で説明した変形例を組み合わせることも可能である。図15A及び図15Bを参照して、このような、ヒューズがローレンツ力により破断される変形例と、破断後のヒューズが溶着される変形例とが組み合わせた変形例について説明する。図15A及び図15Bは、ヒューズがローレンツ力により破断される変形例と、破断後のヒューズが溶着される変形例とが組み合わせた変形例について説明するための説明図である。
図15A及び図15Bを参照すると、本変形例では、ヒューズ130に対してローレンツ力Fが作用する方向に、ヒューズ130と対向するようにヒューズ電極部160が設けられる。ヒューズ電極部160は、図1を参照して説明したものと同様の構成であってよい。図15A及び図15Bでは、ヒューズ電極部160の一部を簡略化して図示している。
図15Aは、本変形例において、ヒューズ130が破断される前の様子を図示している。図12を参照して説明した方法と同様に、ヒューズ130に対して、x軸方向に電流iを印加し、z軸方向に磁界Hを印加することにより、ヒューズ130にy軸方向に働くローレンツ力Fを発生させる。当該ローレンツ力Fによる曲げ応力によりヒューズ130がy軸方向に破断する。
図15Bは、本変形例において、ヒューズ130が破断された後の様子を図示している。本変形例では、ヒューズ130が破断された後に、ヒューズ130とヒューズ電極部160との間に所定の電位差が与えられる。従って、破断されたヒューズ130の片持ち梁の自由端に対応する部位が、静電引力によりヒューズ電極部160に引き寄せられ、ヒューズ電極部160と溶着する。破断後のヒューズ130がヒューズ電極部160に溶着されることにより、破断後のヒューズが再接触しリークパスが形成されることや、破断後のヒューズが更に破壊されることが防止される。従って、電子デバイス10のより確実な駆動が保障される。
なお、本変形例においては、ヒューズ130を破断する際に、ヒューズ130に対して電流i及び磁界Hを印加するとともに、ヒューズ130とヒューズ電極部160との間に所定の電位差が与えられてもよい。これにより、ヒューズ130に対して、静電引力による曲げ応力と、ローレンツ力Fによる曲げ応力とがともに加えられることとなるため、ヒューズ130の破断がより容易になる。また、本変形例においては、破断後のヒューズ130をヒューズ電極部160に溶着させる際に、ヒューズ130とヒューズ電極部160との間に所定の電位差が与えられるとともに、ヒューズ130に対して電流i及び磁界Hが印加されてもよい。これにより、破断後のヒューズ130に対して、静電引力と、ローレンツ力Fとがともに加えられることとなるため、破断後のヒューズ130のヒューズ電極部160への引き寄せ及び溶着が、より確実に行われることとなる。
以上、図12−図14を参照して、第1の実施形態において、ヒューズ130がローレンツ力により破断される変形例について説明した。以上説明したように、本変形例においては、ヒューズ130に対して、x軸方向に電流iを印加し、z軸方向に磁界Hを印加することにより、ヒューズ130にy軸方向に働くローレンツ力Fを発生させる。そして、当該ローレンツ力Fによる曲げ応力によりヒューズ130をy軸方向に破断させる。本変形例によれば、電子デバイス10の内部にヒューズを破断する機構(例えば上述したヒューズ電極部160や破断用駆動部170等)を形成する必要がないため、電子デバイス10をより小型化することができる。
また、図15A及び図15Bを参照して、ヒューズ130がローレンツ力により破断される変形例と、破断後のヒューズ130が溶着される変形例とが組み合わせた変形例について説明した。本変形例では、破断後のヒューズ130がヒューズ電極部160に溶着されるため、破断後のヒューズ130の再接触やヒューズ130の更なる破壊が防止され、電子デバイス10のより確実な駆動が保障される。また、本変形例では、ヒューズ130を破断する際及び/又はヒューズ130を溶着する際に、ヒューズ電極部160による静電引力と、ローレンツ力とが、ヒューズ130に対してともに加えられてもよい。これにより、ヒューズ130の破断が更に容易なものとなり得る。また、破断後のヒューズ130とヒューズ電極部160とをより確実に溶着させることが可能となる。
(1−4−6.ヒューズが振動により破断される変形例)
図1−図3を参照して上述した実施形態では、ヒューズ破断部はヒューズ電極部160を有し、ヒューズ130とヒューズ電極部160との間に所定の電位差を与えることにより、ヒューズ130に対して略一定の大きさの静電引力を加えることによりヒューズ130を破断していた。しかし、第1の実施形態はかかる例に限定されず、ヒューズ130に加えられる力を周期的に変化させ、ヒューズ130を振動させることによりヒューズ130を破断してもよい。
図16を参照して、第1の実施形態において、ヒューズが振動により破断される変形例について説明する。なお、本変形例は、図1−図3を参照して説明した実施形態に対して、ヒューズ130とヒューズ電極部160との間に与える電位差の値を周期的に変化させたものに対応しており、その他の構成、例えば固定部材110、可動部材120、ヒューズ130及びヒューズ電極部160の構成は上記実施形態と同様であってよい。従って、以下の本変形例についての説明では、上述した実施形態との相違点について主に説明することとし、重複する事項については詳細な説明を省略する。
図3を参照して説明したように、上述した実施形態では、例えば、固定部材110と可動部材120とに0(V)の電位を与え、ヒューズ電極部160に所定の電圧(例えば80(V))を印加することにより生じる電位差Vによって、ヒューズ130に対して、ヒューズ130をヒューズ電極部160に引き寄せる方向に働く静電引力を加えていた。一方、本変形例では、図1−図3に示す構成において、例えば、固定部材110と可動部材120とに0(V)の電位を与えた状態で、ヒューズ電極部160に与える電圧を所定の周期で変動させる。従って、ヒューズ130に対して加えられる静電力も周期的に変化することとなり、ヒューズ130を振動させることができる。ヒューズ130を振動させることにより、ヒューズ130に応力が繰り返し加えられることとなり、ヒューズ130の破断がより促進される。
ここで、ヒューズ電極部160に与えられる電圧の変動の周期は、ヒューズ130の固有振動数と略同一であることが好ましい。ヒューズ電極部160に与えられる電圧の変動の周期、すなわち、ヒューズ130に加えられる静電力の変動の周期が、ヒューズ130の固有振動数と略同一である場合、ヒューズ130が共振し、その振幅が増大される。その結果、ヒューズ130により大きな曲げ応力が発生することとなり、ヒューズ130の破断が更に容易になる。
ヒューズ130の固有振動数fは、例えば、ヒューズ130を両端支持梁とみなすと、下記数式(1)によって算出することができる。
Figure 2015123511
ここで、λは振動数係数と呼ばれる係数であり、例えば計算モデルとする梁の形状に応じて値が定まる係数である。また、Eは縦弾性係数、Iは断面二次モーメント、ρは比重、Aは断面積である。
例えば、ヒューズ130の幅Wを0.6(μm)とし、z軸方向の幅Dを50(μm)とした場合の、ヒューズ130の長さLと固有振動数fとの関係を、図16に図示する。図16は、ヒューズ130の長さLと固有振動数fとの関係を示すグラフ図である。図16においては、横軸にヒューズ130の長さLを取り、縦軸にヒューズ130の固有振動数fを取り、両者の関係性をプロットしている。
図16では、ヒューズ130の固有振動数の長さL依存性が図示されている。このように、上記数式(1)を用いることにより、ヒューズ130の固有振動数の形状依存性を求めることができる。ヒューズ130の形状からその固有振動数を算出し、当該固有振動数に対応する周期でヒューズ電極部160に与える電圧を変化させることにより、ヒューズ130を共振させることができる。例えば、ヒューズ130の長さLが200(μm)である場合には、図16から、その固有振動数は約130(kHz)であることが求まる。従って、約130(kHz)の周期でヒューズ電極部160に与える電圧を変化させることにより、ヒューズ130を共振させることが可能となる。
以上、図16を参照して、第1の実施形態において、ヒューズ130が振動により破断される変形例について説明した。以上説明したように、本変形例においては、ヒューズ電極部160に与える電圧を所定の周波数で変動させることにより、ヒューズ130に対して加えられる静電力を周期的に変化させる。従って、ヒューズ130に応力が繰り返し与えられることとなり、ヒューズ130の破断がより促進される。また、本変形例では、ヒューズ電極部160に与えられる電圧の変動の周期が、ヒューズ130の固有振動数と略同一であるように制御されてもよい。ヒューズ電極部160に与えられる電圧の変動の周期をヒューズ130の固有振動数と略同一にすることにより、ヒューズ130が共振されるため、ヒューズ130の破断がより容易になる。
(1−4−7.ヒューズの破断面と基板の劈開面とが平行である変形例)
図1−図3を参照して説明したように、第1の実施形態では、ヒューズ130は少なくとも基板190の一部を含んで形成される。本変形例では、ヒューズ130の破断面と基板190の劈開面とが平行となるようにヒューズ130を形成することにより、その破断をより容易にする。
図17、図18A及び図18Bを参照して、第1の実施形態において、ヒューズの破断面と基板の劈開面とが平行である変形例について説明する。なお、本変形例は、図1−図3を参照して説明した実施形態に対して、基板190に対するヒューズ130及びその他の構成部材が形成される方向が調整されたものに対応しており、各構成部材、例えば固定部材110、可動部材120、ヒューズ130及びヒューズ電極部160の具体的な構成は、上記実施形態と同様であってよい。従って、以下の本変形例についての説明では、上述した実施形態との相違点について主に説明することとし、重複する事項については詳細な説明を省略する。
図17は、図3におけるB−B断面で切断された電子デバイス10を示す斜視図である。例えば、図3に示す構成であれば、ヒューズ130に対してy軸方向に静電引力が印加されてヒューズ130が破断されるため、その破断面137は、図17に示すように、y−z平面と略平行な面になり得る。
一方、基板190は例えばSiウエハであり得る。図18A及び図18Bは、基板190の一例であるSiウエハを模式的に示す斜視図である。Siウエハは、例えばSiの単結晶によって構成されており、その劈開面は(100)面であることが知られている。また、一般的に、Siウエハでは、その面内における結晶方位が定められている。
例えば、図18Aに示すように、Siウエハ195において、ノッチ196を下にして縦方向(図中矢印で示す方向)に(100)面が存在する場合には、Siウエハ195の劈開方向は当該縦方向になる。図18Bは、劈開後のSiウエハ195の様子を示している。図18Bに示すように、Siウエハ195の劈開面197は(100)面となり得る。
本変形例では、電子デバイス10を作製する際に、ヒューズ130の破断面137が基板190(例えばSiウエハ195)における劈開面197と平行になるように、ヒューズ130及びその他の構成部材が配置される。すなわち、本変形例では、図1に示すy−z平面がSiウエハ195の劈開面である(100)面と平行になるように、電子デバイス10の各構成部材が配置される。この状態において、ヒューズ130を破断させるために例えば静電引力等によりヒューズ130に曲げ応力を生じさせると、当該曲げ応力によって生じた亀裂(クラック)が、y−z平面と平行に、すなわち、ヒューズ130を破断するための最短距離を取り得る方向に伸展することとなるため、より小さなエネルギーでヒューズ130を破断させることが可能となる。
以上、図17、図18A及び図18Bを参照して、第1の実施形態において、ヒューズの破断面と基板の劈開面とが平行である変形例について説明した。以上説明したように、本変形例においては、電子デバイス10を作製する際に、ヒューズ130の破断面137が基板190における劈開面197と平行になるように、ヒューズ130及びその他の構成部材が配置される。従って、ヒューズ130が破断される際に、亀裂が、ヒューズ130を破断するための最短距離を取り得る方向に伸展することとなるため、ヒューズ130の破断がより容易になる。
[1−5.第1の実施形態のまとめ]
以上説明したように、第1の実施形態では、電子デバイス10が、第1の部材である固定部材110と、第2の部材である可動部材120と、固定部材110と可動部材120とを電気的に接続するヒューズ130と、を備える。このように、ヒューズ130によって固定部材110と可動部材120とが電気的に接続され、固定部材110及び可動部材120が略同電位に保たれることにより、製造プロセス中における固定部材110と可動部材120とのスティッキングが抑制される。また、第1の実施形態では、ヒューズ130に対して、ヒューズ130の延伸方向と垂直な方向の外力を加える機構が設けられてもよく、当該外力によってヒューズ130が破断され得る。ヒューズ130が破断されることにより、固定部材110と可動部材120との間に所定の電位差を与えることができるようになり、例えばMEMSとしての電子デバイス10の本来の駆動が実現される。
また、第1の実施形態では、電子デバイス10は例えばバルクMEMSであってよく、固定部材110、可動部材120及びヒューズ130は、少なくとも基板材の一部を含んで形成される。そして、ヒューズ130は当該基板材を介して固定部材110と可動部材120とを電気的に接続する。ここで、上述したように、例えば特許文献2−5に記載の技術では、ヒューズは基板上に積層される導電膜層によって形成されるため、例えば当該導電膜層の直下の基板材料をエッチング等により除去する必要があった。しかしながら、上述したように、第1の実施形態では、ヒューズ130が基板190によって構成される。従って、例えば基板190をエッチングする等の工程を追加することなくヒューズ130を形成することができるため、より簡易な方法でヒューズ130を作製することが可能となる。よって、電子デバイス10の製造コストをより低減することができる。
また、特許文献2−5に記載の技術では、ヒューズが基板材を含む場合は想定されていないため、このような基板材を含むヒューズを破断するための方法が十分に検討されていない。例えば、これらの文献に記載されている、過電流による溶断や、振動体との接触による切断、レーザ照射やエッチングによる切断等の方法を、基板材を含むヒューズ130に対して適用したとしても、その破断は困難であると考えられる。一方、第1の実施形態では、ヒューズ130に対して、ヒューズ130の延伸方向と垂直な方向の外力を加える機構が設けられ、当該外力によってヒューズ130が破断され得る。従って、基板材を含むヒューズ130であっても、より確実に破断させることができ、電子デバイス10をより安定的に動作させることが可能となる。
