JP2015120842A - 発泡成形体の製造方法及び発泡成形体 - Google Patents

発泡成形体の製造方法及び発泡成形体 Download PDF

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祐介 末永
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和弘 森田
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公克 中村
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Abstract

【課題】機械的強度が向上され、外観にも優れている発泡成形体の製造方法を提供する。【解決手段】本発明の発泡成形体の製造方法は、オレフィン系樹脂100重量部と、薄片化黒鉛及びカーボンナノチューブのうち少なくとも一種を含む炭素材料0.01〜1重量部とを含有する樹脂組成物を発泡剤の存在下で溶融混練した後、金型内に射出して発泡成形することを特徴とする。本発明の方法によれば、微細な気泡が均一に分散されており、機械的強度及び外観に優れている発泡成形体を提供することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、薄片化黒鉛及びカーボンナノチューブのうち少なくとも一種を含む炭素材料を用いた発泡成形体の製造方法、及び上記方法により製造されてなる発泡成形体に関する。
オレフィン系樹脂の成形体は、軽量性や成形性に優れていることから、自動車部品や電子機器の筐体など様々な製品に用いられている。近年では、成形体のさらなる軽量化の観点から、オレフィン系樹脂は発泡成形体として用いられている。
オレフィン系樹脂を用いてなる発泡成形体の製造は、生産性の観点から、射出成形によって行われている。射出成形法では、オレフィン系樹脂及びタルクなど無機充填剤を含む樹脂組成物を発泡剤の存在下で溶融混練した後に、金型内に射出充填して発泡させることにより発泡成形体が得られる(例えば、特許文献1及び2など)。
特許第3189619号明細書 特開2004−307665号公報
しかしながら、従来の方法では、発泡成形体中に含まれている発泡セルが大きく又は均一に分散されておらず、微細な気泡が均一に分散されている発泡成形体を製造することが困難であった。このような発泡成形体では、機械的強度が低下するだけでなく、表面に凹凸が発生して外観が低下するなどの問題があった。
そこで、本発明は、機械的強度が向上され、外観にも優れている発泡成形体の製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、機械的強度が向上され、外観にも優れている発泡成形体を提供することを目的とする。
本発明の発泡成形体の製造方法は、オレフィン系樹脂100重量部と、薄片化黒鉛及びカーボンナノチューブのうち少なくとも一種を含む炭素材料0.01〜1重量部とを含有する樹脂組成物を発泡剤の存在下で溶融混練した後、金型内に射出して発泡成形することを特徴とする。
(オレフィン系樹脂)
オレフィン系樹脂としては、エチレン系樹脂及びプロピレン系樹脂などが挙げられる。なかでも、プロピレン系樹脂が好ましい。プロピレン系樹脂によれば、優れた機械的強度を有する発泡成形体を製造することができる。
プロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、及びプロピレン−α−オレフィン共重合体が挙げられる。これらのプロピレン系樹脂は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
プロピレン−α−オレフィン共重合体において、プロピレンと共重合されるα−オレフィンとしては、プロピレン以外の成分であって、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、及び1−デセン等が挙げられる。また、プロピレン−α−オレフィン共重合体は、ブロック共重合体及びランダム共重合体の何れであってもよい。
プロピレン系樹脂中におけるプロピレン成分の含有量は、50重量%以上が好ましく、55〜95重量%がより好ましく、60〜90重量%が特に好ましい。プロピレン成分の含有量を50重量%以上とすることにより、発泡成形体の機械的強度を向上させることができる。
オレフィン系樹脂の数平均分子量は、10,000〜1,000,000が好ましく、50,000〜500,000がより好ましい。オレフィン系樹脂の数平均分子量が低過ぎると、得られる発泡成形体の機械的強度が低下する恐れがある。また、オレフィン系樹脂の数平均分子量が高過ぎると、溶融状態の樹脂組成物の流動性が低下して射出成形が困難となる恐れがある。
