以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ22が示されている。図1において、上下方向がタイヤ22の半径方向であり、左右方向がタイヤ22の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ22の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ22の赤道面を表わす。このタイヤ22の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。なお、図1に示されているのは、タイヤ22の半径方向に沿った断面である。
このタイヤ22は、トレッド24、サイドウォール26、クリンチ28、ビード30、カーカス32、ベルト34、バンド36、インナーライナー38、ウィング40及びクッション層42を備えている。このタイヤ22は、チューブレスタイプである。このタイヤ22は、乗用車に装着される。
トレッド24は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド24は、路面と接地するトレッド面44を形成する。トレッド面44には、溝46が刻まれている。この溝46により、トレッドパターンが形成されている。図示されていないが、トレッド24はベース層とキャップ層とを有している。キャップ層は、ベース層の半径方向外側に位置している。キャップ層は、ベース層に積層されている。ベース層は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。ベース層の典型的な基材ゴムは、天然ゴムである。キャップ層は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性に優れた架橋ゴムからなる。
サイドウォール26は、トレッド24の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール26の半径方向外側端は、トレッド24と接合されている。このサイドウォール26の半径方向内側端は、クリンチ28と接合されている。このサイドウォール26は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。このサイドウォール26は、カーカス32の損傷を防止する。
クリンチ28は、サイドウォール26の半径方向略内側に位置している。クリンチ28は、軸方向において、ビード30及びカーカス32よりも外側に位置している。クリンチ28は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。クリンチ28は、リムのフランジと当接する。
ビード30は、クリンチ28の軸方向内側に位置している。ビード30は、リング状である。ビード30は、コア48と、エイペックス50とを備えている。エイペックス50は、コア48から半径方向外向きに延びている。エイペックス50は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス50は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス32は、カーカスプライ52からなる。カーカスプライ52は、両側のビード30の間に架け渡されており、トレッド24及びサイドウォール26に沿っている。カーカスプライ52は、コア48の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ52には、主部52aと折り返し部52bとが形成されている。
カーカスプライ52は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス32はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。カーカス32が、2枚以上のカーカスプライ52から形成されてもよい。
ベルト34は、トレッド24の半径方向内側に位置している。ベルト34は、カーカス32と積層されている。ベルト34は、カーカス32を補強する。ベルト34は、内側層54a及び外側層54bからなる。図1から明らかなように、軸方向において、内側層54aの幅は外側層54bの幅よりも若干大きい。図示されていないが、内側層54a及び外側層54bのそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、通常は10°以上35°以下である。内側層54aのコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層54bのコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。ベルト34の軸方向幅は、タイヤ22の最大幅の0.7倍以上が好ましい。ベルト34が、3以上の層54を備えてもよい。
バンド36は、ベルト34の半径方向外側に位置している。軸方向において、バンド36の幅はベルト34の幅と同等である。図示されていないが、このバンド36は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド36は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。このコードによりベルト34が拘束されるので、ベルト34のリフティングが抑制される。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
ベルト34及びバンド36は、補強層を構成している。ベルト34のみから、補強層が構成されてもよい。バンド36のみから、補強層が構成されてもよい。
インナーライナー38は、カーカス32の内側に位置している。インナーライナー38は、カーカス32の内面に接合されている。インナーライナー38は、架橋ゴムからなる。インナーライナー38には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー38の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー38は、タイヤ22の内圧を保持する。
ウィング40は、トレッド24とサイドウォール26との間に位置している。ウィング40は、トレッド24及びサイドウォール26のそれぞれと接合している。ウィング40は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。
クッション層42は、ベルト34の端の近傍において、カーカス32と積層されている。クッション層42は、軟質な架橋ゴムからなる。クッション層42は、ベルト34の端の応力を吸収する。このクッション層42により、ベルト34のリフティングが抑制される。
前述したように、このタイヤ22のビード30はコア48とエイペックス50とを備えている。図2に示されているのは、このビード30の一部をなすコア48の断面である。図2において、上下方向がタイヤ22の半径方向であり、左右方向がタイヤ22の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ22の周方向である。この図2では、紙面の右側が軸方向内側であり、その左側が軸方向外側である。この図2に示されているのは、タイヤ22の半径方向に沿った断面の一部である。
このタイヤ22のコア48は、本体56と、伸縮部58とを備えている。このコア48は、本体56と伸縮部58とから構成されている。
本体56は、軸方向において、伸縮部58の外側に位置している。本体56は、周方向に延在するコード60を含んでいる。この本体56は、タイヤ22がリムに嵌め合わされたとき、このタイヤ22をリムに締め付ける役割を果たす。図3に示されているのは、本体56のためのコード60の断面である。このコード60は、素線からなる。
このタイヤ22では、本体56は周方向にコード60を複数回巻き回すことにより形成されている。これにより、コード60の断面が軸方向及び半径方向に整列された本体56が得られる。図示されているように、本体56の断面に含まれるコード60の断面の数は11である。このタイヤ22の本体56は、周方向にコード60を螺旋状に11回巻き回すことにより形成されている。なお、複数本のコード60からなる束を周方向に巻き回すことにより、この本体56が形成されてもよい。
このタイヤ22では、コード60の材質としては、スチールが好ましい。このコード60は、有機繊維からなるものに比べて伸びにくい。材質がスチールとされたコード60は、タイヤ22のリムへの締め付けに寄与しうる。
このタイヤ22では、コード60としては、図3に示されているような、単一の素線からなるものが好ましい。このコード60は、複数の素線からなるものに比べて伸びにくい。このコード60は、タイヤ22のリムへの締め付けに寄与しうる。
このタイヤ22では、コード60の材質はスチールであり、しかも、このコード60は素線からなるのが好ましい。このコード60の伸びは小さい。言い換えれば、このコード60は非伸縮性である。非伸縮性のコード60は、タイヤ22のリムへの締め付けに効果的に寄与しうる。非伸縮性のコード60から構成された本体56は、タイヤ22をリムに堅固に締め付けうる。
このタイヤ22では、コア48の本体56の断面の軸方向外側かつ半径方向内側の部分にハードコード60の一の断面(図2中の符号H)が位置している。前述したように、コード60は非伸縮性である。軸方向外側かつ半径方向内側の部分に非伸縮性のコード60が位置するように構成されたコア48は、より堅固にタイヤ22をリムに締め付けうる。
本発明では、コード60の伸縮性は一定荷重時伸び率(以下、一定荷重時伸び率を、単に「伸び率」と称する場合もある。)に基づいて判断される。より詳細には、本発明では、44N荷重時の伸び率が1%未満のものが非伸縮性とされる。44N荷重時の伸び率が1%以上のものは、伸縮性とされる。44N未満の荷重で破断したものは、タイヤ22をリムに締め付けるためのコード60としては用いられない。なお、コード60が有機繊維である場合は、JIS−L1017「化学繊維タイヤコード試験方法」に準拠して、一定荷重時伸び率が得られる。コード60の材質がスチールである場合は、JIS−G3510「スチールタイヤコード試験方法」に準拠して、一定荷重時伸び率が得られる。コード60がガラス繊維からなる場合は、JIS−R3420「ガラス繊維一般試験方法」に準拠して、一定荷重時伸び率が得られる。コード60がカーボン繊維からなる場合は、JIS−R7606「炭素繊維−単繊維の引張特性の試験方法」に準拠して、一定荷重時伸び率が得られる。
このタイヤ22では、本体56のためのコード60は、非伸縮性であればよく、その材質がスチールとされた素線に限られない。非伸縮性のコード60であれば、有機繊維、ガラス繊維又はカーボン繊維からなるものを本体56のコード60として用いてもよいし、複数の素線からなるもの(撚り線)を本体56のコード60として用いてもよい。この有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
伸縮部58は、軸方向において、本体56の内側に位置している。伸縮部58は、軸方向において、カーカスプライ52の主部52aの外側に位置している。この伸縮部58は、軸方向において、本体56と、主部52aとの間に位置している。
このタイヤ22の伸縮部58は、エイペックス50の一部からなる。したがって、この伸縮部58は架橋ゴムからなる。この伸縮部58は、伸縮しうる。前述したように、コア48の本体56をなすコード60は非伸縮性である。この伸縮部58は、この本体56のコード60よりも伸びやすい。
前述したように、このタイヤ22の伸縮部58はエイペックス50の一部からなる。したがって、この伸縮部58は、エイペックス50をなすゴム組成物と同等のゴム組成物から形成されている。なお、この伸縮部58が、エイペックス50をなすゴム組成物とは異なるゴム組成物から形成されてもよい。
このタイヤ22では、コア48の断面における、軸方向内側でかつ半径方向外側の部分が、伸縮部58からなる。この部分は、従来のタイヤ2のコア8において、コード12が存在し、かつ、リムへの嵌合時に大きなテンションがかかる部分に対応する。前述したように、伸縮部58は本体56のコード60よりも伸びやすい。このコア48の変形は容易である。タイヤ22をリムに嵌合させるとき、このタイヤ22のビード30の部分はリムのハンプを乗り越えやすい。このタイヤ22の嵌合圧は低い。このタイヤ22のリムへの嵌合は、容易である。しかもコア48の本体56が締付力に寄与するので、このタイヤ22では、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成される。
図2において、二点鎖線Cで示された円の大きさは本体56のコード60の断面の大きさと同等である。図示されているように、このタイヤ22の伸縮部58は、ビード30の断面においてコード60の断面を少なくとも一つ含みうる大きさを有している。このタイヤ22では、従来のタイヤ2において、コード12で巻回されていた部分が架橋ゴムからなる伸縮部58に置き換えられている。この置き換えは、タイヤ22の軽量化に寄与しうる。しかも伸縮部58が嵌合圧の低減に寄与し、本体56が締付力に寄与しうる。このタイヤ22では、質量を軽減しつつ、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成されうる。このタイヤ22では、質量の軽減及び低い嵌合圧の達成の観点から、ビード30の断面において伸縮部58がコード60の断面を二つ以上含みうる大きさを有していてもよい。
このタイヤ22では、コア48の軸方向幅(図2中の両矢印w)は1mm以上50mm以下である。このコア48の半径方向高さ(図2中の両矢印h)は、1mm以上50mm以下である。なお、この幅wは、コア48の軸方向における外端(図2中の符号P1)から内端(図2中の符号P2)までの軸方向長さにより表される。この高さhは、このコア48の半径方向における内端(図2中の符号P3)から外端(図2中の符号P4)までの半径方向長さにより表される。
このタイヤ22では、コア48の断面の面積BAに対する、このコア48の本体56の断面に含まれるコード60の断面の面積の総和HAの比率は、20%以上95%以下が好ましい。この比率が20%以上に設定されることにより、適切な締付力が得られる。この比率が95%以下に設定されることにより、伸縮部58が十分に確保されるので、軽量化と低い嵌合圧とが達成される。なお、コア48の断面の面積BAは、前述の、軸方向幅w及び半径方向高さhの積により表される。また、コード60が複数の素線から形成されている場合は、このコード60の断面の面積は、これら素線の外接円の直径で表される外径に基づいて得られる仮想断面の面積で表される。
図3において、両矢印dhで示されているのは、コア48の本体56のためのコード60の外径である。締付力の観点から、外径dhは0.5mm以上が好ましい。軽量化の観点から、この外径dhは10mm以下が好ましい。
本発明では、タイヤ22の各部材の寸法及び角度は、タイヤ22が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ22に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ22には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ22が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ22が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。乗用車用タイヤ22の場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。後述するタイヤも同様である。
図4に示されているのは、本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤ62の一部である。この図4には、このタイヤ62のビード64の部分が示されている。この図4において、上下方向がタイヤ62の半径方向であり、左右方向がタイヤ62の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ62の周方向である。なお、図4に示されているのは、タイヤ62の半径方向に沿った断面の一部である。この図4において、紙面の右側が軸方向内側であり、その左側が軸方向外側である。