なお、上述した第1の実施形態及び各変形例は、可能な範囲において互いに組み合わせて適用されてよい。第1の実施形態及び各変形例に示す構成が互いに組み合わせて適用されることにより、これらの実施形態及び各変形例において奏される効果を併せて得ることができる。
<2.第2の実施形態>
次に、本開示の第2の実施形態について説明する。
近年、MEMS等の電子デバイスにおいては、その小型化、駆動電圧の低電圧化に対する要求が著しい。当該要求に伴い、MEMSの各構成部材においては、その更なる微細化が求められている。しかしながら、MEMSの駆動部における固定部材と可動部材との間隔が狭くなるほど、製造プロセス中におけるこれらの部材間のスティッキングが発生しやすくなると考えられるため、製造不良が増加することが懸念される。
そこで、スティッキングを防止する技術として、例えば特許文献1に記載されているような、駆動部を構成する部材をそれぞれ別プロセスによって作製し、後段の工程でこれらの部材を接合する技術や、特許文献2−5に記載されているような、製造プロセス中に駆動部を構成する部材間をヒューズで接続することにより部材間の電位を略同電位に保ち、後段の工程で当該ヒューズを破断する技術が提案されている。
ここで、特許文献1に記載の技術は、駆動部を構成する部材を別々に作製するために、製造コストが増加する可能性がある。更に、特許文献1に記載の技術では、駆動部を構成する部材同士を接合する際に、高い合わせ精度が求められる。従って、より微細な構造を有するMEMSや、駆動方向がMEMSが形成される基板と平行な面内方向であるラテラル駆動型のMEMSに対して特許文献1に記載の技術を適用することは困難であると言える。
また、特許文献2−5に記載のヒューズは、例えば電流を印加することにより溶断する、振動体を接触させて切断する、エッチングにより切断する等の、ヒューズを破断する工程を、MEMSを作製する工程とは別途行う必要がある。このように、特許文献2−5に記載のヒューズをMEMSに適用する場合には、ヒューズを破断する工程を追加する必要があり、製造コストの増加につながる恐れがある。
上記事情に鑑みれば、部材間に設けられるヒューズについて、当該ヒューズの破断をより容易に行うことにより、製造コストの増加を抑制する技術が求められていた。そこで、本開示の第1の実施形態では、ヒューズの破断をより容易に行うことを可能とする技術を提供する。
以下、第2の実施形態について詳しく説明する。なお、以下では、第2の実施形態に係るヒューズを備える電子デバイスとして、バルクMEMSとして作製される静電駆動又は静電検出を行う静電型MEMSをスイッチング素子として用いた場合を例に挙げて、第2の実施形態についての説明を行う。ただし、第2の実施形態はかかる例に限定されず、第2の実施形態に係る電子デバイスは、容量可変キャパシタや可動ミラー等の静電引力によって駆動される、スイッチング素子以外の用途に用いられるMEMSであってもよい。また、例えば、第2の実施形態に係る電子デバイスは、バルクMEMSでなくてもよく、サーフェスマイクロマシニングを用いて基板の表面上に作製されるMEMS(以下、サーフェスMEMSとも呼称する。)であってもよい。更に、第2の実施形態に係る電子デバイスは、静電型MEMS以外の他のデバイスであってもよい。
[2−1.電子デバイスの構成]
まず、図19−図21を参照して、第2の実施形態に係る電子デバイスの一構成例について説明する。図19は、第2の実施形態に係る電子デバイスの一構成例を示す上面図である。図20は、図19に示す電子デバイスの、一対の固定電極及び可動電極を含む所定の領域を拡大した拡大図である。図21は、図19に示す電子デバイスの、ヒューズを含む所定の領域を拡大した拡大図である。
図19を参照すると、第2の実施形態に係る電子デバイス60は、固定部材610と、可動部材620と、ヒューズ630と、を備える。上述したように、電子デバイス60は、バルクMEMSとして作製される静電駆動又は静電検出を行う静電型MEMSであり、固定部材610、可動部材620及びヒューズ630は、基板に対して各種のエッチング処理を行い、基板の所定の領域にトレンチを形成することにより作製される。なお、説明のため、第2の実施形態について説明するための図19及び後述する各図面では、可動部620に対応する部材に対してハッチングを付して図示している。このように、第2の実施形態では、固定部材610、可動部材620及びヒューズ630は、少なくとも基板材の一部を含んで形成されてもよい。なお、第2の実施形態に係る電子デバイス60は、一般的な静電型MEMSに対して、その固定部材と可動部材との間に本実施形態に係るヒューズ630が設けられた構成を有してよく、当該静電型MEMSの構成としては、各種の公知の構成が適用されてよい。
当該基板としては、例えばSiウエハが用いられる。Siウエハに対して、半導体プロセスにおいてバルクMEMSを作製する際に一般的に用いられる各種の処理を順次施すことにより、電子デバイス60が作製され得る。なお、第2の実施形態はかかる例に限定されず、電子デバイス60が形成される基板は各種の半導体材料によって構成され得る。例えば、当該基板としては、上述したSi以外にも、SiC、GaP、InP等、一般的に半導体デバイスのウエハとして用いられ得る各種の材料が適用されてよい。更に、当該基板の材料は半導体材料に限定されず、MEMSが形成され得る各種の公知の材料が適用され得る。
例えば、電子デバイス60は、第1の実施形態に係る電子デバイス10と同様に、SOI基板上に形成されてよい。SOI基板における上層のSi層を加工することにより、固定部材610、可動部材620及びヒューズ630が形成され得る。その際、可動部材620及びヒューズ630の直下に対応する領域のボックス層は、例えばエッチング処理により除去される。可動部材620の直下に対応する領域のボックス層が除去されることにより、可動部材620が当該SOI基板と水平な面内において移動することが可能となる。また、後述するように、ヒューズ630は、電子デバイス60が駆動する際に破断されるため、その直下に対応する領域のボックス層は除去されることが望ましい。一方、固定部材610の直下に対応する領域のボックス層は除去されず残存する。従って、固定部材610は、ボックス層を介して下層のSi層と固定的に接続され得る。ただし、可動部材620の一部領域には、ボックス層が除去されず、下層のSi層と固定的に接続され得るアンカー部(図示せず。)が設けられてよい。可動部材620は、当該アンカー部によって基板に対して固定されつつ、その他の部位が弾性的に固定部材110に対して移動可能に構成される。
ここで、SOI基板のうち少なくとも上層のSi層は、例えば不純物が適宜ドープされることにより、その抵抗値が所定の値以下に調整され得る。このように、電子デバイス60では、上層のSi層に不純物が適宜ドープされることにより、固定部材610、可動部材620及びヒューズ630は、いわば導体として振る舞ってもよい。ただし、後述するように、ヒューズ630の一部領域には、抵抗値が他の領域よりも高い高抵抗部が形成される。
固定部材610は、電子デバイス60の駆動部を構成し、電子デバイス60が駆動する際に固定され得る部材である。以下では、固定部材610のことを第1の部材610とも呼称する。固定部材610の一部領域には、例えばy軸方向に延伸する複数の固定電極611が形成される。また、固定部材610の表面の一部領域には、固定部材610に対して所定の電圧を印加するための電極部612が形成される。電極部612は、例えば、基板上に絶縁膜、配線層を順に積層し、基板の表面と当該配線層との間にコンタクトが形成された構成を有する。当該コンタクトにより、配線層と基板の表面とが電気的に接続される。従って、電極部612の表面の配線層に所定の電圧を印加することにより、固定部材610を構成する基板材の電圧を制御することができる。
可動部材620は、電子デバイス60の駆動部を構成し、固定部材610に対して相対的に移動可能に構成される部材である。固定部材610と同様に、可動部材620も、少なくとも基板材の一部を含んで形成されてよい。以下では、可動部材620のことを第2の部材620とも呼称する。第2の実施形態では、可動部材620は、電子デバイス60が形成される基板と水平な面内における所定の方向(x軸方向)において、固定部材610に対して相対的に移動することができる。可動部材620の一部領域には、例えばy軸方向に延伸し、固定部材610の固定電極611と対向するように形成される複数の可動電極621が形成される。また、固定部材610と同様に、可動部材620の一部領域には、可動部材620に対して所定の電圧を印加するための電極部622が形成される。電極部622は、電極部612と同様に、例えば、基板上に絶縁膜、配線層を順に積層し、基板材の表面と当該配線層との間にコンタクトが形成された構成を有する。当該コンタクトにより、配線層と基板の表面とが電気的に接続される。従って、電極部622の表面の配線層に所定の電圧を印加することにより、可動部材620を構成する基板材の電圧を制御することができる。
図2には、電子デバイス60に設けられる複数の固定電極611及び可動電極621のうち、一対の固定電極611及び可動電極621を図示している。固定電極611と可動電極621との間に電位差を与えることにより、これらの電極間に静電引力を発生させ、可動電極621を固定電極611に対して移動させることができる。なお、以下の説明では、図20に示すように、固定電極611と可動電極621とのx軸方向の間隔を電極間距離x、固定電極611及び可動電極621の互いに対向する領域のy軸方向の幅を対向幅wとも呼称することとする。
ヒューズ630は、固定部材610と可動部材620とを電気的に接続する。図19に示す例では、ヒューズ630は、y軸方向に延伸し、y−z平面と平行な面を有する板状の形状を有する。
図21を参照して、第2の実施形態に係るヒューズ630の構成について詳細に説明する。図21を参照すると、第2の実施形態に係るヒューズ630は、その一部領域に、他の領域よりも高抵抗を有する部位である高抵抗部631が設けられる。高抵抗部631は、例えば、SOI基板の上層のSi層に不純物をドープするイオン注入工程において、フォトレジストやハードマスク等によって所定の領域をマスクすることにより、当該領域の不純物濃度を他の領域よりも低下させることにより形成され得る。また、高抵抗部631は、例えば熱拡散等の方法を用いて、所定の領域の不純物濃度が調整されることにより形成されてもよい。ここで、下記[2−3.ヒューズの詳細設計]で詳述するが、高抵抗部631の抵抗値は、固定部材610と可動部材620との間にスティッキングが生じない程度に両者を導通させるとともに、固定部材610と可動部材620との間に所定の電圧値が印加された際に可動部材620が固定部材610に対して移動する程度の電位差を生じさせるような値に調整され得る。
ここで、第2の実施形態では、高抵抗部631が形成される位置は図示される例に限定されず、高抵抗部631はヒューズ630の他の位置に設けられてもよい。第2の実施形態では、固定部材610と可動部材620とが、高抵抗部631を介して電気的に接続されていればよく、その形成位置は任意であってよい。
また、ヒューズ630は、その一部領域に、可動部材620の移動方向(x軸方向)における幅が他の領域よりも狭く形成される破断部632を更に有する。図21に示す例では、破断部632は、可動部材620と接続される領域に形成されている。下記[2−2.電子デバイスの動作及びヒューズの破断方法]で説明するように、第2の実施形態では、電子デバイス60を駆動させ可動部材620を移動させることによりヒューズ630を破断させる。破断部632は、電子デバイス60が駆動され、ヒューズ630に応力が加えられた際に応力が集中し、当該破断部632から破断が開始され得る応力集中部として機能する。なお、以下の説明では、破断部632の形状を規定するために、図21に示すように、破断部632の延伸方向(y軸方向)の長さを破断部長さl、破断部632の可動部材620の移動方向(x軸方向)の幅を破断部幅hとも呼称することとする。
ここで、第2の実施形態では、破断部632が形成される位置は図示される例に限定されず、破断部632はヒューズ630の他の位置に設けられてもよい。また、破断部632の形状も図示される例に限定されず、破断部632は他の形状を有してもよい。更に、第2の実施形態では、破断部632は、ヒューズ630に必ずしも設けられなくてもよい。上述したように、第2の実施形態では、電子デバイス60を駆動させることによりヒューズ630が破断されるため、ヒューズ630に破断部632を設けるかどうかや、破断部632の形成位置や形状等は、電子デバイス60が駆動された際にヒューズ630に対して加えられる応力を考慮して、ヒューズ630が確実に破断されるように、適宜設定されてよい。
[2−2.電子デバイスの動作及びヒューズの破断方法]
次に、図22を参照して、第2の実施形態に係る電子デバイス60の動作及びヒューズ630の破断方法について説明する。第2の実施形態では、電子デバイス60を駆動させ、可動部材620を固定部材610に対して移動させることによりヒューズ630を破断させる。図22は、図19に対応する上面図であって、電子デバイス60を駆動させてヒューズ630を破断させた様子を示す上面図である。
上述したように、電子デバイス60では、固定電極611と可動電極621との間に電位差を与えることにより、これらの電極間に静電引力を発生させ、可動電極621を固定電極611に対して移動させる。ここで、一般的な既存の静電型MEMSにおいては、静電型MEMSを駆動するために、固定部材と可動部材とが電気的に絶縁されており、両者の間に所定の電位差を与えることができるように構成されている。例えば、固定部材と可動部材とが、一般的なヒューズによって電気的に接続されている状態では、両者がほぼ抵抗のない状態で電気的に導通している状態になるため、両者の間に所定の電位差を与えることができず、静電型MEMSを駆動させることができない。
しかしながら、第2の実施形態に係るヒューズ630は、その一部領域に高抵抗部631が設けられる。従って、当該高抵抗部631における電圧降下によって、固定部材610と可動部材620との間に、電子デバイス60を駆動させるに足るだけの所定の電位差を生じさせることが可能となる。