なお、本発明において、オレフィン系樹脂の数平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法によりポリスチレン換算として測定された値を意味する。例えば、次の要領で測定することができる。なお、後述するα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体の数平均分子量の測定も同様にして行うことができる。
オレフィン系樹脂1.5gに、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)及びオルトジクロロベンゼン(o-DCB)を含む溶液(BHT:o-DCB(重量比)=50:50)1000ミリリットルを添加して得られた混合液を溶解ろ過装置(TOSHO社製 商品名「DF-8020」)により、混合液の温度を145℃、回転速度25rpmとして、2時間振とうさせて、オレフィン系樹脂を溶解させて測定試料を得る。得られた測定試料に基づいて、オレフィン系樹脂のポリスチレン換算した重量平均分子量をGPC法によって測定することにより得ることができる。
そして、オレフィン系樹脂及びα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体のGPC法による数平均分子量は、例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
測定装置 ウォーターズ社製 商品名「GPCV2000」
測定条件 カラム:ウルトラスタイジェル HT807+HT806M+HT806M (3本連結、内径7.8mm×長さ300mm)
移動相:o−DCB 1.0mL/分
サンプル濃度:1mg/mL
検出器:RI(16)
標準物質:ポリスチレン(TOSOH社製 分子量:500〜8420000)
溶出条件:140℃
SEC温度:140℃
プロピレン系樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、30〜200g/10分が好ましく、50〜100g/10分がより好ましい。プロピレン系樹脂のMFRが上記範囲内であると、溶融状態の樹脂組成物中で炭素材料を高分散させ易くなり、これにより機械的強度及び外観に優れている発泡成形体を製造することができる。
なお、プロピレン系樹脂のMFRは、JIS K7210(1999)に準拠して、230℃、荷重21.18Nの条件下で測定された値をいう。
(炭素材料)
炭素材料としては、薄片化黒鉛及びカーボンナノチューブが挙げられる。これらの炭素材料は、射出成形時に溶融状態の樹脂組成物に含まれているオレフィン系樹脂に対して馴染み性に優れ、溶融状態の樹脂組成物中に高分散することができる。これにより、炭素材料の使用量を低減させることができると共に、少量の炭素材料によって発泡成形体の機械的強度を向上させることができる。また、炭素材料は高分散されることによって発泡核剤として作用することができ、樹脂組成物の発泡時に微細な発泡セルを高分散させて発生させることができる。これにより、発泡セルの粗大化や凝集による発泡成形体の機械的強度や外観の低下を高く低減することができる。
炭素材料としては、薄片化黒鉛及びカーボンナノチューブが用いられる。炭素材料は、一種のみが用いられても、二種以上を併用してもよい。なかでも、薄片化黒鉛が好ましい。
カーボンナノチューブとしては、単層カーボンナノチューブ、及び多層カーボンナノチューブなどが挙げられる。カーボンナノチューブの製造方法は、特に制限されない。例えば、HiPco法、アーク法、レーザーアブレーション法、及びCVD法などが挙げられる。
薄片化黒鉛は、複数のグラフェンシートの積層体である。薄片化黒鉛は、黒鉛を剥離処理して得られる。したがって、薄片化黒鉛は、原料となる黒鉛のグラフェンシートの積層数よりも少ない積層数を有するグラフェンシートの積層体である。なお、グラフェンシートとは炭素六角網平面からなる1枚のシート状物をいう。
薄片化黒鉛のアスペクト比は、10〜200が好ましく、50〜150がより好ましい。アスペクト比が上記範囲内である薄片化黒鉛は、樹脂組成物中で高分散できると共に、発泡成形体の機械的強度を向上させることができる。
なお、薄片化黒鉛のアスペクト比とは、薄片化黒鉛についてグラフェンシートの面方向における最大寸法を厚みで除した値である。そして、少なくとも100個の薄片化黒鉛についてアスペクト比を算出し、その相加平均値を薄片化黒鉛のアスペクト比とする。
ここで、薄片化黒鉛におけるグラフェンシートの面方向における最大寸法とは、薄片化黒鉛の面積が最も大きくなる方向から見た時の薄片化黒鉛の最大寸法をいう。薄片化黒鉛の厚みとは、薄片化黒鉛の面積が最も大きくなる方向から見た時の薄片化黒鉛の表面に対して直交する方向の薄片化黒鉛の最大寸法をいう。
なお、薄片化黒鉛にてグラフェンシートの面方向における最大寸法は、FE−SEMを用いて測定することができる。又、薄片化黒鉛の厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)又はFE−SEMを用いて測定することができる。