このタイヤ62では、ビード64以外の構成は、図1に示されたタイヤ22と同等である。このタイヤ62は、ビード64以外に、トレッド、サイドウォール、クリンチ、カーカス、ベルト、バンド、インナーライナー、ウィング及びクッション層を備えている。
このタイヤ62では、ビード64はリング状である。ビード64は、コア66と、エイペックス68とを備えている。エイペックス68は、コア66から半径方向外向きに延びている。図示されていないが、エイペックス68は半径方向外向きに先細りである。エイペックス68は、高硬度な架橋ゴムからなる。
このタイヤ62のコア66は、本体70と、伸縮部72とを備えている。このコア66は、本体70と伸縮部72とから構成されている。本体70は、ハードユニット74を備えている。
ハードユニット74は、軸方向において伸縮部72の外側に位置している。ハードユニット74は、周方向に延在するハードコード76を含む。このハードユニット74は、タイヤ62がリムに嵌め合わされたとき、このタイヤ62をリムに締め付ける役割を果たす。
このタイヤ62では、ハードユニット74は周方向にハードコード76を複数回巻き回すことにより形成されている。これにより、ハードコード76の断面が軸方向及び半径方向に整列されたハードユニット74が得られる。図示されているように、ハードユニット74の断面に含まれるハードコード76の断面の数は9である。このタイヤ62のハードユニット74は、周方向にハードコード76を螺旋状に9回巻き回すことにより形成されている。なお、複数本のハードコード76からなる束を周方向に巻き回すことにより、このハードユニット74が形成されてもよい。
このタイヤ62では、ハードコード76の材質としては、スチールが好ましい。このハードコード76は、有機繊維からなるものに比べて伸びにくい。このハードコード76は、タイヤ62のリムへの締め付けに寄与しうる。
このタイヤ62では、ハードコード76としては、図3に示されたような単一の素線からなるものが好ましい。このハードコード76は、複数の素線からなるものに比べて伸びにくい。このハードコード76は、タイヤ62のリムへの締め付けに寄与しうる。
このタイヤ62では、ハードコード76の材質はスチールであり、しかも、このハードコード76は素線からなるのが好ましい。このハードコード76の伸びは小さい。言い換えれば、このハードコード76は非伸縮性である。非伸縮性のハードコード76は、タイヤ62のリムへの締め付けに効果的に寄与しうる。非伸縮性のハードコード76から構成されたハードユニット74は、タイヤ62をリムに堅固に締め付けうる。
このタイヤ62では、コア66の一部をなす本体70の断面の軸方向外側かつ半径方向内側の部分にハードコード76の一の断面(図4中の符号H)が位置している。前述したように、ハードコード76は非伸縮性である。軸方向外側かつ半径方向内側の部分にハードコード76が位置するように構成されたコア66は、より堅固にタイヤ62をリムに締め付けうる。
このタイヤ62では、ハードコード76は、非伸縮性であればよく、その材質がスチールとされた素線に限られない。非伸縮性のものであれば、有機繊維、ガラス繊維又はカーボン繊維からなるものをハードコード76として用いてもよいし、複数の素線からなるものをハードコード76として用いてもよい。この有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
このタイヤ62では、締付力の観点から、ハードコード76の外径dhは0.5mm以上が好ましい。軽量化の観点から、このハードコード76の外径dhは10mm以下が好ましい。
伸縮部72は、軸方向において、本体70の内側に位置している。伸縮部72は、軸方向において、カーカス78をなすカーカスプライ80の主部80aの外側に位置している。この伸縮部72は、軸方向において、本体70と、主部80aとの間に位置している。
このタイヤ62の伸縮部72は、エイペックス68の一部からなる。したがって、この伸縮部72は架橋ゴムからなる。この伸縮部72は、伸縮しうる。前述したように、コア66の本体70の一部をなすハードコード76は非伸縮性である。この伸縮部72は、このハードコード76よりも伸びやすい。
前述したように、このタイヤ62の伸縮部72はエイペックス68の一部からなる。したがって、この伸縮部72は、エイペックス68をなすゴム組成物と同等のゴム組成物から形成されている。なお、この伸縮部72が、エイペックス68をなすゴム組成物とは異なるゴム組成物から形成されてもよい。
このタイヤ62では、コア66の断面における、軸方向内側でかつ半径方向外側の部分が伸縮部72からなる。このタイヤ62では、従来のタイヤ2のコア8において、コード12が存在し、かつ、リムへの嵌合時に大きなテンションがかかる部分に、伸縮部72が位置している。前述したように、伸縮部72はハードコード76よりも伸びやすい。このコア66の変形は容易である。タイヤ62をリムに嵌合させるとき、このタイヤ62のビード64の部分はリムのハンプを乗り越えやすい。このタイヤ62の嵌合圧は低い。このタイヤ62のリムへの嵌合は、容易である。しかもコア66の本体70が締付力に寄与するので、このタイヤ62では、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成される。
図4において、二点鎖線Cで示された円の大きさはハードコード76の断面の大きさと同等である。図示されているように、このタイヤ62の伸縮部72は、ビード64の断面においてハードコード76の断面を少なくとも三つ含みうる大きさを有している。このタイヤ62では、従来のタイヤ2において、コード12で巻回されていた部分が架橋ゴムからなる伸縮部72に置き換えられている。この置き換えは、タイヤ62の軽量化に寄与しうる。しかも伸縮部72が嵌合圧の低減に寄与し、本体70が締付力に寄与しうる。このタイヤ62では、質量を軽減しつつ、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成されうる。
このタイヤ62では、本体70は、ハードユニット74に加え、ソフトユニット82をさらに備えている。つまり、この本体70は、ハードユニット74とソフトユニット82とを備えている。ソフトユニット82は、半径方向において、ハードユニット74の外側に位置している。ソフトユニット82は、周方向に延在するソフトコード84を含む。このソフトユニット82は、タイヤ62がリムに嵌め合わされたとき、このタイヤ62をリムに締め付ける役割を果たす。
このタイヤ62では、ソフトユニット82は、ソフトコード84を周方向に複数回巻き回すことにより形成されている。これにより、ソフトコード84の断面が軸方向及び半径方向に整列されたソフトユニット82が得られる。図示されているように、ソフトユニット82の断面に含まれるソフトコード84の断面の数は3である。このタイヤ62のソフトユニット82は、ソフトコード84を周方向に螺旋状に3回巻き回すことにより形成されている。なお、複数本のソフトコード84からなる束を周方向に巻き回すことにより、このソフトユニット82が形成されてもよい。
ソフトコード84は、前述の、ハードコード76よりも伸びやすい。このソフトコード84の伸び率は、ハードコード76の伸び率よりも大きい。このため、タイヤ62をリムに嵌合させるとき、このソフトコード84により構成されたソフトユニット82はコア66の変形を阻害しない。コア66が容易に変形するので、このタイヤ62のビード64の部分はリムのハンプを越えやすい。本発明によれば、低い嵌合圧でタイヤ62をリムに嵌合させることができる。このタイヤ62のリムへの嵌合は、容易である。しかもハードユニット74及びソフトユニット82の相乗効果により、コア66がより堅固にタイヤ62をリムに締め付けうる。このタイヤ62では、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成される。
図5(a)に示されているのは、ソフトコード84の一例である。このソフトコード84は、3本の素線86aを撚り合わせて形成されたものである。前述したように、ハードコード76は単一の素線からなる。このソフトコード84は、ハードコード76よりも伸びやすい。このため、タイヤ62をリムに嵌合させるとき、このソフトコード84により構成されたソフトユニット82はコア66の変形を阻害しない。コア66が容易に変形するので、このタイヤ62のビード64の部分はリムのハンプを越えやすい。本発明によれば、低い嵌合圧でタイヤ62をリムに嵌合させることができる。このタイヤ62のリムへの嵌合は、容易である。しかもハードユニット74に加えソフトユニット82が締付力に相乗的に寄与するので、十分な締付力が得られる。このタイヤ62では、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成される。
図5(a)において、二点鎖線DMaで示されているのはこのソフトコード84の外接円である。この外接円DMaの直径により、このソフトコード84の外径(図5(a)中の両矢印ds)が表される。締付力の観点から、外径dsは0.5mm以上が好ましい。軽量化の観点から、この外径dsは10mm以下が好ましい。
図5(b)に示されているのは、ソフトコード84の他の例である。このソフトコード84は、波癖のついた、3本の素線86bを、撚り合わせて形成されたものである。前述したように、ハードコード76は単一の素線からなる。このソフトコード84は、ハードコード76よりも伸びやすい。このため、タイヤ62をリムに嵌合させるとき、このソフトコード84により構成されたソフトユニット82はコア66の変形を阻害しない。コア66が容易に変形するので、このタイヤ62のビード64の部分はリムのハンプを越えやすい。本発明によれば、低い嵌合圧でタイヤ62をリムに嵌合させることができる。このタイヤ62のリムへの嵌合は、容易である。しかもハードユニット74に加えソフトユニット82が締付力に相乗的に寄与するので、十分な締付力が得られる。このタイヤ62では、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成される。
図5(b)において、二点鎖線DMbで示されているのはこのソフトコード84の外接円である。この外接円DMbの直径により、このソフトコード84の外径(図5(b)中の両矢印ds)が表される。締付力の観点から、外径dsは0.5mm以上が好ましい。軽量化の観点から、この外径dsは10mm以下が好ましい。二点鎖線DSbで示されているのは、波癖のついた素線86bの外接円である。この波癖は、例えば、装置(図示されず)を用いて素線86bに付けられる。この装置は、2つのディスク状のローラーを備えている。それぞれのローラーには、その周面に複数の凸部が間隔を空けて配置されている。隣り合う2つの凸部の間は凹部であり、両ローラーが回転すると、一のローラーの凸部が他のローラーの凹部に嵌め合わされ、他のローラーの凸部が一のローラーの凹部に嵌め合わされる。素線86bを両ローラーの間を通すことにより、直線状の素線86bがジグザグ状に加工される。これにより、波癖のついた素線86bが得られる。
図5(c)に示されているのは、ソフトコード84のさらに他の例である。このソフトコード84は、4本の素線86cを撚り合わせて形成されたものである。前述したように、ハードコード76は単一の素線からなる。このソフトコード84は、ハードコード76よりも伸びやすい。このため、タイヤ62をリムに嵌合させるとき、このソフトコード84により構成されたソフトユニット82はコア66の変形を阻害しない。コア66が容易に変形するので、このタイヤ62のビード64の部分はリムのハンプを越えやすい。本発明によれば、低い嵌合圧でタイヤ62をリムに嵌合させることができる。このタイヤ62のリムへの嵌合は、容易である。しかもハードユニット74に加えソフトユニット82が締付力に相乗的に寄与するので、十分な締付力が得られる。このタイヤ62では、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成される。
図5(c)において、二点鎖線DMcで示されているのはこのソフトコード84の外接円である。この外接円DMcの直径により、このソフトコード84の外径(図5(c)中の両矢印ds)が表される。締付力の観点から、外径dsは0.5mm以上が好ましい。軽量化の観点から、この外径dsは30mm以下が好ましい。
図5(d)に示されているのは、ソフトコード84のさらに他の例である。このソフトコード84は、波癖のついた、4本の素線86dを、撚り合わせて形成されたものである。前述したように、このタイヤ62では、ハードコード76は単一の素線からなる。このソフトコード84は、ハードコード76よりも伸びやすい。このため、タイヤ62をリムに嵌合させるとき、このソフトコード84により構成されたソフトユニット82はコア66の変形を阻害しない。コア66が容易に変形するので、このタイヤ62のビード64の部分はリムのハンプを越えやすい。本発明によれば、低い嵌合圧でタイヤ62をリムに嵌合させることができる。このタイヤ62のリムへの嵌合は、容易である。しかもハードユニット74に加えソフトユニット82が締付力に相乗的に寄与するので、十分な締付力が得られる。このタイヤ62では、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成される。
図5(d)において、二点鎖線DMdで示されているのはこのソフトコード84の外接円である。この外接円DMdの直径により、このソフトコード84の外径(図5(d)中の両矢印ds)が表される。締付力の観点から、外径dsは0.5mm以上が好ましい。軽量化の観点から、この外径dsは30mm以下が好ましい。図中、二点鎖線DSdで示されているのは波癖のついた素線86dの外接円である。
このタイヤ62では、ソフトコード84は、ハードコード76の伸び率よりも大きな伸び率を有していればよく、その材質がスチールとされた素線を複数本撚り合わせて形成されたものに限られない。ハードコード76よりも伸びやすければ、有機繊維、ガラス繊維又はカーボン繊維からなる原糸をソフトコード84として用いてもよいし、この原糸を複数本撚り合わせて形成されたものをソフトコード84として用いてもよい。この有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
ハードコード76の一定荷重時伸び率EH(以下、伸び率EH)及びソフトコード84の一定荷重時伸び率ES(以下、伸び率ES)は、締付力及び嵌合圧に影響する。このタイヤ62では、嵌合圧の低減の観点から、伸び率EHに対する伸び率ESの比率は、101%以上が好ましく、102%以上がより好ましく、104%以上が特に好ましい。締付力の維持の観点から、この比率は200%以下が好ましい。
このタイヤ62では、コア66の軸方向幅(図4中の両矢印w)は1mm以上50mm以下である。このコア66の半径方向高さ(図4中の両矢印h)は、1mm以上50mm以下である。なお、この幅wは、コア66の軸方向における外端(図4中の符号P1)から内端(図4中の符号P2)までの軸方向長さにより表される。この高さhは、このコア66の半径方向における内端(図4中の符号P3)から外端(図4中の符号P4)までの半径方向長さにより表される。
このタイヤ62では、コア66の断面の面積BAに対する、このコア66のハードユニット70の断面に含まれるハードコード76の断面の面積の総和HAと、このコア66のソフトユニット82の断面に含まれるソフトコード84の断面の面積の総和SAとの和(HA+SA)の比率は、15%以上95%以下が好ましい。この比率が15%以上に設定されることにより、適切な締付力が得られる。この比率が95%以下に設定されることにより、伸縮部72が十分に確保されるので、軽量化と低い嵌合圧とが達成される。なお、コア66の断面の面積BAは、前述の、軸方向幅w及び半径方向高さhの積により表される。
このタイヤ62では、コア66の断面の面積BAに対する、ハードユニット70の断面に含まれるハードコード76の断面の面積の総和HAの比率は、10%以上90%以下が好ましい。この比率が10%以上に設定されることにより、適切な締付力が得られる。この比率が90%以下に設定されることにより、軽量化と低い嵌合圧とが達成される。
このタイヤ62では、コア66の断面の面積BAに対する、ソフトユニット82の断面に含まれるソフトコード84の断面の面積の総和SAの比率は、5%以上80%以下が好ましい。この比率が5%以上に設定されることにより、適切な締付力が得られる。この比率が80%以下に設定されることにより、軽量化と低い嵌合圧とが達成される。