図22に示すように、図19に示す状態から、固定部材610と可動部材620との間に所定の電位差Vを与えると、可動部材620がx軸の正方向(図中の下方向)に移動する。可動部材620の移動に伴いヒューズ630に応力が加えられ、当該応力によりヒューズ630が、例えば破断部632において破断することになる。電子デバイス60は、ヒューズ630が破断した後は、固定部材610と可動部材620とが電気的に絶縁されるため、一般的な静電MEMSと同様に動作することができる。
例えば、可動部材620の移動方向における端部には、可動端子626が設けられている。また、電子デバイス60の当該可動端子626と対向する位置には、固定部材610の一部として形成され得るスイッチ部640が形成されており、当該スイッチ部640の可動端子626との対向面には、例えば電子デバイス60の外部の他の機器と電気的に接続されるスイッチ端子641が設けられる。電子デバイス60を駆動させ、可動部材620がx軸の正方向に移動することにより、可動端子626とスイッチ端子641とが接触し、可動部材620とスイッチ部640とが電気的に導通された状態(すなわちスイッチがオンされた状態)になる。また、可動部材620がx軸の正方向に移動することにより、可動端子626とスイッチ端子641とが離隔し、可動部材620とスイッチ部640とが電気的に導通されていない状態(すなわちスイッチがオフされた状態)になる。このように、電子デバイス60は、スイッチング素子として機能することができる。
このように、第2の実施形態では、固定部材610と可動部材620とが、高抵抗部631を有するヒューズ630を介して電気的に接続される。また、当該高抵抗部631の抵抗値は、固定部材610と可動部材620との間にスティッキングが生じない程度に両者を導通させるとともに、固定部材610と可動部材620との間に所定の電圧値が印加された際に可動部材620が固定部材610に対して移動する程度の電位差を生じさせるような値に調整され得る。従って、製造プロセス中におけるスティッキングの発生を抑制しつつ、ヒューズ630が接続された状態で電子デバイス60を駆動させることができる。また、電子デバイス60を駆動させることにより、ヒューズ630が破断され得るように、ヒューズ630の形状が設計されている。従って、例えば出荷前の製品検査(例えば動作テスト等)において、通常の電子デバイス60の駆動動作を行うことによりヒューズ630を破断させることができるため、ヒューズ630を破断するための別途の工程を行う必要がない。
ここで、上述したように、特許文献2−5に記載の技術では、例えばヒューズを溶断する際に電流を印加するためのパッドや、ヒューズを切断するための振動体等、ヒューズを破断させるための構成を、電子デバイス内に別途設ける必要があった。また、特許文献2−5に記載の技術では、ヒューズを破断させるために、例えば大電流を印加可能な電源設備等、通常の電子デバイスの製造工程においては用いられない設備を別途用意する必要があった。一方、第2の実施形態に係る電子デバイス60は、上述したように、電子デバイス60を駆動させることによりヒューズ630を破断させるため、ヒューズを破断させるための構成を電子デバイス60内に別途設ける必要がない。よって、電子デバイス60を、より小さく製作することが可能となる。また、ヒューズ630は、固定部材610と可動部材620との間に内蔵される。従って、固定部材610及び可動部材620以外の領域にヒューズ630を設ける領域を確保する必要がないため、電子デバイス60を更に小型化することができる。更に、ヒューズ630を破断させるための設備として、例えば動作テストを行うための装置等、通常の電子デバイスの製造工程において用いられる設備を流用することができる。このように、第2の実施形態によれば、ヒューズ630の破断をより容易に行うことができ、電子デバイス60の製造コストをより低減することが可能となる。
なお、上記の説明では、電子デバイス60が、第1の部材である固定部材610と第2の部材である可動部材620とを備えるMEMSである場合について説明したが、第2の実施形態はかかる例に限定されない。第2の実施形態に係るヒューズ630は、所定の電位差が与えられることにより相対的に移動する互いに異なる部材間に設けられればよく、例えば、第1の部材及び第2の部材はともに可動部材であってもよい。第1の部材及び第2の部材がともに可動部材である場合であっても、上述した実施形態と同様にヒューズ630を形成することにより、より簡易な方法でヒューズ630を破断可能であるとともに、製造プロセス中における第1の部材と第2の部材とのスティッキングを防止することが可能である。
また、第2の実施形態では、電子デバイス60はMEMSでなくてもよい。第2の実施形態では、高抵抗部631を有するヒューズ630によって、例えば固定部材610である第1の部材と可動部材620である第2の部材とが、スティッキングが生じない程度に導通されるとともに、第1の部材と第2の部材との間に所定の電圧値が印加された際に第2の部材が第1の部材に対して移動する程度の電位差が生じるように接続されればよく、当該ヒューズ630はあらゆる種類のデバイスに適用可能である。第2の実施形態によれば、より容易にヒューズ630を破断することが可能となるため、当該ヒューズ630を各種のデバイスに適用することにより、当該デバイスの製造コストをより低減することができる。
[2−3.ヒューズの詳細設計]
次に、ヒューズ630の詳細な設計方法について説明する。上述したように、第2の実施形態では、電子デバイス60を駆動させ、可動部材620を固定部材610に対して移動させることによりヒューズ630を破断させる。従って、電子デバイス60を駆動させた際に加えられる応力によって破断可能なように、ヒューズ630の形状が設計され得る。また、これも上述したように、ヒューズ630の高抵抗部631の抵抗値は、固定部材610と可動部材620との間にスティッキングが生じない程度に両者を導通させるとともに、固定部材610と可動部材620との間に所定の電圧値が印加された際に可動部材620が固定部材610に対して移動する程度の電位差を生じさせるような値に設計され得る。
(2−3−1.ヒューズの形状の設計方法)
まず、図23及び図24を参照して、ヒューズ630の形状を設計する方法について説明する。図23は、図19に示す電子デバイス60の等価回路を示す概略図である。図24は、電子デバイス60を駆動する際に可動部材620に加えられる静電引力と、ヒューズ630内に生じる最大応力との関係を示すグラフ図である。
なお、以下では、具体的な数値を例に挙げて、ヒューズ630の形状を設計する方法について説明するが、以下に示す各数値は、あくまで、ヒューズ630の形状を設定する際に用いられる数値の一例である。各数値を電子デバイス60の構成に応じた値に適宜置き換え、同様の計算を行うことにより、他の条件のときであってもヒューズ630の形状を設計することができる。
例えば、固定電極611及び可動電極621の電極間距離xが1.3(μm)であり、対向幅wが100(μm)であるとする。また、例えば、固定電極611及び可動電極621のz軸方向の幅(これは、例えば、電子デバイス60が形成される基板の上層のSi層の深さに対応している。)が50(μm)であったとする。この時、例えば、電子デバイス60内に固定電極611及び可動電極621が400個形成されているとすれば、電子デバイス60における固定電極611及び可動電極621の面積の合計値である電極面積Sは2×10−6(m)になる。
また、電子デバイス60を駆動させた際に、可動部材620が元の位置(すなわち、固定部材610と可動部材620との間に電位差が与えられていない状態における可動部材620の位置)に戻ろうとする復帰ばねのばね定数kを900(N/m)と仮定する。この場合、電子デバイス60の動作電圧、すなわちpull−in電圧Vpull−inは約5.8(V)である。ここで、pull−in電圧とは、静電型MEMS(静電型アクチュエータ)において、固定電極と可動電極との間の電位差が当該pull−in電圧を超えた場合に可動電極が固定電極に引き込まれ互いに接触することとなる、しきい値となる電圧である。pull−in電圧の詳細や、その算出方法については、例えば、Gabriel M. Rebeiz著、“RF MEMS Theory, Design, and Technology”, p.36−38の記載を参照することができる。更に、電子デバイス60に与えられる駆動電圧(定格電圧)を12(V)と仮定する。
ここで、図23を参照して、電子デバイス60の等価回路について検討する。図23では、図19に示す電子デバイス60の上面図に対して、電子デバイス60の等価回路を重ねて図示している。図23に示すように、電子デバイス60の等価回路は、対向する複数の固定電極611及び可動電極621を合成したものに対応する容量Cと、ヒューズ630の高抵抗部631に対応する抵抗Rが並列に配置される構成を有する。図23に示すように、ヒューズ630には、可動部材620を挟んで高抵抗部631が2箇所形成されるため、2つの抵抗Rも更に並列に配置されることとなる。また、当該等価回路においては、固定部材610内における抵抗成分を抵抗R、可動部材620内における抵抗成分を抵抗Rとすると、これらが直列に配置される。また、固定部材610と可動部材620との間の電位差をVとしている。
例えば、抵抗Rが100(kΩ)であり、抵抗R、Rがともに500(Ω)であるとする。等価回路においては、2つの抵抗Rが並列に配置されるため、ヒューズ130における合成抵抗は50(kΩ)になる。また、上述した固定電極611及び可動電極621の形状から、容量Cは13.6(pF)と算出される。
ここで、以上説明した条件を有する電子デバイス60を駆動させた際に、可動部材620に加えられる静電引力について考える。当該静電引力は、下記数式(2)によって算出される。
Figure 2015123511
ここで、Sは上述した電極面積、xは電極間距離、Vは固定部材610と可動部材620との間の電位差、εは真空の誘電率(≒8.85×10−12)である。電子デバイス60に対して外部から定格電圧である12(V)が与えられた場合、抵抗R、Rによる電圧降下を考慮すると、Vは約11.76(V)となる。上述した各数値を上記数式(2)に代入し、可動部材620に加えられる静電引力Fの値を算出すると、F=0.75(mN)と求めることができる。
従って、ヒューズ630は、可動部材620との接続部分に、0.75(mN)の力がx軸方向に加えられることによって破断するように、その形状が設計されればよい。例えば、ヒューズ630の形状は、FEM等を用いたシミュレーションにより、ヒューズ630の応力分布を解析することにより設計されてよい。具体的には、例えば、ヒューズ630を模した計算モデル(例えば両端支持梁)に対して、その一端に当該はりの延伸方向と垂直な方向に0.75(mN)の力を与え、その応力分布をシミュレーションにより算出する。当該応力の最大値(最大応力)が、ヒューズ630が破断され得る応力(以下、破断応力とも呼称する。)よりも大きければ、ヒューズ630を破断することができる。従って、計算モデルの形状を変更しながら、当該シミュレーションを繰り返し行うことにより、最大応力が破断応力よりも大きくなるようなヒューズ630の形状を設計することが可能となる。
第2の実施形態で取り得るヒューズ630の形状の一例について説明する。例えば、図21に示すヒューズ630において、破断部632の破断部長さlが4(μm)であり、破断部幅hが0.2(μm)であるとする。また、破断部632のz軸方向の幅(これは、例えば、電子デバイス60が形成される基板の上層のSi層の深さに対応している。)が50(μm)であるとする。ヒューズ630の2つの破断部632は、固定部材610と可動部材620との間を機械的に接続する、上記形状を有する2つの梁とみなすことができる。可動部材620がx軸の正方向に移動することにより、破断部632の可動部材620との接続部位に、x軸の正方向に上記で算出した静電引力Fが加えられることとなる。
上記形状を有する破断部632に対して静電引力を加えた場合に破断部632に生じる最大応力を、シミュレーションによって算出した結果を図24に示す。図24では、横軸に静電引力を取り、縦軸に破断部632に生じる最大応力を取り、両者の関係性をプロットしている。
ここで、別途実行されたシミュレーションの結果から、ヒューズ630の破断応力は約1(GPa)であることが分かっている。図24から、破断部632に対して当該破断応力を与えるためには、可動部材620に約0.44(mN)の静電引力を加えればいいことが分かる。
ただし、可動部材620がx軸方向に移動した際には、復帰ばねによる復元力が発生する。シミュレーションの結果から、破断部632に1(GPa)の応力が発生する際の可動部材620のx軸方向への変位量は約0.2(μm)であった。従って、上述した復帰ばねのばね定数k=900(N/m)を用いて、当該復元力は約0.18(mN)と算出される。当該復元力も考慮すれば、ヒューズ630を破断部632において破断するために必要な静電引力は、0.44(mN)と0.18(mN)との和である、約0.62(mN)と求められる。
ここで、上述したように、上記数式(2)から算出された電子デバイス60において生じ得る静電引力は約0.75(mN)であった。この値は、ヒューズ630を破断部632において破断するために必要な静電引力である0.62(mN)よりも大きい。このように、第2の実施形態では、ヒューズ630の破断部632を上述したような形状で形成することにより、当該ヒューズ630を破断することが可能であることが分かる。
以上、ヒューズ630の形状、特に破断部632の形状の具体的な設計方法について説明した。なお、上述した電子デバイス60の各構成部材の形状や特性は、あくまで第2の実施形態における一例である。電子デバイス60の各構成部材が上記の例とは異なる場合であっても、上述した方法と同様の計算を行うことにより、ヒューズ630の形状の破断部632の形状を適宜設計することができる。
(2−3−2.ヒューズの高抵抗部の抵抗値の設計方法)
次に、図25を参照して、ヒューズ630の高抵抗部631の抵抗値を設計する方法について説明する。図25は、製造プロセス中の帯電を考慮した電子デバイス60の等価回路を示す概略図である。
以下では、具体的な数値を挙げて、ヒューズ630の高抵抗部631の抵抗値を設計する方法について説明するが、以下に示す各数値は、あくまで、高抵抗部631の抵抗値を設定する際に用いられる数値の一例である。各数値を電子デバイス60の構成やその製造プロセスに応じた値に適宜置き換え、同様の計算を行うことにより、他の条件のときであっても高抵抗部631の抵抗値を設計することができる。