薄片化黒鉛におけるグラフェンシートの積層数は、50〜250層が好ましく、100〜200層がより好ましい。グラフェンシートの積層数が上記範囲内である薄片化黒鉛は、樹脂組成物中で高分散できると共に、発泡成形体の機械的強度を向上させることができる。
なお、薄片化黒鉛におけるグラフェンシートの積層数は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定することができる。そして、少なくとも100個の薄片化黒鉛についてグラフェンシートの積層数を測定し、その相加平均値を薄片化黒鉛におけるグラフェンシートの積層数とする。
薄片化黒鉛のBET比表面積は、15〜2700m2/gが好ましく、15〜1000m2/gがより好ましく、50〜150m2/gが特に好ましい。薄片化黒鉛のBET比表面積が小さ過ぎると、発泡成形体の機械的強度を十分に向上できない恐れがある。また、薄片化黒鉛のBET比表面積が大き過ぎると、溶融状態の樹脂組成物中に含まれているオレフィン系樹脂に対する相溶性が低下する恐れがあり、このような場合、発泡成形体の機械的強度や外観を低下させる。
薄片化黒鉛のBET比表面積の測定は、窒素ガス吸着によるBET法により測定することができる。薄片化黒鉛のBET比表面積の測定には、公知の測定装置(島津製作所社製 装置名「ASAP−2000」など)が用いられる。
薄片化黒鉛は、黒鉛をグラフェンシート間において剥離することにより製造することができる。黒鉛としては、例えば、天然黒鉛、キッシュ黒鉛、高配向性熱分解黒鉛などが挙げられる。
黒鉛をグラフェンシート間において剥離する方法としては、特に限定されず、例えば、(1)特開2002−053313号に記載のようにHummers−Offeman法(W.S.Hummers et al.,J.Am.Chem.Soc.,80,1339(1958)を用いて黒鉛をグラフェンシート間において剥離する方法、(2)米国特許No.2798878(1957))に記載の通り、黒鉛から酸化黒鉛を作製した後、酸化黒鉛を精製によってグラフェンシート間において剥離する方法、(3)特表2009−511415号公報に記載のようにして黒鉛から酸化黒鉛層間化合物を作製し、この酸化黒鉛層間化合物を急速加熱することによって酸化黒鉛層間化合物をそのグラフェンシート間において剥離する方法、(4)市販の熱膨張性黒鉛を加熱して膨張させ、この膨張黒鉛に超音波を照射してグラフェンシート間において剥離する方法、(5)黒鉛を超臨界流体や亜臨界流体などの高圧流体に曝すことによって黒鉛をそのグラフェンシート間において剥離する方法などが挙げられる。なお、熱膨張性黒鉛は、例えば、エアウォーター社から商品名「LTE−U」にて市販されている。
樹脂組成物中における炭素材料の含有量は、オレフィン系樹脂100重量部に対して、0.01〜1重量部に限定されるが、0.05〜0.5重量部がより好ましく、0.1〜0.3重量部が特に好ましい。炭素材料の含有量が少な過ぎると、発泡成形体中において発泡セルが粗大化したり凝集したりする恐れがある。また、炭素材料の含有量が多過ぎると、溶融状態の樹脂組成物中で炭素材料を高分散させることができない恐れがある。
(有機過酸化物)
樹脂組成物は、有機過酸化物をさらに含んでいることが好ましい。有機過酸化物を用いることにより、得られる発泡成形体の外観や機械的強度を向上させることができる。このような効果が得られるメカニズムは次のように推測できる。樹脂組成物を溶融混練する際に有機過酸化物の分解によってラジカルを発生することができ、ラジカルによってオレフィン系樹脂の分子鎖に炭素材料を化学的に結合させることができる。これにより、溶融状態の樹脂組成物中で炭素材料の凝集を低減して高分散させることができる。なお、上記メカニズムは推測であり、したがって本発明は上記メカニズムに限定されるわけではない。
有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルパーオキシベンゼン、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシロキサン、及びn−ブチル−4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレレート等が挙げられる。これらの中で、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゼン、及びジ−t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピルベンゼンが好ましい。有機過酸化物は、一種のみが用いられてもよく、二種以上を併用してもよい。
樹脂組成物中における有機過酸化物の含有量は、オレフィン系樹脂100重量部に対して、0.1×10-2〜10×10-2重量部が好ましく、0.5×10-2〜5×10-2重量部がより好ましい。有機過酸化物の含有量が少な過ぎると、炭素材料の凝集を十分に低減することができない恐れがある。また、有機過酸化物が多過ぎると、オレフィン系樹脂の分解によって発泡成形体の機械的強度が低下する恐れがある。