図6に示されているのは、本発明のさらに他の実施形態に係る空気入りタイヤ88の一部である。この図6には、このタイヤ88のビード90の部分が示されている。この図6において、上下方向がタイヤ88の半径方向であり、左右方向がタイヤ88の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ88の周方向である。なお、図6に示されているのは、タイヤ88の半径方向に沿った断面の一部である。この図6において、紙面の右側が軸方向内側であり、その左側が軸方向外側である。
このタイヤ88では、ビード90以外の構成は、図1に示されたタイヤ22と同等である。このタイヤ88は、ビード90以外に、トレッド、サイドウォール、クリンチ、カーカス、ベルト、バンド、インナーライナー、ウィング及びクッション層を備えている。
このタイヤ88では、ビード90はリング状である。ビード90は、コア92と、エイペックス94とを備えている。エイペックス94は、コア92から半径方向外向きに延びている。図示されていないが、エイペックス94は半径方向外向きに先細りである。エイペックス94は、高硬度な架橋ゴムからなる。
このタイヤ88のコア92は、本体96と、伸縮部98とを備えている。このコア92は、本体96と伸縮部98とから構成されている。本体96は、ハードユニット100を備えている。
ハードユニット100は、軸方向において伸縮部98の外側に位置している。ハードユニット100は、周方向に延在するハードコード102を含む。このハードユニット100は、タイヤ88がリムに嵌め合わされたとき、このタイヤ88をリムに締め付ける役割を果たす。
このタイヤ88では、ハードユニット100は周方向にハードコード102を複数回巻き回すことにより形成されている。これにより、ハードコード102の断面が軸方向及び半径方向に整列されたハードユニット100が得られる。図示されているように、ハードユニット100の断面に含まれるハードコード102の断面の数は8である。このタイヤ88のハードユニット100は、周方向にハードコード102を螺旋状に8回巻き回すことにより形成されている。なお、複数本のハードコード102からなる束を周方向に巻き回すことにより、このハードユニット100が形成されてもよい。
このタイヤ88では、ハードコード102の材質としては、スチールが好ましい。このハードコード102は、有機繊維からなるものに比べて伸びにくい。このハードコード102は、タイヤ88のリムへの締め付けに寄与しうる。
このタイヤ88では、ハードコード102としては、図3で示されたような単一の素線からなるものが好ましい。このハードコード102は、複数の素線からなるものに比べて伸びにくい。このハードコード102は、タイヤ88のリムへの締め付けに寄与しうる。
このタイヤ88では、ハードコード102の材質はスチールであり、しかも、このハードコード102は素線からなるのが好ましい。このハードコード102の伸びは小さい。言い換えれば、このハードコード102は非伸縮性である。非伸縮性のハードコード102は、タイヤ88のリムへの締め付けに効果的に寄与しうる。非伸縮性のハードコード102から構成されたハードユニット100は、タイヤ88をリムに堅固に締め付けうる。
このタイヤ88では、コア92の本体96の断面の軸方向外側かつ半径方向内側の部分にハードコード102の一の断面(図6中の符号H)が位置している。前述したように、ハードコード102は非伸縮性である。軸方向外側かつ半径方向内側の部分にハードコード102が位置するように構成されたコア92は、より堅固にタイヤ88をリムに締め付けうる。
このタイヤ88では、ハードコード102は、非伸縮性のものであればよく、その材質がスチールとされた素線に限られない。非伸縮性のものであれば、有機繊維、ガラス繊維又はカーボン繊維からなるものをハードコード102として用いてもよいし、複数の素線からなるものをハードコード102として用いてもよい。この有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
このタイヤ88では、締付力の観点から、ハードコード102の外径dhは0.5mm以上が好ましい。軽量化の観点から、このハードコード102の外径dhは10mm以下が好ましい。
伸縮部98は、軸方向において、本体96の内側に位置している。伸縮部98は、軸方向において、カーカス104をなすカーカスプライ106の主部106aの外側に位置している。この伸縮部98は、軸方向において、本体96と、主部106aとの間に位置している。
このタイヤ88の伸縮部98は、エイペックス94の一部からなる。したがって、この伸縮部98は架橋ゴムからなる。この伸縮部98は、伸縮しうる。前述したように、コア92の本体96の一部をなすハードコード102は非伸縮性である。この伸縮部98は、このハードコード102よりも伸びやすい。
前述したように、このタイヤ88の伸縮部98はエイペックス94の一部からなる。したがって、この伸縮部98は、エイペックス94をなすゴム組成物と同等のゴム組成物から形成されている。なお、この伸縮部98が、エイペックス94をなすゴム組成物とは異なるゴム組成物から形成されてもよい。
このタイヤ88では、コア92の断面における、軸方向内側でかつ半径方向外側の部分が伸縮部98からなる。このタイヤ88では、従来のタイヤ2のコア8において、コード12が存在し、かつ、リムへの嵌合時に大きなテンションがかかる部分に、伸縮部98が位置している。前述したように、伸縮部98はハードコード102よりも伸びやすい。このコア92の変形は容易である。タイヤ88をリムに嵌合させるとき、このタイヤ88のビード90の部分はリムのハンプを乗り越えやすい。このタイヤ88の嵌合圧は低い。このタイヤ88のリムへの嵌合は、容易である。しかもコア92の本体96が締付力に寄与するので、このタイヤ88では、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成される。
このタイヤ88では、伸縮部98はビード90の断面においてハードコード102の断面を少なくとも一つ含みうる大きさを有している。このタイヤ88では、従来のタイヤ2において、コード12で巻回されていた部分が架橋ゴムからなる伸縮部98に置き換えられている。この置き換えは、タイヤ88の軽量化に寄与しうる。しかも伸縮部98が嵌合圧の低減に寄与し、本体96が締付力に寄与しうる。このタイヤ88では、質量を軽減しつつ、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成されうる。
このタイヤ88では、本体96は、ハードユニット100に加え、ソフトユニット108をさらに備えている。つまり、この本体96は、ハードユニット100とソフトユニット108とを備えている。ソフトユニット108は、半径方向において、ハードユニット100の外側に位置している。このソフトユニット108は、軸方向において、ハードユニット100と伸縮部98との間に位置している。
ソフトユニット108は、周方向に延在するソフトコード110を含む。このソフトユニット108は、タイヤ88がリムに嵌め合わされたとき、このタイヤ88をリムに締め付ける役割を果たす。
このタイヤ88では、ソフトユニット108は、ソフトコード110を周方向に複数回巻き回すことにより形成されている。これにより、ソフトコード110の断面が軸方向及び半径方向に整列されたソフトユニット108が得られる。図示されているように、ソフトユニット108の断面に含まれるソフトコード110の断面の数は4である。このタイヤ88のソフトユニット108は、ソフトコード110を周方向に螺旋状に4回巻き回すことにより形成されている。なお、複数本のソフトコード110からなる束を周方向に巻き回すことにより、このソフトユニット108が形成されてもよい。
ソフトコード110は、前述の、ハードコード102よりも伸びやすい。このソフトコード110の伸び率は、ハードコード102の伸び率よりも大きい。このため、タイヤ88をリムに嵌合させるとき、このソフトコード110により構成されたソフトユニット108はコア92の変形を阻害しない。コア92が容易に変形するので、このタイヤ88のビード90の部分はリムのハンプを越えやすい。本発明によれば、低い嵌合圧でタイヤ88をリムに嵌合させることができる。このタイヤ88のリムへの嵌合は、容易である。しかもハードユニット100及びソフトユニット108の相乗効果により、コア92がより堅固にタイヤ88をリムに締め付けうる。このタイヤ88では、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成される。
このタイヤ88では、ソフトコード110としては、例えば、前述の図5(a)から(d)で示された構成を有するものが挙げられる。このソフトコード110は、ハードコード102の伸び率よりも大きな伸び率を有していればよく、その材質がスチールとされた素線を複数本撚り合わせて形成されたものに限られない。ハードコード102よりも伸びやすければ、有機繊維、ガラス繊維又はカーボン繊維からなる原糸をソフトコード110として用いてもよいし、この原糸を複数本撚り合わせて形成されたものをソフトコード110として用いてもよい。この有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
このタイヤ88では、締付力の観点から、ソフトコード110の外径dsは0.5mm以上が好ましい。軽量化の観点から、このソフトコード110の外径dsは30mm以下が好ましい。
ハードコード102の一定荷重時伸び率EH(以下、伸び率EH)及びソフトコード110の一定荷重時伸び率ES(以下、伸び率ES)は、締付力及び嵌合圧に影響する。このタイヤ88では、嵌合圧の低減の観点から、伸び率EHに対する伸び率ESの比率は、101%以上が好ましく、102%以上がより好ましく、104%以上が特に好ましい。締付力の維持の観点から、この比率は200%以下が好ましい。
このタイヤ88では、コア92の軸方向幅(図6中の両矢印w)は1mm以上50mm以下である。このコア92の半径方向高さ(図6中の両矢印h)は、1mm以上50mm以下である。なお、この幅wは、コア92の軸方向における外端(図6中の符号P1)から内端(図6中の符号P2)までの軸方向長さにより表される。この高さhは、このコア92の半径方向における内端(図6中の符号P3)から外端(図6中の符号P4)までの半径方向長さにより表される。
このタイヤ88では、コア92の断面の面積BAに対する、このコア92のハードユニット96の断面に含まれるハードコード102の断面の面積の総和HAと、このコア92のソフトユニット108の断面に含まれるソフトコード110の断面の面積の総和SAとの和(HA+SA)の比率は、15%以上95%以下が好ましい。この比率が15%以上に設定されることにより、適切な締付力が得られる。この比率が95%以下に設定されることにより、伸縮部98が十分に確保されるので、軽量化と低い嵌合圧とが達成される。なお、コア92の断面の面積BAは、前述の、軸方向幅w及び半径方向高さhの積により表される。
このタイヤ62では、コア92の断面の面積BAに対する、ハードユニット96の断面に含まれるハードコード102の断面の面積の総和HAの比率は、10%以上90%以下が好ましい。この比率が10%以上に設定されることにより、適切な締付力が得られる。この比率が90%以下に設定されることにより、軽量化と低い嵌合圧とが達成される。
このタイヤ62では、コア92の断面の面積BAに対する、ソフトユニット108の断面に含まれるソフトコード110の断面の面積の総和SAの比率は、5%以上80%以下が好ましい。この比率が5%以上に設定されることにより、適切な締付力が得られる。この比率が80%以下に設定されることにより、軽量化と低い嵌合圧とが達成される。
図7に示されているのは、本発明のさらに他の実施形態に係る空気入りタイヤ112の一部である。この図7には、このタイヤ112のビード114の部分が示されている。この図7において、上下方向がタイヤ112の半径方向であり、左右方向がタイヤ112の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ112の周方向である。なお、図7に示されているのは、タイヤ112の半径方向に沿った断面の一部である。この図7において、紙面の右側が軸方向内側であり、その左側が軸方向外側である。
このタイヤ112では、ビード114以外の構成は、図1に示されたタイヤ22と同等である。このタイヤ112は、ビード114以外に、トレッド、サイドウォール、クリンチ、カーカス、ベルト、バンド、インナーライナー、ウィング及びクッション層を備えている。
このタイヤ112では、ビード114はリング状である。ビード114は、コア116と、エイペックス118とを備えている。エイペックス118は、コア116から半径方向外向きに延びている。図示されていないが、エイペックス118は半径方向外向きに先細りである。エイペックス118は、高硬度な架橋ゴムからなる。
このタイヤ112のコア116は、本体120と、伸縮部122とを備えている。このコア116は、本体120と伸縮部122とから構成されている。本体120は、ハードユニット124、ミドルユニット126及びソフトユニット128を備えている。
ハードユニット124は、半径方向において、コア116の本体120の内側部分を構成している。ハードユニット124は、周方向に延在するハードコード130を含む。このハードユニット124は、タイヤ112がリムに嵌め合わされたとき、このタイヤ112をリムに締め付ける役割を果たす。
このタイヤ112では、ハードユニット124は周方向にハードコード130を複数回巻き回すことにより形成されている。これにより、ハードコード130の断面が軸方向及び半径方向に整列されたハードユニット124が得られる。図示されているように、ハードユニット124の断面に含まれるハードコード130の断面の数は4である。このタイヤ112のハードユニット124は、周方向にハードコード130を螺旋状に4回巻き回すことにより形成されている。なお、複数本のハードコード130からなる束を周方向に巻き回すことにより、このハードユニット124が形成されてもよい。
このタイヤ112では、ハードコード130の材質としては、スチールが好ましい。このハードコード130は、有機繊維からなるものに比べて伸びにくい。このハードコード130は、タイヤ112のリムへの締め付けに寄与しうる。
このタイヤ112では、ハードコード130としては、図3で示されたような単一の素線からなるものが好ましい。このハードコード130は、複数の素線からなるものに比べて伸びにくい。このハードコード130は、タイヤ112のリムへの締め付けに寄与しうる。
このタイヤ112では、ハードコード130の材質はスチールであり、しかも、このハードコード130は素線からなるのが好ましい。このハードコード130の伸びは小さい。言い換えれば、このハードコード130は非伸縮性である。非伸縮性のハードコード130は、タイヤ112のリムへの締め付けに効果的に寄与しうる。非伸縮性のハードコード130から構成されたハードユニット124は、タイヤ112をリムに堅固に締め付けうる。
このタイヤ112では、コア116の本体120の断面の軸方向外側かつ半径方向内側の部分にハードコード130の一の断面(図7中の符号H)が位置している。前述したように、ハードコード130は非伸縮性である。軸方向外側かつ半径方向内側の部分にハードコード130が位置するように構成されたコア116は、より堅固にタイヤ112をリムに締め付けうる。
このタイヤ112では、ハードコード130は、非伸縮性のものであればよく、その材質がスチールとされた素線に限られない。非伸縮性のものであれば、有機繊維、ガラス繊維又はカーボン繊維からなるものをハードコード130として用いてもよいし、複数の素線からなるものをハードコード130として用いてもよい。この有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
このタイヤ112では、締付力の観点から、ハードコード130の外径dhは0.5mm以上が好ましい。軽量化の観点から、このハードコード130の外径dhは10mm以下が好ましい。
ミドルユニット126は、半径方向において、ハードユニット124の外側に位置している。ミドルニットは、軸方向において、ソフトユニット128の外側に位置している。このミドルユニット126は、軸方向において、ソフトユニット128と、カーカス132をなすカーカスプライ134の折り返し部134bとの間に位置している。