スティッキングの原因となり得る固定部材610及び可動部材620への帯電は、例えばDRIE(Deep Reactive Ion Etching)等のプラズマを用いるプロセスにおいて起こり得る。プラズマを用いたプロセスにおいては、帯電の原因となる電荷の供給が、プロセス中におけるイオン電流密度によってなされる。このようなイオン電流密度による電荷の供給は、等価回路においては、定電流源として表現することができる。
図25を参照すると、製造プロセス中の帯電を考慮した電子デバイス60の等価回路は、図23に示す等価回路に対して定電流源Iinが追加されたものに対応している。また、図25では、簡単のため、2つの高抵抗部631の抵抗値を、1つの抵抗値Rで代表的に図示している。ここで、定電流源Iinの大きさは、プロセス中のイオン電流密度jと固定電極611の表面積Sinを用いて、下記数式(3)で表現される。
Figure 2015123511
ここで、製造プロセス中に固定電極611と可動電極621との間にスティッキングが生じない条件について考える。製造プロセス中におけるスティッキングを防止するためには、帯電により生じる固定電極611と可動電極621との間の電位差Vが、スティッキングが生じない範囲内に収まればよい。つまり、電位差Vが電子デバイス60のpull−in電圧Vpull−inよりも小さければよく、すなわち、下記数式(4)を満たせば、スティッキングの発生を防止することができる。
Figure 2015123511
ここで、図25から、固定電極611と可動電極621との間の容量Cに対応する電位差Vは、下記数式(5)で表現される。
Figure 2015123511
上記数式(4)、(5)から、製造プロセス中におけるスティッキングを抑制するためには、ヒューズ130の高抵抗部631の抵抗値Rは、下記数式(6)を満たせばよいことが分かる。
Figure 2015123511
抵抗値Rの設計方法の一例として、上記(2−3−1.ヒューズの形状の設計方法)で説明した形状を有する電子デバイス60について、抵抗値Rを具体的に計算する。上述したように、電子デバイス60のpull−in電圧Vpull−inは、例えば5.8(V)である。また、例えば、製造プロセス中におけるイオン飽和電流密度jが2(mA/cm)であり、固定電極611の表面積Sinが0.5(mm)であったとすると、上記数式(3)から、定電流源Iinは、Iin=2(mA/cm)×0.005(cm)=10(μA)となる。
これらの数値を上記数式(6)に代入すると、抵抗値Rは、R<5.8(V)/(10×10−6(A))=580(kΩ)を満たせばよいことが分かる。換言すれば、抵抗値Rが580(kΩ)を超えた場合、可動電極621が固定電極611に対してpull−inし、スティッキングが発生することになる。
一方、本実施形態では、電子デバイス60を駆動させ、可動電極621を固定電極611に対して移動させることによりヒューズ630を破断させるため、ヒューズ630の破断を考慮すると、抵抗値Rは、上記数式(6)を満たしつつできるだけ大きな値を取ることが望ましい。例えば、上記(2−3−1.ヒューズの形状の設計方法)で説明したように、ヒューズ630を破断するためには、0.62(mN)以上の静電引力を可動部材620に加える必要がある。また、これも上述したように、0.62(mN)以上の静電引力を発生させるためには、固定電極611と可動電極621との間の電位差Vが、11.76(V)以上である必要がある。定格電圧12(V)に対して電位差Vを11.76(V)以上にするためには、高抵抗部631の抵抗Rは12.4(kΩ)以上である必要がある。
以上の結果から、上記(2−3−1.ヒューズの形状の設計方法)で説明した形状を有する電子デバイス60において、製造プロセス中におけるスティキングを抑制するとともに、電子デバイス60を駆動する際にヒューズ630を破断するためには、ヒューズ630の高抵抗部631の抵抗値Rは、12.4〜580(kΩ)の範囲に含まれればよいことが分かる。実際には、製造プロセス中におけるイオン電流密度jの変動や、寸法誤差に伴うpull−in電圧のばらつき、破断応力の誤差等を考慮して、上記の範囲から高抵抗部631の抵抗値Rの値が適宜選択され得る。
以上、ヒューズ630の高抵抗部631の抵抗値の具体的な設計方法について説明した。なお、上述した電子デバイス60の各構成部材の形状や特性、及び製造プロセスの条件等は、あくまで第2の実施形態における一例である。電子デバイス60の各構成部材や製造プロセス条件等が上記の例とは異なる場合であっても、上述した方法と同様の計算を行うことにより、ヒューズ630の高抵抗部631の抵抗値を適宜設計することができる。
[2−4.変形例]
次に、上述した第2に実施形態におけるいくつかの変形例について説明する。第2の実施形態は、以下のような構成を有してもよい。
(2−4−1.ヒューズの高抵抗部についての変形例)
図19−図21を参照して上述した実施形態では、ヒューズ630において、高抵抗部631及び破断部632が、互いに異なる領域に形成されていた。しかし、第2の実施形態では、高抵抗部631は、固定部材610と可動部材620との間のいずれかの部位に設けられればよく、その形成位置は上述した例に限定されない。また、上述した実施形態では、高抵抗部631は、例えばイオン注入工程や熱拡散工程等のプロセスにより、不純物濃度を調整することにより形成されていた。しかし、第2の実施形態はかかる例に限定されず、他の方法により高抵抗部631が形成されてもよい。
ここでは、ヒューズ630の高抵抗部631についての一変形例として、このような、ヒューズ630の高抵抗部631が他の領域に設けられる変形例や、ヒューズ630の高抵抗部631が他の方法により形成される変形例について説明する。なお、本変形例は、図19−図21を参照して説明した実施形態に対して、ヒューズ630の構成が変更されたものに対応しており、その他の構成、例えば固定部材610及び可動部材620の構成は、上記実施形態と同様であってよい。従って、以下の本変形例についての説明では、上述した実施形態との相違点について主に説明することとし、重複する事項については詳細な説明を省略する。
まず、図26を参照して、ヒューズの高抵抗部が他の領域に設けられる変形例について説明する。図26は、高抵抗部が他の領域に設けられる変形例に係るヒューズの一構成例を示す上面図である。なお、図26は、上述した図21に対応する図であり、本変形例に係る電子デバイスの構成のうち、ヒューズ及びその周辺を含む所定の領域を拡大した図に対応している。
図26を参照すると、本変形例に係るヒューズ630aは、固定部材610と可動部材620との間に設けられ、両者を電気的に接続する。ヒューズ630aは、高抵抗部631a及び破断部632aを有する。ここで、ヒューズ630aは、例えば図19及び図22に示すヒューズ630に対応するものであり、ヒューズ630aの形状は、当該ヒューズ630と同様であってよい。また、破断部632aは、ヒューズ630の破断部632に対応しており、破断部632と同様の形状を有してよい。
本変形に係るヒューズ630aは、高抵抗部631aが形成される領域がヒューズ630と異なる。具体的には、ヒューズ630aでは、高抵抗部631aが破断部632aと重畳する領域に設けられている。このような構成を有するヒューズ630aにおいても、上記[2−3.ヒューズの詳細設計]で説明した方法により、破断部632aの形状や高抵抗部631aの抵抗値を適宜設計することにより、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
次に、図27を参照して、ヒューズの高抵抗部が他の方法により形成される変形例について説明する。図27は、ヒューズの高抵抗部が他の方法により形成される変形例に係る電子デバイスの一構成例を示す上面図である。なお、図27は、上述した図19に対応する図であり、本変形例に係る電子デバイスの上面図を示している。
図27を参照すると、本変形例に係る電子デバイス60bは、固定部材610と、可動部材620と、固定部材610及び可動部材620を電気的に接続するヒューズ630bを備える。ここで、固定部材610及び可動部材620の構成は、図19に示すこれらの部材の構成と同様であり得るため、その詳細な説明を省略する。
本変形例に係るヒューズ630bは、不純物濃度が調整されることによりその抵抗値が変更される高抵抗部を有するのではなく、ヒューズ630bの形状によって、所定の抵抗値を実現する。具体的には、図27に示すように、ヒューズ630bは、x−y平面内で蛇行する軌跡を描きながら延伸され、固定部材610と可動部材620との間に延設される。当該構成により、ヒューズ630bの長さをより長くすることができるため、不純物濃度を調整することなく、ヒューズ630bにおける抵抗値を大きくすることができる。当該変形例によれば、例えばイオン注入工程において高抵抗部を作製する際に用いられるマスク等の作製を省くことができるため、製造コストを低減することが可能となる。
このような構成を有するヒューズ630bにおいても、上記[2−3.ヒューズの詳細設計]で説明した方法により、ヒューズ630bの形状やヒューズ630bに求められる抵抗値を適宜設計することにより、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、ヒューズ630bの長さは、基板材の抵抗値やヒューズ630bの断面形状等に応じて、ヒューズ630bに求められる抵抗値を実現するように適宜設計されてよい。
以上、図26及び図27を参照して、ヒューズの高抵抗部の形成位置や形成方法についての変形例について説明した。以上説明したように、本変形例によれば、高抵抗部631aが、固定部材610と可動部材620との間のいずれかの部位に設けられればよく、その形成位置は限定されないため、ヒューズ630aを設計する際の自由度が向上する。また、本変形例によれば、高抵抗部を形成する際に、イオン注入工程や熱拡散工程等のプロセスを用いて不純物濃度を調整することなく、ヒューズ630bの形状を変更することによりヒューズ630bが所定の抵抗値を有することが実現されるため、製造コストを低減することが可能となる。
(2−4−2.ヒューズの形状についての変形例)
図19−図21を参照して上述した実施形態では、ヒューズ630は、y軸方向(すなわち、可動部材620の移動方向であるx軸方向とは垂直な方向)に延伸され、その一部領域に、x軸方向の幅が他の領域より狭く形成される破断部632が形成された構成を有していた。当該破断部632は、可動部材620が移動する際に応力が集中する応力集中部として機能し得るものであった。しかし、第2の実施形態では、ヒューズ630は、固定部材610と可動部材620との間を電気的に接続するとともに、電子デバイス60が駆動する際に破断するように設けられればよく、その形状は上述した例に限定されない。ヒューズ630は他の形状を有してもよい。
ここでは、第2の実施形態の一変形例として、このような、ヒューズが他の形状を有する変形例について説明する。なお、本変形例は、図19−図21を参照して説明した実施形態に対して、ヒューズ630の構成が変更されたものに対応しており、その他の構成、例えば固定部材610及び可動部材620の構成は、上記実施形態と同様であってよい。従って、以下の本変形例についての説明では、上述した実施形態との相違点について主に説明することとし、重複する事項については詳細な説明を省略する。
図28を参照して、ヒューズに切り欠き部が設けられる変形例について説明する。図28は、切り欠き部が設けられる変形例に係るヒューズの一構成例を示す上面図である。なお、図28は、上述した図21に対応する図であり、本変形例に係る電子デバイスの構成のうち、ヒューズ及びその周辺を含む所定の領域を拡大した図に対応している。
図28を参照すると、本変形例に係るヒューズ630cは、固定部材610と可動部材620との間に設けられ、両者を電気的に接続する。ヒューズ630cは、高抵抗部631c及び破断部632cを有する。ここで、ヒューズ630cは、例えば図19及び図22に示すヒューズ630に対応するものであり、ヒューズ630cの形状は、当該ヒューズ630と同様であってよい。また、高抵抗部631c及び破断部632cは、ヒューズ630の高抵抗部631及び破断部632に対応しており、それぞれ、高抵抗部631及び破断部632と同様の構成を有してよい。
本変形に係るヒューズ630cでは、破断部632cの一部領域に切り欠き部633cが設けられる。切り欠き部633cは、可動部材620の移動方向であるx軸方向に向かって設けられてよい。当該切り欠き部633cは、可動部材620が移動してヒューズ630cに応力が加えられた際に応力集中部として機能し得るため、切り欠き部633cが設けられることにより、ヒューズ630cの破断応力をより小さくすることができる。従って、より小さな静電引力でヒューズ630cを破断することが可能となる。なお、切り欠き部633cの形状を適宜調整することにより、破断応力の大きさを調整することが可能である。例えば、切り欠き部633cのx軸方向の深さが大きいほど、ヒューズ630cの破断応力はより小さくなる。切り欠き部633cの形状は、製造プロセス中に加えられ得る応力によってヒューズ630cが破断されず、電子デバイス60を駆動する際にヒューズ630cが破断され得るような破断応力が実現されるように、適宜調整されてよい。
ここで、上記第2の実施形態では、y軸方向に延伸するヒューズ630に対して、可動部材620を移動させることによってx軸方向の力を加えることにより、当該ヒューズ630を破断していたが、第2の実施形態はかかる例に限定されない。例えば、ヒューズ630は、可動部材620の移動方向であるx軸方向に延伸するように設けられてもよい。
図29及び図30を参照して、ヒューズが可動部材620の移動方向と平行な方向に延伸するように設けられる変形例について説明する。図29は、ヒューズが可動部材620の移動方向と平行な方向に延伸するように設けられる変形例に係るヒューズの一構成例を示す上面図である。また、図30は、ヒューズが可動部材620の移動方向と平行な方向に延伸するように設けられる変形例に係るヒューズの他の構成例を示す上面図である。なお、図29及び図30は、本変形例に係る電子デバイスの構成のうち、ヒューズ及びその周辺を含む所定の領域を拡大した図に対応している。