(発泡剤)
本発明の方法では、上述した樹脂組成物を発泡剤の存在下で溶融混練する。発泡剤としては、従来から汎用されているものが用いられ、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、ニトロソ化合物(ジニトロソペンタメチレンテトラミンなど)、アゾ化合物(アゾジカルボンアミドなど)、スルホニルヒドラジド化合物、ヒドラゾジカルボンアミド、重炭酸ナトリウムなどの化学発泡剤;プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、シクロブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素、ジメチルエーテルなどのエーテル類、塩化メチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタンなどのフロン、二酸化炭素、窒素などの物理発泡剤などが挙げられる。なお、発泡剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なかでも、化学発泡剤が好ましく、炭酸水素ナトリウムがより好ましい。化学発泡剤によれば、発泡成形体中に微細な発泡セルを形成できる。
発泡剤を添加するタイミングは特に制限されない。化学発泡剤を用いる場合には、樹脂組成物中に化学発泡剤を予め添加してもよい。また、溶融混練している樹脂組成物中に化学発泡剤又は物理発泡剤を添加してもよい。発泡剤は、超臨界状態として樹脂組成物中に供給してもよい。
樹脂組成物中における化学発泡剤の含有量は、プロピレン系樹脂100重量部に対して、3〜10重量部が好ましく、4〜8重量部がより好ましい。化学発泡剤の含有量を3重量部以上とすることにより、樹脂組成物を高い発泡倍率で発泡させることができ、発泡形成体の軽量化が図れる。また、化学発泡剤の含有量を10重量部以下とすることにより、発泡セルの粗大化を低減して、微細な発泡セルが均一に分散されている発泡成形体を得ることができる。
(流動性向上剤)
樹脂組成物は、流動性向上剤をさらに含んでいることが好ましい。樹脂組成物を溶融混練する際に流動性向上剤により炭素材料を高分散させることができ、これにより発泡成形体の機械的強度や外観をより向上させることができる。
流動性向上剤としては、ポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックスなどのオレフィン系ワックス、並びに金属せっけんなどが挙げられる。流動性向上剤は、一種のみが用いられても、二種以上を併用してもよい。
流動性向上剤は、樹脂組成物に用いられたオレフィン系樹脂よりも極性が低いオレフィン系ワックスであることが好ましい。このようなオレフィン系ワックスによれば、炭素材料の分散性をより向上させることができる。オレフィン系ワックスとしては、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体が好ましく挙げられる。α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体によれば、発泡成形体の靱性の低下を抑制することも可能となる。
α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体におけるα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、及び1−デセン等が挙げられるが、エチレンが好ましい。また、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体は、ブロック共重合体及びランダム共重合体の何れであってもよいが、ブロック共重合体が好ましい。
α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体の数平均分子量は、2000〜30,000が好ましく、5000〜15,000がより好ましい。数平均分子量が上記範囲内であるα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体によれば、発泡成形体の靱性の低下を抑制しつつ、炭素材料の分散性を向上させることができる。
樹脂組成物中における流動性向上剤の含有量は、オレフィン系樹脂100重量部に対して、0.1〜2重量部が好ましく、0.1〜1重量部がより好ましい。流動性向上剤の含有量が少な過ぎると、炭素材料の分散性を十分に向上させることができない恐れがある。また、流動性向上剤の含有量が多過ぎると、発泡成形体の靱性が低下する恐れがある。
樹脂組成物は、他の添加剤をさらに含んでいてもよい。他の添加剤としては、酸化防止剤、発泡助剤、発泡核剤、発泡成形安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、及び難燃剤などが挙げられる。