ミドルユニット126は、周方向に延在するミドルコード136を含む。このミドルユニット126は、タイヤ112がリムに嵌め合わされたとき、このタイヤ112をリムに締め付ける役割を果たす。
このタイヤ112では、ミドルユニット126は、ミドルコード136を周方向に複数回巻き回すことにより形成されている。これにより、ミドルコード136の断面が軸方向及び半径方向に整列されたミドルユニット126が得られる。図示されているように、ミドルユニット126の断面に含まれるミドルコード136の断面の数は4である。このタイヤ112のミドルユニット126は、ミドルコード136を周方向に螺旋状に4回巻き回すことにより形成されている。なお、複数本のミドルコード136からなる束を周方向に巻き回すことにより、このミドルユニット126が形成されてもよい。
ミドルコード136は、前述の、ハードコード130よりも伸びやすい。このミドルコード136の伸び率は、ハードコード130の伸び率よりも大きい。このため、タイヤ112をリムに嵌合させるとき、このミドルコード136により構成されたミドルユニット126はコア116の変形を阻害しない。コア116が容易に変形するので、このタイヤ112のビード114の部分はリムのハンプを越えやすい。本発明によれば、低い嵌合圧でタイヤ112をリムに嵌合させることができる。このタイヤ112のリムへの嵌合は、容易である。しかもハードユニット124及びミドルユニット126の相乗効果により、コア116がより堅固にタイヤ112をリムに締め付けうる。このタイヤ112では、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成される。
このタイヤ112では、ミドルコード136としては、例えば、前述の図5(a)から(d)で示された構成を有するものが挙げられる。このミドルコード136は、ハードコード130の伸び率よりも大きな伸び率を有していればよく、その材質がスチールとされた素線を複数本撚り合わせて形成されたものに限られない。ハードコード130よりも伸びやすければ、有機繊維、ガラス繊維又はカーボン繊維からなる原糸をミドルコード136として用いてもよいし、この原糸を複数本撚り合わせて形成されたものをミドルコード136として用いてもよい。この有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
このタイヤ112では、締付力の観点から、ミドルコード136の外径dmは0.5mm以上が好ましい。軽量化の観点から、このミドルコード136の外径dmは30mm以下が好ましい。
ソフトユニット128は、半径方向において、ハードユニット124の外側に位置している。ソフトユニット128は、軸方向において、ミドルユニット126の内側に位置している。このソフトユニット128は、軸方向において、ミドルユニット126と、伸縮部122との間に位置している。
ソフトユニット128は、周方向に延在するソフトコード138を含む。このソフトユニット128は、タイヤ112がリムに嵌め合わされたとき、このタイヤ112をリムに締め付ける役割を果たす。
このタイヤ112では、ソフトユニット128は、ソフトコード138を周方向に複数回巻き回すことにより形成されている。これにより、ソフトコード138の断面が軸方向及び半径方向に整列されたソフトユニット128が得られる。図示されているように、ソフトユニット128の断面に含まれるソフトコード138の断面の数は3である。このタイヤ112のソフトユニット128は、ソフトコード138を周方向に螺旋状に3回巻き回すことにより形成されている。なお、複数本のソフトコード138からなる束を周方向に巻き回すことにより、このソフトユニット128が形成されてもよい。
ソフトコード138は、前述の、ハードコード130よりも伸びやすい。このソフトコード84の伸び率は、ハードコード130の伸び率よりも大きい。このソフトコード138は、前述のミドルコード136よりも伸びやすい。このソフトコード84の伸び率は、ミドルコード136の伸び率よりも大きい。このため、タイヤ112をリムに嵌合させるとき、このソフトコード138により構成されたソフトユニット128はコア116の変形を阻害しない。コア116が容易に変形するので、このタイヤ112のビード114の部分はリムのハンプを越えやすい。本発明によれば、低い嵌合圧でタイヤ112をリムに嵌合させることができる。このタイヤ112のリムへの嵌合は、容易である。しかもハードユニット124、ミドルユニット126及びソフトユニット128の相乗効果により、コア116がより堅固にタイヤ112をリムに締め付けうる。このタイヤ112では、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成される。
このタイヤ112では、ソフトコード138としては、例えば、前述の図5(a)から(d)で示された構成を有するものが挙げられる。このソフトコード138は、ミドルコード136の伸び率よりも大きな伸び率を有していればよく、その材質がスチールとされた素線を複数本撚り合わせて形成されたものに限られない。ミドルコード136よりも伸びやすければ、有機繊維、ガラス繊維又はカーボン繊維からなる原糸をソフトコード138として用いてもよいし、この原糸を複数本撚り合わせて形成されたものをソフトコード138として用いてもよい。この有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
このタイヤ112では、締付力の観点から、ソフトコード138の外径dsは0.5mm以上が好ましい。軽量化の観点から、このソフトコード138の外径dsは30mm以下が好ましい。
このタイヤ112では、コア116の本体120の断面において、ミドルコード136の一の断面(図7中の符号M)がハードコード130の一の断面Hの半径方向外側かつ軸方向内側に位置しており、ソフトコード138の一の断面(図7中の符号S)がこのミドルコード136の一の断面Mの半径方向外側かつ軸方向内側に位置している。この本体120は、その断面の軸方向外側かつ半径方向内側の部分から軸方向内側かつ半径方向外側の部分に向かってこの本体120をなすコード140の伸び率が漸増するように、構成されている。この本体120は、締付力を損なうことなく低い嵌合圧の達成に効果的に寄与しうる。
ハードコード130の一定荷重時伸び率EH(以下、伸び率EH)、ミドルコード136の一定荷重時伸び率EM(以下、伸び率EM)及びソフトコード138の一定荷重時伸び率ES(以下、伸び率ES)は、締付力及び嵌合圧に影響する。
このタイヤ112では、嵌合圧の低減の観点から、伸び率EHに対する伸び率ESの比率は、101%以上が好ましく、102%以上がより好ましく、104%以上がさらに好ましく、108%以上が特に好ましい。締付力の維持の観点から、この比率は200%以下が好ましい。
このタイヤ112では、嵌合圧の低減の観点から、伸び率EHに対する伸び率EMの比率は、101%以上が好ましく、102%以上がより好ましく、104%以上が特に好ましい。締付力の維持の観点から、この比率は200%以下が好ましい。
このタイヤ112では、嵌合圧の低減の観点から、伸び率EMに対する伸び率ESの比率は、101%以上が好ましく、102%以上がより好ましく、104%以上が特に好ましい。締付力の維持の観点から、この比率は200%以下が好ましい。
伸縮部122は、軸方向において、本体120の内側に位置している。伸縮部122は、軸方向において、カーカス132をなすカーカスプライ134の主部134aの外側に位置している。この伸縮部122は、軸方向において、本体120と、主部134aとの間に位置している。
このタイヤ112の伸縮部122は、エイペックス118の一部からなる。したがって、この伸縮部122は架橋ゴムからなる。この伸縮部122は、伸縮しうる。前述したように、コア116の本体120の一部をなすハードコード130は非伸縮性である。この伸縮部122は、このハードコード130よりも伸びやすい。
前述したように、このタイヤ112の伸縮部122はエイペックス118の一部からなる。したがって、この伸縮部122は、エイペックス118をなすゴム組成物と同等のゴム組成物から形成されている。なお、この伸縮部122が、エイペックス118をなすゴム組成物とは異なるゴム組成物から形成されてもよい。
このタイヤ112では、コア116の断面における、軸方向内側でかつ半径方向外側の部分が伸縮部122からなる。このタイヤ112では、従来のタイヤ2のコア8において、コード12が存在し、かつ、リムへの嵌合時に大きなテンションがかかる部分に、伸縮部122が位置している。前述したように、伸縮部122はハードコード130よりも伸びやすい。このため、伸縮部122を有していない従来のコア8に比べて、コア116の変形は容易である。タイヤ112をリムに嵌合させるとき、このタイヤ112のビード114の部分はリムのハンプを乗り越えやすい。このタイヤ112の嵌合圧は低い。このタイヤ112のリムへの嵌合は、容易である。しかもコア116の本体120が締付力に寄与するので、このタイヤ112では、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成される。
このタイヤ112では、伸縮部122はビード114の断面においてハードコード130の断面を少なくとも一つ含みうる大きさを有している。このタイヤ112では、従来のタイヤ2において、コード12で巻回されていた部分が架橋ゴムからなる伸縮部122に置き換えられている。この置き換えは、タイヤ112の軽量化に寄与しうる。しかも伸縮部122が嵌合圧の低減に寄与し、本体120が締付力に寄与しうる。このタイヤ112では、質量を軽減しつつ、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成されうる。
このタイヤ112では、コア116の軸方向幅(図7中の両矢印w)は1mm以上50mm以下である。このコア116の半径方向高さ(図7中の両矢印h)は、1mm以上50mm以下である。なお、この幅wは、コア116の軸方向における外端(図7中の符号P1)から内端(図7中の符号P2)までの軸方向長さにより表される。この高さhは、このコア116の半径方向における内端(図7中の符号P3)から外端(図7中の符号P4)までの半径方向長さにより表される。
このタイヤ112では、コア116の断面の面積BAに対する、このコア116のハードユニット124の断面に含まれるハードコード130の断面の面積の総和HAと、このコア116のミドルユニット126の断面に含まれるミドルコード136の断面の面積の総和MAと、このコア116のソフトユニット128の断面に含まれるソフトコード138の断面の面積の総和SAとの和(HA+MA+SA)の比率は、15%以上95%以下が好ましい。この比率が15%以上に設定されることにより、適切な締付力が得られる。この比率が95%以下に設定されることにより、伸縮部122が十分に確保されるので、軽量化と低い嵌合圧とが達成される。なお、コア116の断面の面積BAは、前述の、軸方向幅w及び半径方向高さhの積により表される。
このタイヤ112では、コア116の断面の面積BAに対する、ハードユニット124の断面に含まれるハードコード130の断面の面積の総和HAの比率は、7%以上87%以下が好ましい。この比率が7%以上に設定されることにより、適切な締付力が得られる。この比率が87%以下に設定されることにより、軽量化と低い嵌合圧とが達成される。
このタイヤ112では、コア116の断面の面積BAに対する、ミドルユニット126の断面に含まれるミドルコード136の断面の面積の総和MAの比率は、5%以上80%以下が好ましい。この比率が5%以上に設定されることにより、適切な締付力が得られる。この比率が80%以下に設定されることにより、軽量化と低い嵌合圧とが達成される。
このタイヤ112では、コア116の断面の面積BAに対する、ソフトユニット128の断面に含まれるソフトコード138の断面の面積の総和SAの比率は、3%以上70%以下が好ましい。この比率が3%以上に設定されることにより、適切な締付力が得られる。この比率が70%以下に設定されることにより、軽量化と低い嵌合圧とが達成される。
図8には、本発明のさらに他の実施形態に係る空気入りタイヤ142が示されている。図8において、上下方向がタイヤ142の半径方向であり、左右方向がタイヤ142の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ142の周方向である。図8において、一点鎖線CLはタイヤ142の赤道面を表わす。このタイヤ142の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。なお、図8に示されているのは、タイヤ142の半径方向に沿った断面である。
このタイヤ142は、トレッド144、サイドウォール146、クリンチ148、ビード150、カーカス152、ベルト154、バンド156、インナーライナー158、ウィング160及びクッション層162を備えている。このタイヤ142は、チューブレスタイプである。このタイヤ142は、乗用車に装着される。このタイヤ142のビード150以外は、図1に示されたタイヤ22の構成と同等の構成を有している。
ビード150は、クリンチ148の軸方向内側に位置している。ビード150は、リング状である。ビード150は、コア164と、エイペックス166とを備えている。エイペックス166は、コア164から半径方向外向きに延びている。エイペックス166は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス166は、高硬度な架橋ゴムからなる。図中、符号KPで示されているのはカーカス152をなすカーカスプライである。カーカスプライKPは、コア164の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。
図9に示されているのは、このビード150の一部をなすコア164の断面である。図9において、上下方向がタイヤ142の半径方向であり、左右方向がタイヤ142の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ142の周方向である。この図9では、紙面の右側が軸方向内側であり、その左側が軸方向外側である。なお、この図9に示されているのは、タイヤ142の半径方向に沿った断面である。
コア164は、ハードユニット168とソフトユニット170とを備えている。このタイヤ142のコア164は、ハードユニット168とソフトユニット170とから構成されている。
ハードユニット168は、半径方向において、コア164の内側部分を構成している。ハードユニット168は、周方向に延在するハードコード172を含む。このハードユニット168は、タイヤ142がリムに嵌め合わされたとき、このタイヤ142をリムに締め付ける役割を果たす。
このタイヤ142では、ハードユニット168は周方向にハードコード172を複数回巻き回すことにより形成されている。これにより、ハードコード172の断面が軸方向及び半径方向に整列されたハードユニット168が得られる。図示されているように、ハードユニット168の断面に含まれるハードコード172の断面の数は4である。このタイヤ142のハードユニット168は、周方向にハードコード172を螺旋状に4回巻き回すことにより形成されている。なお、複数本のハードコード172からなる束を周方向に巻き回すことにより、このハードユニット168が形成されてもよい。
このタイヤ142では、ハードコード172の材質としては、スチールが好ましい。このハードコード172は、有機繊維からなるものに比べて伸びにくい。このハードコード172は、タイヤ142のリムへの締め付けに寄与しうる。
このタイヤ142では、ハードコード172としては、図3で示されたような単一の素線からなるものが好ましい。このハードコード172は、複数の素線からなるものに比べて伸びにくい。このハードコード172は、タイヤ142のリムへの締め付けに寄与しうる。
このタイヤ142では、ハードコード172の材質はスチールであり、しかも、このハードコード172は素線からなるのが好ましい。このハードコード172の伸びは小さい。言い換えれば、このハードコード172は非伸縮性である。非伸縮性のハードコード172は、タイヤ142のリムへの締め付けに効果的に寄与しうる。非伸縮性のハードコード172から構成されたハードユニット168は、タイヤ142をリムに堅固に締め付けうる。