図29を参照すると、本変形例に係るヒューズ630dは、固定部材610と可動部材620との間に設けられ、両者を電気的に接続する。ただし、ヒューズ630dは、固定部材610と可動部材620との間にx軸方向に延伸して設けられる。可動部材620がx軸の正方向(図中の下方向)に移動すると、ヒューズ630dに対してx軸方向への引っ張り応力が加えられ、ヒューズ630dが破断することとなる。このように、ヒューズ630dをx軸方向に延伸するように設けることにより、より小さい面積でヒューズ630を形成することができ、電子デバイスの更なる小型化が実現され得る。
また、図29に示すように、ヒューズ630dの一部領域には、そのy軸方向の幅が他の領域よりも狭く形成される部位が設けられ得る。可動部材620がx軸の正方向に移動する際に、当該部位に応力が集中することとなるため、ヒューズ630dの破断がより容易になる。
なお、図29には明示されないが、本変形例に係るヒューズ630dの一部領域には、他の領域よりも高い抵抗値を有する高抵抗部が適宜形成され得る。当該高抵抗部は、上記実施形態に係るヒューズ630の高抵抗部631と同様の機能を有するように、その形成位置及び抵抗値が適宜設定されてよい。
また、図30に示すように、x軸方向に延伸して設けられるヒューズ630eは、x−y平面内において環状の構造を有するように形成されてもよい。図30に示す例では、ヒューズ630eは、固定部材610と可動部材620との間に、x−y平面内においてひし形の形状を有するように形成され、両者を電気的に接続している。可動部材620がx軸の正方向(図中の下方向)に移動すると、ヒューズ630eに対してx軸方向への引っ張り応力が加えられ、ヒューズ630eが破断することとなる。ここで、本変形例では、ヒューズ630eがひし形の形状を有し、y軸方向に突出する部位を有するため、当該部位には曲げ応力が加えられることとなり、例えば図29に示すヒューズ630dに比べて、より小さな応力でヒューズ630eを破断することができる。なお、本変形例では、ヒューズ630eは、x−y平面内において環状の構造を有するように形成されればよく、その形状は図30に示すひし形形状に限定されない。例えば、ヒューズ630eは、x−y平面内において略円形の形状を有するように形成されてもよい。
なお、図30には明示されないが、本変形例に係るヒューズ630eの一部領域には、他の領域よりも高い抵抗値を有する高抵抗部が適宜形成され得る。当該高抵抗部は、上記実施形態に係るヒューズ630の高抵抗部631と同様の機能を有するように、その形成位置及び抵抗値が適宜設定されてよい。
以上、図28を参照して、ヒューズに切り欠き部が設けられる変形例について説明した。本変形例によれば、ヒューズ630cに切り欠き部633cが設けられることにより、ヒューズ630cの破断応力をより小さくすることができるため、より小さい駆動力でヒューズ630cを破断することが可能となる。また、図29及び図30を参照して、ヒューズが可動部材620の移動方向と平行な方向に延伸するように設けられる変形例について説明した。本変形例によれば、ヒューズ630が可動部材620の移動方向と垂直な方向に延伸するように設けられる場合に比べて、より小さい面積でヒューズ630d、630eを形成することができるため、電子デバイスの更なる小型化が実現され得る。
(2−4−3.破断後のヒューズの再接触防止機構が設けられる変形例)
図19−図21を参照して上述した実施形態において、ヒューズ630を破断すると、破断後のヒューズ630は、固定部材610又は可動部材620との接続部位においてそれぞれ支持された、一対の片持ち梁のような形状を有することとなる。電子デバイス60の固定部材610と可動部材620との間の電位差がゼロになると(すなわち、スイッチがオフされると)、可動部材620は復帰ばねの復元力により元の位置に戻るため、ヒューズ630の破断面同士が再接触してしまう恐れがある。ヒューズ630の破断面同士が再接触すると、再度固定部材610と可動部材620との間に電位差が与えられる際に(すなわち、スイッチがオンされる際に)、わずかながら両者の間に電流が流れるため、消費電力の増大やスイッチング速度の低下等が生じることが懸念される。
そこで、本変形例では、破断後のヒューズ630が再び接触しないような、再接触防止機構が設けられる。当該再接触防止機構は、例えば、破断後のヒューズ630の位置を、破断前のヒューズ630の位置とは異なる位置に固定するような機構として実現され得る。第2の実施形態の一変形例として、このような、破断後のヒューズの再接触防止機構が設けられる変形例について説明する。なお、本変形例は、図19−図21を参照して説明した実施形態に対して、ヒューズ630の構成が変更されたものに対応しており、その他の構成、例えば固定部材610及び可動部材620の構成は、上記実施形態と同様であってよい。従って、以下の本変形例についての説明では、上述した実施形態との相違点について主に説明することとし、重複する事項については詳細な説明を省略する。
まず、図31A−図31Cを参照して、破断後のヒューズの再接触防止機構が設けられる変形例に係るヒューズの一構成例について説明する。図31A−図31Cは、破断後のヒューズの再接触防止機構が設けられる変形例に係るヒューズの一構成例を示す上面図である。なお、図31A−図31Cは、本変形例に係る電子デバイスの構成のうち、ヒューズ及びその周辺を含む所定の領域を拡大した図に対応している。
図31Aは、ヒューズが破断される前における固定部材610、可動部材620及び本変形例に係るヒューズ630fの様子を図示している。図31Aを参照すると、本変形例に係るヒューズ630fは、固定部材610と可動部材620との間に設けられ、両者を電気的に接続する。ヒューズ630fの一部領域には、高抵抗部631fが設けられる。ここで、ヒューズ630fは、例えば図19及び図22に示すヒューズ630に対応するものであり、ヒューズ630fの電気的な特性、すなわち、スティッキングが生じない程度に固定部材610と可動部材620とを電気的に接続するとともに、破断可能な応力が発生する程度に可動部材620を移動させる抵抗値を有する点は、当該ヒューズ630と同様であってよい。また、高抵抗部631fは、ヒューズ630の高抵抗部631に対応しており、同様の電気特性を有してよい。
本変形例に係るヒューズ630fは、ヒューズ630fが破断される際(すなわち、可動部材620が移動することにより応力が加えられ変形した際)に固定部材610と当接する第1の当接面を有し、当該第1の当接面には第1の咬み合わせ突起635fが形成される。また、固定部材610の、ヒューズ630fが破断される際に上記第1の当接面と当接する第2の当接面には、第1の咬み合わせ突起635fと嵌合する第2の咬み合わせ突起部636fが形成される。ヒューズ630fに応力が加えられ、ヒューズ630fが変形すると、第1の咬み合わせ突起635fと第2の咬み合わせ突起636fとが嵌合し、ヒューズ630fの一部領域が固定部材610に対して固定されることとなる。この状態で、ヒューズ630fが破断し、可動部材620が元の位置に戻ったとしても、破断後のヒューズ630fの一部領域が、第1の咬み合わせ突起635f及び第2の咬み合わせ突起636fを介して固定部材610に対して固定され、破断後のヒューズ630fの位置が、破断前のヒューズ630fの位置とは異なる位置に固定されるため、破断後のヒューズ630fの再接触が防止される。
図31A−図31Cを参照して、ヒューズ630fの構成についてより詳細に説明する。図31Aに示す例では、ヒューズ630fは、x−y平面内において略Z字型の形状を有するように延伸される。Z字型形状の一端が可動部材620と接続され、他端が固定部材610と接続される。また、ヒューズ630fの可動部材620との接続部位の近傍には、切り欠き部633fが形成される。当該切り欠き部633fは、上記(2−4−2.ヒューズの形状についての変形例)で図28を参照して説明した切り欠き部633cと同様の機能及び構成を有するものであってよい。また、ヒューズ630fの切り欠き部633fと対向する部位には、突起部634fが形成される。突起部634fは、可動部材620がx軸の正方向に移動する際に、切り欠き部633fの近傍を押圧し、ヒューズ630fに対して曲げ応力を与える機能を有する。
また、Z字型形状のy軸方向(図中の横方向)に延伸する部位の固定部材610と対向する端面(上述した第1の面に対応)には、第1の咬み合わせ突起635fが形成される。また、固定部材610のヒューズ630fの当該端面と対向する面(上述した第2の面に対応)には、第1の咬み合わせ突起635fと嵌合し得る第2の咬み合わせ突起636fが形成される。図31Aに示すように、第1の咬み合わせ突起635f及び第2の咬み合わせ突起636fは、x−y平面内において複数の凹凸形状が形成されたのこぎり状の形状を有する。例えば、第1の咬み合わせ突起635f及び第2の咬み合わせ突起636fは、フォトリソグラフィー及びドライエッチング等の処理を用いることにより形成され得る。
図31Bは、本変形例に係る電子デバイスが駆動され、可動部材620がx軸の正方向に移動した様子を図示している。上述したように、可動部材620がx軸の正方向に移動することにより、突起部634fが切り欠き部633fの近傍を押圧することとなり、ヒューズ630fに対して曲げ応力が与えられる。切り欠き部633fは、ヒューズ630fにおいて応力集中部として機能し得るため、例えば当該切り欠き部633fからx軸方向に亀裂が伸展し、ヒューズ630fが破断され得る。また、図31Bに示すように、可動部材620がx軸の正方向に移動することにより、ヒューズ630fの第1の面と固定部材610の第2の面とが互いに接触し、第1の咬み合わせ突起635fと第2の咬み合わせ突起636fとが嵌合する。これにより、ヒューズ630fの一部領域(第1の面)が、第1の咬み合わせ突起635f及び第2の咬み合わせ突起636fを介して、固定部材610に対して固定されることとなる。
図31Cは、ヒューズ630fが破断された後、可動部材620が元の位置(すなわち、固定部材610と可動部材620との間の電位差がゼロである状態における可動部材620の位置)に戻った様子を図示している。上述したように、ヒューズ630fの一部領域が、第1の咬み合わせ突起635f及び第2の咬み合わせ突起636fを介して、固定部材610に対して固定されるため、破断後のヒューズ630fは、図31Aに示す破断前の位置とは異なる位置に固定されることとなる。図31Cに示す例では、破断後のヒューズ630fがx軸の負方向(図中の上方向)に跳ね上げられたような位置で固定されている。従って、可動部材620が元の位置に戻った際に、ヒューズ630fの破断面同士が再接触することが回避される。
次に、図32A及び図32Bを参照して、破断後のヒューズの再接触防止機構が設けられる変形例に係るヒューズの他の構成例について説明する。図32A及び図32Bは、破断後のヒューズの再接触防止機構が設けられる変形例に係るヒューズの他の構成例を示す上面図である。なお、図32A及び図32Bは、本変形例に係る電子デバイスの構成のうち、ヒューズ及びその周辺を含む所定の領域を拡大した図に対応している。
図32Aは、ヒューズが破断される前における固定部材610、可動部材620及び本変形例に係るヒューズ630gの様子を図示している。図32Aを参照すると、本変形例に係るヒューズ630gは、固定部材610と可動部材620との間に設けられ、両者を電気的に接続する。ヒューズ630gの一部領域には、高抵抗部631gが設けられる。ここで、ヒューズ630gは、例えば図19及び図22に示すヒューズ630に対応するものであり、ヒューズ630gの電気的な特性、すなわち、スティッキングが生じない程度に固定部材610と可動部材620とを電気的に接続するとともに、破断可能な応力が発生する程度に可動部材620を移動させる抵抗値を有する点は、当該ヒューズ630と同様であってよい。また、高抵抗部631gは、ヒューズ630の高抵抗部631に対応しており、同様の電気特性を有してよい。
本変形例に係るヒューズ630gは、基板材の上に金属膜が形成された構成を有し、当該金属膜内の残留応力によって破断後のヒューズ630gの形状を変形させることにより、破断後のヒューズ630gの再接触を防止する。
図32A及び図32Bを参照して、ヒューズ630gの構成についてより詳細に説明する。図32Aに示す例では、ヒューズ630gは、y軸方向に延伸する梁形状を有するように設けられる。ヒューズ630gの可動部材620との接続部位の近傍には、切り欠き部633gが形成される。当該切り欠き部633gは、上記(2−4−2.ヒューズの形状についての変形例)で図28を参照して説明した切り欠き部633cと同様の機能及び構成を有するものであってよい。本変形例に係る電子デバイスが駆動され、ヒューズ630gに応力が加えられた際には、切り欠き部633gが応力集中部として機能し、当該切り欠き部633gからx軸方向に亀裂が伸展し、ヒューズ630gが破断され得る。
また、ヒューズ630gの当該梁形状のy−z平面と平行な面の一面には、当該梁の延伸方向(y軸方向)と垂直な方向であるx軸方向に突出する複数のフィン634gが、y軸方向に配列して設けられる。更に、複数のフィン634gの上に金属膜635gが架設される。このように、本変形例に係るヒューズ630gでは、ヒューズ630gの延伸方向に配列される複数のフィン634gを橋渡しするように、金属膜635gが形成される。なお、当該フィン634g及び金属膜635gは、例えば固定電極611及び可動電極621を形成するための基板材の深堀りエッチングを行う前に、該当箇所に金属膜635gを形成しておき、当該深堀りエッチングを行った後に、金属膜635gの直下の基板材に対して等方性エッチング処理を行うことにより、形成され得る。
図32Bは、本変形例に係る電子デバイスが駆動されてヒューズ630gが破断された後、可動部材620が元の位置(すなわち、固定部材610と可動部材620との間の電位差がゼロである状態における可動部材620の位置)に戻った様子を図示している。破断後のヒューズ630gは、固定部材610との接続部位において支持された片持ち梁とみなすことができる。ここで、一般的に、半導体プロセスにおいて金属膜を形成した際には、その面内において残留応力を有することが知られている。従って、破断後のヒューズ630gは、金属膜635gにおける残留応力により、例えば図32Bに示すようにx軸の負方向(図中の上方向)に引っ張られ、反ることとなる。このように、金属膜635g内の残留応力により、破断後のヒューズ630fは、図32Aに示す破断前の位置とは異なる位置に固定されることとなる。従って、可動部材620が元の位置に戻った際に、ヒューズ630gの破断面同士が再接触することが回避される。