炭素材料、有機過酸化物、及び他の添加剤などは、樹脂組成物中に直接添加してもよく、オレフィン系樹脂などを用いてマスターバッチとして樹脂組成物中に添加してもよい。
本発明の方法では、上述した樹脂組成物を発泡剤の存在下で溶融混練する。これにより樹脂組成物を溶融状態とする。溶融混練は、押出機など公知の手段を用いて行えばよい。溶融混練時の樹脂組成物の温度は、190〜240℃が好ましく、200〜230℃がより好ましい。溶融混練時の樹脂組成物の温度が低過ぎると、樹脂組成物中に含まれている各成分を均一に混合できない恐れがある。また、溶融混練時の樹脂組成物の温度が高過ぎると、溶融混練時に樹脂組成物に含まれる成分が熱分解する恐れがある。
樹脂組成物は発泡剤の存在下で溶融混練した後、金型内に射出して発泡成形する。金型内での樹脂組成物の発泡成形は、公知の方法を用いて行うことができるが、コアバック法を用いて行うことが好ましい。コアバック法は、例えば、次の通りにして行うことができる。樹脂組成物を発泡剤の存在下で溶融混練した後、溶融状態の樹脂組成物を固定金型と可動金型とから構成されるキャビティ内に射出充填し、続いて、可動金型を後退させてキャビティの内容積を増大させてキャビティ内を減圧することにより、溶融状態の樹脂組成物を発泡させる。これにより発泡成形体を得ることができる。このようなコアバック法によれば、発泡時の樹脂組成物の温度や圧力を制御して、得られる発泡成形体が有する気泡を微細化することができる。
溶融状態の樹脂組成物を金型内に射出充填する際の射出圧力は、50〜100MPaが好ましく、60〜90MPaがより好ましい。また、溶融混練した発泡性難燃樹脂組成物をキャビティ内に射出充填する際のキャビティ内の圧力は、50〜90MPaが好ましく、50〜70MPaがより好ましい。
固定金型及び可動金型の温度は、20〜80℃が好ましく、30〜60℃がより好ましい。この範囲内であれば、固定金型と可動金型とでそれぞれ温度が異なっていてもよい。
溶融状態の樹脂組成物の発泡倍率は、1.5〜5倍が好ましく、2〜4.5倍がより好ましく、2.5〜4倍が特に好ましい。溶融状態の樹脂組成物の発泡倍率とは、溶融状態の樹脂組成物を発泡させる前のキャビティ内の厚み(T)に対する、溶融状態の樹脂組成物を発泡させた後のキャビティ内の厚み(T)の比(T/T)を意味する。
溶融状態とされた樹脂組成物中では、上述した通り、炭素材料が均一に微分散されていることから、このような樹脂組成物を金型内に射出して発泡成形することにより、微細な発泡セルが均一に分散されている発泡成形体を得ることができる。このような発泡成形体は、均一に分散されている微細な発泡セルを含んでいることにより、凹凸の発生による外観の低下が高く抑制されており、外観に優れている発泡成形体を得ることができる。また、炭素材料として薄片化黒鉛又はカーボンナノチューブを用いることによって、発泡成形体の機械的強度を向上させることができる。さらに、微細な発泡セルが均一に分散されていることによって、高発泡倍率の発泡成形体を製造したとしても、機械的強度の低下を抑制し、優れた機械的強度を維持することができる。したがって、本発明の方法によれば、軽量性、機械的強度、及び外観に優れている発泡成形体を製造することができる。
このような発泡成形体は、様々な用途に用いることができる。用途としては、例えばドアトリム、ピラートリム、各種ボックスリッド、インストルメントパネル、及びサンバイザーなどの自動車内装部品、タイヤハウス、アンダーカバー、サイドプロテクトモール、バンパー、ソフトフェイシア、マッドガードなどの外装部品、自動二輪車用シート、家具、建築材、家電製品、及び電子機器類等の様々な製品における部品、さらには輸送用容器や緩衝材などが挙げられる。なかでも、本発明の発泡成形体は軽量性、機械的強度、及び外観に優れていることから、自動車内装部品として用いられることが好ましい。
本発明の方法によれば、機械的強度が向上され、外観にも優れている発泡成形体を製造することができる。
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
(実施例1)
1.マスターバッチの作製
プロピレン系樹脂(数平均分子量100,000、MFR:75g/10min、日本ポリプロ社製 商品名「ノバテックPP BC08F」)80重量部、薄片化黒鉛(最大寸法:5.0μm、厚み:60nm、アスペクト比:83、グラフェンシートの積層数:180層、BET比表面積:75m/g、XG SCIENCE社製 商品名「XGnP M−5」)20重量部、及びジクミルパーオキサイド(日油社製 商品名「パークミルD−40」)1.0重量部を、押出機中で、165℃で溶融混練することにより溶融状態の混合物を得た後、溶融状態の混合物をストランド状に押し出して、所定の長さに切断することによりマスターバッチを作製した。
2.溶融混練