このタイヤ142では、コア164の断面の軸方向外側かつ半径方向内側の部分にハードコード172の一の断面(図9中の符号H)が位置している。前述したように、ハードコード172は非伸縮性である。軸方向外側かつ半径方向内側の部分にハードコード172が位置するように構成されたコア164は、タイヤ142をリムにより堅固に締め付けうる。
このタイヤ142では、ハードコード172は、非伸縮性のものであればよく、その材質がスチールとされた素線に限られない。非伸縮性のものであれば、有機繊維、ガラス繊維又はカーボン繊維からなるものをハードコード172として用いてもよいし、複数の素線からなるものをハードコード172として用いてもよい。この有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
このタイヤ142では、締付力の観点から、ハードコード172の外径dhは0.5mm以上が好ましい。軽量化の観点から、このハードコード172の外径dhは10mm以下が好ましい。
ソフトユニット170は、半径方向において、ハードユニット168の外側に位置している。ソフトユニット170は、周方向に延在するソフトコード174を含む。このソフトユニット170は、タイヤ142がリムに嵌め合わされたとき、このタイヤ142をリムに締め付ける役割を果たす。
このタイヤ142では、ソフトユニット170は、ソフトコード174を周方向に複数回巻き回すことにより形成されている。これにより、ソフトコード174の断面が軸方向及び半径方向に整列されたソフトユニット170が得られる。図示されているように、ソフトユニット170の断面に含まれるソフトコード174の断面の数は20である。このタイヤ142のソフトユニット170は、ソフトコード174を周方向に螺旋状に20回巻き回すことにより形成されている。なお、複数本のソフトコード174からなる束を周方向に巻き回すことにより、このソフトユニット170が形成されてもよい。
ソフトコード174は、前述の、ハードコード172よりも伸びやすい。このソフトコード174の伸び率は、ハードコード172の伸び率よりも大きい。このため、タイヤ142をリムに嵌合させるとき、このソフトコード174により構成されたソフトユニット170はコア164の変形を阻害しない。コア164が容易に変形するので、このタイヤ142のビード150の部分はリムのハンプを越えやすい。本発明によれば、低い嵌合圧でタイヤ142をリムに嵌合させることができる。このタイヤ142のリムへの嵌合は、容易である。
このタイヤ142では、コア164の断面の軸方向内側かつ半径方向外側の部分にソフトコード174の一の断面(図9中の符号S)が位置している。この部分は、従来のタイヤ2のコア8において、リムへの嵌合時に大きなテンションがかかる部分に対応する。ソフトコード174はハードコード172よりも伸びやすいので、コア164の断面の軸方向内側かつ半径方向外側の部分に位置するソフトコード174は、このコア164の変形に効果的に寄与しうる。タイヤ142のビード150の部分がリムのハンプを越えやすいので、低い嵌合圧でタイヤ142をリムに嵌合させることができる。しかもハードユニット168及びソフトユニット170の相乗効果により、コア164がより堅固にタイヤ142をリムに締め付けうる。このタイヤ142では、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成される。
このタイヤ142では、ソフトコード174としては、例えば、前述の図5(a)から(d)で示された構成を有するものが挙げられる。このソフトコード174は、ハードコード172の伸び率よりも大きな伸び率を有していればよく、その材質がスチールとされた素線を複数本撚り合わせて形成されたものに限られない。ハードコード172よりも伸びやすければ、有機繊維、ガラス繊維又はカーボン繊維からなる原糸をソフトコード174として用いてもよいし、この原糸を複数本撚り合わせて形成されたものをソフトコード174として用いてもよい。この有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。タイヤ142の軽量化の観点から、このソフトコード174としては有機繊維からなるものが好ましい。
このタイヤ142では、締付力の観点から、ソフトコード174の外径dsは0.5mm以上が好ましい。軽量化の観点から、このソフトコード174の外径dsは30mm以下が好ましい。
このタイヤ142では、特に、コア164の断面の軸方向外側かつ半径方向内側の部分にハードコード172の一の断面Hが位置し、このコア164の断面の軸方向内側かつ半径方向外側の部分にソフトコード174の一の断面Sが位置している。このようにハードコード172及びソフトコード174が配置されたコア164は、締付力の維持及び嵌合圧の低減に効果的に寄与しうる。後述するように、このタイヤ142では、ハードコード172の一定荷重時伸び率EH(以下、伸び率EH)及びソフトコード174の一定荷重時伸び率ES(以下、伸び率ES)が適切に調整されている。したがって、このタイヤ142では、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成されうる。
ハードコード172の伸び率EH及びソフトコード174の伸び率ESは、締付力及び嵌合圧に影響する。このタイヤ142では、嵌合圧の低減の観点から、伸び率EHに対する伸び率ESの比率は、101%以上が好ましく、102%以上がより好ましく、104%以上が特に好ましい。締付力の維持の観点から、この比率は200%以下が好ましい。
このタイヤ142では、コア164の軸方向幅(図9中の両矢印w)は1mm以上50mm以下である。このコア164の半径方向高さ(図9中の両矢印h)は、1mm以上50mm以下である。なお、この幅wは、コア164の軸方向における外端(図9中の符号P1)から内端(図9中の符号P2)までの軸方向長さにより表される。この高さhは、このコア164の半径方向における内端(図9中の符号P3)から外端(図9中の符号P4)までの半径方向長さにより表される。
このタイヤ142では、コア164の断面の面積BAに対する、このコア164のハードユニット168の断面に含まれるハードコード172の断面の面積の総和HAの比率は、10%以上95%以下が好ましい。この比率が10%以上に設定されることにより、適切な締付力が得られる。この比率が95%以下に設定されることにより、軽量化と低い嵌合圧とが達成される。なお、コア164の断面の面積BAは、前述の、軸方向幅w及び半径方向高さhの積により表される。
このタイヤ142では、コア164の断面の面積BAに対する、ソフトユニット170の断面に含まれるソフトコード174の断面の面積の総和SAの比率は、5%以上90%以下が好ましい。この比率が5%以上に設定されることにより、適切な締付力が得られる。この比率が90%以下に設定されることにより、軽量化と低い嵌合圧とが達成される。
図10に示されているのは、本発明のさらに他の実施形態に係る空気入りタイヤ176の一部である。この図10には、このタイヤ176のビード178の部分が示されている。この図10において、上下方向がタイヤ176の半径方向であり、左右方向がタイヤ176の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ176の周方向である。なお、図10に示されているのは、タイヤ176の半径方向に沿った断面の一部である。この図10において、紙面の右側が軸方向内側であり、その左側が軸方向外側である。
このタイヤ176では、ビード178以外の構成は、図8に示されたタイヤ142と同等である。このビード178以外の構成は、図1に示されたタイヤ22とも同等である。このタイヤ176は、ビード178以外に、トレッド、サイドウォール、クリンチ、カーカス、ベルト、バンド、インナーライナー、ウィング及びクッション層を備えている。
ビード178は、リング状である。ビード178は、コア180と、エイペックス182とを備えている。エイペックス182は、コア180から半径方向外向きに延びている。エイペックス182は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス182は、高硬度な架橋ゴムからなる。図中、符号Kで示されているのはカーカスである。符号KPで示されているのは、このカーカスKをなすカーカスプライである。カーカスプライKPは、コア180の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。
コア180は、ハードユニット184とソフトユニット186とを備えている。このタイヤ176のコア180は、ハードユニット184とソフトユニット186とから構成されている。
ハードユニット184は、半径方向において、コア180の内側部分を構成している。ハードユニット184は、周方向に延在するハードコード188を含む。このハードユニット184は、タイヤ176がリムに嵌め合わされたとき、このタイヤ176をリムに締め付ける役割を果たす。
このタイヤ176では、ハードユニット184は周方向にハードコード188を複数回巻き回すことにより形成されている。これにより、ハードコード188の断面が軸方向及び半径方向に整列されたハードユニット184が得られる。図示されているように、ハードユニット184の断面に含まれるハードコード188の断面の数は8である。このタイヤ176のハードユニット184は、周方向にハードコード188を螺旋状に8回巻き回すことにより形成されている。なお、複数本のハードコード188からなる束を周方向に巻き回すことにより、このハードユニット184が形成されてもよい。
このタイヤ176では、ハードコード188の材質としては、スチールが好ましい。このハードコード188は、有機繊維からなるものに比べて伸びにくい。このハードコード188は、タイヤ176のリムへの締め付けに寄与しうる。
このタイヤ176では、ハードコード188としては、図3で示されたような単一の素線からなるものが好ましい。このハードコード188は、複数の素線からなるものに比べて伸びにくい。このハードコード188は、タイヤ176のリムへの締め付けに寄与しうる。
このタイヤ176では、ハードコード188の材質はスチールであり、しかも、このハードコード188は素線からなるのが好ましい。このハードコード188の伸びは小さい。言い換えれば、このハードコード188は非伸縮性である。非伸縮性のハードコード188は、タイヤ176のリムへの締め付けに効果的に寄与しうる。非伸縮性のハードコード188から構成されたハードユニット184は、タイヤ176をリムに堅固に締め付けうる。
このタイヤ176では、コア180の断面の軸方向外側かつ半径方向内側の部分にハードコード188の一の断面(図10中の符号H)が位置している。前述したように、ハードコード188は非伸縮性である。軸方向外側かつ半径方向内側の部分にハードコード188が位置するように構成されたコア180は、タイヤ176をリムにより堅固に締め付けうる。
このタイヤ176では、ハードコード188は、非伸縮性を有していればよく、その材質がスチールとされた素線に限られない。非伸縮性のものであれば、有機繊維、ガラス繊維又はカーボン繊維からなるものをハードコード188として用いてもよいし、複数の素線からなるものをハードコード188として用いてもよい。この有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
このタイヤ176では、締付力の観点から、ハードコード188の外径dhは0.5mm以上が好ましい。軽量化の観点から、このハードコード188の外径dhは10mm以下が好ましい。
ソフトユニット186は、半径方向において、ハードユニット184の外側に位置している。ソフトユニット186は、周方向に延在するソフトコード190を含む。このソフトユニット186は、タイヤ176がリムに嵌め合わされたとき、このタイヤ176をリムに締め付ける役割を果たす。
このタイヤ176では、ソフトユニット186は、ソフトコード190を周方向に複数回巻き回すことにより形成されている。これにより、ソフトコード190の断面が軸方向及び半径方向に整列されたソフトユニット186が得られる。図示されているように、ソフトユニット186の断面に含まれるソフトコード190の断面の数は10である。このタイヤ176のソフトユニット186は、ソフトコード190を周方向に螺旋状に10回巻き回すことにより形成されている。なお、複数本のソフトコード190からなる束を周方向に巻き回すことにより、このソフトユニット186が形成されてもよい。
ソフトコード190は、前述の、ハードコード188よりも伸びやすい。このソフトコード190の伸び率は、ハードコード188の伸び率よりも大きい。このため、タイヤ176をリムに嵌合させるとき、このソフトコード190により構成されたソフトユニット186はコア180の変形を阻害しない。コア180が容易に変形するので、このタイヤ176のビード178の部分はリムのハンプを越えやすい。本発明によれば、低い嵌合圧でタイヤ176をリムに嵌合させることができる。このタイヤ176のリムへの嵌合は、容易である。
このタイヤ176では、コア180の断面の軸方向内側かつ半径方向外側の部分にソフトコード190の一の断面(図10中の符号S)が位置している。この部分は、従来のタイヤ2のコア8において、リムへの嵌合時に大きなテンションがかかる部分に対応する。ソフトコード190はハードコード188よりも伸びやすいので、コア180の断面の軸方向内側かつ半径方向外側の部分に位置するソフトコード190は、このコア180の変形に効果的に寄与しうる。タイヤ176のビード178の部分がリムのハンプを越えやすいので、低い嵌合圧でタイヤ176をリムに嵌合させることができる。しかもハードユニット184及びソフトユニット186の相乗効果により、コア180がより堅固にタイヤ176をリムに締め付けうる。このタイヤ176では、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成される。
このタイヤ176では、ソフトコード190としては、例えば、前述の図5(a)から(d)で示された構成を有するものが挙げられる。このソフトコード190は、ハードコード188の伸び率よりも大きな伸び率を有していればよく、その材質がスチールとされた素線を複数本撚り合わせて形成されたものに限られない。ハードコード188よりも伸びやすければ、有機繊維、ガラス繊維又はカーボン繊維からなる原糸をソフトコード190として用いてもよいし、この原糸を複数本撚り合わせて形成されたものをソフトコード190として用いてもよい。この有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。タイヤ176の軽量化の観点から、このソフトコード190としては有機繊維からなるものが好ましい。
このタイヤ176では、締付力の観点から、ソフトコード190の外径dsは0.5mm以上が好ましい。軽量化の観点から、このソフトコード190の外径dsは30mm以下が好ましい。
このタイヤ176では、特に、コア180の断面の軸方向外側かつ半径方向内側の部分にハードコード188の一の断面Hが位置し、このコア180の断面の軸方向内側かつ半径方向外側の部分にソフトコード190の一の断面Sが位置している。このようにハードコード188及びソフトコード190が配置されたコア180は、締付力の維持及び嵌合圧の低減に効果的に寄与しうる。後述するように、このタイヤ176では、ハードコード188の一定荷重時伸び率EH(以下、伸び率EH)及びソフトコード190の一定荷重時伸び率ES(以下、伸び率ES)が適切に調整されている。したがって、このタイヤ176では、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成されうる。
ハードコード188の伸び率EH及びソフトコード190の伸び率ESは、締付力及び嵌合圧に影響する。このタイヤ176では、嵌合圧の低減の観点から、伸び率EHに対する伸び率ESの比率は、101%以上が好ましく、102%以上がより好ましく、104%以上が特に好ましい。締付力の維持の観点から、この比率は200%以下が好ましい。
このタイヤ176では、コア180の軸方向幅(図10中の両矢印w)は1mm以上50mm以下である。このコア180の半径方向高さ(図10中の両矢印h)は、1mm以上50mm以下である。なお、この幅wは、コア180の軸方向における外端(図10中の符号P1)から内端(図10中の符号P2)までの軸方向長さにより表される。この高さhは、このコア180の半径方向における内端(図10中の符号P3)から外端(図10中の符号P4)までの半径方向長さにより表される。