次に、図33を参照して、破断後のヒューズの再接触防止機構が設けられる変形例に係るヒューズの更に他の構成例について説明する。図33は、破断後のヒューズの再接触防止機構が設けられる変形例に係るヒューズの更に他の構成について説明するための説明図である。なお、図33は、本変形例に係る電子デバイスの構成のうち、ヒューズ及びその周辺を含む所定の領域の基板の深さ方向(すなわちz軸方向)の断面図に対応している。具体的には、図33は、本変形例に係るヒューズが延伸する方向と垂直な断面(x−z平面)における、ヒューズ及びその両側に位置する基板材の断面の様子を示している。
本変形例に係るヒューズ630hは、例えばy軸方向に延伸し、固定定部材(図示せず。)と可動部材(図示せず。)との間に設けられ、両者を電気的に接続する。図33に示すように、本変形例に係るヒューズ630hは、その延伸方向と垂直な面内(図中のx−z平面内)において、両側に位置する他の部材との間隔が、互いに異なるように形成される。図33に示す例では、ヒューズ630hとヒューズ630hのx軸の正方向に位置する部材631hとの間隔632hが、ヒューズ630hとヒューズ630hのx軸の負方向に位置する部材633hとの間隔634hよりも大きく形成されている。なお、部材631h及び部材633hは、固定部材及び/又は可動部材の一部であり得る。つまり、間隔632h及び間隔634hは、固定部材、可動部材及びヒューズ630hを形成するために基板材を深堀りエッチングした際に形成される溝であり得る。
ここで、一般的に、半導体プロセスにおいては、基板材に対して深堀りエッチングを行い、溝やビアを形成した際に、当該溝やビアの内壁面に深さ方向に波状の荒れた形状(スキャロップ形状)が生じることが知られている。当該スキャロップ形状は、溝であれば、当該溝の幅が狭いほど波状の形状の間隔が狭く、当該溝の幅が広いほど波状の形状の間隔が広くなる性質を有する。従って、本変形例においては、図33に示すように、より広く形成される間隔632hにおけるスキャロップ形状の波状の形状の間隔が、より狭く形成される間隔634hにおけるスキャロップ形状の波状の形状の間隔よりも狭くなり得る。
また、深堀りエッチングによって溝を形成した場合には、その内壁面の面内方向において、当該壁面の形状に応じた残留応力が生じ得る。例えば、内壁面にスキャロップ形状が形成されている場合であれば、当該スキャロップ形状の波状の形状の間隔が異なると、その内壁面に生じる残留応力の値も異なると考えられる。従って、図33に示す例であれば、ヒューズ630hにおいては、x軸の正方向に面する壁面と、x軸の負方向に面する壁面とで、互いに異なる大きさの残留応力が生じ得る。従って、ヒューズ630hは、破断された後に、当該残留応力の違いに応じて、x軸の正方向又は負方向に反ることとなる。このように、ヒューズ630fの側壁における残留応力により、破断後のヒューズ630fは、破断前の位置とは異なる位置に固定されることとなる。従って、上記図31A−図31C並びに図32A及び図32Bを参照して説明したヒューズ630f、630gと同様に、ヒューズ630hの破断後に可動部材が元の位置に戻った際に、ヒューズ630hの破断面同士が再接触することが回避される。
以上、図31A−図31C、図32A及び図32B並びに図33を参照して、破断後のヒューズの再接触防止機構が設けられる変形例について説明した。以上説明したように、本変形例では、第1の咬み合わせ突起635f及び第2の咬み合わせ突起636fや、製造プロセス中に各構成部材に生じ得る残留応力を利用して、破断後のヒューズ630f、630g、630hが破断前の形成位置とは異なる位置に固定されるようにする。従って、ヒューズ630f、630g、630hが破断された後に可動部材620が元の位置に戻った際に、ヒューズ630f、630g、630hの破断面同士が再接触することが回避される。よって、破断したヒューズ630f、630g、630hの再接触によって生じ得る、電子デバイスにおける消費電力の増大や、スイッチング速度の低下等の発生を抑制することができ、電子デバイスの更なる性能向上が実現される。
(2−4−4.ヒューズの形成位置が異なる変形例)
図19−図21を参照して上述した実施形態では、ヒューズ630は、固定部材610において固定電極611が突設される幹となる部材と、可動部材620において可動電極621が突設される幹となる部材との間に設けられていた。しかし、第2の実施形態では、ヒューズ630は、固定部材610と可動部材620との間を電気的に接続するとともに、電子デバイス60が駆動する際に破断するように設けられればよく、その形成位置は上述した例に限定されない。
第2の実施形態の一変形例として、ヒューズの形成位置が異なる変形例について説明する。なお、本変形例は、図19−図21を参照して説明した実施形態に対して、ヒューズ630の形成位置が変更されたものに対応しており、その他の構成、例えば固定部材610及び可動部材620の構成は、上記実施形態と同様であってよい。従って、以下の本変形例についての説明では、上述した実施形態との相違点について主に説明することとし、重複する事項については詳細な説明を省略する。
図34を参照して、ヒューズの形成位置が異なる変形例に係る電子デバイスの一構成例について説明する。図34は、ヒューズの形成位置が異なる変形例に係る電子デバイスの一構成例を示す上面図である。なお、図34は、上述した図19に対応する図であり、本変形例に係る電子デバイスの上面図を示している。
図34を参照すると、本変形例に係る電子デバイス60iは、固定部材610と、可動部材620と、固定部材610及び可動部材620を電気的に接続するヒューズ630iと、を備える。ここで、固定部材610及び可動部材620の構成は、図19に示すこれらの部材の構成と同様であり得るため、その詳細な説明を省略する。
本変形例に係るヒューズ630iは、ヒューズ630iの一部領域に設けられ他の領域よりも高い抵抗値を有する高抵抗部631iと、破断方向の幅が他の領域よりも狭く形成される破断部632iと、を有する。ここで、ヒューズ630iは、例えば図19及び図22に示すヒューズ630に対応するものであり、ヒューズ630iの電気的な特性、すなわち、スティッキングが生じない程度に固定部材610と可動部材620とを電気的に接続するとともに、破断可能な応力が発生する程度に可動部材620を移動させる抵抗値を有する点は、当該ヒューズ630と同様であってよい。また、高抵抗部631i及び破断部632iは、ヒューズ630の高抵抗部631及び破断部632に対応するものであり、それぞれ、高抵抗部631及び破断部632と同様の機能を有してよい。
本変形例に係るヒューズ630iは、図19に示すヒューズ630とは異なり、例えば、固定部材610の外枠部分と可動部材620の外枠部分との間に、x軸方向及びy軸方向に延伸するL字型形状を有するように形成される。ヒューズ630iがこのような位置に設けられる場合であっても、上記[2−3.ヒューズの詳細設計]で説明した方法と同様の方法により、ヒューズ630iの形状やヒューズ630iに求められる抵抗値を適宜設計し、高抵抗部631i及び破断部632iを形成することにより、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、図35を参照して、ヒューズの形成位置が異なる変形例に係る電子デバイスの他の構成例について説明する。図35は、ヒューズの形成位置が異なる変形例に係る電子デバイスの他の構成例を示す上面図である。なお、図35は、上述した図19に対応する図であり、本変形例に係る電子デバイスの上面図を示している。
図35を参照すると、本変形例に係る電子デバイス60jは、固定部材610と、可動部材620と、固定部材610及び可動部材620を電気的に接続するヒューズ630jと、を備える。ここで、固定部材610及び可動部材620の構成は、図19に示すこれらの部材の構成と同様であり得るため、その詳細な説明を省略する。
ヒューズ630jは、例えば図19及び図22に示すヒューズ630に対応するものであり、ヒューズ630jの電気的な特性、すなわち、スティッキングが生じない程度に固定部材610と可動部材620とを電気的に接続するとともに、破断可能な応力が発生する程度に可動部材620を移動させる抵抗値を有する点は、当該ヒューズ630と同様であってよい。また、図35には明確には図示しないが、ヒューズ630jは、ヒューズ630と同様に、ヒューズ630jの一部領域に設けられ他の領域よりも高い抵抗値を有する高抵抗部631jと、破断方向の幅が他の領域よりも狭く形成される破断部と、を有してもよい。当該高抵抗部631j及び当該破断部は、ヒューズ630の高抵抗部631及び破断部632に対応するものであり、それぞれ、高抵抗部631及び破断部632と同様の機能を有してよい。
本変形例に係るヒューズ630jは、図19に示すヒューズ630とは異なり、例えば、固定部材610のいずれかの固定電極611の先端部と可動部材620との間に、y軸方向に延伸するように形成される。ヒューズ630jがこのような位置に設けられる場合であっても、上記[2−3.ヒューズの詳細設計]で説明した方法と同様の方法により、ヒューズ630jの形状やヒューズ630jに求められる抵抗値を適宜設計し、高抵抗部631j及び破断部を形成することにより、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上、図34及び図35を参照して、ヒューズの形成位置が異なる変形例について説明した。以上説明したように、本変形例によれば、ヒューズ630i、630jは、固定部材610と可動部材620との間を電気的に接続するとともに、電子デバイス60が駆動する際に破断するように設けられればよく、その形成位置は限定されない。従って、ヒューズ630i、630jを設計する際の自由度が向上する。
ここで、上記(2−4−2.ヒューズの形状についての変形例)や、本項においては、ヒューズ630の形状や形成位置が変更される変形例について説明した。ヒューズ630の形状や形成位置は、ヒューズ630の移動量等を考慮して設計されることが望ましい。例えば、第2の実施形態においては、ヒューズ630の変位(すなわち、破断部632の変位)は、所定のばね定数を有るばねが変形している状態であると捉えることができる。当該ばね定数が相対的に大きいと、ヒューズ630の変位量は小さくなるが、破断に必要な静電引力は大きくなる。一方、当該ばね定数が相対的に小さいと、破断に必要な静電引力は小さくなるが、ヒューズ630の変位量が大きくなる。ヒューズ630の形状及び破断部632の形状は、固定部材610よ可動部材620との間に与えられる電位差と、固定電極611と可動電極621との電極間距離(すなわち、電子デバイス60が駆動する際に最大移動量)に合わせて設計する必要がある。
また、第2の実施形態では、ヒューズ630及び破断部632の形状及び形成位置は、静電引力が作用する方向、すなわち、可動部材620の移動方向に対して左右対称であることが望ましい。ここで、左右対称とは、図19におけるy軸方向(左右方向)における対称性を意味する。破断後のヒューズ630の形状が左右非対称になると、電子デバイス60が駆動され可動部材620が変位した際に、可動部材620の変位量が左右で非対称になる可能性があり、ヒューズ630の破断面同士又は固定電極611と可動電極621とが接触してしまう恐れがある。ヒューズ630の破断面同士又は固定電極611と可動電極621とが接触してしまうと、固定部材610と可動部材620との間に電流のリークが生じ、両者の間に所定の電位差を発生させることができず、電子デバイス60の動作不良を引き起こす可能性がある。従って、破断後のヒューズ630の形状が左右対称となるように、ヒューズ630及び破断部632の形状及び形成位置は、左右対称に設計されることが望ましい。
(2−4−5.電子デバイスがサーフェスMEMSである変形例)
図19−図21を参照して上述した実施形態では、第2の実施形態に係る電子デバイス60は、基板材に対して深堀りエッチング等の加工を施すことによって作製されるバルクMEMSであった。しかし、第2の実施形態はかかる例に限定されず、第2の実施形態に係る電子デバイスは、基板上に積層された金属膜層等を加工することによって作製されるサーフェスMEMSであってもよい。
第2の実施形態の一変形例として、電子デバイスがサーフェスMEMSである変形例について説明する。図36−図38を参照して、電子デバイスがサーフェスMEMSである変形例に係る電子デバイスの一構成例について説明する。図36は、電子デバイスがサーフェスMEMSである変形例に係る電子デバイスの一構成例を示す上面図である。また、図37は、図36に示す電子デバイスのC−C断面における断面図である。また、図38は、図36に示す電子デバイスのD−D断面における断面図である。
図36−図38を参照すると、本変形例に係る電子デバイス80は、例えばSi等の半導体材料からなる基板上に形成されるサーフェスMEMSである。電子デバイス80は、基板上にポリシリコンや金属等の導電性材料からなる配線層を積層し、当該配線層を加工することにより作製される。図36−図38では、簡単のため、基板上の構成のみを図示し、基板の図示を省略している。
なお、以下の説明では、電子デバイス80が形成される基板の深さ方向をZ軸方向とも呼称する。また、当該基板において電子デバイス80が形成される面の方向を上方向又はZ軸の正方向とも呼称し、その逆方向を下方向又はZ軸の負方向とも呼称する。更に、当該基板の表面と水平な面内において互いに直交する2方向をX軸方向及びY軸方向とも呼称する。
図36−図38を参照すると、電子デバイス80は、基板の直上に形成される1層目の配線層(第1配線層)によって構成される固定部材810と、第1配線層の上層に形成される2層目の配線層(第2配線層)によって構成される可動部材820と、を備える。固定部材810及び可動部材820は、ともに導電性材料によって形成され得るため、それぞれ、固定電極及び可動電極とみなすことができる。可動部材820は、固定部材810に対して移動可能に形成されており、可動部材820が移動し固定部材810との接触及び非接触が行われることにより、電子デバイス80がスイッチング素子として機能する。
具体的には、可動部材820は、固定部材810の上に、X−Y平面内において一方向(図36−図38に示す例ではX軸方向)に延伸する梁状の形状を有し、固定部材810と所定のエアギャップを介して対向するように形成される。可動部材820の一端(固定端)は、例えばZ軸方向に柱状に形成されるコンタクト840を介して固定部材810に固定される。ただし、当該コンタクト840においては、例えば絶縁膜層(図示せず。)等を介して、固定部材810と可動部材820とが電気的に絶縁された状態で接続されている。一方、可動部材820の他端(自由端)には、固定部材810と対向する面の一部領域に、固定部材810に向かって突出する突出部821が設けられる。