プロピレン系樹脂(数平均分子量100,000、MFR:75g/10min、日本ポリプロ社製 商品名「ノバテックPP BC08F」)50重量部、プロピレン系樹脂(数平均分子量300,000、MFR:45g/10min、プライムポリマー社製 商品名「プライムポリプロ J108M」)50重量部、マスターバッチ0.1重量部、炭酸水素ナトリウム(永和化学社製 商品名「EE515」)5重量部を、押出機中に投入して混合することにより樹脂組成物を得た後、上記押出機中で樹脂組成物を220℃で溶融混練することにより、樹脂組成物を溶融状態とした。なお、表1に、樹脂組成物中における各成分の配合量を記載した。
3.射出発泡成形
一方、固定金型及び可動金型を40℃に加熱し、固定金型及び可動金型を型締めして、隙間が0.9mmであるキャビティを形成した。キャビティ内に溶融状態の樹脂組成物を射出圧力60MPa、射出時間1秒で射出した。射出完了から0.2秒後に可動金型を後退させてキャビティの隙間を2.7mm(発泡倍率3倍)としてキャビティ内を減圧させることにより、溶融状態の樹脂組成物を発泡させて発泡成形体を得た。その後、発泡成形体を冷却させてキャビティから取り出した。発泡成形体は、平板状であり、厚みが2.7mmであった。
(実施例2〜4及び比較例1)
押出機に投入したマスターバッチの量を、実施例2では0.5重量部、実施例3では1.0重量部、実施例4では3.0重量部、比較例1では0重量部として、樹脂組成物中における各成分の配合量を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を製造した。
(実施例5)
マスターバッチの作製において、ジクミルパーオキサイドを添加せず、さらに、押出機に投入したマスターバッチの量を1.0重量部として、樹脂組成物中における各成分の配合量を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を製造した。
(実施例6)
押出機に投入したマスターバッチの量を0.5重量部とし、さらに、押出機に流動性向上剤(α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体、数平均分子量10,000、三菱化学(株)社製 製品名「ダイヤカルナ」)0.5重量部を投入して、樹脂組成物中における各成分の配合量を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を製造した。
(実施例7〜8及び比較例2)
押出機に投入したマスターバッチの量を、実施例7では1.0重量部、実施例8では3.0重量部、比較例2では0重量部とし、押出機に投入した炭酸水素ナトリウムの量を6重量部として、樹脂組成物中における各成分の配合量を表1の通りに変更し、さらに、射出後に可動金型を後退させてキャビティの隙間を3.6mm(発泡倍率4倍)とした以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を製造した。
(評価)
上述の通りに作製した発泡成形体について、発泡性、外観、及び機械的強度を下記手順に従って評価した。結果を表1に示す。
(発泡性)
発泡成形体の外表面部に形成されているスキン層を目視で観察すると共に、発泡成形体の断面における発泡セルをデジタルマイクロスコープで観察し、下記判定基準で評価した。
◎:発泡セルの破泡による凹部(アバタ)の形成がなく且つ厚みが均一であるスキン層が形成されていると共に、大きさが均一である発泡セルが形成されていた。
〇:発泡セルの大きさがやや不均一であったが、発泡セルの破泡による凹部の形成がないスキン層が形成されていた。
×:スキン層に発泡セルの破泡による凹部が形成されていた。
(外観)
発泡成形体の上面及び下面を目視により観察し、下記判定基準で評価した。
◎:上面及び下面ともに凹凸の形成が認められず、平滑な面であった。
〇:上面及び下面のうち一方の面に凹凸が形成されていた。
×:上面及び下面の双方の面に凹凸が形成されていた。
(機械的強度)
発泡成形体を切断することにより、幅150mm×長さ300mmの平面長方形状の試験片を得た。次に、−30℃の温度環境下で、試験片の中央部に500gの鋼球を所定の高さから垂直に落下させて、試験片が破壊しなかった鋼球の最高高さ(m)を測定した。
Figure 2015120842

Claims (3)

  1. オレフィン系樹脂100重量部と、薄片化黒鉛及びカーボンナノチューブのうち少なくとも一種を含む炭素材料0.01〜1重量部とを含有する樹脂組成物を発泡剤の存在下で溶融混練した後、金型内に射出して発泡成形することを特徴とする発泡成形体の製造方法。
  2. 樹脂組成物が、有機過酸化物を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の発泡成形体の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法によって製造されてなることを特徴とする発泡成形体。
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