このタイヤ176では、コア180の断面の面積BAに対する、このコア180のハードユニット184の断面に含まれるハードコード188の断面の面積の総和HAの比率は、20%以上95%以下が好ましい。この比率が20%以上に設定されることにより、適切な締付力が得られる。この比率が95%以下に設定されることにより、軽量化と低い嵌合圧とが達成される。なお、コア180の断面の面積BAは、前述の、軸方向幅w及び半径方向高さhの積により表される。
このタイヤ176では、コア180の断面の面積BAに対する、ソフトユニット186の断面に含まれるソフトコード190の断面の面積の総和SAの比率は、5%以上80%以下が好ましい。この比率が5%以上に設定されることにより、適切な締付力が得られる。この比率が80%以下に設定されることにより、軽量化と低い嵌合圧とが達成される。
図11に示されているのは、本発明のさらに他の実施形態に係る空気入りタイヤ192の一部である。この図11には、このタイヤ192のビード194の部分が示されている。この図11において、上下方向がタイヤ192の半径方向であり、左右方向がタイヤ192の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ192の周方向である。なお、図11に示されているのは、タイヤ192の半径方向に沿った断面の一部である。この図11において、紙面の右側が軸方向内側であり、その左側が軸方向外側である。
このタイヤ192では、ビード194以外の構成は、図8に示されたタイヤ142と同等である。このビード194以外の構成は、図1に示されたタイヤ22とも同等である。このタイヤ192は、ビード194以外に、トレッド、サイドウォール、クリンチ、カーカス、ベルト、バンド、インナーライナー、ウィング及びクッション層を備えている。
ビード194は、リング状である。ビード194は、コア196と、エイペックス198とを備えている。エイペックス198は、コア196から半径方向外向きに延びている。エイペックス198は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス198は、高硬度な架橋ゴムからなる。図中、符号Kで示されているのはカーカスである。符号KPで示されているのは、このカーカスKをなすカーカスプライである。カーカスプライKPは、コア196の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。
コア196は、ハードユニット200とソフトユニット202とを備えている。このタイヤ192のコア196は、ハードユニット200とソフトユニット202とから構成されている。
ハードユニット200は、半径方向において、コア196の内側部分を構成している。ハードユニット200は、周方向に延在するハードコード204を含む。このハードユニット200は、タイヤ192がリムに嵌め合わされたとき、このタイヤ192をリムに締め付ける役割を果たす。
このタイヤ192では、ハードユニット200は周方向にハードコード204を複数回巻き回すことにより形成されている。これにより、ハードコード204の断面が軸方向及び半径方向に整列されたハードユニット200が得られる。図示されているように、ハードユニット200の断面に含まれるハードコード204の断面の数は10である。このタイヤ192のハードユニット200は、周方向にハードコード204を螺旋状に10回巻き回すことにより形成されている。なお、複数本のハードコード204からなる束を周方向に巻き回すことにより、このハードユニット200が形成されてもよい。
このタイヤ192では、ハードコード204の材質としては、スチールが好ましい。このハードコード204は、有機繊維からなるものに比べて伸びにくい。このハードコード204は、タイヤ192のリムへの締め付けに寄与しうる。
このタイヤ192では、ハードコード204としては、図3で示されたような単一の素線からなるものが好ましい。このハードコード204は、複数の素線からなるものに比べて伸びにくい。このハードコード204は、タイヤ192のリムへの締め付けに寄与しうる。
このタイヤ192では、ハードコード204の材質はスチールであり、しかも、このハードコード204は素線からなるのが好ましい。このハードコード204の伸びは小さい。言い換えれば、このハードコード204は非伸縮性である。非伸縮性のハードコード204は、タイヤ192のリムへの締め付けに効果的に寄与しうる。非伸縮性のハードコード204から構成されたハードユニット200は、タイヤ192をリムに堅固に締め付けうる。
このタイヤ192では、コア196の断面の軸方向外側かつ半径方向内側の部分にハードコード204の一の断面(図11中の符号H)が位置している。前述したように、ハードコード204は非伸縮性である。軸方向外側かつ半径方向内側の部分にハードコード204が位置するように構成されたコア196は、タイヤ192をリムにより堅固に締め付けうる。
このタイヤ192では、ハードコード204は、非伸縮性のものであればよく、その材質がスチールとされた素線に限られない。非伸縮性のものであれば、有機繊維、ガラス繊維又はカーボン繊維からなるものをハードコード204として用いてもよいし、複数の素線からなるものをハードコード204として用いてもよい。この有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
このタイヤ192では、締付力の観点から、ハードコード204の外径dhは0.5mm以上が好ましい。軽量化の観点から、このハードコード204の外径dhは10mm以下が好ましい。
ソフトユニット202は、半径方向において、ハードユニット200の外側に位置している。ソフトユニット202は、周方向に延在するソフトコード206を含む。このソフトユニット202は、タイヤ192がリムに嵌め合わされたとき、このタイヤ192をリムに締め付ける役割を果たす。
このタイヤ192では、ソフトユニット202は、ソフトコード206を周方向に複数回巻き回すことにより形成されている。これにより、ソフトコード206の断面が軸方向及び半径方向に整列されたソフトユニット202が得られる。図示されているように、ソフトユニット202の断面に含まれるソフトコード206の断面の数は2である。このタイヤ192のソフトユニット202は、ソフトコード206を周方向に螺旋状に2回巻き回すことにより形成されている。なお、2本のソフトコード206からなる束を周方向に巻き回すことにより、このソフトユニット202が形成されてもよい。
ソフトコード206は、前述の、ハードコード204よりも伸びやすい。このソフトコード206の伸び率は、ハードコード204の伸び率よりも大きい。このため、タイヤ192をリムに嵌合させるとき、このソフトコード206により構成されたソフトユニット202はコア196の変形を阻害しない。コア196が容易に変形するので、このタイヤ192のビード194の部分はリムのハンプを越えやすい。本発明によれば、低い嵌合圧でタイヤ192をリムに嵌合させることができる。このタイヤ192のリムへの嵌合は、容易である。
このタイヤ192では、コア196の断面の軸方向内側かつ半径方向外側の部分にソフトコード206の一の断面(図11中の符号S)が位置している。この部分は、従来のタイヤ2のコア8において、リムへの嵌合時に大きなテンションがかかる部分に対応する。ソフトコード206はハードコード204よりも伸びやすいので、コア196の断面の軸方向内側かつ半径方向外側の部分に位置するソフトコード206は、このコア196の変形に効果的に寄与しうる。タイヤ192のビード194の部分がリムのハンプを越えやすいので、低い嵌合圧でタイヤ192をリムに嵌合させることができる。しかもハードユニット200及びソフトユニット202の相乗効果により、コア196がより堅固にタイヤ192をリムに締め付けうる。このタイヤ192では、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成される。
このタイヤ192では、ソフトコード206としては、例えば、前述の図5(a)から(d)で示された構成を有するものが挙げられる。このソフトコード206は、ハードコード204の伸び率よりも大きな伸び率を有していればよく、その材質がスチールとされた素線を複数本撚り合わせて形成されたものに限られない。ハードコード204よりも伸びやすければ、有機繊維、ガラス繊維又はカーボン繊維からなる原糸をソフトコード206として用いてもよいし、この原糸を複数本撚り合わせて形成されたものをソフトコード206として用いてもよい。この有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。タイヤ192の軽量化の観点から、このソフトコード206としては有機繊維からなるものが好ましい。
このタイヤ192では、締付力の観点から、ソフトコード206の外径dsは0.5mm以上が好ましい。軽量化の観点から、このソフトコード206の外径dsは30mm以下が好ましい。
このタイヤ192では、特に、コア196の断面の軸方向外側かつ半径方向内側の部分にハードコード204の一の断面Hが位置し、このコア196の断面の軸方向内側かつ半径方向外側の部分にソフトコード206の一の断面Sが位置している。このようにハードコード204及びソフトコード206が配置されたコア196は、締付力の維持及び嵌合圧の低減に効果的に寄与しうる。後述するように、このタイヤ192では、ハードコード204の一定荷重時伸び率EH(以下、伸び率EH)及びソフトコード206の一定荷重時伸び率ES(以下、伸び率ES)が適切に調整されている。したがって、このタイヤ192では、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成されうる。
ハードコード204の伸び率EH及びソフトコード206の伸び率ESは、締付力及び嵌合圧に影響する。このタイヤ192では、嵌合圧の低減の観点から、伸び率EHに対する伸び率ESの比率は、101%以上が好ましく、102%以上がより好ましく、104%以上が特に好ましい。締付力の維持の観点から、この比率は200%以下が好ましい。
このタイヤ192では、コア196の軸方向幅(図11中の両矢印w)は1mm以上50mm以下である。このコア196の半径方向高さ(図11中の両矢印h)は、1mm以上50mm以下である。なお、この幅wは、コア196の軸方向における外端(図11中の符号P1)から内端(図11中の符号P2)までの軸方向長さにより表される。この高さhは、このコア196の半径方向における内端(図11中の符号P3)から外端(図11中の符号P4)までの半径方向長さにより表される。
このタイヤ192では、コア196の断面の面積BAに対する、このコア196のハードユニット200の断面に含まれるハードコード204の断面の面積の総和HAの比率は、20%以上95%以下が好ましい。この比率が20%以上に設定されることにより、適切な締付力が得られる。この比率が95%以下に設定されることにより、軽量化と低い嵌合圧とが達成される。なお、コア196の断面の面積BAは、前述の、軸方向幅w及び半径方向高さhの積により表される。
このタイヤ192では、コア196の断面の面積BAに対する、ソフトユニット202の断面に含まれるソフトコード206の断面の面積の総和SAの比率は、5%以上80%以下が好ましい。この比率が5%以上に設定されることにより、適切な締付力が得られる。この比率が80%以下に設定されることにより、軽量化と低い嵌合圧とが達成される。
図12に示されているのは、本発明のさらに他の実施形態に係る空気入りタイヤ208の一部である。この図12には、このタイヤ208のビード210の部分が示されている。この図12において、上下方向がタイヤ208の半径方向であり、左右方向がタイヤ208の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ208の周方向である。なお、図12に示されているのは、タイヤ208の半径方向に沿った断面の一部である。この図12において、紙面の右側が軸方向内側であり、その左側が軸方向外側である。
このタイヤ208では、ビード210以外の構成は、図8に示されたタイヤ142と同等である。このビード210以外の構成は、図1に示されたタイヤ22とも同等である。このタイヤ208は、ビード210以外に、トレッド、サイドウォール、クリンチ、カーカス、ベルト、バンド、インナーライナー、ウィング及びクッション層を備えている。
ビード210は、リング状である。ビード210は、コア212と、エイペックス214とを備えている。エイペックス214は、コア212から半径方向外向きに延びている。エイペックス214は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス214は、高硬度な架橋ゴムからなる。図中、符号Kで示されているのはカーカスである。符号KPで示されているのは、このカーカスKをなすカーカスプライである。カーカスプライKPは、コア212の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。
コア212は、ハードユニット216とソフトユニット218とを備えている。このタイヤ208のコア212は、ハードユニット216とソフトユニット218とから構成されている。
ハードユニット216は、軸方向において、コア212の外側部分を構成している。ハードユニット216は、周方向に延在するハードコード220を含む。このハードユニット216は、タイヤ208がリムに嵌め合わされたとき、このタイヤ208をリムに締め付ける役割を果たす。
このタイヤ208では、ハードユニット216は周方向にハードコード220を複数回巻き回すことにより形成されている。これにより、ハードコード220の断面が軸方向及び半径方向に整列されたハードユニット216が得られる。図示されているように、ハードユニット216の断面に含まれるハードコード220の断面の数は3である。このタイヤ208のハードユニット216は、周方向にハードコード220を螺旋状に3回巻き回すことにより形成されている。なお、複数本のハードコード220からなる束を周方向に巻き回すことにより、このハードユニット216が形成されてもよい。
このタイヤ208では、ハードコード220の材質としては、スチールが好ましい。このハードコード220は、有機繊維からなるものに比べて伸びにくい。このハードコード220は、タイヤ208のリムへの締め付けに寄与しうる。
このタイヤ208では、ハードコード220としては、図3で示されたような単一の素線からなるものが好ましい。このハードコード220は、複数の素線からなるものに比べて伸びにくい。このハードコード220は、タイヤ208のリムへの締め付けに寄与しうる。
このタイヤ208では、ハードコード220の材質はスチールであり、しかも、このハードコード220は素線からなるのが好ましい。このハードコード220の伸びは小さい。言い換えれば、このハードコード220は非伸縮性である。非伸縮性のハードコード220は、タイヤ208のリムへの締め付けに効果的に寄与しうる。非伸縮性のハードコード220から構成されたハードユニット216は、タイヤ208をリムに堅固に締め付けうる。
このタイヤ208では、コア212の断面の軸方向外側かつ半径方向内側の部分にハードコード220の一の断面(図12中の符号H)が位置している。前述したように、ハードコード220は非伸縮性である。軸方向外側かつ半径方向内側の部分にハードコード220が位置するように構成されたコア212は、タイヤ208をリムにより堅固に締め付けうる。
このタイヤ208では、ハードコード220は、非伸縮性のものであればよく、その材質がスチールとされた素線に限られない。非伸縮性のものであれば、有機繊維、ガラス繊維又はカーボン繊維からなるものをハードコード220として用いてもよいし、複数の素線からなるものをハードコード220として用いてもよい。この有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
このタイヤ208では、締付力の観点から、ハードコード220の外径dhは0.5mm以上が好ましい。軽量化の観点から、このハードコード220の外径dhは10mm以下が好ましい。