電子デバイス80を駆動させる際には、固定部材810と可動部材820との間に所定に電位差を与える。当該電位差により、可動部材820の自由端が下方向にたわむように移動し、突出部821が固定部材810の表面と接触する。これにより、固定部材810と可動部材820とが電気的に導通された状態、すなわちスイッチがオンされた状態になる。また、固定部材810と可動部材820との間の電位差を例えばゼロにすることにより、可動部材820が元の位置に戻り、固定部材810と可動部材820とが電気的に絶縁された状態、すなわちスイッチがオフされた状態になる。このように、電子デバイス80は、いわゆるカンチレバー型の機構を有するスイッチング素子であってよい。なお、本変形例に係る電子デバイス80は、一般的なカンチレバー型の機構を有するサーフェスMEMSに対して、その固定部材と可動部材との間に本実施形態に係るヒューズ830が設けられた構成を有してよく、当該サーフェスMEMSの構成としては、各種の公知の構成が適用されてよい。
電子デバイス80は、固定部材810と可動部材820とを電気的に接続するヒューズ830を更に備える。ヒューズ830は、例えば図19及び図22に示すヒューズ630に対応するものであり、スティッキングが生じない程度に固定部材810と可動部材820とを電気的に接続するとともに、電子デバイス80が駆動される際にヒューズ830が破断可能な応力が発生するように可動部材820を移動させる程度の抵抗値を有するように形成されている。本変形例では、製造プロセス中に、ヒューズ830によって固定部材810と可動部材820とが電気的に接続されることにより、当該製造プロセス中の固定部材810と可動部材820とのスティッキングが防止される。ヒューズ830は、電子デバイス80の駆動に伴い破断され、その後は固定部材810と可動部材820とが電気的に絶縁された状態で電子デバイス80を駆動することができる。
図36−図38に示す構成は、製造プロセス中における電子デバイス80を示しており、ヒューズ830が破断される前の状態を示している。図36−図38を参照すると、ヒューズ830は、高抵抗部831及び破断部832を有する。図36−図38に示すように、可動部材820の延伸方向(X軸方向)における一部領域から、当該延伸方向と垂直な方向(Y軸方向)に延伸するように破断部832が設けられる。また、可動部材820は、破断部832を介して、第2配線層によって形成される第2接続部834と接続されている。破断部832はそのX軸方向の幅が、可動部材820や第2接続部834よりも狭く形成されており、可動部材820の自由端の下方向へのたわみによって与えられる応力によって破断されるように設計されている。
第2接続部834は、第1配線層によって形成される第1接続部836の直上に形成されており、第1接続部836及び第2接続部834は、コンタクト835によって電気的に導通するように接続されている。第1接続部836は、固定部材810と電気的に接続し得るように形成されており、例えば固定部材810と同一の島内に形成される。また、固定部材810と第1接続部836との間には、他の領域よりも電気的に高い抵抗値を有する高抵抗部831が形成される。このように、図36−図38に示す例では、ヒューズ830は、高抵抗部831、第1接続部836、コンタクト835、第2接続部834及び破断部832を有し、固定部材810と可動部材820とは、これらの構成を介して電気的に接続されることとなる。
このように、本変形例では、固定部材810と可動部材820とが、高抵抗部831を介して電気的に接続される。ここで、高抵抗部831は、例えば上記[2−3.ヒューズの詳細設計]で説明した方法と同様の方法により、製造プロセス中に固定部材810と可動部材820との間にスティッキングが生じないとともに、電子デバイス80を駆動させて可動部材820を移動させた際に破断部832に対して当該破断部832を破断可能なだけの応力を加えられるように、その値が設計される。また、破断部832は、同様に、例えば上記[2−3.ヒューズの詳細設計]で説明した方法と同様の方法により、高抵抗部831による電圧降下によって電子デバイス80が駆動した際に加えられる応力によって破断され得る破断応力を有するように、その形状が設計される。従って、本変形例においても、高抵抗部831の抵抗値及び破断部832の形状を適宜設計することにより、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上、図36−図38を参照して、電子デバイスがサーフェスMEMSである変形例に係る電子デバイスの一構成例について説明した。以上説明したように、本変形例によれば、電子デバイスがサーフェスMEMSである場合であっても、固定部材810と可動部材820との間が、高抵抗部831を有するヒューズ830によって電気的に接続されることにより、製造プロセス中のスティッキングが抑制されるとともに、電子デバイス80を駆動させることにより当該ヒューズ830が破断されることが実現される。従って、ヒューズ830を破断するための別途の工程を行う必要がないため、製造コストが低減される。
なお、図36−図38に図示した構成は、あくまで本変形例に係る電子デバイス80が取り得る構成の一例である。本変形例に係る電子デバイス80の構成は図示した例に限定されず、他のサーフェスMEMSとしての構成を有してもよい。電子デバイス80が他の構成を有する場合であっても、その固定部材810と可動部材820との間に、適切な抵抗値及び形状を有するヒューズ830が設けられることにより、同様の効果を得ることができる。
[2−5.適用例]
(2−5−1.電子機器のスイッチング素子への適用)
第2の実施形態に係る電子デバイス60は、例えば各種の電子機器におけるスイッチング素子として好適に適用可能である。図39及び図40を参照して、第2の実施形態に係る電子デバイス60がスイッチング素子として適用された電子機器の一構成例について説明する。図39は、第2の実施形態に係る電子デバイス60がスイッチング素子として適用された電子機器の一構成例を示す概略図である。図40は、図39に示すスイッチング素子の一構成例を示す概略図である。
なお、ここでは、第2の実施形態に係る電子デバイス60が適用される電子機器の一例として、外部の他の機器との間で例えば電波を介して各種の信号を送受信する通信機器の構成について説明する。ただし、第2の実施形態に係る電子デバイス60が適用される電子機器は通信機器に限定されず、一般的にスイッチング素子が設けられ得る電子機器であれば、他の電子機器であってもよい。また通信機器の構成も、図39に例示する構成に限定されず、第2の実施形態に係る電子デバイス60は、スイッチング素子を有する各種の公知の通信機器に対して適用されてよい。
図39を参照すると、通信機器70は、スイッチング素子(SW)710、アンテナ(ANT)721、ローノイズアンプ(LNA:Low Noise Amplifier)722、バンドパスフィルタ(BPF:Band Pass Filter)723、725、727、混合器(MIX:Mixer)724、726、パワーアンプ(PA:Power Amplifier)728、発振器(OSC:Oscillator)及びベースバンドIC(Base Band IC(Integrated Circuit))730を備える。
通信機器70は、ANT721を介して外部の他の機器から送信された信号を受信してベースバンドIC730に入力するとともに、ベースバンドIC730によって所定の処理が施された信号をANT721を介して通信機器70の外部に向かって出力する。具体的には、通信機器70では、ANT721によって受信された信号が、LNA722及びBPF723により増幅及び帯域のフィルタリングが適宜行われた後、MIX724によってOSC729で発生される基準周波数を有する基準信号と混合され、後段のBPF725を介してベースバンドIC730に入力される。また、通信機器70では、ベースバンドIC730によって所定の処理が施された信号が、MIX726によってOSC729で発生される基準信号と混合され、BPF727及びPA728により帯域のフィルタリング及び増幅が適宜行われた後、ANT721から通信機器70の外部に向かって出力される。
スイッチング素子710は、ANT721に接続され、ANT721が信号を受信する場合と、ANT721が信号を送信する場合とで、通信機器70内の信号の経路を切り換える機能を有する。例えば、ANT721が信号を受信する場合には、スイッチング素子710は、ANT721とLNA722とを回路的に接続し、ANT721が受信した当該信号をLNA722に受け渡す。また、例えば、ANT721が信号を送信する場合には、スイッチング素子710は、ANT721とPA728とを回路的に接続し、PA728から提供される信号をANT721に受け渡す。
図40を参照して、スイッチング素子710の構成についてより詳細に説明する。図40を参照すると、スイッチング素子710は、第2の実施形態に係る電子デバイス60が2つ組み合わされた構成を有する。当該電子デバイス60の構成については、図19を参照して既に説明しているため、詳細な説明は省略する。スイッチング素子710においては、一方の電子デバイス60をオンにし、他方の電子デバイス60をオフにすることにより、ANT721とLNA722との接続又はANT721とPA728との接続を切り換えることができる。なお、スイッチング素子710の切り換え、すなわち電子デバイス60の駆動は、通信装置内に設けられる制御回路(図示せず。)によって制御されてよい。当該制御回路は、例えば図4A及び図4Bに示す制御回路20と同様の機能を有してもよい。
以上、図39及び図40を参照して、第2の実施形態に係る電子デバイス60がスイッチング素子として適用された電子機器の一構成例について説明した。以上説明したように、MEMSである電子デバイス60をスイッチング素子710として適用することにより、一般的な半導体デバイスによって構成されるスイッチング素子に比べて、高いアイソレーション特性と高い耐圧特性が実現される。よって、通信機器70の動作の信頼性をより向上させることができる。また、上述したように、第2の実施形態に係る電子デバイス60では、固定部材610と可動部材620との間が、高抵抗部631を有するヒューズ630によって電気的に接続されることにより、製造プロセス中のスティッキングが抑制されるとともに、電子デバイス60を駆動させることにより当該ヒューズ630が破断されることが実現される。従って、ヒューズ630を破断するための別途の工程を行う必要がないため、通信機器70の製造コストが低減される。
また、上記では、本適用例の一例として、図19に例示する第2の実施形態に係る電子デバイス60が電子機器に適用された場合について説明したが、本適用例はかかる例に限定されない。上述した第2の実施形態における各変形例に係る電子デバイスであっても、同様に、電子機器のスイッチング素子として適用可能である。また、上述した第1の実施形態に係る電子デバイス10及び第1の実施形態における各変形例に係る電子デバイスであっても、同様に、電子機器のスイッチング素子として適用可能である。
[2−6.第2の実施形態のまとめ]
以上説明したように、第2の実施形態では、電子デバイス60が、第1の部材である固定部材610と、第2の部材である可動部材620と、固定部材610と可動部材620とを電気的に接続するヒューズ630と、を備える。また、ヒューズ630の一部領域には、他の領域よりも高い抵抗値を有する高抵抗部631が形成される。当該高抵抗部631の抵抗値は、固定部材610と可動部材620との間にスティッキングが生じない程度に両者を導通させるとともに、固定部材610と可動部材620との間に所定の電圧値が印加された際に可動部材620が固定部材610に対して移動する程度の電位差を生じさせるような値に調整され得る。従って、製造プロセス中におけるスティッキングの発生を抑制しつつ、ヒューズ630が接続された状態で電子デバイス60を駆動させることができる。また、電子デバイス60を駆動させることにより、ヒューズ630が破断され得るように、ヒューズ630の形状が設計されている。従って、例えば出荷前の製品検査(例えば動作テスト等)において、通常の電子デバイス60の駆動動作を行うことによりヒューズ630を破断させることができるため、ヒューズ630を破断するための別途の工程を行う必要がない。このように、第2の実施形態によれば、ヒューズ630の破断をより容易に行うことができ、電子デバイス60の製造コストをより低減することが可能となる。
ここで、上述したように、特許文献2−5に記載の技術では、例えばヒューズを溶断する際に電流を印加するためのパッドや、ヒューズを切断するための振動体等、ヒューズを破断させるための構成を、電子デバイス内に別途設ける必要があった。また、特許文献2−5に記載の技術では、ヒューズを破断させるために、例えば大電流を印加可能な電源設備やエッチングやダイシングを行う設備等、通常の電子デバイスの製造工程においては用いられないような、ヒューズを破断させるための専用の設備を別途用意する必要があった。
一方、第2の実施形態に係る電子デバイス60は、上述したように、電子デバイス60を駆動させることによりヒューズ630を破断させるため、ヒューズを破断させるための構成を電子デバイス60内に別途設ける必要がない。よって、電子デバイス60を、より小さい面積で製作することが可能となる。更に、第2の実施形態では、ヒューズ630が、固定部材610と可動部材620との間に内蔵されるため、固定部材610及び可動部材620以外の領域にヒューズ630を設ける領域を確保する必要がなく、電子デバイス60を更に小型化することができる。このように、電子デバイス60のデバイス面積が小型化されることにより、電子デバイス60の製造コストをより低減することができる。
また、第2の実施形態では、ヒューズ630を破断させるための設備として、例えば動作テストを行うための装置等、通常の電子デバイスの製造工程において用いられる設備を流用することができる。従って、大電流を印加する電源装置やエッチング装置、ダイシング装置等の、ヒューズを破断させるための専用の設備を用いる必要がなく、電子デバイス60の製造コストを更に低減することができる。