ソフトユニット218は、軸方向において、ハードユニット216の内側に位置している。ソフトユニット218は、周方向に延在するソフトコード222を含む。このソフトユニット218は、タイヤ208がリムに嵌め合わされたとき、このタイヤ208をリムに締め付ける役割を果たす。
このタイヤ208では、ソフトユニット218は、ソフトコード222を周方向に複数回巻き回すことにより形成されている。これにより、ソフトコード222の断面が軸方向及び半径方向に整列されたソフトユニット218が得られる。図示されているように、ソフトユニット218の断面に含まれるミドルコード136の断面の数は20である。このタイヤ208のソフトユニット218は、ソフトコード222を周方向に螺旋状に20回巻き回すことにより形成されている。なお、複数本のソフトコード222からなる束を周方向に巻き回すことにより、このソフトユニット218が形成されてもよい。
ソフトコード222は、前述の、ハードコード220よりも伸びやすい。このソフトコード222の伸び率は、ハードコード220の伸び率よりも大きい。このため、タイヤ208をリムに嵌合させるとき、このソフトコード222により構成されたソフトユニット218はコア212の変形を阻害しない。コア212が容易に変形するので、このタイヤ208のビード210の部分はリムのハンプを越えやすい。本発明によれば、低い嵌合圧でタイヤ208をリムに嵌合させることができる。このタイヤ208のリムへの嵌合は、容易である。
このタイヤ208では、コア212の断面の軸方向内側かつ半径方向外側の部分にソフトコード222の一の断面(図12中の符号S)が位置している。この部分は、従来のタイヤ2のコア8において、リムへの嵌合時に大きなテンションがかかる部分に対応する。ソフトコード222はハードコード220よりも伸びやすいので、コア212の断面の軸方向内側かつ半径方向外側の部分に位置するソフトコード222は、このコア212の変形に効果的に寄与しうる。タイヤ208のビード210の部分がリムのハンプを越えやすいので、低い嵌合圧でタイヤ208をリムに嵌合させることができる。しかもハードユニット216及びソフトユニット218の相乗効果により、コア212がより堅固にタイヤ208をリムに締め付けうる。このタイヤ208では、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成される。
このタイヤ208では、ソフトコード222としては、例えば、前述の図5(a)から(d)で示された構成を有するものが挙げられる。このソフトコード222は、ハードコード220の伸び率よりも大きな伸び率を有していればよく、その材質がスチールとされた素線を複数本撚り合わせて形成されたものに限られない。ハードコード220よりも伸びやすければ、有機繊維、ガラス繊維又はカーボン繊維からなる原糸をソフトコード222として用いてもよいし、この原糸を複数本撚り合わせて形成されたものをソフトコード222として用いてもよい。この有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。タイヤ208の軽量化の観点から、このソフトコード222としては有機繊維からなるものが好ましい。
このタイヤ208では、締付力の観点から、ソフトコード222の外径dsは0.5mm以上が好ましい。軽量化の観点から、このソフトコード222の外径dsは30mm以下が好ましい。
このタイヤ208では、特に、コア212の断面の軸方向外側かつ半径方向内側の部分にハードコード220の一の断面Hが位置し、このコア212の断面の軸方向内側かつ半径方向外側の部分にソフトコード222の一の断面Sが位置している。このようにハードコード220及びソフトコード222が配置されたコア212は、締付力の維持及び嵌合圧の低減に効果的に寄与しうる。後述するように、このタイヤ208では、ハードコード220の一定荷重時伸び率EH(以下、伸び率EH)及びソフトコード222の一定荷重時伸び率ES(以下、伸び率ES)が適切に調整されている。したがって、このタイヤ208では、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成されうる。
ハードコード220の伸び率EH及びソフトコード222の伸び率ESは、締付力及び嵌合圧に影響する。このタイヤ208では、嵌合圧の低減の観点から、伸び率EHに対する伸び率ESの比率は、101%以上が好ましく、102%以上がより好ましく、104%以上が特に好ましい。締付力の維持の観点から、この比率は200%以下が好ましい。
このタイヤ208では、コア212の軸方向幅(図12中の両矢印w)は1mm以上50mm以下である。このコア212の半径方向高さ(図12中の両矢印h)は、1mm以上50mm以下である。なお、この幅wは、コア212の軸方向における外端(図12中の符号P1)から内端(図12中の符号P2)までの軸方向長さにより表される。この高さhは、このコア212の半径方向における内端(図12中の符号P3)から外端(図12中の符号P4)までの半径方向長さにより表される。
このタイヤ208では、コア212の断面の面積BAに対する、このコア212のハードユニット216の断面に含まれるハードコード220の断面の面積の総和HAの比率は、20%以上95%以下が好ましい。この比率が20%以上に設定されることにより、適切な締付力が得られる。この比率が95%以下に設定されることにより、軽量化と低い嵌合圧とが達成される。なお、コア212の断面の面積BAは、前述の、軸方向幅w及び半径方向高さhの積により表される。
このタイヤ208では、コア212の断面の面積BAに対する、ソフトユニット218の断面に含まれるソフトコード222の断面の面積の総和SAの比率は、5%以上80%以下が好ましい。この比率が5%以上に設定されることにより、適切な締付力が得られる。この比率が80%以下に設定されることにより、軽量化と低い嵌合圧とが達成される。
図13に示されているのは、本発明のさらに他の実施形態に係る空気入りタイヤ224の一部である。この図13には、このタイヤ224のビード226の部分が示されている。この図13において、上下方向がタイヤ224の半径方向であり、左右方向がタイヤ224の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ224の周方向である。なお、図13に示されているのは、タイヤ224の半径方向に沿った断面の一部である。この図13において、紙面の右側が軸方向内側であり、その左側が軸方向外側である。
このタイヤ224では、ビード226以外の構成は、図8に示されたタイヤ142と同等である。このビード226以外の構成は、図1に示されたタイヤ22とも同等である。このタイヤ224は、ビード226以外に、トレッド、サイドウォール、クリンチ、カーカス、ベルト、バンド、インナーライナー、ウィング及びクッション層を備えている。
ビード226は、リング状である。ビード226は、コア228と、エイペックス230とを備えている。エイペックス230は、コア228から半径方向外向きに延びている。エイペックス230は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス230は、高硬度な架橋ゴムからなる。図中、符号Kで示されているのはカーカスである。符号KPで示されているのは、このカーカスKをなすカーカスプライである。カーカスプライKPは、コア228の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。
コア228は、ハードユニット232、第一ミドルユニット234、第二ミドルユニット236及びソフトユニット238を備えている。このタイヤ224のコア228は、ハードユニット232、第一ミドルユニット234、第二ミドルユニット236及びソフトユニット238から構成されている。
ハードユニット232は、コア228の、半径方向における内側部分及び軸方向における外側部分を構成している。ハードユニット232は、周方向に延在するハードコード240を含む。このハードユニット232は、タイヤ224がリムに嵌め合わされたとき、このタイヤ224をリムに締め付ける役割を果たす。
このタイヤ224では、ハードユニット232は周方向にハードコード240を複数回巻き回すことにより形成されている。これにより、ハードコード240の断面が軸方向及び半径方向に整列されたハードユニット232が得られる。図示されているように、ハードユニット232の断面に含まれるハードコード240の断面の数は7である。このタイヤ224のハードユニット232は、周方向にハードコード240を螺旋状に7回巻き回すことにより形成されている。なお、複数本のハードコード240からなる束を周方向に巻き回すことにより、このハードユニット232が形成されてもよい。
このタイヤ224では、ハードコード240の材質としては、スチールが好ましい。このハードコード240は、有機繊維からなるものに比べて伸びにくい。このハードコード240は、タイヤ224のリムへの締め付けに寄与しうる。
このタイヤ224では、ハードコード240としては、図3で示されたような単一の素線からなるものが好ましい。このハードコード240は、複数の素線からなるものに比べて伸びにくい。このハードコード240は、タイヤ224のリムへの締め付けに寄与しうる。
このタイヤ224では、ハードコード240の材質はスチールであり、しかも、このハードコード240は素線からなるのが好ましい。このハードコード240の伸びは小さい。言い換えれば、このハードコード240は非伸縮性である。非伸縮性のハードコード240は、タイヤ224のリムへの締め付けに効果的に寄与しうる。非伸縮性のハードコード240から構成されたハードユニット232は、タイヤ224をリムに堅固に締め付けうる。
このタイヤ224では、コア228の断面の軸方向外側かつ半径方向内側の部分にハードコード240の一の断面(図13中の符号H)が位置している。前述したように、ハードコード240は非伸縮性である。軸方向外側かつ半径方向内側の部分にハードコード240が位置するように構成されたコア228は、タイヤ224をリムにより堅固に締め付けうる。
このタイヤ224では、ハードコード240は、非伸縮性のものであればよく、その材質がスチールとされた素線に限られない。非伸縮性のものであれば、有機繊維、ガラス繊維又はカーボン繊維からなるものをハードコード240として用いてもよいし、複数の素線からなるものをハードコード240として用いてもよい。この有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
このタイヤ224では、締付力の観点から、ハードコード240の外径dhは0.5mm以上が好ましい。軽量化の観点から、このハードコード240の外径dhは10mm以下が好ましい。
第一ミドルユニット234は、半径方向において、ハードユニット232の外側に位置している。この第一ミドルユニット234は、軸方向において、ハードユニット232の内側に位置している。この第一ミドルユニット234は、ハードユニット232と第二ミドルユニット236との間に位置している。この第一ミドルユニット234は、周方向に延在する第一ミドルコード242を含む。この第一ミドルユニット234は、タイヤ224がリムに嵌め合わされたとき、このタイヤ224をリムに締め付ける役割を果たす。
このタイヤ224では、第一ミドルユニット234は、第一ミドルコード242を周方向に複数回巻き回すことにより形成されている。これにより、第一ミドルコード242の断面が軸方向及び半径方向に整列された第一ミドルユニット234が得られる。図示されているように、第一ミドルユニット234の断面に含まれる第一ミドルコード242の断面の数は5である。このタイヤ224の第一ミドルユニット234は、第一ミドルコード242を周方向に螺旋状に5回巻き回すことにより形成されている。なお、複数本の第一ミドルコード242からなる束を周方向に巻き回すことにより、この第一ミドルユニット234が形成されてもよい。
第一ミドルコード242は、前述の、ハードコード240よりも伸びやすい。この第一ミドルコード242の伸び率は、ハードコード240の伸び率よりも大きい。このため、タイヤ224をリムに嵌合させるとき、この第一ミドルコード242により構成された第一ミドルユニット234はコア228の変形を阻害しない。コア228が容易に変形するので、このタイヤ224のビード226の部分はリムのハンプを越えやすい。本発明によれば、低い嵌合圧でタイヤ224をリムに嵌合させることができる。このタイヤ224のリムへの嵌合は、容易である。
このタイヤ224では、第一ミドルコード242としては、例えば、前述の図5(a)から(d)で示された構成を有するものが挙げられる。この第一ミドルコード242は、、ハードコード240の伸び率よりも大きな伸び率を有していればよく、その材質がスチールとされた素線を複数本撚り合わせて形成されたものに限られない。ハードコード240よりも伸びやすければ、有機繊維、ガラス繊維又はカーボン繊維からなる原糸を第一ミドルコード242として用いてもよいし、この原糸を複数本撚り合わせて形成されたものを第一ミドルコード242として用いてもよい。この有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。タイヤ224の軽量化の観点から、この第一ミドルコード242としては有機繊維からなるものが好ましい。
このタイヤ224では、締付力の観点から、第一ミドルコード242の外径dm1は0.5mm以上が好ましい。軽量化の観点から、この第一ミドルコード242の外径dm1は30mm以下が好ましい。
第二ミドルユニット236は、半径方向において、第一ミドルユニット234の外側に位置している。この第二ミドルユニット236は、軸方向において、第一ミドルユニット234の内側に位置している。この第二ミドルユニット236は、第一ミドルユニット234とソフトユニット238との間に位置している。この第二ミドルユニット236は、周方向に延在する第二ミドルコード244を含む。この第二ミドルユニット236は、タイヤ224がリムに嵌め合わされたとき、このタイヤ224をリムに締め付ける役割を果たす。
このタイヤ224では、第二ミドルユニット236は、第二ミドルコード244を周方向に複数回巻き回すことにより形成されている。これにより、第二ミドルコード244の断面が軸方向及び半径方向に整列された第二ミドルユニット236が得られる。図示されているように、第二ミドルユニット236の断面に含まれる第二ミドルコード244の断面の数は3である。このタイヤ224の第二ミドルユニット236は、第二ミドルコード244を周方向に螺旋状に3回巻き回すことにより形成されている。なお、3本の第二ミドルコード244からなる束を周方向に巻き回すことにより、この第二ミドルユニット236が形成されてもよい。
第二ミドルコード244は、前述の、第一ミドルコード242よりも伸びやすい。この第二ミドルコード244の伸び率は、第一ミドルコード242の伸び率よりも大きい。このため、タイヤ224をリムに嵌合させるとき、この第二ミドルコード244により構成された第二ミドルユニット236はコア228の変形を阻害しない。コア228が容易に変形するので、このタイヤ224のビード226の部分はリムのハンプを越えやすい。本発明によれば、低い嵌合圧でタイヤ224をリムに嵌合させることができる。このタイヤ224のリムへの嵌合は、容易である。
このタイヤ224では、第二ミドルコード244としては、例えば、前述の図5(a)から(d)で示された構成を有するものが挙げられる。この第二ミドルコード244は、第一ミドルコード242の伸び率よりも大きな伸び率を有していればよく、その材質がスチールとされた素線を複数本撚り合わせて形成されたものに限られない。第一ミドルコード242よりも伸びやすければ、有機繊維、ガラス繊維又はカーボン繊維からなる原糸を第二ミドルコード244として用いてもよいし、この原糸を複数本撚り合わせて形成されたものを第二ミドルコード244として用いてもよい。この有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。タイヤ224の軽量化の観点から、この第二ミドルコード244としては有機繊維からなるものが好ましい。
このタイヤ224では、締付力の観点から、第二ミドルコード244の外径dm2は0.5mm以上が好ましい。軽量化の観点から、この第二ミドルコード244の外径dm2は30mm以下が好ましい。
ソフトユニット238は、半径方向において、第二ミドルユニット236の外側に位置している。このソフトユニット238は、軸方向において、第二ミドルユニット236の内側に位置している。このソフトユニット238は、コア228の、半径方向におけるコア228の外側部分で、且つ、軸方向における内側部分を構成している。このソフトユニット238は、周方向に延在するソフトコード246を含む。このソフトユニット238は、タイヤ224がリムに嵌め合わされたとき、このタイヤ224をリムに締め付ける役割を果たす。
図示されているように、ソフトユニット238の断面に含まれるソフトコード246の断面の数は1である。このタイヤ224では、ソフトユニット238は、ソフトコード246を周方向に1回巻き回すことにより形成されている。このソフトユニット238が、ソフトコード246を周方向に複数回巻き回すことにより形成されてもよい。複数本のソフトコード246からなる束を周方向に巻き回すことにより、このソフトユニット238が形成されてもよい。
ソフトコード246は、前述の、第二ミドルコード244よりも伸びやすい。このソフトコード246の伸び率は、第二ミドルコード244の伸び率よりも大きい。このため、タイヤ224をリムに嵌合させるとき、このソフトコード246により構成されたソフトユニット238はコア228の変形を阻害しない。コア228が容易に変形するので、このタイヤ224のビード226の部分はリムのハンプを越えやすい。本発明によれば、低い嵌合圧でタイヤ224をリムに嵌合させることができる。このタイヤ224のリムへの嵌合は、容易である。
このタイヤ224では、コア228の断面の軸方向内側かつ半径方向外側の部分にソフトコード246の一の断面(図13中の符号S)が位置している。この部分は、従来のタイヤ2のコア8において、リムへの嵌合時に大きなテンションがかかる部分に対応する。前述したように、ソフトコード246は第二ミドルコード244よりも伸びやすい。第二ミドルコード244は、第一ミドルコード242よりも伸びやすい。第一ミドルコード242は、ハードコード240よりも伸びやすい。したがって、ソフトコード246はハードコード240よりも伸びやすい。このため、このコア228の断面の軸方向内側かつ半径方向外側の部分に位置するソフトコード246は、コア228の変形に効果的に寄与しうる。タイヤ224のビード226の部分がリムのハンプを越えやすいので、低い嵌合圧でタイヤ224をリムに嵌合させることができる。しかもハードユニット232、第一ミドルユニット234、第二ミドルユニット236及びソフトユニット238の相乗効果により、コア228がより堅固にタイヤ224をリムに締め付けうる。このタイヤ224では、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成される。
このタイヤ224では、ソフトコード246としては、例えば、前述の図5(a)から(d)で示された構成を有するものが挙げられる。このソフトコード246は、第二ミドルコード244の伸び率よりも大きな伸び率を有していればよく、その材質がスチールとされた素線を複数本撚り合わせて形成されたものに限られない。第二ミドルコード244よりも伸びやすければ、有機繊維、ガラス繊維又はカーボン繊維からなる原糸をソフトコード246として用いてもよいし、この原糸を複数本撚り合わせて形成されたものをソフトコード246として用いてもよい。この有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。タイヤ224の軽量化の観点から、このソフトコード246としては有機繊維からなるものが好ましい。
このタイヤ224では、締付力の観点から、ソフトコード246の外径dsは0.5mm以上が好ましい。軽量化の観点から、このソフトコード246の外径dsは30mm以下が好ましい。
このタイヤ224では、特に、コア228の断面の軸方向外側かつ半径方向内側の部分にハードコード240の一の断面Hが位置し、このコア228の断面の軸方向内側かつ半径方向外側の部分にソフトコード246の一の断面Sが位置している。このようにハードコード240及びソフトコード246が配置されたコア228は、締付力の維持及び嵌合圧の低減に効果的に寄与しうる。
このタイヤ224では、さらに、コア228の断面において、第一ミドルコード242の一の断面(図13中の符号M1)がハードコード240の一の断面Hの半径方向外側かつ軸方向内側に位置している。第二ミドルコード244の一の断面(図13中の符号M2)が第一ミドルコード242の一の断面M1の半径方向外側かつ軸方向内側に位置している。そして、ソフトコード246の一の断面Sがこの第二ミドルコード244の一の断面M2の半径方向外側かつ軸方向内側に位置している。このタイヤ224のコア228、軸方向外側かつ半径方向内側の部分から、軸方向内側かつ半径方向外側の部分に向かって、コア228をなすコード248の伸び率が漸増するように構成されている。このコア228は、締付力の維持及び嵌合圧の低減に効果的に寄与しうる。このタイヤ224では、締付力を損なうことなく低い嵌合圧が達成されうる。
ハードコード240の一定荷重時伸び率EH(以下、伸び率EH)、第一ミドルコード242の一定荷重時伸び率EM1(以下、伸び率EM1)、第二ミドルコード244の一定荷重時伸び率EM2(以下、伸び率EM2)及びソフトコード246の一定荷重時伸び率ES(以下、伸び率ES)は、締付力及び嵌合圧に影響する。
このタイヤ224では、嵌合圧の低減の観点から、伸び率EHに対する伸び率ESの比率は、101%以上が好ましく、103%以上がより好ましく、106%以上がさらに好ましく、112%以上が特に好ましい。締付力の維持の観点から、この比率は200%以下が好ましい。
このタイヤ224では、嵌合圧の低減の観点から、伸び率EHに対する伸び率EM1の比率は、101%以上が好ましく、102%以上がより好ましく、104%以上が特に好ましい。締付力の維持の観点から、この比率は200%以下が好ましい。
このタイヤ224では、嵌合圧の低減の観点から、伸び率EHに対する伸び率EM2の比率は、101%以上が好ましく、102%以上がより好ましく、104%以上が特に好ましい。締付力の維持の観点から、この比率は200%以下が好ましい。
このタイヤ224では、嵌合圧の低減の観点から、伸び率EM1に対する伸び率EM2の比率は、101%以上が好ましく、102%以上がより好ましく、104%以上が特に好ましい。締付力の維持の観点から、この比率は200%以下が好ましい。
このタイヤ224では、嵌合圧の低減の観点から、伸び率EM2に対する伸び率ESの比率は、101%以上が好ましく、102%以上がより好ましく、104%以上が特に好ましい。締付力の維持の観点から、この比率は200%以下が好ましい。
このタイヤ224では、コア228の軸方向幅(図13中の両矢印w)は1mm以上50mm以下である。このコア228の半径方向高さ(図13中の両矢印h)は、1mm以上50mm以下である。なお、この幅wは、コア228の軸方向における外端(図13中の符号P1)から内端(図13中の符号P2)までの軸方向長さにより表される。この高さhは、このコア228の半径方向における内端(図13中の符号P3)から外端(図13中の符号P4)までの半径方向長さにより表される。
このタイヤ224では、コア228の断面の面積BAに対する、このコア228のハードユニット232の断面に含まれるハードコード240の断面の面積の総和HAの比率は、10%以上95%以下が好ましい。この比率が10%以上に設定されることにより、適切な締付力が得られる。この比率が95%以下に設定されることにより、軽量化と低い嵌合圧とが達成される。なお、コア228の断面の面積BAは、前述の、軸方向幅w及び半径方向高さhの積により表される。
このタイヤ224では、コア228の断面の面積BAに対する、第一ミドルユニット234の断面に含まれる第一ミドルコード242の断面の面積の総和SM1の比率は、2%以上80%以下が好ましい。この比率が2%以上に設定されることにより、適切な締付力が得られる。この比率が80%以下に設定されることにより、軽量化と低い嵌合圧とが達成される。
このタイヤ224では、コア228の断面の面積BAに対する、第二ミドルユニット236の断面に含まれる第二ミドルコード244の断面の面積の総和SM2の比率は、2%以上70%以下が好ましい。この比率が2%以上に設定されることにより、適切な締付力が得られる。この比率が70%以下に設定されることにより、軽量化と低い嵌合圧とが達成される。
このタイヤ224では、コア228の断面の面積BAに対する、ソフトユニット238の断面に含まれるソフトコード246の断面の面積の総和SAの比率は、1%以上60%以下が好ましい。この比率が1%以上に設定されることにより、適切な締付力が得られる。この比率が60%以下に設定されることにより、軽量化と低い嵌合圧とが達成される。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1に示された基本構成を備え、下記の表1に示された仕様を備えた、実施例1の空気入りタイヤ(サイズ=195/65R15)を得た。この実施例1のビードのコアの構成は、図2に示された通りである。この実施例1では、エイペックスの一部からなる伸縮部が設けられた。この実施例1では、コアの本体の形成に、図3に示されたタイプのコードが用いられた。このコードの材質は、スチールとされた。このコードの外径dhは、1.2mmとされた。実施例1では、コアの軸方向幅wは8mmとされ、コアの半径方向高さhは5mmとされた。
[実施例2−4]
ビードの構成を下記の表1の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−4の空気入りタイヤを得た。実施例2−4では、ハードユニットの形成に、実施例1で用いたコードと同等のコードがハードコードとして用いられた。
実施例2では、ソフトユニットの形成に、図5(d)で示されたタイプのソフトコードが用いられた。このソフトコードの材質は、スチールとされた。このソフトコードの外径dsは、1.6mmとされた。このソフトコードは、4本の素線(線径=0.6mm)を撚り合わせたものである。各素線には、素線の山の頂からこの素線の谷の底までの振り幅により表される高さが1mmとされ、一の山の頂からこの一の山の隣に位置する他の山の頂までの長さにより表されるピッチが10mmとされた波型の癖(波癖)が付けられている。実施例2では、コアの軸方向幅wは8mmとされ、コアの半径方向高さhは8mmとされた。
実施例3では、ソフトユニットの形成に、図5(a)で示されたタイプのソフトコードが用いられた。このソフトコードは、アラミド繊維からなる。このソフトコードの外径dsは、1mmとされた。このソフトコードは、3本の原糸(構成=1670dtex/2)を撚り合わせたものである。実施例3では、コアの軸方向幅wは8mmとされ、コアの半径方向高さhは8mmとされた。
実施例4では、ミドルユニットの形成に、図5(c)で示されたタイプのミドルコードが用いられた。このミドルコードの材質は、スチールとされた。このミドルコードの外径dmは、1mmとされた。このミドルコードは、4本の素線(線径=0.5mm)を撚り合わせたものである。各素線には、波癖は付けられていない。ソフトユニットの形成に、図5(b)で示されたタイプのソフトコードが用いられた。このソフトコードの材質は、スチールとされた。このソフトコードの外径dsは、1mmとされた。このソフトコードは、3本の素線(線径=0.5mm)を撚り合わせたものである。各素線には、素線の山の頂からこの素線の谷の底までの振り幅により表される高さが1mmとされ、一の山の頂からこの一の山の隣に位置する他の山の頂までの長さにより表されるピッチが10mmとされた波型の癖(波癖)が付けられている。実施例4では、コアの軸方向幅wは8mmとされ、コアの半径方向高さhは8mmとされた。
[実施例5]
図8に示された基本構成を備え、下記の表2に示された仕様を備えた、実施例5の空気入りタイヤ(サイズ=195/65R15)を得た。この実施例5のビードのコアの構成は、図9に示された通りである。この実施例5には、伸縮部は設けられていない。この実施例5では、ハードユニットの形成に、実施例1で用いたハードコードと同等のコードがハードコードとして用いられた。ソフトユニットの形成には、図5(a)で示されたタイプのソフトコードが用いられた。このソフトコードは、アラミド繊維からなる。このソフトコードの外径DMaは、3mmとされた。このソフトコードは、3本の原糸(構成=1500dtex/2)を撚り合わせたものである。実施例5では、コアの軸方向幅wは8mmとされ、コアの半径方向高さhは14mmとされた。
[実施例6−9]
ビードの構成を下記の表2の通りとした他は実施例5と同様にして、実施例6−9の空気入りタイヤを得た。実施例6−9では、ハードユニットの形成に、実施例5で用いたコードと同等のコードがハードコードとして用いられた。
実施例6では、ソフトユニットの形成に、実施例5で用いたソフトコードと同等のコードがソフトコードとして用いられた。実施例6では、コアの軸方向幅wは8mmとされ、コアの半径方向高さhは10mmとされた。
実施例7では、ソフトユニットの形成に、図5(c)で示されたタイプのソフトコードが用いられた。このソフトコードは、アラミド繊維からなる。このソフトコードの外径dsは、4mmとされた。このソフトコードは、4本の原糸(構成=1500dtex/2)を撚り合わせたものである。実施例7では、コアの軸方向幅wは8mmとされ、コアの半径方向高さhは8mmとされた。
実施例8では、ソフトユニットの形成に、実施例2で用いたソフトコードと同等のコードがソフトコードとして用いられた。実施例8では、コアの軸方向幅wは8mmとされ、コアの半径方向高さhは8mmとされた。
実施例9では、第一ミドルユニットの形成に、実施例4で用いたミドルコードと同等のコードが第一ミドルコードとして用いられた。第二ミドルユニットの形成に、図5(a)で示されたタイプの第二ミドルコードが用いられた。この第二ミドルコードの材質は、スチールとされた。この第二ミドルコードの外径dm2は、1.1mmとされた。この第二ミドルコードは、3本の素線(線径=0.3mm)を撚り合わせたものである。各素線には、波癖は付けられていない。ソフトユニットの形成に、実施例4で用いたソフトコードと同等のコードがソフトコードとして用いられた。実施例9では、コアの軸方向幅wは8mmとされ、コアの半径方向高さhは8mmとされた。
[比較例1]
図14に示された基本構成を備え、下記の表1に示された仕様を備えた、比較例1の空気入りタイヤ(サイズ=195/65R15)を得た。この比較例1のビードのコアの構成は、図15に示された通りである。この比較例1では、伸縮部は設けられていない。この比較例1は従来のタイヤである。この比較例1では、コアの形成に、図3に示されたタイプのコードが用いられた。このコードの材質は、スチールとされた。このコードの外径は、1.2mmとされた。このコードは、実施例1のコードと同等である。
[伸び率]
コアの形成に用いたコードについて、一定荷重時伸び率を計測した。この結果が、比較例1のコードの伸び率を100とした指数で下記の表1及び2に示されている。この数値が大きいほど、伸びやすいコードであることが表される。なお、コアが複数種類のコードを含む場合、ハードコードに比較例1のコードと同等のコードを用いているため、ミドルコード、ソフトコード等の伸び率に記載の数値は、ハードコードの伸び率に対する比率でもある。
[軽量化指数]
実施例1から4では、コアの本体の質量を計測した。実施例5から9及び比較例1では、コアの質量が計測された。この結果が、比較例1を100とした指数値で下記の表1及び2に示されている。この数値が小さいほど好ましい。
[嵌合圧]
タイヤをリム(サイズ=15×6J)に組み込み、空気を充填し、このタイヤのビードの部分がリムのハンプを乗り越えるときの、圧力(嵌合圧)を計測した。この結果が、下記の表1及び2に示されている。この数値が小さいほど好ましい。なお、嵌合圧の計測に際しては、空気の供給圧は500kPaに調整された。リムの、タイヤが嵌め合わされる部分が洗浄され、汚れが除去された。タイヤのビードの部分全体に、刷毛又はスポンジを用いて、潤滑材((株)チップトップジャパン社製の商品名「マウンティングペースト」又は日本シールライト(株)社製の商品名「タイヤクリーム」)が塗布された。潤滑材の塗布後直ぐに、タイヤがリムに組み込まれた。組み込み後直ぐに、空気が充填され、嵌合圧が計測された。計測後、空気が排出され、タイヤがリムから外された。
表1及び2に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。