また、このように、電子デバイス60の製造コストが低減されることにより、結果的に、電子デバイス60が搭載される電子機器等の最終製品の製造コストも低減することができる。更に、電子デバイス60の小型化が実現されることにより、結果的に、電子デバイス60が搭載される電子機器等の最終製品も小型化することが可能となる。
なお、上述した第2の実施形態及び各変形例は、可能な範囲において互いに組み合わせて適用されてよい。第2の実施形態及び各変形例に示す構成が互いに組み合わせて適用されることにより、これらの実施形態及び各変形例において奏される効果を併せて得ることができる。更に、第2の実施形態及び各変形例は、可能な範囲において、第1の実施形態及び第1の実施形態の各変形例と、互いに組み合わされてもよい。このように、第1の実施形態及びその変形例、並びに、第2の実施形態及びその変形例の少なくともいずれかが、互いに組み合わされることにより、各実施形態及び各変形例において奏される効果を併せて得ることができる。
<3.補足>
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)少なくとも基板材の一部を含んで形成される第1の部材と、少なくとも前記基板材の一部を含んで形成され前記第1の部材に対して相対的に移動可能な第2の部材と、少なくとも前記基板材の一部を含んで形成され、前記基板材を介して前記第1の部材と前記第2の部材とを電気的に接続するヒューズと、を備える、電子デバイス。
(2)前記ヒューズに対して、前記ヒューズの延伸方向と垂直な方向の外力が加えられることにより、前記ヒューズが破断する、前記(1)に記載の電子デバイス。
(3)前記ヒューズの一部領域には、前記外力が加えられる方向の幅が他の領域よりも小さく形成される応力集中部が形成される、前記(2)に記載の電子デバイス。
(4)前記応力集中部は、前記ヒューズの一部領域に形成される切り欠き部である、前記(3)に記載の電子デバイス。
(5)前記ヒューズに対して前記外力を加えることにより、前記ヒューズを破断させるヒューズ破断部、を更に備える、前記(2)〜(4)のいずれか1項に記載の電子デバイス。
(6)前記ヒューズ破断部は、前記ヒューズとの間に所定の電位差が与えられることにより、前記ヒューズに対して所定の静電引力を加えるヒューズ電極部、を有する、前記(5)に記載の電子デバイス。
(7)前記ヒューズ電極部に印加される電圧値は、前記ヒューズの固有振動数に対応する周波数で変動される、前記(6)に記載の電子デバイス。
(8)前記ヒューズ電極部には、前記ヒューズが破断した後も所定の電圧が印加され、前記ヒューズの破断した端部が前記ヒューズ電極部に溶着される、前記(6)又は(7)に記載の電子デバイス。
(9)前記ヒューズ破断部は、複数の前記ヒューズ電極部を有し、少なくとも1つの前記ヒューズ電極部は、前記ヒューズの第1の領域に対して第1の方向に静電引力を加えるように配置され、少なくとも1つの他の前記ヒューズ電極部は、前記ヒューズの前記第1の領域とは異なる第2の領域に対して前記第1の方向とは逆の方向である第2の方向に静電引力を加えるように配置される、前記(6)〜(8)のいずれか1項に記載の電子デバイス。
(10)前記ヒューズ破断部は、前記ヒューズの一部領域を所定の方向に押圧することにより前記ヒューズを破断する破断用駆動部、を有する、前記(5)〜(9)のいずれか1項に記載の電子デバイス。
(11)前記ヒューズ間に所定の電流が印加された状態で前記ヒューズに対して磁界が印加されることにより、前記ヒューズに生じるローレンツ力による曲げ応力によって前記ヒューズが破断される、前記(2)〜(10)のいずれか1項に記載の電子デバイス。
(12)前記ヒューズは、前記ヒューズの破断面が前記基板材の劈開面と一致するように形成される、前記(1)〜(11)のいずれか1項に記載の電子デバイス。
(13)少なくとも基板材の一部を含んで形成される第1の部材と、少なくとも前記基板材の一部を含んで形成され前記第1の部材に対して相対的に移動可能な第2の部材と、の間に設けられ、少なくとも前記基板材の一部を含んで形成され、前記基板材を介して前記第1の部材と前記第2の部材とを電気的に接続する、ヒューズ。
(14)少なくとも基板材の一部を含んで形成される第1の部材と、少なくとも前記基板材の一部を含んで形成され前記第1の部材に対して相対的に移動可能な第2の部材と、少なくとも前記基板材の一部を含んで形成され、前記基板材を介して前記第1の部材と前記第2の部材とを電気的に接続するヒューズと、を有する、電子デバイスを備える、電子機器。
また、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)第1の部材と、前記第1の部材との間に所定の電位差を与えられることにより、前記第1の部材に対して相対的に移動する第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材とを電気的に接続するヒューズと、を備え、前記ヒューズの少なくとも一部領域には、前記第1の部材と前記第2の部材との間に少なくとも前記所定の電位差を生じさせる抵抗値を有する高抵抗部が形成される、電子デバイス。
(2)前記ヒューズは、前記第2の部材が前記第1の部材に対して相対的に移動することにより破断される、前記(1)に記載の電子デバイス。
(3)前記ヒューズの少なくとも一部領域には、他の領域よりも破断強度が小さい破断部が形成される、前記(2)に記載の電子デバイス。
(4)前記破断部は、前記ヒューズの延伸方向における幅が他の領域よりも小さく形成されることにより形成される、前記(3)に記載の電子デバイス。
(5)前記破断部の一部領域には、前記ヒューズの延伸方向と垂直な方向に設けられる切り欠き部が形成される、前記(3)又は(4)に記載の電子デバイス。
(6)前記高抵抗部の抵抗値Rは、前記第1及び第2の部材の少なくともいずれかに対して製造プロセス中に供給される電荷量に対応する電流値Iinと、前記電子デバイスのPull−in電圧Vpull−inに対して、R<Vpull−in/Iinの関係を満たす、前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の電子デバイス。
(7)前記高抵抗部の抵抗値は、当該高抵抗部の不純物濃度が調整されることにより制御される、前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の電子デバイス。
(8)前記高抵抗部の抵抗値は、前記ヒューズの長さが調整されることにより制御される、前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の電子デバイス。
(9)破断後の前記ヒューズの位置を、破断前の前記ヒューズの位置とは異なる位置に固定する、再接触防止機構が設けられる、前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の電子デバイス。
(10)前記再接触防止機構は、前記ヒューズが破断される際に前記第1の部材と当接する第1の面の少なくとも一部領域に設けられる第1の咬み合わせ突起と、前記第1の部材の、前記ヒューズが破断される際に前記第1の面と当接する第2の面の少なくとも一部領域に設けられる第2の咬み合わせ突起と、を含み、前記ヒューズが破断される際に、前記第1の咬み合わせ突起と前記第2の咬み合わせ突起とが嵌合する、前記(9)に記載の電子デバイス。
(11)前記再接触防止機構は、前記ヒューズの延伸方向に配列して設けられる複数のフィンと、複数の前記フィン上に架設される金属膜と、を含む、前記(9)に記載の電子デバイス。
(12)前記再接触防止機構は、前記ヒューズの延伸方向に垂直な方向における両側に形成される溝が、当該溝の幅が互いに異なる大きさを有するように形成される構成を含む、
前記(9)に記載の電子デバイス。
(13)第1の部材と、前記第1の部材との間に所定の電位差が与えられることにより前記第1の部材に対して相対的に移動する第2の部材と、の間に設けられ、前記第1の部材と前記第2の部材とを電気的に接続するとともに、少なくとも一部領域に、前記第1の部材と前記第2の部材との間に少なくとも前記所定の電位差を生じさせる抵抗値を有する高抵抗部が形成される、ヒューズ。
(14)第1の部材と、前記第1の部材との間に所定の電位差を与えられることにより、前記第1の部材に対して相対的に移動する第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材とを電気的に接続するとともに、少なくとも一部領域に前記第1の部材と前記第2の部材との間に少なくとも前記所定の電位差を生じさせる抵抗値を有する高抵抗部が形成される、ヒューズと、を有する、電子デバイスを備える、電子機器。
10、60、80 電子デバイス
20 制御回路
30 モジュール
70 通信装置
110、610、810 固定部材
120、620、820 可動部材
130、630、830 ヒューズ
160 ヒューズ電極部
170 破断用駆動部
631、831 高抵抗部
632、832 破断部


Claims (20)

  1. 少なくとも基板材の一部を含んで形成される第1の部材と、
    少なくとも前記基板材の一部を含んで形成され前記第1の部材に対して相対的に移動可能な第2の部材と、
    少なくとも前記基板材の一部を含んで形成され、前記基板材を介して前記第1の部材と前記第2の部材とを電気的に接続するヒューズと、
    を備える、電子デバイス。
  2. 前記ヒューズに対して、前記ヒューズの延伸方向と垂直な方向の外力が加えられることにより、前記ヒューズが破断する、
    請求項1に記載の電子デバイス。
  3. 前記ヒューズの一部領域には、前記外力が加えられる方向の幅が他の領域よりも小さく形成される応力集中部が形成される、
    請求項2に記載の電子デバイス。
  4. 前記応力集中部は、前記ヒューズの一部領域に形成される切り欠き部である、
    請求項3に記載の電子デバイス。
  5. 前記ヒューズに対して前記外力を加えることにより、前記ヒューズを破断させるヒューズ破断部、を更に備える、
    請求項2に記載の電子デバイス。
  6. 前記ヒューズ破断部は、前記ヒューズとの間に所定の電位差が与えられることにより、前記ヒューズに対して所定の静電引力を加えるヒューズ電極部、を有する、
    請求項5に記載の電子デバイス。
  7. 前記ヒューズ電極部に印加される電圧値は、前記ヒューズの固有振動数に対応する周波数で変動される、
    請求項6に記載の電子デバイス。
  8. 前記ヒューズ電極部には、前記ヒューズが破断した後も所定の電圧が印加され、前記ヒューズの破断した端部が前記ヒューズ電極部に溶着される、
    請求項6に記載の電子デバイス。
  9. 前記ヒューズ破断部は、複数の前記ヒューズ電極部を有し、
    少なくとも1つの前記ヒューズ電極部は、前記ヒューズの第1の領域に対して第1の方向に静電引力を加えるように配置され、少なくとも1つの他の前記ヒューズ電極部は、前記ヒューズの前記第1の領域とは異なる第2の領域に対して前記第1の方向とは逆の方向である第2の方向に静電引力を加えるように配置される、
    請求項6に記載の電子デバイス。
  10. 前記ヒューズ破断部は、前記ヒューズの一部領域を所定の方向に押圧することにより前記ヒューズを破断する破断用駆動部、を有する、
    請求項5に記載の電子デバイス。
  11. 前記ヒューズ間に所定の電流が印加された状態で前記ヒューズに対して磁界が印加されることにより、前記ヒューズに生じるローレンツ力による曲げ応力によって前記ヒューズが破断される、
    請求項2に記載の電子デバイス。
  12. 前記ヒューズは、前記ヒューズの破断面が前記基板材の劈開面と一致するように形成される、
    請求項1に記載の電子デバイス。
  13. 少なくとも基板材の一部を含んで形成される第1の部材と、少なくとも前記基板材の一部を含んで形成され前記第1の部材に対して相対的に移動可能な第2の部材と、の間に設けられ、
    少なくとも前記基板材の一部を含んで形成され、前記基板材を介して前記第1の部材と前記第2の部材とを電気的に接続する、ヒューズ。
  14. 少なくとも基板材の一部を含んで形成される第1の部材と、
    少なくとも前記基板材の一部を含んで形成され前記第1の部材に対して相対的に移動可能な第2の部材と、
    少なくとも前記基板材の一部を含んで形成され、前記基板材を介して前記第1の部材と前記第2の部材とを電気的に接続するヒューズと、を有する、電子デバイスを備える、電子機器。
  15. 第1の部材と、
    前記第1の部材との間に所定の電位差を与えられることにより、前記第1の部材に対して相対的に移動する第2の部材と、
    前記第1の部材と前記第2の部材とを電気的に接続するヒューズと、
    を備え、
    前記ヒューズの少なくとも一部領域には、前記第1の部材と前記第2の部材との間に少なくとも前記所定の電位差を生じさせる抵抗値を有する高抵抗部が形成される、
    電子デバイス。
  16. 前記ヒューズは、前記第2の部材が前記第1の部材に対して相対的に移動することにより破断される、
    請求項15に記載の電子デバイス。
  17. 前記ヒューズの少なくとも一部領域には、他の領域よりも破断強度が小さい破断部が形成される、
    請求項16に記載の電子デバイス。
  18. 前記高抵抗部の抵抗値Rは、前記第1及び第2の部材の少なくともいずれかに対して製造プロセス中に供給される電荷量に対応する電流値Iinと、前記電子デバイスのPull−in電圧Vpull−inに対して、R<Vpull−in/Iinの関係を満たす、
    請求項15に記載の電子デバイス。
  19. 第1の部材と、前記第1の部材との間に所定の電位差が与えられることにより前記第1の部材に対して相対的に移動する第2の部材と、の間に設けられ、前記第1の部材と前記第2の部材とを電気的に接続するとともに、
    少なくとも一部領域に、前記第1の部材と前記第2の部材との間に少なくとも前記所定の電位差を生じさせる抵抗値を有する高抵抗部が形成される、ヒューズ。
  20. 第1の部材と、
    前記第1の部材との間に所定の電位差を与えられることにより、前記第1の部材に対して相対的に移動する第2の部材と、
    前記第1の部材と前記第2の部材とを電気的に接続するとともに、少なくとも一部領域に前記第1の部材と前記第2の部材との間に少なくとも前記所定の電位差を生じさせる抵抗値を有する高抵抗部が形成される、ヒューズと、を有する、電子デバイスを備える、電子機器。


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